特許第6670813号(P6670813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670813
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】3次元物体を付加製造するための装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 3/105 20060101AFI20200316BHJP
   B29C 64/25 20170101ALI20200316BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20200316BHJP
   B29C 64/371 20170101ALI20200316BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20200316BHJP
   B29C 64/214 20170101ALI20200316BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20200316BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   B22F3/105
   B29C64/25
   B29C64/264
   B29C64/371
   B33Y30/00
   B29C64/214
   B22F3/16
   B28B1/30
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-217172(P2017-217172)
(22)【出願日】2017年11月10日
(65)【公開番号】特開2018-80390(P2018-80390A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2017年11月10日
(31)【優先権主張番号】10 2016 121 770.0
(32)【優先日】2016年11月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506154834
【氏名又は名称】ツェーエル・シュッツレヒツフェアヴァルトゥングス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ドレッセル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクトル・エンゲル
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ディラー
(72)【発明者】
【氏名】フローリアーン・ベックマン
【審査官】 池ノ谷 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/189619(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0291331(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102014000022(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00−8/00
B29C 64/00−64/40
B29C 67/00−67/24
B33Y 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定義されたプロセスチャンバ高さ(H)を持つ装置側のプロセスチャンバ(7)内で、エネルギービームによって硬化可能な造形材料(3)からなる造形材料層の、連続した層ごとの選択的な照射、およびこれに伴う、連続した層ごとの選択的な硬化によって、3次元物体(2)を付加製造するための装置(1)であって、
前記装置が
記プロセスチャンバ(7)を1つの流入領域(9)と1つの流出領域(10)との間で貫流する、不活性な、ガス流(11)を生成するために設けられた少なくとも1つの流れ生成装置(8)を備え、
前記ガス流(11)が前記プロセスチャンバ(7)を全プロセスチャンバ高さ(H)にわたって貫流し、前記ガス流(11)が前記プロセスチャンバ(7)を平行に重なって貫流する、複数の部分ガス流(11a〜11c)を含み、
前記複数の部分ガス流(11a〜11c)は、
下方のプロセスチャンバ境界と前記プロセスチャンバ(7)の第1の高さ区間(H1)との間の、第1の流れ領域内を前記下方のプロセスチャンバ境界に沿って前記プロセスチャンバ(7)を通って流れる第1の部分ガス流(11a)と、
前記プロセスチャンバ(7)の前記第1の高さ区間(H1)と上方のプロセスチャンバ境界との間の、別の流れ領域内を、前記上方のプロセスチャンバ境界に沿って、前記プロセスチャンバ(7)を通って流れる少なくとも1つの別の部分ガス流(11b、11c)を含み、
前記少なくとも1つの別の部分ガス流(11b、11c)は、その少なくとも一部が前記第1の部分ガス流(11a)の直ぐ上方を流れ、前記第1の部分ガス流(11a)は、前記第1の部分ガス流(11a)の直ぐ上方を流れる前記少なくとも1つの別の部分ガス流(11b、11c)の前記少なくとも一部よりも速い流速を持つ装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの別の部分ガス流(11b、11c)は、前記プロセスチャンバ(7)の前記第1の高さ区間(H1)と前記プロセスチャンバ(7)の第2の高さ区間(H2)との間の、第2の流れ領域内を前記プロセスチャンバ(7)を通って流れる第2の部分ガス流(11c)を含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの別の部分ガス流(11b、11c)は、前記プロセスチャンバ(7)の前記第2の高さ区間(H2)と前記上方のプロセスチャンバ境界との間の、第3の流れ領域内を前記上方のプロセスチャンバ境界に沿って流れる第3の部分ガス流(11b)を含む請求項に記載の装置
【請求項4】
記第3の部分ガス流(11b)は、少なくとも前記第2の部分ガス流(11c)よりも速い流速を持ち、前記第3の部分ガス流(11b)は、前記第2の部分ガス流(11c)の直ぐ上方を流れる請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の部分ガス流(11a)は、前記第3の部分ガス流(11b)よりも速い流速を持つ請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの流れ生成装置(8)は
つの第1の部分ガス流(11a)を生成するために設けられた第1の流れ生成装置(14)と、
なくとも1つの別の部分ガス流(11b、11c)を生成するために設けられた少なくとも1つの別の流れ生成装置(14)と、
を含む請求項1から5のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つの流れ生成装置(8)は
1の部分ガス流(11a)を生成するために設けられた第1の流入構成要素(9a)または第1の流入構成要素(9a)群と、
別の部分ガス流(11b、11c)を生成するために設けられた少なくとも1つの別の流入構成要素(9b、9c)または少なくとも1つの別の流入構成要素(9b、9c)群と、
を含む請求項1から6のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの流れ生成装置は
1の部分ガス流(11a)を生成するために設けられ、前記第1の流入構成要素(9a)の上流に設けられた第1の流れ案内構成要素構成(16a)と、
つの別の部分ガス流(11b)を生成するために設けられ、対応する前記少なくとも1つの別の流入構成要素(9b、9c)の上流に設けられた少なくとも1つの別の流れ案内構成要素構成(16b)と、
を含む請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの流れ生成装置(8)は、
第1の部分ガス流(11a)の形成のもとでまたは形成のために、ガスを前記プロセスチャンバ(7)内へ流入するために設けられている、第1の流入構成要素(9a)または第1の流入構成要素(9a)群と、
別の部分ガス流(11b、11c)の形成のもとでまたは形成のために、ガスを前記プロセスチャンバ(7)内へ流入するために設けられている、少なくとも1つの別の流入構成要素(9b、9c)または少なくとも1つの別の流入構成要素(9b、9c)群とを含む請求項1から8のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
記第1の流入構成要素(9a)または前記第1の流入構成要素(9a)群は、移動可能に支承されている請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の流入構成要素(9a)または前記第1の流入構成要素(9a)群は、選択的に硬化すべき造形材料層を造形平面に形成するために設けられたコーティング装置(6)の機能構成要素上またはその中に、配置されているかまたは形成され
前記コーティング装置(6)の前記機能構成要素は、前記プロセスチャンバ(7)の内側で、前記造形平面に対して相対的に移動可能に支承されている請求項10に記載の装置
【請求項12】
前記コーティング装置(6)の前記機能構成要素は、コーティング本体(6a)を含み、前記コーティング本体(6a)は、コーティング構成要素(6b)を支持するよう構成されている請求項11に記載の装置。
【請求項13】
記流出領域(10)は、前記プロセスチャンバ(7)側方において前記プロセスチャンバ(7)を境界付けるプロセスチャンバ壁(7d)に配置されるまたは形成されている請求項1から11のいずれか一つに記載の装置。
【請求項14】
前記流出領域(10)は、前記プロセスチャンバ壁(7d)の中央部に配置されるまたは形成され、前記プロセスチャンバ壁(7d)は、円錐形状である請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定義されたプロセスチャンバ高さを持つ装置側のプロセスチャンバ内で、エネルギービームによって硬化可能な造形材料からなる造形材料層の、連続した層ごとの選択的な照射、およびこれに伴う、連続した層ごとの選択的な硬化によって、3次元物体を付加製造するための装置であって、
前記装置が、1つの流れ生成装置を備え、
この流れ生成装置が、前記プロセスチャンバを1つの流入領域と1つの流出領域との間で貫流する、特に不活性な、ガス流を生成するために設けられている様式の前記装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置は、3次元物体を付加製造するために、それ自体として公知である。
相応する装置を用いて製造すべき3次元物体は、1つのプロセスチャンバ内で、層に関係づけられた、製造すべき物体の横断面に対応する領域内で、
エネルギービームによって硬化可能な造形材料からなる造形材料層の連続した層ごとの選択的な照射、およびこれに伴う、連続した層ごとの選択的な硬化によって付加的に造形される。
【0003】
プロセスに条件付けられて発生する微粒子状の汚染物質、すなわち特に煤微粒子および/または煙微粒子をプロセスチャンバから除去するために、1つの流れ生成装置を設けることは公知であり、この流れ生成装置はプロセスチャンバをプロセスチャンバ側の流入領域とプロセスチャンバ側の流出領域の間を貫流する、特に不活性な、ガス流を生成するために設けられている。
【0004】
プロセスチャンバからの、プロセスに条件付けられて発生する微粒子状の汚染物質の除去の効率を鑑みて、それぞれの流れ生成装置の絶え間ない更なる発展の必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、プロセスに条件付けられて発生する微粒子状の汚染物質をプロセスチャンバから除去する効率に鑑みて、3次元物体を付加製造するための、改善された装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は請求項1による3次元物体を付加製造するための装置によって解決される。これに従属する請求項はこの装置の可能な実施形態に関する。
【0007】
ここで説明される装置(「設備」)は、3次元物体を、すなわち例えば技術的構造部材または技術的構造部材群を、
層に関係づけられた、製造すべき物体の横断面に対応する領域内で、
硬化可能な造形材料からなる造形材料層の、連続した層ごとの選択的な照射、およびこれに伴う、連続した層ごとの選択的な硬化によって付加製造するために、
設けられている。
この造形材料は、特に微粒子状または粉末形状の、金属材料、プラスチック材料および/またはセラミック材料であり得る。
それぞれの選択的に硬化されるべき造形材料層の選択的な硬化は、物体に関連した造形データを基礎として実施される。
相応する造形データは、それぞれ付加製造すべき物体の幾何的・構造的形状を記述し、且つ、例えば付加製造すべき物体の「スライスされた(geslicte)」CADデータを含むことができる。この装置は、SLM装置、すなわち選択的レーザ溶融方法(SLM方法)を実施するための装置として、またはSLS装置、すなわち選択的レーザ焼結方法(SLS方法)を実施するための装置として形成されることができる。
【0008】
この装置は、付加造形過程を実施するために、典型的に必要とされる機能構成要素を備えている。これに関して、特に、選択的に硬化されるべき造形材料層(装置の製造ステージ内で)を形成するために設けられているコーティング装置と、選択的に硬化されるべき造形材料層(装置の製造ステージ内で)を選択的に照射するために設けられている照射装置とが対象として挙げられる。
このコーティング装置は、複数の構成部分、すなわち例えば1つの特にブレード状の層形成工具を含むコーティング構成要素、および定義された移動路に沿ってコーティング構成要素を導くための案内装置を含むことができる。照射装置も複数の構成部分を含むことができ、すなわち例えばエネルギービームまたはレーザビームの生成のためのビーム発生装置、ビーム発生装置で生成されたエネルギービームまたはレーザビームを、選択的に硬化させるべき造形材料層の照射領域上に方向変換するためのビーム方向変換装置(スキャナ装置)、および各種の光学的構成要素、例えばフィルタ構成要素、対物レンズ構成要素、レンズ構成要素、等を含む。
【0009】
この装置は、不活性化が可能なプロセスチャンバを含む。プロセスチャンバは、プロセスチャンバ境界によって空間的・物質的(raeumlich−koerperlich)に境界付けされている。このプロセスチャンバは、1つの上方のおよび下方のプロセスチャンバ境界によって定義されたプロセスチャンバ高さを持つ。上方のプロセスチャンバ境界は、プロセスチャンバの天井側を境界付けるプロセスチャンバ壁であり得る。下方のプロセスチャンバ境界は、プロセスチャンバの底側を境界付けるプロセスチャンバ壁であり得る。下方のプロセスチャンバ境界は、少なくとも1つの粉末モジュール、特にその中の粉末収容スペース(製造すペース)内で本来の3次元物体の付加製造が行われる造形モジュールを含む粉末モジュール造形群の表面または表面側であり得る。
相応する粉末モジュール造形群は、粉末モジュール造形群側の(機械的な)結合接続部を介して、プロセスチャンバ側の(機械的な)結合接続部を含む接合領域上に、プロセスチャンバ壁上に、特にプロセスチャンバを側方から境界付けるプロセスチャンバ壁上に、接合可能である。
【0010】
この装置は、1つの流れ生成装置を含み、この流れ生成装置が、プロセスチャンバをプロセスチャンバ側の流入領域とプロセスチャンバ側の流出領域との間で貫流する、特に不活性なガス流、すなわち例えばアルゴン気流または窒素気流を生成するために設けられている。このプロセスチャンバ側の流入領域およびプロセスチャンバ側の流出領域は、典型的には相互に対向して位置し、特にプロセスチャンバを側方から境界付けるプロセスチャンバ境界またはプロセスチャンバ壁に配置されているかまたは形成されている。このガス流は、プロセスチャンバを特に全幅または全長にわたって貫流する。
【0011】
このガス流は、プロセスチャンバをどのような場合でも全プロセスチャンバ高さにわたって貫流する。この流れ生成装置は、それゆえに、プロセスチャンバを全プロセスチャンバ高さにわたって貫流するガス流を生成するために設けられている。これに関連して、高さの方向に見て、ガス流が貫流しないプロセスチャンバ領域は存在しない。これに関連して、流入領域は、典型的には同じく全プロセスチャンバ高さに延在するが、しかしながら、このことは必ずしも必要であるわけではない。何故ならば、ガス流がプロセスチャンバをその全プロセスチャンバ高さにわたって貫流することは、ガス流またはガス流の一部を1つの適当な整向状態を介して、同様に達成され得るからである。
【0012】
加えてこのガス流は、プロセスチャンバを平行に重なって貫流する、複数の部分ガス流に分割されている。それぞれの部分ガス流は、それぞれの部分ガス流の流れ特性に関わる、少なくとも1つの流れパラメータにおいて区別される。流れパラメータは、特に流速に関するものである。流れ生成装置は、それゆえに、このガス流を複数の、プロセスチャンバを平行に重なって貫流する個々のガス流または部分ガス流に分割するように設けられていて、それらは少なくとも1つの、それぞれの部分ガス流の流れ特性に関わる流れパラメータで区別される。それぞれの、平行に重なってプロセスチャンバを貫流する部分ガス流は、全体でプロセスチャンバを貫流するガス流を形成する。このガス流は、これに関連し、異なった部分ガス流によって形成された、平行に重なって位置する異なった流れ領域を含み、その領域の中を異なった流れ特性を持ったガス流がプロセスチャンバを貫流する。
【0013】
この流れ生成装置は、それゆえに、典型的には、
第1の流入構成要素または第1の流入構成要素群を含み、前記第1の流入構成要素または第1の流入構成要素群が、第1の部分ガス流の形成のもとでまたは形成のために、ガスをプロセスチャンバ内へ流入させるために設けられており、および、
少なくとも1つの別の流入構成要素または少なくとも1つの別の流入構成要素群を含み、前記少なくとも1つの別の流入構成要素または少なくとも1つの別の流入構成要素群が、少なくとも1つの別の部分ガス流の形成のもとでまたは形成のために、ガスをプロセスチャンバ内へ流入させるために設けられている。
それぞれの流入構成要素は、少なくとも1つの、特にノズル状のまたはノズル形状の流入開口を含む。それぞれの流入構成要素は、少なくとも区間的に、流れに影響を与える構造、すなわち例えば格子構造またはハニカム構造を備えることができ、それらはそれぞれの流入開口の格子状もしくはハニカム状の、または、格子形状もしくはハニカム形状の配置および/または構成によって形成されている。
【0014】
プロセスガス流がプロセスチャンバから流出するために、流出領域が少なくとも1つの流出構成要素を含むことをここで注記しておく。それぞれの流出構成要素は、少なくとも1つの、場合によってはノズル状のまたはノズル形状の流出開口を含む。
【0015】
ガス流がプロセスチャンバを全プロセスチャンバ高さにわたって貫流し、また複数の異なった流れ特性の、すなわち特に異なった流速の部分ガス流が使用されることで、相応の微粒子状の汚染物質をプロセスチャンバから除去する効率が高まる。ガス流がプロセスチャンバを全プロセスチャンバ高さにわたって貫流し、また複数の異なった流れ特性の、すなわち特に異なった流速の部分ガス流が使用されることで、加えて望ましくない渦形成が回避される。全体としてこれによって、特にプロセスに条件付けられて発生する微粒子状の汚染物質をプロセスチャンバから除去する効率に鑑みて、3次元物体を付加製造するための改善された装置が提供される。
【0016】
この流れ生成装置は、特に、1つの下方のプロセスチャンバ境界、特にプロセスチャンバ底側を境界付けるプロセスチャンバ壁と、プロセスチャンバの第1の高さ区間との間の、第1の流れ領域内を、下方のプロセスチャンバ境界に沿って、特にプロセスチャンバ底側を境界付けるプロセスチャンバ壁に沿って、プロセスチャンバを通って流れる、1つの第1の部分ガス流(下方部分ガス流)と、
プロセスチャンバの第1の高さ区間と上方のプロセスチャンバ境界、特にプロセスチャンバ天井側を境界付けるプロセスチャンバ壁との間の、別の流れ領域内を、上方のプロセスチャンバ境界に沿って、特にプロセスチャンバ天井側を境界付けるプロセスチャンバ壁に沿って、プロセスチャンバを通って流れる1つの別の(または第2の)部分ガス流(上方部分ガス流)とを生成するために設けられることができる。この流れ生成装置は、それゆえに、ガス流を2つの相応する部分ガス流に分割するために設けられることができる。
【0017】
したがって、このガス流は、(正確に)2つの部分ガス流に分割されることができ、この際に第1の部分ガス流が、下方のプロセスチャンバ境界とプロセスチャンバの第1の高さ区間との間の、第1の流れ領域内を、下方のプロセスチャンバ境界に沿って、プロセスチャンバを通って流れ、および、
別の部分ガス流が、プロセスチャンバの第1の高さ区間と、上方のプロセスチャンバ境界との間の、別の流れ領域内を、上方のプロセスチャンバ境界に沿って、プロセスチャンバを通って流れることができる。
【0018】
しかしながら流れ生成装置が、1つの下方のプロセスチャンバ境界、特にプロセスチャンバ底側を境界付けるプロセスチャンバ壁と、プロセスチャンバの第1の高さ区間との間の第1の流れ領域内を、下方のプロセスチャンバ境界に沿って、特にプロセスチャンバ底側を境界付けるプロセスチャンバ壁に沿ってプロセスチャンバを通って流れる第1の部分ガス流(下方部分ガス流)と、
プロセスチャンバの第1の高さ区間とプロセスチャンバの第2の高さ区間との間の第2の流れ領域内を、プロセスチャンバを通って流れる第2の部分ガス流(中央部分ガス流)と、
プロセスチャンバの第2の高さ区間と上方のプロセスチャンバ境界、特にプロセスチャンバ天井側を境界付けるプロセスチャンバ壁との間の第3の流れ領域内を、上方のプロセスチャンバ境界に沿って、特にプロセスチャンバ天井側を境界付けるプロセスチャンバ壁に沿ってプロセスチャンバを通って流れる第3の部分ガス流(上方部分ガス流)とを生成するように設けられていることも考えられる。
この流れ生成装置はそれゆえにガス流を(正確に)3つの部分ガス流に分割するように設けられることができる。
【0019】
したがってこのガス流は、3つの部分ガス流に分割されることができ、この際に第1の部分ガス流が、下方のプロセスチャンバ境界とプロセスチャンバの第1の高さ区間との間の第1の流れ領域内を、下方のプロセスチャンバ境界に沿ってプロセスチャンバを通って流れ、
第2の部分ガス流が、プロセスチャンバの第1の高さ区間とプロセスチャンバの第2の高さ区間との間の第2の流れ領域内を、プロセスチャンバを通って流れ、
第3の部分ガス流は、プロセスチャンバの第2の高さ区間と上方のプロセスチャンバ境界との間の第3の流れ領域内を、上方のプロセスチャンバ境界に沿ってプロセスチャンバを通って流れる。
【0020】
もちろんこのガス流を3つ以上の部分ガス流に分割することも可能である。前述の実施形態は相応するものと見なされる。
【0021】
どのような場合でも、この第1の部分ガス流は、そこではエネルギービームによって硬化可能な造形材料からなる造形材料層の連続した層ごとの選択的な照射、およびこれに伴う、連続した層ごとの選択的な硬化が行われる、装置の製造ステージの直ぐ上方に流入する。これに関連し、この第1の部分ガス流は、特にプロセスに条件付けられて発生する汚染物質を製造ステージの領域から除去する。
【0022】
別の部分ガス流、すなわち2つの部分ガス流の場合の第2の部分ガス流は、および、3つの部分ガス流の場合の第3の部分ガス流は、プロセスチャンバの天井側を境界付けるプロセスチャンバ境界またはプロセスチャンバ壁に沿って、直ぐ傍で流れる。この別の部分ガス流は、この際に典型的には、エネルギービームまたはレーザビームをプロセスチャンバに入射するために設けられている、例えばエネルギービーム入射ウインドウの形態の、エネルギービーム入射装置の直ぐ下方に流れる。この別の部分ガス流はこれに関連し、特にプロセスに条件付けられて発生する汚染物質をエネルギービーム入射装置の領域から除去する。
【0023】
この第1の部分ガス流は、少なくともその直ぐ上方を流れる別の部分ガス流よりもより速い流速を持つことができる。このようにして、プロセスに条件付けられて発生する汚染物質を製造ステージの領域から効率良く除去することが保障される。
【0024】
それが存在する場合は、第3の部分ガス流は、少なくともその直ぐ下方を流れる第2の部分ガス流よりもより速い流速を持つことができる。このようにして、プロセスに条件付けられて発生する汚染物質をエネルギービーム入射装置の領域から効率良く除去することが保障される。3つの部分ガス流の場合は、ガス流の流速の分布は、比較的速い流速を持つ、下方のプロセスチャンバ境界内、特に製造ステージの領域、および上方のプロセスチャンバ境界の領域内、特にエネルギービーム入射装置の領域、ならびに1つの比較的低い流速のそれらの間に位置する領域が結果として生じ得る。
下方のおよび上方の流れ領域内の合目的な流速の増加によって、そこでは造形部品の品質またはプロセスの品質に対して特に重要な不利な影響に相応する、プロセスに条件付けられて発生する汚染物質を低減することができ、場合によっては起こり得る、プロセスチャンバを通るエネルギービームまたはレーザビーム上への流速による不利な影響は、その間に位置する中央の流れ領域の比較的低い流速で阻止することができる。
【0025】
この流れ生成装置は、それぞれの部分ガス流の流れ特性に関わる、少なくとも1つ流れパラメータにおいて異なる部分ガス流を生成するために、少なくとも2つの異なる流れ生成装置、特に吸引装置または送風装置を含むことができる。1つの第1の流れ生成装置は、1つの第1の部分ガス流を生成するために設けられることができ、および、少なくとも1つの別の流れ生成装置が少なくとも1つの別の部分ガス流を生成するために設けられることができる。
この第1の流れ生成装置には第1の流入構成要素または第1の流入構成要素群が割り当てられ、別の流れ生成装置には1つの別の流入構成要素または第1の流入構成要素群が割り当てられている。それぞれの流れ生成装置は、例えばその保有する性能で差があり、それが異なった流れ特性の部分ガス流を生成することができる。
【0026】
この流れ生成装置は、(同様に、)それぞれの部分ガス流の流れ特性に関わる、少なくとも1つの流れパラメータにおいて異なる部分ガス流を生成するために、少なくとも2つの異なった流入構成要素または少なくとも2つの異なった流入構成要素群を含むこともできる。第1の流入構成要素または第1の流入構成要素群は、第1の部分ガス流を生成するために設けられることができ、および、少なくとも1つの別の流入構成要素または少なくとも1つの別の流入構成要素群が、少なくとも1つの別の部分ガス流を生成するために設けられることができる。このそれぞれの流入構成要素は、例えばそのそれぞれの流入開口の流れ特性に影響を与える幾何形状において異なる。
【0027】
この流れ生成装置は、それぞれの部分ガス流の流れ特性に関わる、少なくとも1つの流れパラメータにおいて異なる部分ガス流を生成するために、(同様に、)少なくとも2つの異なった、それぞれ少なくとも1つの、例えば流れ誘導プレートの形態の流れ案内構成要素を備える流れ案内構成要素構成を含む。
第1の流れ案内構成要素構成は、第1の部分ガス流の生成のために、および、別の流れ案内構成要素構成が1つの別の部分ガス流の生成のために設けられていることができる。このそれぞれの流れ案内構成要素構成は、例えば流れ特性に影響を与えるそれぞれの流れ案内構成要素構成の形状で区別される。このそれぞれの流れ案内構成要素構成は、典型的には流体技術的に、流入構成要素の前に組み込まれている。
【0028】
すでに言及したように、流れ生成装置は、典型的には、
第1の部分ガス流の形成のもとでまたは形成のために、ガスをプロセスチャンバ内へ流入させるために設けられている、第1の流入構成要素または第1の流入構成要素群と、
別の部分ガス流の形成のもとでまたは形成のために、ガスをプロセスチャンバ内へ流入させるために設けられている、少なくとも1つの別の流入構成要素または少なくとも1つの別の流入構成要素群を含む。
【0029】
第1の部分ガス流を生成するために設けられている、この第1の流入構成要素または第1の流入構成要素群は、特にその中でエネルギービームによって硬化可能な造形材料からなる造形材料層の連続した層ごとの選択的な照射、およびこれに伴う、連続した層ごとの選択的な硬化が行われる製造ステージに対して相対的に移動可能に支承されていることができる。このようにして、第1の部分ガス流が、選択的に照射されまたは硬化される1つの造形材料層の領域の近くに移動することは可能であり、このことは、プロセスに条件付けられて発生する汚染物質を除去する効率を高める。
【0030】
それゆえに、この第1の流入構成要素または第1の流入構成要素群は、プロセスチャンバの内側で、特にその中でエネルギービームによって硬化可能な造形材料からなる造形材料層の連続した層ごとの選択的な照射、およびこれに伴う、連続した層ごとの選択的な硬化が行われる製造ステージに対して相対的に移動可能に支承されている、装置の機能構成要素上またはその内に配置されているかまたは形成されることができる。

具体的には、この第1の流入構成要素または第1の流入構成要素群は、
プロセスチャンバの内側で、
特に、その中でエネルギービームによって硬化可能な造形材料からなる造形材料層の連続した層ごとの選択的な照射、およびこれに伴う、連続した層ごとの選択的な硬化が行われる製造ステージに対して相対的に移動可能に支承されている、コーティング装置の機能構成要素上または、その中に、
特にブレード状のまたはブレード形状の、コーティング構成要素を支持する、
選択的に照射すべきまたは硬化すべき造形材料層を、装置の製造ステージ内において形成するために設けられている、特にコーティング本体上またはその中に、
配置されているかまたは形成されることができる。
【0031】
流出領域は、プロセスチャンバを側方から境界付け、特に円錐状に突き出しているプロセスチャンバ壁の、特に中央に配置されているかまたは形成されることができる。それぞれの部分ガス流は、与えられている形状、特に円錐形状のために、流出領域の領域内で一緒にまとめられてプロセスチャンバから流出し、これは特にこのようにして実現された吸引効果のために、相応のプロセスに条件付けられて発生する汚染物質が蓄積されたガス流をプロセスチャンバから効率良く排出することを可能にする。
【0032】
本発明を図面の例示的実施形態を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】1つの例示的実施形態による装置の原理図である。
図2】1つの例示的実施形態による装置の原理図である。
図3】1つの例示的実施形態による装置の原理図である。
図4】1つの例示的実施形態による装置の原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、1つの例示的実施形態による装置1の原理図を示している。その際に、図1は、その他の図においても同様に、装置1の、以下に説明する原理の説明のために重要な部分のみを示している。
【0035】
この装置1は、
典型的には1つのレーザビーム発生装置(図示せず)および1つのレーザビーム偏向装置またはスキャナ装置(図示せず)を備える、照射装置4によって生成されるレーザビーム5を使って、
硬化可能な造形材料3、すなわち例えば金属粉末からなる造形材料層から、連続した層ごとの選択的な照射、およびこれに伴う、連続した層ごとの選択的な硬化によって、3次元物体2、すなわち特に技術的構造部材または技術的構造部材群を付加製造するために使われる。
それぞれ選択的に硬化されるべき造形材料層の選択的な硬化は、物体に関連した造形データを基礎として実施される。
相応する造形データは、それぞれ付加製造すべき物体2の幾何的・構造的形状を記述し、且つ、例えば、付加製造すべき物体2の「スライスされた」CADデータを含むことができる。この装置1は、LaserCUSING(登録商標)装置として、すなわち選択的レーザ溶融方法の実施のための装置として形成されている。
【0036】
この装置1は、付加造形過程を実施するために必要とされる機能構成要素を備えている。これに関して、特に、装置1の製造ステージ内において、選択的に硬化されるべき造形材料層を形成するために設けられているコーティング装置(Beschichtungseinrichtung)6と、すでに言及した、装置1の製造ステージ内において、選択的に硬化されるべき造形材料層を選択的に照射するために設けられている照射装置4とが、対象として挙げられる。
【0037】
前述の機能構成要素は、装置1の不活性化が可能なプロセスチャンバ7上またはその中に配置されているかまたは形成されている。このプロセスチャンバ7は、プロセスチャンバ境界によって空間的・物質的に境界付けされ、且つ、上方および下方のプロセスチャンバ境界によって定義されたプロセスチャンバ高さHを有している。
上方のプロセスチャンバ境界は、図1による例示的実施形態では、プロセスチャンバ7を天井側で境界付けるプロセスチャンバ壁7aであり、下方のプロセスチャンバ境界が、プロセスチャンバ7を底側で境界付けるプロセスチャンバ壁7bである。
【0038】
この装置1は、更に、1つの流れ生成装置(Stroemungseinrichtung)8を備え、この流れ生成装置が、プロセスチャンバ7をプロセスチャンバ側の流入領域9とプロセスチャンバ側の流出領域10との間で貫流する、不活性なガス流11を生成するために設けられている。この流入領域9および流出領域10は、互いに対向して位置している状態で、プロセスチャンバ7を側方から境界付けるプロセスチャンバ境界7c、7d内に配置されているかまたは形成されている。
このガス流11は、プロセスチャンバ7をその全幅Bにわたって貫流する。
【0039】
それに加えて、明らかに、このガス流11は、プロセスチャンバ7をその全プロセスチャンバ高さHにわたって貫流する。それゆえに、流れ生成装置8は、プロセスチャンバ7を全プロセスチャンバ高さHにわたって貫流するガス流11を生成するために設けられている。これによって、高さの方向に見て、ガス流11によって貫流されない、如何なるプロセスチャンバ領域も存在しない。この流入領域9は、図1に示されているように、典型的には同じくプロセスチャンバ高さHにわたって延在している。
【0040】
この流れ生成装置8は、ガス流11を、プロセスチャンバ7を平行に重なって貫流する、複数の部分ガス流11a、11bに分割するために設けられていて、これら部分ガス流が、それぞれの部分ガス流11a、11bの流れ特性(Stroemungseigenschaften)に関する、少なくとも1つの流れパラメータ(Stroemungsparameter)において、すなわち図に示されている例示的実施形態においては例として流速において、異なっている。
それぞれの、平行に重なってプロセスチャンバ7を流れる部分ガス流11a、11bは、共に、プロセスチャンバ7を貫流するガス流11を形成し;且つ、従って、このガス流11が、異なった部分ガス流11a、11bによって形成された、平行に重なって位置する異なった流れ領域を含み、その領域の中を、異なった流れ特性を持ったガス流11がプロセスチャンバ7を通って流れる。この部分ガス流11a、11bの異なった流速は、異なった長さの矢印で示唆されている。
【0041】
この流れ生成装置8は、第1の部分ガス流11aの形成のもとでまたは形成のために、ガスをプロセスチャンバ7内へ流入させるために設けられている、第1の流入構成要素9a群と、第2の部分ガス流11bの形成のもとでまたは形成のために、ガスをプロセスチャンバ7内へ流入させるために設けられている、流入構成要素9bの1つの別群とを含む。
それぞれの流入構成要素9a、9bは、少なくとも1つの特にノズル状のまたはノズル形状の流入開口(図示せず)を含む。それぞれの流入構成要素9a、9bは、少なくとも区間的に、流れに影響を与える構造、すなわち例えば格子構造もしくはハニカム構造(Wabenstruktur)を持つことができ、それらはそれぞれの流入開口の格子状もしくはハニカム状、または、格子形状もしくはハニカム形状の配置および/または構成によって形成されている。
【0042】
図1による例示的実施形態では、このガス流11は2つの部分ガス流11a、11bに分割されている。
第1の部分ガス流11a(下方の部分ガス流)は、下方のプロセスチャンバ壁7bとプロセスチャンバ7の第1の高さ区間H1との間の第1の流れ領域内を、下方のプロセスチャンバ壁7bに沿って、プロセスチャンバ7を通って流れる。第2の部分ガス流11b(上方の部分ガス流)は、プロセスチャンバ7の第1の高さ区間H1と上方のプロセスチャンバ壁7aとの間の第2の流れ領域内を、上方のプロセスチャンバ壁7aに沿ってプロセスチャンバ7を通って流れる。
【0043】
この流れ生成装置8は、対応して、プロセスチャンバ7の底側を境界付けるプロセスチャンバ壁7bとプロセスチャンバ7の第1の高さ区間H1との間の第1の流れ領域内を、プロセスチャンバ7の底側を境界付けるプロセスチャンバ壁7bに沿ってプロセスチャンバ7を通って流れる第1の部分ガス流11a、および、プロセスチャンバ7の第1の高さ区間H1とプロセスチャンバ7の天井側を境界付けるプロセスチャンバ壁7aとの間の第2の流れ領域内を、プロセスチャンバ7の天井側を境界付けるプロセスチャンバ壁7aに沿ってプロセスチャンバ7を通って流れる第2の部分ガス流11bを生成するために設けられている。
流れ生成装置8は、それゆえにガス流11を2つの対応する部分ガス流11a、11bに分割するように設けられている。
【0044】
この第1の部分ガス流11aは、この装置1の製造ステージの直ぐ上方を流れる。これに関連しこの第1の部分ガス流11aは、特にプロセスに条件付けられて発生する汚染物質を製造ステージの領域から除去する。矢印の長さから、第1の部分ガス流11aがその直ぐ上方を流れる第2の部分ガス流11bよりも速い流速を持っていることが明らかである。このようにして、プロセスに条件付けられて発生する汚染物質を製造ステージの領域から効率良く除去することが保障される。
【0045】
第2の部分ガス流11bは直接プロセスチャンバ7の天井側を境界付けるプロセスチャンバ壁7aに沿って流れる。この第2の部分ガス流11bは、レーザビーム5をプロセスチャンバ7内へと入射するために設けられている、例えばエネルギービーム入射ウインドウ(Energiestrahleinkopplungsfensters)の形態の、エネルギービーム入射装置(Energiestrahleinkopplungseinrichtung)13の直ぐ下方を流れる。これに関連しこの第2の部分ガス流11bは特にプロセスに条件付けられて発生する汚染物質をエネルギービーム入射装置13の領域から除去する。
【0046】
この流れ生成装置8は、部分ガス流11a、11bの生成のために、2つの異なった流入構成要素9a、9b群を持つ。第1の流入構成要素9a群は、第1の部分ガス流11aの生成のために、また1つの別の流入構成要素9b群が、第2の部分ガス流11bの生成のために設けられている。それぞれの流入構成要素9a、9bは、それら流入構成要素のそれぞれの流入開口の流れ特性に影響を与える形状で区別され、それによって、ガス流11の既述の流速プロファイルが結果として生じる。
【0047】
図1には、任意選択の第2の流れ生成装置14によって、この流れ生成装置8が部分ガス流11a、11bの生成のために、(同様に、)2つの異なる流れ生成装置14、特に吸引装置または送風装置を含むことができることも示唆されている。
1つの第1の流れ生成装置14は、第1の部分ガス流11aを生成するために設けられていて、1つの第2の流れ生成装置14は第2の部分ガス流11bを生成するために設けられている。この第1の流れ生成装置14は、第1の流入構成要素9a群に属し、この第2の流れ生成装置14が、2の流入構成要素9b群に属する。それぞれの流れ生成装置14は、例えばそれらの保有する性能で差があり、その結果、異なった流れ特性の部分ガス流11a、11bを生成することができ、それによって、ガス流11の既述の流速プロファイルが結果として生じる。
【0048】
この流れ生成装置8は、部分ガス流11a、11bの生成のために、(同様に、)2つの異なった、それぞれ少なくとも1つの、例えば流れ誘導プレート(Stroemungsleitblechs)の形態の、流れ案内構成要素(Stroemungsfuehrungselement)15a、15bを含む流れ案内構成要素構成(Stroemungsfuehrungselementanordnungen)16a、16bを含むこともできる。
それぞれの流れ案内構成要素構成16a、16bは、流体技術的に、流入構成要素9a、9bの前に組み込まれている。第1の流れ案内構成要素構成16aは第1の部分ガス流11aの生成のため、また第2の流れ案内構成要素構成16は第2の部分ガス流11bの生成のために設けられている。それぞれの流れ案内構成要素構成16a、16bは、それら流れ案内構成要素構成のそれぞれの流れ案内構成要素15a、15bの、例えば流れ特性に影響を与える形状で区別され、それによってガス流11の既述の流速プロファイルが結果として生じる。
【0049】
図2は1つの別の例示的実施形態による装置1の原理図を示している。
【0050】
図2から、このガス流11が3つの部分ガス流11a〜11cに分割されることができ、この際に、第1の部分ガス流11aは、下方のプロセスチャンバ境界、すなわちプロセスチャンバ7の底側を境界付けるプロセスチャンバ壁7bと、プロセスチャンバ7の第1の高さ区間H1との間の第1の流れ領域内を、下方のプロセスチャンバ境界に沿ってプロセスチャンバ7を通って流れ、
第2の部分ガス流11cが、プロセスチャンバ7の第1の高さ区間H1とプロセスチャンバ7の第2の高さ区間H2との間の第2の流れ領域内をプロセスチャンバ7を通って流れ、
第3の部分ガス流11bが、プロセスチャンバ7の第2の高さ区間H2と上方のプロセスチャンバ境界、すなわちプロセスチャンバ7の天井側を境界付けるプロセスチャンバ壁7aとの間の第3の流れ領域内を、上方のプロセスチャンバ境界に沿ってプロセスチャンバ7を通って流れることが明らかである。
【0051】
ここで、この流れ生成装置8は、
プロセスチャンバ7の底側を境界付けるプロセスチャンバ壁7bとプロセスチャンバ7の第1の高さ区間H1との間の第1の流れ領域内を、プロセスチャンバ7の底側を境界付けるプロセスチャンバ壁7bに沿ってプロセスチャンバ7を通って流れる第1の部分ガス流11a(下方の部分ガス流)と、
プロセスチャンバ7の第1の高さ区間H1とプロセスチャンバ7の第2の高さ区間H2との間の第2の流れ領域内を、プロセスチャンバ7を通って流れる第2の部分ガス流11c(中央の部分ガス流)と、
プロセスチャンバ7の第2の高さ区間H2とプロセスチャンバ7の天井側を境界付けるプロセスチャンバ壁7aとの間の第3の流れ領域内を、天井側を境界付けるプロセスチャンバ壁7aに沿ってプロセスチャンバ7を通って流れる第3の部分ガス流11b(上方の部分ガス流)とを生成するために設けられている。
この流れ生成装置8はそれゆえにガス流11を3つの部分ガス流11a〜11cに分割するように設けられている。
【0052】
この部分ガス流11aは、他方また、この装置1の製造ステージの直ぐ上方を流れる。この下方の部分ガス流はこれに関連し特にプロセスに条件付けられて発生する汚染物質を製造ステージの領域から除去する。矢印の長さから、下方の部分ガス流11aがその直ぐ上方を流れる中央の部分ガス流11cよりも速い流速を持っていることが明らかである。このようにして、プロセスに条件付けられて発生する汚染物質を製造ステージの領域から効率良く除去することが保障される。
【0053】
この上方の部分ガス流11bは、他方また、直接プロセスチャンバ7の天井側を境界付けるプロセスチャンバ壁7aに沿って流れる。この上方の部分ガス流11bは、この際に、エネルギービーム入射装置13の直ぐ下方に流れる。この上方の部分ガス流11bは、これに関連し特にプロセスに条件付けられて発生する汚染物質をエネルギービーム入射装置13の領域から除去する。矢印の長さから、上方の部分ガス流11bがその直ぐ下方を流れる中央の部分ガス流11cよりも速い流速を持っていることが明らかである。このようにして、プロセスに条件付けられて発生する汚染物質をエネルギービーム入射装置13の領域から効率良く除去することが保障される。
上方のおよび下方の流れ領域内の合目的な流速の増加によって、プロセスに条件付けられて発生する汚染物質に相応する、そこでの、造形部品の品質またはプロセスの品質に対して特に重要な不利な影響を低減することができ;且つ、レーザビーム5への流速の場合によっては起こり得る不利な影響を、それらの間に位置する中央の流れ領域の比較的低い流速によって阻止することができる。
【0054】
もちろんこのガス流11を3つ以上の部分ガス流に分割することも可能である。上述の実施形態は類似して価値を有している。
【0055】
図3は1つの別の例示的実施形態による装置1の原理図を示している。
【0056】
図3からは、第1の部分ガス流11aを生成するために設けられている、第1の流入構成要素9a群が、製造ステージに対して移動可能に支承されていることができることが明らかである。このようにして、第1の部分ガス流11aが、選択的に照射されまたは硬化される造形材料層の領域の近くに移動することができ、このことはプロセスに条件付けられて発生する汚染物質を除去する効率を高める。
【0057】
第1の流入構成要素9a群は、プロセスチャンバ7の内側において、製造ステージに対して相対的に支承されている、装置1の機能構成要素上またはその中に配置されているかまたは形成されている。
具体的には、この第1の流入構成要素9a群は、図3による例示的実施形態において、プロセスチャンバ7の内側において、製造ステージに対して相対的に支承されているコーティング装置6の機能構成要素上またはその中に、すなわち、特にブレード状のまたはブレード形状のコーティング構成要素6bを支持するコーティング本体6a上またはその中に配置されているかまたは形成されている。
【0058】
図4は1つの別の例示的実施形態による装置1の原理図を示している。
【0059】
図4から、下方のプロセスチャンバ境界が、同様に、少なくとも1つの粉末モジュール17の、特にその造形モジュールの粉末収容スペース(製造スペース)内で本来の3次元物体2の付加製造が行われる造形モジュールを備える粉末モジュール造形群18の、表面または表面側でもあり得ることは、明らかである。
この粉末モジュール造形群18は、純粋に概略的に示されている粉末モジュール造形群側の(機械的な)結合接続部を介して、同じく純粋に概略的に示されている、プロセスチャンバ側の(機械的な)結合接続部に、プロセスチャンバ7を側方から境界付けるプロセスチャンバ壁7c、7d上に接合可能である。このプロセスチャンバ側の(機械的な)結合接続部は、1つのプロセスチャンバ側の接合領域(詳細には示されていない)を形成する。
【0060】
さらに図4からは、この流入領域9が全プロセスチャンバ高さHにわたって延在することが必ずしも必要であるわけではないことが明らかである。何故ならば、ガス流11がプロセスチャンバ7を全プロセスチャンバ高さHにわたって貫流することが、ガス流11または部分ガス流11a〜11cの適当な整向状態を介して、同じく達成され得るからである。
第1の流入構成要素9aが、プロセスチャンバ7を底側で境界付ける下方のプロセスチャンバ境界の上方に、ある程度の(垂直な)距離を置いて配置されていることが分かる。
個々の、複数のまたはすべての第1の流入構成要素9aは、第1の部分ガス流11aがまず斜めにプロセスチャンバ壁7bの方向へ、続いてこのプロセスチャンバ壁に沿って(製造ステージ上を)流れるように整向されている。第1の流入構成要素9aと下方のプロセスチャンバ境界の間の間隔によって、その中をコーティング装置6が移動することができる自由空間が形成される。
【0061】
最終的に図4は、流出領域10がプロセスチャンバ7を側方から境界付け、円錐状に突き出しているプロセスチャンバ壁7dの中央に配置されているかまたは形成され得ることを示している。それぞれの部分ガス流11a〜11cは、プロセスチャンバ壁7aの与えられている形状、特に円錐形状に基づいて、流出領域10の領域内で一緒にまとめられて、プロセスチャンバ7から流出する。
【0062】
もちろん個々の例示的実施形態に関して示された装置1の特徴は、相互に組み合わされることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 装置
2 3次元物体
3 造形材料
4 照射装置
5 レーザビーム
6 コーティング装置
7 プロセスチャンバ
7a プロセスチャンバ壁
7b プロセスチャンバ壁
8 流れ生成装置
9 流入領域
9a 流入構成要素
9b 流入構成要素
10 流出領域
11 ガス流
13 エネルギービーム入射装置
14 流れ生成装置
15a 流れ案内構成要素
15b 流れ案内構成要素
16a 流れ案内構成要素構成
16b 流れ案内構成要素構成
H プロセスチャンバ高さ
図1
図2
図3
図4