(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670579
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】出隅カバーの受け部材、及び、外壁出隅部の納まり構造
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20200316BHJP
E04F 13/14 20060101ALI20200316BHJP
E04F 19/06 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
E04F13/08 101Q
E04F13/14 102Z
E04F19/06 D
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-203267(P2015-203267)
(22)【出願日】2015年10月14日
(65)【公開番号】特開2017-75484(P2017-75484A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】305003542
【氏名又は名称】旭トステム外装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】大川 正典
【審査官】
兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−199785(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0317909(US,A1)
【文献】
実開平06−085850(JP,U)
【文献】
特開2007−224514(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101278097(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00−13/30
E04F 19/02,19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出隅部にて互いに直交して隣接する外壁材の間の隙間を外側から覆い隠す出隅カバーを、前記外壁材の内側から受けるための受け部材であって、
下地材に固定されるためのベース部と、
前記ベース部から前記隙間側に向かう方向に突設される突条部と、
前記突条部の突出端側に設けられ、前記出隅カバーを嵌合させるための嵌合部と、
を有し、
前記嵌合部は、
前記突条部の先端部から二つに分岐してなる一対の壁端面当接部であって、
前記外壁材の縦端面が当接される壁端面当接部を有する、構成とし、
前記ベース部には、外壁材の裏面側に対向し、出隅部から外壁材の裏側に浸入した水を受け止めるための略コ字状断面の水返し突部が設けられ、
前記各壁端面当接部には、それぞれ係止突条が形成され、前記係止突条の間に、前記出隅カバーを嵌入するための嵌合凹部が構成され、
前記壁端面当接部の先端部は、前記係止突条の基端部の位置よりも延出されてリブを形成しており、
前記係止突条を挟んで前記嵌合凹部と反対側となる位置において、前記リブと前記係止突条にて挟まれる略V字状の縦溝が構成される、受け部材。
【請求項2】
前記ベース部は、
それぞれ前記下地材に固定され、互いに直交して角部を構成する板状の固定部を有し、
前記角部に前記突条部が構成され、
前記各固定部において前記角部と反対側の位置に前記外壁材の裏面側に向けて突出される水返し突部が設けられ、
前記固定部の表面に対する前記固定部の厚み方向において、
前記水返し突部の突出寸法は、前記突条部の突出寸法よりも大きく構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の受け部材。
【請求項3】
前記壁端面当接部は、縦方向に延びる板面にて構成され、
前記外壁材の前記縦端面と面接触すべく構成される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の受け部材。
【請求項4】
出隅部にて互いに直交して隣接する外壁材と、
前記外壁材の間の隙間を外側から覆い隠す出隅カバーと、
前記出隅カバーを外壁材の内側から受けるための受け部材と、
を有してなる外壁出隅部の納まり構造であって、
前記受け部材は、
下地材に固定されるためのベース部と、
前記ベース部から前記隙間側に向かう方向に突設される突条部と、
前記突条部の突出端側に設けられ、前記出隅カバーを嵌合させるための嵌合部と、
を有し、
前記嵌合部は、
前記突条部の先端部から二つに分岐してなる一対の壁端面当接部であって、
前記外壁材の縦端面が当接される壁端面当接部を有する、構成とし
前記ベース部には、外壁材の裏面側に対向し、出隅部から外壁材の裏側に浸入した水を受け止めるための略コ字状断面の水返し突部が設けられ、
前記各壁端面当接部には、それぞれ係止突条が形成され、前記係止突条の間に、前記出隅カバーを嵌入するための嵌合凹部が構成され、
前記壁端面当接部の先端部は、前記係止突条の基端部の位置よりも延出されてリブを形成しており、
前記係止突条を挟んで前記嵌合凹部と反対側となる位置において、前記リブと前記係止突条にて挟まれる略V字状の縦溝が構成され、
前記出隅カバーは、
前記受け部材の嵌合部に嵌合される嵌合部と、
前記外壁材の表面と重なり代を確保するカバー面部と、
を有する、外壁出隅部の納まり構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窯業系サイディング(外壁材)にて外壁を構成するための技術に関するものであり、より詳しくは、出隅部の外側部分に配置される出隅カバーを内側から受けるための受け部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されるように、板状の外壁材(金属サイディング)を直交して配置し、その角部にて外壁の出隅部を構成する技術が知られている。出隅部においては、外壁材の間に隙間が形成されるため、この隙間を埋めるために、出隅カバー(化粧板)が取り付けられる。
【0003】
そして、この出隅カバーは出隅部の外側部分に配置されるものであり、この出隅カバーを内側から保持するために、躯体側となる下地材には受け部材(取付部材)が取り付けられる。この受け部材には、二本の係止突条を対向してなる嵌合凹部が形成され、この嵌合凹部に出隅カバーに設けた係止突条を嵌入することで、出隅カバーが受け部材に嵌合固定される構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−199785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図7は、特許文献1と同様の構成例を示すものであり、出隅カバー91の係止突条92が出隅カバー93の係止突条94の内側に係止される構成としている。係止突条94は、L字状の固定片95の角部の位置において、斜略45度の方向に突出される。
【0006】
ここで、外壁材90の端面90aは、出隅カバー93の係止突条94の基端部に当接する位置まで寄せることができるが、最も寄せた場合であっても、出隅部の直交点P(外壁材90の表面の延長線が交差する点)から、幅X1だけ離れた位置に配置されてしまう。
【0007】
そして、出隅カバー91のカバー表面91aにより、外壁材90との十分な重なり代X2を確保しようとすると、必然的にカバー表面91aの幅X3が広くなってしまう。
【0008】
しかし、幅X3が広くなるほど出隅カバー91が目立ってしまうことになり、外壁材90との表面の質感の違いも相まって、意匠性を損なってしまうことがある。つまり、出隅部における外壁材90の連続性が顕著に損なわれてしまうことになる。特に、外壁材90が窯業系サイディングで構成される場合において、金属製の出隅カバー91を使用する場合には、その表面の質感が顕著に異なり、意匠性を損ない易くなってしまう。
【0009】
そこで、本発明は以上の問題に鑑み、出隅部において外壁材の端面同士をより近づけて配置することを可能とし、これにより、出隅カバーの幅を少なく抑えることを可能とするための新規な技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1に記載のごとく、
出隅部にて互いに直交して隣接する外壁材の間の隙間を外側から覆い隠す出隅カバーを、前記外壁材の内側から受けるための受け部材であって、
下地材に固定されるためのベース部と、
前記ベース部から前記隙間側に向かう方向に突設される突条部と、
前記突条部の突出端側に設けられ、前記出隅カバーを嵌合させるための嵌合部と、
を有し、
前記嵌合部は、
前記突条部の先端部から二つに分岐してなる一対の壁端面当接部であって、
前記外壁材の縦端面が当接される壁端面当接部を有する、構成とし、
前記ベース部には、外壁材の裏面側に対向し、出隅部から外壁材の裏側に浸入した水を受け止めるための略コ字状断面の水返し突部が設けられ、
前記各壁端面当接部には、それぞれ係止突条が形成され、前記係止突条の間に、前記出隅カバーを嵌入するための嵌合凹部が構成され、
前記壁端面当接部の先端部は、前記係止突条の基端部の位置よりも延出されてリブを形成しており、
前記係止突条を挟んで前記嵌合凹部と反対側となる位置において、前記リブと前記係止突条にて挟まれる略V字状の縦溝が構成される、受け部材とする。
【0013】
また、請求項
2に記載のごとく、
前記ベース部は、
それぞれ前記下地材に固定され、互いに直交して角部を構成する板状の固定部を有し、
前記角部に前記突条部が構成され、
前記各固定部において前記角部と反対側の位置に前記外壁材の裏面側に向けて突出される水返し突部が設けられ、
前記固定部の表面に対する前記固定部の厚み方向において、
前記水返し突部の突出寸法は、前記突条部の突出寸法よりも大きく構成される。
【0014】
また、請求項
3に記載のごとく、
前記壁端面当接部は、縦方向に延びる板面にて構成され、
前記外壁材の前記縦端面と面接触すべく構成される。
【0015】
また、請求項4に記載のごとく、
出隅部にて互いに直交して隣接する外壁材と、
前記外壁材の間の隙間を外側から覆い隠す出隅カバーと、
前記出隅カバーを外壁材の内側から受けるための受け部材と、
を有してなる外壁出隅部の納まり構造であって、
前記受け部材は、
下地材に固定されるためのベース部と、
前記ベース部から前記隙間側に向かう方向に突設される突条部と、
前記突条部の突出端側に設けられ、前記出隅カバーを嵌合させるための嵌合部と、
を有し、
前記嵌合部は、
前記突条部の先端部から二つに分岐してなる一対の壁端面当接部であって、
前記外壁材の縦端面が当接される壁端面当接部を有する、構成とし
前記ベース部には、外壁材の裏面側に対向し、出隅部から外壁材の裏側に浸入した水を受け止めるための略コ字状断面の水返し突部が設けられ、
前記各壁端面当接部には、それぞれ係止突条が形成され、前記係止突条の間に、前記出隅カバーを嵌入するための嵌合凹部が構成され、
前記壁端面当接部の先端部は、前記係止突条の基端部の位置よりも延出されてリブを形成しており、
前記係止突条を挟んで前記嵌合凹部と反対側となる位置において、前記リブと前記係止突条にて挟まれる略V字状の縦溝が構成され、
前記出隅カバーは、
前記受け部材の嵌合部に嵌合される嵌合部と、
前記外壁材の表面と重なり代を確保するカバー面部と、
を有する、外壁出隅部の納まり構造とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
即ち、請求項1に記載の発明においては、外壁材の縦端面と嵌合部が干渉する位置を、突条部が無い場合の干渉位置と比較して出隅部の直交点(外壁材の表面の延長線が交差する点)側により近づけることができ、幅の狭いカバー面部を用いても十分な重なり代を確保することができる。そして、幅の狭いカバー面部を用いることが可能となることで、出隅カバーが目立ち難い構成が実現できる。
また、施工時において、壁端面当接部に外壁材の縦端面を当接させるようにして、外壁材の位置決めを行うことが可能となる。
【0019】
また、請求項
2に記載の発明においては、外壁材を下地材に近づけた場合、水返し突部に外壁材の裏面が当接することになり、突条部の先端部、即ち、壁端面当接部の分岐点に、外壁材の裏側の角部が突き当たることを防止できる。そして、これにより、外壁材の裏側の角部が分岐点に直接的に突き当たることによる分岐点を基点とした壁端面当接部の破断を防止することができる。
【0020】
また、請求項
3に記載の発明においては、外壁材の縦端面と壁端面当接部の間を通じた水の浸入を防止することができる。また、上下に隣り合う外壁材の接合部に形成され、横方向に開放される隙間の開口を、この壁端面当接部により横から塞ぐことが可能となり、隙間を通じての水の浸入を壁端面当接部によって効果的に防止できる。
【0021】
また、請求項
4に記載の発明においては、幅の狭いカバー面部を用いても十分な重なり代を確保することができ、出隅カバーが目立ち難い構成が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】出隅カバーと受け部材を用いた出隅部の納まりについて示す水平断面図。
【
図2】出隅カバーと受け部材を用いた出隅部の納まりについて示す正面斜視図。
【
図3】(A)は出隅カバーと受け部材の断面図、(B)は出隅カバーと受け部材の一部拡大図。
【
図4】本発明に係る受け部材による効果について説明する図。
【
図5】本発明に係る受け部材の突条部の寸法に関係する内容について説明する図。
【
図6】(A)は外壁材の上下の接合箇所について説明する図。(B)は接合箇所における壁端面当接部による水の浸入防止について説明する図。
【
図7】従来の出隅カバーと受け部材の構成について説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明に係る出隅カバー20の受け部材30を用いた出隅部1の納まりについて示す水平断面図、
図2は同じく正面斜視図、
図3(A)は出隅カバー20と受け部材30の断面図、
図3(B)は同じく一部拡大図である。
【0024】
図1乃至
図3に示すように、出隅部1においては、躯体2(柱)に対して固定金具3,3を介して外壁材4,4が留め付けられる。躯体2と固定金具3,3の間には胴縁5が介設される。固定金具3や胴縁5の厚みは、外壁材4の厚みなどに応じて適宜設定され、外壁材4の裏側に通気層を確保する構成も実現できる。なお、胴縁5を用いない構成においても本願発明は適用できる。
【0025】
本実施例の外壁材4は、窯業系サイディング(外壁材)にて構成されており、その上部に設けた合決部4uに対し固定金具3の爪部3aを引っ掛けるようにして、躯体2に対する外壁材4の留め付けが行われる。なお、外壁材4,4については、窯業系際ティングの他、金属サイディングなど、他の種別の外壁材についても、本発明は適用できる。
【0026】
外壁材4,4は、その縦端面4a,4a同士を近づけて、平面視において直交するように配置され、縦端面4a,4aの間の隙間4sに受け部材30の嵌合部31が配置される。そして、この嵌合部31に出隅カバー20の嵌合部21が嵌合され、出隅カバー20の外装面によって、外壁材4,4の縦端面4a,4aの間の隙間4s(
図1)が覆い隠される。
【0027】
受け部材30は、躯体2(胴縁5)の表面に固定されるベース部32を有する長尺部材で構成され、ベース部32の角部32dに出隅カバー20を受けるための嵌合部31が配置される。受け部材30は、アルミや樹脂などの押出し成形品や、板金加工品にて構成することができる。
【0028】
本実施例では、中心線Cを基準に線対称となる形状にて構成されており、躯体2(胴縁5)に当接される二つの固定部32a,32aにてL字状のベース部32が構成され、固定部32a,32aにビス32b(
図1参照)を打ち込むことで、躯体2に受け部材30が固定される。固定部32a,32aは板状にて構成され、その表面にはビス32bの打ち込み箇所の目印となる縦線32f(
図2)が配置される。
【0029】
各固定部32a,32aの端部には、外壁材4の裏面4b側に延びる水返し突部32c,32cが形設されており、出隅部から外壁材4の裏側に浸入した水を受け止め、下方に流す構成としている。本実施例の水返し突部32c,32cは、略コ字状断面を構成することとし、内側に立て溝を形成し、水をガイドしやすい構成としている。なお、水返し突部32c,32cを外壁材4の裏面4bまで当接させる構成としてもよく、また、水返し突部32c,32cと外壁材4の裏面4bの間にパッキンなどが挟装される構成としてもよい。
【0030】
固定部32a,32a同士の連結部分となる角部32dには、中心線Cの方向、即ち、固定部32aの表面に対し約135度の方向に突設する一片の突条部33が形成される。なお、突条部33については、一片とする他、例えば、平行な二片を有して全体として一つの突条部をなすものなどであってもよく、具体的な構成については特に限定するものではない。
【0031】
突条部33の突端部には、互いに直交するように配置される壁端面当接部34,34が形成される。壁端面当接部34,34には、外壁材4,4の縦端面4a,4aが突き当てられ(当接される)、壁端面当接部34と縦端面4aが密着することで、両者の間を通じた水の浸入が防がれる。また、壁端面当接部34に縦端面4aを突き当てる構成とすることで、外壁材4を設置する際に、壁端面当接部34の位置決め箇所として利用できる。
【0032】
各壁端面当接部34,34には、それぞれ、互いに平行となるように配置される係止突条35,35が形成される。この係止突条35,35の間に、出隅カバー20の係止突条25,25を嵌入するための嵌合凹部36が構成される。
【0033】
各壁端面当接部34,34の先端部は、係止突条35,35の基端部の位置よりも延出されてリブ38(
図3(B))を形成しており、係止突条35を挟んで嵌合凹部36と反対側となる位置において、壁端面当接部34と係止突条35(リブ38部分)にて挟まれる略V字状の縦溝37が構成される。この縦溝37を通じ、出隅カバー20の内側に浸入した水を効率よく下方に排出することができる。
【0034】
出隅カバー20は、長尺部材により構成されており、受け部材30の嵌合凹部36に挿入され、係止突条35,35に係止される係止突条25,25を有して構成される。出隅カバー20は、アルミや樹脂などの押出し成形品や、板金加工品にて構成することができる。
【0035】
本実施例では、中心線Cを基準に線対称となる形状にて構成されており、中心線Cと直交する角カバー面部22aと、外壁材4,4の表面4c,4cに対向させるように角カバー面部22aの両側から延びるカバー面部22b,22bとを有している。
【0036】
角カバー面部22aの内側には、係止突条25,25が互いに平行となるように配置される。係止突条25の先端部には、係止部25aが形設され、この係止部25aが受け部材30の係止突条35に形成された係止部35a(
図3(B))に係止される。両係止部25a,35aは、係止突条25を押し込む方向の移動は許容し、その逆方向の移動は許容しないように構成されており、係止突条25の抜け止めとして機能する。
【0037】
また、係止突条35側の係止部35aは、係止突条35の突出方向において複数個所に形成されており、係止部25aの係止箇所を複数個所から可能に構成される。本実施例の係止部35aでは、微小の突条を複数列有して構成される。
【0038】
出隅カバー20を取り付ける際には、カバー面部22bを外壁材4の表面4cに当接するまで出隅カバー20全体を押し込み、係合部21,31同士を嵌合することで、取り付けが完了できる。この際、係止突条25(係止部25a)が係止突条35(係止部35a)のいずれかの箇所で係止され、その係止が維持されることで、カバー面部22bを外壁材4の表面4cに当接させた状態を維持できる。なお、カバー面部22bと外壁材4の表面4cの間にパッキンなどが挟装される構成としてもよい。
【0039】
以上の構成において、以下に説明する特徴的な構成を実現することができる。
まず、
図1乃至
図4に示すように、
出隅部1にて互いに直交して隣接する外壁材4,4の間の隙間4sを外側から覆い隠す出隅カバー20を、外壁材4,4の内側から受けるための受け部材30であって、
下地材(躯体2(胴縁5))に固定されるためのベース部32と、
ベース部32から隙間4s側に向かう方向に突設される突条部33と、
突条部33の突出端側に設けられ、出隅カバー20を嵌合させるための嵌合部31と、
を有する受け部材30とする。
【0040】
この構成では、
図4に示すように、突条部33の突出方向Tにおいて、突条部33の寸法33xだけベース部32から離れた位置に出隅カバー20を嵌合するための嵌合部31を配置させることが可能となる。これにより、外壁材4の縦端面4aと嵌合部31が干渉する位置L1を、突条部33が無い場合の干渉位置L2と比較して出隅部の直交点P(外壁材4の表面の延長線が交差する点)側(矢印Xp方向)により近づけることができ、幅の狭いカバー面部22bを用いても十分な重なり代X2を確保することができる。そして、幅の狭いカバー面部22bを用いることが可能となることで、出隅カバー20が目立ち難い構成が実現できる。
【0041】
なお、仮に、突条部33を設けない場合には、外壁材4の縦端面4aと嵌合部31は干渉位置L2にて干渉することになる。このため、重なり代X2を確保する場合には、位置L3の位置までカバー面部22bを構成する必要があり、幅X4だけカバー面部22bが広くなって、出隅カバー20が目立つ構成となってしまう。換言すれば、本発明の構成によれば、従来構造と比較して、幅X4だけ狭いカバー面部22bを有する出隅カバー20を構成することが可能となる。
【0042】
また、
図4に示すように、嵌合部31は、突条部33の先端部33p(分岐点34A)から二つに分岐してなる一対の壁端面当接部34,34であって、外壁材4の縦端面4aが当接される壁端面当接部34,34を有する、構成とする。
【0043】
これにより、施工時において、壁端面当接部34に外壁材4の縦端面4aを当接させるようにして、外壁材4の位置決めを行うことが可能となる。
【0044】
また、
図3(A)及び
図5に示すように、ベース部32は、それぞれ下地材(躯体2(胴縁5))に固定され、互いに直交して角部32dを構成する板状の固定部32a,32aを有し、
角部32dに突条部33が構成され、
各固定部32a,32aにおいて角部32dと反対側の位置に外壁材4の裏面4b側に向けて突出される水返し突部32c,32cが設けられ、
固定部32aの表面32eに対する固定部32aの厚み方向Hにおいて、
水返し突部32cの突出寸法32hは、突条部33の突出寸法33hよりも大きく構成される、こととする。
例えば、突出寸法32hを突出寸法33hよりも、0.2mm〜5mm程度大きくする。
【0045】
これにより、仮に、
図5の構成において、外壁材4を下地材(躯体2(胴縁5))に近づけて配置した場合、水返し突部32cに外壁材4の裏面4bが当接することになり、突条部33の先端部、即ち、壁端面当接部34,34の分岐点34Aに、外壁材4の裏側の角部4kが突き当たることを防止できる。そして、角部4kが分岐点34Aに直接的に突き当たることによる分岐点34Aを基点とした壁端面当接部34の破断を防止することができる。
【0046】
また、
図4に示すように、壁端面当接部34,34は、縦方向に延びる板面にて構成され、外壁材4,4の縦端面4aと面接触すべく構成される。
【0047】
これにより、外壁材4の縦端面4aと壁端面当接部34の間を通じた水の浸入を防止することができる。また、
図6(A)(B)に示すように、上下に隣り合う外壁材4の接合部4Sにおいて横方向に開放される隙間4Mの開口を、この壁端面当接部34により横から塞ぐことが可能となり、隙間4Mを通じての水の浸入を壁端面当接部34によって効果的に防止できる。なお、
図6(A)(B)の接合部4Sの例では、上下の合決部4d,4uを接合してなる合決接合により隙間4Mが構成される例としているが、このほかの接合形態においても、同様の効果を得ることができる。
【0048】
また、
図1乃至
図4に示すように、
出隅部1にて互いに直交して隣接する外壁材4,4と、
外壁材4,4の間の隙間4sを外側から覆い隠す出隅カバー20と、
出隅カバー20を外壁材4,4の内側から受けるための受け部材30と、
を有してなる外壁出隅部の納まり構造であって、
受け部材30は、
下地材(躯体2(胴縁5))に固定されるためのベース部32と、
ベース部32から隙間4s側に向かう方向に突設される突条部33と、
突条部33の突出端側に設けられ、出隅カバー20を嵌合させるための嵌合部31と、
を有し、
出隅カバー20は、
受け部材30の嵌合部31に嵌合される嵌合部31と、
外壁材4,4の表面4cと重なり代X2を確保するカバー面部22b,22bと、
を有する、外壁出隅部の納まり構造とする。
【0049】
これによれば、
図4に示すように、幅の狭いカバー面部22bを用いても十分な重なり代X2を確保することができ、出隅カバー20の目立ち難い構成が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の構成は、窯業サイディングなどの板状の外壁材を用いる場合において、出隅部を構成する場合に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 出隅部
2 躯体
3 固定金具
4 外壁材
4a 縦端面
4s 隙間
5 胴縁
20 出隅カバー
21 嵌合部
30 受け部材
31 嵌合部
32 ベース部
32b ビス
32c 突部
32d 角部
33 突条部
34 壁端面当接部