(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
造影された冠動脈を含む左心室をCT装置により撮像して得られた冠動脈CT画像と、前記冠動脈CT画像の撮像から所定の遅延時間が経過した後に、造影された心筋梗塞部を含む左心室をCT装置により撮像して得られた遅延造影CT画像と、を用いた差分処理を行って差分画像を生成する画像処理方法であって、
前記冠動脈CT画像と前記遅延造影CT画像とを取得し、
前記冠動脈CT画像と前記遅延造影CT画像とを判別し、
前記冠動脈CT画像と前記遅延造影CT画像との位置合わせを行い、
前記遅延造影CT画像から前記冠動脈CT画像を差し引く前記差分処理を行う、画像処理方法。
前記判別を行う際に、前記冠動脈CT画像と前記遅延造影CT画像との間で左心室を含む領域の平均画素値を比較し、又は前記冠動脈CT画像と前記遅延造影CT画像との間で画像全体の平均画素値を比較し、前記平均画素値が低い画像が前記遅延造影CT画像であると判別する、請求項1に記載の画像処理方法。
造影された冠動脈を含む左心室をCT装置により撮像して得られた冠動脈CT画像と、前記冠動脈CT画像の撮像から所定の遅延時間が経過した後に、造影された心筋梗塞部を含む左心室をCT装置により撮像して得られた遅延造影CT画像と、を用いた差分処理をコンピューターに実行させて差分画像を生成する画像処理プログラムであって、前記コンピューターに、
前記冠動脈CT画像と前記遅延造影CT画像とを判別する判別処理と、
前記冠動脈CT画像と前記遅延造影CT画像との位置合わせを行う位置合わせ処理と、
前記遅延造影CT画像から前記冠動脈CT画像を差し引く前記差分処理を実行させる、画像処理プログラム。
造影された冠動脈を含む左心室をCT装置により撮像して得られた冠動脈CT画像と、前記冠動脈CT画像の撮像から所定の遅延時間が経過した後に、造影された心筋梗塞部を含む左心室をCT装置により撮像して得られた遅延造影CT画像と、を用いた差分処理を行って差分画像を生成する画像処理装置であって、
前記冠動脈CT画像と前記遅延造影CT画像とを取得する取得部と、
前記冠動脈CT画像と前記遅延造影CT画像とを判別する判別部と、
前記冠動脈CT画像と前記遅延造影CT画像との位置合わせを行う位置合わせ部と、
前記遅延造影CT画像から前記冠動脈CT画像を差し引く前記差分処理を行う差分処理部を備える、画像処理装置。
請求項9に記載の画像処理装置と、前記冠動脈CT画像と前記遅延造影CT画像とを撮像するCT装置と、前記CT装置と接続され且つ造影剤を注入する注入装置とを備える、画像処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態で説明する寸法、材料、形状、構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されるものではない。
【0016】
[第1実施形態]
図1に示す画像処理装置1は、ワークステーション又は検像システムであり、画像を処理する処理部10としても機能するCPU(制御部)と、画像処理プログラムを記憶すると共に、画像データを記憶する記憶部11とを有している。また、記憶部11は、処理部10が動作するためのシステムワークメモリであるRAM、画像処理プログラム、制御プログラム及びシステムソフトウェア等を格納するROM、及びハードディスクドライブ等を有する。
【0017】
CPUは、記憶部11に記憶されたプログラムに基づいて画像処理装置1の全体を制御する。すなわち、CPUは、記憶された制御プログラムに従って、種々の演算、制御、判別等の処理動作を実行する。なお、CPUは、CD(Compact Disc)、又はインターネット上のサーバー等の外部記憶媒体に記憶されたプログラムに従って処理動作を実行することもできる。
【0018】
画像処理装置1は、所定の指令あるいはデータを入力するキーボード、又は各種スイッチ等を含む入力部12と、CT画像、装置の入力状態、設定状態、計測結果、及び各種情報等を表示する表示部13とを備えている。なお、画像処理装置1は、入力部12及び表示部13の両者として機能するタッチパネルを備えていてもよい。
【0019】
この画像処理装置1は、第1実施形態に係る画像処理プログラムに従って各種処理を実行するコンピューターである。そのため、処理部10では、取得部14、判別部15、抽出部16、算出部17、位置合わせ部18及び差分処理部19等の各部が各種機能として論理的に実現されている。また、画像処理プログラムは、画像処理装置1を取得部14、判別部15、抽出部16、算出部17、位置合わせ部18及び差分処理部19として機能させる。この画像処理プログラムは、コンピューター読み取り可能な内部又は外部の記録媒体に記録することができる。
【0020】
また、画像処理装置1は、外部記憶装置(サーバー)としてのPACS(Picture Archiving and Communication Systems)4と無線又は有線接続している。そして、画像処理装置1は、PACS4へ情報を送信できると共に、PACS4から情報を受信できる。なお、画像処理装置1は、RIS(Radiology Information System)又はHIS(Hospital Information System)等の他の外部記憶装置と接続していてもよい。さらに、画像処理装置1はCT装置3と無線又は有線接続しており、CT装置3は造影剤の注入装置2と無線又は有線接続している。そして、CT装置3及び注入装置2は、RIS5と無線又は有線接続している。
【0021】
注入装置2は、注入プロトコルを生成すると共に、該注入プロトコルに従って被写体である患者の体内に造影剤及び生理食塩水を注入する。CT装置3は、造影された冠動脈を含む左心室を撮像して冠動脈CT画像を得る。また、CT装置3は、冠動脈CT画像の撮像から所定の遅延時間が経過した後に、造影された心筋梗塞部を含む左心室を撮像して遅延造影CT画像を得る。さらに、CT装置3は、撮像したCT画像を画像処理装置1又はPACS4に送信する。
【0022】
ここでCT画像の撮像タイミングを、
図2及び
図3を参照して説明する。
図2は、造影剤によって冠動脈が造影されるとき(冠動脈相)を含む、概略タイムデンシティカーブ(TDC)の一例を示す。
図3は、冠動脈相から所定の遅延時間が経過したとき(遅延相)を含む、概略タイムデンシティカーブの一例を示す。
図2及び
図3では、縦軸が画素値を示し、横軸が造影剤の注入開始からの経過時間を示している。
【0023】
図2では、冠動脈CT画像の撮像タイミングを縦棒で図示している。この撮像タイミングは、冠動脈が良好に造影されているタイミングであり、
図2では注入開始から28秒が経過した時点である。冠動脈は、注入開始から15〜30秒経過した時点で良好に造影される。
図3では、遅延造影CT画像の撮像タイミングを縦棒で図示している。この撮像タイミングは、心筋正常部と心筋梗塞部の画素値の差が大きくなるタイミングであり、
図3では冠動脈相から遅延時間300秒(注入開始から328秒)が経過した時点である。この遅延時間は、5〜20分が好ましい。
【0024】
図1に戻り、画像処理装置1の取得部14は、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像とをCT装置3又はPACS4から取得する。また、取得部14は、画像処理装置1の記憶部11に記憶された冠動脈CT画像と遅延造影CT画像とを取得することもできる。判別部15は、取得部14が取得した冠動脈CT画像と遅延造影CT画像とを判別し、必要に応じてCT画像に判別情報(例えば、画像の種類を示すID)を付加する。
【0025】
判別部15は、CT画像の左心室を含む領域(例えば、中央領域)又はCT画像全体における平均画素値を基準に、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像とを判別することができる。具体的に判別部15は、両CT画像を比較して、平均画素値が低い方が遅延造影CT画像であると判別する。そして、判別部15は、遅延造影CT画像であることを示す判別情報を、遅延造影CT画像に付加する。また、判別部15は、画素値とピクセル数(ボクセル数)とに基づくヒストグラムにおける、所定の画素値範囲のピクセル数(ボクセル数)を基準に判別してもよい。例えば、判別部15は、両CT画像を比較して、200HU〜500HUの範囲におけるピクセル数(ボクセル数)が少ない方が遅延造影CT画像であると判別する。
【0026】
抽出部16は、冠動脈CT画像における左心室の外輪郭(以下、単に「外輪郭」ともいう)と、遅延造影CT画像における左心室の外輪郭とを抽出する。外輪郭は心外膜の輪郭に対応し、後述する内輪郭は心内膜の輪郭に対応する。例えば、抽出部16は、CT画像に対して任意の閾値による二値化を行い、画素値が大きい領域のみを抽出することによって心臓領域のみを抽出する。そして、抽出部16は、抽出した心臓領域と他の領域との境界を外輪郭として抽出する。
【0027】
位置合わせ部18は、判別部15が判別した冠動脈CT画像と遅延造影CT画像との位置合わせを行う。具体的に位置合わせ部18は、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像との剛体位置合わせを行う。例えば、位置合わせ部18は、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像とのそれぞれの左心室の重心を特定し、両重心が一致するように冠動脈CT画像の平行移動と回転移動とを行う。なお、位置合わせ部18は、遅延造影CT画像の平行移動と回転移動とを行ってもよい。
【0028】
また、位置合わせ部18は、位置合わせを行う際に、冠動脈CT画像及び遅延造影CT画像の左心室の外輪郭同士の位置ズレが最小となるように、剛体位置合わせを行ってもよい。例えば、位置合わせ部18は、両CT画像においてグリッド状に設定された複数の制御点のうち、外輪郭上の制御点を対応点として設定する。そして、位置合わせ部18は、両外輪郭上の対応点同士の位置ズレが最小(又は所定の範囲内)となるように、冠動脈CT画像の平行移動と回転移動とを行う。外輪郭とその外側の領域との間では画素値の差が大きいため、淡い遅延造影CT画像及び濃い冠動脈CT画像のいずれにおいても外輪郭を正確に抽出することができる。そのため、正確に抽出可能な外輪郭を基準とすることで、正確に位置合わせを行うことができる。
【0029】
さらに、位置合わせ部18は、位置合わせを行う際に、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像との非剛体変形位置合わせを行うこともできる。冠動脈CT画像の左心室の形状又は大きさは、心臓の鼓動又は体動等に起因して遅延造影CT画像と異なることがある。そのため、非剛体変形位置合わせを行うことにより、一方の画像の大きさ又は形状等を変形して、他方の画像の大きさ又は形状と一致させることによって、差分処理により適した位置合わせを行うことができる。
【0030】
非剛体変形位置合わせを行う際、位置合わせ部18は、遅延造影CT画像を変形せずに冠動脈CT画像を変形する。遅延造影CT画像においては、心筋正常部と心筋梗塞部との画素値の差が冠動脈CT画像よりも大きく、心筋梗塞部の領域がより正確に撮像されている。そのため、遅延造影CT画像を変形させないことによって、差分処理によって得られた差分画像においても、心筋梗塞部の領域を正確に描出することができる。非剛体変形位置合わせは、例えば、画素値の類似性(例えば、相互情報量又は相関係数)を基準とする尺度(類似度)を用いた方法によって行われる。そして、位置合わせ部18は、類似度が最大又は所定の閾値以上となるように冠動脈CT画像を変形する。
【0031】
非剛体変形位置合わせについて、左心室の概略断面を示す
図4を参照して説明する。
図4においては、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像とは、それぞれの左心室の重心が一致するように位置合わせされた状態である。また、破線で示された遅延造影CT画像の左心室よりも、実線で示された冠動脈CT画像の左心室が小さい。さらに、冠動脈CT画像の内輪郭(内腔)の形状は、遅延造影CT画像と異なっている。
【0032】
位置合わせ部18は、両CT画像においてグリッド状に設定された複数の制御点のうち、冠動脈CT画像の外輪郭上の制御点を対応点Cとして設定する。また、位置合わせ部18は、複数の制御点のうち、遅延造影CT画像の外輪郭上の制御点を対応点Dとして設定する。そして、位置合わせ部18は、対応点Cと対応点Dとの位置が略一致するように、冠動脈CT画像の外輪郭を
図4の点線で示す位置まで拡大する。その後、位置合わせ部18は、両CT画像の類似度が最大又は所定の閾値以上となるように、冠動脈CT画像の外輪郭の形状を変形させる。さらに、位置合わせ部18は、両CT画像の類似度が最大又は所定の閾値以上となるように、冠動脈CT画像の内輪郭の形状を変形させる。
【0033】
一方、遅延造影CT画像の左心室よりも冠動脈CT画像の左心室が大きい場合、位置合わせ部18は、対応点Cと対応点Dとの位置が略一致するように冠動脈CT画像の外輪郭を縮小する。その後、位置合わせ部18は、両CT画像の類似度が最大又は所定の閾値以上となるように、冠動脈CT画像の外輪郭の形状を変形させる。さらに、位置合わせ部18は、両CT画像の類似度が最大又は所定の閾値以上となるように、冠動脈CT画像の内輪郭の形状を変形させる。
【0034】
ただし、遅延造影CT画像の内輪郭は、内腔と心筋部との画素値の差が少ないため抽出することが難しい。そのため、遅延造影CT画像の内輪郭に対応点を設定することは難しく、冠動脈CT画像の内輪郭を外輪郭と同様に変形することはできない。そこで、位置合わせ部18は、心筋部の面積又は体積を利用して冠動脈CT画像の内輪郭の形状を以下のように変形させることができる。
【0035】
すなわち、まず画像処理装置1の算出部17が、冠動脈CT画像における左心室の心筋部(
図4に斜線で示す領域)の面積を算出する。冠動脈CT画像においては、内腔と心筋部との画素値の差が大きいので、内輪郭と外輪郭とを抽出できる。そのため、算出部17は、抽出された内輪郭と外輪郭との間の領域の面積を算出することによって心筋部の面積を算出できる。また、算出部17は、取得部14が取得したボリュームデータに含まれる多数のCT画像に対して同じ処理を施すことによって、心筋部の体積を算出できる。なお、算出部17は、心筋部に対する心筋梗塞部の割合、及び心筋梗塞部の心内膜(心筋壁部)からの広さ(深さ)を算出することもできる。
【0036】
次に、位置合わせ部18は、非剛体変形位置合わせを行う際に、算出した心筋部の面積又は体積を維持するように冠動脈CT画像(冠動脈CT画像の内輪郭)を変形する。この場合も、位置合わせ部18は、両CT画像の類似度が最大又は所定の閾値以上となるように、冠動脈CT画像を変形させる。通常、冠動脈CT画像及び遅延造影CT画像は、心電同期を用いて同一心位相で撮像されている。そのため、両心筋部の面積及び体積は略同一であると仮定することができる。そこで、心筋部の面積又は体積を維持することにより、冠動脈CT画像の内輪郭をより実際の大きさ及び形状に近似させることができる。なお、面積又は体積は完全に一致させる必要はなく、所定の範囲内の誤差があっても面積又は体積が維持されているとみなすことができる。
【0037】
左心室の概略断面を示す
図5を参照して、遅延造影CT画像と冠動脈CT画像を用いた差分処理について説明する。
図5において、左側には遅延造影CT画像が示され、中央には冠動脈CT画像が示され、右側には差分処理後の画像(差分画像)が示されている。なお、説明の便宜上、
図5は位置合わせされた後のCT画像を示している。
【0038】
位置合わせ後に、画像処理装置1の差分処理部19は、遅延造影CT画像から冠動脈CT画像を差し引く差分処理を行う。これにより、遅延造影CT画像から冠動脈CT画像の画素値を減算して、左心室内腔(内輪郭)を明瞭に描出できる。すなわち、心内膜を含む内腔の画素値が減算され、心筋部と内腔の画素値の差が強調される。また、心筋正常部と心筋梗塞部の画素値の差が強調され、心筋梗塞部を明瞭に描出できる。
【0039】
遅延造影CT画像においては、例えば、心筋正常部の画素値が80HUであり、内腔の画素値が100HUであり、心筋梗塞部の画素値が100HUである。冠動脈CT画像においては、心筋正常部の画素値が50HUであり、内腔の画素値が180HUであり、心筋梗塞部の画素値が20HUである。そのため、差分画像においては、心筋正常部の画素値が30HU(=80HU−50HU)であり、内腔の画素値が−80HU(=100HU−180HU)であり、心筋梗塞部の画素値が80HU(=100HU−20HU)である。
【0040】
差分処理後、画像処理装置1は生成した差分画像をPACS4に送信し、PACS4は受信した差分画像を記憶する。そして、記憶された差分画像は、医師によって読影に用いられる。差分処理の結果、遅延造影CT画像においては差が無かったが、差分画像においては心筋梗塞部と内腔の画素値の差が強調されて160HUになっている。また、遅延造影CT画像においては20HUであった心筋正常部と心筋梗塞部の画素値の差が強調されて、差分画像においては50HUになっている。この結果、差分画像においては、例えば比較的に画素値が低い内腔が黒く表示され、心筋部の心筋正常部が灰色に表示される。また、比較的に画素値が高い心筋梗塞部は白色に表示される。
【0041】
遅延造影CT画像では、心筋梗塞部を描出して心筋正常部と区別させることが可能である。しかし、通常の遅延造影CT画像では、内腔と心筋梗塞部とが近い画素値を有する。そのため、心内膜から進行する心筋梗塞部を正確に識別することは難しい。一方、冠動脈CT画像では、内腔および冠動脈のみの画素値が高い。そのため、冠動脈CT画像では、内腔と心筋部とを容易に識別することが可能である。そこで、遅延造影CT画像から冠動脈CT画像を減算するという手法によれば、上記のように簡易且つ明瞭に心筋部を描出できる。これにより、医師は、正確且つ容易に心筋梗塞部を識別することができる。
【0042】
次に、
図6に示すフローチャートを参照して、画像処理方法について説明する。まず、画像処理装置1の取得部14が、CT装置3又はPACS4(画像サーバー)から遅延造影CT画像と冠動脈CT画像を取得して、記憶部11に一時的に記憶する(S101)。そして、判別部15は、遅延造影CT画像と冠動脈CT画像とを判別する(S102)。このとき、オペレーターは表示部13に表示された「(左心室)抽出ボタン」をクリックする。すると抽出部16は、判別された冠動脈CT画像の外輪郭と内輪郭(及び外輪郭と内輪郭の間の心筋部)の形状(範囲)を抽出する(S103)。そして、表示部13は抽出結果をCT画像上に表示し、オペレーターは必要に応じて入力部12を操作して外輪郭及び内輪郭の範囲を修正する。なお、抽出部16は、オペレーターの指示によらずに自動で外輪郭と内輪郭の形状を抽出してもよい。
【0043】
非剛体変形を行うために面積(体積)を算出する場合(S104でYES)、算出部17は、抽出された左心室の心筋部から、冠動脈CT画像の心筋部の面積(体積)を算出する(S105)。そして、抽出部16は、判別部15が判別した遅延造影CT画像の外輪郭の形状(範囲)を抽出する(S106)。この抽出結果を表示部13がCT画像上に表示するため、オペレーターは外輪郭及び内輪郭の範囲を修正できる。
【0044】
また、面積を算出しない場合も(S104でNO)、抽出部16は遅延造影CT画像の外輪郭の範囲を抽出する(S106)。この抽出結果を表示部13がCT画像上に表示するため、オペレーターは外輪郭及び内輪郭の範囲を修正できる。そして、位置合わせ部18は、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像の位置合わせを行う(S107)。この位置合わせには、剛体位置合わせ及び非剛体変形位置合わせの少なくとも一方が含まれる。
【0045】
剛体位置合わせの場合、位置合わせ部18は、例えば、外輪郭で特定される左心室同士の重心が一致するように位置合わせを行う。また、位置合わせ部18は、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像のそれぞれの左心室の外輪郭を基準に、外輪郭同士のずれが最小又は所定範囲内となるように剛体位置合わせを行うこともできる。右心室は、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像との間で変形の度合いが大きい。そのため、左心室の外輪郭を基準に剛体位置合わせをすることによって、より正確な位置合わせを行うことができる。
【0046】
非剛体変形位置合わせの場合、位置合わせ部18は、例えば、遅延造影CT画像の外輪郭と一致するように、冠動脈CT画像の外輪郭を変形して位置合わせを行う。このとき、位置合わせ部18は、類似度が最大となるように冠動脈CT画像を変形する。心筋梗塞部がより明確に撮像された遅延造影CT画像を変形させないため、心筋梗塞部をより明確に描出することができる。
【0047】
また、位置合わせ部18は、ステップS105で算出した心筋部の面積(体積)が維持されるように、冠動脈CT画像を変形させることもできる。心電同期によって、いずれのCT画像も拡張中期に撮像しているため、両CT画像における心筋部の断面積(体積)は大きく変わらないと仮定できる。また、左心室の外輪郭は、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像とのいずれにおいても比較的明瞭に抽出できる。そのため、非剛体変形位置合わせ時に、冠動脈CT画像から算出した面積(体積)に基づいて冠動脈CT画像内を変形させることにより、より正確な位置合わせを行うことができる。
【0048】
位置合わせ後、差分処理部19は、遅延造影CT画像から冠動脈CT画像を差し引く差分処理を行い(S108)、作成された差分画像は記憶部11に一時的に記憶される。これにより画像処理が終了し、表示部13は差分画像を表示する。また、画像処理装置1は、差分画像をPACS4に送信して記憶させる。
【0049】
なお、該フローにおいて、画像処理装置1の判別部15は、CT装置3又はPACS4に記憶されている遅延造影CT画像と冠動脈CT画像とを判別してもよい。例えば、判別部15は、CT画像の平均画素値を基準に冠動脈CT画像と遅延造影CT画像とを判別する。そして、取得部14が遅延造影CT画像及び冠動脈CT画像を取得する際には、判別情報が両CT画像に付加されて記憶部11に記憶される。差分処理時には、該判別情報に基づいて遅延造影CT画像と冠動脈CT画像とを判別することができる。また、遅延造影CT画像に対する抽出処理と、冠動脈CT画像に対する抽出処理及び算出処理とは順番を入れ替えることもできる。
【0050】
この画像処理は、画像処理プログラムによって以下のように実行される。すなわち、冠動脈CT画像及び遅延造影CT画像の取得後に、オペレーターは、画像処理プログラムを起動して両CT画像を読み込む。画像処理プログラムは、画像処理装置1を判別部15として機能させ、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像とを判別する判別処理を実行させる(S102)。次に、画像処理プログラムは、画像処理装置1を抽出部16として機能させ、冠動脈CT画像の心筋部を抽出させる抽出処理を実行させる(S103)。そして、画像処理プログラムは、画像処理装置1の表示部13に抽出結果を表示させる。
【0051】
面積を算出する場合(S104でYES)、画像処理プログラムは、画像処理装置1を算出部17として機能させ、冠動脈CT画像の心筋部の面積を算出させる算出処理を実行させる(S105)。その後、画像処理プログラムは、画像処理装置1を抽出部16として機能させ、遅延造影CT画像の外輪郭を抽出する抽出処理を実行させる(S106)。なお、面積を算出しない場合も(S104でNO)、同様に画像処理プログラムは、抽出処理を実行させる(S106)。そして、画像処理プログラムは、画像処理装置1を位置合わせ部18として機能させ、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像との位置合わせを行う位置合わせ処理を実行させる(S107)。
【0052】
位置合わせ後、画像処理プログラムは、画像処理装置1を差分処理部19として機能させ、遅延造影CT画像から冠動脈CT画像を差し引く差分処理を実行させる(S108)。そして、画像処理プログラムは、作成した差分画像を記憶部11に一時的に記憶させる。これにより画像処理が終了し、画像処理プログラムは、表示部13に差分画像を表示させる。その後、画像処理装置1は、差分画像をPACS4に送信して記憶させる。なお、画像処理プログラムは、心筋部に対する心筋梗塞部の割合及び心筋梗塞部の心内膜からの広さを算出するように、画像処理装置1に差分画像を用いた算出処理を実行させてもよい。
【0053】
このような第1実施形態に係る発明によれば、遅延造影CT画像と冠動脈CT画像とを正確に判別して、差分処理を行うことができる。また、内腔と心筋部との画素値の差が小さい遅延造影CT画像であっても、冠動脈CT画像と正確に位置合わせをすることができる。また、第1実施形態に係る発明によれば、サブトラクションによって内腔と心筋部との画素値の差を強調して、境界を明確に描出することができる。また、心筋正常部と心筋梗塞部の画素値の差を強調して、心筋梗塞部を明確に描出することができる。これにより、MR画像よりも解像度が高いCT画像において、医師がより正確に心筋梗塞部を識別できる。また、CT装置3による撮像はMRI装置よりも撮像時間が短く、心筋梗塞部を撮像する際に被写体である患者の負担を軽減できる。さらに、CT装置はMRI装置よりも1スキャンでの撮像幅が広いため、1回の撮像でより広範囲の画像を得ることができる。
【0054】
なお、第1実施形態では冠動脈CT画像及び遅延造影CT画像が二次元画像である例を説明した。しかし、冠動脈CT画像及び遅延造影CT画像は、三次元画像(ボリュームデータ)であってもよい。また、上述した画像処理を複数の二次元画像に対して同様に行うことによって、三次元の差分画像を作成することもできる。例えば、320枚の二次元画像の全てにおいて心筋梗塞部を抽出する必要はない。冠動脈CT画像及び遅延造影CT画像のそれぞれ1枚の画像に対して、心筋梗塞部と心筋正常部との閾値を指定してやれば、その結果を全画像に反映させて三次元画像を作成することができる。
【0055】
[第2実施形態]
図7を参照して、第2実施形態に係る画像処理システムについて説明する。なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について説明し、第1実施形態で説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0056】
画像処理システム200は、第1実施形態で説明した画像処理装置1と、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像とを撮像するCT装置3と、CT装置3と有線又は無線で接続され且つ造影剤を注入する注入装置2とを備えている。CT装置3は、撮像プロトコルに従って被写体の撮像を行う撮像部31と、CT装置3全体を制御する制御装置32と、ディスプレイ33とを有している。撮像部31は、寝台と、被写体にX線を照射するX線源と、被写体を透過したX線を検出するX線検出器等を有している。そして、撮像部31は、被写体にX線を曝射し、被写体を透過したX線に基づいて被写体の体内を逆投影することで、被写体の透視画像を撮像する。なお、制御装置32とディスプレイ33とは、一体的に構成してもよい。
【0057】
オペレーターは、医師が予め記憶させた検査オーダーをRIS5からCT装置3へ読み出す。この検査オーダーは、撮像部位と、撮像方法(冠動脈相及び遅延相等の撮像タイミング)との少なくとも一つの情報を含んでいる。なお、検査オーダーは、被写体に関する情報として、被写体の体重、除脂肪体重、循環血液量、被写体番号(被写体ID)、被写体氏名、性別、生年月日、年齢、身長、血液量、血流速度、体表面積、被写体の疾病、副作用の履歴、クレアチニン値、心拍数、及び心拍出量等を含んでいてもよい。また、検査オーダーは、検査情報として、検査番号(検査ID)、検査部位、検査日時、薬液種類、及び薬液名称等を含んでいてもよい。
【0058】
そして、オペレーターは、CT装置3に撮像部位及び撮像タイミング(冠動脈相及び遅延相)を入力する。そして、CT装置3は、冠動脈相及び遅延相の撮像プロトコルを作成する。この撮像プロトコルをオペレーターが確認して、修正が無ければ撮像プロトコルを確定させる。なお、オペレーターは、撮像部位又は撮像タイミングの一方のみを入力することもある。
【0059】
撮像プロトコルには、例えば、撮像部位、実効管電圧、機種名、メーカー名、撮像時間、管電圧、撮像範囲、回転速度、ヘリカルピッチ、曝射時間、線量及び撮像方法等の情報が含まれている。そして、制御装置32は、撮像プロトコルに従うように撮像部31を制御して被写体を撮像する。また、制御装置32は、ディスプレイ33に接続されており、ディスプレイ33には、装置の入力状態、設定状態、撮像結果、及び各種情報等が表示される。
【0060】
CT装置3は、確定した撮像プロトコルを注入装置2に送信する。また、CT装置3は、基準注入プロトコルを注入装置2に送信することができる。例えば、CT装置3と注入装置2とは、ゲートウェイ装置(不図示)を介して接続されており、CT装置3は予め記憶していた基準注入プロトコルを注入装置2に送信する。
【0061】
注入装置2は、シリンジに充填された造影剤を被写体の体内に注入するために、注入ヘッド21を備えている。さらに、注入装置2は、注入ヘッド21を保持するスタンド22と、注入ヘッド21に有線又は無線で接続されたコンソール23とを有する。注入ヘッド21は、造影剤が充填されたシリンジが搭載される第1保持部214と、造影剤を後押しするための生理食塩水が充填されたシリンジが搭載される第2保持部215とを有する。また、注入ヘッド21は、第1保持部214に搭載されたシリンジ内の薬液を注入プロトコルに従って押し出す駆動機構(不図示)と、第2保持部215に搭載されたシリンジ内の薬液を注入プロトコルに従って押し出す駆動機構(不図示)とを有している。
【0062】
コンソール23は、注入ヘッド21を制御する制御装置として機能すると共に、造影剤の注入プロトコルを生成する生成装置としても機能する。そして、コンソール23は、CT装置3から受信した撮像プロトコルに基づいて注入プロトコルを生成する。なお、コンソール23は、CT装置3から受信した基準注入プロトコルを修正することによって、注入プロトコルを生成することもできる。そして、オペレーターがコンソール23に表示された注入プロトコルを確認すると、注入準備が完了する。
【0063】
注入装置2は、コンソール23に代えて、注入ヘッド21に接続された制御装置と、該制御装置に接続され且つ薬液の注入状況等が表示されるタッチパネルディスプレイとを有していてもよい。また、注入ヘッド21及び制御装置は、スタンド22と一体的に構成することもできる。スタンド22に代えて天吊部材を設け、該天吊部材を介して天井から注入ヘッド21を天吊することもできる。
【0064】
また、注入装置2は、電源又はバッテリー、コンソール23に接続されるハンドスイッチ、及び注入ヘッド21を遠隔操作する遠隔操作装置等を有していてもよい。この遠隔操作装置は、注入ヘッド21を遠隔操作して注入を開始又は停止することができる。また、電源又はバッテリーは、注入ヘッド21又はコンソール23のいずれかに設けることができ、これらとは別に設けることもできる。
【0065】
注入ヘッド21は、制御装置が生成した注入プロトコルに従って造影剤を注入する。この注入プロトコルには、少なくとも注入速度及び注入時間が含まれている。また、注入プロトコルは、注入量、注入タイミング、造影剤濃度及び注入圧力等の注入条件に関する情報を含んでいてもよい。また、注入ヘッド21は、注入条件、注入状況、装置の入力状態、設定状態、及び各種注入結果等が表示されるヘッドディスプレイ211と、駆動機構の動作を入力するための操作部212とを有している。ヘッドディスプレイ211は、タッチパネル等から構成することによって、操作部212として用いることもできる。なお、ヘッドディスプレイ211は省略することができる。
【0066】
薬液が注入される際には、注入ヘッド21に搭載されたシリンジの先端部にミキシングチューブ等が接続される。また、操作部212には、駆動機構の前進ボタン、駆動機構の後進ボタン、又は最終確認ボタン等が設けられている。そして、ミキシングチューブの接続等の注入準備が完了すると、オペレーターが最終確認ボタンを押す。これにより、注入ヘッド21は、注入を開始できる状態で待機する。注入開始後、シリンジから押し出された薬液は、ミキシングチューブ等を介して、被写体の体内へ注入される。このミキシングチューブは、造影剤と希釈薬液との混合器としても機能する。このような混合器としては、株式会社根本杏林堂製の「SPIRAL FLOW(登録商標)」がある。
【0067】
注入ヘッド21には、例えば、RFIDチップ、ICタグ、バーコード等のデータキャリアを有するプレフィルドシリンジ等の、種々のシリンジを搭載することができる。そして、注入ヘッド21は、シリンジに取り付けられたデータキャリアの読み取りを行う読取部を内蔵している。このデータキャリアには、薬液に関連する薬液情報が記憶されている。薬液情報としては、製品名称、製品ID、化学分類、含有成分、濃度、粘度、消費期限、シリンジ容量、シリンジ耐圧、シリンダ内径、ピストンストローク及びロット番号等がある。
【0068】
造影剤の注入準備が完了し、オペレーターが注入装置2に注入開始を指示すると、注入装置2は造影剤のテストボーラス注入を行う。オペレーターは、予め関心領域(ROI)を、例えば上行大動脈に設定する。そして、CT装置3は、心電同期を用いて、注入開始から例えば28秒経過した時(冠動脈相)に冠動脈を撮像する。また、CT装置3は、撮像した冠動脈CT画像を画像処理装置1の取得部14に送信する。さらに、CT装置3は、心電同期を用いて、冠動脈相から例えば遅延時間300秒が経過した時に左心室を撮像する。そして、CT装置3は、撮像した遅延造影CT画像を取得部14に送信する。なお、テストボーラス注入は省略することもできる。
【0069】
CT装置3は、冠動脈CT画像及び遅延造影CT画像をPACS4に送信してもよい。さらに、CT装置3は、判別部15が冠動脈CT画像と遅延造影CT画像とを判別できるように、CT画像に判別情報を付加してもよい。このような判別情報は、例えば、画像の種類を示すID、撮像の順番に応じた番号、及び撮像時間等である。
【0070】
画像処理装置1においては、第1実施形態と同様に、判別部15が冠動脈CT画像と遅延造影CT画像とを判別する。また、抽出部16は、冠動脈CT画像における左心室の外輪郭と、遅延造影CT画像における左心室の外輪郭とを抽出する。そして、位置合わせ部18が冠動脈CT画像と遅延造影CT画像との位置合わせを行い、差分処理部19が遅延造影CT画像から冠動脈CT画像を差し引く。非剛体変形位置合わせを行う場合には、算出部17が、冠動脈CT画像の左心室における心筋部の面積又は体積を算出する。
【0071】
このような第2実施形態に係る発明によっても、遅延造影CT画像と冠動脈CT画像とを正確に判別して、差分処理を行うことができる。また、内腔と心筋部との画素値の差が小さい遅延造影CT画像であっても、冠動脈CT画像と正確に位置合わせをすることができる。また、サブトラクションによって内腔と心筋部との画素値の差を強調して、境界を明確に識別することができる。また、心筋正常部と心筋梗塞部の画素値の差を強調して、心筋梗塞部を明確に描出することができる。
【0072】
[第3実施形態]
図4及び
図8を参照して、第3実施形態に係る画像処理について説明する。この第3実施形態においては、非剛体変形位置合わせを行う際に、冠動脈CT画像における左心室の外輪郭の変位量に応じて、冠動脈CT画像における左心室の内輪郭を変形する。
【0073】
なお、第3実施形態の説明においては、第1実施形態及び第2実施形態との相違点について説明し、第1実施形態及び第2実施形態で説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は略同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も略同一である。
【0074】
図4の冠動脈CT画像の左心室の外輪郭は、遅延造影CT画像よりも小さい。この場合、画像処理装置1の位置合わせ部18は、冠動脈CT画像の外輪郭上の対応点Cが、遅延造影CT画像の外輪郭上の対応点Dと一致するように、冠動脈CT画像の外輪郭を拡大する。この拡大に伴う外輪郭の変位量及び変位方向は、
図4において矢印で示すような変位ベクトルA,Bとして表すことができる。
【0075】
変位量は、左心室の部位によって異なることがある。例えば、変位ベクトルA群は、変位ベクトルB群よりも変位量が大きい。そこで、位置合わせ部18は、外輪郭の変位量に応じて、冠動脈CT画像における左心室の内輪郭を変形する。例えば、位置合わせ部18は、対応点Cがどの位置に移動するかを示す変位ベクトルA,Bを算出する。そして、位置合わせ部18は、第1実施形態で説明した類似度が最大又は所定の閾値以上となるように、算出した変位ベクトルA,Bに応じて非剛体変形位置合わせを行う。すなわち、変位量が大きい対応点Cの近傍に位置する部分の変位ベクトルA’(
図8)が、変位量が小さい対応点の近傍に位置する部分の変位ベクトルB’よりも大きくなるように、内輪郭を変形させる。
【0076】
その結果、冠動脈CT画像の内輪郭において、変位量が大きい対応点Cの近傍に位置する部分は、変位量が小さい対応点Cの近傍に位置する部分よりも変位量が大きくなる。一方、冠動脈CT画像の左心室の外輪郭が遅延造影CT画像よりも大きい場合、位置合わせ部18は、冠動脈CT画像の外輪郭を縮小する。この場合も、位置合わせ部18は、外輪郭の変位量に応じて、冠動脈CT画像の内輪郭を変形する。
【0077】
このような第3実施形態に係る発明によれば、外輪郭の変位量に応じて内輪郭を変位させることができる。そのため、より正確に内輪郭を変形させて、非剛体変形位置合わせをすることができる。また、第3実施形態に係る発明によっても、遅延造影CT画像と冠動脈CT画像とを正確に判別して、差分処理を行うことができる。また、内腔と心筋部との画素値の差が小さい遅延造影CT画像であっても、冠動脈CT画像と正確に位置合わせをすることができる。また、サブトラクションによって内腔と心筋部との画素値の差を強調して、境界を明確に識別することができる。また、心筋正常部と心筋梗塞部の画素値の差を強調して、心筋梗塞部を明確に描出することができる。
【0078】
[変形形態]
心筋正常部と心筋梗塞部との画素値の差が大きいCT画像を用いて差分処理を行うと、差分画像における画素値の差が大きくなる。そのため、パーフュージョン画像を撮像する場合のように、1回の検査で心臓を複数回撮像する場合は、複数のCT画像のうち画素値の差が大きいCT画像を使用することが好ましい。ここで、画素値の差が最大となるのは、心筋正常部の画素値がピークとなる時点である。そのため、変形形態においては、画像処理装置1の取得部14が、心筋正常部の画素値のピークに近い時点に撮像されたCT画像を取得する。
【0079】
例えば、心筋正常部の画素値は、冠動脈又は左心室内腔の画素値が150HUに到達してから2秒経過後に上昇を開始する。そして、到達から7〜8秒経過時に、心筋正常部及び心筋梗塞部の画素値の差がピークに達する。その後、到達から16〜17秒経過時に、画素値の差が判別困難なレベルに達する。
【0080】
そのため、判別部15は、以下の条件で撮像されたCT画像を判別して差分処理に使用することが好ましい。すなわち、上行大動脈にROIを設定した状態で、ROIの画素値が150HUに到達した後に撮像されたCT画像、ROIの画素値が150HUに到達してから所定時間(例えば7秒〜17秒)内に撮像されたCT画像、ROIの画素値が上昇して下降を開始した(ピーク)後に撮像されたCT画像、及びROIの画素値が上昇して下降を開始してから2秒〜9秒の範囲内に撮像されたCT画像が使用されることが好ましい。なお、ROIは、冠動脈又は左心室内腔に設定することもできる。
【0081】
これにより、画像処理装置1は、正確に心筋梗塞部を描出することができる。なお、遅延相についても、複数のCT画像のうち心筋正常部と心筋梗塞部との画素値の差が最大となるCT画像を用いることが好ましい。また、判別部15は、CT装置3がCT画像に付加した撮像時間情報に基づいて、複数のCT画像から画素値の差が大きいCT画像を判別することができる。さらに、判別部15は、各CT画像の心筋正常部と心筋梗塞部との画素値の差を算出して、画素値の差が最大となるCT画像を判別してもよい。
【0082】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施形態及び各変形形態は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0083】
なお、剛体位置合わせ、非剛体変形位置合わせ又は外輪郭の抽出後に、オペレーターは、画像の位置若しくは外輪郭の形状等を手動で修正することができる。また、オペレーターは、剛体位置合わせ、非剛体位変形置合わせ、外輪郭の特定又は差分処理後に、公知の方法を用いて、ノイズ除去等の画像補正を行うことができる。
【0084】
さらに、剛体位置合わせ、非剛体変形位置合わせ及び外輪郭の抽出は、上記の方法には限定されない。例えば、非剛体変形位置合わせでは、冠動脈CT画像と遅延造影CT画像とのそれぞれの外輪郭に沿って対応点を配置し、外輪郭同士の類似度を向上させるように、冠動脈CT画像を変形させてもよい。この場合、対応点以外の冠動脈CT画像内の部分の移動量は、対応点の移動量から補完することができる。また、非剛体変形位置合わせを行う際には、遅延造影CT画像を変形せずに冠動脈CT画像を変形することが望ましいが、遅延造影CT画像の心筋梗塞部が変形されなければよい。そのため、遅延造影CT画像の少なくとも左心室の外輪郭の内側領域が変形されなければよく、外輪郭の外側領域は変形されてもよい。つまり、非剛体変形位置合わせを行う際には、遅延造影CT画像における少なくとも左心室の外輪郭の内側領域を変形せずに、冠動脈CT画像を変形することもできる。