特許第6670656号(P6670656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670656
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】衛生処理収納袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/26 20060101AFI20200316BHJP
   B65D 30/22 20060101ALI20200316BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20200316BHJP
   B65D 81/28 20060101ALI20200316BHJP
   B65F 1/00 20060101ALI20200316BHJP
   B65F 1/06 20060101ALI20200316BHJP
   B65F 1/14 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   B65D81/26 H
   B65D30/22 Z
   B65D81/24 A
   B65D81/28 C
   B65F1/00 M
   B65F1/06
   B65F1/14 Z
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-68846(P2016-68846)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-178373(P2017-178373A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年3月26日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年1月26日から27日に開催の第8回メディケアフーズ展2016にてチラシを配布した
(73)【特許権者】
【識別番号】501114501
【氏名又は名称】エスパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092923
【弁理士】
【氏名又は名称】石垣 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187757
【弁理士】
【氏名又は名称】石垣 春樹
(72)【発明者】
【氏名】長倉 英治
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3166957(JP,U)
【文献】 特開2004−869(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0233872(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0084866(US,A1)
【文献】 特開平8−113271(JP,A)
【文献】 特開2000−53202(JP,A)
【文献】 実開平3−46402(JP,U)
【文献】 実開昭56−81036(JP,U)
【文献】 実開昭64−11989(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/26
B65D 30/22
B65D 81/24
B65D 81/28
B65F 1/00
B65F 1/06
B65F 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外袋と内袋とを備えた収納袋において、
外袋は通気性と通水性のいずれも持たない層を備えかつ外袋の開口部には通気と通水のいずれも防ぎうる密封手段を備え、
内袋は、内袋内と内袋外との間での通水性および通気性を有し、外袋と内袋とは外袋の開口部近傍と内袋の開口部近傍とで接合されていることにより二重袋状態となっており、内袋は前記接合部分のみにより外袋と接合していて、
内袋を絞ることで内袋を吊り上げて、外袋内でありかつ内袋外である空間に衛生処理上の機能素材を設置する部分を生じさせる絞り部を備え、
前記絞り部は内袋のみに取り付けられ、前記絞り部の取り付け位置は前記接合部よりも下方であることを特徴とする収納袋。
【請求項2】
外袋内でありかつ内袋外である空間に存する衛生処理上の機能素材を設置する部分に、吸水剤を設置したことを特徴とする請求項1記載の収納袋。
【請求項3】
外袋内でありかつ内袋外である空間に衛生処理上の機能素材を設置する部分に、除菌剤を設置したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の収納袋。
【請求項4】
絞り部をゴムひもにより構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項記載の収納袋。
【請求項5】
外袋内でありかつ内袋外である空間に存する衛生処理上の機能素材を設置する部分に設置する機能素材を出し入れ交換するための任意開口部を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項記載の収納袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として衛生面に配慮した処理が求められる収納対象物につき、消臭や除菌などをすると共に、収納対象物自体及び袋内に発生する水分・臭気等を漏らさずに運搬等を行うことを可能とする収納袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
処理袋、キャリーバッグ、運搬ケース等の収納袋においては、収納対象物が衛生面に配慮した処理が求められる物である場合などがある。すなわち、収納対象物の発する臭気や水分を処理したり、それに併せ香気を加えたり、除菌・殺菌・防菌等の処理をしたり、腐敗等の進行を食い止めるために保冷等の温度管理をしたりといった処理が求められる場合がある。
これに直接的に対処するのであれば、必要な処理素材、例えばスプレー式の消臭剤を別途用意して収納対象物にかけたり、通気性・通水性のないビニール袋などを別途用意して収納対象物を封入したりした上で収納袋を用いて運搬等を行う事となる。すなわち、衛生に配慮して、容器の密閉度を上げる、通気性をなくして特に臭気の漏れ出しを防ぐ、水漏れを防ぐ、遮熱性を高める等すると共に、求める機能に応じた補助物品を別途用意して使用することが行われている。
【0003】
この密閉度を上げるため等の工夫や別途用意の手間等を省くための工夫として、収納対象物が一定程度具体的に想定されるような場合においては、別途の物品の用意を原則必要とせずに、必要な処理が行われ、かつ臭気・水分等の漏出を防止できるような収納袋が、例えば下記の特許文献1(特開平8−113271)、特許文献2(特開2007−244637)により提案されている。
【0004】
特許文献1は、収納対象物として主に使用済みの水着を想定し、これに由来する水分に対応しつつ、消臭、抗菌や保冷を行う「収納袋および包装用シート材」である。これをもちいれば、濡れた水着等を収納するための袋として使用することができ、外側には防水層を設けて水が漏れることの無いようにし、内側には吸湿層と活性炭層とを設けて消臭と一定程度の吸湿をすることができ、任意でアルミニウム箔のラミネートを施して内部温度の上昇を抑制したり、抗菌加工を施したりすることもできる。
【0005】
特許文献2は、収納対象物をし尿としかつ1回ごとの使用取替えを想定する、吸水と消臭・殺菌処理が可能で、防水と空気遮断との効果も持つ「完全密閉型トイレ用汚物処理袋」である。特徴として、内側に不織布を使用、外側にポリプロピレン生地を使用、不織布とポリプロピレンシートを張り合わせ、内部に吸水性ポリマーを主成分とした消臭・殺菌剤入り凝固薬剤を封入した汚物処理シートを構成するトイレ用汚物処理袋につき、これを使用後に、別途用意する持ち手付き脱着袋(ポリプロピレンのシートを袋状に加工、袋上部にポリプロピレンひもを取り付け、これを縛ることにより水分、空気を遮断することの可能な完全密封袋)を装着、口を縛ることにより完全密封化し、その後の運搬、汚物処理を容易にするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−113271号公報
【特許文献2】特開2007−244637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したような従来から存する収納袋は、幅広く衛生的な処理の求められる収納対象物に対応しようとすると、結局、漏れ出し対応や衛生処理のために別途スプレーや小袋ハンカチ等物品の用意、収納袋内に収納対象物と共に適切な形で入れるなどの手間等の発生が避けられないものであった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、主として衛生的な処理の求められる収納対象物を収納するに際して、収納対象物自体および内部の気体、液体が漏れ出さない収納袋を構成すると共に、収納対象物に由来する臭気や雑菌などが内部に発生した際、これを処理するために、別途スプレーや小袋ハンカチ等物品の用意、収納袋内に収納対象物と共に適切な形で入れるなどの手間等をなくす、または減らす収納袋を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1による収納袋は、外袋と内袋とを備えた収納袋において、外袋は通気性と通水性のいずれも持たない層を備えかつ外袋の開口部には通気と通水のいずれも防ぎうる密封手段を備え、内袋は、内袋内と内袋外との間での通水性および通気性を有し、外袋と内袋とは外袋の開口部近傍と内袋の開口部近傍とで接合されていることにより二重袋状態となっており、
内袋は前記接合部分のみにより外袋と接合していて、
内袋を絞ることで内袋を吊り上げて、外袋内でありかつ内袋外である空間に衛生処理上の機能素材を設置する部分を生じさせる絞り部を備え、
前記絞り部は内袋のみに取り付けられ、前記絞り部の取り付け位置は前記接合部よりも下方であることを特徴とするものである。
なお、内袋の有する内袋内と内袋外との間での通水性および通気性は、素材上のものであっても良いし構造上のものであってもよい。
【0009】
また、請求項2による収納袋は、請求項1記載の収納袋において、外袋内でありかつ内袋外である空間に存する衛生処理上の機能素材を設置する部分に、吸水剤を設置したことを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項3による収納袋は、請求項1または請求項2記載の収納袋において、外袋内でありかつ内袋外である空間に衛生処理上の機能素材を設置する部分に、除菌剤を設置したことを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項4による収納袋は、請求項1から請求項3のいずれか1項記載の収納袋において、絞り部をゴムひもにより構成したことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項5による収納袋は、請求項1から請求項4のいずれか1項記載の収納袋において、外袋内でありかつ内袋外である空間に存する衛生処理上の機能素材を設置する部分に設置する機能素材を出し入れ交換するための任意開口部を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
そして、上記手段によって次のような作用が得られる。まず、外袋と内袋とを備えた収納袋において、外袋は通気性と通水性のいずれも持たない層を備えかつ外袋の開口部には通気と通水のいずれも防ぎうる密封手段を備えたことにより、収納対象物およびそれに由来する水分、臭気等が漏れ出すことなく収納対象物を収納しておくことができる。
【0014】
また、内袋は、内袋内と内袋外との間での通水性および通気性を有し、外袋と内袋とは外袋の開口部近傍と内袋の開口部近傍とで接合されていることにより二重袋状態となっており、内袋は前記接合部分のみにより外袋と接合していて、内袋を絞ることで内袋を吊り上げて、外袋内でありかつ内袋外である空間に衛生処理上の機能素材を設置する部分を生じさせる絞り部を備え、前記絞り部は内袋のみに取り付けられ、前記絞り部の取り付け位置は前記接合部よりも下方であるから、内袋が絞られていることで内袋が吊り上げられ、外袋と内袋との間に任意の広さの空間をもたらすことができ、必要に応じここに任意の機能付加素材を設置することができる。さらには、内袋が絞られていることで、内袋内に収納した収納対象物およびそれに由来する水分、臭気等が漏れ出すことなく収納対象物を収納しておくことができるよう、内蓋・仮蓋としての機能を発揮させることができる。
【0015】
また、絞り部を、内袋のみに取り付けられ、絞り部の取り付け位置は前記接合部分よりも下方である、との構成を取ったことで、内袋における効果を保ちながら、外袋及び収納袋自体の外観、デザイン性、使用のしやすさを保たせる効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の収納袋は、収納対象物に由来する臭気や雑菌などが内部に発生した際、これを処理するために、別途スプレーや小袋やハンカチ等物品の用意、収納袋内に収納対象物と共に適切な形で入れるなどの手間等を必要としない、または減じる点において有利な効果を持つ。
外袋と内袋とを備えた収納袋において、外袋は通気性と通水性のいずれも持たない層を備えかつ外袋の開口部には通気と通水のいずれも防ぎうる密封手段を備えたことにより、収納対象物およびそれに由来する水分、臭気等が漏れ出すことなく収納対象物を収納しておくことができる。
【0017】
また、内袋は、内袋内と内袋外との間での通水性および通気性を有し、外袋と内袋とは外袋の開口部近傍と内袋の開口部近傍とで接合されていることにより二重袋状態となっており、内袋は前記接合部分のみにより外袋と接合していて、内袋を絞ることで内袋を吊り上げて、外袋内でありかつ内袋外である空間に衛生処理上の機能素材を設置する部分を生じさせる絞り部を備え、前記絞り部は内袋のみに取り付けられ、前記絞り部の取り付け位置は前記接合部よりも下方であるから、内袋が絞られていることで内袋が吊り上げられ、外袋と内袋との間に任意の広さの空間をもたらすことができ、必要に応じここに任意の機能付加素材を設置することができる。さらには、内袋が絞られていることで、内袋内に収納した収納対象物およびそれに由来する水分、臭気等が漏れ出すことなく収納対象物を収納しておくことができるよう、内蓋・仮蓋としての機能を発揮させることができる。
【0018】
除菌、消臭等の機能をもたらす素材を、外袋と内袋との間に生まれた空間に設置することにより、これらが収納袋からこぼれ出ることが無いし、通気性・通水性のない外袋により、内部空間全体に除菌、消臭等の機能を及ぼしながら余計な外気等の影響を受けず、効率よく・無駄なく素材を使用・消費することができる。通気性・通水性を適切に設定した内袋が存することにより、収納対象物と機能素材自体とが直接的にはふれあわないが、機能素材から生じる機能をもたらす気体・液体には接することができるから、効果が長持ちし、また、効率的な機能発揮に資する。さらには、内袋の大きさや絞りの強さ等を適切に構成することにより、収納対象物が入れられるまでは絞り部の吊り上げ作用により、内袋と機能素材との接触がなされなくなっており、無駄に消費されることがない一方、収納対象物投入後には、重みと大きさとで内袋が広がり下がるから、機能素材との距離が近づき、内袋と接触し、必要な機能を十分に発揮できる状態へと切り替えることができる。(消臭剤であれば液が十分に収納対象物および収納袋内全体に浸透し、高い効果を発揮する状態となる。吸水剤であれば、漏れ出た液体と内袋を通じて接し、十分な吸収機能を発揮する状態となる。)
【0019】
また、絞り部を、内袋のみに取り付けられ、絞り部の取り付け位置は前記接合部分よりも下方である、との構成を取ったことで、内袋における効果を保ちながら、外袋及び収納袋自体の外観、デザイン性、使用のしやすさを保たせる効果を得ることができる。
また、内袋の材料には不織布等の、必要な程度柔軟性のある材料のみを用い、外袋と内袋とを外袋の開口部近傍と内袋の開口部近傍とで接合したことにより二重袋状態とし、内袋は前記接合部のみにより外袋と接合しているとの構成を取った場合には、収納袋としての外観、デザイン性を保たせながら、内袋の持つ効果をより確実に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は本発明実施例1の収納袋につき使用済みおむつを収納した後の状態を示す正面図である。
図2図2図1における平面図である。
図3図3図2におけるA−A線の端面図である。
図4図4は本発明実施例1の収納袋につき収納対象物が収納される前の状態を示す正面図である。
図5図5は本発明実施例1の収納袋につき絞り部による絞りを解除しながら使用済みおむつを収納している状態を示す正面図である。
図6図6は本発明実施例1の収納袋につき外観を示す正面図である。
図7図7は本発明実施例2の収納袋につき収納対象物が収納されておらず絞り部による絞りが解除されている状態を示す正面図である。
図8図8は本発明実施例2の収納袋につき収納対象物が収納されておらず絞り部による絞りがなされている状態を示す正面図である。
図9図9は本発明実施例3の収納袋につき収納対象物が収納されており絞り部による絞りがなされている状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明による収納袋は、主として衛生面に配慮した処理が求められる収納対象物につき、消臭や除菌などをすると共に、収納対象物及び袋内に発生する水分・臭気等を漏らさずに運搬等を行うことを可能とするものである。
【実施例1】
【0022】
収納袋の一態様として、使用済みのおむつや、嘔吐物等のかかった物品、嘔吐物等を拭き取った布、嘔吐物自体、ペットの排泄物等を、臭気や菌等の問題に対処しながら、最終的な処分等の必要な処理を行うまでの間、衛生的に収納するのに便利な持ち手つきバッグを例に挙げて説明する。外袋10は、一例としてポリエチレンを使用し、外袋を袋体とする等の各種加工に際しては、気体、液体を含む内容物が漏れ出す隙間や穴などができないように配慮し、また、マチ付きのバッグとなるようにし、持ち手も取り付けた。さらには、開口部を「チャック付きポリ袋」「ジッパー付き保存袋」等において使われるチャック(スライド式のもの)を設けてこれでとじられるようにしたから、手軽に開け閉めができ、通気性と通水性のいずれも持たない層を備えかつ外袋の開口部には通気と通水のいずれも防ぎうる密封手段12を備えるものであり、外袋内に存する固体、液体、気体のいずれをも、外袋外に漏らさずに収納可能としている。なお、通気性と通水性のいずれも持たない外袋となっていれば良いので、選択する素材としてナイロンその他を使用したり、デザイン等のためさらに別の素材の層を外側に設けたりなど、また、開口部を別の構成で閉じるなど、適宜変更は可能である。
【0023】
内袋20は、柔軟性、通気性、通水性のある不織布のみを用いたので、内袋内と内袋外との間での、素材上の通水性、通気性を有している。なお、より確実に柔軟性、通気性、通水性を持たせたい場合や、素材以外の方法で柔軟性、通気性、通水性を持たせたい場合は、穴や隙間を設ける等、構造上の方法をとることも可能である。
内袋20の大きさは、外袋10の大きさに対し、縦方向はごくわずか長く、横方向はほぼ同じである。
内袋20には開口部から底面までの間の約四分の一の位置に、内袋を横向きに一周した場合の長さに対し約四分の一の長さのゴムを、少し間隔を空けて2本、あらかじめ内袋が絞られた状態で縫い付けて、内袋を絞る絞り部30としている。なお、ゴムの太さ、本数、複数本の場合の間隔、弾性力の度合い、長さ、取り付け方等は収納予定物に応じて適宜設計変更することができる。また、開口および収納対象物の出し入れの邪魔にならない程度のヒダ50を積極的に設けまたは自然に生じさせ、より確実に内容物、内容物に由来する水分や臭気の漏れ出しをせき止めることができる。
【0024】
内袋と外袋とに、お互いをお互いの開口部の位置でそろえて接着できるように、面ファスナー40をとりつける。外袋内に衛生処理上の機能素材34として液体除菌消臭剤と吸水性ポリマーとを混合して作ったゲルを適量入れたうえで、内袋を外袋内に入れ、内袋と外袋とをお互いの開口部の位置でそろえて接着する。この実施例1においては、開口部は全周を接着できるようにし、また、これ以外の場所による外袋と内袋との接着は行われていない。これにより面ファスナーによる着脱に応じ、外袋内でありかつ内袋外である空間に存する衛生処理上の機能素材34を設置する部分に設置する機能素材を出し入れ交換するための任意開口部とすることができ、消費済みの除菌消臭剤入れ替えや、増量可等のために使用することができる。また、接着は、熱接着やホットメルトボンドを使用しての接着など、外袋における通気・通水を必要な程度防ぐ配慮がなされる範囲で、他の接着方法をとることも可能である。さらには、別途の任意開口部を設けても良い。
【0025】
この実施例における収納袋に使用済みおむつ60等を収納する際は、外袋開口部に付されたチャックを開け、内袋の絞りを手で押し広げたり収納物を押し込めたりし、絞り部30よりも下に収納する。その後、チャックを閉じる。
そうすると、内容物およびそれに由来する水分や臭気等が漏れ出すことなく、収納した物および内袋内は、内袋ごと収納対象物が絞られる結果、内袋と収納対象物とがより密着度合いを増すこととなり、収納対象物に由来する水分等があればこれをより確実に内袋に吸収させることができ、内容物の目隠しともなり、また、収納対象物が飛び出すこと、中で揺れること、ぶつかり合うこと、こすれあって汚物等が広がること等を防止することが期待でき、収納対象物が少量であってもこの効果は働くうえ、これにより収納量が通常よりも小さくなるということもなくどうしても必要な際には絞りが完全に解除された状態に至り内袋の容量の限界に至るまで収納は可能である。すでに収納対象物が入っている状態で、追加での投入や取り出しのためにチャックを開けた際も、臭気等が直接的に立ち上ってくる状況を極力なくすことができるし、収納袋の向きが横、逆さなどになった際に、中身の逆流をせき止めることができる。
【0026】
除菌消臭剤の効果により、収納された物および内部空間は、消臭、除菌、抗菌、殺菌、ウイルス・カビ対策効果を得ることができる。
絞り部30が内袋20のみに設けられているから、上記絞り部の効果を得ながらも、外袋・収納袋全体の形状には影響が出ない。これにより、外袋・収納袋全体のデザイン性を保てるほか、底面の構造や収納袋の置き方などによって収納袋を自立させておけるなど、使用、特に出し入れの際の利便性を保つことができる。
【実施例2】
【0027】
収納袋の一態様として、血液等の体液や吐瀉物等のかかった物品、吐瀉物等を拭き取った布、脱脂綿、吐瀉物自体、その他汚れ物等を、臭気や菌等の問題に対処しながら、処分等の必要な処理を行うまでの間衛生的に収納するのに便利な処理袋を例に挙げて説明する。外袋10は、一例としてナイロンアルミラミネート袋を使用し、外袋10を袋体とする等の各種加工に際しては、気体、液体を含む内容物が漏れ出す隙間や穴などができないように配慮した。外袋10の素材は他にもアルミ蒸着シートとポリプロピレン等が考えられる。開口部を防水に配慮したファスナーを設けてこれでとじられるようにしたから、通気性と通水性のいずれも持たない層を備えかつ外袋の開口部には通気と通水のいずれも防ぎうる密封手段12を備えるものであり、外袋内に存する固体、液体、気体のいずれをも、外袋外に漏らさずに収納可能としている。
内袋20は、不織布のみを用い、内袋内と内袋外との間で適度な通水性、通気性を有している。
内袋20の大きさは、外袋の大きさとほぼ同じである。
【0028】
内袋20には開口部から底面までの間の約三分の一の位置で、幅方向を絞れるような状態で、内袋20を絞る絞り部30として面ファスナーを取り付けた。取り付けに際する各種設計事項は、外袋の大きさや絞りたい程度等を勘案することで、様々な設計が想定できることはもちろんである。
なお、内袋内であって絞り部の直下に、内蓋状のヒダを設けてもよい。これにより、より確実に内容物、内容物に由来する水分や臭気の漏れ出しをせき止めることができる。内袋とは別体で用意した物を取り付けて設けてもよいし、内袋等との同一素材で構成するか、別体とせず余裕を内袋の接着等で出すか、大きさ、厚さ、素材などは、求める効果等に応じ、自由に設計可能である。
【0029】
外袋10に適量の除菌消臭液を入れる。
ここで、医療用途など厳密な衛生管理が求められることが想定される場合には、使い捨てとする、既に収納対象物の収納された内袋内へ手を入れる際には必要な注意を払う等の特別な配慮をもって使用する必要があると考えられるが、内袋には、除菌消臭液が浸透しているから、そうでない収納袋に比べ、より安全度高く使用することができる。
内袋20を外袋内に入れ、内袋20と外袋10とをお互いの開口部の位置でそろえてホットメルトボンドを使用して接着する。この際、一部において接着をしないで開口部を設けて任意開口部として、外袋内であるが内袋外である空間に収納等された物を出し入れが可能となるようにしてもよい。
絞り部30を絞ること、絞りを解除することは面ファスナーの脱着により任意に行うことができる。未使用状態の時において、絞りを解除しておくか否かは、緊急の使用の可能性などを勘案して選択することができる。
【実施例3】
【0030】
収納袋の一態様として、冷凍食品や生鮮食品、箱入りアイス、ボトル入り飲料等を持ち運びするのに便利な、手提げ付きの保冷・保温バッグを例に挙げて説明する。外袋10は、コストやデザイン、衝撃耐久度、形状の安定度、出し入れのしやすさ等を勘案し、一例として発泡樹脂シートと金属蒸着フィルムとを接着した保冷層の外側に、着色等のデザインを施した不織布をミシンで縫い付けて構成した。外袋10を袋体とするに際しては、ミシン縫いにてマチ付きのバッグとなるようにした。ミシン縫いや、外袋素材の合わせ目などは、想定される収納対象物に応じ通気性・通水性の面で支障の出ないよう、漏れ出すことの無いような処理を行う。
【0031】
開口部を防水に配慮したファスナーを設けてこれでとじられるようにして、通気性と通水性のいずれも持たない層を備えかつ外袋の開口部には通気と通水のいずれも防ぎうる密封手段12とし、外袋内に存する固体、液体、気体のいずれをも、外袋外に漏らさずに収納可能としている。なお、特にボトル入り飲料や重さのある物品の運搬を想定するならばボックスタイプバッグを構成し、強度にも配慮し、持ち手を底から縫い付ける、外袋の密封手段は上面(外蓋)の四角形状につき、4辺の内3辺をファスナーで開けるように構成するなどの工夫を行うことが望ましい。さらには、底の構成の仕方、強度などは、後述する接地時の保冷・保温効果や、収納袋を支え持たなくとも開口状態で物品の出し入れをできるようにして設計することもできる。
【0032】
内袋20は、吸水性、吸湿性、柔軟性を有する不織布のみから構成し、吸水、吸湿力を持たせた。内袋20の大きさは外袋の大きさとほぼ同じである。
内袋20には開口部から底面までの間三分の一から四分の一の位置に、内袋を横向きに一周するように紐通し部を設けた上で紐を通し、内袋20を絞る絞り部30としている。なお、絞り方としてここまでゴム、面ファスナー、紐を例示したが、趣旨にあう他の方法、例えばボタンを使用する方法、伸縮素材によって内袋の一部を構成する方法等を選択することも可能である。また、例えば内袋が外袋に比して大きい等の設計により、絞り部を絞っても内袋の両脇は吊り上げられるとしても中央部分などにおいては底部に接したままとなるようなこともある。この場合であっても、二重袋の構造を取っていることにもよって、必要な機能素材を設置する空間を得ることは可能である。
【0033】
内袋20を外袋内に入れ、内袋20と外袋10とをお互いの開口部の位置でそろえて接着できるよう、面ファスナー40を取り付ける。なお、接着の方法は面ファスナーや熱接着等を例示したが、趣旨に合う範囲で別の接着方法をとることも可能であるし、必ずしも着脱自在の接着方法でなければいけないわけでもない。例えばミシン縫いにより接着することも可能であるが、この場合は収納対象予定物に応じ必要な程度水漏れ等の無きよう配慮が必要となることはもちろんである。着脱自在に接着するならばスナップボタンやクリップ等を使用する方法も考えられる。この場合も接着のための部品を取り付けるためにミシン縫いなどが発生するならば収納対象予定物に応じ必要な程度水漏れ等の無きよう配慮が必要となることはもちろんである。また、着脱自在とした場合、内袋のみを別途提供して汚れた場合等の交換用として、外袋はそのままくり返し使用する使い方、さらには、消臭剤等を含浸させた内袋をウェットティシュー等と類する形で提供するとの使い方を取ることもできる。
【0034】
この実施例3においては、内袋の大きさを外袋とほぼ同じものとし、開口部は全周を接着可能としたから、全周で接着している時の内袋は外袋のポケット状態とはなっていないが、面ファスナーによる着脱に応じ、外袋内でありかつ内袋外である空間32に存する衛生処理上の機能素材を設置する部分に設置する機能素材を出し入れ交換するための任意開口部とすることができ、消費済みの除菌消臭剤入れ替えや、増量、別途機能素材投入等のために使用することができる。さらには、例えば内袋20は半周程度を接着するなどして、内袋20をポケットとしたり、バッグ内での部屋分けをしたりといったことも可能である。この場合には併せ内袋20のサイズを適宜小さくするなどの設計をとることも考えられる。また、これにより、水分等を吸収した内袋20を手早く乾燥させたり、内袋20の内残物や汚れを取ったり洗浄したりなどの作業を簡単に行うことが出来る。すなわち、この構成を取った場合には、このようにして内袋20を洗浄、乾燥、その他加工等を施しやすいという効果が期待できる。また、この構成により、面ファスナー40を剥がすことで内袋20の外であって外袋の内側である空間32にアクセスすることができるので、任意にこの空間に保冷剤や消臭剤等の出し入れをすることが出来る。なお、内袋20と外袋10との接着が任意に着脱可能としなくとも、別の開口部を設けて、内袋の外であって外袋の内側である空間にアクセスすることができるように構成してもよい。
【0035】
さらには、荷物が大量になった時などには、内袋20と外袋10との接着を外し、二つの袋としての使用も可能である。この実施例では内袋20の絞り部30は紐により構成しているから、内袋20を単体で使用する際には、巾着袋のように使用することができる。この紐を持ち手となるように構成すると更にこの使用方法に資する。
この実施例3のように、内袋と外袋とを面ファスナーによって接着するとの方法をとった場合においては、特に毛糸等との接着が可能な面ファスナーを外袋に取り付けて、内袋側にはそれに対応する面(毛糸等をロープ状にして取り付け等)を用いることができる。これにより、内袋のみを交換するような使用方法においてはコスト低減効果を得ることができるし、内袋を外袋から取り出して別体の袋として使用するような使用方法においてはデザイン(内袋の外観や手触り等)面における有利な効果を得ることができる。
【0036】
内袋20には上記の通り紐通し部を設けそこに通した紐による絞り部30が備えられているから、収納対象物を収納後、紐を引いて絞ることで、内袋ごと収納対象物が絞られる結果、内袋20と収納対象物とがより密着度合いを増すこととなり、収納対象物に由来する水分をより確実に内袋に吸収させることができ、収納対象物や収納袋が水浸しになること等を効果的に防止することが出来る。また、絞り部30は、吸水吸湿の効果を適切なものとすることが出来るだけでなく、内蓋としての機能を持たせ、内容物の目隠しとなり、また、収納対象物が中で揺れることや飛び出すことを防止することが期待でき、生鮮食品の等の臭気などが漏れ出すことを押さえることも期待できる。
【0037】
また、外袋10の素材や堅さ、外袋と内袋とのサイズ差、収納対象物の大きさや重さ、絞りの程度等に応じ、内袋外壁と外袋内壁との間に、外気と対流しない空気層をもたらすことができ、また、収納袋を置くなどして接地等させた際には、内袋とその内容物が、外袋および空気層を挟むことにより接地点から離れやすくなり、接地点からもたらされる温度変化の影響を受けづらくし、これらにより、いっそうの保温または保冷の効果を得ることが期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の収納袋は、主として衛生面に配慮した処理が求められる収納対象物につき、消臭や除菌などをすると共に、収納対象物及び袋内に発生する水分・臭気等を漏らさずに運搬等を行うことを可能とする衛生処理収納袋として利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
10 外袋
12 密封手段
20 内袋
30 絞り部
32 外袋内でありかつ内袋外である空間
34 衛生処理上の機能素材
図1
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