(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、液体用電磁弁、液体用電磁弁の製造方法、及び洗濯機に係る複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について、
図1〜
図4を参照して説明する。
図1に示す洗濯機10は、外箱11、水槽12、回転槽13、扉14、及びモータ15を備えている。なお、
図1の左側を洗濯機10の前側とし、
図1の右側を洗濯機10の後側とする。また、洗濯機10の設置面側つまり鉛直下側を、洗濯機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を、洗濯機10の上側とする。
【0014】
洗濯機10は、回転槽13の回転軸が水平又は後方へ向かって下降傾斜したいわゆる横軸型のドラム式洗濯機である。外箱11は、洗濯機10の外殻を構成している。外箱11は、例えば鋼板等によって略矩形の箱状に形成されており、前側に開口部111を有している。水槽12は、外箱11の内部に収容されている。回転槽13は、水槽12の内部に収容されている。水槽12は、前側に開口部121を有し、後側に水槽底部122を有した有底円筒形状に形成されている。同様に、回転槽13は、前側に開口部131を有し、後側に回転槽底部132を有した有底円筒形状に形成されている。
【0015】
水槽12は、下側の水槽底部122付近に排水口123を有している。また、洗濯機10は、排水弁16及び排水ホース17を備えている。排水弁16は、例えば電子制御式の電磁弁であり、図示しない制御装置によって駆動制御される。排水弁16が開放されることにより、水槽12内の水は、排水口123から排水弁16及び排水ホース17を経由して洗濯機10の外部へ排出される。
【0016】
回転槽13は、複数の孔133を有している。孔133は、回転槽13の内部と外部とを連通している。孔133は、回転槽13の円筒状の筒状部分を構成する周壁の全域に形成されている。水槽12内に供給された水は、孔133を通って、回転槽13の内外を出入りする。また、回転槽13は、筒状部分の内側に設けられた複数のバッフル18を有している。バッフル18は、回転槽13と共に回転することで、回転槽13の内側に収容された洗濯物を撹拌する。
【0017】
扉14は、図示しないヒンジを介して外箱11の外面側に設けられている。扉14は、ヒンジを支点に回動し、外箱11の前面に形成された開口部111を開閉する。外箱11に形成された開口部111は、ベローズ112によって、水槽12の開口部121に接続されている。衣類等の洗濯物は、扉14を開放した状態で、各開口部111、121、131を通して回転槽13内に出し入れされる。
【0018】
モータ15は、水槽12の外側にあって水槽底部122に設けられている。モータ15は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータである。モータ15の回転軸部151は、水槽底部122を貫いて水槽12の内側へ突出し、回転槽底部132の中心部に固定されている。これにより、モータ15は、水槽12に対して回転槽13を相対的に回転させる。回転軸部151、回転槽13の回転軸、及び水槽12の中心軸は、それぞれ一致している。
【0019】
図2に示す洗濯機20は、外箱21、水槽22、回転槽23、内蓋24、外蓋25、バッフル26、及びモータ27を備えている。なお、
図2の左側を洗濯機20の前側とし、
図2の右側を洗濯機20の後側とする。また、洗濯機20の設置面側つまり鉛直下側を、洗濯機20の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を、洗濯機20の上側とする。
【0020】
洗濯機20は、回転槽23の回転軸が鉛直方向を向いたいわゆる縦軸型の洗濯機である。外箱21は、洗濯機20の外殻を構成している。外箱21は、例えば鋼板等によって略矩形の箱状に形成されており、上部に開口部211を有している。水槽22は、外箱21の内部に収容されている。回転槽23は、水槽22の内部に収容されている。水槽22は、上側に開口部221を有し、下側に水槽底部222を有した有底円筒形状に形成されている。同様に、回転槽23は、上側に開口部231を有し、下側に回転槽底部232を有した有底円筒形状に形成されている。
【0021】
水槽22は、水槽底部222に設けられた排水口223を有している。また、洗濯機20は、排水弁28及び排水ホース29を備えている。排水弁28は、例えば電子制御式の電磁弁であり、図示しない制御装置によって駆動制御される。排水弁28が開放されることにより、水槽22内の水は、排水口223から排水弁28及び排水ホース29を経由して洗濯機20の外部へ排出される。
【0022】
回転槽23は、複数の孔233を有している。孔233は、回転槽23の内部と外部とを連通している。孔233は、回転槽23の円筒状の筒状部分を構成する周壁の全域に形成されている。水槽22内に供給された水は、孔233を通って、回転槽23の内外を出入りする。
【0023】
内蓋24は、ヒンジ241を介して水槽22の上面部に設けられている。内蓋24は、ヒンジ241を支点に回動し、水槽22の上部に形成された開口部221を開閉する。外蓋25は、ヒンジ251を介して外箱21の上面部に設けられている。外蓋25は、ヒンジ251を支点に回動し、外箱21の上部に形成された開口部111を開閉する。外蓋25は、外蓋25の前後方向の中心部で山折り状に折れ曲がることが可能ないわゆる中折れ式の蓋である。衣類等の洗濯物は、内蓋24及び外蓋25を開放した状態で、各開口部211、221、231を通して回転槽23内に出し入れされる。
【0024】
バッフル26は、回転槽23内の回転槽底部232付近に設けられている。バッフル26は、回転槽23に対して相対的に回転可能である。モータ27は、水槽22の外側にあって水槽底部222に設けられている。モータ27は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータである。モータ27と、回転槽23及びバッフル26とは、図示しないクラッチによって接続されている。図示しないクラッチは、バッフル26のみが回転する形態と、バッフル26と回転槽23とが一体的に回転する形態とを選択的に切り替えることが可能である。バッフル26は、回転槽23に対して相対的に回転することで、回転槽23の内側に収容された洗濯物を撹拌する。
【0025】
また、
図1及び
図2に示すように、洗濯機10、20は、それぞれ注水装置30を備えている。注水装置30は、それぞれ外箱11、21内の上後部に設けられている。注水装置30は、注水ケース31、注水ホース32、及び少なくとも1つの液体用電磁弁40を有している。注水装置30は、給水ホース100を介して、例えば図示しない水道の蛇口など外部の水源に接続される。注水ホース32は、注水ケース31と水槽12、22内とを接続している。
【0026】
液体用電磁弁40は、給水ホース100と注水ケース31との間に設けられている。液体用電磁弁40は、給水ホース100と注水ケース31との間の流路を開閉するものであり、図示しない洗濯機10、20の制御装置からの制御信号によって開閉動作が制御される。液体用電磁弁40が開状態になると、外部の水源からの水は、液体用電磁弁40、注水ケース31、及び注水ホース32を介して、水槽12、22内に注水される。そして、液体用電磁弁40が閉状態になると水槽12、22内に対する注水が停止される。
【0027】
次に、液体用電磁弁40(以下、単に電磁弁40と称する)の構成について、
図3及び
図4を参照して説明する。電磁弁40は、いわゆるダイヤフラム式の電磁弁であり、図示しない洗濯機10、20の制御装置からの制御信号を受けて動作される。電磁弁40は、
図3に示すように、入口部41、出口部42、流路形成部材43、開閉部材44、駆動部45、及び微細気泡発生器50を有している。
【0028】
入口部41は、電磁弁40における水の流入口となる部分であり、給水ホース100を介して水道の蛇口等の外部に水源に接続される。出口部42は、電磁弁40における水の流出口となる部分であり、注水ケース31に接続されている。本実施形態の場合、入口部41及び出口部42は、流路形成部材43に形成されている。
【0029】
流路形成部材43は、例えば金属材や合成樹脂等で構成されている。流路形成部材43は、取付ねじ部431を有している。取付ねじ部431は、入口部41に対応する部分における流路形成部材43の外周面側に形成された雄ねじである。取付ねじ部431は、給水ホース100の端部の内側に形成された雌ねじに螺合可能となっている。取付ねじ部431は、例えば各製造メーカの洗濯機に共通した規格化されたものである。したがって、取付ねじ部431には、各製造メーカで製造された給水ホース100を取り付けることができる。
【0030】
流路形成部材43の内部には、入口部41と出口部42との間を繋ぐ流路432が形成されている。入口部41から電磁弁40内に入った水は、流路432を通り、出口部42から電磁弁40の外部へ流出する。開閉部材44は、いわゆるダイヤフラム弁、流路432の途中部分において流路432を開閉可能に設けられている。
【0031】
開閉部材44は、流路432を、上流側の流入部433と下流側の流出部434とに分けている。開閉部材44が流路432を閉鎖すると、流入部433と流出部434とが分離される。これにより、入口部41から入った水が、出口部42から流出されなくなる。一方、開閉部材44が流路432を開放すると、流入部433と流出部434とが連通される。これにより、入口部41から入った水が、出口部42から流出されるようになる。開閉部材44は、例えば弾性変形可能な薄い金属板又はゴム板によって円盤状に形成されている。開閉部材44は、円盤状の中心部に連通孔441を有している。連通孔441は、開閉部材44の中心部を円形状に厚み方向へ貫いて形成されている。開閉部材44の開閉動作は、駆動部45の駆動によって行われる。
【0032】
駆動部45は、ソレノイドであり、外部からの制御信号この場合洗濯機10、20の制御装置からの制御信号に基づいて駆動される。駆動部45は、フレーム451、ボビン452、コイル453、プランジャ454、及びコイルばね455、を有している。フレーム451は、例えば磁性を有する金属材によって円筒形状に形成されている。ボビン452、コイル453、プランジャ454、及びコイルばね455は、フレーム451の内部に収容されている。ボビン452は、例えば磁性を有さない樹脂等によって、全体として円筒形状に形成されている。コイル453は、ボビン452の周囲に導線を巻回して形成されている。
【0033】
プランジャ454は、磁性を有する金属材によって構成された円柱状の棒である。プランジャ454は、ボビン452の内側に摺動可能に収容されている。コイルばね455は、圧縮型のコイルばねであり、プランジャ454の一端部側を押圧するように設けられている。
【0034】
コイル453が通電されていない状態では、プランジャ454は、コイルばね455からの弾性力を受けて、ボビン452から飛び出る方向へ移動する。つまり、この場合、プランジャ454は、
図3の左方向へ移動する。すると、プランジャ454は、開閉部材44を押圧するとともに、連通孔441を塞ぐ。すると、流入部433側の水は、連通孔441を通って流出部434側へ移動出来なくなり、これにより、流入部433側の水圧が流出部434側の圧力よりも高くなる。すると、開閉部材44は、流入部433側の水圧によって流出部434の始点部分に押し付けられる。これにより、流路432の途中部分が閉塞されて、電磁弁40が閉じた状態になる。
【0035】
一方、コイル453が通電されると、プランジャ454は、コイルばね455の弾性力よりも強い磁力をコイル453から受ける。これにより、プランジャ454は、ボビン452内へ引き込まれる方向へ移動する。つまり、この場合、プランジャ454は、
図3の右方向へ移動する。すると、まず、開閉部材44の連通孔441が開放されて、連通孔441によって流入部433側と流出部434側とが連通する。これにより、流入部433側の水が流出部434側へ移動出来るようになり、流入部433側の水圧と流出部434側の水圧とが等しくなる。すると、開閉部材44は、流入部433側の水圧によって流出部434の始点部分から浮いた状態になり、流路形成部材43の内壁と開閉部材44との間に隙間435が形成される。流入部433側の水は、隙間435を通って、流出部434側へ流れるようになる。これにより、流路432の途中部分が開放されて、電磁弁40が閉じた状態になる。
【0036】
微細気泡発生器50は、流路形成部材43内において流路432の途中部分にあって、開閉部材44よりも下流側つまり流出部434に設けられている。微細気泡発生器50は、流路432を通過する液体の中この場合水の中に直径50μm以下の微細気泡を発生させるものである。本実施形態の場合、微細気泡発生器50は、流路432を流れる液体の圧力を急激に低下させることにより微細気泡を発生させるキャビテーション方式のものである。なお、微細気泡発生器50による微細気泡の発生原理は、キャビテーション方式に限られない。
【0037】
微細気泡発生器50は、内部を通る流路432を複数段に絞る構成である。すなわち、微細気泡発生器50は、第一段の絞り部である第1絞り部51、拡大部52、及び前記第一段階の絞りをより小さく絞る第二段の絞り部である第2絞り部53から構成され、これにより複数段のこの場合2段の絞り部を有している。本実施形態の場合、第1絞り部51、拡大部52、及び第2絞り部53は、流路形成部材43と一体に形成されている。第1絞り部51は、流路432の上流側から下流側へ向かって流路432の断面積を連続的に縮小するものである。
【0038】
すなわち、第1絞り部51は、収縮部511と最小径部512と、を有している。収縮部511は、その断面積が上流側から下流側へ向かって連続的に収縮するようないわゆる円錐形のテーパ状に形成されている。最小径部512は、収縮部511の下流端側に設けられており、収縮部511の最小部分つまり下流端部分の断面積と同一の断面積になるように形成されている。最小径部512は、所定の長さで設けられている。
【0039】
拡大部52は、第1絞り部51の下流端側つまり最小径部512の下流端側に設けられており、流路432の上流側から下流側へ向かって流路432の断面積を連続的に拡大するものである。すなわち、拡大部52は、その断面積が上流側から下流側へ向かって連続的に拡大するようないわゆる円錐形のテーパ状に形成されている。第1絞り部51と拡大部52とによって、ベンチュリ管が形成されている。この場合、水の流れ方向において、拡大部52の長さ寸法は、収縮部511の長さ寸法よりも長い。また、収縮部511の始点部分つまり微細気泡発生器50の入口部分の断面積と、拡大部52の終点部分つまり微細気泡発生器50の出口部分の断面積とは、略等しい。
【0040】
第2絞り部53は、第1絞り部51の最小断面積部分つまり最小径部512に設けられている。第2絞り部53は、
図4に示すように、複数の突出部54と、各突出部54によって区画された複数の領域521と、を有している。突出部54は、最小径部512の周壁面から流路432の中心部に向かって突出した棒とその先端部で構成されている。複数の突出部54は、流路432の中心部に中心ギャップ522及びスリット523を有した形態で流路432を複数の領域521に区画している。これにより、第2絞り部53は、流路432の断面積を局所的に最小径部512の断面積よりも小さくしている。この場合、各領域521の断面積はそれぞれ等しい。また、区画される領域521の数は、3つ以上が好ましい。つまり、突出部54の数は3つ以上が好ましい。本実施形態の場合、第2絞り部53は、4本の突出部54によって、流路432を4つの領域521に区画している。
【0041】
突出部54は、
図4に示すように、円柱状の軸部541と、軸部541の先端部に形成された円錐状の錐状部542と、から構成されている。そして、各突出部54は、各錐状部542を離間した状態で突き合わせて配置されている。中心ギャップ522は、4つの錐状部542の各先端部間に形成されている。また、4つのスリット523は、それぞれ隣接する2つの錐状部542間に形成されている。4つのスリット523は、中心ギャップ522によって相互に連通されている。この場合、中心ギャップ522及び4つのスリット523は、全体として十字形状に形成されている。
【0042】
コイル453が通電されて駆動部45が動作すると、開閉部材44は流路432を開放する。すると、微細気泡発生器50には、例えば水道の蛇口から供給されて、入口部41から電磁弁40内に流入した水道水が流れる。水道水は、気体として主に空気が溶け込んだ気体溶解液体である。微細気泡発生器50は、微細気泡発生器50内を通過する水の中に、直径50μm以下の微細気泡を発生させる。微細気泡発生器50による微細気泡の発生原理は次のようなものであると考えられる。
【0043】
すなわち、微細気泡発生器50を通過する水は、まず、第1絞り部51の収縮部511を通過する際に絞られて徐々に流速が増加していく。そして、高速流となった水が、最小径部512を通った後に拡大部52に放出されると、流路432の断面積が拡大することによって急激に圧力が低下する。その急激な圧力低下によって生じるキャビテーション効果によって水中に気泡が発生する。
【0044】
更に、最小径部512内を流れる水が突出部54に衝突すると、その水は、主に円柱状の軸部541の周囲に沿って流れることで、複数の領域521に分かれて流れる。そのため、流路432内を流れる水は、第2絞り部53を通過する際に更に絞られる。これにより、第2絞り部53を通過する水の流速が更に増加してキャビテーション効果が更に高まる。その結果、第2絞り部53を通過した水の中に発生する気泡が直径50μm以下に微細化されると共に、その微細気泡の量が増大する。このように、微細気泡発生器50に水を通過させることで、微細気泡を多量に発生させることができる。
【0045】
また、複数の突出部54は、流路432の中心部に中心ギャップ522及びスリット523を形成している。そのため、この中心ギャップ522及びスリット523の面積は、各領域521の面積よりも小さい。そして、突出部54の先端部に、円錐状の錐状部542が形成されている。すなわち、各突出部54の先端部は、流路432の中心部つまり中心ギャップ522に向かってテーパ状になっている。そのため、錐状部542は、中心ギャップ522及びスリット523を流れる水の抵抗になり難い。
【0046】
この場合、突出部54の錐状部542近傍に衝突した水は、錐状部542の周囲に沿ってスリット523を通過すると共に、錐状部542の先端部へ向かって案内されて中心ギャップ522を通過する。すると、第2絞り部53を通過する水のうち中心ギャップ522及びスリット523を通過する水は、周囲の領域521を通過する水よりも更に速度が増大する。これにより、更にキャビテーション効果を向上させることができ、その結果、水中に発生させる気泡が更に微細化されると共に、その微細気泡の量が増大する。
【0047】
ここで、一般に微細気泡は、その気泡の直径によって次のように分類されている。例えば、直径が数μmから50μmの微細気泡は、マイクロバブル又はファインバブルと称されている。また、直径が数十nm以下の微細気泡は、ナノバブル又はウルトラファインバブルと称されている。そして、直径がマイクロバブルとナノバブルの中間程度の微細気泡は、マイクロ・ナノバブルと称されている。気泡の直径が数十nmになると、光の波長よりも小さくなるため視認することができなくなり、液体は透明になる。そして、これらの微細気泡は、総界面面積が大きいこと、浮上速度が遅いこと、内部圧力が大きいこと等の特性により、液体中の物体の洗浄能力に優れていることが知られている。
【0048】
例えば、直径が100μm以上の気泡は、その浮力によって液体中を急速に上昇し、液体表面で破裂して消滅するため、液体中の滞在時間が比較的短い。一方、直径が50μm未満の微細気泡は、浮力が小さいため液体中での滞在時間が長い。また、例えばマイクロバブルは、液体中で収縮し最終的に圧壊することで、更に小さなナノバブルになる。そして、マイクロバブルが圧壊する際に、高温の熱と高い圧力が局所的に発生し、これにより、液体中に漂ったり物体に付着したりしている有機物等の異物が破壊される。このようにして、高い洗浄能力が発揮される。
【0049】
また、マイクロバブルは、負の電荷を帯びているため、液体中に漂う正の電荷を帯びた異物を吸着し易い。そのため、マイクロバブルの圧壊によって破壊された異物は、マイクロバブルに吸着されてゆっくりと液体表面へと浮上する。そして、液体表面に集まった異物を除去することで、液体が浄化される。これにより、高い浄化能力が発揮される。
【0050】
以上のように、本実施形態の液体用電磁弁40によれば、水道の蛇口等の外部の液体供給源から供給された液体この場合水道水に微細気泡を含ませることができる。これにより、液体用電磁弁40から吐出される水道水に浄化、洗浄等の機能を付加することができる。すなわち、液体用電磁弁40は、微細気泡発生器50を内蔵している。そのため、水等の液体を使用する機器に必須の電磁弁として本実施形態の液体用電磁弁40を設けることにより、液体用電磁弁40とは別に他の微細気泡発生装置を設けることなく、機器に使用する液体に洗浄機能等の機能を容易に付加することができる。その結果、別途に微細気泡発生装置を設けることによる部品点数や設置面積の増大を抑制し、ひいては機器全体の大型化やコストの増大を抑制することができる。
【0051】
本実施形態において、洗濯機10、20は、微細気泡発生器50を内蔵した液体用電磁弁40を備えている。そのため、水槽12、22内に注水される水道水にマイクロバブルやナノバブルなどの微細気泡を容易に付加することができ、この微細気泡による浄化、洗浄機能の向上等の機能を付加することができる。したがって、洗濯機10、20による洗い性能やすすぎ性能が向上して洗い時の洗剤等の使用量やすすぎ水の使用量を低減することができる。その結果、洗濯機10、20から排出される排水の量やその排水に含まれる洗剤も低減することができ、ひいては環境負荷の低減を図ることができる。
【0052】
この場合、微細気泡発生器50は、内部の流路432を複数段に絞ることで、その流路432を通過する液体に微細気泡を付加するものである。これによれば、微細気泡発生器50の構成を比較的簡単なものにすることができる。したがって、微細気泡発生器50から吐出される液体に対して、マイクロバブルやナノバブルなどの微細気泡をより容易に付加することができる。
【0053】
液体用電磁弁40は、内蔵する微細気泡発生器50により、直径50μm以下の微細気泡を付加した水を吐出することができる。直径50μm以下の微細気泡は、ファインバブルやウルトラファインバブルと称されて、液体中の物体の洗浄能力に優れていることが知られている。しがたって、これによれば、洗濯機10、20による洗い性能やすすぎ性能を更に向上させることができ、洗い時の洗剤等の使用量やすすぎ水の使用量を更に効果的に低減することができる。
【0054】
微細気泡発生器50は、複数段この場合第1絞り部51と第2絞り部53との2つの絞り部を有している。これによれば、第1絞り部51で高速化された水を第2絞り部53によって更に加速させることができる。これにより、キャビテーション効果を更に向上させることができる。その結果、水中に発生させる気泡を更に微細化できると共に、その微細気泡の量を増大させることができる。
【0055】
微細気泡発生器50のうち少なくとも第1絞り部51と拡大部52とは、電磁弁40の流路形成部材43に一体に形成されている。これによれば、微細気泡発生器50が内蔵された電磁弁40を小型化することができる。また、この電磁弁40によれば、微細気泡発生器50を内蔵することによる部品点数の増加を抑制することができる。更には、一体に形成したことにより微細気泡発生器を別に設けた場合に必要となる接続管が不要となり、その場合に生じやすい接続部からの水漏れも極力防止することができる。
【0056】
特に本実施形態の微細気泡発生器50では、複数段の絞り部この場合第1絞り部51及び第2絞り部53を通過する水の速度が速くなるほど、キャビテーション効果が高まり、その結果、発生する微細気泡の量が増加するとともに微細化すると考えられる。そのため、微細気泡発生器50から微細気泡をより効果的に発生させるには、微細気泡発生器50に対してある程度高い水圧を掛ける必要がある。したがって、微細気泡発生器50を液体用電磁弁40に一体的に設けることは、微細気泡発生器50に印加される水圧に起因する水漏れの発生を予防するのに極めて効果的である。
【0057】
微細気泡発生器50は、電磁弁40内において、開閉部材44よりも下流側に設けられている。これによれば、微細気泡発生器50から出口部42までの距離を極力短くすることができる。そのため、微細気泡発生器50で発生した微細気泡を、より高濃度で効率よく出口部42から吐出させることができる。また、微細気泡発生器50から出口部42までの距離を極力短くすることで、微細気泡が圧壊する際の衝撃波によって流路432上の構造物例えば開閉部材44等が損傷することを抑制することができる。
【0058】
また、洗濯機10、20の注水装置30は、微細気泡発生器50を内蔵した電磁弁40を有している。これによれば、微細気泡発生器50を通過する際に発生した微細気泡を含む水によって、洗濯機10、20の洗浄性能やすすぎ性能を向上させることができる。すなわち、微細気泡を含む水によって洗濯を行うことで、衣類に対する洗剤の浸透力を高め、繊維の奥の汚れを効率良く引き剥がすことができる。これにより、洗浄性能が向上する。また、微細気泡を含む水によってすすぎを行うことで、繊維に付着した洗剤を引き剥がすことができ、その結果、すすぎ性能が向上する。
【0059】
また、本実施形態によれば、微細気泡発生器50は、電気等を使用することなく、蛇口から供給される水圧によって微細気泡を発生させることができる。したがって、例えば電力を消費するタイプの微細気泡発生器を使用した場合に比べて、省エネ性能を向上させることができる。
【0060】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について
図5を参照して説明する。
第2実施形態の電磁弁40において、第2絞り部53は、突出部54に換えて、突出部55を有している。突出部55は、突出部54と同様に先端が錐状に形成された雄ねじである。すなわち、突出部55の先端部は、錐状に形成されており、流路432内に挿入される。また、突出部55の外周部には雄ねじが形成されている。そして、突出部55の基端部つまり外部に露出する側には、工具用の例えば六角穴が形成されている。そして、第2絞り部53は、複数本この場合4本の突出部55を、流路形成部材43の外側から流路形成部材43にねじ込むことで構成されている。
【0061】
これによれば、電磁弁40は、上記第1実施形態と同様に、微細気泡を含んだ液体を吐出することができる。更に、本実施形態によれば、流路形成部材43の外側から突出部55を取り付けることができる。そのため、流路形成部材43に対する突出部55の取り付け作業が容易になり、作業性が向上する。また、第2絞り部53の中心ギャップ522やスリット523は、比較的精密な調整が必要となる。これに対し、本実施形態によれば、流路形成部材43の外側から突出部55のねじ込み量を調整することで、中心ギャップ522やスリット523を比較的簡単に調整することができる。これらの結果、電磁弁40の生産性や作業性の向上を図ることができる。
【0062】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について
図6〜
図10を参照して説明する。
第3実施形態の電磁弁40は、
図6に示すように、第1実施形態の第2絞り部53に換えて第2絞り部60を有している。第2絞り部60は、流路形成部材43とは別体つまり別部品として構成されている。第2絞り部60は、第1絞り部51の収縮部511の入口側から収縮部511内に挿入されて、収縮部511と最小径部512との境界部分に設けられている。
【0063】
収縮部511と最小径部512との境界部分には、第2絞り部60を係止する段部513が形成されている。ここで、収縮部511によって流速が加速されることで、第2絞り部60には、高圧の負荷が作用する。しかし、段部513が第2絞り部60を係止することによって、第2絞り部60の移動が規制される。これにより、第2絞り部60が所定の取り付け位置から移動することを防止することができる。
【0064】
第2絞り部60は、
図7に示すように、環状部61と、複数本例えば4本の突出部62と、を一体に有して構成されている。環状部61は、各突出部62の基端部を支持するもので、円環状に形成されている。環状部61の外径は、最小径部512の内径よりも大きく、かつ、収縮部511の先端部の内径と同程度以下に設定されている。突出部62は、環状部61の内径側から環状部61の中心へ向かって突出している。突出部62は、第1実施形態の突出部54と同様に、軸部621と、錐状部542と、を有している。そして、4本の突出部62が突き合わされ配置されることで、中心ギャップ63及びスリット64が形成されている。
【0065】
この場合、第2絞り部60は、突出部54の加工や、中心ギャップ63及びスリット64の精密な調整が必要となる。これに対し、本実施形態では、第2絞り部60を、流路形成部材43とは別体に構成することで、第2絞り部60を流路形成部材43とは別に製造することができる。したがって、第2絞り部60の製造を容易にすることができる。
【0066】
第2絞り部60は、例えばエッチング加工によって製造することができる。この場合、電磁弁40の製造方法は、金属材をエッチングすることにより第2絞り部60を形成する工程を備える。すなわち、第2絞り部60は、
図8の(A)、(B)、に示すように、例えば板状のステンレス等の金属材を母材65にして、この母材65の上面に保護マスク66を配置する。保護マスク66は、第2絞り部60の環状部61と突出部62とを一体にした形状である。
【0067】
そして、保護マスク66が配置された母材65を、例えば母材65を溶解する溶解液中に浸す。これにより、保護マスク66に覆われていない部分の母材65がエッチングされて、第2絞り部60が形成される。この場合、例えば保護マスク66が配置された母材65に対して、微小な砂等の研磨剤を吹き付けるサンドブラスト加工を行うこともできる。また、この場合、例えばバッチ処理によって、複数個の第2絞り部60を同時に製造することができる。このように、第2絞り部60をエッチング加工によって製造することで、第2絞り部60を高い精度で比較的安価に多量に量産することができる。
【0068】
また、第2絞り部60は、例えば冷間鍛造加工によって製造することができる。この場合、電磁弁40の製造方法は、金属材を冷間鍛造することにより第2絞り部60を形成する工程を備える。すなわち、第2絞り部60は、
図9の(A)、(B)に示すように、例えば板状のステンレス等の金属材を母材65にして、この母材65を、下型101と上型102とで打ち抜き加工する。下型101と上型102とには、第2絞り部60の環状部61と突出部62とを打ち抜くための型が形成されている。これにより、第2絞り部60の環状部61と突出部62とが一体に打ち抜かれて、第2絞り部60が形成される。この場合も、例えばバッチ処理によって、複数個の第2絞り部60を同時に製造することができる。このように、第2絞り部60を冷間鍛造加工によって製造することで、第2絞り部60を高い精度で比較的安価に多量に量産することができる。
【0069】
また、第2絞り部60は、例えばカーボングラファイト材の成型加工によって製造することができる。この場合、電磁弁40の製造方法は、カーボングラファイト材を成型することにより第2絞り部60を形成する工程を備える。すなわち、第2絞り部60は、
図10に示すように、例えばカーボングラファイトの粉末材67を、成形型103内に入れて焼成する。これにより、第2絞り部60の環状部61と突出部62とが一体に成型されて、第2絞り部60が形成される。このように、第2絞り部60をカーボングラファイト材の成型加工することによって製造することで、第2絞り部60を高い精度で比較的安価に多量に量産することができる。
【0070】
(第4実施形態)
次に、
図11を参照して第4実施形態について説明する。
第4実施形態の電磁弁40は、第3実施形態と同様に、第2絞り部60を備えている。第4実施形態において、第2絞り部60は、流路形成部材43にインサート成型されることで、流路形成部材43内に設けられている。この場合、第2絞り部60は、最小径部512の途中部分に設けられている。これによれば、高圧の負荷が作用する第2絞り部60を、流路形成部材43に対して強固に固定することができる。したがって、第2絞り部60が所定の取り付け位置から移動してしまうことを防止することができる。
【0071】
(第5実施形態)
次に、
図12を参照して第5実施形態について説明する。
第5実施形態の電磁弁40は、上記各実施形態における微細気泡発生器50に換えて、微細気泡発生器70を備えている。微細気泡発生器70は、流路形成部材43とは別体つまり別部品として構成されている。微細気泡発生器70は、流路形成部材43に圧入されることによって、流路形成部材43に取り付けられている。
【0072】
具体的には、微細気泡発生器70は、発生器本体75を有している。発生器本体75は、径大部751と径小部752と一体に有したいわゆる段付きの円筒形状に形成されている。また、微細気泡発生器70は、微細気泡発生器50と同様に、第1絞り部71、拡大部72、及び第2絞り部73を有している。第1絞り部71、拡大部72、及び第2絞り部73は、発生器本体75の内部に設けられている。この場合、第1絞り部71は、微細気泡発生器50の第1絞り部51に機能的に相当する。また、拡大部72は、微細気泡発生器50の拡大部52に機能的に相当する。そして、第2絞り部73は、微細気泡発生器50の第2絞り部53に機能的に相当する。
【0073】
第2絞り部73は、第1絞り部71の最小径部712に設けられている。第2絞り部73は、最小径部712の周壁面から流路432の中心部に向かって突出した複数本この場合4本の突出部74によって構成されている。突出部74は、突出部54に機能的に相当する。この場合、突出部74は、発生器本体75の外側から内側へ向かって圧入されている。なお、突出部74は、発生器本体75の外側から内側へ向かってねじ込むものであってもよい。また、突出部74は、発生器本体75と一体に形成してもよい。
【0074】
第2絞り部73は、上述した第2絞り部53及び第2絞り部60と同様に、各突出部74の先端部を離間させた状態で突き合わせて配置されている。これにより、詳細は図示しないが、上述した第2絞り部53及び第2絞り部60と同様に、流路432の中心部に中心ギャップ及びスリットが形成されている。
【0075】
流路形成部材43は、挿入部436を有している。挿入部436は、開閉部材44の下流側に設けられており、周囲の壁面が滑らかな円筒形状に形成されている。また、径大部751の外径は、挿入部436の内径よりも大きい。そして、径小部752の外径は、挿入部436の内径よりも僅かに大きい。また、径小部752の外表面は、滑らかに形成されている。この場合、径小部752と挿入部436の嵌め合いは、例えばしまりばめの関係に設定されている。そして、径小部752が挿入部436の内側に圧入されることで、微細気泡発生器70は、流路形成部材43に取り付けられる。
【0076】
これによれば、電磁弁40は、上記各実施形態と同様に、微細気泡を含んだ液体を吐出することができる。また、微細気泡発生器70は、流路形成部材43とは別体に構成されている。そのため、微細気泡発生器70と流路形成部材とは別に製造することができる。したがって、微細気泡発生器70の製造を容易にすることができる。
【0077】
更に、本実施形態の電磁弁40は、微細気泡発生器70が取り付けられていない状態では、微細気泡の発生機能を備えない通常の電磁弁として機能する。したがって、本実施形態によれば、必要なときに後から微細気泡発生器70を取り付けることができる。その結果、微細気泡発生器70による機能付加の有無や、微細気泡発生器70の取り付け時期などについて、ユーザの選択の幅を広げることができる。
【0078】
(第6実施形態)
次に、
図13を参照して第6実施形態について説明する。
第6実施形態において、微細気泡発生器70は、径小部752の外側面に形成された雄ねじ部753を有している。また、流路形成部材43は、第5実施形態の挿入部436に換えて、雌ねじ部437を有している。雌ねじ部437は、雄ねじ部753が螺合可能な雌ねじであって、開閉部材44の下流側に設けられている。そして、微細気泡発生器70は、雄ねじ部753が雌ねじ部437にねじ込まれることによって、着脱可能に流路形成部材43に取り付けられている。
【0079】
これによれば、上記第5実施形態と同様の作用効果が得られる。更に、微細気泡発生器70は、ねじ込み式によって流路形成部材43に着脱可能に取り付けられている。そのため、流路形成部材43に対する微細気泡発生器70の取り付けや取り外し作業が更に容易になる。
【0080】
(第7実施形態)
次に、
図14を参照して第7実施形態について説明する。
第7実施形態の電磁弁40は、流量調整器80を備えている。流量調整器80は、流路432内を流れる液体の流量を調整するものであり、例えば開閉部材44よりも上流側となる流入部433内に設けられている。流量調整器80は、例えば電磁弁40の入口部41から流路形成部材43に挿入されて、流路形成部材43内に配置される。この場合、流量調整器80は、流路形成部材43内には固定されておらず、流路形成部材43内から取り出し可能になっている。
【0081】
流量調整器80は、微細気泡発生器83を一体に有している。この場合、流路形成部材43において流出部434の周囲の壁は、円筒形状に形成されている。流量調整器80は、調整器本体81と、弁体82と、を有している。調整器本体81は、例えば合成樹脂や金属等の剛性を有する材料で構成されている。調整器本体81は、全体として段付きの円筒形状に形成されている。調整器本体81は、内部に、第1絞り部84、拡大部85、及び第2絞り部86を有している。この場合、第1絞り部84は、微細気泡発生器50の第1絞り部51に機能的に相当する。また、拡大部85は、微細気泡発生器50の拡大部52に機能的に相当する。そして、第2絞り部86は、微細気泡発生器50の第2絞り部53に機能的に相当する。また、第1絞り部84は、収縮部841と最小径部842とから構成されている。
【0082】
第2絞り部86は、第1絞り部84の最小径部842に設けられている。第2絞り部86は、最小径部842の周囲の壁面から流路432の中心部に向かって突出した複数本この場合4本の突出部87によって構成されている。突出部87は、突出部54に機能的に相当する。この場合、突出部87は、調整器本体81の外側から内側へ向かって圧入されている。なお、突出部87は、調整器本体81の外側から内側へ向かってねじ込むものであってもよい。また、突出部87は、調整器本体81と一体に形成してもよい。
【0083】
調整器本体81は、第1穴部811と第2穴部812とを有している。第1穴部811は、調整器本体81の入口部41側の面の中心部から円筒状に突出した円筒部813の内側に設けられており、調整器本体81の入口部41側の面を貫いて第1絞り部84内に連通している。第2穴部812は、第1穴部811の周囲に複数個設けられており、調整器本体81の入口部41側の面を貫いて第1絞り部84内に連通している。
【0084】
弁体82、例えばゴム等の弾性を有する材料によって、円盤状に形成されている。弁体82の中心部には、調整器本体81の円筒部813が通されている。そして、弁体82は、流入部433の周囲の壁面及び調整器本体81の入口部41側の面との間に隙間88を有した形態で、調整器本体81に取り付けられている。
【0085】
外部の液体供給源からの液体が、入口部41を通って流入部433に流入すると、その液体の圧力が弁体82に作用する。流入部433内に供給された液体の圧力が所定圧力よりも低ければ、弁体82の弾性力が液体の圧力に打ち勝つため、弁体82は、第2穴部812を塞がない。この場合、流入部433内に供給された液体は、第1穴部811を通過すると共に、隙間88を通って第2穴部812も通過することができる。
【0086】
一方、流入部433内に供給された液体の圧力が所定圧力を超えると、その液体の圧力が弁体82の弾性力に打ち勝つ。すると、弁体82は、弁体82の中心部を支点にして調整器本体81に接触する方向へ弾性変形する。そして、弁体82が調整器本体81に接触することで、弁体82は、隙間88及び第2穴部812を塞ぐ。これにより、流入部433内に供給された液体は、第2穴部812を通過することができなくなる。その結果、調整器本体81を通過する液体の流量が制限される。このようにして、流量調整器80は、流入部433に供給される液体の圧力が所定圧力を超えた場合に、流量調整器80を通過する液体の流量を調整することができる。
【0087】
そして、第1穴部811又は第2穴部812を通過した液体は、微細気泡発生器83を通過する。その際、微細気泡発生器83は、流路432を通過する液体の中に直径50μm以下の微細気泡を発生させる。これによれば、上記各実施形態と同様の作用効果が得られる。また、流量調整器80は、流路形成部材43内には固定されておらず、流路形成部材43内から取り出し可能になっている。そのため、例えば流量調整器80に内蔵された微細気泡発生器83が故障等した場合であっても、流量調整器80を取り換えることでその故障等に容易に対応することができる。
【0088】
更に、通常、液体用電磁弁においては、流量調整器を備えていることが多い。そのため、既存の電磁弁について、元々設けられている流量調整器を、本実施形態の流量調整器80に取り換えることで、既存の電磁弁に対して容易に微細気泡発生機能を付加することができる。
【0089】
また、1つの入口部41に対して複数の出口部42を設けて、複数の電磁弁を並列に配置する構成にしてもよい。すなわち、流量調整器80の下流側で流路432を複数に分岐させ、その分岐した各流路に対して開閉部材44及び駆動部45を設ける構成としてもよい。これによれば、1つの微細気泡発生器83で、複数の出口部42から吐出される液体のそれぞれに微細気泡を含ませることができる。
【0090】
(第8実施形態)
次に、
図15を参照して第8実施形態について説明する。
本実施形態の洗濯機10、20は、上記各実施形態における注水装置30に換えて、注水装置35を備えている。注水装置35は、給水弁ユニット36と、洗剤ケース37と、柔軟剤ケース38と、を有している。洗剤ケース37内には、洗剤が投入される。柔軟剤ケース38内には、柔軟剤が投入される。給水弁ユニット36は、複数例えば3個の液体用電磁弁361、362、363を並列に接続したものであり、1つの入口部364と、3つの出口部365、366、367と、を有している。電磁弁361、362、363は、図示しない制御装置の制御信号に基づいて開閉駆動される。
【0091】
なお、以下の説明では、3つの電磁弁361、362、363のうち、電磁弁361を第1電磁弁361と称し、電磁弁362を第2電磁弁362と称し、電磁弁363を第3電磁弁363と称する。また、第1電磁弁361に接続されている出口部365を第1出口部365と称し、第2電磁弁362に接続されている出口部366を第2出口部366と称し、第3電磁弁363に接続されている出口部367を第3出口部367と称する。
【0092】
第1電磁弁361は、入口部364と第1出口部365とを繋ぐ流路を開閉するものである。第2電磁弁362は、入口部364と第2出口部366とを繋ぐ流路を開閉するものである。第3電磁弁363は、入口部364と第3出口部367とを繋ぐ流路を開閉するものである。そして、3つの電磁弁361、362、363のうち、少なくとも1つは、上述した微細気泡の発生機能を内蔵するものである。本実施形態の場合、第1電磁弁361が、上述した微細気泡発生器50を内蔵している。また、第2電磁弁362及び第3電磁弁363は、微細気泡発生機能を内蔵していない従来の液体用電磁弁である。
【0093】
入口部364は、注水装置30の入口部41と同様の構成である。すなわち、入口部364には、給水ホース100が接続される。また、第1出口部365は、水槽12、22内へ直接接続されている。そのため、第1出口部365から吐出される水は、洗剤や柔軟剤を溶解することなく水槽12、22内へ注水される。この場合、第1出口部365から吐出される水は、第1電磁弁361を通過するため微細気泡を含んでいる。
【0094】
第2出口部366は、洗剤が収容される洗剤ケース37を介して、水槽12、22内へ接続されている。そのため、第2電磁弁362を通って第2出口部366から吐出された水は、洗剤ケース37内の洗剤を溶解した後、水槽12、22内へ注水される。そして、第3出口部367は、柔軟剤が収容される柔軟剤ケース38を介して、水槽12、22内へ接続されている。そのため、第3電磁弁363を通って第3出口部367から吐出された水は、柔軟剤ケース38内の柔軟剤を溶解した後、水槽12、22内へ注水される。
【0095】
これによれば、微細気泡発生機能を内蔵する電磁弁361を通る流路と、微細気泡発生機能を備えない電磁弁362、363とを通る流路と、を切り替えることができる。そのため、必要に応じて任意のタイミングで微細気泡を発生させることができる。その結果、洗濯機10、20による洗濯性能を向上させることができると共に、利便性の向上が図られる。なお、電磁弁361、362、363のいずれに微細気泡発生機能を内蔵させてもよい。
【0096】
(第9実施形態)
次に、
図16を参照して第8実施形態について説明する。
本実施形態において、洗濯機10、20は、上記各実施形態の電磁弁40に換えて電磁弁90を備えている。電磁弁90は、電磁弁本体91と、微細気泡発生器92と、を有している。電磁弁本体91は、微細気泡発生機能を内蔵していない液体用電磁弁である。電磁弁本体91は、電磁弁本体91内への入口部分の外側の周囲に、取付ねじ部911が設けられている。取付ねじ部911は、上記各実施形態の取付ねじ部431と同様の構成である。つまり、取付ねじ部911には、給水ホース100を取り付けることができる。
【0097】
微細気泡発生器92は、電磁弁本体91とは別体に構成されている。微細気泡発生器92は、発生器本体93を有している。発生器本体93は、径大部931と径小部932と一体に有したいわゆる段付きの円筒形状に形成されている。また、微細気泡発生器92は、微細気泡発生器50等と同様に、第1絞り部94、拡大部95、及び第2絞り部96を有している。第1絞り部94、拡大部95、及び第2絞り部96は、発生器本体93の内部に設けられている。この場合、第1絞り部94は、微細気泡発生器50の第1絞り部51に機能的に相当する。また、拡大部95は、微細気泡発生器50の拡大部52に機能的に相当する。そして、第2絞り部96は、微細気泡発生器50の第2絞り部53に機能的に相当する。また、第1絞り部94は、収縮部941と最小径部942とから構成されている。
【0098】
第2絞り部96は、第1絞り部94の最小径部942に設けられている。第2絞り部96は、最小径部942の周囲の壁面から流路432の中心部に向かって突出した複数本この場合4本の突出部97によって構成されている。突出部97は、突出部54等に機能的に相当する。この場合、突出部97は、発生器本体93の外側から内側へ向かって圧入されている。なお、突出部97は、発生器本体93の外側から内側へ向かってねじ込むものであってもよい。また、突出部97は、発生器本体93と一体に形成してもよい。
【0099】
微細気泡発生器92は、第1取付ねじ部98と第2取付ねじ部99とを有している。第1取付ねじ部98は、径小部932の外側面に設けられた雄ねじである。第1取付ねじ部98は、上記各実施形態の取付ねじ部431及び電磁弁本体91の取付ねじ部911と同様の構成である。つまり、第1取付ねじ部98には、給水ホース100を取り付けることができる。第2取付ねじ部99は、径大部931の内側面に設けられた雌ねじである。第2取付ねじ部99は、電磁弁本体91の取付ねじ部911と螺合可能に構成されている。すなわち、第2取付ねじ部99は、給水ホース100の基端部に設けられた雌ねじと同一ピッチに形成されている。微細気泡発生器92は、第2取付ねじ部99の内側に電磁弁本体91の取付ねじ部911がねじ込まれることにより、電磁弁本体91に対して着脱可能に取り付けられる。
【0100】
これによれば、電磁弁本体91が微細気泡発生機能を備えていない既存の電磁弁であったとしても、給水ホース100と電磁弁本体91との間に容易に微細気泡発生器92を取り付けることができる。したがって、既存の電磁弁に対して容易に微細気泡発生機能を付加することができる。また、微細気泡発生器92は、電磁弁本体91に対して着脱可能となっている。したがって、例えば微細気泡発生器92が故障等した場合であっても、微細気泡発生器92を取り換えることでその故障等に容易に対応することができる。
【0101】
なお、本実施形態の微細気泡発生器92を、上記第8実施形態における入口部364と給水ホース100との間に設けてもよい。この場合、第1電磁弁361も、他の電磁弁362、363と同様に微細気泡の発生機能を有さないものとすることができる。これによれば、1つの微細気泡発生器92で、複数の出口部365、366、367から吐出される水のそれぞれに微細気泡を含ませることができる。
【0102】
なお、上記各実施形態において、液体用電磁弁40に供給される液体は、水に限られない。また、液体用電磁弁40は、ダイヤフラム式のものに限られない。
また、液体用電磁弁40は、上述した洗濯機の分野だけでなく、例えば家庭用及び業務用の食器洗浄機や高圧洗浄機、半導体製造で用いられる基板洗浄機、水の浄化装置等の分野においても適用することができる。
また、微細気泡の発生方式は、上記したベンチュリ管方式のものに限られない。
更に、液体用電磁弁40は、物体の洗浄や水の浄化以外の分野においても広く適用することができる。
【0103】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。