特許第6670525号(P6670525)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6670525温室効果ガス排出量自動計算装置、倉庫管理システムおよび温室効果ガス排出量自動計算装置用コンピュータソフトウェア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670525
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】温室効果ガス排出量自動計算装置、倉庫管理システムおよび温室効果ガス排出量自動計算装置用コンピュータソフトウェア
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/00 20120101AFI20200316BHJP
   G01R 22/06 20060101ALI20200316BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20200316BHJP
【FI】
   G06Q50/00
   G01R22/06 110Z
   G06Q50/06
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-227781(P2013-227781)
(22)【出願日】2013年11月1日
(65)【公開番号】特開2015-88074(P2015-88074A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年10月31日
【審判番号】不服2018-15631(P2018-15631/J1)
【審判請求日】2018年11月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】509022060
【氏名又は名称】長井 信二
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 宣康
【合議体】
【審判長】 渡邊 聡
【審判官】 松田 直也
【審判官】 相崎 裕恒
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−186570(JP,A)
【文献】 特開2013−90485(JP,A)
【文献】 特開2011−33259(JP,A)
【文献】 特開2009−107141(JP,A)
【文献】 特開2012−49334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより温室効果ガスの排出量を自動的に計算する温室効果ガス排出量自動計算装置であって、
電力計からのデータを用いた積算電力量より温室効果ガスの排出量を算出する積算電力式算出手段と、
機器類からのデータを用いた計算電力量より温室効果ガスの排出量を算出する計算電力式算出手段と、
の2通りの算出手段を備えて、両算出手段を選択できることで同じ機器類に対して両算出手段による算出値の一致を確認できることを特徴とするとともに、
温室効果ガスの排出量の他に、従来使用していた材料・部材等の比較対象項目を選択し、その従来使用していた材料・部材等による温室効果ガスの排出量に、従来使用していた材料・部材等から現在使用している材料・部材等に変更した場合の削減率を乗じて温室効果ガスの削減量も自動的に計算することを特徴とする温室効果ガス排出量自動計算装置。
【請求項2】
温室効果ガス排出量自動計算装置によって管理されている機器類の消費電力量が、予め設定された電力量に到達した場合に当該機器類を自動停止するピークカットコントロール機能を備えたことを特徴とする請求項1記載の温室効果ガス排出量自動計算装置。
【請求項3】
コンピュータにより温室効果ガスの排出量を自動的に計算する温室効果ガス排出量自動計算機能を備えた、複数の倉庫内の環境を一括して集中管理するための倉庫管理システムであって、
電力計からのデータを用いた積算電力量より温室効果ガスの排出量を算出する積算電力式算出手段と、
機器類からのデータを用いた計算電力量より温室効果ガスの排出量を算出する計算電力式算出手段と、
の2通りの算出手段を備えて、両算出手段を選択できることで同じ機器類に対して両算出手段による算出値の一致を確認できることを特徴とするとともに、
温室効果ガスの排出量の他に、従来使用していた材料・部材等の比較対象項目を選択し、その従来使用していた材料・部材等による温室効果ガスの排出量に、従来使用していた材料・部材等から現在使用している材料・部材等に変更した場合の削減率を乗じて温室効果ガスの削減量も自動的に計算する機能を備えたことを特徴とする倉庫管理システム。
【請求項4】
温室効果ガス排出量自動計算機能によって管理されている機器類の消費電力量が、予め設定された電力量に到達した場合に当該機器類を自動停止するピークカットコントロール機能を備えたことを特徴とする請求項3記載の倉庫管理システム。
【請求項5】
コンピュータにより温室効果ガスの排出量を自動的に計算する温室効果ガス排出量自動計算装置に用いられるコンピュータソフトウェアであって、
前記コンピュータを、
電力計からのデータを用いた積算電力量より温室効果ガスの排出量を算出する積算電力式算出手段と、
機器類からのデータを用いた計算電力量より温室効果ガスの排出量を算出する計算電力式算出手段と、
の2通りの算出手段として機能させて、両算出手段を選択できることで同じ機器類に対して両算出手段による算出値の一致を確認できるとともに、
温室効果ガスの排出量の他に、従来使用していた材料・部材等の比較対象項目を選択し、その従来使用していた材料・部材等による温室効果ガスの排出量に、従来使用していた材料・部材等から現在使用している材料・部材等に変更した場合の削減率を乗じて温室効果ガスの削減量も自動的に計算することを特徴とする温室効果ガス排出量自動計算装置用コンピュータソフトウェア。
【請求項6】
温室効果ガス排出量自動計算装置によって管理されている機器類の消費電力量が、予め設定された電力量に到達した場合に当該機器類を自動停止するピークカットコントロール機能を備えたことを特徴とする請求項5記載の温室効果ガス排出量自動計算装置用コンピュータソフトウェア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、温室効果ガスの排出量や削減量を自動的に計算する温室効果ガス排出量等の自動計算技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現状、温室効果ガスの排出量・削減量等の計算は、積算電力計等による削減値を担当者がデータとして取り込み、指定の書式にて作成する方法が通常である。
なお、電力計を用いて温室効果ガスの排出量を算出する技術としては、これまでに特許文献1や特許文献2に開示されたものなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−511023号公報
【特許文献2】特開平11−237414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対して、本願出願人は、電力計を用いて温室効果ガスの排出量を算出するだけではなく、電力計を用いることなく温室効果ガスの排出量を算出することも可能にして、2通りの算出手段を選択できる温室効果ガス排出量自動計算装置の提供を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の発明は、コンピュータにより温室効果ガスの排出量を自動的に計算する温室効果ガス排出量自動計算装置であって、電力計からのデータを用いた積算電力量より温室効果ガスの排出量を算出する積算電力式算出手段と、機器類からのデータを用いた計算電力量より温室効果ガスの排出量を算出する計算電力式算出手段と、の2通りの算出手段を備えたことを特徴とするものである。
第2の発明は、温室効果ガスの排出量の他に、温室効果ガスの削減量も自動的に計算することを特徴とする同温室効果ガス排出量自動計算装置である。
第3の発明は、温室効果ガス排出量自動計算装置によって管理されている機器類の消費電力量が、予め設定された電力量に到達した場合に当該機器類を自動停止するピークカットコントロール機能を備えたことを特徴とする同温室効果ガス排出量自動計算装置である。
【0006】
また、上記する第1の発明乃至第3の発明(温室効果ガス排出量自動計算装置)を機能として、複数の倉庫内の環境を一括して集中管理するための倉庫管理システムに備えてもよい。
すなわち、第4の発明は、コンピュータにより温室効果ガスの排出量を自動的に計算する温室効果ガス排出量自動計算機能を備えた、複数の倉庫内の環境を一括して集中管理するための倉庫管理システムであって、電力計からのデータを用いた積算電力量より温室効果ガスの排出量を算出する積算電力式算出手段と、機器類からのデータを用いた計算電力量より温室効果ガスの排出量を算出する計算電力式算出手段と、の2通りの算出手段を備えたことを特徴とするものである。
第5の発明は、温室効果ガスの排出量の他に、温室効果ガスの削減量も自動的に計算する機能を備えたことを特徴とする同倉庫管理システムである。
第6の発明は、温室効果ガス排出量自動計算機能によって管理されている機器類の消費電力量が、予め設定された電力量に到達した場合に当該機器類を自動停止するピークカットコントロール機能を備えたことを特徴とする同倉庫管理システムである。
【0007】
また、上記する第1の発明乃至第3の発明(温室効果ガス排出量自動計算装置)の機能を備えたコンピュータソフトウェアとしても提供してよい。
すなわち、第7の発明は、コンピュータにより温室効果ガスの排出量を自動的に計算する温室効果ガス排出量自動計算装置用コンピュータソフトウェアであって、電力計からのデータを用いた積算電力量より温室効果ガスの排出量を算出する積算電力式算出手段と、機器類からのデータを用いた計算電力量より温室効果ガスの排出量を算出する計算電力式算出手段と、の2通りの算出手段を備えたことを特徴とするものである。
第8の発明は、温室効果ガスの排出量の他に、温室効果ガスの削減量も自動的に計算することを特徴とする同温室効果ガス排出量自動計算装置用コンピュータソフトウェアである。
第9の発明は、温室効果ガス排出量自動計算装置によって管理されている機器類の消費電力量が、予め設定された電力量に到達した場合に当該機器類を自動停止するピークカットコントロール機能を備えたことを特徴とする同温室効果ガス排出量自動計算装置用コンピュータソフトウェアである。
【0008】
ここで、「機器類からのデータを用いた計算電力量より温室効果ガスの排出量を算出する計算電力式算出手段」とは、「当該機器の作動時間(h)×当該機器の容量(Kw)+起動電力=電力量(Kwh)」で算出されるものである。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)温室効果ガスの排出量や削減量を、従来の電力計からのデータを用いた「積算電力量」より算出するだけでなく、機器類からのデータを用いた「計算電力量」より算出することも可能になり、需要者(ユーザ)の選択肢が増えた(「出せる化機能」)。
(2)特に「計算電力量」は、通常電力計が監視・計測する作業を、機器類の作動状態で計算し電力量に換算する方法であるので、電力計がない場合でも電力量の算出が可能になる。また、機器ごとの電力量の算出も可能になることで、より詳細な電力量の算出が可能になる。なお、「積算電力量」と「計算電力量」が算出可能になることで、算出した電力量の信頼性が高まる(両者の算出値が一致していれば、間違いのない正確な電力量であると判断できる)。
(3)温室効果ガス排出量自動計算装置によって管理されている機器類の消費電力量が、予め設定された電力量に到達した場合に当該機器類を自動停止するピークカットコントロール機能を備えたことで、通常「デマンドコントロール」と呼ばれる制御にも転用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】温室効果ガス排出量自動計算装置の一実施形態を示す説明図(1)。
図2】温室効果ガス排出量自動計算装置の一実施形態を示す説明図(2)。
図3】温室効果ガス排出量自動計算装置の一実施形態を示す説明図(3)。
図4】温室効果ガス排出量自動計算装置の一実施形態を示す説明図(4)。
図5】温室効果ガス排出量自動計算装置のその他の実施形態を示す説明図(1)。
図6】温室効果ガス排出量自動計算装置のその他の実施形態を示す説明図(2)。
図7】倉庫管理システムを示す説明図(システム概略図)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
温室効果ガス排出量自動計算装置は、コンピュータにより温室効果ガスの排出量を自動的に計算する装置であって、その基本的な構成は、例えば中央処理装置・入力装置・記憶装置・出力装置等からなるものである。これらの装置は、コンピュータ単体で構成される場合もあれば、ネットワークに接続された複数のコンピュータが協働して、それぞれの機能を実現するばあいもある。また、この装置をサーバにしてネットワークを介してクライアント端末に提供することもある。
【0012】
図1及び図2は、動力に関する「温室効果ガス削減量計画書」である。
まず、上段の部分について説明する。
(1)「電力会社」の項目では、ユーザの利用している電力会社を選択する。ここでは、「T電力」を選択した。
(2)「比較対象項目」の項目では、温室効果ガスの削減量を算出するために、従来使用していた材料・部材等を選択する。ここでは、冷媒として「R−22」を選択した。なお、現在使用している冷媒は「R−410」である。
(3)「算出方法」の項目は、電力量の算出方法(手段)を選択するものであり、「計算電力式算出手段(表記:計算電力)」と「積算電力式算出手段(表記:積算電力)」の2通りがあり、いずれかを選択する。
(4)「計算年月日」の項目は、算出したい期間を指定するものである。ここでは、「2013年08月01日から2013年08月31日迄」を指定した。
【0013】
次に、中段の部分について説明する。
ここでは、算出された「CO2削減量」「原油換算削減量」「電力削減量」を表示するものである。
【0014】
更に、下段の部分について説明する。
(1)左側が「CO2排出量計算」の表であり、右側が「原油換算量」の表である。
(2)図1は、「算出方法」の項目で「積算電力式算出手段(表記:積算電力)」を選択したものであるので、「CO2排出量計算」の「電力量」の欄に電力計からのデータ(Kwh)が入力される。従って、「圧縮機作動時間(h)」及び「圧縮機容量(Kw)」の欄の入力は不要である。
(3)これに対して、図2は、「算出方法」の項目で「計算電力式算出手段(表記:計算電力)」を選択したものであるので、まずは「CO2排出量計算」の「圧縮機作動時間(h)」及び「圧縮機容量(Kw)」の欄に機器類からの各データが入力されて(計算書には別の表から自動リンクして圧縮機作動時間、圧縮機容量の数字(数値)が書き込まれる)、この乗数に起動電力を加算した数値を電力量として算出し出力される。
【0015】
図3及び図4は、電灯に関する「温室効果ガス削減量計画書」である。
(1)「比較対象項目」の項目では、従来使用していた電灯「水銀灯」を選択した。なお、現在使用している電灯は「LED」である。
(2)また、「計算年月日」の項目では、「2013年09月01日から2013年10月01日迄」を指定した。
(3)その他は、図1及び図2と同じであるので、その説明を省略する。なお、「CO2排出量計算」の項目「圧縮機作動時間(h)」及び「圧縮機容量(Kw)」は、それぞれ「照明点灯時間(h)」及び「器具容量(Kw)」に変更になっている。
【0016】
図5及び図6は、本願発明のその他の実施形態を示す説明図である。
(1)図5の符号(A)では、電力(200V)と電灯(100V)の電力値を累積している。
(2)図5の符号(B)では、「計算電力式算出手段」と「積算電力式算出手段」を選択できるようになっている。
(3)図5の符号(C)では、印刷も同様に「計算電力式算出手段」と「積算電力式算出手段」を選択できるようになっている。
(4)図6の符号(D)では、月・年の単位で表示している。また、「CO2削減量」ではなく、「CO2排出量」「原油換算削減量」「電力削減量」「現在電力・使用率」など図1乃至図4の「温室効果ガス削減量計画書」に表記される項目を表示してもよい。
【0017】
図7は、倉庫管理システムを示す説明図(システム概略図)である。
図7に示すように、倉庫管理システム10は、ホストコンピュータ(基幹サーバ)20と、インターネット接続端末30(パソコン31,タブレット端末32,携帯端末33など)とを備えている。ホストコンピュータ(基幹サーバ)20は、倉庫の制御装置40からデータの収集・保持及び前記制御装置40の管理・操作を行うものである。また、インターネット接続端末30は、前記ホストコンピュータ(基幹サーバ)20にインターネット接続されて前記制御装置40の管理・操作が可能となるものである。
【0018】
なお、倉庫管理システム10のオプションとして、クライアントPC50,外付HDD60,サポート(緊急時対応)用端末70を備えてもよい。また、倉庫内に監視カメラを設けて、この監視カメラからの映像を前記ホストコンピュータ(基幹サーバ)20やインターネット接続端末30のモニター画面上に出力することで、倉庫内の様子をリアルタイムで表示できるようにしてもよい。
そして、このような図7に図示する倉庫管理システムに、上記した温室効果ガス排出量自動計算装置を機能として追加してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本願発明は、温室効果ガスの排出量や削減量を自動的に計算する温室効果ガス排出量等の自動計算技術として幅広く利用できる。単独の温室効果ガス排出量等自動計算装置として提供してもよいし、他のシステムに追加する機能として提供してもよい。
【符号の説明】
【0020】
10 倉庫管理システム
20 ホストコンピュータ(基幹サーバ)
30 インターネット接続端末
31 パソコン
32 タブレット端末
33 携帯端末
40 制御装置
50 クライアントPC
60 外付HDD
70 サポート(緊急時対応)用端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7