特許第6670668号(P6670668)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670668
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】切替開閉器
(51)【国際特許分類】
   H01H 21/12 20060101AFI20200316BHJP
   H01H 21/30 20060101ALN20200316BHJP
【FI】
   H01H21/12 B
   !H01H21/30
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-84681(P2016-84681)
(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公開番号】特開2017-195091(P2017-195091A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和記
(72)【発明者】
【氏名】張 平平
(72)【発明者】
【氏名】服部 太輔
【審査官】 内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−207563(JP,A)
【文献】 特開2015−195088(JP,A)
【文献】 特開2001−210185(JP,A)
【文献】 特開2016−039755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 19/00 〜 21/88
H01H 69/00 〜 69/01
H01H 71/00 〜 83/22
H02B 1/40 〜 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング上面に配置された操作ハンドルを前方と後方の間で傾倒操作することで、ハウジング内に配置された可動接点が、ハウジング内の前記可動接点の前後に配置された一対の固定接点の間で選択傾倒して何れか一方に接触して、前記可動接点の接続先を切り替える切替開閉器であって、
一方の固定接点に接続された第1回路接続端子と、他方の固定接点に接続された第2回路接続端子とが前記操作ハンドルに対して前記ハウジングの前方に配置される一方、
前記可動接点に接続された第3回路接続端子は、分岐ブレーカのプラグイン式の一次側端子の接続を可能とする銅バー型端子であって、前記ハウジングの背面に配置されてなることを特徴とする切替開閉器。
【請求項2】
前記第1〜第3回路接続端子、前記可動接点、及び前記一対の固定接点は、3連で構成されて単相3線式電路に対応し、
前記第3回路接続端子を構成する3本の前記銅バー型端子は、上下に重なるように配置され、それぞれ幅広に形成されて複数の前記分岐ブレーカを隣接して連結可能としたことを特徴とする請求項1記載の切替開閉器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの回路に対して2系統の回路のうちの一方の回路を選択して接続する切替開閉器に関する。
【背景技術】
【0002】
停電発生時に、非常用電灯や冷蔵庫等の特定の電気機器の電源を商用電源から蓄電池等の分散電源に切り替えることで、停電発生による障害や被害の発生を削減できる分電盤がある。例えば特許文献1では、切替開閉器を分電盤内に設置して停電が発生したら特定の電気機器を商用電源から蓄電池等の分散電源に切り替え可能とし、引き続き稼働させることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−39755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された分電盤は、商用電源と分散電源との双方に接続される特定の負荷に対して、切替開閉器により電源を切り替えるよう構成されており、切替開閉器及びその二次側電路の配線のための広い設置スペースを必要とした。
そのため、分電盤が大型なものとなったし、場合によっては商用電源専用の回路と、商用電源と分散電源の双方から電源が供給できる特定負荷回路とで分離した分電盤ケースに収容された。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、商用電源と蓄電池等の分散電源との間の切り替えを行う回路を狭いスペースで形成できる切替開閉器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、ハウジング上面に配置された操作ハンドルを前方と後方の間で傾倒操作することで、ハウジング内に配置された可動接点が、ハウジング内の可動接点の前後に配置された一対の固定接点の間で選択傾倒して何れか一方に接触して、可動接点の接続先を切り替える切替開閉器であって、一方の固定接点に接続された第1回路接続端子と、他方の固定接点に接続された第2回路接続端子とが操作ハンドルに対してハウジングの前方に配置される一方、可動接点に接続された第3回路接続端子は、分岐ブレーカのプラグイン式の一次側端子の接続を可能とする銅バー型端子であって、ハウジングの背面に配置されてなることを特徴とする。
この構成によれば、切替開閉器に分岐ブレーカを直接連結可能なため、切替開閉器から分岐ブレーカまでの二次側電路の配設が必要なくなり、切替開閉器設置に伴う配電路スペースを大幅に削減できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、第1〜第3回路接続端子、可動接点、及び一対の固定接点は、3連で構成されて単相3線式電路に対応し、第3回路接続端子を構成する3本の銅バー型端子は上下に重なるように配置され、それぞれ幅広に形成されて複数の分岐ブレーカを隣接して連結可能としたことを特徴とする。
この構成によれば、単相3線式電路を引き込んで分岐する住宅用分電盤に省スペースで切替開閉器を組み付けできるし、複数の分岐ブレーカを直接接続できるため、設置スペースを大幅に削減できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、切替開閉器に分岐ブレーカを直接連結可能なため、切替開閉器から分岐ブレーカまでの二次側電路の配設が必要なくなり、切替開閉器設置に伴う配電路スペースを大幅に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る切替開閉器の一例を示す斜視図であり、接続される分岐ブレーカを加えて示している。
図2】切替開閉器の平面図であり、接続される分岐ブレーカを加えて示している。
図3】内部回路図である。
図4】A−A線断面図である。
図5】B−B線断面図である。
図6】C−C線断面図である。
図7】切替開閉器を一方に接続操作した状態のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1の斜視図、図2の平面図は本発明に係る切替開閉器の一例を示し、二次側に接続される分岐ブレーカ(特定分岐ブレーカ)を加えて示している。1が切替開閉器、2が分岐ブレーカであり、単相3線式電路に使用される構成を示している。尚、図1図2とは左右を反転して示している。
切替開閉器1は、ハウジング10の上面に切替操作する操作ハンドル11が配置され、ハウジング10の前方(図1に示す左側)に後述する一対の固定接点7のうちの一方の固定接点7Aに接続された第1回路接続端子12(第1電圧極端子12a,中性極端子12b,第2電圧極端子12c)、及び他方の固定接点7Bに接続された第2回路接続端子13(第1電圧極端子13a,中性極端子13b,第2電圧極端子13c)が配置され、ハウジング10の背面(図1に示す右側)には後述する可動接点5に接続されている第3回路接続端子14(第1電圧極端子14a,中性極端子14b,第2電圧極端子14c)が配置されている。また、5は端子を保護する端子カバーである。
【0011】
第1及び第2回路接続端子12,13は、ネジ6により図示しないケーブルを連結固定するネジ式端子であり、左右方向にそれぞれ3個連設され、図2に示すように第1電圧極端子12a,13a、中性極端子12b,13b、第2電圧極端子12c,13cの順で配置されている。一方、第3回路接続端子14は、それぞれの端子が横長の銅バー型端子であり、上下方向に3本の銅バー型端子が並べて配置され、上から中性極端子14b,第1電圧極端子14a,第2電圧極端子14cと配置されている。この第3回路接続端子14の銅バー型端子は、幅広に形成され、複数の分岐ブレーカ2を隣接して接続できるよう形成されている。
【0012】
分岐ブレーカ2は概略を示し、開閉操作する操作レバーや二次側端子は省略してある。但し、一次側端子21は、図1に示すように分岐ブレーカ2の背面(図1に示す左側)において横方向に切り欠きを設けて形成されたプラグイン式の端子であり、水平方向に配置された銅バー型端子(第3回路接続端子14)を上下から挟持して接続する構造となっている。また、一次側端子21は3端子で構成され、上から中性極端子21b、第1電圧極端子21a、第2電圧極端子21cと配列され、切替開閉器1の第3回路接続端子14に直接接続可能に、即ち互いの背面同士が連結可能に構成されている。
【0013】
図3は切替開閉器1の内部回路図である。図3に示すように、各接続端子12(12a〜12c),13(13a〜13c),14(14a〜14c)は3連で構成されている。そして第3回路接続端子14は、操作ハンドル11の操作により、第1回路接続端子12と第2回路接続端子13の間で切り替え接続を実施し、接続されない中立の開放状態を含めて3姿勢を選択可能となっている。
具体的に、停電時に電源を商用電源から蓄電池に切り替える回路に切替開閉器1が使用される場合、第3回路接続端子14に分岐ブレーカ(特定分岐ブレーカ)2を介して負荷(特定負荷)が接続された回路が接続され、第1回路接続端子12に商用電源が接続された商用電源回路が接続される。そして、第2回路接続端子13に漏電ブレーカを介して蓄電池を備えた蓄電池系統回路が接続され、操作ハンドル11の操作により電源の切り替えが成される。尚、商用電源回路と蓄電池系統回路の接続は逆であっても良い。
【0014】
図4〜7は切替開閉器1を異なる部位で切断した断面図であり、以下この図を参照して内部構造及び動作を説明する。図4図2のA−A線断面図であり、3つの第1電圧極端子12a,13a,14aの内部接続構造を示している。
図4に示すように、ハウジング10内には可動接点15を前後両側に備えた可動接触子16が操作ハンドル11の下部で垂下するように配置され、その前後に一対の固定接点17(17Aa,17Bb)が配置されている。可動接点15は、可動接触子16a、可動接触子16aに接続された可撓導線18を介して第3回路接続端子14の第1電圧極端子14aに接続され、後方に配置された一方の固定接点17Aaは銅バー7aを介して第1回路接続端子12の第1電圧極端子12aに接続され、前方に配置された他方の固定接点17Baは銅バー7bを介して第2回路接続端子13の第1電圧極端子13aに接続されている。
【0015】
図5はB−B線断面図であり、3つの中性極端子12b,13b,14bの内部接続構造を示している。図5に示すように、可動接点5を備えた可動接触子16bが操作ハンドル11の下部で垂下するように配置され、その前後に一対の固定接点17(17Ab、17Bb)が配置されている。
そして、上述した第1電圧極の端子構造と同様に、可動接点15は可動接触子16b、可撓導線18を介して第3回路接続端子14の中性極端子14bに接続されている。そして、後方に配置された一方の固定接点17Abは銅バー7aを介して第1回路接続端子12の中性極端子12bに接続され、前方に配置された他方の固定接点17Bbは銅バー7bを介して第2回路接続端子13の中性極端子13bに接続されている。
【0016】
更に、図6はC−C線断面図であり、3つの第2電圧極端子12c,13c,14cの内部接続構造を示している。図6に示すように、可動接点15を備えた可動接触子16cが操作ハンドル11の下部で垂下するように配置され、その前後に一対の固定接点17(17Ac,17Bc)が配置されている。
そして、上述した第1電圧極の構造と同様に、可動接点15は可動接触子16c、可撓導線18を介して第3回路接続端子14の第2電圧極端子14cに接続されている。そして、後方に配置された一方の固定接点17Acは銅バー7aを介して第1回路接続端子12の第2電圧極端子12cに接続され、前方に配置された他方の固定接点17Bcは銅バー7bを介して第2回路接続端子13の第2電圧極端子13cに接続されている。
【0017】
このように構成された切替開閉器1は以下のように切り替えが行われる。可動接触子16は、操作ハンドル11の操作で前後に回動するよう構成され、操作ハンドル11を前方に傾倒すると可動接触子16も前方に回動するし、操作ハンドル11を後方に傾倒すると後方に回動する。この結果、操作ハンドル11の操作で、可動接点15は一方の固定接点17に選択接続される。例えば、操作ハンドル11を図2に示す右側(前方)に傾倒すると、可動接触子5は前方の固定接点17Bに接触して第2回路接続端子13と第3回路接続端子14とが接続される。図7は、この接続状態,即ち操作ハンドル11を前方に傾倒した状態のC−C線断面図である。
【0018】
このように、切替開閉器1に分岐ブレーカ2を直接連結できるため、切替開閉器1から分岐ブレーカ2までの二次側電路の配設が必要なくなり、切替開閉器1の設置に伴う配電路の設置スペースを大幅に削減できる。
また、単相3線式電路を引き込んで分岐する住宅用分電盤に組み付けて複数の分岐ブレーカ2を連結できるため、電力の切り替えができる分岐電路が複数であっても、切替開閉器1の設置に伴う配電路の設置スペースを大幅に削減できる。
【0019】
尚、上記実施形態は単相3線式電路に使用する構成を示したが、三相3線式電路に対しても適用できるし、単相2線式電路に対しても適用できるものである。
【符号の説明】
【0020】
1・・切替開閉器、2・・分岐ブレーカ、10・・ハウジング、11・・操作ハンドル、12・・第1回路接続端子、13・・第2回路接続端子、14・・第3回路接続端子、15・・可動接点、16・・可動接触子、17・・固定接点、21・・一次側端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7