特許第6670657号(P6670657)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6670657スロットル装置及びスロットル装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670657
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】スロットル装置及びスロットル装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/30 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
   G01B7/30 M
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-73304(P2016-73304)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-181465(P2017-181465A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2019年3月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000141901
【氏名又は名称】株式会社ケーヒン
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(72)【発明者】
【氏名】今井 聖
(72)【発明者】
【氏名】柳橋 香織
【審査官】 眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−145487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00−7/34
G01D 5/00−5/252
G01D 5/39−5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバーが埋設されるカバー部材及び前記バスバーと接続される電子基板を有する回転角度検出装置を備えるスロットル装置であって、
前記電子基板は、前記バスバーとはんだ付けされるバスバー接続部と、前記バスバー接続部から近い位置に設けられる位置決め開口と、前記バスバー接続部から遠い位置に設けられる逃げ側開口とが形成され、
前記カバー部材は、
前記位置決め開口に挿入される位置決め突起部と、
前記逃げ側開口に挿入されると共に、前記位置決め突起部が前記位置決め開口の内壁面に当接するとき、前記逃げ側開口の内壁面との間に間隙が形成される位置に設けられる逃げ側突起部と
を有することを特徴とするスロットル装置。
【請求項2】
前記回転角度検出装置は、スロットル弁の回転角度を検出するインダクタンス式回転角度センサであり、
前記電子基板は、センサ固定子を有する
ことを特徴とする請求項1記載のスロットル装置。
【請求項3】
前記位置決め突起部は、複数形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のスロットル装置。
【請求項4】
前記電子基板は、矩形形状とされ、
前記バスバー接続部は、2つの前記位置決め開口の間であって前記電子基板の一方の短辺に沿って設けられ、
前記逃げ側開口は、前記電子基板の他方の短辺側に沿って形成される
ことを特徴とする請求項3記載のスロットル装置。
【請求項5】
バスバーが埋設されるカバー部材及び前記バスバーと接続される電子基板を有する回転角度検出装置を備えるスロットル装置の製造方法であって、
前記電子基板には、前記バスバーに対してはんだ付けされるバスバー接続部と、前記バスバー接続部から近い位置に設けられる位置決め開口と、前記バスバー接続部から遠い位置に設けられる逃げ側開口とが形成され、
前記カバー部材は、位置決め突起部及び逃げ側突起部を有し、
前記位置決め突起部は、前記位置決め開口の内壁面に当接して挿入された状態で熱カシメにより固定され、
前記逃げ側突起部は、前記逃げ側開口の内壁面との間に間隙を形成して挿入された状態で熱カシメにより固定される
ことを特徴とするスロットル装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットル装置及びスロットル装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スロットル弁を有するスロットル装置には、スロットル弁の姿勢を検出する回転角度検出装置が設けられている。この回転角度検出装置が有する電子基板は、カバー部材に固定されている。回転角度検出装置のカバー部材には、外部接続端子と接続されるバスバーが埋設されている。さらに、このバスバーは、電子基板のバスバー接続部とはんだ付けによって接続される。例えば、特許文献1には、電子基板がカバー部材とリベットにより固定されたインダクタンス式回転角度センサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7275557号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子基板とカバー部材とを固定する方法としては、カバー部材が備える突起部を電子基板の開口に差し込み、突起部の先端を熱により塑性変形させる熱カシメが考えられる。しかしながら、カバー部材と電子基板とでは、熱による膨張率が異なるため、カバー部材に熱が加えられた際には、電子基板とカバー部材との膨張量が異なる。したがって、カバー部材と電子基板との相対位置は、膨張によって、当初の位置から変位する。これにより、バスバーとバスバー接続部との位置がずれることで、バスバー接続部に対して過剰な応力が発生する可能性がある。これに対して、バスバーとバスバー接続部との間をワイヤーボンディングやキンク加工を行って接続することにより、バスバー接続部における応力を緩和させることがある。しかしながら、ワイヤーボンディングやキンク加工は、作業が複雑であり、工数の増加の原因となる。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、スロットル装置の回転角度検出装置において、バスバー接続部における応力の発生をより簡易な方法で抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、スロットル装置に係る第1の手段として、バスバーが埋設されるカバー部材及び上記バスバーと接続される電子基板を有する回転角度検出装置を備えるスロットル装置であって、上記電子基板は、上記バスバーとはんだ付けされるバスバー接続部と、上記バスバー接続部から近い位置に設けられる位置決め開口と、上記バスバー接続部から遠い位置に設けられる逃げ側開口とが形成され、上記カバー部材は、上記位置決め開口に挿入される位置決め突起部と、上記逃げ側開口に挿入されると共に上記位置決め突起部が上記位置決め開口の内壁に当接するとき上記逃げ側開口の内壁面との間に間隙が形成される位置に設けられる逃げ側突起部とを有する、という構成を採用する。
【0007】
スロットル装置に係る第2の手段として、上記第1の手段において、上記回転角度検出装置は、スロットル弁の回転角度を検出するインダクタンス式回転角度センサであり、上記電子基板は、センサ固定子を有する、という構成を採用する。
【0008】
スロットル装置に係る第3の手段として、上記第1または第2の手段において、上記位置決め突起部は、複数形成されている、という構成を採用する。
【0009】
スロットル装置に係る第4の手段として、上記第3の手段において、上記電子基板は、矩形形状とされ、上記バスバー接続部は、2つの上記位置決め開口の間であって上記電子基板の一方の短辺に沿って設けられ、上記逃げ側開口は、上記電子基板の他方の短辺側に沿って形成される、という構成を採用する。
【0010】
スロットル装置の製造方法に係る第1の手段として、バスバーが埋設されるカバー部材及び上記バスバーと接続される電子基板を有する回転角度検出装置を備えるスロットル装置の製造方法であって、上記電子基板は、上記バスバーに対してはんだ付けされるバスバー接続部と、上記バスバー接続部から近い位置に設けられる位置決め開口と、上記バスバー接続部から遠い位置に設けられる逃げ側開口とが形成され、上記カバー部材は、位置決め突起部及び逃げ側突起部を有し、上記位置決め突起部は、上記位置決め開口の内壁面に当接して挿入された状態で熱カシメにより固定され、上記逃げ側突起部は、上記逃げ側開口の内壁面との間に間隙を形成して挿入された状態で熱カシメにより固定されるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、位置決め開口とバスバー接続部との距離が近く設定されている。また、位置決め突起部が位置決め開口の内壁に当接した状態において、逃げ側突起部は、逃げ側開口の内壁との間に間隙が形成された状態となる。すなわち、逃げ側突起部は、逃げ側開口の内部において移動可能である。これにより、カバー部材は、熱を加えられた際に、位置決め突起部の位置決め開口に当接している部位を中心として膨張することができ、バスバー接続部とバスバーとの位置の変位を抑制することができる。したがって、カバー部材が膨張した際に、バスバー接続部における応力の発生をより簡易な方法で抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るスロットル装置の断面図である。
図2】本発明の一実施形態における電子基板及びカバー部材を示す分解上面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るスロットル装置の電子基板及びカバー部材の一部を含む拡大図である。
図4】本発明の一実施形態に係るスロットル装置の変形例における位置決め突起部及び電子基板の一部を含む拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係るスロットル装置の一実施形態について説明する。お、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。図1は、本実施形態に係るスロットル装置1の断面図である。
【0014】
本実施形態に係るスロットル装置1は、自動車等の吸気マニホールドに対して取り付けられており、エンジンに供給される空気量を調整する機構である。このスロットル装置1は、図1に示すように、ボディ2、弁軸3、スロットル弁4、モータ5、ギア機構6及び回転角度検出装置7を備えている。ボディ2は、吸気通路2aが形成され、弁軸3、スロットル弁4、モータ5を収容している。吸気通路2aは、略円柱形の空洞であり、吸気マニホールドに連通している。この吸気通路2aは、内部に空気が流通している。
【0015】
弁軸3は、図1に示すように、吸気通路2aを横断するように設けられた略円柱状の細長部材であり、軸受により回転可能に支持されている。さらに、弁軸3は、ギア機構6に接続されている。このような弁軸3は、スロットル弁4を支持する部材である。
【0016】
スロットル弁4は、中心を通る位置で弁軸3に固定された円形の平板状の部材である。このようなスロットル弁4は、弁軸3を回転軸として回転されることにより、吸気通路2aの吸気量を変化させるバタフライ型のスロットル弁である。
【0017】
モータ5は、ECU(Engine Control Unit)と接続されており、スロットル弁4を回転駆動させる装置である。このモータ5が有する回転軸5aは、ギア機構6と接続されている。ギア機構6は、複数のギアにより構成された機構である。このギア機構6は、これらの複数のギアが連動し、接続部材3bを介してモータ5の回転軸5aの回転運動を弁軸3へと伝達している。
【0018】
回転角度検出装置7は、ボディ2に対して固定され、弁軸3の回転角度を検出する装置である。この回転角度検出装置7は、センサ回転子7a、電子基板7b及びカバー部材7cを有している。センサ回転子7aは、弁軸3の端部に固定された磁石であり、弁軸3の回転に伴って、弁軸3を回転軸として回転する。
【0019】
図2は、本実施形態における電子基板7b及びカバー部材7cを示す分解上面図である。また、図3は、本実施形態に係るスロットル装置1の電子基板7b及びカバー部材7cの一部を含む拡大図である。電子基板7bは、図2に示すように、矩形形状をしており、カバー部材7cに配置されている。この電子基板7bは、センサ固定子7b1と、バスバー接続部7b2とを有し、位置決め開口7b3及び逃げ側開口7b4が形成されている。
【0020】
このセンサ固定子7b1は、電子基板7bに設けられ、非接触状態でセンサ回転子7aの磁力を検出するセンサである。バスバー接続部7b2は、電子基板7bの一方の短辺の縁部に沿って形成されたスルーホールである。このバスバー接続部7b2には、カバー部材7cに埋設された不図示のバスバーの端子が挿入され、はんだ付けされている。
【0021】
位置決め開口7b3は、電子基板7bの角部であって、バスバー接続部7b2を挟んで両側に形成されている。すなわち、位置決め開口7b3は、逃げ側開口7b4よりもバスバー接続部7b2から近い位置に形成されている。逃げ側開口7b4は、バスバー接続部7b2が形成された側の短辺と対向する短辺に沿って角部に形成されている。すなわち、逃げ側開口7b4は、位置決め開口7b3よりもバスバー接続部7b2から遠い位置に形成されている。また、この逃げ側開口7b4の径は、位置決め開口7b3と等しく設定されている。
【0022】
カバー部材7cは、樹脂製の電子基板7bが配設される凹部を有する部材であり、図1に示すように、ボディ2に対して固定されている。このカバー部材7cは、図2に示すように、平面視において縦方向に長い縦長形状とされている。さらに、カバー部材7cは、2か所の位置決め突起部7c1と、2か所の逃げ側突起部7c2と、ボディ固定孔7c3とがそれぞれ形成されている。また、カバー部材7cには、バスバー接続部7b2とはんだ付けされ、ECU等の外部接続端子と接続された不図示のバスバーが埋設されている。
【0023】
2か所の位置決め突起部7c1は、カバー部材7cに形成された凹部の底面から垂直に突出した円柱状の突起であり、電子基板7bの位置決め開口7b3に、位置決め開口7b3の内壁面に対して一部が当接した状態でそれぞれ挿入される。なお、位置決め突起部7c1は、図3に示すように、位置決め開口7b3に対して径が小さく形状設定されており、位置決め開口7b3の内壁面に対して一部に間隙が形成された状態である。この位置決め突起部7c1は、位置決め開口7b3に挿入された状態で、熱により塑性変形される。
【0024】
逃げ側突起部7c2は、カバー部材7cに形成された凹部の底面から垂直に突出した円柱状の突起であり、逃げ側開口7b4にそれぞれ挿入される。また、逃げ側突起部7c2は、図3に示すように、逃げ側開口7b4に対して挿入されている部位の径が、逃げ側開口7b4の径よりも小さく形状設定されている。このような逃げ側突起部7c2は、図3に示すように、位置決め突起部7c1の側面の一部が位置決め開口7b3の内壁面に対して当接した状態のときに、逃げ側開口7b4の内壁面との間に間隙が形成された状態となる位置に設けられている。この逃げ側突起部7c2は、逃げ側開口7b4に挿入された状態で、熱により塑性変形される。
【0025】
本実施形態において熱カシメとは、電子基板7bから突出した位置決め突起部7c1及び逃げ側突起部7c2の端部を加熱し、さらに加圧することにより、塑性変形させる工程を示している。位置決め突起部7c1及び逃げ側突起部7c2の端部は、この熱カシメを行うことにより、位置決め開口7b3及び逃げ側開口7b4の径よりも大きくなる。このため、電子基板7bは、位置決め突起部7c1及び逃げ側突起部7c2の突出方向への移動を規制される。
【0026】
ボディ固定孔7c3は、カバー部材7cの縁部に沿って6カ所に形成されているネジ孔である。カバー部材7cは、このボディ固定孔7c3に挿入されたネジにより、センサ回転子7aと、センサ固定子7b1とが対向する位置においてボディ2に固定されている。
【0027】
このような回転角度検出装置7は、弁軸3に伴って回転するセンサ回転子7aの磁力の変位を、非接触でセンサ固定子7b1が検出し、ECU等に入力するインダクタンス式回転角度センサである。
【0028】
このような本実施形態に係るスロットル装置1の回転角度検出装置7の製造方法を説明する。なお、以下の説明においては、カバー部材7cと電子基板7bとの組立方法について説明する。
【0029】
まず、カバー部材7cの位置決め突起部7c1及び逃げ側突起部7c2が、位置決め開口7b3及び逃げ側開口7b4にそれぞれ挿入されるように、カバー部材7cに対して電子基板7bが取り付けられる。電子基板7bは、2か所の位置決め突起部7c1が、それぞれ対応する位置決め開口7b3の内壁面に対して、当接した状態とされる。このとき、逃げ側突起部7c2は、逃げ側開口7b4の内壁面に対して当接せず、間隙が形成された状態となる。さらに、バスバー接続部7b2には、カバー部材7cのバスバーの端子が挿入され、はんだ付けが行われる。
【0030】
次に、位置決め突起部7c1は、電子基板7bから突出した端部を、加熱されつつ加圧され、塑性変形される。これにより、電子基板7bの位置決め開口7b3の周囲は、カバー部材7cの表面と、塑性変形された位置決め突起部7c1の端部とに挟持された状態となる。
【0031】
続いて、逃げ側突起部7c2は、電子基板7bの表面から突出した端部を熱カシメにより、位置決め突起部7c1と同様に塑性変形される。これにより、電子基板7bの逃げ側開口7b4の周囲は、カバー部材7cの表面と、逃げ側突起部7c2の塑性変形された端部とにより、挟持された状態となる。位置決め突起部7c1の端部及び逃げ側突起部7c2の端部に熱カシメが施されることにより、電子基板7bは、位置決め突起部7c1及び逃げ側突起部7c2の突出方向に向けて移動することがない。
【0032】
次に、弁軸3の接続部材3bに、センサ回転子7aが取り付けられる。さらに、電子基板7bが固定されたカバー部材7cは、センサ回転子7aとセンサ固定子7b1とが対向するように位置合わせされ、ボディ2に対してネジにより固定される。
【0033】
このような本実施形態に係るスロットル装置1によれば、位置決め突起部7c1が位置決め開口7b3の内壁面に当接した状態のとき、逃げ側突起部7c2は、逃げ側開口7b4の内壁面との間に間隙が形成された状態である。これにより、逃げ側突起部7c2は、逃げ側開口7b4の内側において、該逃げ側突起部7c2の突出方向に垂直な方向において移動可能である。自動車等のエンジンから発生する熱が伝わることによって、カバー部材が膨張した場合であっても、カバー部材7cは、位置決め開口7b3に当接した部位は変位することがなく、該部位を中心として膨張することとなる。これにより、バスバー接続部7b2の周囲におけるカバー部材7cの膨張量は小さくなり、バスバーとバスバー接続部7b2との位置の変位が小さくなる。したがって、バスバー接続部7b2における応力の発生をより簡易な方法で抑止することができる。
【0034】
また、本実施形態に係るスロットル装置1によれば、位置決め開口7b3は、バスバー接続部7b2を挟んで2か所に形成されている。これにより、カバー部材7cに熱を加えられた際に、2か所の位置決め突起部7c1は、膨張により移動することがない。したがって、バスバーとバスバー接続部7b2との位置の変位がより小さくなり、これによっても、バスバー接続部7b2における応力の発生をより抑止することができる。
【0035】
また、カバー部材7cは、図2における縦方向に長い部材であるため、長手方向における膨張量が大きい。これに対して、2か所の位置決め開口7b3が電子基板7bの一方の短辺に沿って形成されており、2か所の逃げ側開口7b4が該短辺と対向する短辺に沿って形成されている。このため、逃げ側突起部7c2が逃げ側開口7b4内で移動することができ、カバー部材7cの長手方向における膨張により、電子基板7b及びバスバー接続部7b2に応力が発生することを効果的に抑止することができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)図4は、上記実施形態に係るスロットル装置1の変形例における位置決め突起部7c1及び電子基板7bの一部を含む拡大図である。図4に示すように、位置決め突起部7c1は、周面から径方向に突出する複数のリブ7c4を有するものとしてもよい。この場合、位置決め突起部7c1は、位置決め開口7b3の内壁面に2か所のリブ7c4が当接した状態で、熱加工が行われる。これにより、位置決め突起部7c1の周囲は、カバー部材7cの短手方向への膨張を抑制することができる。したがって、バスバー接続部7b2における応力の発生をさらに抑止することができる。また、位置決め突起部7c1は、リブ7c4を周面に設けることにより剪断方向における強度を確保することができる。
【0037】
(2)また、上記実施形態において、位置決め突起部7c1は、円柱形状とされたが、本発明はこれに限定されない。位置決め突起部7c1は、カバー部材7cの凹部の底面に垂直な方向から見て、Y字形状、または十字形状の突起としてもよい。
【0038】
(3)また、上記実施形態において、位置決め開口7b3及び逃げ側開口7b4は、それぞれ2か所ずつ設けられるものとしたが、本発明はこれに限定されない。位置決め開口7b3は、1か所のみ形成されるものとしてもよい。また、逃げ側開口7b4は、3か所以上形成されるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1……スロットル装置、7……回転角度検出装置、7b……電子基板、7b1……センサ固定子、7b2……バスバー接続部、7b3……位置決め開口、7b4……逃げ側開口、7c……カバー部材、7c1……位置決め突起部、7c2……逃げ側突起部
図1
図2
図3
図4