【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明によれば、請求項1に記載した構成を備えたセンサアッセンブリによって解決される。
【0006】
本発明によれば、ステッチ形成の際に糸がミシンの下糸ボビンケースのまわりにめぐらされ、その際に糸がミシンの種々の構成要素を通過する状況を、ミスステッチの検知に利用できるということが明らかになった。本発明によるセンサアッセンブリでは、検出光線を反射させる部分を通過する糸は、ステッチ形成の際にこの検出光線を一時的に遮断する。この一時的な遮断はセンサによって検知され、ミスステッチを検知するための評価ユニットによって評価することができる。その際評価ユニットは、糸の通過で検出信号が変化するかどうかを測定する。もしこの変化が測定されて評価されれば、糸なしでは望ましくないので縫製を行わないことが確保される。そうでなければミスステッチが検知される。反射部分は下糸ボビンケース自体に設けられていてよい。反射部分は特に下糸ボビンケースの中央部分領域に配置されていてよい。これとは択一的に、反射部分を、ミシン作動時に糸が通過する少なくとも1つの部分を有するミシンの他の構成要素に設けられていてもよい。このようなミシン構成要素の例としては、ルーパーのルーパー先端部が挙げられる。このケースでは、反射部分として、糸が接触するルーパー先端部領域を選定するのが有利である。
【0007】
検出光線の光路内にセンサをダイレクトに配置することにより、糸がかすめ通ることで反射検出光線の反射が減少することによるシグナルリダクションの測定が可能になる。すなわちセンサは、通常のケースでは反射検出光線の基本強度を測定し、基本強度は、糸が通過して検出光線が遮断されると減少する。これとは択一的に、センサが検出光線の光路内にダイレクトに配置されずに、散乱検出光を測定するように該センサを配置することが可能である。この場合、検出光が通過する上糸によって散乱されるよりも、ミシン構成要素、特に下糸ボビンケースによって散乱されるほうが通常では少ないことが活用される。糸が検出光線を通過すると、すなわちミシン構成要素の反射部分を通過すると、これによって、センサにより測定可能な散乱光が発生する。散乱光測定の場合には、バックグラウンド信号の消失または減少を伴うゼロ測定が可能である。
【0008】
請求項
1に記載の評価ユニットの実施態様では、移動平均値を予設定値と比較することができる。これはたとえばドリフト測定または汚染検出に利用することができる。
請求項3に記載の評価ユニットの実施態様では、信号形成は、特にステッチ形成と位相同期して行うことができる。
【0009】
請求項4に従って、ステッチ形成段階の間の異なる複数の時間部分内で複数の検出信号を形成することにより、付加的な信号比較が可能になり、これも検出の表現力を改善させる。
【0010】
請求項5に記載のミシンの利点は、センサアッセンブリに関連して前述した利点に対応している。
【0011】
請求項6に記載の高解像度に関わる実施態様は、検出の感度を向上させる。反射部分は磨かれるように実施されていてよい。反射部分は平面で実施されていてよい。反射部分は凹状に実施されていてもよく、特に光源をセンサに結像させる。
【0012】
請求項7に記載のルーパーの配置は、センサアッセンブリによる検出の、ルーパーによって生じる障害を回避させる。
【0013】
請求項8に記載の反射部分の選択は、該反射部分の汚染による検出への影響を回避させる。
【0014】
請求項9の構成は、評価時にステッチ形成時間の1段階を考慮するための簡単な可能性を表している。特に、評価精度を向上させる位相同期測定が可能である。
【0015】
これとは択一的な、または、これに加えて可能な、ミシン用センサアッセンブリは、検出光線を発生させるための光源と、検出光線を検出するためのセンサとを有している。光源はセンサに対し次のように配向されており、すなわち検出光線がミシンの1つの構成要素の反射部分を介して誘導されるように配向されている。評価ユニットはセンサと信号接続し、センサによって発生した検出信号を時間分解評価するために用いられる。評価ユニットは、ステッチ形成段階の間の1つの時間部分内で発生する少なくとも1つの検出信号の移動平均値を形成するように構成されている。この種のセンサアッセンブリを用いて、ミシンの汚染を測定することができる。
【0016】
たとえば作動時にミシン上に堆積する埃または毛屑によりミシンの汚染が増大するに伴って、検出光路内での光誘導特性は悪化する。これをセンサアッセンブリを用いて活用する。形成された移動平均値は、評価ユニット内で予設定値または参照値と比較することができる。参照値とは、反射部分を介して検出光線がセンサのほうへ最適に反射するときの検出信号の仮想値である。検出信号と予設定値との間の差が公差範囲を上回るか下回ると、障害信号、例えば「汚染」を出力することができる。公差範囲は、検出信号に対する最小許容値を予設定することによって予め設定することができる。障害信号は音であってよく、および/または、操作パネルでの表示によって行ってよい。これとは択一的に、または、これに加えて、障害信号を介してミシン作動にダイレクトに介入すること、特にミシンの作動を停止することが可能である。
【0017】
センサは検出光線の光路内にダイレクトに配置されていてよい。この種の配置構成の利点は、請求項2に関連して前述した利点に対応している。センサを検出光線の光路内にダイレクトに配置せずに、散乱した検出光を測定するようにした択一的配置構成も可能である。
【0018】
請求項10に記載の複数の光源/センサ対は、それぞれの対の移動平均値を評価ユニット内で比較することを可能にする。これは汚染検出の精度を増大させる。
これとは択一的に、または、これに加えて、ミシンのためのミスステッチ検知用センサアッセンブリが設けられていてよく、該センサアッセンブリは、検出光線を発生させるためにフレームに固定された光源と、検出光線を検出するためにフレームに固定されたセンサであって、該センサに対し光源が次のように配向され、すなわちミシンの下糸ボビンの少なくとも1つの反射部分を介して検出光線が誘導されるように配向されている前記センサと、該センサと信号接続して、該センサによって発生する検出信号を時間分解評価するための評価ユニットとを備えている。
【0019】
ここでは、下糸ボビンを備えているミシンが正常に作動していれば、下糸の消費のために下糸ボビンは回転するという状況が活用される。この回転はセンサアッセンブリにより確実に検知される。下糸ボビンが回転している間は、反射部分に検出光線が当たれば下糸ボビンは常に反射光線を反射部分で反射させる。検出信号が測定されない場合、または、検出信号の特徴的な時間変化が測定されない場合は、正確な下糸消費量で縫製が行われていない兆候であり、対応するエラー信号を出力させることができる。
【0020】
センサは、検出光線の光路内にダイレクトに配置されていてよい。この場合、このようなダイレクト配置との関連ですでに記載した利点が得られる。これとは択一的に、センサが検出光線の光路内にダイレクトに配置されずに、散乱した検出光を測定するようにセンサが配置されているような配置構成がここでも可能である。
【0021】
評価ユニットは、ステッチ形成段階の間の1つの時間部分内で発生した少なくとも1つの検出信号の移動平均値を形成するように構成されていてよい。これとは択一的に、または、これに加えて、評価ユニットは、ステッチ形成段階の間の異なる2つの時間部分内で発生した少なくとも2つの検出信号の移動平均値を形成するように構成されていてもよい。この種の評価ユニットの利点は、すでに前述した利点に対応している。
【0022】
この他のセンサアッセンブリも、針と、下糸ボビンケースのまわりを周回するルーパーとの形態のステッチ形成工具を含んでいるミシンの一部であってよい。この種のミシンの利点は、すでに前述した利点に対応している。
【0023】
ボビンの周部分には、該ボビンの側壁に、検出光線を反射させるための複数の反射部分が設けられていてよい。
【0024】
複数の反射部分はセンサアッセンブリの測定精度を向上させる。というのは、ボビンが1回転する間に、検出光線が反射部分に反射して検出信号を生じさせる状況が何度も生じるからである。複数の反射部分はボビンの周方向に不均等に配分されていてよい。たとえば、ボビンを上から見て第1象限に3つの反射部分が配置され、周方向とは逆の方向に接続している第2象限に2つの反射部分が配置され、同様に反時計方向に接続している第3象限にただ1つの反射部分が配置されていてよい。この場合、評価の際にボビンの回転方向も表示させることができる。本例の場合、シーケンス評価が「3/2/1」であれば、ボビンが時計方向に回転していることを推定できる。逆のシーケンス評価「1/2/3」であれば、ボビンが反時計方向に回転しているという結果が得られる。これとは択一的に、または、これに加えて、ボビンの回転方向に関する判定の対応する可能性は、周方向に異なるサイズの複数の反射部分を設けることによって達成できる。たとえば、3つの異なる周方向延在長さを備えた複数の反射部分を周方向に均等に配分して使用することができる。これら3つの異なる周方向延在部は、たとえばその延在長さの降順で配置される。この場合、周方向に不均等に配分することと関連して前述したことに対応して、回転方向の判定が可能になる。
【0025】
少なくとも1つの反射部分はボビン側壁に次のように実施されており、すなわち少なくとも1つの反射部分の周領域にわたってもボビンの全直径が維持されるように、特に上部ボビン接続壁または上部ボビンカバーの全直径が維持されるように実施されている。このようにして、ボビン糸がボビン領域の一部である反射部分の周方向部位に当たって望ましくないことが確実に阻止される。少なくとも1つの反射部分は次のように実施されていてよく、すなわちたとえば0.5mm以下の軸線方向高さにわたってボビンの全直径が維持されるように実施されていてよい。反射部分はファセットとしてボビンに形成されていてよい。ファセットの実施はコスト上好ましく可能である。
【0026】
少なくとも4つの反射部分を設けてよい。4つの反射部分は、確実な検出のために特に適したものとして製造されたものである。4つ以上または4つ以下の反射部分を使用してもよく、たとえば6個以上、10個以上、たとえば12個、またはそれ以上の反射部分を使用してよい。
【0027】
評価ユニットは、複数のステッチ形成工具のうちの少なくとも1つのステッチ形成工具を駆動するためのモータと信号接続している。この配置構成の利点は、評価ユニットとの関連ですでに説明した利点に対応している。評価の際、妨害信号および/または誤信号をフィルタリングすることができる。