特許第6670563号(P6670563)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6670563割当装置、生産システム、割当方法、割当装置で用いられるプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670563
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】割当装置、生産システム、割当方法、割当装置で用いられるプログラム
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
   H05K13/02 B
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-147670(P2015-147670)
(22)【出願日】2015年7月27日
(65)【公開番号】特開2017-28196(P2017-28196A)
(43)【公開日】2017年2月2日
【審査請求日】2018年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】名古屋 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】溝内 哲平
【審査官】 土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−111106(JP,A)
【文献】 特開2006−253184(JP,A)
【文献】 特開2011−138860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産プログラムに基づいてフィーダから供給される部品を基板に実装する実装装置のフィーダバンクに、当該生産プログラムで使用されるフィーダを割り当てる割当装置であって、
基板の種類毎に異なる複数の生産プログラムを統合したクラスタを含む予約ファイルが記憶された記憶部と、
前記クラスタ毎に前記複数の生産プログラムで使用されるフィーダを前記フィーダバンクに割り当てる割当部とを備え、
前記予約ファイルに新規の生産プログラムが追加される場合に、前記割当部が既存のクラスタのフィーダ配置を優先させて、前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダを前記フィーダバンクに割り当て、
前記既存のクラスタのフィーダ配置が設定された前記フィーダバンクに、前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダが割り当て可能か否かを判断する判断部をさらに備え、
前記判断部で前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダが割り当て不能と判断された場合に、前記予約ファイルに前記新規の生産プログラム用に新規のクラスタが生成され、前記新規のクラスタに前記新規の生産プログラムが追加され、
前記割当部は、前記既存のクラスタと前記新規のクラスタのフィーダ配置を、前記既存のクラスタのフィーダ配置の変更を最小限に抑えるように割り当て直す、
ことを特徴とする割当装置。
【請求項2】
前記予約ファイルで前記新規の生産プログラムと同じフィーダを少なくとも1つ使用する既存のクラスタを検索する検索部を備え、
前記検索部で検索された既存のクラスタに前記新規の生産プログラムが追加されることを特徴とする請求項1に記載の割当装置。
【請求項3】
前記判断部で前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダが割り当て可能と判断された場合に、前記割当部は、前記既存のクラスタのフィーダ配置を変えることなく、前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダを前記フィーダバンクに割り当てることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の割当装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の割当装置と、
前記割当装置によってフィーダが割り当てられるフィーダバンクを有する実装装置とを備えることを特徴とする生産システム。
【請求項5】
生産プログラムに基づいてフィーダから供給される部品を基板に実装する実装装置のフィーダバンクに、当該生産プログラムで使用されるフィーダを割り当てる割当方法であって、
予約ファイルに対して基板の種類毎に異なる複数の生産プログラムを統合したクラスタを生成するステップと、
前記クラスタ毎に前記複数の生産プログラムで使用されるフィーダを前記フィーダバンクに割り当てるステップとを有し、
前記フィーダを前記フィーダバンクに割り当てるステップでは、前記予約ファイルに新規の生産プログラムが追加される場合に、既存のクラスタのフィーダ配置を優先させて、前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダを前記フィーダバンクに割り当て、
前記既存のクラスタのフィーダ配置が設定された前記フィーダバンクに、前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダが割り当て可能か否かを判断するステップをさらに有し、
前記判断するステップで前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダが割り当て不能と判断された場合に、前記予約ファイルに前記新規の生産プログラム用に新規のクラスタが生成され、前記新規のクラスタに前記新規の生産プログラムが追加され、
前記割り当てるステップでは、前記既存のクラスタと前記新規のクラスタのフィーダ配置を、前記既存のクラスタのフィーダ配置の変更を最小限に抑えるように割り当て直す、
ことを特徴とする割当方法。
【請求項6】
請求項5に記載の割当方法を割当装置に実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装装置のフィーダバンクに対してフィーダを割り当てる割当装置、生産システム、割当方法、割当装置で用いられるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に部品の実装装置では、フィーダバンクと呼ばれる配置台に複数のフィーダが横並びに配置されている。各フィーダからは実装ヘッドのピックアップ位置に向けて各種部品が順番に送り出されており、各フィーダと基板との間を実装ヘッドが移動することで基板に部品が実装される。ところで、フィーダバンクに対するフィーダの割り当ては、割当装置としてのホストコンピュータに入力された基板毎の生産プログラムに応じて決定される。各基板の生産プログラムには、当該基板に実装されるフィーダが指定されており、生産プログラム毎に使用されるフィーダが異なっている。
【0003】
従来、複数の生産プログラムを効率的に実施可能なフィーダの割り当て方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のフィーダの割り当て方法は、ホストコンピュータの予約ファイルに複数の生産プログラムを登録して1つのプログラムのようにクラスタ化した後、基板が変わって生産プログラムが変更されても同一クラスタではフィーダの交換作業が生じないようにフィーダの割り当てが最適化されている。最適化済みの予約ファイルはホストコンピュータから実装装置に通知され、実装装置の稼働前に予約ファイルのフィーダ配置に従ってフィーダバンクにフィーダが取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−319719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のフィーダの割り当て方法では、予約ファイルのクラスタ毎に複数の生産プログラムで使用される各フィーダを効率的に割り当てることができる。しかしながら、生産計画の変更等によって最適化済みの予約ファイル(クラスタ)に対して新規生産プログラムを追加しなければならない場合、予約ファイルのフィーダ配置が再び最適化されて既存のフィーダ配置から大幅に変わってしまう可能性がある。これにより、フィーダバンクにおけるフィーダの並びが変更されてフィーダの付け替え作業が発生し、作業工数が増加してオペレータの作業負担が増えるという問題がある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、オペレータの作業負担を増やすことなく、新規生産プログラムの追加時にフィーダを最適に割り当てることができる割当装置、生産システム、割当方法、割当装置で用いられるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の割当装置は、生産プログラムに基づいてフィーダから供給される部品を基板に実装する実装装置のフィーダバンクに、当該生産プログラムで使用されるフィーダを割り当てる割当装置であって、基板の種類毎に異なる複数の生産プログラムを統合したクラスタを含む予約ファイルが記憶された記憶部と、前記クラスタ毎に前記複数の生産プログラムで使用されるフィーダを前記フィーダバンクに割り当てる割当部とを備え、前記予約ファイルに新規の生産プログラムが追加される場合に、前記割当部が既存のクラスタのフィーダ配置を優先させて、前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダを前記フィーダバンクに割り当て、前記既存のクラスタのフィーダ配置が設定された前記フィーダバンクに、前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダが割り当て可能か否かを判断する判断部をさらに備え、前記判断部で前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダが割り当て不能と判断された場合に、前記予約ファイルに前記新規の生産プログラム用に新規のクラスタが生成され、前記新規のクラスタに前記新規の生産プログラムが追加され、前記割当部は、前記既存のクラスタと前記新規のクラスタのフィーダ配置を、前記既存のクラスタのフィーダ配置の変更を最小限に抑えるように割り当て直す、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の割当方法は、生産プログラムに基づいてフィーダから供給される部品を基板に実装する実装装置のフィーダバンクに、当該生産プログラムで使用されるフィーダを割り当てる割当方法であって、予約ファイルに対して基板の種類毎に異なる複数の生産プログラムを統合したクラスタを生成するステップと、前記クラスタ毎に前記複数の生産プログラムで使用されるフィーダを前記フィーダバンクに割り当てるステップとを有し、前記フィーダを前記フィーダバンクに割り当てるステップでは、前記予約ファイルに新規の生産プログラムが追加される場合に、既存のクラスタのフィーダ配置を優先させて、前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダを前記フィーダバンクに割り当て、前記既存のクラスタのフィーダ配置が設定された前記フィーダバンクに、前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダが割り当て可能か否かを判断するステップをさらに有し、前記判断するステップで前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダが割り当て不能と判断された場合に、前記予約ファイルに前記新規の生産プログラム用に新規のクラスタが生成され、前記新規のクラスタに前記新規の生産プログラムが追加され、前記割り当てるステップでは、前記既存のクラスタと前記新規のクラスタのフィーダ配置を、前記既存のクラスタのフィーダ配置の変更を最小限に抑えるように割り当て直す、ことを特徴とする。
【0009】
これらの構成によれば、予約ファイルの既存のクラスタに対して新規の生産プログラムが追加されても、既存のクラスタのフィーダ配置が優先される。よって、現状のフィーダバンクに対するフィーダ配置を大幅に変えることなく、新規の生産プログラムで使用されるフィーダをフィーダバンクに割り当てることができる。フィーダの付け替え作業を最小限に抑えることができ、オペレータの作業負担を軽減することができる。このように、オペレータの作業負担を考慮して、フィーダバンクにフィーダを割り当てることができる。また、既存のクラスタのフィーダが取り付けられたフィーダバンクを、新規のクラスタのフィーダが取り付けられたフィーダバンクに、フィーダバンクごと交換することでオペレータの作業負担を軽減することができる。また、新規のクラスタに新規の生産プログラムが追加される場合であっても、既存のクラスタから新規のクラスタに切り替わる際のオペレータの付け替え作業を最小限に抑えて作業負担を軽減することができる。
【0010】
上記の割当装置において、前記予約ファイルで前記新規の生産プログラムと同じフィーダを少なくとも1つ使用する既存のクラスタを検索する検索部を備え、前記検索部で検索された既存のクラスタに前記新規の生産プログラムが追加される。この構成によれば、既存のクラスタで使用されるフィーダが新規の生産プログラムでも使用されるため、新規の生産プログラムの追加によるフィーダの増加を最小限に抑えることができる。
【0011】
上記の割当装置において、前記既存のクラスタのフィーダ配置が設定された前記フィーダバンクに、前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダが割り当て可能か否かを判断する判断部を備え、前記判断部で前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダが割り当て可能と判断された場合に、前記割当部は、前記既存のクラスタのフィーダ配置を変えることなく、前記新規の生産プログラムで使用されるフィーダを前記フィーダバンクに割り当てる。この構成によれば、既存のクラスタのフィーダ配置を変えることなく、新規の生産プログラムで使用されるフィーダを、フィーダバンクに割り当てることができる。
【0014】
本発明の生産システムは、上記の割当装置と、前記割当装置によってフィーダが割り当てられるフィーダバンクを有する実装装置とを備えることを特徴とする。この構成によれば、オペレータの作業負担を考慮して実装装置のフィーダバンクにフィーダを割り当てることができる。
【0015】
本発明のプログラムは、上記の割当方法を割当装置に実行させることを特徴とする。この構成によれば、割当装置にプログラムをインストールすることで、割当装置に対して、予約ファイルへの生産プログラムの追加時にオペレータの作業負担を考慮したフィーダの割り当て機能を追加することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、予約ファイルの既存のクラスタに対して新規の生産プログラムを追加する際に、既存のクラスタのフィーダ配置を優先させることで、オペレータの作業負担を増やすことなく、新規生産プログラムの追加によるフィーダの割り当てを最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態に係る生産システムの模式図である。
図2】比較例に係るフィーダの割り当ての一例を示す図である。
図3】本実施の形態に係るホストコンピュータのブロック図である。
図4】本実施の形態に係るフィーダの割当状態の一例を示す図である。
図5】本実施の形態に係るフィーダの割当方法の一例を示す図である。
図6】本実施の形態に係るフィーダの割当方法の一例を示す図である。
図7】本実施の形態に係るフィーダの割当方法の一例を示す図である。
図8】本実施の形態に係るフィーダの割当方法のフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本実施の形態に係る生産システムについて説明する。図1は、本実施の形態に係る生産システムの模式図である。図2は、比較例に係るフィーダの割り当ての一例を示す図である。なお、以下の生産システムにおいては、モジューラ型の実装装置を例示して説明するが、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、本発明をロータリー型の実装装置にも適用可能である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る生産システム1は、各実装装置2とホストコンピュータ3とを有線接続又は無線接続で接続し、複数台の実装装置2をホストコンピュータ3で統括管理するように構成されている。各実装装置2は、実装対象の基板Wが変わる度にホストコンピュータ3から生産プログラムをダウンロードし、生産プログラムに基づいてフィーダ(供給装置)4から供給される部品(不図示)を基板Wに実装する。生産プログラムは、基板Wの種類毎に異なっており、基板Wにおける部品の搭載位置、部品の種類、フィーダ4の種類等に関するデータを含んでいる。
【0020】
実装装置2の基台21の略中央には、X軸方向に沿って基板搬送部22が配設されている。基板搬送部22は、X軸方向の一端側から部品搭載前の基板Wを実装ヘッド23の下方に搬入して位置決めし、部品搭載後の基板WをX軸方向の他端側から搬出する。また、実装装置2にはフィーダバンク24が設置された交換台車25が連結されており、フィーダバンク24には基板搬送部22に沿って多数のフィーダ4が横並びに取り付けられている。交換台車25は、実装装置2から分離可能であり、交換台車25の交換によってフィーダバンク24ごと多数のフィーダ4を一度に付け替えることが可能である。
【0021】
フィーダ4にはテープリール(不図示)が着脱自在に装着され、テープリールには多数の部品をパッケージングしたキャリアテープが巻回されている。フィーダ4は、テープリールの回転によって実装ヘッド23にピックアップされる受け渡し位置に向けて、順番に部品を繰り出している。実装ヘッド23の受け渡し位置では、キャリアテープから表面のカバーテープが剥離され、キャリアテープのポケット内の部品が外部に露出される。なお、フィーダ4は、テープフィーダに限らず、バルクフィーダ、スティックフィーダ、段積スティックフィーダのいずれで構成されてもよい。
【0022】
また、基台21上には、実装ヘッド23をX軸方向及びY軸方向に移動させるXY移動部26が設けられている。XY移動部26は、Y軸方向に延びる一対のY軸テーブル27と、X軸方向に延びるX軸テーブル28とを有している。一対のY軸テーブル27は、基台21の四隅に立設された支持部(不図示)に支持され、X軸テーブル28は、一対のY軸テーブル27上にY軸方向に移動可能に設置されている。X軸テーブル28上には実装ヘッド23がX軸方向に移動可能に設置され、実装ヘッド23はX軸テーブル28、Y軸テーブル27によって水平移動されることでフィーダ4からピックアップした部品を基板Wの所望の位置に実装する。
【0023】
このように構成された生産システム1では、生産計画に従って基板W毎に異なる生産プログラムがホストコンピュータ3に登録されて、複数の生産プログラムから成る予約ファイルF(図2参照)が生成される。実装装置2には予約ファイルFから生産プログラムが読み込まれて、生産プログラムに基づいて基板Wに対して部品が実装される。このとき、予約ファイルFには複数の生産プログラムを統合したクラスタが設定されており、クラスタ毎にフィーダバンク24に対して各生産プログラムで使用される多数のフィーダ4の割り当てが決定されている。
【0024】
例えば、図2Aに示すように、予約ファイルFに複数の生産プログラムa−eが1つのクラスタとして登録される場合、フィーダバンク24においてフィーダ4A−4Eの配置が最適化されている。すなわち、生産プログラムa−eで使用する部品はフィーダ4A−4Eから選択的に供給され、且つ実装処理時のラインタクトを高くするようにフィーダ4A−4Eの配置が決められている。よって、実装対象の基板Wが切り替わって生産プログラムが変更されても、同じクラスタ内であればオペレータがフィーダ4の交換作業を行うことなく、実装装置2による実装処理を継続させることが可能になっている。
【0025】
ところで、図2Bに示すように、生産計画の変更等によって予約ファイルFの既存のクラスタに新規の生産プログラムが追加されると、新規の生産プログラムだけで使用されるフィーダ4Xをフィーダバンク24に追加する必要がある。ホストコンピュータ3(図1参照)では、ラインタクトを考慮して割り当てが決められるため、フィーダ4Xの追加に伴ってフィーダ4A−4Eの配置が自動的に変えられてしまう。このため、既存のクラスタに新規の生産プログラムが追加される度に、オペレータによるフィーダ4の付け替え作業が発生し、作業工数が増加してオペレータの作業負担が増えてしまっていた。
【0026】
そこで、本実施の形態では、フィーダ4の付け替え作業に費やすオペレータの作業負担を考慮して、既存のクラスタのフィーダ配置を優先させた状態で新規の生産プログラムを追加するようにしている。これにより、現状のフィーダ配置に大きな影響を与えることなく、新規の生産プログラムで使用されるフィーダ4をフィーダバンク24に追加することが可能になっている。なお、本実施の形態では、割当装置としてホストコンピュータ3を例示するが、割当装置は生産プログラムで使用されるフィーダを割り当て可能であればよく、例えば、実装装置の制御部や他の外部装置で構成されてもよい。
【0027】
以下、図3を参照して、ホストコンピュータの詳細構成について説明する。図3は、本実施の形態に係るホストコンピュータのブロック図である。なお、図3に示すホストコンピュータのブロック図は、本発明を説明するために簡略化したものであり、ホストコンピュータが通常備える構成については備えているものとする。
【0028】
図3に示すように、ホストコンピュータ3は、複数の生産プログラムに応じて実装装置2のフィーダバンク24に対するフィーダ配置を決定しており、登録部31、統合部32、割当部33、検索部34、判断部35、通知部36、記憶部37を有している。登録部31は、基板Wの種類毎に異なる複数の生産プログラムを記憶部37の予約ファイルFに登録する。この場合、専用のアプリケーションによって予約ファイルFが生成され、オペレータからの入力によって登録部31で予約ファイルFに複数の生産プログラムが登録される。これにより、予約ファイルFに複数の生産プログラムに基づく実装処理が予約される。
【0029】
統合部32は、予約ファイルFに登録された複数の生産プログラムをクラスタとして統合する。この場合、予約ファイルFに対して所定数の生産プログラムが登録されると、これら生産プログラムが1つのプログラムを構成するようにクラスタ化される。クラスタは、基板Wの種類が変わってもフィーダ4の並び替えや交換を生じさせずに、複数の生産プログラムを実装装置2に実行させることができるように設定されている。予約ファイルFには、登録部31で登録された複数の生産プログラムがクラスタ分けされた状態で予約される。このようにして、記憶部37に基板Wの種類毎に異なる複数の生産プログラムを統合したクラスタを含む予約ファイルFが記憶される。
【0030】
割当部33は、予約ファイルFのクラスタ毎に複数の生産プログラムで使用されるフィーダ4をフィーダバンク24に割り当てる。予約ファイルFの既存のクラスタの生産プログラムについては、ラインタクトを考慮してフィーダ4の割り当てが決定される。また、生産計画の変更等によって予約ファイルFの既存のクラスタに追加される新規の生産プログラムについては、ラインタクトよりも既存のクラスタのフィーダ配置を優先してフィーダ4の割り当てが決定される。なお、新規の生産プログラムで使用されるフィーダ4の割り当て方法の詳細については後述する。
【0031】
検索部34は、予約ファイルFに新規の生産プログラムが追加される場合に、予約ファイルFで新規の生産プログラムと同じフィーダ4が使用される既存のクラスタを検索する。これにより、既存のクラスタで使用されるフィーダ4が新規の生産プログラムでも使用されるため、新規の生産プログラムの追加によるフィーダ4の増加が最小限に抑えられる。なお、新規の生産プログラムと同じフィーダ4が複数の既存のクラスタで検索された場合には、共通のフィーダ数が多いクラスタが選択され、共通のフィーダ数も同じであればラインタクトが高くなる既存のクラスタに新規のプログラムが追加される。
【0032】
判断部35は、検索部34で検索された既存のクラスタのフィーダ配置が設定されたフィーダバンク24に、新規の生産プログラムで使用されるフィーダ4が割り当て可能か否かを判断する。判断部35によって新規の生産プログラムのフィーダ4が割り当て可能と判断された場合には、既存のクラスタに新規の生産プログラムが追加される。判断部35によって新規の生産プログラムのフィーダ4が割り当て不能と判断された場合には、予約ファイルFに新規の生産プログラム用の新規のクラスタが生成され、新規のクラスタに新規の生産プログラムが追加される。
【0033】
新規のクラスタが生成された場合には、既存のクラスタと新規のクラスタのフィーダ配置を、既存のクラスタのフィーダ配置の変更を最小限に抑えるように割り当て直してもよい。この場合、割当部33によって既存のクラスタのフィーダ配置を一部変更してフィーダバンク24に空きを作り、フィーダバンク24の空きに新規の生産プログラムのフィーダ4を割り当てるようにする。既存のクラスタのフィーダ配置の変更は、オペレータによる作業負担を考慮して、大幅な付け替え作業が生じないように最小限の変更に抑えられる。
【0034】
通知部36は、生産プログラムやフィーダ4の割当情報を実装装置2に向けて通知する。なお、ホストコンピュータ3の登録部31、統合部32、割当部33、検索部34、判断部35、通知部36、記憶部37は、各部の各種処理を実行するプロセッサやメモリ等により構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成されている。メモリには、予約ファイルFに登録された生産プログラムの他、ホストコンピュータ3に後述する割当処理を実行させるプログラム等が記憶されている。
【0035】
図4から図7を参照して、フィーダバンクに対するフィーダの割当方法について説明する。図4は、本実施の形態に係るフィーダの割当状態の一例を示す図である。図5から図7は、本実施の形態に係るフィーダの割当方法の一例を示す図である。なお、図4から図7に示す予約ファイルの各クラスタは最適化されているものとする。
【0036】
図4に示すように、予約ファイルFにはクラスタ毎に複数の生産プログラムが登録されている。クラスタ1には5つの生産プログラムa−eが登録され、クラスタ2には3つの生産プログラムf−hが登録されている。このときのフィーダバンク24は、クラスタ1ではフィーダバンク24の両端を1スロットずつ空けて、左から順にフィーダ4B、4C、4D、4E、4Aが設定されている。クラスタ2では、フィーダバンク24の図示左端を1スロット空けて、左から順にフィーダ4F、4C、4D、4Gが設定されている。予約ファイルFには、新規の生産プログラムx、yの追加が予定されている。
【0037】
図5に示すように、予約ファイルFに新規の生産プログラムxを追加する場合、新規の生産プログラムxで使用されるフィーダ4B、4D、4Fのいずれかが含まれるクラスタ1、2が検索される。そして、クラスタ1、2に対してフィーダ4B、4D、4Fの全てが割り当て可能か否か判断される。クラスタ1では、フィーダ4B、4Dが使用されており、フィーダバンク24にフィーダ4Fのための空きスロットが残っている。クラスタ2でも、フィーダ4F、4Dが使用されており、フィーダバンク24にフィーダ4Bのための空きスロットが残っている。
【0038】
したがって、クラスタ1、2のいずれにも新規の生産プログラムxを追加することが可能である。この場合、ラインタクトが最も高くなるクラスタ1に新規の生産プログラムxが追加される。なお、ラインタクトは、実装装置2における実装処理のシミュレーション等によって求められる。これにより、既存のクラスタのフィーダ配置を変えることなく、新規の生産プログラムxで使用されるフィーダ4B、4D、4Fをフィーダバンク24に割り当てることができる。よって、フィーダバンク24にフィーダ4Fを取り付けるだけでよく、オペレータの作業負担を軽減できる。
【0039】
図6に示すように、予約ファイルFに新規の生産プログラムyを追加する場合、新規の生産プログラムyで使用されるフィーダ4E、4H、4Iのいずれかが含まれるクラスタ1が検索される。そして、クラスタ1に対してフィーダ4E、4H、4Iの全てが割り当て可能か否か判断される。クラスタ1では、フィーダ4Eが使用されているが、フィーダ4H、4Iのための空きスロットが足りない。このため、予約ファイルFにクラスタ1、2の後ろに新規のクラスタが生成され、この新規のクラスタに新規の生産プログラムyが追加される。
【0040】
これにより、既存のクラスタ1、2のフィーダ4の割り当てを変えることなく、新規の生産プログラムyで使用されるフィーダ4E、4H、4Iをフィーダバンク24に割り当てることができる。新規のクラスタの生産プログラムyは、既存のクラスタ1、2の生産プログラムの終了後に実施される。このとき、予備の交換台車が有る場合には、予備の交換台車を新規のクラスタに使用してもよい。予備の交換台車のフィーダバンク24に予めフィーダ4E、4H、4Iを取り付けておくことで、既存のクラスタ2で使用された交換台車を予備の交換台車に入れ替えるだけで、フィーダバンク24を丸ごと交換できる。よって、交換台車を交換するだけでよく、オペレータの作業負担を軽減することができる。
【0041】
図7に示すように、予約ファイルFに新規の生産プログラムx、yを追加する場合、既存のクラスタ1、2のフィーダ配置を一部変更して、既存のクラスタ1、2に新規の生産プログラムx、yを追加してもよい。この場合、上記したように、新規の生産プログラムxは既存のクラスタ1に追加され、フィーダバンク24の図示左端のスロットにフィーダ4Fが割り当てられる。次に、このクラスタ1のフィーダ配置を変更しないように、クラスタ2及び新規のクラスタのフィーダ4が割り当てられる。このとき、前のクラスタのフィーダ配置をできるだけ引き継ぐようにして、後のクラスタのフィーダ配置が決定される。
【0042】
この場合、クラスタ1のフィーダ配置を基準として、クラスタ2及び新規のクラスタに対して複数の割当パターンが生成される。この複数の割当パターンの中で最もフィーダ4の交換回数が少なくなる割当パターンがクラスタ2及び新規のクラスタに設定される。これにより、既存のフィーダ配置を僅かに変えることで、新規の生産プログラムyで使用されるフィーダ4E、4H、4Iをフィーダバンク24に割り当てることができる。よって、フィーダバンク24に対するフィーダ4の付け替え作業を最小限に抑えて、オペレータの作業負担を軽減することができる。
【0043】
図8を参照して、予約ファイルへの新規の生産プログラムの追加時のフィーダの割当方法について説明する。図8は、本実施の形態に係るフィーダの割当方法のフローチャートの一例である。なお、以下の新規の生産プログラムの追加方法は一例であり、一部の処理を適宜変更又は省略することが可能である。
【0044】
図8に示すように、予約ファイルに新規のプログラムが登録されると、新規の生産プログラムと同じフィーダ4(図1参照)が使用される既存のクラスタが検索される(ステップS01)。次に、既存のクラスタのフィーダ配置が設定されたフィーダバンク24(図1参照)に、新規のプログラムで使用される全てのフィーダ4が割当可能か否か判断される(ステップS02)。この場合、既存のクラスタにおけるフィーダバンク24の空きや、既存のクラスタの各生産プログラムで使用されるフィーダ4に基づいて割当可能か否かが判断される。
【0045】
新規の生産プログラムのフィーダ4が既存のクラスタに割当可能な場合(ステップS02でYes)、割当可能な既存のクラスタが複数か否か判断される(ステップS03)。割当可能な既存のクラスタが複数存在する場合(ステップS03でYes)、複数の既存のクラスタの中からラインタクトが高くなるクラスタに新規の生産プログラムが追加される(ステップS04)。そして、既存のクラスタのフィーダ配置を変えることなく、既存のクラスタのフィーダバンク24に対して新規の生産プログラムで使用されるフィーダ4が割り当てられる(ステップS05)。
【0046】
割当可能な既存のクラスタが1つのみ存在する場合(ステップS03でNo)、当該既存のクラスタに新規の生産プログラムが追加される(ステップS06)。そして、既存のクラスタのフィーダ配置を変えることなく、既存のクラスタのフィーダバンク24に対して新規の生産プログラムで使用されるフィーダ4が割り当てられる(ステップS07)。一方で、ステップS02において、新規の生産プログラムのフィーダ4が既存のクラスタに割当不能な場合(ステップS02でNo)、新規の生産プログラム用に新規のクラスタが生成される(ステップS08)。
【0047】
新規のクラスタが生成されると、この新規のクラスタに新規の生産プログラムが追加される(ステップS09)。そして、既存のクラスタのフィーダ配置を変えることなく、新規のクラスタのフィーダバンク24に対して新規の生産プログラムで使用されるフィーダ4が割り当てられる(ステップS10)。次に、予約ファイルF(図2参照)のクラスタのフィーダ配置を再び最適化するか否か判断される(ステップS11)。フィーダ配置を再び最適化しない場合(ステップS11でNo)、処理が終了される。フィーダ配置を再最適化する場合(ステップS11でYes)、既存のクラスタと新規のクラスタのフィーダ配置が、既存のクラスタのフィーダ配置の変更を最小限に抑えるように割り当て直される(ステップS12)。
【0048】
以上のように、本実施の形態に係るホストコンピュータ3は、予約ファイルFの既存のクラスタに対して新規の生産プログラムが追加されても、既存のクラスタのフィーダ配置が優先される。よって、現状のフィーダバンク24に対するフィーダ配置を大幅に変えることなく、新規の生産プログラムで使用されるフィーダ4をフィーダバンク24に割り当てることができる。フィーダ4の付け替え作業を最小限に抑えることができ、オペレータの作業負担を軽減することができる。このように、オペレータの作業負担を考慮して、フィーダバンク24にフィーダ4を割り当てることができる。
【0049】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0050】
例えば、本実施の形態において、検索部34は、新規の生産プログラムと同じフィーダ4を少なくとも1つ使用するクラスタを検索する構成であればよい。例えば、新規の生産プログラムと同じフィーダ4を3つ以上使用するクラスタを検索してもよいし、新規の生産プログラムと同じフィーダ4を1つしか使用しないクラスタを検索してもよい。
【0051】
また、本実施の形態において、判断部35は、既存のクラスタにおけるフィーダバンク24の空きに基づいて、新規の生産プログラムで使用されるフィーダ4が割当可能か否か判断する構成にしたが、この構成に限定されない。判断部35は、フィーダバンク24の空きに関わらず、フィーダ4の仕様等のその他の条件に考慮してフィーダ4が割当可能かを判断してもよい。
【0052】
また、本実施の形態において、既存のクラスタと新規のクラスタでフィーダ配置を再最適化する際に、複数の割当パターンを生成する構成にしたが、この構成に限定されない。例えば、ホストコンピュータ3に学習部を備えて、学習部にフィーダ4の割り当てを学習させて最適なフィーダ配置を最適化させるようにしてもよい。
【0053】
また、本実施の形態において、ホストコンピュータ3が、クラスタを検索する検索部34と、フィーダ4の割当可能か否かを判断する判断部35とを備える構成にしたが、この構成に限定されない。ホストコンピュータ3は、検索部34及び判断部35を備えないようにしてもよい。
【0054】
また、本実施の形態において、基板Wは、プリント基板に限定されず、治具基板上に載せられたフレキシブル基板であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上説明したように、本発明は、オペレータの作業負担を増やすことなく、新規生産プログラムの追加によるフィーダの割り当てを最適化することができるという効果を有し、特に、実装装置のフィーダバンクに対してフィーダを割り当てる割当装置、生産システム、割当方法、割当装置で用いられるプログラムに有用である。
【符号の説明】
【0056】
1 生産システム
2 実装装置
3 ホストコンピュータ
4 フィーダ
24 フィーダバンク
33 割当部
34 検索部
35 判断部
36 通知部
37 記憶部
F 予約ファイル
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8