(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、液体化粧料等の塗布液を塗布する塗布具は、軸配設の収容部から軸先端に設けた塗布体の吐出孔に塗布液を押し出しできるようにして、この塗布体を肌などの対象部に滑らせて対象部に塗り付け可能にしている。
【0003】
塗布体は、特に化粧品の場合、肌に接触させるための適度な接触感が要求されることから、一般に樹脂材料製とされる。
【0004】
この種の塗布具において、塗布体を肉厚状態に成形した場合、成形後の収縮によって塗布体にヒケの問題が生じるときがある。ヒケは不必要な薄肉や欠けの原因となり、製品不良の原因になり、防止することが望まれる。
【0005】
塗布体の成形を安定化させるため肉盗みを設けることが考えられる。
【0006】
そのため、中空の塗布体を用いた場合、ピストン等を用いた加圧押し出し機構の容器が考えられる。この種の液体塗布具として本願出願人は、特許文献1を提案している。
【0007】
しかしながら、この種の中空の塗布体の液体塗布具においては、最後に押し出すことができない液体が塗布体内部に残留する場合がある。
【0008】
液体残留防止の解決策として、塗布体内に塗布液を通す連通路を細く形成したとしても(特許文献2参照)、連通路が細長くなるため、不使用期間が長い場合等液が乾燥した場合、連通路に液詰まりが生じる可能性がある。
【0009】
他の液体残留の解決策として、塗布体内部に空間にスペーサを設けることが提案されている(特許文献3,4参照)。しかしながら、従来のスペーサの構造では、ピストン繰り出し終了後に液が残ることが考えられる。
【0010】
また、スペーサを使用する場合、塗布体に透明材料を使用するときに、スペーサが目立ち、塗布具のデザイン性を損ねるという問題点が生じる。
【0011】
また、従来はスペーサの中心部に液を通すため、塗布体とスペーサの接続部には密閉性が求められ、構造が複雑化し易い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態1に係る塗布具の説明図で、(a)が塗布具先方からの視図、(b)が塗布体の斜面側から見た平面図、(c)が側面図、(d)が縦断面図、(e)が塗布体周辺の詳細断面図である。
【
図2】実施形態2に係る塗布具の説明図で、(a)が塗布具先方からの視図、(b)が塗布体の斜面側から見た平面図、(c)が側面図、(d)が縦断面図、(e)が塗布体周辺の詳細断面図である。
【
図3】実施形態3に係る塗布具の説明図で、(a)が塗布具先方からの視図、(b)が塗布体の斜面側から見た平面図、(c)が側面図、(d)が縦断面図、(e)が塗布体周辺の詳細断面図である。
【
図4】実施形態4に係る塗布具の説明図で、(a)が塗布具先方からの視図、(b)が塗布体の斜面側から見た平面図、(c)が側面図、(d)が縦断面図、(e)が塗布体周辺の詳細断面図である。
【
図5】実施形態5に係る塗布具の説明図で、(a)が塗布具先方からの視図、(b)が塗布体の斜面側から見た平面図、(c)が側面図、(d)が縦断面図、(e)が塗布体周辺の詳細断面図である。
【
図6】実施形態6に係る塗布具の説明図で、(a)が塗布具先方からの視図、(b)が塗布体の斜面側から見た平面図、(c)が側面図、(d)が縦断面図、(e)が塗布体周辺の詳細断面図である。
【
図7】実施形態7に係る塗布具の説明図で、(a)が塗布具先方からの視図、(b)が塗布体の斜面側から見た平面図、(c)が側面図、(d)が縦断面図、(e)が塗布体周辺の詳細断面図である。
【
図8】実施形態8に係る塗布具の説明図で、(a)が塗布具先方からの視図、(b)が塗布体の斜面側から見た平面図、(c)が側面図、(d)が縦断面図、(e)が塗布体周辺の詳細断面図である。
【
図9】実施形態9に係る塗布具の説明図で、(a)が塗布具先方からの視図、(b)が塗布体の斜面側から見た平面図、(c)が側面図、(d)が縦断面図、(e)が塗布体周辺の詳細断面図である。
【
図10】実施形態10に係る塗布具の説明図で、(a)が塗布具先方からの視図、(b)が塗布体の斜面側から見た平面図、(c)が側面図、(d)が縦断面図、(e)が塗布体周辺の詳細断面図である。
【
図11】実施形態に係る塗布具に使用する塗布体Aの部品図で、(a)が先方からの視図、(b)が先方からの斜視図、(c)が塗布体の斜面側から見た平面図、(d)が側面図、(e)が縦断面図、(f)が背面図、(g)が後方からの視図、(h)が後方からの斜視図である。
【
図12】実施形態に係る塗布具に使用する塗布体Bの部品図で、(a)が先方からの視図、(b)が先方からの斜視図、(c)が塗布体の斜面側から見た平面図、(d)が側面図、(e)が縦断面図、(f)が背面図、(g)が後方からの視図、(h)が後方からの斜視図である。
【
図13】実施形態に係る塗布具に使用する塗布体Cの部品図で、(a)が先方からの視図、(b)が先方からの斜視図、(c)が塗布体の斜面側から見た平面図、(d)が側面図、(e)が縦断面図、(f)が背面図、(g)が後方からの視図、(h)が後方からの斜視図である。
【
図14】実施形態に係る塗布具に使用する塗布体Dの部品図で、(a)が先方からの視図、(b)が先方からの斜視図、(c)が塗布体の斜面側から見た平面図、(d)が側面図、(e)が縦断面図、(f)が背面図、(g)が後方からの視図、(h)が後方からの斜視図である。
【
図15】実施形態に係る塗布具に使用するスペーサaの部品図で、(a)が先方からの視図、(b)が先方からの斜視図、(c)が斜面側から見た平面図、(d)が側面図、(e)が縦断面図、(f)が背面図、(g)が後方からの視図、(h)が後方からの斜視図である。
【
図16】実施形態に係る塗布具に使用するスペーサbの部品図で、(a)が先方からの視図、(b)が先方からの斜視図、(c)が斜面側から見た平面図、(d)が側面図、(e)が縦断面図、(f)が背面図、(g)が後方からの視図、(h)が後方からの斜視図である。
【
図17】実施形態に係る塗布具に使用するスペーサcの部品図で、(a)が先方からの視図、(b)が先方からの斜視図、(c)が斜面側から見た平面図、(d)が側面図、(e)が縦断面図、(f)が背面図、(g)が後方からの視図、(h)が後方からの斜視図である。
【
図18】実施形態に係る塗布具に使用するスペーサdの部品図で、(a)が先方からの視図、(b)が先方からの斜視図、(c)が斜面側から見た平面図、(d)が側面図、(e)が縦断面図、(f)が背面図、(g)が後方からの視図、(h)が後方からの斜視図である。
【
図19】実施形態に係る塗布具に使用するスペーサeの部品図で、(a)が先方からの視図、(b)が先方からの斜視図、(c)が斜面側から見た平面図、(d)が側面図、(e)が縦断面図、(f)が背面図、(g)が後方からの視図、(h)が後方からの斜視図である。
【
図20】実施形態に係る塗布具に使用するスペーサfの部品図で、(a)が先方からの視図、(b)が先方からの斜視図、(c)が斜面側から見た平面図、(d)が側面図、(e)が縦断面図、(f)が背面図、(g)が後方からの視図、(h)が後方からの斜視図である。
【
図21】実施形態に係る塗布具に使用するスペーサgの部品図で、(a)が先方からの視図、(b)が先方からの斜視図、(c)が斜面側から見た平面図、(d)が側面図、(e)が縦断面図、(f)が背面図、(g)が後方からの視図、(h)が後方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1〜
図10は本発明の実施形態1〜実施形態10に係る塗布具を示す。
図11〜
図14は塗布体14の各実施例の塗布体A〜塗布体Dの部品図である。
図15〜
図21はスペーサ16の各実施例のスペーサa〜スペーサgの部品図である。
【0025】
実施形態1〜10に係る塗布具は、いずれも
図1〜
図10に示すように、軸筒の本体10内に収容空間20に収容した塗布液を本体10に取り付けた液体加圧機構12によって本体10先端の弾性材からなる塗布体14へと供給して、対象物にその塗布体14を当接させる等して塗布液を塗布するものである。
【0026】
詳しくは、塗布具は、本体10、塗布体14、スペーサ16、塗布液収容空間20収容の塗布液、液体加圧機構12を有している。
図1〜
図10では、キャップは着脱可能であるが、外した状態を示している。
【0027】
本体10は略筒状を呈し、その先端の先細の本体小径部10aが形成され、本体小径部10aに図示しないキャップが着脱自在に嵌合可能になっている。本体10内であって、スペーサ16とピストン体22とに囲まれる空間部分が、塗布液収容空間20になっている。液体加圧機構12によって本体10内でピストン体22を前進させることによって、この塗布液収容空間20の体積を減じて加圧し塗布体14方向に塗布液を送り出すようなっている。
【0028】
前記液体加圧機構12は、本体10内部の塗布液収容空間20に向けて前進・後退収容空間内の容積を減少・増大させるピストン体22と、該ピストン体22の後部に軸状部材(ネジ棒とも称する)24の前部を係合して、この軸状部材24を使用者の操作力によって前後動させて前記ピストン体22を前進・後退動作させる駆動機構(回転操作部材30、軸状部材24、ネジ体26、繰り出し体28等からなる)とを有している。
【0029】
回転操作部材30は、繰り出し体28の後端部に回転不能に外嵌めされている、筒状つまみである。繰り出し体28の前端部が本体10後端に嵌入している。繰り出し体28の前端の中央に異形孔(後記カム形状)が形成され、その異形孔内に軸状部材24(外周が異形のカム形状)が挿通する。
繰り出し体28に対して軸状部材24が相対回転不能、かつ、軸方向の進退動可能に嵌入している。
【0030】
前後が椀状を呈した環状のネジ体26は、本体10に回転不能に設けられている。ネジ体26における後方側に形成された椀状の空間内に繰り出し体28の前部が挿入され、その前部におけるネジ体26内周および繰り出し体28外周同士の噛み合わせ部には、歯状のラチェット28aが形成されており、そのラチェット28aにより繰り出し体28(回転操作部材30)がネジ体26に対して一方向のみに回転するように回転規制している。また、加減圧機構とする場合は回転規制せずにクリック感を伴って双方向に回転可能にする。
【0031】
軸状部材24の外周部の雄ネジと、ネジ体26の中心部孔に形成された雌ネジが螺合する。
【0032】
また、軸状部材24は横断面視して異形のカム形状を呈し、回転操作部である繰り出し体28の係合部の中心部孔が前記軸状部材24の外周部に対応した異形のカム形状に形成されている。軸状部材24が係合部の中心部孔に挿通し、軸状部材24が繰り出し体28に対して、軸方向に摺動可能かつ相対回転不能に係合している。
【0033】
軸状部材24の先端部はピストン体22に連結され、回転操作部材30を所定方向に回転すると軸状部材24がネジ体26を介してピストン体22を本体10の先端方向に向けて前進させ、本体10の塗布液収容空間20内の塗布液を加圧して塗布体14に送る。
【0034】
ここで、実施形態1〜10の塗布具において、塗布体14は、その内部空間内にスペーサ16を挿入したものである。塗布体14の内面14aとスペーサ16の
外面16aとの間に隙間32ができるよう装着される。塗布体14の先端部に、内外を貫通して内部の塗布液を外部に吐出する吐出口14bが形成される。
【0035】
塗布体14は、外面の先部が軸に対して20~45°程度の角度をもった斜面形状に外面が形成されその斜面が概ね塗布面14cになる。また、塗布体14の後方の筒状部は、本体10先端部の本体小径部10a内に嵌入しており、塗布体14の筒状部の外周及び前記本体小径部10a内周に相互に形成された凹凸が互いに嵌入し合って抜け止めされている。
【0036】
また、塗布体14の外周と本体小径部10a内周との間にはシール材としてO(オー)リング18が装着されており、液体加圧機構12によって加圧されて送られる塗布液が漏れないようにしている。
【0037】
前記スペーサ16の外面16aと塗布体14の内面14aとの間に隙間32が塗布液を通す連通路となり、塗布液が前記連通路を通して前記吐出口14bから吐出するものである。
【0038】
塗布体14内にスペーサ16を設けることにより塗布体14内部の空間体積を削減できる。したがって、塗布体14内の残液抑制を行うことができる。
【0039】
このとき、塗布体14とスペーサ16との間の隙間32に塗布液を通すことで、使用前にインク等の塗布液流出によるデザイン性を確保し、使用後には塗布体14内の残液抑制を図ることができる。
【0040】
また、塗布体14は、吐出口付近の隙間32について、当該隙間32に面するスペーサ16外面(外周面)又は塗布体14内面(内壁)のいずれかに段差(34又は36)を形成して、他の箇所よりも距離が短くなる隙間32を形成したものを用いる。
【0041】
塗布体14は、内部の塗布液を視認可能な透明又は半透明の樹脂製である。
【0042】
具体的な材質として、塗布体14は、必要な塗布性能が得られる樹脂材料、特に透明性の高いシリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル系樹脂等でLIM成形又は射出成形(インジェクション成形)等で成形されている。
【0043】
なお、塗布液は、各種化粧料や薬液が好適であり、それら塗布液の中にはシリコーンオイルを含有したものがある。
【0044】
塗布体14の材質は、通常、塗布液とのマッチングを考慮して選定されるが、その他、硬度、表面状態、透明性等の多岐の評価項目に基づいて選定されるものである。
【0045】
したがって、実施形態での塗布液は、アクリル樹脂等の透明性の高い樹脂製の塗布体14が使用される代表的なものとしてシリコーンオイルを含有する液としている。
【0046】
塗布体14の吐出口14bの位置関係により、塗布体14とスペーサ16の隙間32に塗布液の液未充填部分ができ、それによって気泡を発生し外観不良になる可能性がある。液未充填部分の影響で気泡発生が見られた場合、吐出口14b付近の内壁とスペーサ16外周面との距離を、丘状その他突出した凸部等の段差(塗布体14の段差34又はスペーサ16の段差36)の形成によって、その他の箇所に比べて近接させ、その部分の隙間32を狭くしている。
【0047】
このように、隙間32を一部近接させることで、液の流動抵抗により吐出遅れが発生、塗布体14内部のスペーサ16(外面16a)との隙間32全体に塗布液を十分に充填させることができる。塗布体14内部において塗布液の万遍のない充填により、気泡残りによる塗布体14の外観を損ねることがなく、外観品質を向上させた吐出を可能にできる。
【0048】
特に、塗布体14が透明又は半透明である場合には、塗布体14内の塗布液の流動状態は塗布体14を通して良く見え、塗布液が化粧料である化粧品とした場合は使用時に使用者が肌に接しさせる際に特に目にするところである。塗布体14内に万遍なく塗布液が充填されていることが確認できれば、途切れることなく化粧料が吐出されることが予想されるので、使用者は安心して化粧することができ、その安心感から使い心地も向上する。
【0049】
また、スペーサ16には、前記隙間32を収容部側と繋ぐ連通孔16b(先方側の連通孔16b1,後方側の連通孔16b2、壁状段差16c)や連通溝40(
図19参照)を形成している。
【0050】
スペーサ16の後端に突起42、塗布体14の後端に溝を形成し、突起と溝とが嵌合して回り止めとすることができる。なお、その他、スペーサに溝を形成し、塗布体に突起を形成しても良い。また、突起と溝は適宜の凹凸形状とすることができる。
【0051】
ここで、塗布体14は、
図11〜
図14に示す各実施例である、塗布体A〜塗布体Dと、スペーサ16は、
図15〜
図21に示す各実施例である、スペーサa〜スペーサgとを組み合わせて、下記の表1のように
図1〜
図10の各実施形態1〜10に使用している。
【0053】
次に、塗布体14の各実施例の塗布体A〜Dについて説明する。
各塗布体A〜Dは下記の表2の構成を有している。
【0055】
塗布体A〜塗布体Dはいずれも先端が吐出口14b以外閉じ、後端が筒状に開口した概略袋状を呈している。
【0056】
塗布体Aにおいては、
図11に示すように、塗布面14cが、やや弧を描いて膨出する面であって軸心に対して傾く概略斜面に形成され、その塗布面14cの先端に吐出口14bが貫通開口している。塗布体内面14aであって塗布面14cの内側は平坦に形成され、吐出口14b下方の内部先端面14a1が弧を描く所定の曲率に形成されている。
【0057】
塗布体Bは、
図12に示すように、塗布面14cが塗布体Aと同様に膨出する斜面であり、塗布面14cの先端に吐出口14bが貫通開口している。
【0058】
また、塗布体内面14aであって塗布面14cの内側は、吐出口14b周辺は、厚く形成されて段差34がある。また、吐出口14b下方の内部先端面14a1が角度をもった角部に形成されている。その他は塗布体Bと同様であり同様部分に同一符号を付している。
【0059】
塗布体Cにおいては、
図13に示すように、塗布面14cが、やや弧を描いて膨出する面であって軸心に対して傾く概略斜面に形成され、その塗布面14cの先端に吐出口14bが貫通開口している。塗布体内面14aであって塗布面14cの内側は平坦に形成される。内面14aは、吐出口14b付近の内部先端面14a1が鋭角に形成され、かつ、吐出口14b内面から後方が内面14aに直線的に連続する部分を有している。そして、塗布体Cの筒状になった後部後端には、スペーサ16(
図20のスペーサf)を装着した際に(突起42を嵌め込む)回り止め用の溝38が斜面側に一箇所形成されている。その他は塗布体Bと同様であり同様部分に同一符号を付している。
【0060】
塗布体Dにおいては、
図14に示すように、内面14a、塗布面14c、吐出口14b等は前記塗布体Cと同様に形成されている。そして、塗布体Dの筒状になった後部後端には、スペーサ16(
図21のスペーサgの突起42)を装着した際に(突起42を嵌め込む)回り止め用の溝38が両側部に二箇所形成されている。その他は塗布体Cと同様であり同様部分に同一符号を付している。
【0061】
次に、スペーサ16の各実施例のスペーサa〜gについて説明する。
各塗布体a〜gは下記の表3の構成を有している。
【0063】
スペーサaは、
図15に示すように、外面16aの先端側が斜面に形成され、斜面には、一部突出した段差36を形成している。そして、斜面の後側に連通孔16b1が開口している。スペーサaにおいて、筒状の後部側では、連通孔16b2は軸中央に太く形成され、先方に向かうと途中から壁状段差16cを経由して連通孔16b1が細くなり斜面にその細い連通孔16b1が開口する構成である。後端部には円環状のフランジが形成されている。
【0064】
スペーサbは、
図16に示すように、スペーサaと同様に、外面16aの先端側が斜面に形成され、斜面には、一部突出した段差36を形成している。
【0065】
そして、スペーサaと異なり、斜面ではなく側面部の中央付近に連通孔16b1が開口している。スペーサbにおいて、後部側では、連通孔16b2は軸中央に太く形成され、先方に向かうと途中から壁状段差16cから径方向外側に向けて細い連通孔16b1が開口する構成である。その他の構成は、スペーサaと同様である。
【0066】
スペーサcは、
図17に示すように、外面16aの先端側が斜面に形成され、斜面は段差のない平坦面に形成している。そして、斜面の後側に連通孔16b1が開口している。スペーサaにおいて、後部側では、連通孔16b2は軸中央に太く形成され、先方に向かうと途中から壁状段差16cを経由して連通孔16b1が細くなり斜面にその細い連通孔16b1が開口する構成である。その他の構成は、スペーサaと同様である。
【0067】
スペーサdは、
図18に示すように、スペーサbと同様に、外面16aの先端側が斜面に形成されているが、斜面は段差のない平坦面に形成している。その他は、
図16に示すスペーサbと同様に斜面ではなく側面部の中央付近に連通孔16b1が開口し、後部の連通孔16b2に壁状段差16cを介して連続している。その他の構成はスペーサbと同様である。
【0068】
スペーサeは、
図19に示すように、スペーサdと同じく、外面16aの先端側が斜面に形成され、斜面は段差のない平坦面に形成している。そして、上記スペーサdその他と異なり連通孔が形成されておらず、両側部に塗布液流通用の連通溝40が形成されている。連通溝40は後部側がフランジの切り欠きから前部側まで繋がり、平坦な外面16aに塗布液を誘導できるようにしている。その他の構成は、スペーサdと同様である。
【0069】
スペーサfは、
図20に示すように、スペーサbと同様に、外面16aの先端側が斜面に形成され、斜面には、一部突出した段差36を形成している。そして、斜面ではなく側面部の中央付近に連通孔16b1が開口しているが、連通孔の開口形状が矩形を呈している。
【0070】
そして、後端部のフランジに回り止め用の突起42が斜面側に一箇所形成されている。
その他は、スペーサbと同様であるので同一符号を付している。
【0071】
スペーサgは、
図21に示すように、上記スペーサfと同様に、外面16aに段差36を形成し、側面部に矩形状の開口部の連通孔16b1を形成有してしている。
【0072】
そして、後端部のフランジに回り止め用の突起42が二箇所、連通孔16b1の開口位置に対応して形成されている。その他は、上記スペーサfと同様であるので同一符号を付している。
【0073】
実施形態1の塗布具では、
図1に示すように、塗布体14として塗布体A(
図11参照)にスペーサ16としてスペーサa(
図15参照)を装着した構成である。この塗布具は、液加圧機構12によって塗布液を送り出すと、外面16aの斜面側の連通孔16b1を通って塗布液が隙間32に入る。上側から塗布液が隙間32に入るので、塗布液は
図1(e)に破線で示すように、上側から段差36に向かって入る。スペーサ16の段差36で隙間32が狭く一部近接させているので、液の流動抵抗により吐出遅れが発生、塗布体14内部のスペーサ16との隙間32全体に塗布液を十分に充填させることができる。塗布体14内部への塗布液の万遍のない充填により、気泡残りによる塗布体14の外観を損ねることがなく、外観品質を向上させた吐出を可能にできる。
【0074】
実施形態2の塗布具では、
図2に示すように、塗布体14として塗布体A(
図11参照)にスペーサ16としてスペーサb(
図16参照)を装着した構成である。この塗布具は、液加圧機構12によって塗布液を送り出すと、外面16aの両側面側の連通孔16b1を通って塗布液が両側部側の隙間32に入る。両側面側から塗布液が隙間32に入るので、塗布液は
図2(e)に破線で示すように、上下に分かれて入りやすい。
【0075】
スペーサ16の段差36で隙間32が狭く一部近接させているので、液の流動抵抗により吐出遅れが発生し、塗布体14内部のスペーサ16との隙間32全体に塗布液を十分に充填させることができる。その他は実施形態1の塗布具と同様である。
【0076】
実施形態3の塗布具では、
図3に示すように、塗布体14として塗布体B(
図12参照)にスペーサ16としてスペーサc(
図17参照)を装着した構成である。この塗布具は、液加圧機構12によって塗布液を送り出すと、外面16aの斜面側の連通孔16b1を通って塗布液が隙間32に入る。上側から塗布液が隙間32に入るので、塗布液は
図3(e)に破線で示すように、段際34に向かって入る。
【0077】
塗布体14の内面14aの段差34で隙間32が狭く一部近接させているので、液の流動抵抗により吐出遅れが発生、塗布体14内部のスペーサ16との隙間32全体に塗布液を十分に充填させることができる。その他は実施形態1の塗布具と同様である。
【0078】
実施形態4の塗布具では、
図4に示すように、塗布体14として塗布体B(
図12参照)にスペーサ16としてスペーサd(
図18参照)を装着した構成である。この塗布具は、液加圧機構12によって塗布液を送り出すと、外面16aの側面側の連通孔16b1を通って塗布液が隙間32に入る。両側面側から塗布液が隙間32に入るので、塗布液は
図4(e)に破線で示すように、上下に分かれて入りやすい。
【0079】
塗布体14の内面14aの段差34で隙間32が狭く一部近接させているので、液の流動抵抗により吐出遅れが発生、塗布体14内部のスペーサ16との隙間32全体に塗布液を十分に充填させることができる。その他は実施形態3の塗布具と同様である。
【0080】
実施形態5の塗布具では、
図5に示すように、塗布体14として塗布体A(
図11参照)にスペーサ16としてスペーサc(
図17参照)を装着した構成である。この塗布具は、液加圧機構12によって塗布液を送り出すと、外面16aの側面側の連通孔16b1を通って塗布液が隙間32に入る。上側から塗布液が隙間32に入るので、塗布液は
図5(e)に破線で示すように入り、塗布液は、塗布体14内部のスペーサ16との隙間32に塗布液を充填できる。
【0081】
実施形態6の塗布具では、
図6に示すように、塗布体14として塗布体A(
図11参照)にスペーサ16としてスペーサd(
図18参照)を装着した構成である。この塗布具は、液加圧機構12によって塗布液を送り出すと、外面16aの側面側の連通孔16b1を通って塗布液が隙間32に入る。両側面側から塗布液が隙間32に入るので、塗布液は
図6(e)に破線で示すように、上下に分かれて入る。塗布液は、塗布体14内部のスペーサ16との隙間32全体に塗布液を充填でき、外観も良く見える。その他は、実施形態5の塗布具と同様である。
【0082】
実施形態7の塗布具では、
図7に示すように、塗布体14として塗布体A(
図11参照)にスペーサ16としてスペーサe(
図19参照)を装着した構成である。この塗布具は、液加圧機構12によって塗布液を送り出すと、塗布体14の内面14aとスペーサ16の側面側の連通溝40との間を通って
図7の(e)に破線で示すように、塗布液が先方及び上下に回り込んで隙間32に入る。塗布液は、スペーサ16の左右両側部から塗布体14内部とスペーサ16との隙間32全体に塗布液を充填でき、外観も良く見える。
【0083】
実施形態8の塗布具では、
図8に示すように、塗布体14として塗布体B(
図12参照)にスペーサ16としてスペーサe(
図19参照)を装着した構成である。この塗布具は、液加圧機構12によって塗布液を送り出すと、塗布体14の内面14aとスペーサ16の側面側の連通溝40との間を通って塗布液が隙間32に入る。塗布液は
図8(e)に破線で示すように隙間32を通る。
【0084】
塗布体14の内面14aの段差34で隙間32が狭く一部近接させているので、液の流動抵抗により吐出遅れが発生、塗布体14内部のスペーサ16との隙間32全体に塗布液を十分に充填させることができる。その他は実施形態3の塗布具と同様である。
【0085】
実施形態9の塗布具では、
図9に示すように、塗布体14として塗布体C(
図13参照)にスペーサ16としてスペーサf(
図20参照)を装着した構成である。この塗布具は、液加圧機構12によって塗布液を送り出すと、塗布体14の内面14aとスペーサ16の側面側の連通溝40との間を通って塗布液が隙間32に入る。塗布液は
図9(e)に破線で示すように隙間32を通る。
【0086】
スペーサ16の段差36で隙間32が狭く一部近接させているので、液の流動抵抗により吐出遅れが発生、塗布体14内部のスペーサ16との隙間32全体に塗布液を十分に充填させることができる。
【0087】
そして、スペーサfでは、突起42に塗布体Cの周り止め溝38に嵌入して使用時に塗布体が回ることなく安定する。
【0088】
実施形態10の塗布具では、
図10に示すように、塗布体14として塗布体D(
図14参照)にスペーサ16としてスペーサg(
図21参照)を装着した構成である。塗布液は
図10(e)に破線で示すように隙間32を通る。この塗布具においては、スペーサgでは、二つの突起42が塗布体Cの二箇所の周り止め溝38に嵌入して、使用時に塗布体Dが回ることなく、実施形態9よりも更に安定する。その他は、実施形態9と同様である。
【0089】
以上の実施形態1〜10の塗布具によれば、塗布体14内部にスペーサ16を設けたので、塗布体14内部の空間体積を削減して残留液の抑制を図れる等の優れた効果を奏し得る。
【0090】
また、塗布体14の吐出口14bとの位置関係によっては、塗布体14とスペーサ16の隙間32に液未充填部分が存在して気泡が発生し、外観不良になる可能性がある。そこで、実施形態1〜4、実施形態9〜10の塗布具によれば吐出口14b付近の隙間32について、当該隙間32に面するスペーサ16外面又は塗布体14内面のいずれかに段差(34又は36)を形成して、他の箇所よりも狭い隙間を形成する(近接させる)ことによって、狭い隙間に生じる塗布液の流動抵抗によって吐出遅れを生じさせ、塗布体内部に塗布液に気泡を生じさることなく十分又は完全に行き渡らせることができるようにしている。
【0091】
したがって、塗布体14内部に塗布液を充填させることで、気泡残りによる塗布体の外観の損ねることなく液吐出を可能にする。
【0092】
この場合、塗布体14が内部の塗布液を視認可能に透明又は半透明であるものにして、塗布体14内部を外観から十分に確認することができる場合が更に好ましい。
【0093】
なお、本発明においては、前記実施形態の構成に限定されず、種々に変形実施できる。例えば、塗布体の形状を斜め以外の先細形状にしたり、吐出口の数を複数に形成したり、液加圧機構をノック式にしたりする等、本発明の範囲内で種々に変形実施可能である。