(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理実行部は、前記受信部で受信された処理識別情報が、前記記憶部に記憶されている処理識別情報と一致しない場合には、前記受信部による前記画像データの受信を拒否すること
を特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(構成の説明)
図1は、実施の形態に係る画像形成システム100の概略図である。
画像形成システム100は、上位装置としてのモダリティ110と、情報処理装置120と、画像形成装置130とを備える。
モダリティ110、情報処理装置120及び画像形成装置130は、ネットワーク101に接続されている。
【0011】
モダリティ110は、医用画像データをDICOM規格に従ってデータを作成した後、予め指定したシステム又は画像形成装置に、DICOM標準インターフェースに従って送信できる装置である。モダリティ110は、例えば、超音波診断装置(Echography)又はコンピュータ断層装置(CT)等である。
【0012】
情報処理装置120は、HTTP(HyperText Transfer Protocol)に従って送信されるデータを表示できるWebブラウザを具備する。
【0013】
図2は、画像形成装置130の実装モデル図である。
画像形成装置130は、DICOM標準インターフェース10を介して、Print SCU11から、画像データ及び印刷パラメータ(画像形成パラメータ)を含む印刷要求(画像形成要求)を受信し、印刷(画像形成)を行うサービス14を提供する。
また、画像形成装置130は、DICOM標準インターフェース10を介して、Storage SCU12からの保存要求(画像データ、検査情報又は患者情報等)を受信し、AET(Application Entity Title)の設定に基づいて印刷を行うサービス15を提供する。
さらに、画像形成装置130は、DICOM標準インターフェース10を介して、Verification SCU13からの接続検証要求を受信し、接続検証を行うサービス16を提供する。
【0014】
図3は、画像形成装置130の構成を概略的に示すブロック図である。
画像形成装置130は、通信部131と、記憶部132と、画像形成部としての印刷部133と、制御部140とを備える。
ここで、制御部140及び印刷部133は、上位装置から要求される第1の処理の代わりに、上位装置から送られてくる処理識別情報に対応する処理内容に従って、画像データに基づいて第2の処理を実行する処理実行部として機能する。本実施の形態では、第1の処理は、データを保存する処理であり、第2の処理は、媒体に画像を形成する処理である。
【0015】
通信部131は、TCP/IPネットワーク101を通じてモダリティ110及び情報処理装置120と、TCP/IPプロトコルにて通信を行う。例えば、通信部131は、モダリティ110から、第2の処理の処理内容に対応する処理識別情報、画像データ及びデータの保存処理の要求を受信する受信部として機能する。そして、通信部131は、接続要求を受けたPort番号により処理を振り分ける。
記憶部132は、画像形成装置130での処理に必要なデータを記憶する。例えば、記憶部132は、媒体に画像を形成する処理の処理内容を処理識別情報に対応付けて記憶する。
印刷部133は、制御部140で処理された印刷ジョブ(画像形成ジョブ)を処理し、印刷(画像形成)を行う。
【0016】
制御部140は、画像形成装置130での処理を制御する。
制御部140は、Webサーバ部141と、AET設定部142と、PDU解析部143と、A−ASSOCIATE−RQ処理部144と、P−DATA−TF処理部145と、DIMSE解析部146と、コマンド処理部147と、画像形成ジョブ生成部としての印刷ジョブ生成部148と、A−RELEASE−RQ処理部149と、印刷ジョブ受信部150とを備える。
【0017】
Webサーバ部141は、通信部131を介して情報処理装置120のWebブラウザにHTTPにてWebサービスを提供する。
図3に示されているように、Webサーバ部141には、ポート番号80が割り当てられており、ポート番号80を指定するデータは、通信部131で受信された後、Webサーバ部141に与えられる。
AET設定部142は、Webサーバ部141を介して、AETに関する設定を行う。
【0018】
PDU解析部143は、通信部131を介してモダリティ110からDICOM標準インターフェース10にて送信されたデータを受信し、データ中に含まれるPDU(Protocol Data Unit)を解析して、その解析結果に応じて、次処理に処理を振り分ける。
A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、PDU解析部143から与えられたA−ASSOCIATE−RQ(アソシエーション確立要求)の内容を確認し、その確認結果に応じて、その応答を、通信部131を介して要求元のモダリティ110に送信する。
【0019】
P−DATA−TF処理部145は、PDU解析部143から与えられたP−DATA−TF(DICOMメッセージ交換)の内容を確認し、その確認結果に応じて、次処理に処理を引き継ぐ。
DIMSE解析部146は、P−DATA−TF処理部145から与えられたDICOMメッセージ中から、DIMSE(DICOM Message Service Element)を解析し、そのコマンドを取得する。
コマンド処理部147は、DIMSE解析部146で取得されたDIMSEの各コマンドを処理し、通信部131を介して、その応答を要求元のモダリティ110に送信する。
【0020】
印刷ジョブ生成部148は、モダリティ110から送信され、コマンド処理部147により内部保存された画像データに基づいて、PDL(Page Description Language)を用いて印刷ジョブを生成する。
A−RELEASE−RQ処理部149は、PDU解析部143から与えられたA−RELEASE−RQ(アソシエーション開放要求)の内容を確認して、その確認結果に応じて、その応答を、通信部131を介して要求元のモダリティ110に送信する。
印刷ジョブ受信部150は、通信部131を介して、情報処理装置120においてプリンタドライバで作成された印刷ジョブを受信し、それを次処理に引き継ぐ。
【0021】
(動作の説明)
従来、医療画像診断(レントゲン写真等)は、フィルム等のアナログ画像を用いて行なわれていた。しかしながら、今日では、デジタル画像データと、患者情報及び撮影日等の付随情報とから構成される業界標準のDICOM規格準拠のデータを作成し、DICOM規格に従って、ネットワーク経由で送受信し、そのデータを高解像度モニターに表示して診断を行う方式が主流となってきている。
【0022】
この方式では、モダリティ110で撮影した画像データは、画像保存通信システム(PACS:Picture Archiving AND Communication SYSTEMS)に送信(保存)され、モダリティ110又はDICOM規格準拠の画像閲覧プログラム(ビューワ)にて、必要に応じて取得される。
以上のような方式において、モダリティ110側に求められる機能は、撮影された画像データを送信できること(Storage SCU)であり、コスト低減のためこの機能のみ実装されているモダリティ110も存在する。
【0023】
他方、インフォームドコンセントの一般化に伴う説明資料、又は、医療現場のカンファレンスに用いる会議資料として医用画像データを印刷する運用も存在する。
このような場合、モダリティ110に画像データを印刷要求する機能(Print SCU)が実装されていれば、モダリティ110の操作で印刷要求を行えばよいが、実装されていない場合はPACSに画像データを送信した後、PACSの端末を操作して印刷要求を行うことになる。
【0024】
この運用では、画像データをPACSに保存することを前提としているため、PACSが故障又はメンテナンス等の理由により停止、PACSがシステム上に存在しない、又は、PACSで保存できる容量が少ない場合は、撮影された画像データを印刷することができない。また、モダリティ110とPACSとで各一回ずつ2回操作が必要になるため手間がかかる。
そこで、本件は、このような問題に対処するため、Storage SCUから、予め設定されているAETを指定して画像データを画像形成装置130に送信することで、画像形成装置130は、そのAETの設定時に特定されたフォーマットにて、印刷ジョブを生成して、その印刷を行うことができる。さらに、画像形成装置130は、従来のPrint SCUからの要求を受けた場合には、要求されたフォーマットにて印刷ジョブを生成し、印刷を行うことができる。
【0025】
次に、AETの設定について説明する。
SCUがSCP(Service Class Provider)にDICOM規格で接続する際に、SCPで提供するAETを指定して要求を行う。本実施の形態では、情報処理装置120は、Webブラウザから画像形成装置130のWebサーバ部141で提供するURLにアクセスすることで、SCPが提供するAETの情報を予め設定することができる。
【0026】
図4は、本実施の形態におけるAET設定画面160を示す概略図である。
AET設定画面160では、AETに特化した情報の設定が行われる。
AET設定画面160は、AET名入力欄161と、Store To Print設定入力欄162と、Save入力欄163とを有する。
【0027】
AET名入力欄161は、AETを識別するための処理識別情報であるAET名の入力を受ける欄である。AET名は、任意の文字列である。AETを複数保持する場合は、AET名は、画像形成装置130内でユニークな名称とする。
Store To Print設定入力欄162は、Storage SCUから、AET名入力欄161に入力されたAET名を指定して要求を受けた際に用いられる処理内容である印刷設定(画像形成設定)を入力する欄である。Storage SCUは、目的が画像データの送信(保存)であるため、Print SCUとは異なり印刷するために必要な各種パラメータを送信しない。そのため、Storage SCUから要求を受けた際に適用されるパラメータを予め設定しておく。
本実施の形態では、Store To Print設定入力欄162は、トレイ選択欄162aと、用紙サイズ選択欄162bと、コピー数選択欄162cと、境界フレーム色選択欄162dと、空きフレーム色選択欄162eと、レイアウト選択欄162fとを有する。これらの欄162a〜162fにより、本実施の形態のStore To Print設定入力欄162では、印刷設定として、トレイ、用紙サイズ、コピー数、境界フレーム色、空きフレーム色及びレイアウトを特定することができる。なお、特定することのできる印刷設定は、これらに限定されるものではない。
【0028】
トレイ選択欄162aでは、印刷に使用する媒体を格納した用紙トレイが選択される。
用紙サイズ選択欄162bは、トレイ選択欄162aでMP(Multi−Purpose)トレイが選択された際に有効となる項目であり、用紙サイズ選択欄162bでは、MPトレイにセットする媒体のサイズが選択される。
コピー数選択欄162cでは、印刷する部数が選択される。
境界フレーム色選択欄162dでは、レイアウト選択欄162fで選択されるレイアウトにより1ページに複数の画像が割り当てられた際に、画像間の境界を黒及び白の何れにするかが選択される。
境界フレーム色選択欄162dで黒が選択された場合には、
図5(A)に示されているように、画像間の境界b1が黒で印刷される。境界フレーム色選択欄162dで白が選択された場合には、
図5(B)に示されているように、画像間の境界b2が白で印刷される。
【0029】
図4に戻り、空きフレーム色選択欄162eでは、レイアウト選択欄162fで選択されるレイアウトにより1ページに複数の画像が割り当てられた際に、割り当てられた画像がない空きフレームを白及び黒の何れにするかが選択される。
空きフレーム色選択欄162eで黒が選択された場合には、
図6(A)に示されているように、空きフレームf1が黒で印刷される。空きフレーム色選択欄162eで白が選択された場合には、
図6(B)に示されているように、空きフレームf2が白で印刷される。
【0030】
図4に戻り、レイアウト選択欄162fでは、1ページに割り当てる画像のレイアウトが選択される。レイアウト選択欄162fでは、1ページに割り当てる画像のレイアウトを、「STANDARD」の文字と、「¥」の記号と、「Column,Row」の数値とで構成されるフォーマットで示している。
図7(A)〜(G)は、レイアウト選択欄162fで選択することのできるレイアウト例を示す概略図である。
図7(A)は、1ページに1個の画像を割り当てたフォーマットSTANDARD¥1,1のレイアウトを示している。
図7(B)は、1ページに2個の画像を割り当てたフォーマットSTANDARD¥1,2のレイアウトを示している。
図7(C)は、1ページに6個の画像を割り当てたフォーマットSTANDARD¥2,3のレイアウトを示している。
図7(D)は、1ページに8個の画像を割り当てたフォーマットSTANDARD¥2,4のレイアウトを示している。
図7(E)は、1ページに12個の画像を割り当てたフォーマットSTANDARD¥3,4のレイアウトを示している。
図7(F)は、1ページに4個の画像を割り当てたフォーマットSTANDARD¥2,2のレイアウトを示している。
図7(G)は、1ページに9個の画像を割り当てたフォーマットSTANDARD¥3,3のレイアウトを示している。
ここで、複数画像を割り当てる際の縮小倍率を最低限に抑えるため、STANDARD¥1,1、STANDARD¥1,2、STANDARD¥2,3、STANDARD¥2,4及びSTANDARD¥3,4では、印字する媒体の向きが縦にされ、STANDARD¥2,2及びSTANDARD¥3,3では、媒体の向きが横にされる。
【0031】
図4に戻り、Save入力欄163は、AET名入力欄161に入力されたAET名に対応付けて、Store To Print設定入力欄162に入力された印刷設定を記憶する指示の入力を受ける欄である。この欄を指定した実行指示が入力されると、AET名入力欄161に入力されたAET名に対応付けて、Store To Print設定入力欄162に入力された印刷設定が、記憶部132に記憶される。
【0032】
次に、Storage SCUから画像形成装置130に要求を行い、画像形成装置130で受信した画像データを印刷する処理について説明する。ここでは、モダリティ110は、Print SCUを備えておらず、Storage SCUにより画像形成装置130に印刷を行わせる。言い換えると、モダリティ110は、画像形成装置130に印刷を要求することはできないため、画像形成装置130に、画像データの保存を要求することで、その画像データに基づいて、印刷を行わせる。
【0033】
図8は、Storage SCU及びSCP間の処理を示すシーケンス図である。
Storage SCUは、例えば、
図1に示されているモダリティ110であり、SCPは、画像形成装置130である。ここでは、一例として、モダリティ110としての超音波診断装置が、Ultrasound Imageの画像データを画像形成装置130に送信するシーケンスを示す。
【0034】
最初に、SCUからIPアドレス及びポート番号を指定してSCPを提供する画像形成装置130に対してTCP/IPの接続要求が行われ、SCPが受諾(Accept)しTCP/IPの通信路が確立される(S10)。
【0035】
確立された通信路を使って、SCUは、アソシエート確立要求である、PDUの「A−ASSOCIATE−RQ」を送信する(S11)。この際、「A−ASSOCIATE−RQ」には、AET名及び要求する1つ以上のアプリケーションコンテキストが含まれる。ここで、Storage SCUは、画像形成装置130に、印刷を要求する場合には、
図4に示されているAET設定画面160を用いて予め設定されているAET名を「A−ASSOCIATE−RQ」に含める。
なお、
図8に示されている「1.2.840.10008.5.1.4.1.1.6.1」というアプリケーションコンテキストは、Ultrasound Image StorageのSOP Class UIDと規格上規定されている。
【0036】
ステップS11で要求されたAETが存在し、かつ、アプリケーションコンテキストが受付可能であれば、SCPは、肯定応答であるA−ASSOCIATE−ACを送信する(S12)。ここでは、要求されたAETが存在し、かつ、アプリケーションコンテキストが受付可能であるものとして、説明を続ける。
なお、要求されたAETが存在しない、又は、アプリケーションコンテキストが受付不可である場合は、SCPは、否定応答であるA−ASSOCIATE−RJをSCUに送信し、SCUが接続を開放する。
【0037】
次に、SCUは、PDUの「P−DATA−TF」でDISME形式にてコマンド情報(0000グループ)、検査情報(0008グループ)、患者情報(0010グループ)、画像収集情報(0018、0020グループ)及び画像データ(7ef0グループ)を送信する(S13)。ここで、コマンド情報に含まれるコマンド種別(0000,0100)については保存要求を示す0001H(C−STORE−RQ)がセットされる。
そのような要求を受信したSCPは、送付された情報を処理(多くの場合はStorageに保存)し、コマンド種別に8001H(C−STORE−RSP)を、ステータス(0000,0900)に正常終了を示す0をセットした応答をSCUに返信する(S14)。
なお、画像データが複数存在する場合は、ステップS13及びステップS14が操り返し行われる。
【0038】
全ての対象画像データを送信したSCUは、アソシエート開放要求であるPDUの「A−RELEASE−RQ」を送信する(S15)。
そして、アソシエート開放要求を受けたSCPは、アソシエート開放要求応答であるPDUの「A−RELEASE−RP」を送信する(S16)。
最後に、SCUは、確立されているTCP/IP通信路を切断して処理完了となる(S17)。
【0039】
次に、A−ASSOCIATE−RQ処理部144の処理を説明する。
図9は、A−ASSOCIATE−RQ処理部144の処理を示すフローチャートである。
まず、A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、SCUとしてのモダリティ110から要求されたAETが画像形成装置130内に定義されているか否かを確認する(S20)。具体的には、A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、モダリティ110から送られてきたA−ASSOCIATE−RQに含まれているAET名が、記憶部132に記憶されている場合には、SCUから要求されたAETが画像形成装置130内に定義されていると判断する。SCUから要求されたAETが画像形成装置130内に定義されていない場合(S20でNo)には、処理はステップS21に進み、SCUから要求されたAETが画像形成装置130内に定義されている場合(S20でYes)には、処理はステップS22に進む。
【0040】
ステップS21では、A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、要求元のSCUに否定応答であるA−ASSOCIATE−RJを送信する。そして、処理は終了する。これにより、制御部140は、通信部131を介して、画像データを受信することを拒否することができる。
【0041】
ステップS22では、A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、Storage SCUからの要求であるか否かを示す内部フラグについて、初期値である「FALSE」に初期化する。この内部フラグは、例えば、記憶部132に記憶されているものとする。
次に、A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、モダリティ110から送られてきたA−ASSOCIATE−RQに含まれているアプリケーションコンテキストより抽象構文を取得する(S23)。
【0042】
次に、A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、ステップS23で取得された抽象構文が、画像形成装置130が対応可能であるか否かを確認する(S24)。例えば、記憶部132には、画像形成装置130が対応可能な抽象構文を含む抽象構文リストが予め記憶されており、A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、ステップS23で取得された抽象構文が、その抽象構文リスト内に存在するかを確認する。ステップS23で取得された抽象構文が対応可能である場合(S24でYes)には、処理はステップS25に進み、ステップS23で取得された抽象構文が対応可能ではない場合(S24でNo)には、処理はステップS21に進む。
【0043】
図10は、抽象構文リストの一例を示す概略図である。
図10に示されているように、抽象構文リスト165は、UID列165aと、UID名列165bと、Storage属性列165cとを有するテーブル形式の情報である。
UID列165aは、画像形成装置130が対応可能な抽象構文であるUID(Unique IDentifier)を格納する。A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、ステップS23で取得された抽象構文を、UID列165aに格納されているUIDとつきあわせる。
UID名列165bは、UID列165aに格納されているUIDを識別するための識別情報であるUID名を格納する。UID名は、ログ出力用の文字列として用いられる。
Storage属性列165cは、UID列165aに格納されているUIDが、Storage SCUから要求される場合は、TRUE、それ以外は、FALSEを格納する。
【0044】
ステップS25では、A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、ステップS23で取得された抽象構文が、Storage SCUから要求されるものであるか否かを確認する。例えば、A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、抽象構文リスト165において、ステップS23で取得された抽象構文に対応するUIDのStorage属性列165cの値が「TRUE」の場合には、抽象構文がStorage SCUから要求されるものと判断し、その値が「FALSE」の場合には、抽象構文がStorage SCUから要求されるものではないと判断する。抽象構文がStorage SCUから要求されるものである場合には、処理はステップS26に進み、Storage SCUからの依頼である場合に特化した処理が行われる。一方、抽象構文がStorage SCUから要求されるものではない場合には、処理はステップS29に進む。
【0045】
ステップS26では、A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、内部フラグを、Storage SCUからの要求であることを示す「True」に更新する。
そして、A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、Storage SCUから受信した画像データ数を示す変数(Image_num)に初期値である「0」をセットする(S27)。
【0046】
次に、A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、内部的に画像データを管理するための画像ボックスを作成する(S28)。画像ボックスはStorage SCUから受信し、DIMSE解析部146により抽出されたDIMSEデータのうち、0028グループ(画像表示情報)及び7fe0グループ(ピクセルデータ)のデータを抽出したリスト配列であり、1つのリストが1つの画像データを示す。
図11は、画像ボックスの一例を示す概略図である。
図示するように、画像ボックス166は、Tag列166aと、Name列166bと、Data列166cとを有するテーブル形式の情報である。
【0047】
Tag列166aは、画像形成に必要なTag情報を格納する。Tag列166aには、DICOM規格に定める以下のデータが格納される。
(0028,0002)は、画像あたりのサンプル数を示す。
(0028,0004)は、光度測定解釈を示す。
(0028,0010)は、イメージのY方向のピクセル数を示す。
(0028,0011)は、イメージのX方向のピクセル数を示す。
(0028,0100)は、ピクセルに割り当てられたビット数を示す。
(0028,0101)は、1ピクセルのビット数を示す。
(0028,0102)は、高位ビット(ピクセルデータのMBS)を示す。
(7ef0,0010)は、ピクセルデータを示す。
【0048】
Name列166bは、Tag列166aに格納されたタグ情報の識別情報である名称を格納する。Name列166bに格納された名称は、ログ出力用に用いられる。
Data列166cは、Tag列166aに格納されたタグ情報に対応させて、DIMSE解析部146により抽出されたデータを格納する。
【0049】
図9に戻り、ステップS29では、A−ASSOCIATE−RQ処理部144は、通信部131に、肯定応答であるA−ASSOCIATE−ACを要求元のSCUへ送信させる。そして、処理は終了する。
【0050】
図9に示されたフローにより、SCUとSCP間にアソシエーションが確立し、その後、
図8のステップS13に示されているように、SCUからC−STORE−RQコマンドが送信される。
【0051】
次に、画像形成装置でC−STORE−RQを受信した場合の処理について説明する。
図12は、コマンド処理部147での処理を示すフローチャートである。
最初に、コマンド処理部147は、Storage SCUからの要求であるか否かを確認するため、Storage SCUからの要求であることを示す内部フラグを確認する(S30)。内部フラグがStorage SCUからの要求ではないことを示す「False」である場合には、処理はステップS31に進み、内部フラグがStorage SCUからの要求であることを示す「True」である場合には、処理はステップS32に進む。
【0052】
ステップS31では、コマンド処理部147は、通信部131に、否定応答を示すStatusにエラー値を設定したC−STORE−RSPをモダリティ110へ送信させる。そして、処理は終了する。
【0053】
ステップS32では、コマンド処理部147は、Storage SCUから受信した画像データ数を示す変数(Image_num)に1を加える。
次に、コマンド処理部147は、前述のA−ASSOCIATE−RQ処理の際に作成された画像ボックスに、予め定められた要素(0028グループと7fe0グループ)のデータを格納する(S33)。
次に、コマンド処理部147は、通信部131に、肯定応答を示すStatusに正常値(0)を設定したC−STORE−RSPをモダリティ110へ送信させる(S34)。
【0054】
続けて、レイアウト情報で指定される情報により1ページ内に割り当てる画像数が既に画像ボックス内に保存されている場合は直ちに印刷を行うため以降の処理を行う。
コマンド処理部147は、
図8のステップS11で受信したA−ASSOCIATE−RQに含まれているAET名に対応付けて記憶部132に記憶されている印刷設定から、レイアウトの情報(Column及びRow)を取得する(S35)。
次に、コマンド処理部147は、ステップS35で取得されたレイアウトの情報から、1ページ内に割り当てるページ内画像数(PrintImagePerPage)を算出する(S36)。ここで、1ページ内に割り当てる画像数は、ステップS35で取得されたColumnにRowを乗じた値となる。
【0055】
次に、コマンド処理部147は、ステップS36で算出されたページ内画像数と、既に画像ボックスに保存された画像数を比較する(S37)。これらの数が同じである場合には、処理はステップS38に進み、印刷処理が行われる。これらの数が異なる場合には、印刷を実行せずに次の画像データ受信、又は、アソシエーション開放を待つため、処理は終了する。
【0056】
ステップS38では、画像ボックス印刷処理が行われる。この処理については、
図14を用いて説明する。
次に、コマンド処理部147は、画像ボックスを削除する(S39)。
また、コマンド処理部147は、受信した画像データ数を示す変数(Image_num)を初期値である「0」にリセットする(S40)。そして、処理は終了する。
なお、
図8のステップS15に示されているように、対象となる画像データを全て送信した後は、SCUであるモダリティ110からアソシエーション開放を示すPDUであるA−RELEASE−RQが送信される。
【0057】
次に、画像形成装置130がA−RELEASE−RQを受信した場合の処理について説明する。
A−RELEASE−RQは、DICOM規約上全てのSCUから送信され得る。しかしながら、本実施の形態のように、Print SCP、Verification SCP及びStorage SCPを画像形成装置130が提供する場合には、画像形成装置130は、Print SCU及びVerification SCUに対しては、何もせずに応答(A−RELEASE−RP)を送信する。一方、Storage SCUに対しては、画像形成装置130は、画像ボックス中に未印刷の画像データが残存している場合は、印刷処理を行ってから応答を返却する必要がある。以降にその処理フローを説明する。
【0058】
図13は、A−RELEASE−RQ処理部149での処理を示すフローチャートである。
最初に、A−RELEASE−RQ処理部149は、Storage SCUからの要求か否かを確認するため、Storage SCUからの要求であるか否かを示す内部フラグを確認する(S50)。内部フラグがStorage SCUからの要求であることを示す「True」である場合には、処理はステップS51に進み、内部フラグがStorage SCUからの要求ではないことを示す「False」である場合には、処理はステップS54に進む。
【0059】
ステップS51では、A−RELEASE−RQ処理部149は、未印刷の画像データが残っているか否かを確認する。例えば、A−RELEASE−RQ処理部149は、受信した画像データ数を示す変数(Image_num)が1以上である場合には、未印刷の画像データが残っていると判断する。
【0060】
ステップS52では、未印刷の画像データが残っているため、画像ボックス印刷処理が行われる。この処理については、
図14を用いて説明する。
次に、A−RELEASE−RQ処理部149は、画像ボックスを削除する(S53)。
そして、A−RELEASE−RQ処理部149は、通信部131にA−RELEASE−RPをモダリティ110へ送信させる(S54)。そして処理は終了する。
【0061】
最後に、コマンド処理部147又はA−RELEASE−RQ処理部149から呼び出される画像ボックス印刷処理について説明する。
図14は、画像ボックス印刷処理を示すフローチャートである。
画像ボックス印刷処理は、印刷ジョブ生成部148により行われる。
【0062】
印刷ジョブ生成部148は、
図8のステップS11で受信したA−ASSOCIATE−RQに含まれているAET名に対応付けて記憶部132に記憶されている印刷設定から、レイアウトの情報を取得する(S60)。
次に、印刷ジョブ生成部148は、ステップS60で取得されたレイアウトの情報が、STANDARD¥2,2又はSTANDARD¥3,3であるか否かを確認する(S61)。レイアウトの情報がSTANDARD¥2,2又はSTANDARD¥3,3である場合(S61でYes)には、処理はステップS62に進み、レイアウトの情報がSTANDARD¥2,2又はSTANDARD¥3,3ではない場合(S62でNo)には、処理はステップS63に進む。
【0063】
ステップS62では、印刷ジョブ生成部148は、媒体の向きを横向き(Landscape)に設定する。そして、処理はステップS64に進む。
一方、ステップS63では、印刷ジョブ生成部148は、媒体の向きを縦向き(Portrait)に設定する。そして、処理はステップS64に進む。
なお、ディスプレイに表示することを前提としているため画像データは横に長いイメージが多い。このため、ステップS62及びステップS63のように、媒体の向きが設定される。
【0064】
ステップS64では、印刷ジョブ生成部148は、
図8のステップS11で受信したA−ASSOCIATE−RQに含まれているAET名に対応付けて記憶部132に記憶されている印刷設定から、用紙トレイ、用紙サイズ、コピー数、境界フレーム色及び空きフレーム色の情報を取得する。
【0065】
次に、印刷ジョブ生成部148は、ステップS62〜ステップS64で得られた情報に基づいて、PDL(Page Description Language)にて印刷ジョブのヘッダ部を生成する(S65)。そして、印刷ジョブ生成部148は、次処理以降で画像データをページに割り当てる。
【0066】
印刷ジョブ生成部148は、実際に割り当て済みの画像データ数を示す変数である「cnt」を初期化する(S66)。ここでは、「cnt」の値は、「0」にセットされる。
次に、印刷ジョブ生成部148は、未だ割り当てられていない1つの画像データを特定し、特定された画像データの画像ボックス166に格納されている各種データを取得し、8ビットピクセルデータに変換する(S67)。
次に、印刷ジョブ生成部148は、画像の高さ、幅をレイアウトに応じた適切なサイズに割り当てる(S68)。
次に、印刷ジョブ生成部148は、変換後の画像データをDLにて印刷ジョブに追加する(S69)。
次に、印刷ジョブ生成部148は、「cnt」に1を加える(S70)。これにより、「cnt」に対応する画像ボックス166に画像データの処理が完了する。
【0067】
次に、印刷ジョブ生成部148は、画像データの割当数を示す変数(cnt)と、受信した画像データの数を示す変数(Image_num)とを比較する(S71)。画像データの割当数を示す変数が受信した画像データの数を示す変数と一致する場合には、処理はステップS72に進み、画像データの割当数を示す変数が受信した画像データの数を示す変数と一致しない場合には、処理はステップS67に戻り、処理が繰り返される。言い換えると、ステップS67〜ステップS70までの処理は、画像ボックス166に格納されている画像データ数分繰り返される。
【0068】
そして、印刷ジョブ生成部148は、全画像データを印刷ジョブに追加し終わった後、PDLにて印刷ジョブにフッタを追加し、印刷ジョブを完成させる(S72)。
次に、印刷ジョブ生成部148は、作成した印刷ジョブを印刷部133に投入することで、印刷部133に印刷を実行させる(S73)。
【0069】
なお、
図8のステップS17に示されているように、アソシエーション開放後はSCUからTCP/IPの接続が切断され、一連の処理が終了する。
以上の処理をもって、Storage SCUからの画像送信要求を受け付け、印刷が行われる。
【0070】
Verification SCU及びPrint SCUからの要求については、
図9に示されているように、A−ASSOCIATE−RQ処理部144によりStorage SCUからの要求であるか否かを示す内部フラグが「False」に設定された後(S22)、公知技術により処理が行われる。
例えば、Verification SCUの場合は、TCP/IP接続後に抽象構文にVerification SOP Classを指定したA−ASSOCIATE−RQが送信され、以降C−ECHO−RQコマンドの送受信が行われ、A−RELEASE−RQが送信される。
また、Print SCUの場合は、TCP/IP接続後に抽象構文にBasic Grayscale Print Management Meta SOP Class、又は、Basic Color Print Management Meta SOP Classを指定したA−ASSOCIATE−RQが送信され、以降各種コマンド(N−GET−RQ、N−CREATE−RQ、N−SET−RQ、N−ACTION−RQ、N−DELETE−RQ)の送受信が行われ、A−RELEASE−RQが送信される。
Storage SCUからの要求と共通であるのはA−ASSOCIATE−RQ処理部144での処理と、A−RELEASE−RQ処理部149での処理であるが、A−ASSOCIATE−RQ処理部144及び
図10に示されている抽象構文リスト165によって設定されるStorage SCUからの要求であるか否かを示す内部フラグによって、各SCUからの要求が競合することなく適切に処理される。
【0071】
以上に記載された画像形成装置130における制御部140一部又は全部は、例えば、
図15(A)に示されているように、メモリ1と、メモリ1に格納されているプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ2とにより構成することができる。このようなプログラムは、ネットワークを通じて提供されてもよく、また、記録媒体に記録されて提供されてもよい。
なお、記憶部132は、メモリ1により実現されていてもよく、その他の記憶装置により実現されていてもよい。
【0072】
また、画像形成装置130における制御部140の一部又は全部は、例えば、
図15(B)に示されているように、単一回路、復号回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路3で構成することもできる。
【0073】
以上に記載された実施の形態によれば、Print SCUを具備しないモダリティ110であっても、言い換えると、印刷処理を要求することのできないモダリティ110であっても、図示しない医用画像サーバに画像データを保存することなく、直接、画像形成装置130に画像データを送信し、保存処理を要求することで、好適な印刷設定で印刷された結果を得ることができる。
【0074】
以上に記載された実施の形態では、説明を簡易にするために画像形成装置130で保有する、AET名に対応する印刷設定を1つとしているが、実施の形態はこのような例に限定されない。例えば、
図4に示されているAET設定画面160を介して、複数のAET名に対応する印刷設定を入力することで、画像形成装置130内で複数のAET名に対応する印刷設定を保持することができる。この場合、モダリティ110側で接続要求するAET名を使い分けることで、好適な印刷設定にて印刷結果を得ることができる。
【0075】
また、以上に記載された実施の形態では、画像ボックスに格納し管理するデータを、0028グループの画像表示データ及び7ef0グループのピクセルデータとしたが、0008グループ(検査情報)、0010グループ(患者情報)、又は、0018及び0020グループ(画像収集情報)等の付随する情報も格納することができるようにすることで、画像形成する際にこれらの付随する情報をテキストにして画像情報に重畳して印刷することも可能である。