(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、上記の従来技術では、前述した異常状態の検出に加えて、押圧部材が欠損(破損)した状態の異常状態も検出可能である。すなわち、上記の異常状態の位置決め装置をロック駆動すると、押圧部材の外周面が上記の孔の内周面に当接されるが、流路に供給された加圧エアが押圧部材の上記の破損部分から漏れる。従って、その流路の圧力が上昇しないことを圧力センサなどで検出することにより、上記の異常状態を検出できる。
ところで、本来は、位置決め装置をロック駆動させる前のリリース状態において、上記の異常状態(破損状態)を検出することが好ましい。しかしながら、上記の位置決め装置がリリース状態であるときには、検出孔が上記の孔の内周面によって閉鎖されないので、検出孔が外部に開放されている。このため、押圧部材が破損されていない正常状態と押圧部材が破損された異常状態との両方の状態で流路の圧力が上昇されない。これにより、その異常状態と正常状態との区別をつけることができない。
このため、従来の位置決め装置は、リリース状態の位置決め装置の破損状態を検出できるようにする点で改善の余地が残されていた。
本発明の目的は、リリース状態の位置決め装置の破損状態を検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、
図1から
図4に示すように、位置決め装置を次のように構成した。
可動部材5に設けられた孔6に挿入可能な環状の心柱7が、基準部材4から先端方向へ突出される。前記基準部材4にピストン11が軸方向へ移動可能で保密状に挿入される。前記ピストン11に連結された出力ロッド19が、前記心柱7の内周孔18に挿入される。前記心柱7の外周に外傾斜面28が先端側に向かって軸心に近づくように設けられる。前記外傾斜面28に押圧部材29が先端側から楔係合し、その押圧部材29が半径方向へ拡大及び縮小可能とされる。その押圧部材29が出力ロッド19の先端部に連結される。破損検出用の流路58が、前記孔6の内周面に密着可能となるように前記押圧部材29の外周面に開口される検出孔57を有し、破損検出用の流路58が検出孔57に圧力流体を供給可能とする。
そして、前記ピストン11が前記出力ロッド19を介して前記押圧部材29を先端側へリリース駆動させたときに、前記押圧部材29の内周面によって前記流路58が閉鎖されることにより前記検出孔57に圧力流体が供給されることが停止される。前記ピストン11が前記出力ロッド19を介して前記押圧部材29を基端側へロック駆動させたときに、前記流路58の前記閉鎖状態が解除されることにより前記検出孔57に圧力流体が供給される。
【0006】
従って、本発明は次の作用効果を奏する。
上記の位置決め装置をリリース駆動させたときに、破損検出用の流路が押圧部材の内周面によって閉鎖されることにより、前記検出孔に圧力流体が供給されることが停止される。このため、流路の圧力が上昇し、その上昇圧力を検出することにより押圧部材が破損していない正常状態であることが検出される。これに対して、リリース状態の位置決め装置が何らかの異常状態、例えば、押圧部材が破損された異常状態では、その破損部分から流路の圧力流体が漏れだし、その流路の圧力が上昇しない。その結果、押圧部材が破損された状態等の異常状態であることが検出される。
【0007】
本発明は、下記の(1)から(3)の構成を加えることが好ましい。
(1)前記押圧部材29は、前記心柱7の外周に軸方向に移動可能に設けられた中間部材62を介して当該心柱7に先端側から楔係合する。
この場合、位置決め装置をロック駆動すると、ピストンが出力ロッドと中間部材とを介して押圧部材の外周面を可動部材の孔の内周面に強力に押圧させる。
【0008】
(2)前記検出孔57は、前記押圧部材29に周方向に所定の間隔をあけて複数備えられる。
この場合、可動部材の孔の軸心が心柱の軸心に対して心ずれした状態でその孔が心柱に外嵌めされることにより、複数の検出孔のうちの一部の検出孔だけが孔の内周面によって閉鎖され、他の検出孔が閉鎖されない場合がある。この場合には、流路に供給された圧力流体が他の検出孔から漏れるので、流路の圧力が所定の設定値を下回ることが検出される。その結果、位置決め装置が異常状態であることが適切に検出される。
【0009】
(3)前記検出手段40は、弁機構によって構成される。その弁機構は、前記心柱7の内周孔18に設けられた弁座51と前記出力ロッド19に設けられた弁面52とを有する。前記出力ロッド19が先端側限界位置または基端側限界位置に移動されたときに、その弁機構が、前記基準部材4に形成された流路39を開弁または閉弁する。
この場合、出力ロッドが先端側限界位置または基端側限界位置に移動されたことを前記検出手段としての弁機構によって確実に検出できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を
図1から
図5Bによって説明する。
図1から
図3は、本発明の第1実施形態を示している。まず、リリース状態を示す
図1に基づいて上記位置決め装置の構造を説明する。
【0012】
工作機械のテーブル(図示しない)にベースプレート1を固定し、そのベースプレート1に位置決め装置のハウジング2をボルト3で固定する。本実施形態では、ベースプレート1とハウジング2によって基準部材4が構成される。
図2Aに示すように、そのハウジング2の上部(先端部)に形成された支持面2aに、可動部材としてのワークパレット5の被支持面5aが受け止められる。その被支持面5aに形成された孔6に、ハウジング2から上方へ突出された環状の心柱7が挿入可能となっている。
【0013】
上記ハウジング2の下部(基端部)にシリンダ孔10が形成され、そのシリンダ孔10にピストン11が上下方向(軸心方向)へ移動可能で保密状に挿入される。そのシリンダ孔10がピストン11によって上下方向へ区画され、ピストン11の下側にリリース室12が形成されると共に、ピストン11の上側にロック室13が形成される。そのリリース室12に連通されるリリース用の給排路14がベースプレート1に設けられる。ロック室13に連通されるロック用の給排路15がハウジング2に形成される。本実施形態では、上記のピストン11とリリース室12とロック室13とによって複動式の油圧シリンダ(駆動手段)Dが構成される。
【0014】
上記の環状の心柱7が内周孔18を有し、その内周孔18がシリンダ孔10に連通される。その心柱7の内周孔18に出力ロッド19が上下方向に移動可能で保密状に挿入され、その出力ロッド19がピストン11に連結される。その出力ロッド19は、下側から順に形成された下半部分20と、その下半部分20の上端部に螺合された上半部分21とを備えると共に、下半部分20の上端面と上半部分21に形成されたキャップ部22との間に装着された筒部材23とを備える。その筒部材23の上端から環状のフランジ部分24が半径方向の外方に突設される。そのフランジ部分24の外周壁に溝25が周方向に形成される。
【0015】
上記の心柱7の外周に外傾斜面28が上方に向かうにつれて軸心に近づくようにテーパー状に形成され、その外傾斜面28に押圧部材29が周方向へ環状に配置される。また、その押圧部材29の上端部から環状の突出部30が半径方向の内方へ突設される。その突出部30が筒部材23の溝25に挿入され、押圧部材29が出力ロッド19に連結される。その押圧部材29の周壁にスリット31が設けられることにより、その押圧部材29が半径方向に弾性変形可能に構成される。また、押圧部材29の外周部に密着面32が形成され、その密着面32がワークパレット5の孔6の内周面に密着可能となっている。また、上記の心柱7の外周面からピン33が半径方向の外方に突出されている。そのピン33が上記の押圧部材29の回り止めを構成している。
【0016】
上記の出力ロッド19が上限位置にリリース駆動したことを検出する弁機構(検出手段)40が、次のように構成される。
上記の心柱7の内周孔18は、下側から順に形成された大径孔41と小径孔42とを有する。また、出力ロッド19の下半部分20が、下側から順に形成された大径部43と小径部44とを有する。その大径孔41と大径部43との間に第1封止部材45が装着され、小径孔42と小径部44との間に第2封止部材46が装着される。大径孔41と大径部43との間に第1環状空間47が区画形成され、小径孔42と小径部44との間に第2環状空間48が区画形成される。その第1環状空間47に加圧エアの供給路49が連通され、第2環状空間48に排出路50が連通される。また、上記の大径孔41の上端面に環状の弁座51が形成される。その大径部43の上端部に形成された環状の弁面52が、上記の弁座51に当接可能に所定の間隔をあけて対面される。本実施形態において、供給路49と第1環状空間47と第2環状空間48と排出路50とによって位置検出用の流路39が構成される。
【0017】
上記の心柱7の外傾斜面28に中継孔55が半径方向の外方にむけて開口される。その中継孔55が、ハウジング2に形成された加圧エアの供給路56に連結される。また、上記の押圧部材29の周壁に検出孔57が半径方向に貫通され、その検出孔57が上記の中継孔55に連通可能となっている。本実施形態では、中継孔55と供給路56と検出孔57とによって破損検出用の流路58が構成される。
【0018】
上記の位置決め装置は、
図1から
図2Bに示すように、次のように作動する。
図1のリリース状態では、ロック室13の圧油が排出されると共に、リリース室12に圧油が供給される。これにより、ピストン11と出力ロッド19とが上昇位置に移動される。このとき、上記押圧部材29が、当該押圧部材29の弾性力によって縮径状態に切り換えられている。
また、このとき、出力ロッド19の弁面52が心柱7の内周孔18の弁座51に当接され、弁機構40が閉弁されている。この状態で加圧エア(圧力流体)が供給路49を通って第1環状空間47に供給されると、その第1環状空間47の圧力が上昇する。その結果、出力ロッド19が上限位置に移動したこと(リリース状態であること)が検出される。
また、このとき、心柱7の中継孔55が押圧部材29の内周面によって閉鎖されている。この状態で加圧エアが中継孔55に供給されると、その中継孔55の圧力が上昇する。これにより、押圧部材29の周壁の薄肉部分が破損されていない正常な状態であることが検出される。
【0019】
上記リリース状態でワークパレット5を何らかの昇降手段または自重によって下降させ、そのワークパレット5の孔6が出力ロッド19と押圧部材29と心柱7とに外嵌められていく。すると、上記ワークパレット5の被支持面5aが、ハウジング2の支持面2aに受け止められる。
【0020】
上記の位置決め装置を
図1のリリース状態から
図2Aのロック状態へ切り換えるときには、リリース室12の圧油を排出するとともに、ロック室13に圧油を供給する。すると、まず、ロック室13の油圧力がピストン11と出力ロッド19とを下降させていく。次いで、出力ロッド19が押圧部材29を下降させると、その押圧部材29が心柱7の外傾斜面28によって縮径状態から拡径される(半径方向の外方へ移動される)。
図2Bに示すように、その押圧部材29の密着面32がワークパレット5の孔6の内周面を密着される。これにより、位置決め装置は、
図2Aのロック状態に切り換えられる。
また、このとき、中継孔55が検出孔57に連通される共に、検出孔57が上記孔6の内周面によって閉鎖される。この状態で、中継孔55に加圧エアが供給されると、中継孔55の圧力が上昇する。その結果、押圧部材29の密着面32が上記の孔6の内周面に密着されたことが検出される。
【0021】
また、ロック状態では、ピストン11が下降位置に移動されたことにより、弁機構40の弁面52も弁座51から下方に離間される。このため、弁機構40は、開弁される。従って、上記ロック状態では、リリース検出用の加圧エアが第1環状空間47から第2環状空間48と排出路50とを通って外部に排出される。その結果、第1環状空間47の圧力が下降されたことを圧力センサ(図示しない)によって検出される。これにより、ピストン11と出力ロッド19とが下降位置へ移動されたことが検出される。
【0022】
上記の位置決め装置を
図2のロック状態から
図1のリリース状態へ切り換えるときには、ロック室13の圧油を排出すると共にリリース室12へ圧油を供給する。これにより、位置決め装置は、上述したロック動作とはほぼ逆の手順でリリース状態へ切り換えられる。
【0023】
上記の位置決め装置は、ワークパレット5が未搬入である状態の異常状態、および、ワークパレット5の孔6が想定した寸法よりも大きいことにより押圧部材の密着面と前記孔6との間に隙間が生じた状態の異常状態で、次のように作動する。
上記の異常状態の位置決め装置をロック駆動させると、
図3に示すように、ロック室13の油圧力がピストン11と出力ロッド19とを介して押圧部材29を下降させると共に、心柱の外傾斜面28に沿って半径方向の外方へ移動させる。次いで、その押圧部材29の密着面32がワークパレット5の孔6の内周面に受け止められないので、過度に拡径する。引き続いて、出力ロッド19及びピストン11は下限位置まで下降されると、上記出力ロッド19のフランジ部32の下面が心柱7の上端面に受けとめられる。
このとき、ピストン11が下降位置に移動されたことにより、弁機構40の弁面52が弁座51から下方へ離間される。このため、弁機構40は、開弁される。これにより、出力ロッド19が下降位置に移動したことが検出される。
また、このとき、検出孔57が中継孔55にほぼ対面する位置に下降されるので、中継孔55に供給された異常検出用の加圧エアが検出孔57を通って外部へ排出される。このため、中継孔55の圧力が所定の設定値を下回り、その圧力低下を圧力スイッチ等で検出することにより、位置決め装置が上記の異常状態であることを検出できる。
【0024】
ところで、上記位置決め装置の押圧部材29に対してワークパレット5を下降させて当該押圧部材29にワークパレット5の孔6を外嵌めするときに、その孔6の周壁の下部が、押圧部材29に衝突して、その衝突時の衝撃によって押圧部材29の薄肉部分(
図3中に破線で示す)29aが欠損する場合がある。この場合、中継孔55に供給された異常検出用の加圧エアが上記の欠損部分29aから漏れ、中継孔55の圧力が予め設定した圧力値を下回ることが検出される。その結果、押圧部材が破損された異常状態であることが検出される。
【0025】
第1実施形態は次の長所を奏する。
上記の位置決め装置をリリース駆動させたときに、破損検出用の流路58が押圧部材29の内周面によって閉鎖されることにより、前記検出孔57に圧力流体が供給されることが停止される。このため、流路58の圧力が上昇し、その上昇圧力を検出することにより押圧部材29が破損していない正常状態であることが検出される。これに対して、リリース状態の位置決め装置が何らかの異常状態、例えば、押圧部材29が破損された異常状態では、その破損部分29aから流路58の圧力流体が漏れだし、その流路58の圧力が上昇しない。その結果、押圧部材29が破損された状態等の異常状態であることが検出される。
また、上記の位置決め装置をロック駆動させたときに、破損検出用の流路58の検出孔57がワークパレット5の孔6の内周面によって閉鎖されることにより、前記検出孔57から外部に圧力流体が排出されることが停止される。このため、流路58の圧力が上昇し、その上昇圧力を検出することによりハウジング2に対してワークパレット5が所定位置に位置決めされた正常状態であることが検出される。これに対して、ロック状態の位置決め装置が何らかの異常状態、例えば、押圧部材29が破損された異常状態では、その破損部分29aから流路58の圧力流体が漏れだし、その流路58の圧力が上昇しない。その結果、押圧部材29が破損された状態等の異常状態であることが検出される。
以上のことから、上記の位置決め装置がロック状態およびリリース状態のいずれの状態のときでも、流路58の圧力が所定の設定値を上回れば位置決め装置が正常状態であることが検出され、流路58の圧力が所定の設定値を下回れば位置決め装置が上記のいずれかの異常状態であることが検出される。
【0026】
図4は、本発明の第1実施形態の変形例を示し、
図5は本発明の第2実施形態を示している。この第1実施形態の変形例および第2実施形態においては、上記の第1実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。
【0027】
図4の第1実施形態の変形例が上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
上記の心柱7の外周に溝60が周方向に形成され、その溝60の底面に中継孔55が開口される。また、押圧部材29の周壁に検出孔57が周方向に所定の間隔をあけて3つ設けられる。その検出孔57が上記の溝60を介して中継孔55に連通可能となっている。
従って、押圧部材29の外周面とワークパレット5の孔6の内周面との間に切粉などの異物が挟まって隙間が生じたときでも、複数の検出孔57のうちの一方が上記の孔6の内周面によって閉鎖されるが、中継孔55の加圧エアが複数の検出孔57のうちの他方の検出孔57から上記の隙間を通って外部に漏れ出る。これにより、押圧部材29と上記の孔6との間に上記の異物が挟まった状態などの異常状態であることを適切に検出できる。
【0028】
図5Aおよび
図5Bの第2実施形態が上記の第1実施形態と異なる点は次の通りである。
上記の心柱7の外周にストレート面61が形成される。そのストレート面61に、周方向に環状に配置された中間部材62が上下方向に移動可能に装着される。その中間部材62の下部とハウジング2との間に皿バネ63とバネ受け64とが上方に順に装着され、ハウジング2に対して中間部材62が上方へ付勢される。本実施形態では、付勢手段65が皿バネ63とバネ受け64とによって構成される。
図5Bに示すように、その中間部材62の周壁にスリット65が設けられることにより、その中間部材62が半径方向に弾性変形可能に構成される。また、その中間部材62の外周面に外傾斜面28が上方へ向かうにつれて軸心に近づくように形成される。その外傾斜面28に周方向に環状に配置される押圧部材29が、上下方向に移動可能に装着される。その押圧部材29の外周に密着面32が形成され、その密着面32がワークパレット5の孔6の内周面に密着可能に構成される。また、上記の心柱7のストレート面61に第1中継孔68が開口される。その第1中継孔68に連通するように第2中継孔69が中間部材62の周壁に貫通される。その第2中継孔69に連通可能に検出孔57が押圧部材29の周壁に貫通される。本実施形態では、第1中継孔68と第2中継孔69と供給路56と検出孔57とによって破損検出用の流路58が構成される。
【0029】
また、ロック室13に連通されるロック用の給排路15の途中部に、ロック用の圧力センサ(図示しない)が配置され、その圧力センサによってロック用の給排路15の圧力が上昇したことが検出される。リリース用の給排路14の途中部にも同様のリリース用の圧力センサ(図示しない)が配置される。本実施形態では、リリース用の圧力センサによって検出手段40が構成される。
【0030】
上記の装置は次のように作動する。
リリース状態では、ロック室13の圧油が排出されると共に、リリース室12に圧油が供給される。これにより、ピストン11と出力ロッド19とが上昇位置に移動される。このとき、上記押圧部材29が、当該押圧部材29の弾性力によって縮径状態に切り換えられている。
また、このとき、上記の圧力センサによってリリース室12の上昇圧力を検出するにより、位置決め装置がリリース状態であることが検出される。
また、第2中継孔69が押圧部材29の内周面によって閉鎖されている。この状態で第2中継孔69に加圧エアを供給すると、第2中継孔69の圧力が上昇する。その結果、押圧部材29が破損されていない正常状態であることが検出される。
【0031】
上記リリース状態でワークパレット5を何らかの昇降手段または自重によって下降させ、そのワークパレット5の孔6が出力ロッド19に外嵌められていく。すると、上記ワークパレット5の被支持面5aが、ワークパレット5から上方に突設された支持ピン71の支持面71aに受け止められる。
【0032】
位置決め装置をリリース状態から
図5Aのロック状態へ切り換えるときには、リリース室12の圧油を排出するとともに、ロック室13に圧油を供給する。すると、まず、ロック室13の油圧力がピストン11と出力ロッド19とを下降させていく。次いで、出力ロッド19が押圧部材29を下降させると、その押圧部材29が心柱7の外傾斜面28によって縮径状態から拡径される(半径方向の外方へ移動される)。
図5Bに示すように、その押圧部材29の密着面32がワークパレット5の孔6の内周面に密着される。これにより、位置決め装置は、
図5Aのロック状態に切り換えられる。
このとき、検出孔57がワークパレット5の孔6の内周面によって閉鎖される。この状態で第2中継孔69に加圧エアを供給すると、第2中継孔69の圧力が上昇する。その結果、押圧部材29の密着面32が上記の孔6の内周面に密着されていることが検出される。
また、このとき、ロック室13の圧力が所定の設定値を上回ることを上記の圧力センサによって検出されることにより、位置決め装置がロック状態であることが検出される。
【0033】
上記の位置決め装置を
図5Aのロック状態からリリース状態へ切り換えるときには、ロック室13の圧油を排出すると共にリリース室12へ圧油を供給する。これにより、位置決め装置は、上述したロック動作とはほぼ逆の手順でリリース状態へ切り換えられる。
【0034】
上記の第2実施形態は次の長所を奏する。
上記の位置決め装置をリリース駆動させたときに、破損検出用の流路58が押圧部材29の内周面によって閉鎖されることにより、前記検出孔57に圧力流体が供給されることが停止される。このため、流路58の圧力が上昇し、その上昇圧力を検出することにより押圧部材29が破損していない正常状態であることが検出される。これに対して、リリース状態の位置決め装置が何らかの異常状態、例えば、押圧部材29が破損された異常状態では、その破損部分29aから流路58の圧力流体が漏れだし、その流路58の圧力が上昇しない。その結果、押圧部材29が破損された状態等の異常状態であることが検出される。
また、上記の位置決め装置をロック駆動させたときに、破損検出用の流路58の検出孔57がワークパレット5の孔6の内周面によって閉鎖されることにより、前記検出孔57から外部に圧力流体が排出されることが停止される。このため、流路58の圧力が上昇し、その上昇圧力を検出することによりハウジング2に対してワークパレット5が所定位置に位置決めされた正常状態であることが検出される。これに対して、ロック状態の位置決め装置が何らかの異常状態、例えば、押圧部材29が破損された状態などの異常状態では、その破損部分29aから流路58の圧力流体が漏れだし、その流路58の圧力が上昇しない。その結果、押圧部材29が破損された状態等の異常状態であることが検出される。
以上のことから、上記の位置決め装置がロック状態およびリリース状態のいずれの状態のときでも、流路58の圧力が所定の設定値を上回れば位置決め装置が正常状態であることが検出され、流路58の圧力が所定の設定値を下回れば位置決め装置が上記のいずれかの異常状態であることが検出される。
【0035】
上記の各実施形態は次のように変更可能である。
上記の基準部材4は、例示したように、工作機械のテーブルに固定されたベースプレート1に限られず、その他の固定台であってもよい。
上記の可動部材は、例示したワークパレット5に限られず、ワークや金型などであってもよい。
上記の駆動手段は、複動式の油圧シリンダDに代えて単動式の油圧シリンダであってもよい。また、駆動手段は、例示の油圧シリンダに代えて、空圧シリンダや電動アクチュエータであってもよい。
上記中継孔に供給される異常状態検出用の圧力流体は、例示した加圧エアに代えて、他の気体または圧油や水等の液体であってもよい。
上記の外傾斜面28は、心柱7の外周面の全体にテーパー状に形成されるのに代えて、心柱の外周面の一部分に平面状に形成されてもよい。
上記の押圧部材29は、前記外傾斜面28に周方向へ環状に配置されるのに代えて、複数の押圧部材が外傾斜面に周方向へ所定の間隔をあけて配置されてもよい。
上記の溝60は、心柱7の外周壁に形成されるのに代えて、押圧部材29の内周面に形成されてもよい。
上記の付勢手段65は、例示した皿バネ63に代えて、圧力流体によって上方へ付勢する流体圧シリンダなどであってもよい。
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。