特許第6670561号(P6670561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6670561テレセントリック明視野および環状暗視野のシームレス融合型照明
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670561
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】テレセントリック明視野および環状暗視野のシームレス融合型照明
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20200316BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20200316BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   G01N21/84 E
   G02B5/08 D
   G02B21/06
【請求項の数】52
【外国語出願】
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-141727(P2015-141727)
(22)【出願日】2015年7月16日
(65)【公開番号】特開2016-24195(P2016-24195A)
(43)【公開日】2016年2月8日
【審査請求日】2018年6月14日
(31)【優先権主張番号】62/026,030
(32)【優先日】2014年7月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501005438
【氏名又は名称】オルボテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】東京UIT国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】エリエ・メイモウン
(72)【発明者】
【氏名】タリ・フルヴィツ
【審査官】 横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−286813(JP,A)
【文献】 特表2002−535687(JP,A)
【文献】 特開平09−288237(JP,A)
【文献】 特開昭54−103362(JP,A)
【文献】 特開2001−154103(JP,A)
【文献】 特開2005−078083(JP,A)
【文献】 特開平08−201304(JP,A)
【文献】 特表2011−510289(JP,A)
【文献】 特開平05−126748(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0158502(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0254065(US,A1)
【文献】 米国特許第08462328(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01N 21/00−21/61
G02B 5/00− 5/136
G02B 19/00−21/00
G02B 21/06−21/36
G01M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.明視野照明のための中央光学集光器セグメント,および
b.上記中央光学集光器セグメントを取り囲む,暗視野照明のための複数の周辺光学集光器セグメントを備え,
上記複数の周辺光学集光器セグメントが,
上記中央光学集光器セグメントの周りに実質的にシームレスなリングを形成するように実質的に連続しておりかつ
上記中央光学集光器セグメントに対してそれらの内端に沿って実質的に連続している,
統合非円形対称光学アセンブリ。
【請求項2】
上記中央光学集光器セグメントおよびその周りの複数の周辺光学集光器セグメントが,上記統合非円形対称光学アセンブリの実質的にシームレスな開口部を形成している,
請求項1に記載の統合非円形対称光学アセンブリ。
【請求項3】
上記統合非円形対称光学アセンブリの上記開口部が実質的に丸形である,
請求項2に記載の統合非円形対称光学アセンブリ。
【請求項4】
上記複数の周辺光学集光器セグメントが8つの光学集光器セグメントを備えている,
請求項1に記載の統合非円形対称光学アセンブリ。
【請求項5】
上記複数の周辺光学集光器セグメントのそれぞれがプリズマティック形である,
請求項1に記載の統合非円形対称光学アセンブリ。
【請求項6】
上記中央光学集光器セグメントおよび上記複数の周辺光学集光器セグメントのそれぞれのうちの少なくともいずれか一方がフレネル・レンズである,
請求項1に記載の統合非円形対称光学アセンブリ。
【請求項7】
明視野照明および暗視野照明を提供する統合光学照明システムであって,上記光学照明システムが,
i.明視野照明のための中央光学集光器セグメント,および
ii.上記中央光学集光器セグメントを取り囲む,暗視野照明のための複数の周辺光学集光器セグメントを備え
上記複数の周辺光学集光器セグメントが,
上記中央光学集光器セグメントの周りに実質的にシームレスなリングを形成するように実質的に連続しておりかつ
上記中央光学集光器セグメントに対してそれらの内端に沿って実質的に連続している,
a.統合非円形対称光学アセンブリと,
b.それぞれが,上記複数の周辺光学集光器セグメントのそれぞれに対応する前方焦点面内に配置されている複数の照明光源と,
を備えている,
統合光学照明システム。
【請求項8】
上記複数の周辺光学集光器セグメントのそれぞれの光出力が,上記暗視野照明のための遠視野として作用する,
請求項に記載の統合光学照明システム。
【請求項9】
上記中央光学集光器セグメントおよびその周りの複数の周辺光学集光器セグメントが,上記統合非円形対称光学アセンブリの実質的にシームレスな開口部を形成している,
請求項に記載の統合光学照明システム。
【請求項10】
上記統合非円形対称光学アセンブリの上記開口部が実質的に丸形である,
請求項に記載の統合光学照明システム。
【請求項11】
上記複数の周辺光学集光器セグメントが8つの光学集光器セグメントを備えている,
請求項に記載の統合光学照明システム。
【請求項12】
上記複数の周辺光学集光器セグメントのそれぞれがプリズマティック形である,
請求項に記載の統合光学照明システム。
【請求項13】
上記複数の周辺光学集光器セグメントが上記中央円形対称光学集光器セグメントの周りに円形に配置されている,
請求項に記載の統合光学照明システム。
【請求項14】
上記中央円形対称光学集光器セグメントおよび上記複数の周辺光学集光器セグメントのそれぞれのうちの少なくともいずれか一方がフレネル・レンズである,
請求項に記載の統合光学照明システム。
【請求項15】
上記複数の照明光源が同じ波長の複数の発光ダイオードを備えている,
請求項に記載の統合光学照明システム。
【請求項16】
上記中央円形対称光学集光器セグメントの光出力が,上記明視野照明のための遠視野として作用する,
請求項に記載の統合光学照明システム。
【請求項17】
i.複数の照明光ビームを生成するように構成される第2の複数の照明光源,および
ii.上記複数の照明光ビームを結合するように構成され,上記結合照明光ビームを上記統合非円形対称光学アセンブリの上記中央円形対称光学集光器セグメントに搬送するように構成される照明光路をさらに備えている,
請求項に記載の統合光学照明システム。
【請求項18】
上記第2の複数の照明光源が3つの発光ダイオードを備えている,
請求項17に記載の統合光学照明システム。
【請求項19】
複数の所定の照明様相にしたがって上記複数の照明光源および第2の複数の照明光源を駆動するように構成される制御モジュールをさらに備えている,
請求項17に記載の統合光学照明システム。
【請求項20】
上記複数の所定の照明様相が明視野照明様相および暗視野照明様相のうちの少なくともいずれか一方を含む,
請求項19に記載の統合光学照明システム。
【請求項21】
上記複数の所定の照明様相が,照明光色を変化させる第2の複数の明視野照明様相を含む,
請求項19に記載の統合光学照明システム。
【請求項22】
上記複数の所定の照明様相が,照明光パワーを変化させる第2の複数の明視野照明様相を含む,
請求項19に記載の統合光学照明システム。
【請求項23】
上記複数の所定の照明様相が,照明光角度分布を変化させる第2の複数の暗視野照明様相を含む,
請求項19に記載の統合光学照明システム。
【請求項24】
上記複数の所定の照明様相が,照明光パワーを変化させる第2の複数の暗視野照明様相を含む,
請求項19に記載の統合光学照明システム。
【請求項25】
明視野照明および暗視野照明を提供する統合光学照明システムであって,上記光学照明システムが,
i.明視野照明のための中央円形対称光学集光器セグメント,および
ii.上記中央円形対称光学集光器セグメントを取り囲む,暗視野照明のための複数の周辺光学集光器セグメントを備え
上記複数の周辺光学集光器セグメントが,
上記中央円形対称光学集光器セグメントの周りに実質的にシームレスなリングを形成するように実質的に連続しておりかつ
上記複数の周辺光学集光器セグメントが上記中央円形対称光学集光器セグメントに対してそれらの内端に沿って実質的に連続している,
a.統合非円形対称光学アセンブリと,
b.複数の照明光ビームを生成するように構成される複数の照明光源と,
c.上記複数の照明光ビームを結合するように構成され,かつ上記結合照明光ビームを上記中央円形対称光学集光器セグメントに搬送するように構成される照明光路と,
を備えている,
統合光学照明システム。
【請求項26】
上記複数の照明光源が3つの発光ダイオードを備えている,
請求項25に記載の統合光学照明システム。
【請求項27】
上記照明光路が,上記複数の照明光ビームの少なくとも一つをコリメートするように構成される少なくとも一つのコリメート・レンズを備えている,
請求項25に記載の統合光学照明システム。
【請求項28】
上記照明光路が,上記複数の照明光ビームを結合照明光ビームに結合するように構成される複数のダイクロイック・ミラーを備えている,
請求項25に記載の統合光学照明システム。
【請求項29】
上記照明光路が,上記結合照明光ビームを上記中央円形対称光学集光器セグメントの前方焦点面上に焦光するように構成された結合レンズを備えている,
請求項25に記載の統合光学照明システム。
【請求項30】
i.明視野照明のための中央光学集光器セグメント,および
ii.上記中央円形対称光学集光器セグメントを取り囲む,暗視野照明のための複数の周辺光学集光器セグメントを備え
上記複数の周辺光学集光器セグメントが,
上記中央光学集光器セグメントの周りに実質的にシームレスなリングを形成するように実質的に連続しており,かつ共通開口絞り面を有かつ
上記複数の周辺光学集光器セグメントが上記中央光学集光器セグメントに対してそれらの内端に沿って実質的に連続している,
a.統合非円形対称光学アセンブリと,
b.明視野照明および暗視野照明を上記統合非円形対称光学アセンブリに提供する統合光学照明システムと,
c.上記基板上に遠視野として上記開口絞り面を投影する光学アセンブリと,
d.照明された基板の画像を撮像センサ上に形成する撮像ユニットと,
を備えている,
光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項31】
上記撮像ユニットの開口数と上記統合非円形対称光学アセンブリの開口数とが一致している,
請求項30に記載の光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項32】
上記撮像光学ユニットがテレセントリック撮像システムを備えている,
請求項30に記載の光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項33】
上記デジタル・センサがエリア・センサであり,上記エリア・センサが上記統合光学照明システムの照明光源(複数)と同期してトリガ可能である,
請求項30に記載の光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項34】
上記デジタル・センサがエリア・センサであり,上記エリア・センサが独立してトリガ可能であり,上記統合光学照明システムの上記照明光源(複数)が連続モードで動作する,
請求項30に記載の光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項35】
複数の所定の照明様相にしたがって上記統合光学照明システムを駆動するように構成された制御モジュールをさらに備えている,
請求項30に記載の光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項36】
上記複数の所定の照明様相が明視野照明様相および暗視野照明様相のうちの少なくともいずれか一方を含む,
請求項35に記載の光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項37】
上記複数の所定の照明様相が,照明光の色を変化させる第2の複数の明視野照明様相を含む,
請求項35に記載の光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項38】
上記複数の所定の照明様相が,照明光パワーを変化させる第2の複数の明視野照明様相を含む,
請求項35に記載の光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項39】
上記複数の所定の照明様相が,照明光角度分布を変化させる第2の複数の暗視野照明様相を含む,
請求項35に記載の光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項40】
上記複数の所定の照明様相が,照明光パワーを変化させる第2の複数の暗視野照明様相を含む,
請求項35に記載の光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項41】
上記複数の所定の照明様相の一つの様相を生成するために,異なる強度(複数)の異なる照明(複数)の線形結合が同時に使用され,上記生成される様相が照明(複数)の線形結合から構成される,
請求項35に記載の光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項42】
上記制御モジュールが,上記複数の画像の各取得画像について異なる照明パワーを用いて上記基板の同一エリアの複数の画像を取得するように構成されている,
請求項35に記載の光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項43】
上記取得される上記基板の同一エリアの複数の画像を用いて上記基板の高ダイナミックレンジ画像を生成するように構成されている画像処理装置をさらに備えている,
請求項42に記載の光学ヘッド・アセンブリ。
【請求項44】
複数の撮像システム・アセンブリを備え,そのそれぞれが,
i.明視野照明のための中央光学集光器セグメント,および
ii.上記中央光学集光器セグメントを取り囲暗視野照明のための複数の周辺光学集光器セグメントを備え
上記複数の周辺光学集光器セグメントが,
上記中央光学集光器セグメントの周りに実質的にシームレスなリングを形成するように実質的に連続しておりかつ
上記複数の周辺光学集光器セグメントが上記中央光学集光器セグメントに対してそれらの内端に沿って実質的に連続している,
a.統合非円形対称光学アセンブリと,
b.上記中央円形対称光学集光器セグメントに明視野照明および暗視野照明を提供する統合光学照明システムと,
を備えている,自動光学検査用検査システム。
【請求項45】
複数の撮像アセンブリの下方で被検査基板を動かすための走査システムおよび被検査基板の上方で複数の撮像システム・アセンブリを動かすための走査システムのうちの少なくともいずれか一方をさらに備えている,
請求項44に記載の検査システム。
【請求項46】
上記複数の撮像システム・アセンブリが,所定数の行および列のアレイ状で配置されている,または複数の傾斜列を有する千鳥配列状で配置されている,
請求項44に記載の検査システム。
【請求項47】
上記複数の撮像システム・アセンブリのうちの一つの視野が,上記複数の撮像システム・アセンブリのうちの隣り合うものの第2の視野とオーバーラップするように配置されている,
請求項44に記載の検査システム。
【請求項48】
上記複数の撮像システム・アセンブリが,上記複数の撮像システム・アセンブリのうちいくつかの照明モードを同時に変更する照明制御を共有している,
請求項44に記載の検査システム。
【請求項49】
各撮像システム・アセンブリが,上記複数の撮像システム・アセンブリの他の撮像システム・アセンブリと無関係に,走査中に上記撮像システム・アセンブリについての照明様相を変更する照明制御モジュールを備えている,
請求項44に記載の検査システム。
【請求項50】
基板上の異なるエリアが異なる照明様相を用いて走査される,
請求項49に記載の検査システム。
【請求項51】
i.明視野照明のための中央光学集光器セグメント,および
ii.上記中央光学集合器セグメントを取り囲む,暗視野照明のための複数の周辺光学集光器セグメントを備え
上記複数の周辺光学集光器セグメントが,
上記中央光学集光器セグメントの周りに実質的にシームレスなリングを形成するように実質的に連続しておりかつ
上記複数の周辺光学集光器セグメントが上記中央光学集光器セグメントに対してそれらの内端に沿って実質的に連続している,
a.統合非円形対称光学アセンブリを用意し,
b.上記統合非円形対称光学アセンブリに明視野照明および暗視野照明を提供する統合光学照明システムを用意し,
c.デジタル取得センサ上に照明された基板の画像を形成する撮像光学ユニットを用意し,
d.上記照明システムによって生成された光を上記基板および上記撮像光学ユニットの光軸にガイドするフォールディング・ミラーまたは他の光学素子を用意し,
e.上記基板の画像を取得しかつ対応するデジタル画像データを生成するデジタル・センサを用意する,
基板の光学検査方法。
【請求項52】
上記中央光学集光器セグメントが円形対称である,
請求項1に記載の統合非円形対称光学アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,概略的にはLCDおよびOLEDパネルのような電子機器の光学検査用のシステムおよび方法に関し,より詳細には,電子機器の光学検査用テレセントリック明視野および環状暗視野のシームレス融合型照明(telecentric bright field and annular dark field seamlessly fused illumination)の提供に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ(Liquid crystal display)(LCD)パネルには電界依存性の光変調特性を呈示する液晶が組み込まれている。LCDパネルは,ファックス機,ラップトップ・コンピュータ画面から大型画面,高精度テレビに至るまで,様々な機器に画像およびその他の情報を表示するために非常に頻繁に用いられている。アクティブ・マトリックスLCDパネルは複数の機能層からなる複雑な積層構造であり,機能層は,偏光フィルムと,薄膜トランジスタ(TFTs),蓄積容量,画素電極および配線接続,黒マトリックス,カラー・フィルタ・アレイおよび透過共通電極を含むカラー・フィルタ・ガラス基板を含むガラス基板と,ポリイミド製の配向フィルムと,適切なLCDセル厚を維持するためのプラスチック/ガラス・スペーサを含む事実上の液晶材料とを備えている。
【0003】
歩留まりを最大にするために,LCDおよびOLEDパネルは,クリーンルーム環境において高度に制御された条件のもとで製造される。それでも多くの数のLCDおよびOLEDディスプレイを,製造欠陥を理由にして廃棄する必要がある。
【0004】
LCDパネルの製造歩留まりを向上するために,LCDパネルの製造プロセス全体の中で複数の検査および修理工程が実行される。これらの中で,最も重要な検査工程の一つはアレイ検査であり,TFTアレイの製造プロセスの最後に電子検査工程(electrical inspection step)が行われる。
【0005】
複数の従来のアレイ検査技術が,現在,市場におけるLCDおよびOLEDディスプレイの製造者に利用可能であるが,その一つがLCDおよびOLEDパネルの自動光学検査である。典型的には,自動光学検査装置は,上記光学検査システムの様々な他の構成要素を支持するシャーシ,検査中にLCDおよびOLEDパネル・ガラスを搬送する搬送テーブル,および走査(スキャン)ブリッジを含む。上記走査ブリッジは,典型的には,被検査基板を自動的に走査するように構成された1または複数の走査(スキャニング)カメラを搬送する。さらに走査ブリッジは,検査される上記パネルを照明するのに適する照明を備えている。実行される特定検査において必要とされるとき,明視野照明のみならず暗視野照明が用いられる。
【0006】
参照により本書に組み込まれる米国特許第5,153,668号は,光学検査のための均一明視野照明と角度対称暗視野照明との組み合わせを開示しかつ権利請求する。しかしながら,このシステムでは,明視野および暗視野照明の開口絞り(aperture stops)が共通面に配置されていず,したがって上記システムでは,画像中心に比べて周辺部において画像の明るさや彩度が減少するケラレ(vignetting)が発生する。この好ましくない効果は,上述した光学検査システムの性能にマイナスの不適当な影響を与える。
【0007】
参照により本書に組み込まれる米国特許第8,462,328号は,明視野および暗視野照明を結合するテレセントリック撮像および照明システムを開示する。しかしながら,照明および撮像用の共通開口絞り(common aperture stops)を可能にするために,開示された撮像モジュールは2つのサブ・モジュールに分割され,下部モジュールは上部モジュールに対してシフト軸を有している。これに加えて,照明が下部モジュールの片側を通過するときに照明および撮像は下部モジュールを共有し,他方,上記撮像はシフトされた下部モジュールの反対側にある。これは2つの主要な問題を生じさせ,それは照明からの迷光が容易に撮像経路に到達することができることと,下部撮像モジュールが上記照明経路および上記撮像経路とを結合するために非常に大きくなければならず,これによりシステムがより複雑かつ高価になることである。
【0008】
最後に,参照によって本書に援用される米国特許第5,715,050号は,検査用のテレセントリック撮像および照明システムを開示している。撮像ブロックは対物側レンズと撮像側レンズとを含む。開示されている装置は明視野および暗視野照明の両方を導入している。対物側レンズは撮像経路および照明経路に共通のものであり,他方上記照明の開口絞りは撮像ブロックの開口絞りと共益面(conjugate plane)にある。しかしながら,このシステムも明視野および暗視野照明をシームレスに結合するものではない。
【0009】
したがって,新規かつ改善された,暗視野および明視野照明サブ・システムがシームレスに結合される,電子機器の光学検査用のテレセントリック明視野および環状暗視野照明システムが望まれている。
【発明の概要】
【0010】
この発明の手法(methodology)は,電子機器の光学検査のための従来技術に関する上記および他の問題の一または複数を実質的に取り除く方法およびシステムに向けられたものである。
【0011】
本書に記載の実施態様の一側面によると,統合非円形対称光学アセンブリ(a unified, non-circularly symmetric optical assembly)が提供され,このアセンブリは,中央光学集光器セグメント(a central optical concentrator segment),および上記中央光学集光器セグメントを取り囲む(surrounding)複数の周辺光学集光器セグメント(a plurality of peripheral optical concentrator segments)を備え,上記複数の周辺光学集光器セグメントが,上記中央光学集光器セグメントの周りに実質的にシームレスな(継ぎ目のない)リング(a substantially seamless ring)を形成するように実質的に連続している。
【0012】
一または複数の実施態様では,上記複数の周辺光学集光器セグメントが,上記統合非円形対称光学アセンブリの実質的にシームレスな開口部(clear aperture)を形成するように,それらの内端に沿って上記中央光学集光器セグメントに実質的に連続している。
【0013】
一または複数の実施態様では,上記統合非円形対称光学アセンブリの上記開口部が実質的に丸形(round shape)である。
【0014】
一または複数の実施態様では,上記統合非円形対称光学アセンブリは,上記中央光学集光器セグメントとその周囲の複数の周辺光学集光器セグメントとの間にギャップ(隙間)を備えている。
【0015】
一または複数の実施態様では,上記複数の周辺光学集光器セグメントが8つの光学集光器セグメントを備えている。
【0016】
一または複数の実施態様では,上記複数の周辺光学集光器セグメントのそれぞれがプリズマティック形(prismatic shape)である。
【0017】
一または複数の実施態様では,上記複数の周辺光学集光器セグメントが上記中央光学集光器セグメントの周りに円形に(in a circular manner)配置されている。
【0018】
一または複数の実施態様では,上記中央光学集光器セグメントが光学レンズである。
【0019】
一または複数の実施態様では,上記複数の周辺光学集光器セグメントのそれぞれが光学レンズである。
【0020】
一または複数の実施態様では,上記中央光学集光器セグメントがフレネル・レンズである。
【0021】
一または複数の実施態様では,上記複数の周辺光学集光器セグメントのそれぞれがフレネル・レンズである。
【0022】
一または複数の実施態様では,上記統合非円形対称光学アセンブリが,上記中央光学集光器セグメントとその周囲の複数の周辺光学集光器セグメントとの間に,下流の照明光学アセンブリの前方焦点面における物理的ギャップに基づく被制御ギャップ(a controlled gap)をさらに備えている。
【0023】
一または複数の実施態様では,上記物理的ギャップがマスクである。
【0024】
一または複数の実施態様では,上記マスクが機械リング(a mechanical ring)を備えている。
【0025】
一または複数の実施態様では,上記マスクが別の素子上に塗られたコーティング(a coating painted on a separate element)を備えている。
【0026】
一または複数の実施態様では,上記マスクが上記統合非円形対称光学アセンブリ上に塗られたコーティングを備えている。
【0027】
一または複数の実施態様では,上記マスクが円形である。
【0028】
本書に記載の実施態様の別の側面によると,明視野照明および暗視野照明を提供する統合光学照明システムが提供され,上記光学照明システムが,中央光学集光器セグメント,および上記中央光学集光器セグメントを取り囲み,上記中央光学集光器セグメントの周りに実質的にシームレスなリングを形成するように実質的に連続している複数の周辺光学集光器セグメントを備える統合非円形対称光学アセンブリと,それぞれが,上記複数の周辺光集光器のセグメントのそれぞれに対応する前方焦点面内(within a front plane of the corresponding each of the plurality of peripheral optical concentrator segments)に配置されている複数の照明光源とを備えている。
【0029】
一または複数の実施態様では,上記複数の周辺光学集光器セグメントのそれぞれの光出力が,上記暗視野照明のための遠視野として作用する(operates as a far field for the dark field illumination)。
【0030】
一または複数の実施態様では,上記複数の周辺光学集光器セグメントが,上記統合非円形対称光学アセンブリの実質的にシームレスな開口部を形成するように,それらの内端に沿って上記中央光学集光器セグメントに実質的に連続している。
【0031】
一または複数の実施態様では,上記統合非円形対称光学アセンブリの上記開口部が実質的に丸形である。
【0032】
一または複数の実施態様では,上記統合非円形対称光学アセンブリは,上記中央円形対称光学集光器セグメントとその周囲の複数の周辺光学集光器セグメントとの間にギャップをさらに備えている。
【0033】
一または複数の実施態様では,上記複数の周辺光学集光器セグメントが8つの光学集光器セグメントを備えている。
【0034】
一または複数の実施態様では,上記複数の周辺光学集光器セグメントのそれぞれがプリズマティック形(a prismatic shape)である。
【0035】
一または複数の実施態様では,上記複数の周辺光学集光器セグメントが上記中央円形対称光学集光器セグメントの周りに円形に(in a circular manner)配置されている。
【0036】
一または複数の実施態様では,上記中央円形対称光学集光器セグメントが光学レンズである。
【0037】
一または複数の実施態様では,上記複数の周辺光学集光器セグメントのそれぞれが光学レンズである。
【0038】
一または複数の実施態様では,上記中央円形対称光学集光器セグメントがフレネル・レンズである。
【0039】
一または複数の実施態様では,上記複数の周辺光学集光器セグメントのそれぞれがフレネル・レンズである。
【0040】
一または複数の実施態様では,上記照明光源の数が上記周辺光学集光器セグメントの数と同じである。
【0041】
一または複数の実施態様では,上記複数の照明光源が同じ波長の複数の発光ダイオードを備えている。
【0042】
一または複数の実施態様では,上記中央円形対称光学集光器セグメントの光出力が,上記明視野照明のための遠視野として作用する。
【0043】
一または複数の実施態様では,上記統合光学照明システムは,複数の照明光ビームを生成するように構成される第2の複数の照明光源,および上記複数の照明光ビームを結合するように構成され,上記結合照明光ビームを上記統合非円形対称光学アセンブリの上記中央円形対称光学集光器セグメントに搬送するように構成される照明光路をさらに備えている。
【0044】
一または複数の実施態様では,上記第2の複数の照明光源が3つの発光ダイオードを備えている。
【0045】
一または複数の実施態様では,上記統合光学照明システムは,複数の所定の照明様相(illumination modalities)(照明種類,照明様式,照明モダリティ)にしたがって,上記複数の照明光源および第2の複数の照明光源を駆動するように構成される制御モジュールをさらに備えている。
【0046】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が明視野照明様相(a bright field illumination modality)を含む。
【0047】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が暗視野照明様相(a dark field illumination modality)を含む。
【0048】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が,照明光色(illumination light color)を変化させる第2の複数の明視野照明様相を含む。
【0049】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が,照明光パワー(illumination light power)(照明光出力)を変化させる第2の複数の明視野照明様相を含む。
【0050】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が,照明光角度分布(illumination light angular distribution)を変化させる第2の複数の暗視野照明様相を含む。
【0051】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が,照明光パワーを変化させる第2の複数の暗視野照明様相を含む。
【0052】
本書に記載の実施態様のさらに別の側面によると,明視野照明および暗視野照明を提供する統合光学照明システムが提供され,上記光学照明システムが,中央円形対称光学集光器セグメント,および上記中央円形対称光学集光器セグメントを取り囲み,上記中央円形対称光学集光器セグメントの周りに実質的にシームレスなリングを形成するように実質的に連続している複数の周辺光学集光器セグメントを備える統合非円形対称光学アセンブリと,複数の照明光ビームを生成するように構成される複数の照明光源と,上記複数の照明光ビームを結合するように構成され,かつ上記結合照明光ビームを上記中央円形対称光学集光器セグメントに搬送するように構成される照明光路を備えている。
【0053】
一または複数の実施態様では,上記複数の照明光源が3つの発光ダイオードを備えている。
【0054】
一または複数の実施態様では,上記3つの発光ダイオードのうちの第1の発光ダイオードが赤色光を生成するように構成されており,上記3つの発光ダイオードのうちの第2の発光ダイオードが緑色光を生成するように構成されており,上記3つの発光ダイオードのうちの第3の発光ダイオードが青色光を生成するように構成されている。
【0055】
一または複数の実施態様では,上記照明光路が,上記複数の照明光ビームの少なくとも一つをコリメートするように構成される少なくとも一つのコリメート・レンズを備えている。
【0056】
一または複数の実施態様では,上記照明光路が,上記複数の照明光ビームを結合照明光ビームに結合するように構成される複数のダイクロイック・ミラー(dichroic mirrors)を備えている。
【0057】
一または複数の実施態様では,上記照明光路が,上記結合照明光ビームを上記中央円形対称光学集光器セグメントの前方焦点面上に集光する(focus)ように構成された結合レンズ(コンバイナー・レンズ)(a combiner lens)を備えている。
【0058】
本書に記載の実施態様のさらに別の側面によると,光学ヘッド・アセンブリが提供され,このアセンブリは,中央光学集光器セグメント,および上記中央円形対称光学集光器セグメントを取り囲み,一緒になって上記中央光学集光器セグメントの周りに実質的にシームレスなリングを形成するように実質的に連続し,かつ共通開口絞り面(a common aperture stop plane)を有する複数の周辺光学集光器セグメントを備える統合非円形対称光学アセンブリと,明視野照明および暗視野照明を上記統合非円形対称光学アセンブリに提供する統合光学照明システムと,上記基板上に遠視野として上記開口絞り面を投影する(projects the aperture stop plane as far field onto the substrate)光学アセンブリと,照明された基板の画像を撮像センサ上に形成する撮像ユニットとを備えている。
【0059】
一または複数の実施態様では,上記撮像ユニットの開口数と,上記統合非円形対称光学アセンブリの開口数とが一致している。
【0060】
一または複数の実施態様では,上記光学ヘッド・アセンブリは,ハードウエア部とソフトウエア部を含み,デジタル画像データを解析して上記基板上の欠陥を検出するように構成された画像処理ユニットをさらに備えている。
【0061】
一または複数の実施態様では,上記デジタル・センサがエリア・センサである。
【0062】
一または複数の実施態様では,上記エリア・センサがCMOSセンサまたはCCDセンサである。
【0063】
一または複数の実施態様では,上記撮像光学ユニットがテレセントリック撮像システム(a telecentric imaging system)を備えている。
【0064】
一または複数の実施態様では,上記エリア・センサが上記統合光学照明システムの照明光源(複数)と同期してトリガ可能(triggerable)である。
【0065】
一または複数の実施態様では,上記エリア・センサが独立してトリガ可能であり,上記統合光学照明システムの上記照明光源(複数)が連続モードで動作する。
【0066】
一または複数の実施態様では,上記光学ヘッド・アセンブリは,複数の所定の照明様相にしたがって上記統合光学照明システムを駆動するように構成された制御モジュールをさらに備えている。
【0067】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が明視野照明様相を含む。
【0068】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が暗視野照明様相を含む。
【0069】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が,照明光の色を変化させる第2の複数の明視野照明様相を含む。
【0070】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が,照明光パワーを変化させる第2の複数の明視野照明様相を含む。
【0071】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が,照明光角度分布を変化させる第2の複数の暗視野照明様相を含む。
【0072】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が,照明光パワーを変化させる第2の複数の暗視野照明様相を含む。
【0073】
一または複数の実施態様では,上記デジタル・センサが,上記複数の所定の照明様相に対応する上記基板上の同一エリアの複数の画像を取得する(obtain)ために,上記基板の同一エリアの複数の画像を取得する(acquire)ように構成されている,
【0074】
一または複数の実施態様では,上記取得された上記基板の複数の同一エリアの画像が少なくとも部分的に互いにオーバーラップしている。
【0075】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相の少なくとも2つが同時に起動される。
【0076】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相の一つの様相を生成するために,異なる強度(複数)の異なる照明(複数)の線形結合(a linear combination)が同時に使用され,上記生成される様相が照明(複数)の線形結合を含む。
【0077】
一または複数の実施態様では,上記デジタル・センサが,上記複数の所定の照明様相のうちの一つの様相を用いて上記基板の同一エリアの複数の画像を取得するように構成されている。
【0078】
一または複数の実施態様では,上記取得された上記基板上の同一エリアの複数の画像が少なくとも部分的にオーバーラップしている。
【0079】
一または複数の実施態様では,上記光学ヘッド・アセンブリは,取得される上記基板の同一エリアの複数の画像を用いて,上記複数の所定の光学様相のうちの一つの様相に対応する上記基板の画像の信号対ノイズ比を改善するように構成される画像処理装置をさらに備えている。
【0080】
一または複数の実施態様では,上記デジタル・センサが,上記複数の画像の取得される画像のそれぞれについて,異なる照明パワーを用いて上記基板の同一エリアの複数の画像を取得するように構成されている。
【0081】
一または複数の実施態様では,上記光学ヘッド・アセンブリは,取得される上記基板の同一エリアの複数の画像を用いて上記基板の高ダイナミックレンジ画像を生成するように構成される画像処理装置をさらに備えている。
【0082】
本書に記載のさらに他の実施態様によると,複数の撮像システム・アセンブリを備える自動光学検査用の検査装置が提供され,複数の撮像システム・アセンブリのそれぞれが,中央光学集光器セグメント,および上記中央光学集光器セグメントを取り囲み,上記中央光学集光器セグメントの周りに実質的にシームレスなリングを形成するように実質的に連続している複数の周辺光学集合器セグメントを備える統合非円形対称光学アセンブリと,上記中央円形対称光学集光器セグメントに明視野照明および暗視野照明を提供する統合光学照明システムとを備えている。
【0083】
一または複数の実施態様では,上記検査システムは,複数の撮像アセンブリの下方で被検査基板を動かすための走査システム(scanning system)をさらに備えている。
【0084】
一または他の実施態様では,上記検査システムは,被検査基板の上方で複数の撮像システム・アセンブリを動かすための走査システムをさらに備えている。
【0085】
一または複数の実施態様では,上記複数の撮像システム・アセンブリが,所定数の行および列のアレイ状で配置されている。
【0086】
一または複数の実施態様では,上記複数の撮像システム・アセンブリは,複数の傾斜列(slanted columns)を有する千鳥配列状で(a staggered array configuration)配置されている。
【0087】
一または複数の実施態様では,上記複数の撮像システム・アセンブリのうちの一つの視野が,上記複数の撮像システム・アセンブリの隣り合うものの第2の視野とオーバーラップするように配置されている。
【0088】
一または複数の実施態様では,上記複数の撮像システム・アセンブリが,上記複数の撮像システム・アセンブリのうちいくつか(several)の照明モードを同時に変更する照明制御(an illumination control)を共有している。
【0089】
一または複数の実施態様では,各撮像システム・アセンブリが,上記複数の撮像システム・アセンブリの他の撮像システム・アセンブリと無関係に,走査中に上記撮像システム・アセンブリ用の照明様相を変更する照明制御モジュールを備えている。
【0090】
一または複数の実施態様では,基板上の異なるエリアが異なる照明様相を用いて走査される。
【0091】
一または複数の実施態様では,各撮像システム・アセンブリについての照明制御モジュールが,照明様相(複数)の所定のシーケンス(a predetermined sequence of illumination modalities)を用いる。
【0092】
一または複数の実施態様では,上記照明様相の所定のシーケンスが基板の構造(a structure of a substrate)にしたがって決定される。
【0093】
本書に記載の実施態様の他の側面によると,基板の光学検査方法が提供され,この方法は,中央光学集光器セグメント,および上記中央光学集合器セグメントを取り囲み,上記中央光学集光器セグメントの周りに実質的にシームレスなリングを形成するように実質的に連続している複数の周辺光学集光器セグメントを備える統合非円形対称光学アセンブリを用意し,上記統合非円形対称光学アセンブリに明視野照明および暗視野照明を提供する統合光学照明システムを用意し,デジタル取得センサ上に照明された基板の画像を形成する撮像光学ユニットを用意し,上記照明システムによって生成された光を上記基板および上記撮像光学ユニットの光軸にガイドするフォールディング・ミラー(a folding mirror)または他の光学素子を用意し,上記基板の画像を取得しかつ対応するデジタル画像データを生成するデジタル・センサを用意するものである。
【0094】
一または複数の実施態様では,上記基板の光学検査方法は,複数の所定の照明様相にしたがって上記統合光学照明システムを駆動することをさらに含む。
【0095】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が明視野照明様相を含む。
【0096】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が暗視野照明様相を含む。
【0097】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が,照明光の色を変化させる第2の複数の明視野照明様相を含む。
【0098】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が,照明光パワーを変化させる第2の複数の明視野照明様相を含む。
【0099】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が照明光角度分布を変化させる第2の暗視野照明様相を備えている。
【0100】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相が,照明光パワーを変化させる第2の複数の暗視野照明様相を備えている。
【0101】
一または複数の実施態様では,上記基板の光学検査方法は,上記複数の所定の照明様相に対応する上記基板の上記同一エリアの複数の画像を取得するために,デジタル・センサを用いて上記基板の同一エリアの複数の画像を取得することをさらに含む。
【0102】
一または複数の実施態様では,上記取得された上記基板の同一エリアの複数の画像が少なくとも部分的に互いにオーバーラップしている。
【0103】
一または複数の実施態様では,上記基板の光学検査方法は,上記複数の所定の照明様相のうちの少なくとも2つを同時に起動することをさらに含む。
【0104】
一または複数の実施態様では,上記複数の所定の照明様相のうちの一つの様相を生成するために,異なる強度(複数)の異なる照明(複数)の線形結合が同時に用いられ,これにより上記生成された様相が照明(複数)の線形結合から構成される。
【0105】
一または複数の実施態様では,上記基板の光学検査方法は,デジタル・センサを用いて,上記複数の照明様相のうちの一つの様相を用いて上記基板の同一エリアの複数の画像を取得することをさらに含む。
【0106】
一または複数の実施態様では,上記取得された上記基板の同一エリアの複数の画像が少なくとも部分的にオーバーラップしている。
【0107】
一または複数の実施態様では,上記基板の光学検査方法は,上記取得された上記基板の同一エリアの複数の画像を用いて上記複数の所定の照明様相の一つの様相に対応する上記基板の画像の信号対ノイズ比を改善することをさらに含む。
【0108】
一または複数の実施態様では,上記基板の光学検査方法は,デジタル・センサを用いて,上記複数の画像の各取得される画像について異なる照明パワーを用いて上記基板の同一エリアの複数の画像を取得することをさらに含む。
【0109】
一または複数の実施態様では,上記基板の光学検査方法は,上記取得される上記基板の同一エリアの複数の画像を用いて上記基板の高ダイナミックレンジ画像を生成することを含む。
【0110】
一または複数の実施態様では,上記中央光学集光器セグメントが円形対称(circularly symmetric)である。
【0111】
一または複数の実施態様では,上記中央光学集光器セグメントが円形対称である。
【0112】
一または複数の実施態様では,上記中央光学集光器セグメントが円形対称である。
【0113】
本書に記載の実施態様のさらに他の側面によると,明視野照明および暗視野照明を提供する統合光学照明システムが提供され,上記光学照明システムが,中央光学集光器セグメント,および上記中央光学集光器セグメントを取り囲み,一緒になって上記中央光学集光器セグメントの周りに実質的にシームレスなリングを形成するように実質的に連続している複数の周辺光学集光器セグメントを備える統合非円形対称光学アセンブリと,複数の照明光源とを備えている。
【0114】
この発明に関するさらなる態様が以下の説明の部分に記載され,その部分は上記説明から明らかにされ,またはこの発明の実施によって知ることができる,この発明の態様は,特に以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲において指摘される様々な要素および態様の組み合わせによって達成することができる。
【0115】
上記および以下の記述の両方は例示的に説明するだけのもので,クレームされる発明および本願を何らかの形で限定する意図はないことを理解されたい。
【0116】
この明細書に組み込まれ,かつこの明細書の一部を構成する添付図面は,この発明の実施形態を例示するものであり,上記記述とともにこの発明の技術の原理を説明しかつ示すのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0117】
図1(a)】統合非円形対称光学アセンブリの例示的実施態様を用いて対象物を照明する例示的な光学構成を示す。
図1(b)】光学検査装置において用いる明視野および環状暗視野照明のための光学素子を結合した統合光学レンズの例示的実施態様を示す。
図2(a)】統合光学レンズ・アセンブリの記述される実施態様を組み込んだ光学照明システムの例示的実施態様を示す。
図2(b)】統合光学レンズ・アセンブリの記述される実施態様を組み込んだ光学照明システムの例示的実施態様を示す。
図3】R,G,B照明光ビームが同時に作動されるかまたは一つ一つ作動されてその後に上記光ビームが上記統合光学レンズ・アセンブリを通過するときの,共通開口絞りの箇所における明視野照明の例示的な角度分布パターンを示すものである。
図4】暗視野照明光源が一つ一つまたは異なる組み合わせで作動するときの,共通開口絞りの箇所における暗視野照明の例示的な角度分布パターンを示すものである。
図5】すべての8つの暗視野照明光源が同時に作動するときの,共通開口絞りの箇所における暗視野照明の例示的な角度分布パターンを示すものである。
図6】代替的な例示的実施例を示すもので,図1(b)の統合光学レンズ・アセンブリが,中央フレネルレンズ(明視野用)と周辺フレネルレンズ(暗視野用)とを備える「フレネル」タイプの屈折レンズ・アセンブリによって任意選択的に置き換えられたときのものである。
図7図6に示す任意のフレネルタイプの統合光学レンズ・アセンブリと協働する,図2(a)および図2(b)に示す実施態様の様々な構成要素を全体的にまたは部分的に交換して用いることができる様々な代替的な実施態様を示す。
図8図6に示す任意のフレネルタイプの統合光学レンズ・アセンブリと協働する,図2(a)および図2(b)に示す実施態様の様々な構成要素を全体的にまたは部分的に交換して用いることができる様々な代替的な実施態様を示す。
図9図6に示す任意のフレネルタイプの統合光学レンズ・アセンブリと協働する,図2(a)および図2(b)に示す実施態様の様々な構成要素を全体的にまたは部分的に交換して用いることができる様々な代替的な実施態様を示す。
図10図6に示す任意のフレネルタイプの統合光学レンズ・アセンブリと協働する,図2(a)および図2(b)に示す実施態様の様々な構成要素を全体的にまたは部分的に交換して用いることができる様々な代替的な実施態様を示す。
図11図6に示す任意のフレネルタイプの統合光学レンズ・アセンブリと協働する,図2(a)および図2(b)に示す実施態様の様々な構成要素を全体的にまたは部分的に交換して用いることができる様々な代替的な実施態様を示す。
図12】照明システムの実施態様(およびなんらかの光学的特徴)を備える光学検査ヘッドの例示的な実施態様を示す。
図13図12に示す光学ヘッドのような光学ヘッドのアレイの例示的な実施態様を示す。
図14】統合光学照明システムを備えるマルチ撮像システム1200を用いた検査システムの例示的な実施態様を示す。
図15図2(a)および図2(b)に示す実施態様に概略的に対応する他の実施態様を示す。
図16】様々な光学要素が「反射型」暗視野の実施形態に組み込まれたモノリシック成形プラスチック装置として実装することができる実施形態を示す。
図17】「反射型」実施態様の光学部材を通じた例示的な光線追跡を示す。
図18】結合照明器具の有効射出瞳面における光強度分布の光学CADシミュレーションを示す。
図19】被検査基板の面における照明器具の遠視野を撮像する投影レンズの追加を示す。
図20】投影レンズによって基板に重畳される,この発明の光学アセンブリによって無限に投影される光源(ここでは正方形のもの)のおおよそのイメージを示す。
図21】例示的にシミュレートされた強度を示すもので,この実施形態の照明器具による視野の中心に投射される「照明の空」の有効角度分布を示す。
図22】被検査基板の様々な箇所に投影される結合明視野および暗視野照明の例示的な光学CADシミュレーションを示す。
【実施例】
【0118】
以下の記載において,添付図面を参照して同一の機能要素を同様の符号を用いて特定する。上述の添付図面は,この発明の原理に一致する特定の実施態様および実装例を示すもので,イラストによって示され,限定を意味するものではない。これらの実装例は,当業者が上記発明を実施することができるように十分に詳細に記載され,他の実装例を利用することができ,構造上の変形および/または様々な要素の置換はこの発明の範囲および精神から逸脱することなく行うことができる。したがって以下の詳細な記載は限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0119】
本書に記載の実施態様の一側面によると,エリア検査装置用照明システムが提供される。記載される照明は,一緒になってシームレスに(継ぎ目無く)融合されるテレセントリック明視野および環状暗視野光を提供する。一または複数の実施態様では,上記照明システムは,シームレスなやり方で異なる面に位置する画像照明を単一平面に対して提供する(provide image illuminations positioned at different planes to a single plane)様々なレンズを組み合わせた統合光学レンズ・アセンブリ(unified optical lens assembly)を含む。一または複数の実施態様では,上記照明システムの様々な部分が共通の開口絞り(common aperture stop)を有し,したがってケラレ(vignetting)が光路中に存在せず,その結果上記光学検査システムによって高品質の光学画像が取得される。
【0120】
本書に記載の実施態様の一側面によると,中央円形対称光学集光器セグメント(a central circularly symmetric optical concentrator segment)および上記中央集光器セグメントを囲む周辺光学集光器セグメント(複数)(peripheral optical concentrator segments)を含む,統合非円形対称光学アセンブリ(a unified, non-circularly symmetric optical assembly)が提供される。一または複数の実施態様において,上記周辺集光器の開口(複数)(the peripheral concentrator clear apertures)は実質的に連続し,一緒になって上記中央集光器セグメントを取り囲んでほぼシームレスな(継ぎ目のない)リング(輪,環)を形成する。一または複数の実施態様では,上記周辺集光器の開口(複数)は,それらの内縁(内側エッジ)に沿って実質的に連続し,上記中央集光器素子との間に所定ギャップが形成され(いくつかの実施態様ではこのギャップは恣意的に小さくできる),一緒になって全体として単一の光学アセンブリのほぼシームレスな環状開口(a nearly seamless round shaped clear aperture)を形成する。
【0121】
一または複数の実施態様では,上記統合非円形対称光学アセンブリにおいて,各集光器セグメントは前方焦点面(a front focal plane)を持つ。さらに上記前方焦点面の近傍に位置するようにして有効光源(an effective light source)が設けられる。一または複数の実施態様では,上記統合非円形対称光学アセンブリは,下流の照明光学アセンブリの開口絞りの近傍(in the vicinity of the aperture stop of a downstream illumination optical assembly)に配置される。一または複数の実施態様では,上記下流の照明光学アセンブリは,上記統合非円形対称光学アセンブリの上記有効開口によって規定される角度形状(an angular shape)を持つ被検査基板の照明野をテレセントリックに投影する。
【0122】
図1(a)は,上記統合非円形対称光学アセンブリ100 の例示的実施態様を用いた対象物の照明のための例示的光学構成を示している。図示する構成において,開口絞り111がレンズ112 の前方焦点面に配置されており,これにより図示する光学システムのレテセントリシティ(telecentricity)がもたらされる。明視野照明用の有効光源113 および暗視野照明用の有効光源115 が,検査される対象物114 の面において上記照明システムによって映し出される(imaged)。一または複数の実施態様において,図示する開口絞り111 は明視野照明範囲と暗視野照明範囲の間を鋭く分割し,それらの間に自由に規定される所定のギャップが設けられる。有効光源113 および有効光源115 のそれぞれは,一または複数のLED,レーザ・エミッタ,またはビーム・ホモゲナイザーもしくはファイバ束などの出力端によって構成することができることを理解されたい。
【0123】
様々な実施態様において,上記ギャップはマスクを用いることで実施することができ,上記マスクは,機械的リングの形態,または別体の素子上または上記統合非円形対称光学アセンブリ上に塗布されるコーティングの形態とすることができる。一または複数の実施態様において上記マスクは円形のもの(circular)とすることができる。
【0124】
図1(b)は光学検査装置において用いられる,明視野および環状暗視野照明用の光学素子(複数)を結合した統合光学レンズ・アセンブリの例示的な実施態様100 を示している。特に図示する統合光学素子の実施態様100 は8つの周辺プリズマティック・レンズ(peripheral prismatic lenses)102 によって取り囲まれた中央レンズ101 を含む。一または複数の実施態様において,上記周辺プリズマティック・レンズ102 は一般には非対称の開口(asymmetrical aperture)を有する軸外レンズ(off-axis lenses)である。上記プリズマティック・レンズ102は「ペタルズ」(petals)(花弁)と呼ばれている。上記統合光学レンズ・アセンブリの例示的な実施態様100 は8つの周辺プリズマティック・レンズ102を含むが,本書に記載の発明のコンセプトは図示する実施態様に限定されないことに留意すべきである。特に,他の適切な数および形状の周辺レンズ102が利用可能である。さらに他のタイプのプリズマティックのまたは軸外の周辺レンズをこの発明の様々な実施態様とともに用いることができること留意すべきである。一または複数の実施態様において,プリズマティックのまたは軸外の周辺レンズの使用によって,統合光学レンズ・アセンブリに対して物理的に広いまたは狭い暗視野(DF)光源「リング」の調整が可能になる。一または複数の実施態様において,統合光学レンズ・アセンブリは,回折レンズまたは回折素子を有するレンズである結合回折−屈折レンズ(combined diffractive-refractive lens)である。
【0125】
一または複数の実施態様において,統合光学レンズ・アセンブリ100 の中央レンズ101 の光出力はRGB明視野照明のための遠視野(ファーフィールド)(a Far Field for the RGB Bright Field illumination)として作用し,図2に関連して以下に示すように,これは照明光が統合光学レンズ・アセンブリ100 に入射する前に形成される。他方,統合光学レンズ・アセンブリ100 の8つのプリズマティック・レンズ102 の光出力は暗視野照明の遠視野(the Far Field of the Dark Field illumination)として作用する。一または複数の実施態様において,上記暗視野照明は,好ましくは周辺プリズマティック・レンズ102 の前方焦点面に配置される別個の光源のマッチング数(たとえば8個)に由来する(originate)。この場合も,好ましくはプリズマティック・レンズ102の数に一致する別個の任意の適切な数の照明光源を使用することができる。一または複数の実施形態において,中央レンズ101の前方焦点面は,周辺プリズマティック・レンズ102のそれぞれの前方焦点面と一致する。当業者によって理解されるように,中央レンズ101によって作られる明視野照明はテレセントリックである。
【0126】
図2(a)および2(b)は上記統合光学レンズ・アセンブリの実施態様100を含む光学照明システムの例示的実施態様200を示している。図2(a)および図2(b)は特に統合光学レンズ・アセンブリ100の上流の光学装置の部分を示している。光学照明システム200は3つの個別のファイバ201,202および203を備え,このそれぞれが照明光を生成するための基礎色(RGB)のものである。一実施態様では,適切な波長の3つの発光ダイオード(LEDs)を用いて個別の光源201,202および203を実装することができる。上記システムは,図示する3つのLEDには限定されず,他の数および構成の個別の光源(複数)を使用することができることに留意されたい。
【0127】
一または複数の実施態様において,上記個別の光源201,202および203によって生成される個別の照明光ビーム(たとえばR,G,Bビーム)のそれぞれは,3つのコリメート・レンズ204,205および206の一つによってコリメートされる。その後,得られたコリメート光ビーム(複数)は,各ダイクロイック・ミラー207,208および209を通して,かつ好ましくは上記統合光学レンズ・アセンブリ100の前方焦点面上の合成レンズ(a combiner mirror)210によって集光されて結合され,その後に,結合照明光ビームが光学的に検査すべき対象物上に向かう。上記3つのコリメート・レンズ204,205および206,ダイクロイック・ミラー207,208および209,ならびに合成レンズ201は,個別の光源201,202および203からR,GおよびB照明光ビームを結合するための照明光経路(an illumination light path)を形成し,上記結合照明光を上記統合光学レンズ・アセンブリ100の中央レンズ101に向けて搬送する。
【0128】
一または複数の実施態様において,上記3つの個別の光源201,202および203は明視野光源として作用する。一実施態様において,ホール212を有するプリント回路基板(PCB)または他の素材のシート211も,好ましくは,3つの個別の光源201,202および203によって生成される上記結合明視野照明光が上記PCB211のホール212を通過するように,上記統合光学レンズ・アセンブリ100の上記周辺セグメント102の前方焦点面に配置される。
【0129】
一または複数の実施態様において,同じPCB211上に,好ましくは上記統合光学レンズ・アセンブリ100の周辺セグメント102の前方焦点面に配置されるようにして,8つの光源213が設けられる。一実施態様において上記光源213は環状に配置される(arranged in a circle)。当業者に理解されるように,上記構成では,各光源213は,上記統合光学レンズ・アセンブリ100の各プリズマティック・レンズ102の前方焦点面に配置される。一または複数の実施態様では,上記光源213を8つの別個のLEDを用いて実装することができる。一実施態様においてはすべてのLED213が同じ波長の光を生成する。上記8つの光源213は暗視野照明を形成する。一または複数の実施態様では,統合光学レンズ・アセンブリ100の出力面は照明システム200全体の共通の開口絞り214として機能する。一または複数の実施態様では,上記光学照明システムに利用される,LED(複数)213ならびにLED201,202および203を含む各光源は,適切な駆動電子回路を用いて個別に制御することができる。一または複数の実施態様において,上述した光源のそれぞれを,適切な電気駆動信号を用いて,連続的に,またはパルスもしくはストロボのように(in a pulsed or strobe manner)動作させることができる。一または複数の実施態様において,基板の画像を取得する撮像システムの開口数(a numerical aperture of the imaging system)と,統合光学照明システムの開口数(a numerical aperture of the unified optical illumination system)が一致している。
【0130】
図3は共通開口絞り214の箇所における明視野照明の例示的な角度分布パターンを示すもので,R,GまたはB照明光ビームは同時にまたは一つずつ動作され,その後に上記光ビームは統合光学レンズ・アセンブリ100を通過する。図3に示すように,上記明視野照明は均一な円状照明光パターン300を持つ。一または複数の実施態様において,整合する明視野照明を形成するために(to create a matched Bright Field illumination),上記統合光学レンズ・アセンブリ100の中央レンズ101の開口数(NA)は撮像システム(図示略)のNAと整合するように設計される。
【0131】
図4は共通開口絞り214の箇所における暗視野照明の例示的な角度分布パターンを示すもので,暗視野照明光源(複数)213は一つずつまたは様々な組み合わせで動作する。このような様々な暗視野照明の角度分布パターンは,暗視野照明の様相(モダリティー)(modalities of the Dark field illumination)と呼ばれている。図4からわかるように,8つの光源213のそれぞれは,完全な円(360度)の八分の一の角度サイズ(45度)を有するリングの角度セクタ(an angular sector)をカバーする各暗視野照明パターン401,402,403,404,405,406,407および408を生成する。図4に示す暗視野照明パターン401,402,403,404,405,406,407および408は,暗視野照明の様々な例示的な様相を表している。
【0132】
図5はすべての8つの暗視野照明光源213が同時に動作したときの,共通開口絞り214の箇所における暗視野照明の例示的な角度分布パターンを示している。このような構成の結果がリング状のシームレスな環状暗視野照明パターン500である。
【0133】
上記の例示的な照明システムの多くのバリエーションが可能であることに留意すべきである。たとえば,上記明視野照明光源201,202および203,ならびに暗視野照明光源(複数)213の数および空間配置は,別個の明視野照明光ビームを結合するシステムとして適切に変更することができる。さらに,暗視野照明光源(複数)213および対応するプリズマティック・レンズ102の形状および空間配置も変更することができる。
【0134】
図6は代替的な例示的実施態様を示すもので,ここでは図1の統合光学レンズ・アセンブリ100が中央フレネル・レンズ601(明視野用)および周辺フレネル・レンズ602(暗視野用)を持つ「フレネル」タイプの屈折レンズ・アセンブリ600によって任意選択的に置き換えられている(optionally replaced)。当業者に理解されるように,機能的に類似するフレネルタイプのレンズ・アセンブリ600は,より狭くかつ「平坦」な形状のファクタと製造の容易さを提供する。任意のフレネルタイプの素子と同様に,より低い光学品質と増加する迷光の欠点がある。図1の統合光学レンズ・アセンブリ100の任意の一体部分を,中央レンズ101(明視野用)または周辺プリズマティック・レンズ102(暗視野用)またはこれらの任意の組み合わせのような対応するフレネルタイプのコンポーネントによって置換できることにも留意されたい。
【0135】
図7から図11は,図6に示す任意選択的なフレネルタイプの統合光学レンズ・アセンブリ600を組み合わせた,図2(a)および図2(b)に示す実施態様の様々な要素を全体的にまたは部分的に置換して使用することができる様々な代替的実施態様を示している。たとえば,図2の明視野光源を構成する3つのR,GおよびBのLED201,202および203を,好ましくはフレネル要素601の前方焦点面に配置される任意の色の単一のLED光源701によって置き換えることができる。
【0136】
これに加えて,一または複数の実施態様では,物理的な暗視野LED光源(複数)213を,有効光源のサイズ,形状,および広がり角度を制御するために任意選択的に先細りにされた均質光案内ロッド(homogenizing light guiding rods)(複数)702の出力端(複数)によって置き換えることができる。上記ロッドの出力端(複数)は,図2(a)および図2(b)に示す実施態様と同様に,好ましくは暗視野レンズ602の前方焦点面に配置される。任意選択的に,図7から図10に示すように,上記出力端は明視野LED光源701と同一平面上とされる(coplanar)が,暗視野および明視野レンズ601および602が,異なる面内にそれらの前方焦点面を有するものであってもよい。
【0137】
光案内ロッド(複数)702の入力端(複数)703は,図7から図9に示すように,集光コンデンサのように形成する(shaped as light collecting condensers)ことができるし,または従来のように,光案内ロッド702の入力端面に近接して取り付けられるLED705に対してフラットにすることもできる。これに加えて,LED光源(複数)705を,単一の基板21ではなく図示する別個のプリント配線基板704上に実装し,必要な場合により柔軟なパッケージングを得るようにしてもよい。一または複数の実施態様では,上記LED光源705はレーザ発振ダイオードのようなレーザ光源によって置き換えることができる。
【0138】
以下,上記統合光学レンズ・アセンブリの実施態様100を含む光学照明システムの上述の例示的実施態様200を使用する光学検査システムを説明する。図12は照明システム200の実施態様(および何らかのその光学的特性)を備える光学検査ヘッド1200の例示的な実施態様を示している。特に,上記光学検査ヘッド1200は,暗視野および明視野照明光を,ビーム・スプリッタ1204または他の適切な光ビーム反射装置を介して,上記光学検査ヘッド1200を使用して製造上の欠陥が検査されるパネルまたは基板1207に向けて伝達するための上記照明光学経路1201に任意選択的に結合される上述した光学照明システム200を含む。様々な実施態様において,上記照明光学経路1201は一または複数のレンズおよび/またはミラー1203ならびに他の光学的構成要素(図示略)を含むことができる。照明されるパネルまたは基板1207の画像は撮像光学系1205を用いて形成され,デジタル取得センサ,たとえば当業者にとって既知のCCDまたはCMOS撮像装置とすることができるエリア・センサ1206,または何らかの既知のまたは将来開発される撮像装置を用いて取得される。上記光学検査システムはさらに,ハードウエア部およびソフトウエア部を含み,デジタル画像データを解析して基板の欠陥を検出する画像処理ユニットを備えることができる。一または複数の実施態様において上記撮像光学系1205はテレセントリックである。
【0139】
一または複数の実施態様において,上記エリア・センサ1206は上記照明光源と同期してトリガされ,照明システム200の照明光源に与えられるパルスまたはストロボと同時にカメラ(電子)シャッタを開く。別の代替的な実施態様では,上記エリア・センサは独立してトリガされ,上記統合光学照明システムの照明光源は連続モードで動作する。
【0140】
一または複数の実施態様において,暗視野照明の様相は,図4に示す例示的な角度分布401,402,403,404,405,406,407および408のような様々な角度分布モードを持っている。一または複数の実施態様では,上述した統合非円形対称光学アセンブリ100の一または複数の暗視野照明素子を各暗視野照明モードのために用いることができる。任意選択的に,上述した統合非円形対称光学アセンブリ100の様々な暗視野照明素子のセット(different sets of different dark field illumination elements)を,同じ走査領域のための複数の様々な暗視野様相を生成するために連続的に用いることができる。
【0141】
図13は,図12に示す光学ヘッド1200のような,光学ヘッドのアレイ1300(an array 1300 of optical heads)の例示的な実施態様を示している。一または複数の実施態様において,上述した照明システム200の特別な能力を用いて光学ヘッド(複数)のアレイ1300をパネルまたは基板1207を走査するために用いることができる。図13に示す実施態様では,光学ヘッド(複数)1200は千鳥状にアレイ1300として配置されている。操作方向も示されている。当業者に理解されるように,撮像システムの千鳥状の構成によって,隣接する撮像サブ・システムの視野を互いの距離を所望の短さとしたスライス(複数)で走査することができ,他方,各撮像システムの機械的なフットプリント(the mechanical footprint)は上記撮像システム・アセンブリの視野よりも(ずっと)大きくなる。
【0142】
図14は,統合光学照明システム200を備える複数の撮像システム1200を用いた検査システム1400の例示的な実施態様を示している。上記検査システム1400は以下の要素を備えている。
【0143】
1.シャーシ1405。典型的には鉄骨構造の組み合わせによって組み立てられ,そこに他のサブ・システム(複数)が取り付けられる。
【0144】
2.搬送テーブル1410。図示する実施態様では,シャーシに堅く接続されたエア・フロート・テーブルであり,互いに平行な複数の中空の棒から構成され,そのすべてが検査されるパネルの浮上力を提供するエア・サプライに接続されており,走査ブリッジ1440の下側でガラスがY軸に沿って上記搬送テーブル1410のローディング・ゾーン部1430から上記搬送テーブル1410のアンロード・ゾーン1420へ搬送されるときに,ガラスをフロート支持するために用いられる。
【0145】
3.走査ブリッジ1440。典型的には検査下の基板を走査するように構成される一または複数の走査カメラ1485を搬送するものである。図14に示す実施態様では,走査カメラ(複数)1485は統合カメラおよび照明システム(integrated camera and illumination system)であり,たとえば図12に関して記述した撮像システム1200のようなものである。図14に示す実施態様において,上記走査ブリッジ1440は走査ブリッジ1440の垂直転置(vertical translocation)を提供する移動機構1410(たとえばモータおよびドライブおよびドライブネジ)を介してシャーシ1405に取り付けられている。任意選択的にまたは追加的に,各カメラはそれ自身の垂直転置機構を備えている。
【0146】
4.把持機構1450。上記シャーシの一側に接続され,検査する対象物を保持し,かつY軸方向(走査方向)に動かすように構成されている。
【0147】
5.図14に示す実施態様において,検査すべき対象物の画像(複数)を取得するように構成される複数の高解像度ビデオ・カメラ1470(たとえばマイクロスコープ)を搬送するシャーシ1405に一つのビデオ・ブリッジ1406が取り付けられており,概略的に走査方向を横切る方向に動き,典型的には以下の第1の走査を得る。
【0148】
6.コントローラ1480。好ましくはシャーシ1405内に配置され,電気および通信チャンネルによってシステム1400の様々な部分に接続され,コンベア1410,把持機構1450,走査ブリッジ1440およびビデオ・カメラ(複数)1470の様々な動作を指示しかつ制御するように構成される。
【0149】
7.データ処理コンピュータ1490。走査ブリッジ1440,カメラ(複数)1470およびコントローラ1480に接続され,カメラ(複数)からの情報を受信するように構成され,それを処理してさらなる検査のための指示,エラー報告および他の検査報告を提供する。
【0150】
図15図2(a)および図2(b)に示す対応する他の実施態様を概略的に示している。主な違いは暗視野が実装されるやり方である。内側に向いたLEDの周状の「リング」が反射器(複数)のモノリシックアレイに光を向けている。各LEDは好ましくはそのそれぞれの反射器セグメントの前方焦点面に配置されている。各反射器セグメントは一次の放物面形状であり,適切には有限次元の光源に最適化されている(suitably optimized to a light source of finite dimensions)。「屈折」の実施形態と同様に,明視野および暗視野の光学系の両方は,それぞれの出口開口部(exit apertures)が共通面に位置している。機能的にはこの実施態様は「屈折」の場合と同様であり,他の部分の記載が適用可能である。
【0151】
上述の「屈折」の実施態様が設計において有利であり,そこでは,明視野光学系の射出瞳が暗視野反射素子と同一平面上にある限り,暗視野照明構成が異形明視野光学系と結合される(the dark field illumination component is to be mated with oddly shaped bright field optics)。他の潜在的な有利な点は,特に,IRおよび/またはUV領域のような可視領域外の非常に広いスペクトルにわたって照明を拡散する動作能力であり,このような屈折光学系は通信または過度収差の観点に挑むことができる(could be challenged in terms of transmission or excessive aberrations)。
【0152】
別の違いは,よりタイトなフォームファクタ(tighter form factor)を達成するために,明視野構成の光路内において全内部反射(TIR)の「ペリスコープ」(periscope)を使用することである。これは任意追加的な機能であり,この発明に必ずしも必要な構成要素ではない。
【0153】
図16は,「反射」型の暗視野の実施形態に含まれるさまざまな光学素子を,モノリシック成形プラスチック装置として実装することができる実施態様を示している。
【0154】
図17は,「反射」型の実施態様の光学系を通した例示的な光線追跡(ray-tracing)を示している。
【0155】
図18は結合照明器(the combined illuminator)の有効射出瞳面(the effective exit pupil plane)における光強度分布の光学的CADシミュレーションを示している。このシミュレーションは,明視野と暗視野の構成がどのようにシームレスに光軸に対して3度の集光角度まで一緒に融合されるか(fused together up to a collection angle of 3 degrees to the optical axis)を示している。この角度を超えると,所与の特定の設計のためにケラレ効果(vignetting effect)が始まり,次第に「フルスカイ」(full sky)は破壊される。
【0156】
図19は被検査基板の面において照明器の遠視野を撮像するための投影レンズ(a projection lens to image the far field of the illuminator at the plane of the inspected substrate)の追加を示している。照明装置の上記結合出口開口部(the combined exit aperture)は上記投影レンズの前方焦点面に配置されるのに対し,上記基板は前方焦点面に配置される。
【0157】
図20は,この発明の光学アセンブリによって無限に投影される光源(このケースでは正方形)のおおよその画像が,投影レンズによって基板に重畳されている様子を示している。
【0158】
図21はこの実施態様の照明器具によって視野の中央に投影される「照明の空」(sky of illumination)の例示的にシミュレートされた強度の実際上の角度分布を示している。円形の明視野および環状暗視野は上述した図3および図5の図に対応している。
【0159】
図22は,被検査基板上の様々なポイントに投影される結合BFおよびDF照明の例示的な光学CADシミュレーションを示している。ほぼ完全な「照明の空」を示しており,そこでは,8mm対角線(中心から4mm)の視野まで環状暗視野がシームレスに明視野の「ディスク」に融合されている。このように2つの照明構成要素が一緒になって(共に)融合される準均一な照明の有限の非ケラレ野の作成(the creation of a finite, un-vignetted field of quasi-uniform illumination where the two illumination components are fused together)がこの発明の顕著な特徴である。
【0160】
最後になるが,本書に記載の処理および技術は,任意の特定の装置に本質的には関連せず,任意の適切な構成要素の組み合わせによって実現することができることを理解されたい。さらに,様々なタイプの汎用目的の装置を,本書に記載の教示にしたがって利用することができる。また,本書に記載の方法のステップを実行するための専用装置を構築することが有利であることも理解される。この発明を特定の実施例に関連して記載したが,これはすべての観点において限定ではなく例示であることを意図している。当業者であれば,この発明を実施するのに適する専用のおよび既製の構成部材の多くの様々な組合せを認識するであろう。
【0161】
さらに,この発明の他の実装は,本書に開示されたこの発明の仕様およびプラクティスを考慮することによって当業者には自明であろう。様々な態様および/または上述した実施態様実施形態の構成要素は,単独で,または電子機器の自動光学検査システムにおける任意の組み合わせにおいて使用することができる。明細書および実施例は,以下の特許請求の範囲によって示されるこの発明の真の範囲および精神が例示としてのみ考慮されることを意図している。
図1(a)】
図1(b)】
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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