(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る洗濯乾燥機の斜視図であり、蓋体を閉じた状態を示す。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る洗濯乾燥機のA−A断面図を示す。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る洗濯乾燥機の斜視図であり、蓋体を開いた状態を示す。
【
図4】本発明の第一実施形態に係る洗濯乾燥機の部分斜視図であり、蓋体の回転支点の構成を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示す、
図1のB−B断面図である。
【
図6】本発明の第一実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示す、
図1のB−B断面図であり、操作ハンドルを操作した状態を示す。
【
図7】本発明の第一実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示し、
図4におけるK部の拡大部分斜視図である。
【
図8】本発明の第一実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示し、
図4におけるK部の拡大部分斜視図であり、操作ハンドルを操作した状態を示す。
【
図9】本発明の第一実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示し、
図7におけるD−D断面図を示す。
【
図10】本発明の第一実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示し、
図7におけるD−D断面図であって操作ハンドルを操作した状態を示す。
【
図11】本発明の第一実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示し、
図1のE−E断面図であって、蓋体を閉じた状態を示す断面図である。
【
図12】本発明の第一実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示し、
図1のE−E断面図であって、操作ハンドルを操作した状態を示す。
【
図13】本発明の第一実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示し、
図1のE−E断面図であって、蓋体を開いた状態を示す断面図である。
【
図14】本発明の第二実施形態に係る洗濯乾燥機の斜視図であり、蓋体を閉じた状態を示す。
【
図15】本発明の第二実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示し、
図1のE−E断面図である。
【
図16】本発明の第三実施形態に係る洗濯乾燥機の正面図である。
【
図17】本発明の第三実施形態に係る洗濯乾燥機の正面部分拡大図である。
【
図18】本発明の第三実施形態に係る洗濯乾燥機の
図17におけるF−F断面図である。
【
図19】本発明の第三実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示す部分拡大図である。
【
図20】本発明の第三実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示す部分拡大図である。
【
図21】本発明の第四実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示す斜視図である。
【
図22】本発明の第五実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示す
図1のE−E断面図である。
【
図23】本発明の第五実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋体係止手段の構成を示す
図1のE−E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。
【0013】
図1から
図4は、本発明の第一実施形態に係るもので、
図1、
図3、
図4は洗濯乾燥機の斜視図、
図2は
図1におけるA−A断面図を示し、説明のために水受け槽である円筒状の水槽3と回転ドラム11の一部を仮想的に破断して図示している。
【0014】
また、以下の説明において、上下左右前後の方向は
図1中に示す上下左右前後の方向を基準とする。
図1は蓋体7を閉じた状態であり、
図3と
図4は蓋体7を開いて投入口8から衣類6を出し入れする際の状態である。本実施形態において蓋体7は正面からみて円形である。
【0015】
<本体側概略構成>
ベース1には、ばねと減衰とを備えた支持手段2を介して水槽3が弾性支持されている。ベース1の上部には鋼板と樹脂成形品で組合わされて構成された外枠4(筐体)が載せられて洗濯乾燥機本体5となしている。外枠4の正面には衣類6を出し入れするドアである蓋体7と前面カバー9及び背面には背面カバー10が設けられている。
【0016】
<水槽>
水槽3の内部には衣類6を入れて洗濯、脱水を行なう円筒状の回転する回転ドラム11が設けられ、回転ドラム11の前端側には内部に同心に設けた複数の層に流体を閉じ込めた流体バランサ12が設けられて、回転ドラム11と一体に回転することで衣類6のアンバランスによる回転ドラム11の振動を低減する構成である。回転ドラム11は、側壁に遠心脱水用の多数の小孔(図示せず)を有し、ドラムモータ13によって回転する。
【0017】
<排水弁>
水槽3の底面には排水弁14を介して排水管15が接続されており、水槽3内の洗濯水を排水できる。水槽3には乾燥風路16が接続されており、水槽3内の湿り空気を排出して、図示しない例えばヒータや送風手段を備えた乾燥手段によって乾燥させる。
【0018】
<給水電磁弁>
洗濯乾燥機本体5の背面近傍の上面には、給水栓17が設けられており、水道管を接続して洗濯乾燥機本体5に対して給水を行う。
【0019】
洗剤投入口19に投入された粉末洗剤、柔軟剤、ないし液体洗剤を水槽3内に供給する際には、給水電磁弁18を開くことで給水栓17から、給水電磁弁18と洗剤投入口19とを接続した第一の給水管20を経由して、水道水を給水して洗剤を溶かし、水槽3と接続された第一の洗剤供給管21を経由して水槽3の内部に供給される。
【0020】
<操作パネル>
外枠4の上面の前面側の一部は例えば電源のオンオフや洗濯、乾燥などの運転コースを選択するスイッチや表示類が設けられた操作パネル22であり、他の一部は開閉可能に設けられた洗剤投入口19である。
【0021】
その構成は従来からある洗濯機ないし洗濯乾燥機と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0022】
<蓋ヒンジ>
蓋体7は蓋周囲分割面23の一部を分割して設けられた所謂ヒンジである蓋支点手段24のまわりに回転自在に軸支されており、例えば90°程度開放できる構成である。
【0023】
蓋支点手段24は洗濯乾燥機本体5に設けられたヒンジブラケット25の円筒状をなしたヒンジピン26と、蓋体7に設けたピン受け穴27と嵌合するよう組み付けることで、蓋体3は回転自在に軸支される。
【0024】
<蓋体構成>
蓋体7の蓋支点手段24の対面側には、蓋体係止手段28が設けられており、蓋体7を閉じ位置でロックおよびロック解除する係止フック29と、さらに、係止フック29のロックを外すよう作用する操作ハンドル30が設けられている。蓋体7の裏面側は、蓋体7を閉じた際に、投入口8の内周に沿って設けられたゴム製のシールパッキンであるベローズ31と全周にわたって接触して水封しつつ閉止する、内側に凸したドアガラス32が設けられている。さらに蓋周囲分割面23の一部であって操作ハンドル30の近傍は操作凹部33として手指を挿入しやすく、操作ハンドル30が操作しやすい構成としており、その詳細については後述する。
【0025】
図4は、蓋体7を外枠4から取り外して示した分解斜視図である。
図4(A)は蓋体3、
図4(B)は洗濯乾燥機本体5の投入口8近傍のみを示す部分斜視図である。
【0026】
蓋体7は前面を構成する円形のドアカバー36と、外周を前記ドアカバー36と略同一径とし蓋体7の背面をなすリング状の第一のフタフレーム35と、第一のフタフレーム35の内周部から背面に向けて突出したドアガラス32と、蓋体7の開き動作の際に操作する操作ハンドル30と、蓋体7を閉止した際にはロックされ、操作ハンドル30の操作と連動してロック解除される係止フック29を備えた蓋体係止手段28と、さらに詳細は後述するが係止フック29をロック解除位置で保持する係止阻害手段34とが設けられる。
【0027】
<ベローズ>
水槽3のドアガラス32と近接した側には柔軟なゴムなどで作られたリング状のベローズ31が設けられ、ベローズ31の内周はドアガラス32と接するよう構成することで水封を保って密閉する。
【0028】
<係止フック>
先に説明したように、蓋体7には先端を鉤ツメ形状とした係止フック29と操作ハンドル30が設けられている。洗濯乾燥機本体5には、前記係止フック29と噛み合って蓋体7をロックするロック受け手段37が設けられて蓋体係止手段28をなし、蓋体7をロックすることによってドアガラス32とベローズ31とを確実に密着させて水漏れの発生を防止するとともに、洗濯工程、あるいは乾燥工程中で回転ドラム11が回転中に蓋体7が開かないように確実に保持している。またさらに、洗濯工程や脱水工程などの運転中に係止フック29が開かないようロックするロック機能を少なくとも備えた係止フック制御手段38を備えている。
【0029】
<係止フック状態の定義>
本実施形態における係止フック29の状態ないし動作を、下記のように表記するものとする。
1.係止状態:係止フック29がロック受け手段37と噛み合って、蓋体7を閉止した状態。
2.係止可能状態:蓋体7を閉じれば係止フック29がロック受け手段37と噛み合って係止状態に遷移可能な状態。
3.解除状態:係止フック29が開放位置にあり、蓋体7を閉じても係止フック29がロック受け手段37と噛み合わず、蓋体7を開放可能な状態。
4.係止動作:係止フック29をロック受け手段37に掛けて蓋体7を閉止する動作。
5.解除動作:係止フック29を係止位置から解除位置に移動して、蓋体7を開放可能な状態に遷移する動作。
6.阻害動作:係止フック29の解除状態を維持し、係止フック29が係止可能状態となることを阻害する動作。
7.阻害状態:係止フック29が係止するのを阻害している状態。
【0030】
<操作ハンドル>
次に、蓋体7の開き動作の際に操作する操作ハンドル30と、操作ハンドル30の操作と連動して「解除動作」を行う係止フック29と、係止フック29に対して「阻害動作」を行って係止フック29を「解除状態」とする係止阻害手段34の構成について、
図1から
図13を用いて説明する。
【0031】
<操作ハンドル凹部形状>
図1および
図3、
図4において、蓋周囲分割面23の操作ハンドル30と隣接した部分は奥側に向けて凹んだ操作凹部33となっており、その操作凹部33は投入口8の近傍まで延伸されている。
【0032】
図5と
図6により操作ハンドル30と操作凹部33の構成の詳細について説明する。
図5と
図6とは、
図1におけるB−B断面図であり、蓋体7を閉じた際の操作ハンドル30部分の断面構成を図示している。
【0033】
図5は操作ハンドル30を操作して蓋体7を開放しようとして、操作ハンドル30の奥面側すなわち図示下方にまで操作凹部33に手指を挿入した状態を示す。
【0034】
<フタ操作ハンドル>
次に、
図6に示すように操作ハンドル30を前方に引くことにより、操作ハンドル30は前方に移動して、操作ハンドル30と連動して後述するように係止フック29は「解除動作」を行い、ロックを解除して蓋体7を開放できる。
【0035】
次に、
図7から
図13を用いて、
図5と
図6で説明した操作ハンドル30の動作と連動した係止フック29と係止阻害手段34の構成と動作について説明する。
図7と
図8は蓋体7の構成の一部を示す部分斜視図で
図4(A)におけるK部の拡大図であって、第一のフタフレーム35を取り外した状態で操作ハンドル30と係止フック29と係止阻害手段34の構成の詳細を示す。
【0037】
操作ハンドル30は
図4(A)にも示すように、概ね蓋体7の外周と同心のリング形状の一部分をなし、蓋体7の裏面側および円筒形状の側面に沿って設けられ、その半径方向の断面形状は
図5ないし
図6に示される。係止フック29は蓋支点手段24に対して蓋体7の対面側にあり、蓋支点手段24の回動軸であるヒンジピン26ないしピン受け穴27で構成される回転軸に直交した蓋体7の最大直径部を含んだ面内に設けられる。
【0038】
操作ハンドル30はドアカバー36の外周に沿って係止フック29に近接する方向に延長され、その延長部分には操作ハンドル30を揺動自在に軸支する第一の支軸39が設けられる。操作ハンドル30は第一の支軸39よりもさらに操作ハンドル30の反対側にまで延長され、係止フック操作部40をなす。
【0039】
係止フック29は第一のフタフレーム35に対して係止フック29をロック時である「係止状態」とロック解除時である「解除状態」との間で揺動自在に軸支する第二の支軸41が設けられる。第二の支軸41にはネジリバネ42が同軸に設けられており、係止フック29と洗濯乾燥機本体5に設けられたロック受け手段37とを噛み合わせて蓋体7を閉止位置でロックする方向に付勢している。係止フック操作部40が係止フック29の一部を延伸した受け部43に作用することで、操作ハンドル30を操作すると係止フック29が開いて「解除動作」を行うことができる。
【0040】
図7と
図9と
図11は
図5と同様に係止フック29がロック受け手段37と嵌合して蓋体7が閉止した「係止状態」を示す。
【0041】
<係止阻害手段>
操作ハンドル30の係止フック29から離反した側には、係止阻害手段34が設けられている。係止阻害手段34は、操作ハンドル30の一部を延伸した突起であるストッパ部44と、概ねドアカバー36の外周に沿ってスライド自在に支持されたスライダ45と、スライダ45をストッパ部44に向けて付勢する押しバネ46とを備えている。
【0042】
スライダ45のストッパ部44に近接した一端は、第一のフタフレーム35から離反する方向に屈曲して延伸された一端部50をなし、スライダ45の他端はドアカバー36外周の円筒面に開口した操作スリット47を通して外周に向けて凸した操作凸部48としている。
【0043】
<係止状態>
押しバネ46の押圧によってスライダ45の一端部50はストッパ部44の端面49に当接しており、操作ハンドル30は第一の支軸39のまわりに回動可能な状態である。スライダ45は押しバネ46を圧縮しつつ矢印方向、すなわち操作ハンドル30から離反する方向に移動した状態であり、操作凸部48も操作スリット47に沿って矢印方向に移動している。
【0044】
係止フック29は、先端の鉤ツメ形状の方向に移動しており、蓋体7を閉じればロック受け手段37と噛合って「係止状態」となる。
【0045】
<フタ開・解除動作>
衣類6の出し入れの際に蓋体7を閉止状態から開く際には、
図5から
図6に示すように操作ハンドル30を操作する。
【0046】
図8と
図10と
図12は
図6と同様に操作ハンドル30が操作されて、操作ハンドル30の第一の支軸39の反対側に延長された係止フック操作部40が係止フック29側に近接するように動作する。
図10に示すように係止フック操作部40は係止フック29の一端である受け部43を押して係止フック29を矢印方向、すなわち開く方向に回動して、ロック解除した「解除状態」となる。さらに操作ハンドル30部を手前側に引けば、係止フック29とロック受け手段37との係合は解除されたままなので、
図13に示すように蓋体7を手前に開くことができる。すなわち係止フック29を係止状態から開いて解除状態に移行して、蓋体7を開放可能な状態に移行する「解除動作」を行う。
【0047】
<阻害動作>
操作ハンドル30の一端に設けられたストッパ部44も操作ハンドル30とともに回動し、端面49はスライダ45の一端部50との当接が外れ、スライダ45は押しバネ46の押圧によって操作ハンドル30に近接する方向に移動する。このとき、スライダ45のうち一端部50に隣接した阻害部51が操作ハンドル30のストッパ部44に乗り上げるよう配置している。
【0048】
ここで、操作ハンドル30から手を離して操作ハンドル30に加えた開き力が無くなったとしても、操作ハンドル30はスライダ45の阻害部51がストッパ部44に乗り上げているので、操作ハンドル30を手前側に引いて係止フック29が開いた「解除状態」のままで保持される。すなわちスライダ45の阻害部51は、係止フック29の解除状態を維持し、係止フック29が係止可能状態となることを阻害する「阻害動作」を行う。すなわち、
図13に示すように蓋体7を開放して操作ハンドル30から手を離しても、係止フック29は破線で示した係止位置には復帰することなく、開放された「解除状態」を維持する。
【0049】
この「解除状態」のままで蓋体7を閉じたとしても、係止フック29は開いた「解除状態」のままで保持されているから係止フック29がロック受け手段37に対して係合されることはなく、蓋体7が閉じ位置であってもロックがかからない。
【0050】
<解除動作・係止可能状態>
次に係止フック29を「解除状態」から係止状態に以降可能な「係止可能状態」を経て、蓋体7を閉止した「係止状態」とする構成について説明する。
【0051】
図8、
図10ないし
図12に示した「解除状態」から、操作スリット47に沿って操作凸部48を操作ハンドル30から離反する方向に移動させると、スライダ45は押しバネ46の押圧に抗いつつ移動して阻害部51がストッパ部44から外れる。すると、ネジリバネ42の生じるトルクによって係止フック29と操作ハンドル30は回動して
図7、
図9に示した状態となる。
【0052】
この状態は、そのまま蓋体7を閉止すれば係止フック29がロック受け手段37に係って係止された「係止状態」に遷移できる状態なので「係止可能状態」と称する。
【0053】
さらに蓋体7を閉じて力を加えてさらに押込めば、
図11に示すように係止フック29はネジリバネ42の付勢力に抗って第二の支軸41のまわりに回動した後にロック受け手段37と噛合って蓋体7はロックされて閉止され、「係止状態」となる。
【0054】
<解除状態>
すなわち、衣類6を出し入れするために操作ハンドル30を操作して蓋体7を開くと係止フック29が開いたままの「解除状態」となるので、その後蓋体7を閉じてもロックがかからない。したがって、蓋体7は僅かな力で開閉することができ、換言すれば回転ドラム11の内側からであっても軽微な力で容易に開放することができ、使いやすく信頼性の高いドラム式洗濯乾燥機を提供できる。さらに、子供等が誤使用してドラム内に入った状態で閉じ込められる危険性が低減できる。
【0055】
<洗濯時ロック>
一方、洗濯を開始する際には、衣類6を投入口8から回転ドラム11内に投入した後、操作凸部48を操作してスライダ45を移動することで操作ハンドル30と係止フック29とを回動可能とし、係止フック29を「係止可能状態」としてから蓋体7を閉じることで、係止フック29がロック受け手段37と噛合って蓋体7はロックされて閉止され「係止状態」となるので、蓋体7が洗濯工程や乾燥工程において衣類による圧力によって開くこともなく、またベローズ31とドアガラス32による水密も維持されるので、信頼性の高いドラム式洗濯機を提供できる。
【0056】
<てこの原理により操作ハンドルの操作力が小>
図7ないし
図8により明らかなように、操作ハンドル30はリング状をなした蓋体7のドアカバー36に沿った形状とし、操作ハンドル30の回動支点である第一の支軸39は操作ハンドル30と略直交して概ねドアカバー36の半径方向に設けられている。操作ハンドル30の第一の支軸39に対して反対側には係止フック操作部40が設けられており、係止フック29に作用してロック解除動作を行う。ここで、操作ハンドル30には
図5ないし
図6に示すように手指をかけて蓋体7の開き動作を行うので、その手指から加わる力は概ね操作ハンドル30の中央部のM部に加わるので、第一の支軸39からの距離はL1となる。一方、第一の支軸39から係止フック操作部40までの距離L2をL1>L2となるよう配置すれば、係止フック操作部40に加わる力は手指からM部に加わる力のL1/L2(>1)倍に拡大される。すなわち、手指に加わる力が低減されるために、蓋体7の開き力が低減し操作性が向上するので好都合である。
【0057】
<操作ハンドル先端に阻害スライダ>
操作ハンドル30先端で第一の支軸39から最も遠方に設けたストッパ部44にスライダ45の阻害部51が作用するよう配置したので、
図8に示す「解除状態」においてストッパ部44から阻害部51に加わる力は最小であり、「解除動作」におけるスライダ45の動作時にストッパ部44から受ける摩擦力も最小となるのでスライダ45の動作が安定であり操作しやすく、信頼性の高いドラム式洗濯機を提供できる。
【0058】
<第二実施形態>
次に、
図14と
図15により第二実施形態について説明する。
図14は洗濯乾燥機の斜視図であり、
図15は第二実施形態における蓋体7を回転ドラム11の内側から見た斜視図であり、
図15(A)は「係止状態」ないし「係止可能状態」を示し、
図15(B)は「解除状態」を示している。
【0059】
第二実施形態が第一実施形態と異なるところは、操作凹部33を備えておらず、操作ハンドル30の形態が異なっていて操作ハンドル30が蓋体7よりも前方に突出して設けられており、操作ハンドル30の回動支点である第一の支軸39が概ねドアカバー36の外周に沿って設けられていることである。
図15(A)において、スライダ45の一端部50は操作ハンドル30のストッパ部44の端面49に当接しており、操作ハンドル30を操作すると係止フック操作部40が係止フック29の一部を延伸した受け部43に作用することで、操作ハンドル30を操作すると係止フック29が開いて「解除動作」を行うことができる。
【0060】
<解除動作>
操作ハンドル30を操作すると、
図15(B)に示すように、押しバネ46の付勢力によってスライダ45の最も操作ハンドル30に近接した側である阻害部51がストッパ部44と第一のフタフレーム35との間に入り込んで操作ハンドル30を開放動作したままの位置で維持するので、第一実施形態における
図8と同様に係止フック29が開いたままの「解除状態」となる。
【0061】
<解除状態>
第二実施形態においても、第一実施形態と同じように、衣類6を出し入れするために操作ハンドル30を操作して蓋体7を開くと係止フック29が開いたままの「解除状態」となるので、その後蓋体7を閉じてもロックがかからない。したがって、蓋体7は僅かな力で開閉することができ、換言すれば回転ドラム11の内側からであっても軽微な力で容易に開放することができ、使いやすく信頼性の高いドラム式洗濯乾燥機を提供できる。さらに、子供が誤使用してドラム内に入った状態で閉じ込められる危険性が低減できる。
【0062】
<洗濯時ロック>
一方、洗濯を開始する際には、衣類6を投入口8から回転ドラム11内に投入した後、操作凸部48を操作してスライダ45を
図15(A)に示した位置に移動することで操作ハンドル30と係止フック29とを回動可能とし、係止フック29を「係止可能状態」としてから蓋体7を閉じることで、係止フック29がロック受け手段37と噛合って蓋体7はロックされ閉止されるので、蓋体7が洗濯工程や乾燥工程において衣類による圧力や水圧によって開くこともなく、またベローズ31とドアガラス32による水密も維持されるので、信頼性の高いドラム式洗濯機を提供できる。
【0063】
<第三実施形態>
図16から
図20を参照して、第三実施形態について説明する。
図16は洗濯乾燥機の正面図であり、
図17は蓋体係止手段28近傍の拡大正面図、
図18は
図17におけるF−F断面図、
図19と
図20とは
図17における係止フック制御手段38近傍の部分拡大図であって、
図19は係止レバー52が閉じた状態にある「係止状態」を示し、
図20は係止レバー52が開いた状態にある「開放状態」を示している。
【0064】
次に、第三実施形態における蓋体係止手段28の構成について説明する。第三実施形態が第一実施形態および第二実施形態と異なるところは、蓋体係止手段28は蓋体7にロック受け手段37が固定して設けられ、洗濯乾燥機本体5にスライド自在であり、かつロック受け手段37との間で「係止状態」と「解除状態」とを遷移可能な係止レバー52と、蓋体7のロック状態を解除するための操作ボタン53とを備え、操作ボタン53と係止レバー52とが連動するよう構成している。
【0065】
蓋体係止手段28の構成を詳細に説明する。
【0066】
蓋体係止手段28は、上下方向に移動自在に支持された操作レバー54と、この操作レバー54に連動して蓋体7に設けられたロック受け手段37との間で係止または開放する動作を行う左右方向に移動自在に支持された係止レバー52と、この係止レバー52が移動する方向に押圧するスプリング55を備えている。
【0067】
カバー上面56から突出した操作レバー54の上端には接続部57を介して、操作ボタン53(
図17参照)の押動動作に連動して動く接続ロッド58の先端が接続されている。操作レバー54はカバー上面56と接してフランジ状に拡幅された阻止部59を備えている。
【0068】
カバー上面56と接して左右方向に移動自在に支持されたスライダ45が設けられ、スライダ45の左端は押しバネ46の付勢力によって阻止部59の右側面に当接している。
【0069】
係止レバー52に設けられたピン60が、操作レバー54に設けられた斜面61とスライド自在に接している。これにより、操作ボタン53の押動動作に連動して接続ロッド58が上下動すると、係止レバー52が蓋体7のレバー受け手段62を係止(
図19)または開放(
図20)するように移動して、「係止状態」と「解除状態」とを切り替える。
【0070】
図20に示すように操作ボタン53が操作されて接続ロッド58が上方に移動すると、操作レバー54も上方に移動し、ピン60を介して係止レバー52が右方に移動してロック受け手段37との係止が外れ、蓋体7は開放可能な「解除状態」となる。一方、阻止部59は操作レバー54とともに上方に移動するので、カバー上面56との間に隙間が生じる。その隙間にスライダ45が挿入されることで、操作ボタン53から手を離しても操作レバー54は下方への移動が阻止されて「解除状態」のまま保持される。
【0071】
スライダ45の一部を前方に向けて凸した形状とし、その部分を前面カバー9に設けたスリットから前方に凸して操作者が操作可能とし、
図20に示したスライダ45を操作者が右方に移動すれば、スライダ45は阻止部59の下面から抜去され、その結果として
図19に示すように操作レバー54は下降して係止レバー52が左方に移動し、レバー受け手段62との間でロックを掛けることが可能な「係止可能状態」となる。この状態で蓋体7を閉じれば、ロックが掛って「係止状態」となる。
【0072】
第三実施形態においても、第一実施形態ないし第二実施形態と同じように、衣類6を出し入れするために操作ボタン53を操作して蓋体7を開くと係止レバー52が開いたままの「解除状態」となるので、その後蓋体7を閉じてもロックがかからない。したがって、蓋体7は僅かな力で開閉することができ、換言すれば回転ドラム11の内側からであっても軽微な力で容易に開放することができ、使いやすく信頼性の高いドラム式洗濯乾燥機を提供できる。さらに、子供等が誤使用してドラム内に入った状態で閉じ込められる危険性が低減できる。
【0073】
<第四実施形態>
図21を参照して、第四実施形態について説明する。
図21は第四実施形態における蓋体7を回転ドラム11の内側から見た斜視図であり、
図21(A)は「係止状態」ないし「係止可能状態」を示し、
図21(B)は「解除状態」を示している。
【0074】
第四実施形態が第二実施形態と異なるところは、スライダ45は係止フック29に隣接して設けられており、操作ハンドル30が操作されて係止フック29が開いた状態となった際に、スライダ45に設けられた阻害部51は係止フック29に作用して「係止状態」となることを阻止し、「解除状態」を維持するよう構成されていることである。
【0075】
第四実施形態においても、第一実施形態から第三実施形態と同じように、衣類6を出し入れするために操作ボタン53を操作して蓋体7を開くと係止フック29が開いたままの「解除状態」となるので、その後蓋体7を閉じてもロックがかからない。したがって、蓋体7は僅かな力で開閉することができ、換言すれば回転ドラム11の内側からであっても軽微な力で容易に開放することができ、使いやすく信頼性の高い洗濯乾燥機を提供できる。さらに、子供等が誤使用してドラム内に入った状態で閉じ込められる危険性が低減できる。
【0076】
<第五実施形態>
図22と
図23により、第五実施形態について説明する。
図22と
図23は第四実施形態における
図1のE−E断面図であり、
図22は係止フック29がロックされた「係止状態」を示し、
図23は係止フック29のロック動作が阻害されてロックされない「阻害状態」を示している。
【0077】
図22において、係止フック制御手段38はさらに係止フック29による係止動作を制御する移動片63を備え、
図22のように移動片63が左方すなわち蓋体7に近接する方向に移動した際には移動片63は係止フック29の先端に作用しないので、係止フック29はロック受け手段37に嵌合して蓋体7はロックされる。一方、
図23に示すように移動片63が右方すなわち係止フック29先端に作用した際には、係止フック29とロック受け手段37とは嵌合しない配置関係となる。
【0078】
例えば、洗濯ないし脱水の一連の工程が完了した際に、移動片63を
図23に示したように移動した後に電源を切断すれば、移動片63は電源を切断されたままの位置で留まるので、その後蓋体7を開いて衣類6を取り出した後に再度蓋体7を閉じたとしても係止フック29はロック受け手段37とは嵌合しないので、蓋体7はロックされることがなく「阻害状態」となる。したがって、蓋体7は僅かな力で開閉することができ、換言すれば回転ドラム11の内側からであっても軽微な力で容易に開放することができ、使いやすく信頼性の高いドラム式洗濯乾燥機を提供できる。さらに、子供等が誤使用してドラム内に入った状態で閉じ込められる危険性が低減できる。
【0079】
一方、電源が投入された際に移動片63が
図22の位置に移動するよう係止フック制御手段38を構成すれば、電源を投入した後には係止フック29をロック受け手段37に嵌合して蓋体7をロックすることができる。
【0080】
このような係止フック制御手段38の構成の一例としては、移動片63をソレノイドのような電磁アクチュエータで移動する構成や、モータと減速歯車を用いた電動アクチュエータで移動する構成など、適宜な公知技術の組み合わせによって構成することができる。
【0081】
<効果>
本発明によれば、洗濯機が運転中の洗濯工程や脱水工程中には蓋体が開くことのないよう閉止位置で確実に蓋体を閉止できるとともに、洗濯工程ないし乾燥工程の終了後に移動片63を移動して係止フック29のロックを解除してから電源を切断するように構成すれば、係止フック29が開いたままの「解除状態」を維持するので、その後蓋体7を閉じてもロックがかからない。したがって、蓋体7は僅かな力で開閉することができ、換言すれば回転ドラム11の内側からであっても軽微な力で容易に開放することができ、使いやすく信頼性の高いドラム式洗濯乾燥機を提供できる。さらに、子供等が誤使用してドラム内に入った状態で閉じ込められる危険性が低減できる、という効果がある。
【0082】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。変形例として、以下の構成が挙げられる。
【0083】
変形例1として、衣類の洗濯および/または乾燥を行うドラム式洗濯乾燥機であって、衣類を収容するドラムと、前記ドラムを支持する筐体と、閉止位置から全開位置までの所定の角度を開閉自在に軸支され、衣類を出し入れする投入口を開閉する、前記筐体に設けられた蓋体と、前記蓋体を閉止位置でロック可能な係止可能状態と、ロックを解除して前記蓋体が開閉可能な解除状態との間を遷移自在な蓋体係止手段と、を備え、前記蓋体係止手段が前記解除状態から前記係止可能状態への遷移を阻害する係止阻害手段をさらに備えたことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機がある。
【0084】
変形例2として、変形例1に記載のドラム式洗濯機において、前記係止阻害手段の作用を解除して、前記蓋体係止手段を前記解除状態から前記係止可能状態に遷移する阻害解除手段をさらに設けたことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機がある。
【0085】
変形例3として、変形例1および変形例2に記載のドラム式洗濯機において、前記蓋体係止手段を前記係止可能状態から前記解除状態に遷移して前記蓋体を閉止位置から開放するよう作用する開操作ハンドルをさらに備え、前記蓋体の閉止位置において、前記開操作ハンドルの操作と連動して、前記蓋体係止手段は前記係止可能状態から前記解除状態に遷移するとともに、前記係止阻害手段は、前記蓋体係止手段が前記解除状態から前記係止状態に遷移することを阻害することを特徴とするドラム式洗濯乾燥機がある。
【0086】
変形例4として、衣類の洗濯および/または乾燥を行うドラム式洗濯乾燥機であって、衣類を収容するドラムと、前記ドラムを支持する筐体と、閉止位置から全開位置までの所定の角度を開閉自在に軸支され、衣類を出し入れする投入口を開閉する、前記筐体に設けられた蓋体と、前記蓋体を閉止位置でロック可能な係止可能状態と、ロックを解除して前記蓋体が開閉可能な解除状態との間を遷移自在な蓋体係止手段と、を備え、前記蓋体係止手段を解除状態で維持する解除状態維持手段をさらに備えたことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機がある。
【0087】
変形例5として、変形例4に記載のドラム式洗濯機において、前記蓋体係止手段を前記解除状態から前記係止可能状態に遷移する状態遷移手段をさらに設けたことを特徴とするドラム式洗濯乾燥機がある。
【0088】
変形例6として、変形例4および変形例5に記載のドラム式洗濯機において、前記蓋体係止手段を前記係止可能状態から前記解除状態に遷移して前記蓋体を閉止位置から開放するよう作用する開操作ハンドルをさらに備え、前記蓋体の閉止位置において前記開操作ハンドルの操作と連動して、前記蓋体係止手段は前記係止可能状態から前記解除状態に遷移するとともに、前記解除状態維持手段は前記蓋体係止手段を前記解除状態のまま維持することを特徴とするドラム式洗濯乾燥機がある。
【0089】
また本実施形態においては蓋体7は洗濯乾燥機本体5の左側に開放する構成であるとしたが、右側に開放する左右対称の構成であってもよい。
【0090】
また本実施形態においては操作ハンドル30と係止フック29とは別体として、操作ハンドル30の操作に応じて係止フック29が開放するよう構成したが、そのような構成に限定されるものではなく、操作ハンドル30と係止フック29とは一体とした構成であってもよい。