(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記流体源は、複数の供給管を共通の供給流体配送レールに流体連通させて有している供給システムであり、前記複数の供給管は、前記第1のローラに整列させられ、少なくとも前記共通の供給流体配送レールからの供給流体を前記第1のローラの前記第1の表面に付着させるように構成されている、請求項1に記載の霧化装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
開示されるフィラメント引き延ばし式の霧化システムおよび方法は、高粘性の流体および/または機械系において非ニュートン特性を有する流体あるいは任意の他の流体から、制御されたサイズ、分布、および/または体積を有する液滴を形成することができる。開示されるシステムおよび方法の機械的な性質は、液滴の生成のプロセスを単純にし、形成後の液滴の制御をより容易にする。また、機械的なシステムを使用することによって、液滴のサイズを制御することができ、これは流体霧化装置を使用することができる用途を広げることにつながる。
【0011】
流体を引き延ばすことで、流体フィラメントが形成され、引き延ばされた流体フィラメントが、流体フィラメントの毛管破断点を超えるときに、制御された体積の液滴へと分解する。流体の「毛管破断点」は、引き延ばされたフィラメントが毛管力から破断する点である。破断した流体フィラメントからの余分な流体は、流体供給システムおよび表面の一方または両方へと引き戻される。
【0012】
例えば、流体を、2つの離れてゆく表面の間で流体を引き延ばすなど、流体引き延ばし式の霧化技術を使用して引き延ばすことができる。流体を引き延ばすことで、流体フィラメントが形成され、引き延ばされた流体フィラメントが、流体フィラメントの毛管破断点を超えるときに、制御された体積の液滴へと分解する。破断した流体フィラメントからの余分な流体は、流体供給システムおよび表面の一方または両方へと引き戻される。
【0013】
そのような流体引き延ばし式の霧化技術は、一般に、純粋に機械的な手段を使用することによって、高粘性の流体ならびに/あるいは非ニュートン特性または他の複雑な流動学を有する流体を霧化させることができる。いくつかの流体引き延ばし式霧化装置は、流体、表面、または形成された液滴の採取を制御し、あるいは他のかたちで操作するうえで役に立つ追加の非機械的な手段を有することができる。離れてゆく表面を有する典型的な流体引き延ばし式霧化装置において、表面は、1つ以上の回転ローラ、1つ以上のピストン、1つ以上の平坦な表面またはブロック、あるいは任意の他の形状、テクスチャ、または輪郭の表面、もしくはこれらの任意の組み合わせであってよい。さらに、流体引き延ばし式霧化装置は、制御された量の流体を個別に引き延ばし、全体として制御された量の流体の集まりを生成する複数の並列な流体引き延ばし式霧化装置を有することもできる。
【0014】
図1および2が、霧化装置100の典型的な実施形態を示している。霧化装置100は、2つの反対向きに回転するローラ102および104の間で流体フィラメントを引き延ばす。ローラの間で流体フィラメントを引き延ばすことによって、流体の「毛管破断点」において流体フィラメントの複数の液滴またはエアロゾルへの分解が生じる。霧化装置100は、液滴生成のプロセスおよび構成部品を囲むハウジング110を備えている。ローラ102および104は、ハウジング110の内部に配置され、ハウジング110は、バッフルユニット200を配置することができる出口ポート112を備えている。
【0015】
図示の実施形態において、ローラ102および104は、円柱形であり、2つのローラ102および104の間にニップ106が定められている。ニップ106は、ローラを隔てる距離またはローラ間隔距離であってよい。ローラ間隔距離は、一方のローラの表面から向かい合うローラの表面までの距離として測定することができる。しかしながら、ローラが接触し、ローラ間隔距離がゼロになってもよい。他の実施形態において、ローラ間隔距離は、例えばローラが圧縮可能な表面を有していて各々のローラの外周が交わって重なることができる場合に生じうるような負の値であってもよい。
【0016】
ニップ106は、下流側および上流側を有する。ニップ106の下流側が、液滴がローラから導かれる方向として定義される一方で、ニップの上流側は、その反対の方向として定義される。図示の実施形態において、ニップ106の下流側は、バッフルユニット200を通って導かれ、上流側は、ハウジング110の底へと向けられる。
【0017】
流体を霧化させるために、ローラ102および104は、反対向きに回転し、ニップ106の上流側から下流側へと流体を引っ張る。流体が、ニップ106の下流側において2つのローラ102および104の間にまたがるフィラメントを形成する。ローラ102および104が回転を続けるとき、流体フィラメントは、各々のローラに付着したままである。流体フィラメントは、各々のローラの表面上の実質的に一定の位置において各々のローラ102および104へと付着する。ローラの反対向きの回転の挙動ゆえ、ローラが反対向きに回転するにつれて付着の位置が互いに遠ざかる。これにより、流体フィラメントが2つのローラ102および104の間でさらに引き延ばされ、流体フィラメントのひずみが増大する。
【0018】
流体は、最終的な「毛管破断点」を有し、流体フィラメントのひずみがこの値を超えるとき、流体フィラメントは液滴へと分解する。流体の一部分が霧化し、あるいは液滴を形成し、流体の別の一部分が、ローラ102および104に付着したままとなる。引き延ばされた流体フィラメントの分解は、流体のひずみを解放し、運動エネルギの一部を液滴へと提供し、液滴をニップ106から遠ざかるように下流方向に効果的に排出させる。ローラの回転およびローラの近傍の空気の運動によって、さらなる運動エネルギが液滴へと付与される。
【0019】
図1および2に示されるように、霧化装置100の種々の構成要素は、ハウジング110に収められる。ハウジング110は、流体の引き延ばしおよびバッフルユニット200の所定の位置への配置に使用されるローラ102および104を収容する。さらに、ハウジング110およびバッフルユニット200は、霧化した流体を囲み、これが流体の液滴の過剰噴霧を最小にする役に立つ。過剰噴霧を最小にすることは、周囲の環境およびユーザを霧化した流体による汚染から保護するうえで助けとなる。この隔離は、使用される供給流体が潜在的に有害である場合にとくに重要となりうる。ハウジング110の隔離的性質および過剰噴霧の最小化は、供給流体への暴露の潜在的な悪影響からユーザおよび環境を保護する。
【0020】
ハウジング110は、いくつかの例では、絶縁性の側壁を有することができる。絶縁性の側壁は、ハウジング110の内部を周囲の環境から熱的に隔離することができる。熱的な隔離は、霧化させるべき流体または供給流体を、周囲の環境および温度から独立して比較的一定の選択された温度に保つことを可能にする。さらに、熱的な隔離は、周囲の環境をハウジング110の内部の温度から保護する。いくつかの実施形態においては、霧化プロセスのための所望の稠度または粘度を達成するために、供給流体を高い温度にすることが望ましいかもしれない。絶縁性のハウジング110が存在しない場合、高い供給流体の温度によって、周囲の環境の温度が上昇する可能性がある。周囲の環境の温度が高くなると、霧化装置100の制御システムおよびセンサなど、霧化装置100の外部の構成部品を傷め、あるいは妨げる可能性がある。
【0021】
周囲の環境からの霧化装置100の隔離は、装置100および環境の両方を汚染、損傷、および/または干渉から保護する。そのような隔離は、霧化装置100の出力についてより良好な制御を可能にし、装置100をより効率的かつ効果的に機能させることを可能にできる。
【0022】
図1および2に示される実施形態においては、バッフルユニット200が、霧化装置100に含まれる。
図3〜5が、バッフルユニット200のさらなる図を示している。バッフルユニット200は、霧化または形成された液滴をローラから遠ざかるように選択された方向に向かって案内し、あるいは導く。図示の実施形態において、選択された方向は、ニップ106の下流側である。
【0023】
バッフルユニット200は、内部バッフル230を備え、内部バッフル230は、内部バッフル230を貫いて延び、2つのローラ102および104の間に形成されたニップ106へと向けられたチャネル234を有している。チャネル234は、バッフル流体をバッフル流体源からニップ106へと案内する。バッフル流体は、バッフル流体源および内部バッフルのチャネル234に連通したバッフル流体入り口240を通ってチャネル234へと供給される。バッフル流体を内部のチャネル234からニップ106へと導く際に、バッフル流体は、流体フィラメントのひずみを増大させ、さらには/あるいは制御することができる。吐出または案内されるバッフル流体によって引き起こされる流体フィラメントのひずみを、ローラ102および104の反対向きの回転によって引き起こされるひずみに付け加えることができる。
【0024】
流体フィラメントの合算のひずみは、生じるひずみがローラによる流体の引き延ばしによって引き起こされるひずみだけである場合と比べて、より早い時点で流体フィラメントを霧化させることを可能にする。これは、ユーザが、バッフル流体およびバッフル流体の供給パラメータを変化させることによって、形成された流体フィラメントの分解を制御することを可能にできる。そのようなパラメータとして、吐出されるバッフル流体の量、吐出されるバッフル流体の速度、バッフル流体の温度、およびバッフル流体の圧力を挙げることができる。バッフル流体のパラメータおよび/または特性の変更は、ユーザが用途に合わせた最適な液滴サイズを達成することを可能にすることができる。
【0025】
バッフル流体は、大気などの気体の流体である。バッフル流体の種類の選択は、形成される液滴の所望の特性、バッフル流体の特性、および所望の液滴を達成するための他のパラメータに基づくことができる。装置100へのバッフル流体の流れが装置の内部を暖めて供給流体の流体学的特性を助けるように、大きな温度輸送能力を有するバッフル流体を使用することが望ましいかもしれない。
【0026】
内部バッフル230は、吐出されたバッフル流体をニップ106へと導く。吐出されたバッフル流体は、流体フィラメントならびにローラ102および104に接触する。ローラ102および104の回転が、吐出されたバッフル流体を出口ポート112およびバッフル開口204へと向け直す。向け直されたバッフル流体は、霧化装置100からの霧化した流体または流体の液滴の選択された方向への輸送を助ける。
【0027】
霧化装置100は、垂直な向きにあり、流体の液滴をバッフル開口204を通って上方へと導く。霧化装置100の垂直な向きは、吐出される液滴の種々のパラメータの制御を助ける。垂直方向の霧化した流体の吐出は、液滴の選択を助ける重力の利益を可能にする。吐出される液滴は、或る質量を有し、或る速度でバッフルユニット200を通って上方に移動する。個々の液滴の速度は、流体フィラメントの破断のプロセスならびに装置を通るバッフル流体の移動または流れにおいて液滴へと付与された方向および速度を含む。重力が吐出された液滴に作用し、したがってより大きな質量を有する液滴ほど大きな影響を被り、液滴の速度が遅くなり、いくつかの液滴がバッフル開口204を通って装置100を出ることが潜在的に防止される。
【0028】
付与される液滴の速度との組み合わせにおいて、装置100のハウジング110を過ぎて延びるバッフルユニット200の高さを変更することで、液滴のサイズまたは質量を、制御された最大値を有するように選択することができる。この最大サイズまたは質量を超える液滴は、バッフルユニット200を通過する移動が重力によって遅くなり、結果としてそのような液滴のバッフル開口204からの排出が防止される。さらに、少なくとも所望のサイズの液滴の霧化装置100からの放射の保証は、過剰噴霧の防止を助ける。あらかじめ選択された所望のパラメータを有する液滴の選択は、液滴の適切な堆積を保証するとともに、過剰噴霧をさらに最小化または防止しつつ過剰または無駄の量が抑えられることを保証する。
【0029】
図1および2に示した実施形態において、供給流体は、ハウジング110内のリザーバ114に収容される。ローラ104は、供給流体によってローラ104が被覆されるようにリザーバ114を通って回転する。ドクターブレード116が、ローラ104の表面から離して配置され、余分な供給流体をローラ104から取り除いて、一様かつ所望の厚さの供給流体がローラ104を被覆するように保証する。ローラ104を被覆する流体が、ローラ102に接触し、離れてゆくローラ表面の間での引き延ばしに備えて流体をニップ106を通って引っ張る。流体がニップ106を通って引っ張られるとき、流体フィラメントが形成され、2つのローラ102および104の間で引き延ばされる。流体フィラメントは、自身の毛管破断点を超えると、複数の液滴へと分解する。液滴は、ニップ106の下流側に向かって装置100の外へと導かれる。
【0030】
ドクターブレード116は、流体リザーバ114の側面を形成し、供給流体を流体リザーバ114内に閉じ込めるうえで助けとなることができる。供給流体を流体リザーバ114にさらに閉じ込めるために、リザーバ内の流体の量は、ドクターブレード116の高さを超えない。リザーバ114内の供給流体の量は、最初の量として、あるいは流体の霧化につれて、変化する可能性がある。いくつかの場合、ローラ104を適切に被覆するために充分である最小限の量の流体が、リザーバ114内に含まれてよい。
【0031】
あるいは、供給流体をローラ104上へと送り出すように構成された供給流体分配要素が、装置内に含まれてよい。供給流体を、複数の位置または1つの位置において、ドクターブレード116の上流側においてローラ104の表面を横切って送り出すことができる。ドクターブレード116が、ローラ104の表面の供給流体に係合し、供給流体をローラ104の表面全体に一様に分布させる。
【0032】
リザーバ114内の供給流体を、流体そのものを加熱し、あるいはハウジング110または装置100の内部を加熱することによって、加熱することができる。
【0033】
あるいは、供給流体を、外部の供給源から霧化装置100へと連続的に導入することができる。供給流体を、供給流体リザーバ114へと直接導入することができ、あるいは供給流体分配要素によってローラ104の表面へと送り出すことができる。あるいは、流体を、定期的な間隔で霧化装置100へと導入でき、あるいは装置100への流体の流れを生じさせるセンサを、装置に備えることができる。導入される流体は、あらかじめ選択された所望のパラメータを有する液滴の形成に最適な特定のあらかじめ選択された温度であってよい。
【0034】
バッフルユニット200は、形成された液滴の所望の方向への案内および霧化した流体の過剰噴霧の防止を助ける。バッフルユニット200を、所望の方向に向け、形成された液滴を同様の方向に案内することができる。
【0035】
バッフルユニット200は、ハウジング110を貫き、さらに或る程度の距離を延びている。バッフルユニット200の向きの軌跡と実質的に同じでない軌跡を辿る形成された液滴は、バッフルユニット200の表面に遭遇する可能性が高い。そのようにすることで、形成された液滴が所望の方向に案内されるため、過剰噴霧が防止される。バッフルユニットを長くし、あるいは延長することで、液滴の方向の精度がさらに高められる。バッフルユニット200の向きからわずかにずれた軌跡を有する形成された液滴は、おそらくはより短いバッフルユニット200の表面には遭遇しないが、バッフルユニット200が長くされ、あるいは延長される場合、バッフルユニット200の表面に遭遇する可能性が高くなる。
【0036】
バッフルユニット200の表面に接触する形成された液滴を、装置100の内部へと再循環させることができる。バッフルユニット200の表面に接触した液滴は、バッフルユニット200の表面に沿って再び装置100の内部へと導かれる。バッフルの表面は、表面に沿った液滴の移動をさらに助けるためのコーティングを備えることができる。
【0037】
バッフルユニットは、バッフルユニット200の内周を形成する外側バッフル210および220を備える。外側バッフル210または220の一方に接触する液滴は、外側バッフルの表面に沿って導かれ、最終的に外側バッフル210および220のそれぞれに配置されたベント212または222に遭遇する。流体の液滴は、ベント212および222を通って外側バッフル210および220の反対側の表面へと流れる。液滴は、表面に沿って移動し続け、最終的にローラ102および104へと付着し、装置100の内部を通って再利用される。
【0038】
内部バッフル230に遭遇する流体の液滴は、上述と同様の再利用プロセスを辿る。液滴が、内部バッフル230の外面を横切り、ベント232を通過し、内部バッフル230の内面へと移動する。次いで、液滴は、装置100のニップ106へと案内され、そこで液滴が装置100の内部へと再利用される。再利用される液滴を、重力によって受動的にニップ106へと案内することができ、あるいは内部バッフル230を通って流れるバッフル流体によってニップ106へと進めることができる。
【0039】
図6〜8が、吐出される液滴の方向が水平な平面内に向けられた霧化装置の別の典型的な実施形態を示している。
図1および2に示したとおりの先の実施形態の種々の構成部品は同じままであり、バッフルユニット400が、異なる構成を有している。図示の実施形態において、ローラ302および304ならびに他の構成部品を囲むハウジングは、図示されていない。先の実施形態に関して上述した構成部品が、水平な向きを有するこの典型的な実施形態に含まれてよいことを、理解できるであろう。
【0040】
先の実施形態と同様に、バッフルユニット400は、液滴の流れを所望の方向に案内し、過剰噴霧および/または液滴流体による周囲の環境の汚染の最小化を助ける。バッフルユニット400は、上側および下側バッフル410および420と、内部バッフル430とを備える。内部バッフル430は、バッフルのチャネル444を通ってローラ302および304の間に定められたニップ306に向かってバッフル流体を案内する。案内されたバッフル流体は、流体フィラメントの分解および形成された液滴の霧化装置からの排出を助ける。内部バッフルは、霧化装置の外部にあってよいバッフル流体源に流体連通したバッフル流体入り口を備える。
【0041】
先の実施形態と同様に、バッフルユニット400は、形成された液滴の所望の方向への案内ならびに過剰噴霧または誤った方向の流体液滴の最小化を助ける。上側バッフル410および下側バッフル420は、逸脱した液滴を収集して集め、流体を将来の使用のために霧化装置へと再循環させる。上述のように、バッフルユニット400の流体接触面を、表面における流体の移動を促進するように被覆し、処理し、あるいは仕上げることができる。
【0042】
図示の実施形態において、上側バッフル410は、一体化されたドクターブレード412と、流体リザーバ414とを備える。上側のローラ304は、この実施形態においては流体で被覆されることがない。むしろ、下側のローラ302が、最初に供給流体で被覆される。一体化されたドクターブレード412が、液滴形成プロセスの後に上側のローラ304から流体を取り除く。取り除かれた流体は、流体リザーバ414へと導かれ、シャント450を通って下側バッフル420へと流れることができる。シャント450は、上側および下側バッフル410および420の間の流体の連通を可能にする。上側バッフル410のリザーバ414に集められた流体は、シャント450を通って下側バッフル420の流体リザーバ424へと流れる。上側バッフル410の表面に集められた流体の液滴は、上側バッフルの傾いた表面に沿って流れ、上側ローラ304へと付着でき、あるいは内部バッフル430の表面に付着することができる。
【0043】
下側バッフル420は、ベント422および流体リザーバ424を備えている。下側バッフル420によって集められた液滴は、ニップ306の上流側へとバッフルの傾いた表面に沿って流れる。集められた流体は、ベントを通ってリザーバ424へと流れる。流体リザーバ424に集められた流体は、下側ローラ302の表面へと案内され、さらなるフィラメントの引き延ばしおよび霧化のプロセスのために再使用されうる。
【0044】
内部バッフル430上に集まった液滴は、内部バッフル430の斜めの輪郭に沿って導かれる。内部バッフル430の上側の輪郭へと集まった液滴は、内部バッフル430の斜めの輪郭に沿ってニップ306へと導かれる。次いで、集まった液滴は、チャネル444を通るバッフル流体の流れによってニップ306へと導かれる。内部バッフル430の下側の輪郭へと集まった液滴は、斜めの下面に沿って突起445へと導かれる。集まった液滴は、突起445において融合し、最終的に下側バッフル420のベント422を通って落下する。そこで流体は流体リザーバ424に集められ、上述のように霧化装置へと再循環させられる。
【0045】
所望の液滴パラメータ、すなわちサイズを達成するために、霧化装置の多数の態様を変更することができる。変更可能な態様として、ローラの対の間の間隔、ニップにおいてローラ間に加えられる圧力、ローラの回転の速度および方向、1つ以上のローラの表面からのドクターブレードの間隔、種々のバッフル流体の特性、供給流体および霧化装置の内部の構成部品の温度、ならびにバッフルおよび霧化装置のハウジングの物理的な形状が挙げられる。
【0046】
制御システムを、液滴の形成を制御するために霧化装置に統合でき、あるいは霧化装置とともに使用することができる。制御システムは、霧化装置から吐出される液滴のサイズ、方向、および/または速度などの特性を監視または検出でき、検出された特性に応じて、少なくとも霧化装置の上述した態様などの態様または特性を変更して、吐出される複数の液滴の少なくとも特性を調整することができる。あるいは、霧化装置の態様または特性の調節を、ユーザが観測される液滴の特性に応じて手作業で実行することができる。
【0047】
図9〜12が、別の典型的なバッフルユニット600を示している。バッフルユニット600は、バッフル開口604、外側バッフル610および620、内部バッフル630、ならびに1対のバッフル流体入り口640を備えている。この例では、バッフル流体を内部バッフル630を通って導くよりもむしろ、バッフル流体が、1対の正反対に向かい合うバッフル流体入り口640を通ってバッフルユニット600へと導入される。バッフル流体入り口640は、入り口を通るバッフル流体の流れがローラに平行に向けられるように、ローラ502および504の付近のバッフルユニットの側面に配置される。バッフル流体の流れは、ニップ506の下流側に整列させられ、ニップ506から或る程度の距離だけ離れて位置する。バッフルユニット600を、任意の向きの霧化装置において使用することができる。
【0048】
バッフル流体は、1対のバッフル流体入り口640を通って外部のバッフル流体源からバッフルユニット600へと導入される。すでに述べた例と同様に、バッフル流体を加熱することができ、加熱されたバッフル流体は、霧化装置の内部の加熱に役立つ。
【0049】
バッフル流体が、1対のバッフル流体入り口640を通ってバッフルユニット600内に導入される。バッフル流体の2つの流れは、バッフルユニット600の中央に向かって案内され、ニップの下流側に沿ってローラ502および504に平行である。ローラ502および504のほぼ中央線において、1対のバッフル流体の流れが出会い、バッフル流体の流れの分散が生じる。バッフルユニット600の構造ならびにローラ502および504の反対向きの回転ゆえに、バッフル流体は、
図12に示されるように、バッフル開口604に向かって下流へと外方向に向けられる。装置から外へと向かうバッフル流体の流れが、上述のように液滴を捕らえ、液滴をバッフル開口604を通って外へと所望の方向に運ぶ。
【0050】
先に説明した例と異なり、バッフルユニット600のバッフル流体は、ニップ506へは向けられない。代わりに、バッフル流体は、バッフルユニット600の両側面からニップに平行に流れる。バッフル流体の2つの対向する流れが衝突し、流れを分散させ、バッフルユニット600のバッフル開口604を通るバッフル流体の正味の流れを生じさせる。ニップ506の上方のバッフル流体の流れが、ローラ502および504の間で引き延ばされる流体フィラメントと相互作用することができる。ニップに平行なバッフル流体の流れが流体フィラメントに作用させるせん断力により、流体フィラメントにさらなるひずみがもたらされ、流体フィラメントの分解を補助する。あるいは、バッフル流体の流れを、バッフル流体の流れが、先の例において説明したとおりの正面からの方向よりもむしろ、横からの方向にて流体フィラメントに直接接触するように、流体フィラメントの引き延ばしの平面に沿って導くことができる。
【0051】
上述のように、媒体、流量、および圧力などのバッフル流体の1つ以上のパラメータを、サイズなどの所望の物理的なパラメータを有する液滴を選択するために調節することができる。加えて、バッフルユニット600の高さなどのバッフルユニット600の形状を、所望のあらかじめ選択された物理的なパラメータを有する液滴の選択を助けるように変更することができる。
【0052】
先に説明した典型的なバッフルユニットと同様に、バッフルユニット600は、集められた液滴をさらなる堆積プロセスにおいて使用するために霧化装置へと再び循環させることができる。集められた液滴は、望ましくない軌跡またはサイズを有する液滴など、所望のあらかじめ選択されたパラメータに合致しない液滴を含むことができる。外側バッフル610および620上に集まった液滴は、外側バッフルの斜めの輪郭に沿って導かれる。次いで、集まった流体は、ローラ502、504の一方に付着し、霧化装置へと再循環させられる。
【0053】
内部バッフル630は、
図9〜12に示されるとおり、中実なくさび状の部品であり、くさびの頂点が、ニップ506へと向けられ、ニップ506から離れて位置している。あるいは、内部バッフル630は、中空な要素であってよく、もしくは交点にて終わる2つの交差する平面で構成されてよい。内部バッフル630上に集まった液滴は、内部バッフルの斜めの輪郭に沿って導かれる。次いで、集まった流体は、ニップ506へと付着し、あるいはバッフルユニットを通るバッフル流体の流れによってバッフルユニット600を通って再び運ばれる。
【0054】
あるいは、バッフルユニット600の外側および内部バッフルは、先の典型的なバッフルユニットにおいて説明したものと同様の再循環の要素を備えることができる。
【0055】
図13および14が、代案のローラの設計および供給流体の送出の典型的な実施形態を示しており、空気システムを含んでいる。1対のローラ710、720が、ローラの表面全体に配置された複数の溝および/またはチャネルを有している。ローラの介在する表面が、先に説明した実施形態と同様に対をなし、複数のニップ706を形成する。ニップが、ローラ710および720の対をなす各々の表面に形成される。上述のように、複数のニップは、下流側および上流側を有する。供給流体配送システム800が、上方に配置され、供給流体をローラ720へと施す。空気源900が、ローラ710および720の付近かつローラ710および720の間に配置される。空気源は、ローラ710および720の間に空気を導く。空気は、ニップの上流側からニップの下流側へと導かれる。導かれた空気は、霧化装置から所望の方向への形成された液滴の輸送および案内を助ける。
【0056】
図15が、ローラ710および空気源900のさらに詳細な図である。ローラ710は、複数のニップ706を形成するようにローラ720の同様の表面とそれぞれ対をなす複数の表面712を有している。表面712の各々が、ローラ720の同様の表面とニップを形成する。さらに、複数のチャネル714が、ローラ710の全長に沿って配置されている。チャネル714および表面712は、ローラ710において交互に位置している。空気源900の空気管904が、チャネル710内に配置されている。空気管は、ニップ706の下流側へと向けられた空気源900からの空気をもたらす。導かれた空気は、霧化装置からの形成された液滴の移動および案内を助ける。
【0057】
空気源900は、空気管904と、空気供給レールまたはマニホールド902とを備える。空気あるいは他の流体が、外部または内部の供給源から供給レールまたはマニホールド902へと送られる。マニホールド902は、各々の空気管904へと空気を導き、空気が、空気管904から複数のニップ706の下流側へと吐出される。マニホールド902は、各々の空気管904から吐出される空気が速度、圧力、および量などの実質的に同様の特性を有することを保証する。空気源900を、霧化装置のハウジング内に一体化でき、あるいは霧化装置のハウジング内に取り付けることができる。空気が外部の供給源からもたらされる場合、空気源900は、外部の供給源に流体連通する。
【0058】
図16が、ローラ710および720の係合ならびに両者の間に配置された空気管904の詳細図を示している。ローラ720が、供給流体を引き延ばして流体フィラメントを形成するニップ706を形成するために、ローラ710の表面712と対をなす表面722を備えている。さらに、チャネル724が、ローラの表面に沿って配置されている。ローラ710のチャネル714と異なり、ローラ720のチャネル724は、チャネル724の各側に配置されたフィン726を備えている。チャネル714、724は、ローラ710、620が反対向きに回転するときに整列する。フィン726が、ローラ710のチャネル714へと延び、空気源900の空気管904を配置することができるローラ710、720の間の囲まれた空間を形成する。空間の囲まれた状態が、供給流体が空間を汚染して空気管904を詰まらせる可能性を防止する。
【0059】
図17が、ローラ720および供給流体配送システム800の2つの斜視図を示している。供給流体が、供給流体配送システム800によってローラ720の表面722へと配置される。供給流体配送システム800は、供給流体配送レール802と、供給流体配送管804と、一体化されたドクターブレード806とを備えている。供給流体は、外部の供給流体源から供給流体配送レール802へと導入される。供給流体は、配送レール802に沿い、供給流体配送管804を下り、ローラ720の表面722へと移動する。ドクターブレード806が、流体を所望のあらかじめ選択された流体の厚さで各々の表面722に一様に分布させる。図示の実施形態において、流体配送レール802は、供給流体が送り込まれる単純なチャネルである。
【0060】
別の実施形態において、配送レール802は、マニホールドとして機能して、あらかじめ選択された量の供給流体を各々の供給流体配送管804へと届けることができる。さらに、所望の液滴の特性を実現するために必要なとおりに供給流体を加熱し、あるいは暖めるために、供給流体配送レール802を加熱することもできる。
【0061】
図18が、ローラ710と、余分な流体をローラ710から取り除くドクターブレード704とを示している。ドクターブレード704は、ローラ710のチャネル714内から余分な流体を取り除く突起705を備えている。