(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鍵情報を登録することでシェア車両の車両キーとして作動可能な携帯端末と、車載されたカーシェア装置との間で、無線を通じた前記鍵情報の認証を実行させ、ユーザにより車載機器の操作が行われたとき、認証完了状態となった前記カーシェア装置が、車載された電子キーシステムに対しID照合を経た通信を行うことにより、前記車載機器が作動するカーシェアリングシステムであって、
前記携帯端末が車両に接近したか否かを監視する位置監視部と、
前記携帯端末が前記車両に接近したと前記位置監視部によって判定された際、前記車載機器の作動許可を要求する旨の作動許可要求を前記携帯端末から自動送信させる自動送信部とを備え、
前記自動送信部は、車両ドアのアンロック要求が前記携帯端末から送信された後、当該携帯端末が前記車両に接近したと前記位置監視部によって判定された際、前記携帯端末から前記作動許可要求を自動送信させることを特徴とするカーシェアリングシステム。
鍵情報を登録することでシェア車両の車両キーとして作動可能な携帯端末と、車載されたカーシェア装置との間で、無線を通じた前記鍵情報の認証を実行させ、ユーザにより車載機器の操作が行われたとき、認証完了状態となった前記カーシェア装置が、車載された電子キーシステムに対しID照合を経た通信を行うことにより、前記車載機器が作動するカーシェアリングシステムに使用されるカーシェアリング用プログラムであって、
前記携帯端末が車両に接近したか否かを位置監視部により監視するステップと、
車両ドアのアンロック要求が前記携帯端末から送信された後、当該携帯端末が前記車両に接近したと前記位置監視部によって判定された際、前記車載機器の作動許可を要求する旨の作動許可要求を、自動送信部によって前記携帯端末から自動送信させるステップとを備えたことを特徴とするカーシェアリング用プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、カーシェアリングシステム及びカーシェアリング用プログラムの一実施形態を
図1〜
図5に従って説明する。
図1に示すように、車両(シェア車両)1は、電子キー2との無線によりID照合を行って車載機器3の作動を実行又は許可する電子キーシステム4を備える。電子キーシステム4は、車両1からの通信を契機に狭域無線によりID照合を実行するキー操作フリーシステムである。キー操作フリーシステムは、電子キー2を直に操作することなく自動でID照合(スマート照合)が行われるものである。車載機器3は、例えばドアロック装置5やエンジン6などがある。
【0017】
車両1は、ID照合を行う照合ECU(Electronic Control Unit)9と、車載電装品の電源を管理するボディECU10と、エンジン6を制御するエンジンECU11とを備える。これらECUは、車内の通信線12を介して電気接続されている。通信線12は、例えばCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)である。照合ECU9のメモリ13には、車両1に登録された電子キー2の電子キーIDが登録されている。ボディECU10は、車両ドア14の施解錠を切り替えるドアロック装置5を制御する。
【0018】
車両1は、室外に電波を送信可能な室外送信機16と、室内に電波を送信可能な室内送信機17と、車両1において電波を受信可能な電波受信機18とを備える。室外送信機16及び室内送信機17は、LF(Low Frequency)帯の電波を送信する。電波受信機18は、UHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信する。電子キーシステム4は、LF−UHFの双方向通信となっている。
【0019】
電子キー2は、電子キー2の作動を制御するキー制御部21と、電子キー2において電波を受信する受信部22と、電子キー2において電波を送信する送信部23とを備える。受信部22は、LF電波を受信可能である。送信部23は、UHF電波を送信可能である。キー制御部21のメモリ24には、電子キー2が固有に持つ電子キーIDが登録されている。
【0020】
車両駐車時、電子キー2を起動させるウェイク信号が室外送信機16からLF電波によって送信されているとき、電子キー2は、ウェイク信号の通信エリアに進入して受信すると、待機状態から起動する。このとき、照合ECU9は、起動した電子キー2との間でID照合(室外スマート照合)を開始する。このスマート照合には、例えば電子キーIDの正否を確認する電子キーID照合や、キー固有鍵(暗号鍵)を用いたチャレンジレスポンス認証などが含まれる。照合ECU9は、これら照合や認証が成立するとID照合を成立として処理し、ボディECU10による車両ドア14の施解錠を実行又は許可する。
【0021】
照合ECU9は、例えばドアカーテシスイッチ27等によりユーザの乗車を検出すると、室外送信機16に代えて、室内送信機17からウェイク信号を送信する。このウェイク信号を電子キー2が受信すると、室外のときと同様のID照合(室内スマート照合)が開始される。そして、照合ECU9は、室内スマート照合が成立することを確認すると、運転席に設けられたエンジンスイッチ28による電源状態の遷移操作(エンジン始動操作)を許可する。
【0022】
車両1は、1台の車両1を複数人で共有するカーシェアリングシステム31を備える。本例のカーシェアリングシステム31は、暗号化された鍵情報Kdをサーバ(図示略)から携帯端末33に登録し、鍵情報Kdを復号可能な暗号鍵(カーシェア装置固有鍵)を有するカーシェア装置34が搭載された車両1に対し、車両キー(電子キー)として作動する携帯端末33から鍵情報Kdを送信してカーシェア装置34で認証し、その認証が成立すれば、車載機器3の操作が許可されるものである。
【0023】
カーシェア装置34は、車両1の電子キーシステム4のハード構成から独立しており、車両1に対し後付けされたものとなっている。カーシェア装置34は、例えば予約時間内のときのみ有効になる電子キーの位置付けであり、スペアキーと同様の扱いである。そして、車両1の電子キーシステム4(照合ECU9)は、カーシェア装置34のキー機能の有効/無効が切り替えられることにより、車内に電子キーが出現したり消滅したりすると認識する。カーシェア装置34は、車両1のバッテリ+Bから電源が供給されている。
【0024】
携帯端末33は、携帯端末33の作動を制御する端末制御部42と、携帯端末33のネットワーク通信を可能とするネットワーク通信モジュール43と、携帯端末33の近距離無線通信を可能とする近距離無線モジュール44と、データ書き替え可能なメモリ45とを備える。携帯端末33のメモリ45には、カーシェア装置34との近距離無線通信を暗号通信で行う際に使用するユーザ認証鍵が登録される。近距離無線通信は、例えばブルートゥース(Bluetooth:登録商標)であることが好ましい。ユーザ認証鍵は、例えば生成の度に値が毎回変わる乱数からなるものであって、予めカーシェアリングシステム31に登録されたものでもよいし、或いは車両使用時に生成されて必要な部材に登録されるものでもよい。
【0025】
携帯端末33は、携帯端末33においてカーシェアリングシステム31の作動を管理するユーザインターフェースアプリケーション46と、携帯端末33において車両1をシェアする作動を実行するシェア処理部47を備える。シェア処理部47は、端末制御部42に設けられ、例えばユーザインターフェースアプリケーション46により機能的に生成される。
【0026】
カーシェア装置34は、カーシェア装置34の作動を制御するコントローラ50と、カーシェア装置34のスマート通信を可能とするスマート通信ブロック51と、カーシェア装置34の近距離無線通信を可能とする近距離無線モジュール52と、データ書き替え可能なメモリ53と、カーシェア装置34において日時を管理するタイマ部54とを備える。メモリ53には、カーシェア装置ID及びカーシェア装置固有鍵が予め書き込み保存されている。タイマ部54は、例えばソフトタイマからなる。
【0027】
カーシェア装置34は、メモリ53に鍵情報Kdが登録されている。鍵情報Kdは、例えばサーバ(図示略)で生成されたものが、携帯端末33を経由してカーシェア装置34に登録される。鍵情報Kdは、一時的な使用のみが許可された情報からなり、具体的には、使用が1度のみ許可されたワンタイムキーからなる。
【0028】
カーシェア装置34は、スマート通信ブロック51を通じてカーシェア装置34の通信網を介したID照合(本例はスマート照合)を実行するキー機能部56を備える。キー機能部56は、コントローラ50に設けられている。キー機能部56は、複数人によりシェアされる車両1の車載機器3を、電子キー2と同様の処理を経るID照合を通じて操作可能とする。
【0029】
カーシェア装置34は、携帯端末33で車載機器3を遠隔操作するときに携帯端末33と通信を実行するユーザ認証機能部57を備える。ユーザ認証機能部57は、コントローラ50に設けられている。ユーザ認証機能部57は、携帯端末33で車載機器3が操作されるにあたり、外部(本例はサーバ)で生成された鍵情報Kdを携帯端末33経由で取得し、鍵情報Kdの認証が成立しつつ使用が予約時間内であれば、キー機能部56を有効にして、車載機器3を操作可能とする。
【0030】
カーシェアリングシステム31は、携帯端末33が車両1に接近したか否かを監視する位置監視部60を備える。位置監視部60は、携帯端末33(端末制御部42)に設けられている。車両接近検知は、例えばカーシェア装置34から受信した電波の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)による判定や、携帯端末33に設けた加速度センサによる判定などがある。RSSIによる判定の場合、RSSIが高ければ、車両1に近づいたと判定可能である。また、加速度センサによる判定の場合、携帯端末33の動きを検知しなくなったとき、ユーザが着座したとみなすことが可能である。
【0031】
カーシェアリングシステム31は、携帯端末33が車両1に接近したと位置監視部60によって判定された際、車載機器3の作動許可を要求する旨の作動許可要求を携帯端末33から自動送信させる自動送信部を備える。自動送信部61は、携帯端末33(端末制御部42)に設けられている。本例の自動送信部61は、車両ドア14のアンロック要求が携帯端末33から送信された後、携帯端末33が車両1に接近したと位置監視部60によって判定された際、携帯端末33から車載機器3の作動許可要求を自動送信させる。
【0032】
次に、
図2〜
図5を用いて、本発明の実施例であるカーシェアリングシステム31の作用及び効果を説明する。
図2に、鍵情報認証のシーケンスを図示する。なお、ここでは、照合ECU9のメモリ13とカーシェア装置34のメモリ53とに、それぞれ電子キーID及びキー固有鍵が予め登録されているとする。また、携帯端末33のメモリ45には、サーバに問い合わせを行うことにより、鍵情報Kd(ワンタイムキー)が予め取得されているものとする。
【0033】
ステップ101において、シェア処理部47及びユーザ認証機能部57は、2者間のBLE(Bluetooth Low Energy)の通信を確立するために通信接続を実行する。このとき、カーシェア装置34から定期的に送信されるアドバタイズを携帯端末33が受信すると、携帯端末33から通信接続要求がカーシェア装置34に送信される。そして、カーシェア装置34が携帯端末33に通信接続確認が送信されると、携帯端末33及びカーシェア装置34のBLE通信が確立する。
【0034】
ステップ102において、ユーザ認証機能部57は、通信接続(BLE接続)が完了すると、携帯端末33に登録された鍵情報Kdの通知を要求する鍵情報要求を送信する。
ステップ103において、シェア処理部47は、カーシェア装置34から受信した鍵情報要求に応答して、自身に登録された鍵情報Kd(カーシェアの使用開始要求)をカーシェア装置34に通知する鍵情報通知を送信する。このとき、カーシェア装置34に送信される鍵情報Kdは、カーシェアリングシステム31に登録された所定の暗号鍵(例えばカーシェア装置固有鍵)により暗号化されて送信される。
【0035】
ステップ104において、シェア処理部47及びユーザ認証機能部57は、鍵情報Kdを使用した認証作業を実行する。この認証作業は、例えば鍵情報Kdを正しく復号できることの他に、鍵情報Kdに含まれる種々のパラメータが正しいか否かを確認できることも含む。そして、この認証作業が成立すれば、処理を継続し、認証作業が失敗すれば、BLE通信の接続を停止する。
【0036】
ステップ105において、ユーザ認証機能部57は、認証作業の成立後、キー機能部56をキー機能オン状態(キー機能部56を有効)に切り替える。これにより、カーシェア装置34は、車載された照合ECU9との間でLF−UHFの双方向通信が可能な状態となる。
【0037】
ステップ106において、ユーザ認証機能部57は、鍵情報Kdをカーシェア装置34のメモリ53に保存する。そして、ユーザ認証機能部57は、認証完了状態に移行する。なお、カーシェア装置34は、認証完了状態になると、自身の貸出フラグを使用中に設定する。以上により、カーシェア装置34は、車両ドア施解錠やエンジン始動の操作が可能な状態となる。
【0038】
図3に、シェアする車両1を使用するときのカーシェア装置34の動作を図示し、
図4に、シェアする車両1を使用するときの携帯端末33の動作を図示する。
図3のステップ201において、ユーザ認証機能部57は、使用開始前、携帯端末33との接続待機状態(携帯端末33とのブルートゥース接続待ち)をとる。すなわち、カーシェア装置34は、アドバタイズを定期的に送信し、周囲に携帯端末33が存在するか否かを監視する。
【0039】
ステップ202において、ユーザ認証機能部57は、携帯端末33との通信が接続されると、前述の鍵情報認証の処理(
図2で示す処理)を実行する。この鍵情報認証が成立すれば、携帯端末33及びカーシェア装置34は、認証完了状態となる。
【0040】
ステップ203において、キー機能部56は、鍵情報認証が正常に実行されてカーシェア装置34が認証完了状態に移行すると、ドア制御要求待機状態に移行する。ドア制御要求待機状態は、携帯端末33から送信されるアンロック要求やロック要求を受信するのを待つ状態である。また、車両1が駐車状態(ドアロック状態及びエンジン停止)であれば、キー機能部56は、携帯端末33からのアンロック要求待ちに入る。なお、キー機能部56が施解錠要求待機状態に移行しても、キー機能部56が有するスマート機能は、まだオフ状態(停止状態)に維持される。また、ドア制御要求待機状態をとるときにBLEの通信が切断されると、ステップ201に戻る。
【0041】
一方、
図4のステップ301において、シェア処理部47は、カーシェア装置34から送信されるアドバタイズを携帯端末33で受信すると、携帯端末33及びカーシェア装置34がブルートゥース接続されたと判断する。
【0042】
ステップ302において、シェア処理部47は、携帯端末33及びカーシェア装置34の間のブルートゥース通信が接続されると、携帯端末33をユーザの操作待ち状態に移行させる。ユーザ操作待ち状態は、例えば携帯端末33で車載機器3がブルートゥースを通じて遠隔操作されるのを待つ状態をいう。
【0043】
ステップ303において、シェア処理部47は、携帯端末33においてユーザによるアンロック操作を検出すると、車両ドア14のアンロックを要求する旨のアンロック要求をカーシェア装置34に送信する。
【0044】
図3に戻り、同図のステップ204において、キー機能部56は、ドア制御要求待機状態(アンロック要求待ち)のときに携帯端末33からアンロック要求を受信すると、アンロック作動を開始する。アンロック要求は、例えば携帯端末33に表示されたアンロックボタン65が操作されたことを契機に、携帯端末33からカーシェア装置34に送信される。アンロック要求は、カーシェア装置34にアンロック作動を要求するものであって、カーシェアリングシステム31に登録された所定の暗号鍵により暗号化されて送信される。
【0045】
キー機能部56は、携帯端末33からキー制御要求としてアンロック要求を受信すると、それに準じたアンロック要求(電子キーIDを含む)をスマート通信ブロック51から照合ECU9にUHF送信する。すなわち、カーシェア装置34は、車両ドア14のアンロック要求を、カーシェア装置34の通信網(UHF通信)を介して照合ECU9に送信する。
【0046】
照合ECU9は、カーシェア装置34から受信したアンロック要求を、通信線12を通じてボディECU10に出力する。ボディECU10は、照合ECU9からアンロック要求を入力すると、これを契機にしてドアロック装置5を通じ車両ドア14をアンロック状態に切り替える。これにより、車両ドア14がアンロックされ、車内への乗車が許可される。
【0047】
ユーザ認証機能部57は、携帯端末33からアンロック要求を受信したとき、アンロック要求のログをカウントアップする。ユーザ認証機能部57は、アンロック要求のログをカウントアップした後、キー制御通知としてアンロック送信通知を携帯端末33に送信する。アンロック送信通知は、カーシェア装置34がアンロック要求を電子キーシステム4に送信した旨の通知であって、カーシェアリングシステム31に登録された所定の暗号鍵により暗号化されて送信される。シェア処理部47は、カーシェア装置34からアンロック送信通知を受信すると、アンロック要求の送信が完了した旨を画面上に表示する。
【0048】
ステップ205において、カーシェア装置34は、車両ドア14がアンロック状態に移行すると、携帯端末33から送信される作動許可要求の受信を待つ作動許可要求待機状態に移行する。本例の場合、カーシェア装置34は、携帯端末33から送信されるエンジン始動許可要求を受信するのを待つエンジン始動許可要求待機状態に移行する。エンジン始動許可要求は、携帯端末33でエンジン始動の許可操作が行われたときに携帯端末33から送信されるものである。なお、カーシェア装置34がエンジン始動許可要求待機状態に移行しても、キー機能部56のスマート機能は、まだオフ状態(停止状態)に維持される。
【0049】
一方、
図4のステップ304において、位置監視部60は、携帯端末33からアンロック要求が送信された後、携帯端末33が車両1に接近した状態になったか否かを監視する車両接近検出状態に移行する。ここで、例えばRSSIによる判定の場合、携帯端末33及びカーシェア装置34の間で定期的にブルートゥース通信を実行させ、このときのRSSIを測定する。そして、RSSIが閾値以上となったとき、携帯端末33が車両1に十分に接近したと判定する。また、加速度センサによる判定の場合、加速度センサの出力により携帯端末33に動きが発生していないと検知されたとき、ユーザが着座したとして、車両1に十分接近したと判定する。
【0050】
ステップ305において、自動送信部61は、ユーザ(携帯端末33)が車両1に接近したと判定されると、車載機器3の作動許可を要求する作動許可要求(本例はエンジン始動許可要求)を、ブルートゥース通信によりカーシェア装置34に自動送信する。これにより、ユーザが携帯端末33を特に操作することなく、携帯端末33から作動許可要求が送信される。
【0051】
図3に戻り、ステップ206において、キー機能部56は、エンジン始動許可要求待機状態において、携帯端末33からエンジン始動許可要求を受信すると、自身のスマート機能がオン状態(有効)に切り替わることが許可される。すなわち、車両ドア14がアンロック状態のとき、携帯端末33からエンジン始動許可要求を受信すると、キー機能部56のスマート機能がオン状態に切り替わることが許可される。
【0052】
ステップ207において、キー機能部56は、携帯端末33からエンジン始動許可要求を受信したことにより、自身のスマート機能をオン状態(起動状態)に切り替える。これにより、カーシェア装置34は、スマート通信機能有効状態に移行し、電子キーシステム4の通信網を通じて照合ECU9とスマート照合(スマート照合)を行うことが可能となる。
【0053】
図5に、車両1のエンジン6を始動するときのシーケンスを図示する。エンジン6を始動させるときには、例えばユーザがブレーキ操作しながら運転席のエンジンスイッチ28を押し操作する。
【0054】
ステップ501において、照合ECU9は、カーシェア装置34及びユーザインターフェースアプリケーション46が認証完了状態をとるとき、ブレーキ操作されながらエンジンスイッチ28が押し操作されたことを確認すると、カーシェア装置34との間で電子キーシステム4に準じたID照合(スマート照合)を実行する。カーシェア装置34は、このスマート照合をキー機能部56のスマート機能により実行する。
【0055】
このとき、照合ECU9は、室内送信機17からウェイク信号をLF送信し、このウェイク信号の応答であるアック信号をカーシェア装置34から受信すると、スマート照合を開始する。このときのスマート照合では、通常のスマート照合と同様に、電子キーIDの照合や、キー固有鍵を用いたチャレンジレスポンス認証等が実行される。照合ECU9は、このスマート照合が成立することを確認すると、エンジン始動を許可する。一方、照合ECU9は、このスマート照合が不成立であることを確認すると、エンジン始動を不可とする。
【0056】
ステップ502において、照合ECU9は、スマート照合が成立することを確認すると、通信線12を通じてエンジン始動要求をエンジンECU11に出力する。
ステップ503において、エンジンECU11は、照合ECU9からエンジン始動要求を入力したことを契機に、エンジン6を始動させる。
【0057】
また、エンジン6の始動中にエンジンスイッチ28が押し操作されると、エンジン6が停止する。カーシェア装置34は、エンジン停止後、ユーザが降車したことをドアカーテシスイッチ27により確認すると、ドア制御要求待機状態としてロック要求待ちに入る。すなわち、カーシェア装置34は、ユーザが携帯端末33を使用して車両ドア14のロック操作を実行したか否かを監視する。
【0058】
図3に戻り、ステップ208において、カーシェア装置34は、車両ドア14がアンロック状態下で携帯端末33からロック要求を受信すると、ロック要求待ちでロック要求を受信したことを契機に、車両ドア14をロックさせる。なお、ロック作動は、アンロック作動と同様の処理であるので、説明を省略する。そして、カーシェア装置34は、車両ドア14がロックされると、携帯端末33との接続待機状態(ステップ201)に戻る。このとき、キー機能部56のスマート機能は、これまでのオン状態からオフ状態に戻される。
【0059】
さて、本例の場合、カーシェアリングシステム31を通じて携帯端末33により車両1を操作するにあたっては、携帯端末33が車両1に十分接近して、携帯端末33から車両1に作動許可要求が送信されないと、車両1を作動させることができない。よって、携帯端末33で車両1を操作する際には、携帯端末33を所持するユーザが車両1に十分近づいていることが条件となるので、シェアする車両1を使用するときのセキュリティ性を確保することができる。また、作動許可要求は携帯端末33から自動で車両1に送信されるので、作動許可要求を送信するにあたって、ユーザは別途操作をせずに済む。よって、ユーザの利便性を確保することもできる。
【0060】
カーシェア装置34は、電子キーシステム4に有線で接続されておらず、無線を通じて電子キーシステム4を相手にした作動を実行する。よって、カーシェア装置34を容易に車両1に後付けすることができる。
【0061】
自動送信部61は、車両ドア14のアンロック要求が携帯端末33から送信された後、携帯端末33が車両1に接近したと位置監視部60によって判定された際、携帯端末33から作動許可要求を自動送信させる。このため、車両ドア14をアンロックに切り替えた後に、携帯端末33が車両1接近したか否かを監視して作動許可要求を自動送信する一連の処理が行われるので、ユーザに乗車の意志があるときに作動許可要求を送信させることが可能となる。よって、作動許可要求の自動送信をユーザの意志に沿った的確なものとすることができる。
【0062】
位置監視部60及び自動送信部61は、携帯端末33に設けられている。よって、車両接近状態の監視と作動許可要求の自動送信とを携帯端末33側で行うので、この種の機能をカーシェア装置34に設けずに済む。
【0063】
キー機能部56は、携帯端末33から車両ドア14のアンロック要求を受信すると、車載機器3の作動許可要求の受信を待つ作動許可要求待機状態に移行し、作動許可要求待機状態のとき、携帯端末33から作動許可要求を受信すると、スマート機能がそれまでのオフ状態からオン状態に切り替わる。このため、カーシェアリングシステム31を通じて携帯端末33により車両1を操作するにあたっては、携帯端末33から作動許可要求をカーシェア装置34に送信してキー機能部56のスマート機能を有効に切り替えなければ、スマート通信を通じたID照合を実行することができず、車両1を作動させることができない。よって、携帯端末33で車両1を操作する際には、スマート機能を有効に切り替える条件を満足させるという処理が別途必要となるので、スマート機能が無条件に有効となっている場合に比較して、シェアする車両1を使用するときのセキュリティ性を確保するのに一層有利となる。
【0064】
作動許可要求は、車両1のエンジン6を始動させることを要求するエンジン始動許可要求である。よって、車両1のエンジン6を始動させる際には、携帯端末33からエンジン始動許可要求を車両1に送信する必要があるので、エンジン6が不正に始動されてしまう状況を生じ難くすることができる。
【0065】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・自動送信される作動許可要求は、エンジン始動許可要求に限定されない。例えば、作動許可要求はエンジン始動実行要求でもよく、この場合、車両1が携帯端末33からエンジン始動実行要求を受信すると、その時点でエンジン6を始動させる。このように、作動許可要求は、適宜、種々の内容の要求に変更可能である。
【0066】
・作動許可要求の送信タイミングは、車両ドア14のアンロック要求を送信した後に限定されず、他のタイミングに変更可能である。
・車両接近検知の仕方は、RSSIや加速度センサを用いた方法に限定されず、例えばカメラの撮影画像から判定するなど、他の方法に変更可能である。
【0067】
・車両接近状態を監視して作動許可要求を自動送信する一連の処理は、車両1を使用(乗車)する度に行われてもよいし、シェア開始時のみ行われてもよい。
・スマート機能の有効期間に制限時間を設けてもよい。
【0068】
・位置監視部60は、携帯端末33側に設けられることに限定されず、例えばカーシェア装置34側に設けられてもよい。すなわち、車両接近状態の監視は、携帯端末33側ではなく、カーシェア装置34側で行ってもよい。
【0069】
・鍵情報Kdは、カーシェア装置固有鍵により暗号化されて付与されることに限定されず、他の暗号鍵を使用して付与されてもよい。
・鍵情報Kdに含ませる内容は、実施例以外の態様に変更可能である。
【0070】
・S104の認証作業(鍵情報Kdを用いた認証)は、実施例で述べた例に限定されず、他の態様に変更可能である。
・鍵情報Kdは、サーバで生成されることに限定されず、外部であれば、いずれの場所でもよい。
【0071】
・操作フリーの電子キーシステム4は、車内外に送信機を配置して電子キー2の位置を確認しながらスマート照合を行うシステムに限定されない。例えば、車体の左右にLFアンテナを配置し、これらアンテナから送信される電波に対する電子キー2の応答を確認することで、電子キーの車内外位置を判定するシステムでもよい。
【0072】
・車載される電子キーシステム4は、例えば電子キー2からの通信を契機にID照合が実行されるワイヤレスキーシステムとしてもよい。
・電子キー2は、スマートキー(登録商標)に限定されず、ワイヤレスキーとしてもよい。
【0073】
・近距離無線通信は、ブルートゥース通信に限定されず、他の通信方式に変更可能である。
・各々の通信に使用する通信方式や周波数は、実施形態に述べた例に限定されず、他に変更可能である。
【0074】
・電子キーシステム4に課すID照合は、チャレンジレスポンス認証を含む照合に限定されず、少なくとも電子キーID照合を行うものであればよく、どのような認証や照合を含んでいてもよい。
【0075】
・鍵情報Kdは、ワンタイムキーに限定されず、使用が制限された情報であればよい。
・暗号通信に使用する暗号鍵は、例えばカーシェア装置固有鍵、ユーザ認証鍵、キー固有鍵のうち、どの暗号鍵を使用してもよい。例えば、処理の途中で使用する暗号鍵を切り替えれば、通信のセキュリティ性を確保するのに有利となる。また、使用する暗号鍵は、前述した鍵に限定されず、種々のものに変更してもよい。
【0076】
・カーシェア装置34の搭載場所は、特に限定されない。
・携帯端末33は、高機能携帯電話に限定されず、種々の端末に変更可能である。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0077】
(イ)前記カーシェアリングシステム及びカーシェアリング用プログラムにおいて、前記鍵情報は、使用が1度のみ許可されたワンタイムキーからなることが好ましい。この構成によれば、鍵情報を一度のみ使用できるものとしたので、車両使用に対するセキュリティ性を確保することが可能となる。
【0078】
(ロ)前記カーシェアリングシステム及びカーシェアリング用プログラムにおいて、前記鍵情報は、前記カーシェア装置が個々に有する固有のカーシェア装置固有鍵によって暗号化されていることが好ましい。この構成によれば、鍵情報は暗号通信で送付されるので、鍵情報を付与する際のセキュリティ性を確保することが可能となる。
【0079】
(ハ)前記カーシェアリングシステム及びカーシェアリング用プログラムにおいて、前記鍵情報は、ネットワーク通信を通じて前記車両のシェアを管理するサーバで生成されることが好ましい。この構成によれば、鍵情報をサーバにて安全に生成することが可能となる。
【0080】
(二)前記カーシェアリングシステム及びカーシェアリング用プログラムにおいて、前記キー機能部が電子キーシステムとID照合するときに行う暗号通信と、前記携帯端末により前記車両を操作するときに前記ユーザ認証機能部及び前記携帯端末が行う暗号通信とは、機能的に分離されていることが好ましい。この構成によれば、これら暗号通信のうち、一方の暗号鍵が盗み取られても、これが他方の暗号通信に使用できるものとはならない。よって、車両使用に対するセキュリティ性を確保するのに一層有利となる。