特許第6670550号(P6670550)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社DNPファインケミカルの特許一覧

特許6670550ハードコート層用組成物、ハードコート層積層体の製造方法およびハードコート層積層体
<>
  • 特許6670550-ハードコート層用組成物、ハードコート層積層体の製造方法およびハードコート層積層体 図000004
  • 特許6670550-ハードコート層用組成物、ハードコート層積層体の製造方法およびハードコート層積層体 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670550
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】ハードコート層用組成物、ハードコート層積層体の製造方法およびハードコート層積層体
(51)【国際特許分類】
   G02B 1/14 20150101AFI20200316BHJP
   B05D 5/00 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   G02B1/14
   B05D5/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2015-74105(P2015-74105)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-194575(P2016-194575A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2018年3月29日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183923
【氏名又は名称】株式会社DNPファインケミカル
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 智洋
(72)【発明者】
【氏名】森兼 洋幸
【審査官】 後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/161582(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/027041(WO,A1)
【文献】 特開2013−159055(JP,A)
【文献】 特開2010−082864(JP,A)
【文献】 特開2012−022190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/10−1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性光硬化性樹脂、フッ素系界面活性剤、光重合開始剤および有機溶剤を含み、液状充填剤が塗布される面に形成されるハードコート層の形成に用いられるハードコート層用組成物であって、
前記フッ素系界面活性剤は、トルエンに不溶、かつ、水に可溶であり、0.1質量%水溶液の表面張力が30mN/m以下であり、
前記疎水性光硬化性樹脂が、酸性官能基を有さない疎水性樹脂および酸性官能基を有する酸変性樹脂の両者を含有し、前記酸変性樹脂が一分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有しており、
光硬化後の表面の水の接触角が70°以下であることを特徴とするハードコート層用組成物。
【請求項2】
前記液状充填剤が、ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびポリウレタンの少なくとも1つを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーを有するものであることを特徴とする請求項に記載のハードコート層用組成物。
【請求項3】
前記フッ素系界面活性剤が、パーフルオロカルボン酸塩であることを特徴とする請求項1に記載のハードコート層用組成物。
【請求項4】
表面処理シリカ微粒子を含有することを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかの請求項に記載のハードコート層用組成物。
【請求項5】
非光硬化性樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項までのいずれかの請求項に記載のハードコート層用組成物。
【請求項6】
基材および前記基材上に形成された液状充填剤が塗布される面に形成されるハードコート層を有するハードコート層積層体の製造方法であって、
前記基材上に、請求項1から請求項までのいずれかの請求項に記載のハードコート層用組成物を塗布し、前記ハードコート層用組成物の塗膜を形成する塗布工程と、
前記塗膜を露光することにより硬化し、ハードコート層を形成する露光工程と、
を有することを特徴とするハードコート層積層体の製造方法。
【請求項7】
基材および前記基材上に形成された液状充填剤が塗布される面に形成され、請求項1から請求項までのいずれかの請求項に記載のハードコート層用組成物の硬化物であるハードコート層を有するハードコート層積層体であって、
前記ハードコート層表面の水の接触角が70°以下であり、鉛筆硬度がH以上であることを特徴とするハードコート層積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状充填剤の塗布時に気泡の発生が少なく、かつ、硬度に優れたハードコート層の形成が可能なハードコート層用組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等のタッチパネル付きディスプレイ装置として、タッチセンサーモジュールをLCDモジュールに貼合し、アクティブエリア部位にエアギャップ構造を有するものが用いられている。
また、エアギャップ構造に替えて液状充填剤を塗布し、その後硬化させることにより形成された充填剤層を有するものが用いられている(例えば、特許文献1〜4等)。このような充填剤層を有することにより、エアギャップ構造と比較してディスプレイの視認性および耐衝撃性に優れたものとすることができるとの利点がある。
【0003】
液状充填剤が塗布されて、充填剤層が積層されるディスプレイモジュール側の部材としては、様々な光学部材がある。例えば、ディスプレイが液晶ディスプレイである場合には、上記光学部材として偏光板が該当することがある。
ここで、偏光板は、偏光子の両面に偏光板保護フィルムが配置された構成を有し、偏光板保護フィルムとしては、TAC(トリアセチルセルロース)フィルムなどの透明基材上にハードコート層が積層されたものが一般的に用いられている。このハードコート層が形成される理由は、例えば、偏光板保護フィルムの偏光子への貼り合わせ工程時の搬送の際に偏光板保護フィルム表面の擦れによる傷付きを防止するためである。
したがって、上記液状充填剤が塗布される光学部材が上記偏光板である場合には、上記偏光版の最表層に配置される上記ハードコート層層上に液状充填剤が塗布されて、充填剤層が形成されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5470735号公報
【特許文献2】特許第5491525号公報
【特許文献3】特開2012−185313号公報
【特許文献4】国際公開第10/027041号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
偏光板保護フィルムに限らず、ディスプレイ装置等の光学装置を構成する光学部材は、傷および損傷の防止を目的としてハードコート層が最表面に形成されたものが多く存在する。
そしてこのハードコート層が形成された光学部材と、他の部材との接着を目的としてハードコート層上に充填剤層が形成されることがある。
しかしながら、ハードコート層上に液状充填剤を塗布した際に気泡が発生し、その気泡が残存して光学特性が低下するといった不具合がある。
上記光学部材の具体的な用途としては、上記偏光板保護フィルムに限らず、例えば、タッチパネル、保護パネル、反射防止パネル、遮光パネル、視野角制御パネル等の用途が挙げられる。このような用途の中で、例えばタッチパネル用途では、上記液状充填剤の塗布方法として、ダイコート法によりプラスチックフィルム基材上にハードコート層を形成し、その上にディスペンサー法等により所定量滴下して液状充填剤を塗布する方法や、ダイコート法等によりプラスチックフィルム基材上にハードコート層を形成したタッチパネル側部材とプラスチックフィルム基材上にダイコート法等によりハードコート層を形成した液晶表示パネル側部材とを、0.05mm〜1mmの間隙を設けてそれぞれのハードコート層側を対面させ、その間隙に液状充填剤を流し込む方法が用いられる。
特に後者の液状充填剤の塗布方法の場合では流し込むときの抵抗が大きいため気泡が発生しやすい。また、タッチパネル用途などに用いられる液状充填剤は、硬化後に弾性を有するものとするために、ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびポリウレタンの少なくとも1つを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーを有するものが好ましく使用され、これらはいずれも粘調体であるため、塗布時に気泡が発生しやすい。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、液状充填剤の塗布時に気泡の発生が少なく、かつ、硬度に優れたハードコート層の形成が可能なハードコート層用組成物を提供することを主目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく研究を重ねた結果、ハードコート層の親水性を向上し、ハードコート層表面の水の接触角を70°以下とすることで液状充填剤の塗布時の気泡の発生が低減することを見出した。
ここで、ハードコート層の親水性を向上させる方法としては、ポリエチレングリコール鎖等の親水性基を有する親水性光硬化性樹脂を含有させる方法が一般的に行われるが、このような樹脂は含有量を多くしなければハードコート層表面の親水性を向上しにくく、反面、含有量が多くなるとハードコート層について十分な耐擦傷性が得られなかったり、表面硬度を上げることが難しいといった問題があることが判明した。
このような問題に対して、本発明者らは疎水性光硬化性樹脂と、トルエンに不溶、かつ、水に可溶であり、0.1質量%水溶液の表面張力が30mN/m以下のフッ素系界面活性剤とを組み合せてハードコート層用組成物とすることで、表面の親水性が向上し、上記気泡の発生を低減することができ、さらに硬度に優れたハードコート層を形成可能となることを見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、疎水性光硬化性樹脂、フッ素系界面活性剤、光重合開始剤および有機溶剤を含み、液状充填剤が塗布される面に形成されるハードコート層の形成に用いられるハードコート層用組成物であって、上記フッ素系界面活性剤は、トルエンに不溶、かつ、水に可溶であり、0.1質量%水溶液の表面張力が30mN/m以下であることを特徴とするハードコート層用組成物を提供する。
【0009】
本発明によれば、液状充填剤が塗布される面に形成されるハードコート層の形成に用いられるハードコート層用組成物として、上記疎水性光硬化性樹脂を含み、かつ、上記疎水性光硬化性樹脂と共に含まれる上記フッ素系界面活性剤が、トルエンに不溶、かつ、水に可溶であり、0.1質量%水溶液の表面張力が30mN/m以下であるフッ素系界面活性剤(以下、特定のフッ素系界面活性剤と称する場合がある。)であることにより、硬度および液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なものとすることができる。
したがって、上記ハードコート層用組成物を、液状充填剤の塗布時に気泡の発生が少なく、かつ、硬度に優れたハードコート層の形成が可能なものとすることができる。
【0010】
本発明においては、光硬化後の表面の水の接触角が70°以下であることが好ましい。液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるからである。
【0011】
本発明においては、上記液状充填剤が、ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびポリウレタンの少なくとも1つを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーを有するものであることが好ましい。液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるとの本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
【0012】
本発明においては、上記フッ素系界面活性剤が、パーフルオロカルボン酸塩およびパーフルオロエチレンオキサイドの少なくともいずれか一方であることが好ましい。液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物を形成容易とすることができるからである。
【0013】
本発明においては、上記疎水性光硬化性樹脂が、酸性官能基を有さない疎水性光硬化樹脂(以下、疎水性樹脂と称する場合がある。)および酸性官能基を有する疎水性光硬化樹脂(以下、酸変性樹脂と称する場合がある。)の両者を含有することが好ましい。上記疎水性樹脂を含むことにより、硬度に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができる。また、上記酸変性樹脂は親水性が強すぎないので上記フッ素系界面活性剤のブリードアウトを妨げす、本発明のハードコート層用組成物を用いて形成されるハードコート層表面の水の接触角を小さいものとすることができる。このようなことから、上記疎水性樹脂および上記酸変性樹脂の両者を含有するものであることにより、硬度および液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成容易なハードコート層用組成物とすることができるからである。
【0014】
本発明においては、表面処理シリカ微粒子を含有することが好ましい。表面処理シリカ微粒子を用いることにより、未処理シリカ微粒子と比較し、上記疎水性光硬化性樹脂等の樹脂との相溶性が向上し、上記ハードコート層用組成物を、透明性、表面平滑性等の面質に優れたハードコート層を形成可能なものとすることができる。特に表面処理シリカ微粒子として、不飽和二重結合基を含有する表面処理剤で表面処理した表面処理シリカ微粒子を用いることで、上記ハードコート層用組成物を、さらに硬度に優れたハードコート層を形成可能なものとすることができるからである。
【0015】
本発明においては、非光硬化性樹脂を含有することが好ましい。ハードコート層用組成物の硬化収縮を少なくすることができ、上記ハードコート層用組成物を、硬化後のカールが少なく、基材に対する密着性等に優れたハードコート層を形成可能なものとすることができるからである。
【0016】
本発明は、基材および上記基材上に形成された液状充填剤が塗布される面に形成されるハードコート層を有するハードコート層積層体の製造方法であって、上記基材上に、上述の本発明のハードコート層用組成物を塗布し、上記ハードコート層用組成物の塗膜を形成する塗布工程と、上記塗膜を露光することにより硬化し、ハードコート層を形成する露光工程と、を有することを特徴とするハードコート層積層体の製造方法を提供する。
【0017】
本発明によれば、上記ハードコート層用組成物として上述の本発明のハードコート層用組成物を用いることにより、液状充填剤の塗布時に気泡の発生が少なく、かつ、硬度に優れたハードコート層を有するハードコート層積層体を容易に形成することができる。
【0018】
本発明は、基材および上記基材上に形成された液状充填剤が塗布される面に形成されるハードコート層を有するハードコート層積層体であって、上記ハードコート層表面の水の接触角が70°以下であり、鉛筆硬度がH以上であることを特徴とするハードコート層積層体を提供する。
【0019】
本発明によれば、上記ハードコート層表面の水の接触角が70°以下であり、鉛筆硬度がH以上であることにより、液状充填剤の塗布時に気泡の発生が少なく、かつ、硬度に優れたものとすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、液状充填剤の塗布時に気泡の発生が少なく、かつ、硬度に優れたハードコート層の形成が可能なハードコート層用組成物を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明のハードコート層積層体を用いた光学装置の一例を示す概略断面図である。
図2】本発明のハードコート層積層体の製造方法の一例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、ハードコート層用組成物、それ用いたハードコート層積層体の製造方法およびハードコート層積層体に関するものである。
以下、本発明のハードコート層用組成物、ハードコート層積層体の製造方法およびハードコート層積層体について説明する。
【0023】
A.ハードコート層用組成物
まず、本発明のハードコート層用組成物について説明する。
本発明のハードコート層用組成物は、疎水性光硬化性樹脂、フッ素系界面活性剤、光重合開始剤および有機溶剤を含み、液状充填剤が塗布される面に形成されるハードコート層の形成に用いられるハードコート層用組成物であって、上記フッ素系界面活性剤は、トルエンに不溶、かつ、水に可溶であり、0.1質量%水溶液の表面張力が30mN/m以下であることを特徴とするものである。
【0024】
本発明によれば、液状充填剤が塗布される面に形成されるハードコート層の形成に用いられるハードコート層用組成物として、上記疎水性光硬化性樹脂を含み、かつ、上記疎水性光硬化性樹脂と共に含まれる上記フッ素系界面活性剤が上記特定のフッ素系界面活性剤であることにより、硬度および液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なものとすることができる。
したがって、上記ハードコート層用組成物を、液状充填剤の塗布時に気泡の発生が少なく、かつ、硬度に優れたハードコート層の形成が可能なものとすることができる。
【0025】
ここで、ディスプレイ装置の光学装置に用いられる光学部材同士の接着には、イソプレンゴム系粘着材料、ウレタン系粘着材料、アクリル系粘着材料等を主成分として含む液状充填剤が一般的に用いられる。
このような液状充填剤は、親水性の低い表面が形成されたハードコート層上に塗布された場合には、ハードコート層表面上に十分に濡れ広がることができず、気泡が発生しやすいことが見出された。
このようなことから、本発明のハードコート層用組成物を用いて形成されたハードコート層に対して上記液状充填剤を塗布した際に気泡の発生が減少する理由は定かではないが、本発明のハードコート層用組成物は表面が親水性のハードコート層を形成することができるため、液状充填剤をハードコート層上に塗布した際に液状充填剤のハードコート層表面での濡れ広がり易さが向上し、気泡の発生が減少すると考えられる。
【0026】
このような新たに得られた知見に基づいて、上記液状充填剤の塗布時に気泡の発生の少ないハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物の設計方針としては、表面が親水性のハードコート層を形成するとの観点から、ハードコート組成物として、例えばポリアルキレングリコール鎖を有するアクリル系モノマーおよびオリゴマー等の親水性光硬化性樹脂を主成分として含有するものとする方針が考えられる。
しかしながら、このような設計方針により得られたハードコート組成物を用いて形成されたハードコート層は、上述のように、硬度を十分に向上させることが難しい傾向がある。
これに対して、本発明のハードコート層用組成物は、疎水性光硬化性樹脂を含むことにより、硬度に優れたハードコート層を形成可能とすることができる。
また、上記疎水性光硬化性樹脂と共に含まれる上記フッ素系界面活性剤は、0.1質量%水溶液の表面張力が30mN/m以下であるフッ素系界面活性剤であり、フッ素含有量が多く、表面自由エネルギーが低いものである。このため、上記フッ素系界面活性剤は、溶剤乾燥中などに疎水性光硬化性樹脂に対して効率的にブリードアウトし、ハードコート層表面に配置されるのである。
さらに、上記フッ素系界面活性剤の、トルエンに不溶、かつ、水に可溶な性質により、上記フッ素系界面活性剤は、上記疎水性光硬化性樹脂と混ざり難く上記疎水性光硬化性樹脂に対して効率的にブリードアウトすることが可能となる結果、本発明のハードコート層用組成物をハードコート層に親水性表面を形成可能なものとすることができる。
【0027】
したがって、上述のような疎水性光硬化性樹脂と共に含まれる上記フッ素系界面活性剤が上記特定のフッ素系界面活性剤であることにより、硬度および液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なものとすることができる。
【0028】
本発明のハードコート層用組成物は、疎水性光硬化性樹脂、フッ素系界面活性剤、光重合開始剤および有機溶剤を有するものである。
以下、本発明のハードコート層用組成物の各成分について詳細に説明する。
【0029】
1.フッ素系界面活性剤
本発明におけるフッ素系界面活性剤は、トルエンに不溶、かつ、水に可溶であり、0.1質量%水溶液の表面張力が30mN/m以下であるものである。
【0030】
ここで、トルエンに不溶であるとは、室温25℃、大気圧条件下で、トルエン100gに対して、フッ素系界面活性剤を濃度が1質量%となるように添加混合して1時間静置後、目視にて混合溶液を観察し、分離、沈殿または濁りが発生している状態となることを意味する。
また、水に可溶であるとは、室温25℃、大気圧条件下で、イオン交換水100gに対して、フッ素系界面活性剤を濃度が0.05質量%となるように添加混合して1時間静置後、目視にて混合溶液を観察し、分離、沈殿または濁りが全く発生していない状態となることを意味する。
【0031】
また、0.1質量%水溶液の表面張力の測定方法は、イオン交換水を用いて調製したフッ素系界面活性剤の0.1質量%水溶液を、測定温度25℃にてWilhelmy法により測定する方法を挙げることができる。また、測定装置としては、協和界面科学製CBVP−Zを用いることができる。
上記フッ素系界面活性剤の0.1質量%水溶液の表面張力は、30mN/m以下であれば特に限定されるものではないが、27mN/m以下であることが好ましく、なかでも、25mN/m以下であることが好ましい。上記フッ素系界面活性剤を、上記疎水性光硬化性樹脂に対して効率的にブリードアウト可能なものとすることができるからである。
また、上記0.1質量%水溶液の表面張力の下限については、低いほど好ましいが、通常は10.0mN/m以上である。
【0032】
上記フッ素系界面活性剤は、パーフルオロアルキル基を有し、上述の溶解性および表面張力の特性を示すことができるものであれば特に限定されるものではない。
上記フッ素系界面活性剤は、パーフルオロカルボン酸塩およびパーフルオロエチレンオキサイドの少なくともいずれか一方であることが好ましく、なかでも上記パーフルオロカルボン酸塩であることが好ましい。上記フッ素系界面活性剤が上記パーフルオロカルボン酸塩および上記パーフルオロエチレンオキサイドの少なくともいずれか一方であることにより、ハードコート層表面の水の接触角を小さいものにすることが容易であり、液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物を形成容易とすることができるからである。さらに、上記フッ素系界面活性剤が、上記パーフルオロカルボン酸塩であることによって、例えば、上記パーフルオロエチレンオキサイドと比較してより少ない添加量でハードコート層表面の水の接触角を小さいものにすることができ、また、例えば、上記パーフルオロエチレンオキサイドと同じ添加量において得られるハードコート層表面の水の接触角を小さいものとすることができることから、液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるからである。また、上記フッ素系界面活性剤が、上記パーフルオロカルボン酸塩であることにより、ハードコート層表面の水の接触角を特定の範囲とする場合の上記フッ素系界面活性剤の添加量を少なくすることができることによって、ハードコート層の硬度をより優れたものにすることができるからである。
【0033】
上記パーフルオロカルボン酸塩としては、パーフルオロアルキル基および塩形成されたカルボキシル基を有するものであればよく、例えば、C17CHCHSCHCOOLi、C17CHCHSCHCHCOOLi、C13CHCHSCHCHCOOLi、CCHCHSCHCHCOOLi、C17CHCHSCHCHCOOK、C17CHCHSCHCHCOONa、C17CHCHSONHCHCOOK、C13CHCHSONHCHCOOK、C13CHCHSON(C)CHCOOK、C13CHCHSON(COH)CHCOOK、C13CHCHSON(C)CHCOOK等を挙げることができる。
また、上記パーフルオロカルボン酸塩の市販品としては、例えば、DIC株式会社製メガファックF410等を挙げることができる。
上記パーフルオロエチレンオキサイドとしては、例えば、パーフルオロアルキル基およびエチレンオキサイド基を有するものであればよく、C1429CHCHO(CHCHO)H、C1225CHCHO(CHCHCHO)H、C1021CHCHO(CHCHO)H、C17CHCHO(CHCHO)H、C13CHCHO(CHCHO)H、CCHCHO(CHCHO)H、CCHCHO(CHCHO)H等を挙げることができる。なお、上記nは2〜10の整数である。
また、上記パーフルオロエチレンオキサイドの市販品としては、例えば、DIC株式会社製メガファックF443、F444等を挙げることができる。
【0034】
上記フッ素系界面活性剤の含有量としては、液状充填剤に対して所望の濡れ性を有するハードコート層を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、固形分中に0.001質量%〜15質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、0.01質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましく、特に0.1質量%〜7質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物を形成容易とすることができるからである。
なお、固形分中とは、有機溶剤以外の全ての成分中であることをいうものである。
【0035】
2.疎水性光硬化性樹脂
本発明における疎水性光硬化性樹脂は、樹脂の主成分として含まれるのが好ましいものである。
ここで、主成分として含まれるとは、本発明のハードコート層用組成物に含まれる全ての樹脂に対する割合が50質量%以上であることをいうものである。本発明においては、なかでも、上記疎水性光硬化性樹脂の上記全ての樹脂に対する割合が、50質量%〜100質量%の範囲内であることが好ましく、特に、55質量%〜95質量%の範囲内であることが好ましい。上記割合が上述の範囲内であることにより、上記疎水性光硬化性樹脂が上記フッ素系界面活性剤と共に用いられることで、ハードコート層用組成物を、硬度および液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なものとすることができるとの本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
【0036】
また、上記疎水性光硬化性樹脂は、疎水性を有するものである。
ここで、疎水性を有するとは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)/評価対象樹脂=50/50の混合物を用いて試験用樹脂組成物を作製し、これによって試験用ハードコート層を形成した際の表面の水の接触角が60°以上であることをいうものである。
また、試験用ハードコート層の形成方法としては、以下の組成比の試験用樹脂組成物を75μ厚PET(東レ製ルミラー75 未処理PET)上に塗布し、70℃1分間乾燥することで上記試験用樹脂組成物の塗膜を形成し、窒素雰囲気下で、波長365nmの光を300mJ/cmの積算露光量で上記塗膜を露光して膜厚5μm〜7μmの範囲内の試験用ハードコート層を形成する方法を用いることができる。
また、水の接触角は、純水の静的接触角をいうものであり、このような水の接触角の測定方法としては、試験用ハードコート層の表面に純水1.0μLの液滴を滴下し、着滴10秒後に、滴下した液滴の左右端点と頂点を結ぶ直線の、試験用ハードコート層表面に対する角度から接触角を算出するθ/2法に従って測定する方法を用いることができる。上記水の接触角の測定装置としては、例えば、協和界面科学社製 接触角計DM 701を用いることができる。
【0037】
(試験用樹脂組成物)
・アロニックスM−403(東亞合成社製DPHA):25質量部
・評価対象樹脂:25質量部
・開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASF社製イルガキュア184):4質量部
・有機溶剤(メチルイソブチルケトン):50質量部
【0038】
本発明における疎水性光硬化性樹脂は、重合性基を有するものである。
上記重合性基としては、露光により重合性基同士が重合可能なものであれば特に限定されるものではないが、エチレン性不飽和二重結合基が好ましい。上記エチレン性不飽和二重結合基としては、具体的には、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等を挙げることができ、好ましくはアクリロイル基、メタクリロイル基を挙げることができ、さらに好ましくはアクリロイル基を挙げることができる。硬度に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるからである。
【0039】
上記疎水性光硬化性樹脂は、具体的には、重合性基を1つ含む単官能の疎水性光硬化性樹脂、重合性基を2以上含む2官能以上の疎水性光硬化性樹脂を用いることができる。
本発明においては、なかでも、上記疎水性光硬化性樹脂が、2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーであることが好ましく、特に、3官能以上の(メタ)アクリレートであることが好ましい。なお、ここでの(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを指す。
【0040】
上記疎水性光硬化性樹脂は、酸性官能基を有さない疎水性樹脂、上記酸性官能基を有する酸変性樹脂等を含有することができる。
本発明においては、通常、上記疎水性光硬化性樹脂が、上記疎水性樹脂を少なくとも含有するものであるが、なかでも、上記疎水性樹脂および上記酸変性樹脂の両者を含有するものであることが好ましい。
上記疎水性樹脂を含むことにより、硬度に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができる。また、上記酸変性樹脂は親水性が強すぎないので上記フッ素系界面活性剤のブリードアウトを妨げす、本発明のハードコート層用組成物を用いて形成されるハードコート層表面の水の接触角を小さいものとすることができる。
このようなことから、上記疎水性樹脂および上記酸変性樹脂の両者を含有するものであることにより、硬度および液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成容易なハードコート層用組成物とすることができるからである。
【0041】
上記疎水性樹脂は、上記重合性基を含み上記酸性官能基を含まないものである。
上記疎水性樹脂は、モノマー、オリゴマーおよびポリマーのいずれも用いることができる。
上記単官能の疎水性樹脂としては、例えば、フェノキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート等の(メタ)アクリレートモノマーなどを用いることができる。
上記2官能以上の疎水性樹脂としては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートモノマー等のジ(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーなどを用いることができる。
また、上記疎水性樹脂のうち3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート等を好ましく用いることができる。
上記疎水性樹脂として上記樹脂を含むことにより、ハードコート層用組成物を、硬度に優れたハードコート層を形成可能なものとすることができるからである。
また、上記3官能以上の疎水性樹脂として上述の3官能以上の(メタ)アクリレートを含むことにより、硬化性に優れ、硬度や耐傷性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート組成物とすることができるからである。
なお、上記疎水性樹脂は、1種類のみ用いるものであっても良いが、2種類以上を混合して用いるものであっても良い。
上記単官能の各種モノマーの市販品としては、例えば、サートマー社製SR339等を挙げることができる。
上記2官能の各種モノマーの市販品としては、例えば、東亞合成(株)製アロニックスM−240等を挙げることができる。
上記3官能以上の各種モノマーの市販品としては、例えば、東亞合成(株)製のアロニックスM−305、アロニックスM−306、アロニックスM−309、アロニックスM−403;新中村化学工業(株)製 NKエステルATM−4E等を挙げることができる。
【0042】
上記酸変性樹脂としては、上記重合性基と共に酸性官能基を有するものであれば特に限定されるものではなく、モノマー、オリゴマーおよびポリマーのいずれも用いることができ、例えば、多塩基酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の上記酸性官能基と上記重合性基として複数の(メタ)アクリロイル基とを有する酸性官能基含有多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。
なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基またはメタクリロイル基を示すものである。
【0043】
上記酸性官能基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。本発明においては、なかでも、上記酸性官能基がカルボキシル基であることが好ましい。
【0044】
上記酸性官能基含有多官能(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル基は、上記酸変性樹脂と共に含まれる上記疎水性樹脂等との親和性に寄与する部位である。
本発明においては、上記酸性官能基含有多官能(メタ)アクリレートが、一分子中に3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有していることが好ましい。上記酸変性樹脂と共に含まれる上記疎水性樹脂等との親和性に優れたものとすることができるからである。
【0045】
このような酸性官能基含有多官能(メタ)アクリレートとしては、(1)水酸基含有多官能(メタ)アクリレートを二塩基酸無水物で変性することによりカルボキシル基を導入した水酸基含有多官能(メタ)アクリレートの有機酸付加化合物、(2)芳香族多官能(メタ)アクリレートを濃硫酸や発煙硫酸で変性することによりスルホン酸基を導入した多官能(メタ)アクリレート等を用いることができる。
【0046】
上記水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば1つ以上の水酸基と3つ以上の(メタ)アクリロイル基とを有する化合物が挙げられる。上記化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールのトリ、テトラまたはペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0047】
上記二塩基酸無水物としては、例えばコハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチル−テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチル−ヘキサヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、およびマレイン酸無水物等が挙げられる。
【0048】
上記酸性官能基含有多官能(メタ)アクリレートの市販品としては、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートの二塩基酸無水物付加物を主成分とする東亞合成(株)製アロニックスM−510、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートの二塩基酸無水物付加物を主成分とする、東亞合成(株)製アロニックスM−520D等を挙げることができる。
【0049】
上記酸変性樹脂の分子量としては、通常、400以上、3,000未満とすることができる。
【0050】
上記酸変性樹脂の含有量は、硬度および液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、例えば、固形分中に0.1質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0.3質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましく、特に、0.5質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、液状充填剤に対する濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物を形成容易とすることができるからである。
【0051】
上記疎水性光硬化性樹脂の含有量は、所望の硬度のハードコート層を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、固形分中に40質量%〜95質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも、45質量%〜93質量%の範囲内であることが好ましく、特に50質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、硬度に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるからである。また、上記疎水性光硬化性樹脂と上記フッ素系界面活性剤とを組合せた際に、上記フッ素系界面活性剤のハードコート層表面へのブリードアウトを促し、より表面の水の接触角が小さく、液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるからである。
【0052】
3.光重合開始剤
本発明における光重合開始剤は、紫外線の照射を受けた際に、上記疎水性光硬化性樹脂同士を重合可能なものである。
【0053】
このような光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4´−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントレン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メチルフェニル)イミダゾール2量体、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−シアノスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(p−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチルオキサジチアゾール化合物、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−p−ジメチルアミノフェニル−1,3−ブタジエニル)−S−トリアジン、2−トリクロロメチル−4−アミノ−6−p−メトキシスチリル−S−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン、2−(4−ブトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロロメチル−S−トリアジン等のハロメチル−S−トリアジン系化合物、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパノン―1−オン、1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,ベンジル、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−n−ブチキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオキサントン、2,4ジエチルチオキサントン、2,4ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(o−アセチルオキシム)、4−ベンゾイル−メチルジフェニルサルファイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキサイド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパノン、1,2−オクタジオン等を挙げることができる。
また、上記光重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−4′−ヒドロキシエトキシ−2−メチルプロピオフェノン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシアセトフェノン等も用いることができる。
本発明においては、なかでも、上記光重合開始剤として、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン―1−オン(BASF社製イルガキュア907)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(BASF社製イルガキュア184)、2−ヒドロキシアセトフェノン(BASF社製イルガキュア1173)、2,4,6−トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(BASF社製LUCIRIN TPO)、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン](ランベルティ社製エサキュアone)を好ましく用いることができる。黄変の少ないハードコート層を得ることができるからである。
【0054】
上記光重合開始剤の含有量としては、所望のハードコート層を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、固形分中に0.1質量%〜20質量%の範囲内とすることができ、なかでも0.7質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましい。硬化性に優れたハードコート層用組成物とすることができるからである。
【0055】
4.有機溶剤
本発明における有機溶剤は、上記各成分とは反応せず、これらを溶解もしくは分散可能な有機溶剤であれば特に限定されるものではない。
【0056】
上記有機溶剤は、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコールエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;および、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等のエステル類;などが挙げられる。上記有機溶剤が上記溶剤を含むことにより、疎水性光硬化性樹脂等の樹脂を安定的に溶解することができるからである。
また、これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0057】
本発明に用いられる有機溶剤の上記ハードコート層用組成物中の含有量としては、20質量%〜95質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも50質量%〜80質量%の範囲内であることが好ましい。このような含有量であることにより、上記ハードコート層用組成物の粘度を塗布に適した粘度とすることができるからである。
【0058】
5.その他の成分
本発明のハードコート層用組成物は、疎水性光硬化性樹脂、フッ素系界面活性剤、光重合開始剤および有機溶剤を少なくとも有するものであるが、必要に応じてその他の成分を有するものである。
上記その他の成分としては、シリカ微粒子、親水性樹脂および非光硬化性樹脂を好ましい例として挙げることができる。
【0059】
(1)シリカ微粒子
上記シリカ微粒子は、表面処理がされていない未処理シリカ微粒子および未処理シリカ微粒子表面に表面処理が行われた表面処理シリカ微粒子の少なくともひとつを含むものである。
本発明においては、上記ハードコート層用組成物がシリカ微粒子を含むことが好ましい。ハードコート層の硬度に優れたハードコート層用組成物とすることができるからである。
【0060】
上記シリカ微粒子は、上記未処理シリカ微粒子および上記表面処理シリカ微粒子のいずれも用いることができるが、なかでも本発明においては、上記表面処理シリカ微粒子であることが好ましい。
上記疎水性光硬化性樹脂および上記フッ素系界面活性剤と共に含まれる上記シリカ微粒子が上記表面処理シリカ微粒子であることにより、上記シリカ微粒子が上記未処理シリカ微粒子である場合と比較し、上記疎水性光硬化性樹脂等の樹脂との相溶性が向上し、透明性、表面平滑性等の面質に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるからである。
また、上記表面処理シリカ微粒子は、表面処理により疎水的な表面を有するものとなっているため、上記フッ素系界面活性剤のブリードアウトを妨げにくくなり、表面の水の接触角が小さく、親水性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート組成物とすることができるからである。
このようなことから、上記表面処理シリカ微粒子を上記疎水性光硬化性樹脂および上記フッ素系界面活性剤と共に用いることにより、表面の水の接触角が小さく、液状充填剤の濡れ性に優れるとの要求特性と、面質との両立が可能なハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるからである。
さらに、表面処理シリカ微粒子として、不飽和二重結合基を含有する表面処理剤で表面処理した表面処理シリカ微粒子を用いることで、さらに硬度に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層組成物とすることができるからである。
以上のことから、シリカ微粒子として上記表面処理シリカ微粒子を添加することにより、液状充填剤の濡れ性に優れ、透明性、表面平滑性等の面質に優れ、さらに硬度に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるのである。
【0061】
本発明において、上記表面処理とは、未処理シリカ微粒子表面に機能性官能基を結合させる処理をいうものである。
このような表面処理により上記未処理シリカ微粒子表面に結合される機能性官能基としては、シリカ微粒子に要求される機能等に応じて適宜選択することができるが、例えば、エポキシ基、メルカプト基、エチレン性不飽和二重結合基を好ましい例として挙げることができる。透明性、表面平滑性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるからである。なかでも、エチレン性不飽和二重結合基であることがさらに好ましく、特に、(メタ)アクリロイル基であることが特に好ましい。透明性、表面平滑性に優れるとともに表面の硬度に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるからである。
なお、エチレン性不飽和二重結合基については、上記「2.疎水性光硬化性樹脂」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0062】
上記表面処理方法としては、上記機能性官能基がエチレン性不飽和二重結合基である場合、エチレン性不飽和二重結合基を有する表面処理剤を上記未処理シリカ微粒子表面に安定的に結合させることができる方法であれば特に限定されるものではないが、エチレン性不飽和二重結合基を有するシランカップリング剤の加水分解物と、上記未処理シリカ微粒子と、を混合させることにより、上記加水分解物のシラノール基および上記未処理シリカ微粒子表面の水酸基を反応させる表面処理工程と、上記表面処理工程後に、形成された表面処理シリカ微粒子を湿式粉砕する分散工程と、を有する方法を好ましく用いることができる。上記表面処理シリカ微粒子として、このような表面処理方法により表面処理された表面処理シリカ微粒子を用いることにより、透明性、表面平滑性、硬度に優れたハードコート層を作製可能なハードコート組成物とすることができるからである。
ここで、上記表面処理シリカ微粒子が上記表面処理方法により表面処理された表面処理シリカ微粒子であることにより、透明性、表面平滑性、硬度に優れたハードコート層を形成可能なハードコート組成物とすることができる理由については明確ではないが、以下のように推察される。
すなわち、上記表面処理方法では、上記シランカップリング剤の有するアルコキシ基などの加水分解基を部分的に又は完全に加水分解して得られるシラノール基を上記未処理シリカ微粒子表面に結合させる処理が行われるため、得られる表面処理シリカ微粒子の表面は、シランカップリング剤が有する疎水性の官能基であるエチレン性不飽和二重結合基を有するものとなるため、上記表面処理シリカ微粒子の表面は疎水性となる。
一方、本発明に用いられる上記フッ素系界面活性剤は上述の水に可溶であるとの特性を有することからも明らかなように親水基を有している。例えば、上記フッ素系界面活性剤が上記パーフルオロカルボン酸塩および上記パーフルオロエチレンオキサイドである場合には、それぞれ塩形成されたカルボキシル基およびエチレンオキサイド基等の親水基を有している。このため、上記フッ素系界面活性剤は、疎水性の表面を有する上記表面処理シリカ微粒子への吸着が抑制され、本発明のハードコート層用組成物中で上記表面処理シリカ微粒子および上記フッ素系界面活性剤がそれぞれ安定して存在することが可能になる。
このようなことから、透明性、表面平滑性、硬度に優れたハードコート層を形成可能なハードコート組成物とすることができるのである。
【0063】
上記未処理シリカ微粒子は、ハードコート層の形成に一般的に用いられるものを使用することができる。
【0064】
上記未処理シリカ微粒子の市販品としては、例えば、東ソー・シリカ(株)製L−300(平均一次粒子径16nm)、東ソー・シリカ(株)製E−200A(平均一次粒子径20nm、比表面積:200m/g)等を用いることができる。
【0065】
上記エチレン性不飽和二重結合基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ系シランカップリング剤を好ましく用いることができる。
上記シランカップリング剤の市販品としては、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(「KBM−402、信越化学社製」分子量:220.3)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(「KBM−403、信越化学社製」、分子量:236.3)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(「KBM−903、信越化学社製」分子量:179.3)等がある。また、上記エチレン性不飽和二重結合基を有するシランカップリング剤の市販品としては、信越化学社製KBM−503(3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、分子量:248.4)、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(「KBM−502、信越化学社製」、分子量:232.4)、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(「KBM−5103、信越化学社製」分子量:234.3)等を挙げることができる。
【0066】
上記シランカップリング剤の加水分解物は、上記シランカップリング剤が有するアルコキシ基などの加水分解基を部分的に又は完全に加水分解して得られるシラノール基を有するものである。
上記加水分解物は、通常シランカップリング剤を、水と、塩酸、硫酸などの無機酸、酢酸などの有機酸などの酸、または水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリなどの加水分解触媒と、の存在下で、少なくとも部分的に加水分解することにより得られる。この際、上記シランカップリング剤の加水分解を均一に行うために、上記加水分解は適当な有機溶媒中で行うことができる。
【0067】
本発明における表面処理シリカ微粒子の表面処理量は、2質量%〜110質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも4質量%〜90質量%の範囲内であることが好ましく、特に7質量%〜70質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも特に、10質量%〜55質量%の範囲内であることが好ましい。上記表面処理量が上記範囲内であることにより、上記表面処理シリカ微粒子の調合時に調製される上記表面処理シリカ微粒子を含むシリカ分散液において、上記表面処理シリカ微粒子の分散性が低下せず、ゲル化、凝集等を生じにくい。このため、そのような凝集等の少ない上記表面処理シリカ微粒子を含むシリカ分散液を本発明のハードコート層用組成物の調製に用いることにより、表面平滑性や透明性等の面質、硬度に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるからである。
また、上記表面処理量が上記範囲内であることにより、シリカ表面の疎水性が向上したものとなり、上記フッ素系界面活性剤のブリードアウトが妨げにくくなる。これにより、ハードコート層表面の親水性は向上し、水の接触角を低いものとすることができる。
また、上記表面処理量が上記下限より少ないと、上記表面処理シリカ微粒子の表面が親水的であり、ハードコート組成物としたときに上記疎水性光硬化性樹脂との親和性が不足し、表面の平滑性や透明性等の面質が劣り、硬度が低下するおそれがある。
また、上記表面処理量が上記上限より多いと、上記表面処理シリカ微粒子を含むシリカ分散液中に上記未処理シリカ微粒子表面に結合せずに残存する遊離の上記シランカップリング剤の加水分解物の含有量が多くなり、ハードコート層を形成した際に硬度の低下や、面質の低下のおそれがある。
なお、上記表面処理シリカ微粒子の表面処理量は、飽和添加量(g)に対する、シランカップリング剤の加水分解物で未処理シリカ微粒子の表面処理を行う際に予め添加したシランカップリング剤量(g)の百分率(%)を示すものである。
また、上記飽和添加量は、下記の式(1)で示されるものである。
【0068】
飽和添加量(g)=Wn×Snm/As (1)
Wn:未処理シリカ微粒子の質量(g)
Snm:未処理シリカ微粒子の比表面積(m/g)
As:シランカップリング剤の最小被覆面積(m/g)
As=(6.02×1023×13×10-20)/シランカップリング剤の分子量
なお、上記未処理シリカ微粒子の比表面積はJIS Z−8830(気体吸着による粉体の比表面積測定方法)に準じ、粉体比表面積測定装置(例えば、「AMS−8000(型番)」、株式会社大倉理研製))を用いて一点法により測定したBET比表面積の値で測定することができる。
【0069】
上記シランカップリング剤の加水分解物のシラノール基および未処理シリカ微粒子表面の水酸基を反応させる方法としては、予め上記加水分解物を準備した後に、その加水分解物と未処理シリカ微粒子とを混合する方法であっても良く、加水分解前のシランカップリング剤と、未処理シリカ微粒子とを混合した後、シランカップリング剤の加水分解を行う方法であっても良い。
なお、上記加水分解物のシラノール基および上記未処理シリカ微粒子の水酸基の反応は、有機溶剤中で行うことができ、必要に応じて、任意の工程で分散剤を添加してもよい。
【0070】
上記分散工程は、上記表面処理工程後に、上記表面処理シリカ微粒子を湿式粉砕する工程である。
本工程において、上記表面処理シリカ微粒子を湿式粉砕する方法としては、公知の湿式粉砕装置を使用する方法を用いることができる。
上記湿式粉砕装置としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダーなどのメディアミル、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーなどの圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機などが挙げられ、なかでも平均粒子径100μm、あるいはそれ以下のビーズ(媒体)を用いるビーズミルなどの、媒体攪拌型粉砕機を好ましく用いることができる。
上記分散工程では、分散剤を添加してもよい。
上記分散剤は、公知のものの中から選択でき、上記表面処理シリカ微粒子を微細に分散できるものであれば特に限定されない。上記分散剤は、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。
上記界面活性剤の中でも、均一に、微細に分散し得る点から、高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。上記高分子分散剤としては、例えば、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、変性ポリエステル、変性ポリアミド等の高分子分散剤を挙げることができ、なかでも、酸性基を塩基性基で中和した塩構造を有する分散剤が好ましい。酸性基、及び該酸性基を塩基性基で中和した塩は、シリカ微粒子との親和性が高いため、上記塩構造を有する分散剤は優れた分散性が得られるからである。
上記酸性基としては、リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、及びフェノール性水酸基などが好ましく、リン酸基、ホスホン酸基がより好ましい。
また、上記塩基性基としては、アミノ基、アミド基、イミノ基、アンモニウム塩基、スルホニウム塩基などが好ましく、アミノ基、アンモニウム塩基がより好ましい。
上記塩構造を有する分散剤としては、リン酸エステル系分散剤のアミン塩などが好ましい。具体例としては「Disperbyk−106(商品名)」(ビックケミー・ジャパン株式会社製)や「Disperbyk−180(商品名)」ビックケミー・ジャパン株式会社製を好ましく挙げることができる。分散性を向上することができ、透明性、表面平滑性に優れたハードコート層が得られるハードコート組成物とすることができるからである。
【0071】
上記シリカ微粒子の平均一次粒子径としては、所望の硬度および透明性を有するハードコート層を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、1nm〜50nmの範囲内であることが好ましく、1nm〜40nmの範囲内であることが好ましく、特に、1nm〜30nmの範囲内であることが好ましい。上記平均一次粒子径が上述の範囲内であることにより、硬度および透明性に優れたハードコート層を形成可能なものとすることができるからである。
なお、上記平均一次粒子径は透過型電子顕微鏡(TEM)や走査透過型電子顕微鏡(STEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)により測定した観察像から統計処理により算出される値である。
ここで、統計処理による算出は、SEM画像等からランダムに選んだ1000個の粒子について、直径を測定し、3nm区分のヒストグラムを作成したときの、下記式(A)を用いた算出により行ったものである。当該式(A)で得られた数平均一次粒子径Dnpを、上記平均一次粒子径とする。
また、シリカ微粒子の形状が球状ではない場合、上記直径はシリカ微粒子の外接球の直径をいうものである。
【0072】
Dnp=Σnidi/Σni (A)
Dnp:数平均分子量
di:ヒストグラムのi番目の直径
ni:頻度
【0073】
上記シリカ微粒子の形状としては、所望の硬度および透明性を有するハードコート層を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、球状、楕円球状、直方体や長方体などの四方体状などの粉粒状;円柱状、円盤状、楕円盤状、鱗片状などの多角板状;針状などが好ましく挙げられる。
【0074】
上記シリカ微粒子の含有量は、所望の硬度および透明性を有するハードコート層を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、固形分中に1質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも2質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、特に、3質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、硬度および透明性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるからである。
【0075】
(2)親水性樹脂
上記親水性樹脂は、所定の親水性を有するものである。
本発明においては、上記ハードコート層用組成物が上記親水性樹脂を含むことが好ましい。液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物を形成容易なものとすることができるからである。
また、上記親水性樹脂を適量添加することにより、表面の水の接触角の小さいハードコート層を形成可能なものとすることができ、上記フッ素系界面活性剤の添加量を抑制することができるからである。特に上記フッ素系界面活性剤が上記パーフルオロエチレンオキサイドである時、上記フッ素系界面活性剤の添加量を抑制することが可能となるからである。
【0076】
上記親水性樹脂が有する親水性としては、疎水性を有しないものであればよく、上記「2.疎水性光硬化性樹脂」の項に記載の疎水性の判断方法に従って試験用ハードコート層表面の水の接触角が60°未満となることをいうものである。
【0077】
このような親水性樹脂としては、所望の親水性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、セルロース系樹脂、ビニルピロリドン骨格を有する樹脂、エチレンオキサイド(EO)基等のノニオン性基を有するノニオン性樹脂、アクリル系樹脂、4級アンモニウム塩基等のカチオン性基を含む樹脂、リチウム塩基等のアニオン性基を含む樹脂等を挙げることができ、なかでも、ノニオン性樹脂が好ましく、さらに、ノニオン性基としてEO基を有するエチレンオキサイド系樹脂が好ましく、特に、ノニオン性基としてEO基を有する(メタ)アクリレートが好ましい。上記親水性樹脂がこのような樹脂であることにより、ハードコート層用組成物を、液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なものとすることが容易だからである。また、上記ノニオン性樹脂、なかでも、EO基を有する樹脂は上記疎水性光硬化性樹脂等との相溶性の点で有利であるからである。
また、上記エチレンオキサイド系樹脂に上記親水性基として含まれるエチレンオキサイド基は、−(CHCHO)n−で示されるエチレンオキサイド構造を含むものであれば良く、なかでも本発明においては、上記エチレンオキサイド構造の繰り返し数nが9〜50の範囲内であることが好ましく、特に、14〜40の範囲内であることが好ましい。上記エチレンオキサイド構造の繰り返し数が上述の範囲内であることにより、液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることが容易だからである。
【0078】
上記親水性樹脂は、必要に応じて重合性基を有する親水性光硬化性樹脂であっても良く、上記重合性基を有しない親水性非光硬化性樹脂のいずれでもよいが、上記重合性基を有するものであることが好ましい。
なお、上記重合性基については、上記「2.疎水性光硬化性樹脂」の項に記載のものと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0079】
上記親水性樹脂の分子量としては、液状充填剤の濡れ性に優れた親水性表面を有するハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物を形成可能なものとすることができるものであれば特に限定されるものではないが、100〜100000の範囲内とすることができ、なかでも250〜50000の範囲内であることが好ましい。上記分子量が上述の範囲内であることにより、液状充填剤の濡れ性の調整が容易だからである。
なお、上記分子量は、上記親水性樹脂がポリマー成分を含むものである場合には、重量平均分子量Mwをいうものである。
また、重量平均分子量Mwは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値であり(東ソー(株)製、HLC−8120GPC)、溶出溶媒を0.01モル/リットルの臭化リチウムを添加したN−メチルピロリドンとし、校正曲線用ポリスチレンスタンダードをMw377400、210500、96000、50400、206500、10850、5460、2930、1300、580(以上、Polymer Laboratories社製 Easi PS−2シリーズ)及びMw1090000(東ソー(株)製)とし、測定カラムをTSK−GEL ALPHA−M×2本(東ソー(株)製)として測定して得られるものとすることができる。
【0080】
上記親水性樹脂は、具体的には、NKエステルATM−35E(4官能の35モルEO変性)、ライトアクリレート14EG−A(2官能の14モルEO変性)、ライトアクリレート9EG−Aの構造(2官能の9モルEO変性)等のエチレンオキサイド基と(メタ)アクリロイル基とを含むエチレンオキサイド変性多官能(メタ)アクリレート等の重合性基を有するエチレンオキサイド系樹脂を挙げることができ、好ましく用いることができる。液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることが容易だからである。
【0081】
上記親水性樹脂の含有量は、液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層が形成可能なハードコート層用組成物とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、固形分中に0.1質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも1質量%〜45質量%の範囲内であることが好ましく、さらに、5質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、特に、10質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、硬度および液状充填剤の濡れ性に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるからである。
【0082】
上記親水性樹脂の上記疎水性光硬化性樹脂に対する含有比率(親水性樹脂の含有量/疎水性光硬化性樹脂の含有量)としては、所望の硬度および液状充填剤の濡れ性のハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、10/100〜90/100の範囲内であることが好ましく、なかでも、15/100〜75/100の範囲内であることが好ましく、特に、20/100〜50/100の範囲内であることが好ましい。上記含有比率であることにより、所望の硬度および液状充填剤の濡れ性のハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることが容易だからである。
【0083】
(3)非光硬化性樹脂
上記非光硬化性樹脂は、重合性基を含まない樹脂である。
本発明においては、このような非光硬化性樹脂を含むことにより、ハードコート層用組成物を、硬化収縮が少なく、基材等との密着性に優れたハードコート層を形成可能なものとすることができる。
【0084】
このような非光硬化性樹脂としては、重合性基を含まない樹脂であれば特に限定されるものではなく、主に熱可塑性樹脂が用いられる。
上記非光硬化性樹脂としては、具体的には、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリブタジエン、ポリエーテル、エポキシ樹脂、スチレン含有ポリマー、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、セルロース誘導体を挙げることができ、なかでもアクリル樹脂、ウレタン樹脂を好ましく用いることができる。なかでも本発明においては、上記非光硬化性樹脂が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂であることが好ましく、特に、アクリル樹脂であることが好ましい。
上記アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル及び上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な化合物を少なくともひとつ含む重合物が挙げられる。
共重合する方法としては公知の方法を使用することができる。
上記(メタ)アクリル酸エステルおよび上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な化合物としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクトン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、スチレンなどのビニル基含有モノマー、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジルメタクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリル酸エステルモノマー、および(メタ)アクリルアミド誘導体が挙げられる。
また、具体的な重合体としてはメチルメタクリレートのホモポリマー、ブチルメタクリレートのホモポリマーが挙げられる。
【0085】
上記非光硬化性樹脂の分子量としては、所望の硬化収縮抑制を図ることができるものであれば特に限定されるものではないが、1000〜700000の範囲内とすることができ、なかでも本発明においては、2000〜100000の範囲内であることが好ましい。上記分子量であることにより、硬化収縮が抑制されたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることが容易だからである。
なお、上記分子量は重量平均分子量Mwをいうものである。
【0086】
このような非光硬化性樹脂の市販品としては、大成ファインケミカル社製アクリット0502TC、6KW−700等を挙げることができる。
【0087】
上記非光硬化性樹脂の含有量は、所望の硬化収縮抑制を図ることができるものであれば特に限定されるものではないが、固形分中に1質量%〜50質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも2質量%〜40質量%の範囲内であることが好ましく、さらに、3質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、特に、5質量%〜25質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、ハードコート層用組成物を、硬化収縮が抑制され、基材等との密着性に優れたハードコート層を形成可能なものとすることができるからである。
【0088】
(4)その他
上記その他の成分は、酸化防止剤、表面調整剤等の界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、粘度調整剤等の各種の添加剤を含むことができる。表面調整剤の種類としては、フッ素系表面調整剤、シリコーン系表面調整剤、アクリル系表面調整剤等が挙げられる。
【0089】
6.ハードコート層用組成物
本発明のハードコート層用組成物は、液状充填剤が塗布される面に形成されるハードコート層の形成に用いられるものである。
【0090】
(1)液状充填剤
本発明における液状充填剤は、ハードコート層を他の部材と貼合せるために用いられるものである。
このような液状充填剤としては、ディスプレイ装置等の分野において透明樹脂接着剤として一般的に用いられるものとすることができる。
上記液状充填剤としては、具体的には、ポリイソプレン、ポリブタジエンおよびポリウレタンの少なくとも1つを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーを有するものであることが好ましい。このような組成であることにより、上記液状充填材との濡れ性に優れたハードコート層を形成することができるとの本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
上記液状充填剤が、ポリウレタンを骨格に有する(メタ)アクリレートオリゴマー、すなわち、ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む場合、上記液状充填剤の構成成分としては、上記ポリウレタンアクリレート、イソボルニルアクリレートおよび光重合開始剤を含むものとすることができる。
より具体的には、上記液状充填剤として、ポリウレタンアクリレート(日本合成化学工業(株)製 紫光UV-3000B)59質量部、イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製IBXA)36質量部、光重合開始剤(ランベルティ社製 エサキュアone)5質量部を混練機にて混練して形成されたものを用いることができる。
【0091】
上記液状充填剤の粘度としては、所望の構成を有するものとすることができるものであれば特に限定されるものではなく、ディスプレイ装置等の分野において透明樹脂接着剤として一般的に用いられるものとすることができる。
上記粘度は、具体的には、500mPa・s〜20000mPa・sの範囲内とすることができる。
なお、上記粘度は、25℃での粘度を示すものである。また、測定方法としては、B型粘度計を用いて測定する方法を用いることができ、例えば、東機産業社製TVB−10で測定する方法を用いることができる。
【0092】
(2)ハードコート層
本発明におけるハードコート層は、液状充填剤が塗布される面に形成されるものである。
このようなハードコート層としては、液状充填剤が塗布される面に形成されるものであれば特に限定されるものではないが、基材および上記基材上に形成されたハードコート層を有するハードコート層積層体として用いられるものを挙げることができる。
上記ハードコート層積層体の用途としては、ディスプレイ装置等の光学装置に用いられる光学部材であり、液状充填剤により他部材と接着されるものであればよく、例えば、偏光子および偏光子を狭持する偏光板保護フィルムを含む偏光板における偏光板保護フィルム、タッチパネル、保護パネル、反射防止パネル、遮光パネル、視野角制御パネル等を挙げることができる。
図1は、液晶表示装置30において、偏光板保護フィルム11aとして用いられる例を示すものである。液晶表示装置30は、偏光板11および液晶セル12を有する液晶表示部20、液状充填剤を用いて形成された充填剤層21、およびカバーフィルム22を含むものであり、上記ハードコート層積層体10は、偏光板保護フィルム11aとして用いられるものである。なお、上記ハードコート層積層体10は、基材1およびハードコート層2を有するものである。
【0093】
(3)ハードコート層用組成物
光硬化後のハードコート層用組成物、すなわち、本発明のハードコート層用組成物を用いて形成されたハードコート層表面の水の接触角としては、液状充填剤の濡れ性に優れ、液状充填剤の塗布時に気泡の発生が少ないものであれば特に限定されるものではないが、70°以下であることが好ましく、なかでも、5°〜70°の範囲内であることが好ましく、特に、10°〜65°の範囲内であることが好ましく、なかでも特に、20°〜60°の範囲内であることが好ましい。上記水の接触角が上述の範囲内であることにより、上記ハードコート層用組成物は、液状充填剤の濡れ性に優れ、液状充填剤の塗布時に気泡の発生が特に少ないハードコート層を形成することができるからである。
なお、上記水の接触角の測定に用いる光硬化後のハードコート層用組成物、すなわち、測定用ハードコート層の形成方法としては、試験用樹脂組成物に代えて本発明のハードコート層用組成物を用いること以外は、上記「2.疎水性光硬化性樹脂」の項に記載の試験用ハードコート層の形成方法と同様とすることができる。
また、上記水の接触角の測定方法については、上記試験用ハードコート層に代えて上記測定用ハードコート層を用いること以外は、上記「2.疎水性光硬化性樹脂」の項に記載水の接触角の測定方法と同様とすることができる。
【0094】
光硬化後のハードコート層用組成物の鉛筆硬度としては、上記ハードコート層が積層される基材等への傷等の発生を安定的に抑制できるものであれば特に限定されるものではなく、上記ハードコート層の用途等に応じて適宜設定されるものである。
上記鉛筆硬度は、具体的には、B〜9Hの範囲内であることが好ましく、なかでもHB〜8Hの範囲内であることが好ましく、特に、H〜7Hの範囲内であることが好ましい。上記鉛筆硬度が上述の範囲であることにより、硬度に優れたハードコート層を形成可能なハードコート層用組成物とすることができ、上記ハードコート層が積層される基材等をキズおよび破損等から安定的に保護できるからである。
なお、鉛筆硬度の値とは、JIS K5400の8.4「鉛筆引っかき値」に示される測定方法および測定条件により測定された値をいうものである。すなわち、上記鉛筆硬度の測定方法は、鉛筆引掻塗膜硬さ試験機(例えば、No.431(商品名)東洋精機製作所製)に鉛筆を設置し、試験片である塗膜に擦り傷をつける。これを5回同様の濃度の鉛筆で繰り返し、試験片に2回以上擦り傷を形成する鉛筆濃度よりも1段階下位の濃度記号をその試験片の鉛筆硬度として評価する方法である。
また、鉛筆硬度の測定に用いる光硬化後のハードコート層用組成物は、水の接触角の測定に用いる上記測定用ハードコート層と同様のものを用いるものである。
【0095】
光硬化後のハードコート層用組成物の可視光領域における透過率としては、ディスプレイ等の構成部材として用いられる場合には、視認性に優れたものとすることができるものであれば特に限定されるものではなく、上記ハードコート層の用途等に応じて適宜設定されるものである。
本発明においては、上記透過率が、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。上記透過率が上記範囲であることにより、上記ハードコート層用組成物を視認性に優れたハードコート層を形成可能なものとすることができるからである。
ここで、上記透過率は、標準の光C(JIS Z 8720(測色用標準イルミナント(標準の光)及び標準光源))を用い、JIS Z 8701(色の表示方法-XYZ表色系およびX10Y10Z10表色系)にて定められた式にて求めた、透過による物体色の三刺激値X,Y,ZのうちのY値を指すものである。このような透過率の測定方法としては、例えば、JIS K7361により測定することができる。測定装置としては、より具体的には、ヘイズメーター(メーカー:村上色彩技術研究所、機械名:HM−150)を用いることができる。
また、透過率の測定に用いる光硬化後のハードコート層用組成物は、上記水の接触角の測定に用いる測定用ハードコート層と同様のものを用いるものである。
【0096】
B.ハードコート層積層体の製造方法
次にハードコート層積層体の製造方法について説明する。
本発明のハードコート層積層体の製造方法は、基材および上記基材上に形成された液状充填剤が塗布される面に形成されるハードコート層を有するハードコート層積層体の製造方法であって、上記基材上に、上述のハードコート層用組成物を塗布し、上記ハードコート層用組成物の塗膜を形成する塗布工程と、上記塗膜を露光することにより硬化し、ハードコート層を形成する露光工程と、を有することを有することを特徴とするものである。
【0097】
このような本発明のハードコート層積層体の製造方法について図を参照して説明する。図2は、本発明のハードコート層積層体の製造方法の一例を示す工程図である。本発明のハードコート層積層体の製造方法は、図2(a)に例示するように、上記基材1上に、ハードコート層用組成物2aを塗布し、上記ハードコート層用組成物2aの塗膜2bを形成し(図2(b))、次いで、上記塗膜2bに対して露光光3として紫外線を照射することにより塗膜2bを硬化させてハードコート層を形成し(図2(c))、基材1および上記基材1上に形成されたハードコート層2を有するハードコート層積層体10を得るものである(図2(d))。
また、続いて、得られたハードコート層積層体10のハードコート層2上に、液状充填剤21aを塗布し(図2(d))、液状充填剤層21を有するハードコート層積層体10を得るものである(図2(e))。
なお、図2(a)〜(b)は、塗布工程であり、図2(c)は、露光工程である。また、図2(d)〜(e)は、液状充填剤層形成工程である。
【0098】
本発明によれば、上記ハードコート層用組成物として上述の本発明のハードコート層用組成物を用いることにより、液状充填剤の塗布時に気泡の発生が少なく、かつ、硬度に優れたハードコート層を有するハードコート層積層体を容易に形成することができる。
【0099】
本発明のハードコート層積層体の製造方法は、塗布工程および露光工程を有するものである。
以下、本発明のハードコート層積層体の製造方法の各工程について説明する。
【0100】
1.塗布工程
本発明における塗布工程は、上記基材上に、上述のハードコート層用組成物を塗布し、上記ハードコート層用組成物の塗膜を形成する工程である。
なお、本工程に用いられるハードコート層用組成物は、上記「A.ハードコート層用組成物」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0101】
上記基材は、上記ハードコート層用組成物が塗布されるものであり、ハードコート層と共にハードコート層積層体を構成するものである。
このような基材の構成材料としては、セルロース誘導体、シクロオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン、変性アクリル系ポリマー、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル類、トリアセチルセルロース、ポリエチレンナフタレート、環状オレフィンコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニルサルファイド、ガラス等を挙げることができる。
本発明においては、なかでも、上記構成材料がセルロース系プラスチックフィルムのトリアセチルセルロース(TAC)、オレフィン系プラスチックフィルムのシクロオレフィン(COP)、ポリエチレン系プラスチックフィルムのポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル系プラスチックフィルムのポリメチルメタクリレート(PMMA)であることが好ましい。上記基材を、透明性、耐熱性、光学特性、加工特性等に優れたものとすることができるからである。
【0102】
上記基材は、コロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理、UVオゾン処理等の表面処理が施されていてもよい。
上記表面処理は、本工程の実施前に、または本工程の実施中に行うことができる。
【0103】
また、上記基材の厚みは特に限定されないが、通常、5μm〜200μmの範囲内であることが好ましく、特に15μm〜150μmの範囲内であることが好ましく、さらに30μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
【0104】
本工程における塗布方法としては、上記基材上に上記ハードコート層用組成物の塗膜を安定的に形成できる方法であれば特に限定されるものではない。
上記塗布方法は、一般的なハードコート層の形成に用いられる方法と同様とすることができ、例えば、グラビアコート法、リバースコート法、スリットリバース法、スライドコート法、マイクログラビアコート法、オフセットグラビアコート法、フレキソコート法、インクジェット法、ディスペンサー塗布法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ナイフコート法、ディップコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、エクストルージョンコート法、E型塗布方法などを挙げることができる。
【0105】
本工程により形成される塗膜の厚みは、所望の厚みのハードコート層を形成可能なものであればよく、ハードコート層の厚みおよび有機溶剤の含有量等に応じて適宜設定されるものである。
【0106】
2.露光工程
本発明における露光工程は、上記塗膜を露光することにより硬化し、ハードコート層を形成する工程である。
【0107】
本工程における露光方法としては、上記ハードコート層を所望の硬度とすることができる方法であればよく、一般的な露光方法と同様とすることができる。
上記露光光の波長としては、例えば、210nm〜440nmの範囲内とすることができる。
また、露光光の光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、ショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)などが例示できる。なかでも本発明においては、上記光源が、メタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等であることが好ましい。
【0108】
本工程において上記塗膜に照射される露光光の照射量としては、所望の硬度を有するハードコート層を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、波長310nmである場合には、5mJ/cm〜1000mJ/cmの範囲内とすることができる。
【0109】
本工程により形成されるハードコート層の厚みは、所望の硬度のハードコート層とすることができるものであればよく、例えば、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、なかでも2μm〜70μmの範囲内であることが好ましく、特に、3μm〜50μmの範囲内であることが好ましい。上記厚みが上述の範囲内であることにより、硬度に優れたハードコート層を形成することができるからである。
【0110】
本工程により形成されるハードコート層表面の水の接触角、硬度および可視光の透過率については、上記「A.ハードコート層用組成物」の項に記載の光硬化後のハードコート層用組成物表面の水の接触角、硬度および可視光の透過率と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0111】
3.液状充填剤層形成工程
本発明のハードコート層積層体の製造方法は、上記露光工程後に、上記ハードコート層上に上記液状充填剤を塗布して液状充填剤層を形成する液状充填剤層形成工程を有するものであっても良い。
本工程に用いられる液状充填剤は、ハードコート層を他の部材と貼合せるために用いられるものである。
このような液状充填剤としては、ディスプレイ装置等の分野において透明樹脂接着剤として一般的に用いられるものとすることができ、例えば、上記「A.ハードコート層用組成物」の項に記載の液状充填剤を用いることができる。
上記液状充填剤の上記ハードコート層上への塗布方法としては、所望の厚みの液状充填剤層を形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、上記「1.塗布工程」に記載の塗布方法を用いることができる。
【0112】
本工程により形成される液状充填剤層は、必要に応じて、硬化処理がされるものであっても良い。例えば、上記液状充填剤が光重合開始剤を含む場合には、上記硬化処理としては、上記ハードコート層上に形成された液状充填剤層に対する露光処理が挙げられる。
上記露光処理における上記液状充填剤層への露光方法としては、上記液状充填剤層を所望の硬度とすることができる方法であればよく、一般的な露光方法と同様とすることができる。上記露光方法は、例えば、上記「2.露光工程」に記載の露光方法と同様とすることができる。
【0113】
本工程により形成される液状充填剤層の厚みとしては、上記ハードコート層積層体を他の部材と安定的に貼合せることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、10μm〜500μmの範囲内とすることができる。上記ハードコート層積層体を他の部材と安定的に貼合せることができるからである。
【0114】
4.ハードコート層積層体の製造方法
本発明のハードコート層積層体の製造方法は、上記塗布工程および露光工程を有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであっても良い。
このようなその他の工程としては、例えば、上記塗布工程および露光工程の間に行われる、上記塗膜に含まれる有機溶剤を除去する乾燥工程、上記塗布工程および露光工程の間に行わる、上記塗膜を加熱処理するプリベーク工程、上記露光工程後に行われ、ハードコート層を加熱処理するポストベーク工程等を挙げることができる。
なお、このようなその他の工程については、一般的なハードコート層の製造方法と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
【0115】
C.ハードコート層積層体
次に、本発明のハードコート層積層体について説明する。
本発明のハードコート層積層体は、基材および上記基材上に形成された液状充填剤が塗布される面に形成されるハードコート層を有するハードコート層積層体であって、上記ハードコート層表面の水の接触角が70°以下であり、硬度がH以上であることを特徴とするものである。
【0116】
このような本発明のハードコート層積層体としては、例えば、既に説明した図2(d)および(e)等に示すものとすることができる。
【0117】
本発明によれば、上記ハードコート層表面の水の接触角が70°以下であり、硬度がH以上であることにより、液状充填剤の塗布時に気泡の発生が少なく、かつ、硬度に優れたものとすることができる。
【0118】
本発明のハードコート層積層体は、上記基材と、上記ハードコート層とを有するものである。
以下、本発明のハードコート層積層体の各構成について詳細に説明する。
【0119】
1.基材
本発明における基材は、上記ハードコート層を支持するものである。
このような基材としては、上記ハードコート層を安定的に支持できるものであれば特に限定されるものではなく、上記「B.ハードコート層積層体の製造方法」の項に記載の基材と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0120】
2.ハードコート層
本発明におけるハードコート層は、上記基材上に形成されるものである。
また、上記ハードコート層は、表面の水の接触角が70°以下であり、鉛筆硬度がH以上のものである。
【0121】
上記ハードコート層表面の水の接触角は、70°以下であれば特に限定されるものではない。上記水の接触角は、例えば、上記「A.ハードコート層用組成物」の「6.ハードコート層用組成物」の「(3)ハードコート層用組成物」の項に記載の光硬化後のハードコート層用組成物の水の接触角と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0122】
上記ハードコート層の鉛筆硬度は、H以上であれば特に限定されるものではない。
上記ハードコート層の鉛筆硬度は、H〜9Hの範囲内であることが好ましく、なかでも、H〜8Hの範囲内であることがさらに好ましく、H〜7Hの範囲内であることが特に好ましい。上記鉛筆硬度が上述の範囲内であることにより、上記基材等を傷および破損等から安定的に保護できるからである。
なお、上記鉛筆硬度の値については、上記「A.ハードコート層用組成物」の「6.ハードコート層用組成物」の「(3)ハードコート層用組成物」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0123】
上記ハードコート層を構成する構成材料については、上述の表面の水の接触角および鉛筆硬度を有するハードコート層を形成可能なものであれば特に限定されるものではないが、上記「A.ハードコート層用組成物」の項に記載の本発明のハードコート層用組成物の硬化物であることが好ましい。上述の表面の水の接触角および鉛筆硬度を有するハードコート層を安定的に得ることができるからである。
【0124】
上記ハードコート層の厚みとしては、上記基材等を傷および破損等から保護できるものであれば特に限定されるものではなく、上記「B.ハードコート層積層体の製造方法」の「2.露光工程」の項に記載の内容と同様とすることができる。
【0125】
3.ハードコート層積層体
本発明のハードコート層積層体は、上記基材と、上記ハードコート層とを有するものであるが、必要に応じて他の構成を有するものであっても良い。
上記他の構成としては、例えば、上記ハードコート層上に上記ハードコート層と接するように形成された液状充填剤層を挙げることができる。上記ハードコート層は、液状充填剤の塗布時に気泡の発生が少ないものとすることができるとの本発明の効果をより効果的に発揮できるからである。
なお、上記液状充填剤層を構成する液状充填剤、厚み等については、上記「B.ハードコート層積層体の製造方法」の「3.液状充填剤層形成工程」の項に記載の内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
【0126】
上記ハードコート層積層体の製造方法としては、上記特性を有するハードコート層を有するハードコート層積層体を安定的に形成可能な方法であれば特に限定されるものではないが、上記「B.ハードコート層積層体の製造方法」の項に記載の方法であることが好ましい。
【0127】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0128】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0129】
[製造例1]
シランカップリング剤として、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(「KBM−503(商品名)」、信越化学工業株式会社製、分子量:248.4,最小被覆面積As:314m/g)を準備した。該シランカップリング剤70質量部、純水14.5質量部およびメチルアルコール14.5質量部を、ステンレス製容器に入れ、攪拌しながら0.01モル/リットル塩酸1質量部を添加し、10℃のクリーンルーム内で一時間撹拌を続け、シランカップリング剤の加水分解物を含む溶液を得た。
【0130】
[製造例2]
未処理シリカ微粒子として、酸化ケイ素(シリカ)ナノ粒子(「ニップシール E−200A(商品名)」,東ソー・シリカ株式会社製 平均一次粒子径:20nm、比表面積:200m/g)を30質量部、上記製造例1で得られたシランカップリング剤の加水分解物を含む溶液を6質量部、リン酸基をアミノ基で中和した塩構造を有する分散剤1(「Disperbyk−106(商品名)」,ビックケミー・ジャパン株式会社製,アミン価:74mgKOH/g,酸価:132mgKOH/g)1.5質量部および分散媒としてメチルイソブチルケトン(MIBK)を62.5質量部用意して、これらを攪拌して調合した。
【0131】
[製造例3]
上記製造例2で調合して得られた液をビーズ径が100μmのジルコニアビーズを攪拌容器に入れたビーズミル装置を用いて粉砕し、無機ナノ粒子分散液を得た。該分散液は乳白色を呈していた。
【0132】
[製造例4]
上記製造例3で得られた分散液を更に、ビーズ径が100μmのジルコニアビーズを攪拌容器に入れたビーズミル装置を用いて再粉砕し、表面処理シリカ微粒子分散液を得た。該分散液は乳白色を呈していた。
このようにして、シリカ微粒子の表面にエチレン性不飽和二重結合基を有するシランカップリング剤の加水分解物で処理した、表面処理量22.0%の表面処理シリカ微粒子分散液を得た。
【0133】
[製造例5]
上記製造例2において、上記製造例1で得られたシランカップリング剤の加水分解物を含む溶液1.37質量部加えた以外は製造例2と同様に調合を行い、製造例3、製造例4と同様にして表面処理量5.0%の表面シリカ微粒子分散液を得た。
【0134】
[製造例6]
上記製造例2において、上記製造例1で得られたシランカップリング剤の加水分解物を含む溶液30質量部加えた以外は製造例2と同様に調合を行い、製造例3、製造例4と同様にして表面処理量110.0%の表面シリカ微粒子分散液を得た。
【0135】
[製造例7]
上記製造例2において、上記製造例1で得られたシランカップリング剤の加水分解物を含む溶液42質量部加えた以外は製造例2と同様に調合を行い、製造例3、製造例4と同様にして表面処理量153.9%の表面シリカ微粒子分散液を得た。
【0136】
[合成例1]
メチルメタクリレート46質量部とt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート4質量部との混合液を、メチルイソブチルケトン(MIBK)50質量部gを入れた撹拌翼を備えた重合槽中に、窒素気流下98℃で3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間加熱することにより、重量平均分子量15000のメチルメタクリレート重合体(合成ポリマー1)を得た。
【0137】
[実施例1〜実施例12および比較例1〜比較例7]
下記に示す組成の成分を配合して、ハードコート層用組成物A〜Sを調製した。また、各ハードコート層用組成物の配合の一覧を下記表1に示す。
なお、上記疎水性光硬化性樹脂として、東亞合成(株)製、製品名アロニックスM−305(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート3、4官能、以下、M305とする。)、東亞合成(株)製、製品名アロニックスM−510(多塩基酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート 3官能、以下、M510とする。)を用いた。
上記親水性光硬化性樹脂として、新中村化学工業(株)製、NKエステルATM−35E(EO変性(n≒35)テトラアクリレート、4官能、以下、ATM−35Eとする。)、共栄社化学株式会社製ライトアクリレート14EG−A(以下、14EG−Aとする。)を用いた。
上述の溶解性および表面張力の両者の特性を有する特定のフッ素系界面活性剤として、DIC製、メガファックF-410(以下、F410とする。)およびDIC製、メガファックF-444(以下、F444とする。)を用いた。
また、表面調整剤として、フッ素系界面活性剤としてDIC製、メガファックF-553(以下、F553とする。)を用いた。
上記光重合開始剤としてBASF社製イルガキュア184(以下、Irg184とする。)を用いた。
上記有機溶剤として、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKとする。)およびメタノールを用いた。
上記非光硬化性樹脂として、上述の合成例1で合成したポリマー(以下、合成ポリマー1とする。)を用いた。
上記シリカ微粒子のうち未処理シリカ微粒子として、上述の製造例2で用いた未処理シリカ微粒子(以下、E−200Aとする。)を用いた。
上記表面処理シリカ微粒子を含むシリカ分散液として、上述の製造例1〜4で製造した未処理シリカ微粒子の表面にエチレン性不飽和二重結合基を有するシランカップリング剤加水分解物で処理をした、表面処理シリカ微粒子の分散液(以下、シリカ分散液1とする。)、上述の製造例5で製造した未処理シリカ微粒子の表面にエチレン性不飽和二重結合基を有するシランカップリング剤加水分解物で処理をした、表面処理シリカ微粒子の分散液(以下、シリカ分散液2とする。)、上述の製造例6で製造した未処理シリカ微粒子の表面にエチレン性不飽和二重結合基を有するシランカップリング剤加水分解物で処理をした、表面処理シリカ微粒子の分散液(以下、シリカ分散液3とする。)、上述の製造例7で製造した未処理シリカ微粒子の表面にエチレン性不飽和二重結合基を有するシランカップリング剤加水分解物で処理をした、表面処理シリカ微粒子の分散液(以下、シリカ分散液4とする。)を用いた。
【0138】
<ハードコート層用組成物Aの組成>
・M305:38.37質量部
・ATM−35E:9.59質量部
・F410:0.12質量部
・Irg184:1.92質量部
・MIBK:40.00質量部
・メタノール:10.00質量部
【0139】
<ハードコート層用組成物Bの組成>
・M305:36.70質量部
・ATM−35E:9.17質量部
・F444:2.30質量部
・Irg184:1.83質量部
・MIBK:40.00質量部
・メタノール:10.00質量部
【0140】
<ハードコート層用組成物Cの組成>
・M305:37.90質量部
・M510:0.60質量部
・ATM−35E:9.48質量部
・F410:0.12質量部
・Irg184:1.90質量部
・MIBK:40.00質量部
・メタノール:10.00質量部
【0141】
<ハードコート層用組成物Dの組成>
・M305:36.10質量部
・M510:0.60質量部
・ATM−35E:9.17質量部
・F444:2.30質量部
・Irg184:1.83質量部
・MIBK:40.00質量部
・メタノール:10.00質量部
【0142】
<ハードコート層用組成物Eの組成>
・E−200A:4.74質量部
・M305:33.16質量部
・M510:0.60質量部
・ATM−35E:9.48質量部
・F410:0.12質量部
・Irg184:1.90質量部
・MIBK:48.34質量部
・メタノール:1.66質量部
【0143】
<ハードコート層用組成物Fの組成>
・シリカ分散液1:12.64質量部(固形分:4.74質量部)
・M305:33.16質量部
・M510:0.60質量部
・ATM−35E:9.48質量部
・F410:0.12質量部
・Irg184:1.90質量部
・MIBK:40.44質量部
・メタノール:1.66質量部
【0144】
<ハードコート層用組成物Gの組成>
・シリカ分散液2:12.64質量部(固形分:4.74質量部)
・M305:33.16質量部
・M510:0.60質量部
・ATM−35E:9.48質量部
・F410:0.12質量部
・Irg184:1.90質量部
・MIBK:40.44質量部
・メタノール:1.66質量部
【0145】
<ハードコート層用組成物Hの組成>
・シリカ分散液3:12.64質量部(固形分:4.74質量部)
・M305:33.16質量部
・M510:0.60質量部
・ATM−35E:9.48質量部
・F410:0.12質量部
・Irg184:1.90質量部
・MIBK:40.44質量部
・メタノール:1.66質量部
【0146】
<ハードコート層用組成物Iの組成>
・シリカ分散液4:12.64質量部(固形分:4.74質量部)
・M305:33.16質量部
・M510:0.60質量部
・ATM−35E:9.48質量部
・F410:0.12質量部
・Irg184:1.90質量部
・MIBK:40.44質量部
・メタノール:1.66質量部
【0147】
<ハードコート層用組成物Jの組成>
・M305:20.14質量部
・合成ポリマー1:6.72質量部(固形分:3.36質量部)
・ATM−35E:10.07質量部
・F410:0.08質量部
・Irg184:1.34質量部
・MIBK:57.13質量部
・メタノール:4.52質量部
【0148】
<ハードコート層用組成物Kの組成>
・M305:19.27質量部
・合成ポリマー1:6.42質量部(固形分:3.21質量部)
・ATM−35E:9.63質量部
・F444:1.61質量部
・Irg184:1.28質量部
・MIBK:57.27質量部
・メタノール:4.52質量部
【0149】
<ハードコート層用組成物Lの組成>
・M305:47.69質量部
・F410:0.12質量部
・Irg184:1.92質量部
・MIBK:40.00質量部
・メタノール:10.00質量部
【0150】
<ハードコート層用組成物Mの組成>
・M305:38.37質量部
・ATM−35E:9.59質量部
・F553:0.12質量部
・Irg184:1.92質量部
・MIBK:40.00質量部
・メタノール:10.00質量部
【0151】
<ハードコート層用組成物Nの組成>
・M305:36.70質量部
・ATM−35E:9.17質量部
・F553:2.30質量部
・Irg184:1.83質量部
・MIBK:40.00質量部
・メタノール:10.00質量部
【0152】
<ハードコート層用組成物Oの組成>
・シリカ分散液1:12.64質量部(固形分:4.74質量部)
・M305:30.98質量部
・M510:0.60質量部
・ATM−35E:9.48質量部
・F553:2.30質量部
・Irg184:1.90質量部
・MIBK:40.44質量部
・メタノール:1.66質量部
【0153】
<ハードコート層用組成物Pの組成>
・M305:20.19質量部
・合成ポリマー1:6.72質量部(固形分:3.36質量部)
・ATM−35E:10.10質量部
・Irg184:1.34質量部
・MIBK:57.13質量部
・メタノール:4.52質量部
【0154】
<ハードコート層用組成物Qの組成>
・M305:19.27質量部
・合成ポリマー1:6.42質量部(固形分:3.21質量部)
・ATM−35E:9.63質量部
・F553:1.61質量部
・Irg184:1.28質量部
・MIBK:57.27質量部
・メタノール:4.52質量部
【0155】
<ハードコート層用組成物Rの組成>
・M305:47.96質量部
・F553:0.12質量部
・Irg184:1.92質量部
・MIBK:40.00質量部
・メタノール:10.00質量部
【0156】
<ハードコート層用組成物Sの組成>
・14EG−A:48.08質量部
・Irg184:1.92質量部
・MIBK:40.00質量部
・メタノール:10.00質量部
【0157】
【表1】
【0158】
[評価]
(1)インキ液外観の評価
実施例および比較例で得られたハードコート層用組成物(インキ液)A〜Sについて、目視にて確認し、以下の基準で評価した。また、ハードコート層として実用可能な評価範囲は○および△である。結果を下記表2に示す。
○:透明もしくは濁りのない状態である。
△:わずかに浮遊物が見られる。
×:浮遊物が多量にみられるまたは白濁している。
【0159】
(2)ハードコート層表面の水の接触角の評価
実施例および比較例で得られたハードコート層用組成物A〜Sを用いてハードコートフィルムを作製し、ハードコート層表面の水の接触角の測定を行った。結果を下記表2に示す。
なお、上記水の接触角の測定は、協和界面科学社製 接触角計DM 701を用いて、純水の静的接触角を測定することにより求めた。
また、ハードコートフィルムの形成方法は、基材として80μmトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)を用い、当該TACフィルムの片面に、上記ハードコート層用組成物を塗布し(実施例1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、比較例1、2、3、6、7はバーコーター10番で、実施例10、11、比較例4、5はバーコーター14番で塗布)、温度70℃の熱オーブン中で60秒間乾燥し、上記ハードコート層用組成物の塗膜中の溶剤を蒸発させ、イナートボックスによる窒素雰囲気下で、紫外線を積算光量が300mJ/cmになるように照射して上記塗膜を硬化させることにより、膜厚5μm〜7μmのハードコート層を形成する方法を用いた。
【0160】
(3)ハードコート層の面質の評価
実施例および比較例で得られたハードコート層用組成物A〜Sを用いてハードコートフィルムを作製し、ハードコート層の表面を目視にて観察し、以下の基準で評価した。また、ハードコート層として実用可能な評価範囲は○および△である。結果を下記表2に示す。なお、ハードコートフィルムの形成方法は、上記「(2)ハードコート層表面の水の接触角の評価」の項に記載の方法と同様とした。
○:透明である。
△:表面にやや凹凸がある。
×:表面全体に凹凸が強い。
【0161】
(4)ハードコート層の密着性の評価
実施例および比較例で得られたハードコート層用組成物A〜Sを用いてハードコートフィルムを作製し、ハードコート層の密着性の評価を行った。結果を下記表2に示す。
なお、ハードコートフィルムの形成方法は、上記「(2)ハードコート層表面の水の接触角の評価」の項に記載の方法と同様とした。
また、密着性の評価は、ハードコート層を1mm間隔の縦横10区分の碁盤目状(全100マス分)にカッターで切り、粘着性テープ(ニチバン(株)製「セロテープ(登録商標)」、幅24mm)を貼った後に剥がし、マス目の剥離した数を確認し、以下の基準で評価した。ハードコート層として実用可能な評価範囲は○、△である。
○:碁盤目密着80/100以上
△:碁盤目密着30/100以上80/100未満
×:碁盤目密着0/100以上30/100未満
【0162】
(5)ハードコート層の硬度の評価
実施例および比較例で得られたハードコート層用組成物A〜Sを用いてハードコートフィルムを作製し、ハードコート層の硬度の評価を行った。結果を下記表2に示す。
なお、ハードコートフィルムの形成方法は、上記「(2)ハードコート層表面の水の接触角の評価」の項に記載の方法と同様とした。
また、硬度の評価は、JIS K5400の8.4「鉛筆引っかき値」に示される測定方法および測定条件を測定し、以下の基準で評価した。ハードコート層として実用可能な評価範囲は◎、○である。
◎:鉛筆硬度2H以上である。
○:鉛筆硬度H以上2H未満である。
△:鉛筆硬度F以上H未満である。
×:鉛筆硬度HB以下である。
【0163】
(6)ハードコート層のカール性の評価
実施例および比較例で得られたハードコート層用組成物A〜Sを用いてハードコートフィルムを作製し、ハードコート層のカール性の評価を行った。結果を下記表2に示す。
なお、ハードコートフィルムの形成方法は、上記「(2)ハードコート層表面の水の接触角の評価」の項に記載の方法と同様とした。ハードコート層として実用可能な評価範囲は○および△である。
また、カール性の評価は、10cm×10cmにカットしたハードコートフィルム端部の浮き上がり度合の状態を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
○:浮き上がりが20mm未満である。
△:浮き上がりが20mm以上40mm未満である。
×:浮き上がりが40mm以上である。
【0164】
(7)気泡発生評価
実施例および比較例で得られたハードコート層用組成物A〜Sを用いてハードコートフィルムを作製し、気泡発生の評価を行った。結果を下記表2に示す。
なお、ハードコートフィルムの形成方法は、上記「(2)ハードコート層表面の水の接触角の評価」の項に記載の方法と同様とした。ハードコート層として実用可能な評価範囲は△〜◎である。
また、気泡発生の評価は、液状充填剤として下記組成の成分を混練機を用いて混練してポリウレタンを骨格に持つ(メタ)アクリレートオリゴマーを有する液状充填剤を準備し、準備した上記液状充填剤をハードコート層上に30μm間隙のアプリケータを用いて塗布し、イナートボックスによる窒素雰囲気下で、紫外線を積算光量が4000mJ/cmになるように照射して塗膜を硬化させることにより、膜厚20μm〜30μmの液状充填剤層を形成した。
次いで、液状充填剤層とハードコート層との界面に生じた気泡の数を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
◎:気泡がほとんどない。
○:気泡がわずかに存在する。
△:気泡が存在する。
×:気泡が非常に多い。
【0165】
(液状充填剤の組成)
・ポリウレタンアクリレート(日本合成化学工業(株)製 紫光UV-3000B) 59質量部
・イソボルニルアクリレート(大阪有機化学工業(株)製IBXA) 36質量部
・光重合開始剤(ランベルティ社製 エサキュアone) 5質量部
【0166】
(8)樹脂の水の接触角測定
下記の樹脂について水の接触角測定を行った。
また、上記水の接触角の測定方法は、上記「2.疎水性光硬化性樹脂」の項に記載の疎水性の判断方法に従って試験用ハードコート層を形成し、その表面の水の接触角の測定を行った。結果は以下の通りである。
東亞合成(株)製のアロニックスM−305(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート)、アロニックスM−309(トリメチロールプロパントリアクリレート)、アロニックスM−510(多塩基酸変性アクリルオリゴマー)、アロニックスM−240(ポリエチレングリコール(n≒4)ジアクリレート)およびアロニックスM−403(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)の水の接触角は、それぞれ、65.3°、67.1°、64.2°、62.7°および66.4°であった。
新中村化学工業(株)製のNKエステルATM−4E(EO変性(n≒4)テトラアクリレート)およびNKエステルATM−35E(EO変性(n≒35)テトラアクリレート)の水接触角は、それぞれ64.2°および54.4°であった。
共栄社化学株式会社製のライトアクリレート9EG−A(ポリエチレングリコール(n≒9)ジアクリレート)およびライトアクリレート14EG−A(ポリエチレングリコール(n≒14)ジアクリレート)は、それぞれ55.5°および53.4°であった。
また、上記合成例1で得られた合成ポリマー1の水の接触角は、72.9°であった。
【0167】
【表2】
【0168】
表1および表2の結果より、上記疎水性光硬化性樹脂と上記フッ素系界面活性剤として上記特定のフッ素系界面活性剤との両者を含有する実施例では、液状充填剤の塗布時の気泡の発生が少なく、硬度に優れたハードコート層が形成可能であることが確認できた。
実施例1と実施例2との比較より、上記フッ素系界面活性剤として、パーフルオロエチレンオキサイドよりパーフルオロカルボン酸塩を含むことで、少量の添加量で同等の表面の水の接触角のハードコート層を形成可能であることが確認できた。
実施例3と実施例6〜9との比較より、上記シリカ微粒子として上記表面処理シリカ微粒子を含有することで、硬度に優れたハードコート層を形成可能であることが確認できた。
実施例6と比較例3との比較より、上記疎水性光硬化性樹脂および上記フッ素系界面活性剤として上記特定のフッ素系界面活性剤と、上記表面処理シリカ微粒子とを組み合わせて用いることにより、液状充填剤の濡れ性および面質の両者に優れ、さらに硬度に優れたハードコート層を形成可能であることが確認できた。
実施例1および実施例2と、実施例10および実施例11との比較より、上記非光硬化性樹脂を含有することで、硬化収縮によるカールの発生を抑制できることが確認できた。
実施例1と実施例12との比較より、上記親水性樹脂を含むことで、表面の水の接触角の小さいハードコート層を形成できることが確認できた。
【符号の説明】
【0169】
1…基材
2…ハードコート層
3…露光光
11…偏光板
12…液晶セル
20…液晶表示部
21…充填剤層
22…カバーフィルム
30…液晶表示装置
図1
図2