特許第6670872号(P6670872)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6670872芯線が導電性繊維で構成される電線用の圧着端子、圧着端子付き電線、及び医療機器用センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670872
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】芯線が導電性繊維で構成される電線用の圧着端子、圧着端子付き電線、及び医療機器用センサ
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/18 20060101AFI20200316BHJP
   A61B 5/0408 20060101ALI20200316BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   H01R4/18 A
   A61B5/04 300R
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-32268(P2018-32268)
(22)【出願日】2018年2月26日
(65)【公開番号】特開2019-9103(P2019-9103A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年3月13日
(31)【優先権主張番号】特願2017-126232(P2017-126232)
(32)【優先日】2017年6月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】中園 正司
(72)【発明者】
【氏名】浦下 清貴
【審査官】 藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−082534(JP,A)
【文献】 特開2015−032543(JP,A)
【文献】 特開2009−295352(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04
B23D 15/08
H01R 3/00 −4/22
4/62
43/027−43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線が絶縁部材で被覆された電線を接続可能な電線接続部を備え、
前記電線接続部は、
前記電線の該電線接続部との接続部位と同方向に延びる基部と、
前記基部における該基部の延びる第一方向と直交する第二方向の一端から延びる複数の第一カシメ片、及び、前記第二方向の他端から延びる少なくとも一つの第二カシメ片と、を有し、
これら複数の第一カシメ片及び第二カシメ片は、前記第一方向にずれた位置に交互に配置され、それぞれがかしめられて前記芯線を抱き込むことにより前記基部に該芯線を圧着させる部位であり、
前記第一カシメ片における先端部と基端部との間の縁部、及び前記第二カシメ片における先端部と基端部との間の縁部のそれぞれは、前記第二方向と交差する方向に延び、
前記第一カシメ片及び第二カシメ片がそれぞれかしめられて前記芯線が接続された状態で前記基部を前記芯線側から見たときの該基部の中心線と重なる位置において、前記第一方向における前記電線の被覆部材に最も近い位置に形成される第一カシメ片の縁部と第二カシメ片の縁部との第一方向の間隔である第一間隔は、前記第一方向の他の位置に形成される第一カシメ片の縁部と第二カシメ片の縁部との第一方向の間隔である第二間隔より大きい、圧着端子。
【請求項2】
前記第一カシメ片及び第二カシメ片がそれぞれかしめられて前記芯線が接続された状態において、前記第一カシメ片の前記縁部と前記第二カシメ片の前記縁部とがそれぞれ前記かしめに起因して膨らみ、且つ、前記第一間隔を構成する第一カシメ片第二カシメ片とは、接触しない、請求項1に記載の圧着端子。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の圧着端子と、
前記圧着端子の前記電線接続部に接続され且つ導電性繊維によって芯線が構成される電線と、を備える、圧着端子付き電線。
【請求項4】
医療用センサ本体と、
前記医療用センサ本体から延びる出力用電線と、
請求項1又は2に記載の圧着端子と、を備え、
前記出力用電線は、前記圧着端子の前記電線接続部に接続され、
前記出力用電線の芯線は、導電性繊維である、医療機器用センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯線が導電性繊維で構成される電線に接続される圧着端子、前記圧着端子付き電線、及び前記圧着端子付き電線を備えた医療機器用センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電線の被接続部位を圧着させるための複数のカシメ片をずれた位置に交互に配置した圧着端子が知られている(特許文献1参照)。具体的に、この圧着端子は、図13に示すように、相手側端子等が接続される端子接続部101と、端子接続部101と連接し且つ電線が接続(圧着)される電線接続部102と、を備える。
【0003】
電線接続部102は、配置される芯線と同方向(第一方向)に延びる底板1021と、底板1021における第一方向と直交する第二方向の一方の側縁から延びる複数の一方側カシメ片1022、及び底板1021における第二方向の他方の側縁から延びる複数の他方側カシメ片1023と、を有する。これら一方側カシメ片1022及び他方側カシメ片1023は、第一方向にずれた位置に交互に配置されている。
【0004】
この圧着端子100では、電線の先端部で露出させた芯線が底板1021上に配置され、一方側カシメ片1022と他方側カシメ片1023とがかしめられることで、一方側カシメ片1022と他方側カシメ片1023とが芯線を抱き込むことにより、芯線が底板1021に圧着される(図14参照)。これにより、電線が圧着端子に接続される。
【0005】
以上の圧着端子100の電線接続部102では、図15に示すような第一方向の同じ位置に配置されるカシメ片1022A、1023Aの対が第一方向に間隔をあけて複数配置される電線接続部に比べ、芯線とカシメ片との接触面積が増えるため、かしめの際の圧力を抑えても、電線接続部102において電線を保持する力、換言すると、圧着された電線を引き抜き方向に引っ張ったときの電線接続部102からの電線の抜け難さ(即ち、引っ張り強度)を十分に確保することができる。
【0006】
このため、アルミ線のような柔らかい金属を芯線とした電線、即ち、かしめの際の圧力を大きくすると断線し易い電線に対しても、圧着端子100を用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−73346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、圧着端子が接続される電線として、用途による制約から、芯線が金属ではなく、カーボン繊維等の導電性繊維によって構成されるものを用いなければならない場合がある。
【0009】
このような電線を圧着端子に接続する際には、加圧時に導電性繊維内に内部応力が生じ難いため、接続部位での保持力を確保するためには、加圧時に内部応力が生じ易い金属製の芯線を有する電線を接続する場合に比べ、かしめの際の圧力を大きくしなければならない。しかも、このような電線では、非常に細い(例えば、数μ程度)導電性繊維が用いられている。このため、上記の圧着端子100を用いても、各カシメ片1022、1023をかしめる際に導電性繊維が断線し易く、これにより、電線に接続された圧着端子100において、十分な引っ張り強度を確保することができなかった。
【0010】
そこで、本発明は、芯線が導電性繊維で構成された電線が電線接続部に圧着されたときの引っ張り強度を十分に確保できる圧着端子、前記圧着端子付き電線、及び、前記圧着端子付き電線を備えた医療機器用センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の発明者らは、鋭意研究を行った結果、かしめたときに、一端側カシメ片と他端側カシメ片との間隔(図14における符号105)が狭いと、この一端側カシメ片と他端側カシメ片との間で(境界位置において)導電性繊維の断線が生じ易いことを発見した。また、かしめたときに、第一方向における電線の被覆部材(シース等)に最も近い位置に形成される一端側カシメ片と他端側カシメ片との間での断線を防ぐことによって、他の位置の一端側カシメ片と他端側カシメ片との間で断線が生じていても、十分な引っ張り強度を確保できることも発見した。そこで、発明者らは、これらの知見に着目することによって、以下の構成の圧着端子等を創作し、これにより、上記課題を解消した。
【0012】
本発明に係る圧着端子は、導電性繊維によって構成される芯線が絶縁部材で被覆された電線を接続可能な電線接続部を備え、前記電線接続部は、前記電線の該電線接続部との接続部位と同方向に延びる基部と、前記基部における該基部の延びる第一方向と直交する第二方向の一端から延びる複数の第一カシメ片、及び、前記第二方向の他端から延びる少なくとも一つの第二カシメ片と、を有し、これら複数の第一カシメ片及び第二カシメ片は、前記第一方向にずれた位置に交互に配置され、それぞれがかしめられて前記芯線を抱き込むことにより前記基部に該芯線を圧着させる部位であり、前記第一カシメ片及び第二カシメ片がそれぞれかしめられて前記芯線が接続されたときに、前記第一方向における前記電線の被覆部材に最も近い位置に形成される第一カシメ片と第二カシメ片との第一方向の間隔である第一間隔は、前記第一方向の他の位置に形成される第一カシメ片と第二カシメ片との第一方向の間隔である第二間隔より大きい。
【0013】
かかる構成によれば、各カシメ片(第一カシメ片及び第二カシメ片)がかしめられることで、芯線が導電性繊維によって構成される電線が該圧着端子(電線接続部)に接続されたときに、第一方向における電線の被覆部材に最も近い位置に形成される第一カシメ片と第二カシメ片との間隔(第一間隔)が大きくなるため、該位置での導電性繊維の断線が抑えられ、これにより、十分な引っ張り強度を確保することができる。
【0014】
また、本発明者らは、電線を圧着させるために各カシメ片をかしめたときに、各カシメ片の縁部が膨らむ(図7参照)ことを発見した。そして、この縁部が膨らんだ状態の第一カシメ片と第二カシメ片とが接触する場合にも、第一カシメ片と第二カシメ片との間での導電性繊維の断線が生じ易いことを見出した。
【0015】
このため、前記第一間隔は、かしめに起因して縁部が膨らんだ状態の前記第一カシメ片及び前記第二カシメ片が接触しない間隔であることが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、第一方向における電線の被覆部材に最も近い位置に形成される第一カシメ片と第二カシメ片との間での導電性繊維の断線がより確実に抑えられ、これにより、十分な引っ張り強度をより確実に確保することができる。
【0017】
また、前記圧着端子では、前記第一カシメ片における先端部と基端部との間の縁部、及び前記第二カシメ片における先端部と基端部との間の縁部のそれぞれは、第二方向と交差する方向に延びていてもよい。
【0018】
かかる構成によれば、各カシメ片における先端部と基端部との間の縁部が、各導電性繊維に対し、斜めに横切るように接するため、直交するように(第二方向に)接する場合に比べ、導電性繊維との接触面積が増え、これにより、該縁部での導電性繊維の断線をより抑えることができる。
【0019】
また、本発明に係る圧着端子付き電線は、上記のいずれかの圧着端子と、前記圧着端子の前記電線接続部に接続され且つ導電性繊維によって芯線が構成される電線と、を備える。
【0020】
かかる構成の圧着端子付き電線では、圧着端子の電線接続部における電線の引っ張り強度が十分に確保されている。
【0021】
また、本発明に係る医療機器用センサは、医療用センサ本体と、前記医療用センサ本体から延びる出力用電線と、上記のいずれかの圧着端子と、を備え、前記出力用電線は、前記圧着端子の前記電線接続部に接続され、前記出力用電線の芯線は、導電性繊維である。
【0022】
かかる構成の医療機器用センサでは、圧着端子の電線接続部における電線の引っ張り強度が十分に確保されている。
【発明の効果】
【0023】
以上より、本発明によれば、芯線が導電性繊維で構成された電線が電線接続部に圧着されたときの引っ張り強度を十分に確保できる圧着端子、前記圧着端子付き電線、及び、前記圧着端子付き電線を備えた医療機器用センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本実施形態に係るコネクタ端子の斜視図である。
図2図2は、前記コネクタ端子を中心軸方向の前方側から見た模式図である。
図3図3は、図1のIII−III位置における断面図である。
図4図4は、前記コネクタ端子の展開図である。
図5図5は、前記コネクタ端子の展開図における電線接続部の拡大図である。
図6図6は、電線が接続された状態の電線接続部を示す図である。
図7図7は、図6のVII−VII位置における断面を示す図である。
図8図8は、相手側端子ピンが接続された状態を説明するための図である。
図9図9は、医療機器用センサを説明するための図である。
図10図10は、コネクタハウジングの斜視図である。
図11図11は、図10のXI−XI位置における断面図である。
図12図12は、相手側端子ピンが接続された状態のコネクタの断面図である。
図13図13は、従来のコネクタ端子の斜視図である。
図14図14は、前記コネクタ端子に電線が接続された状態を示す図である。
図15図15は、従来の他のコネクタ端子に電線が接続された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る圧着端子の一実施形態について、図1図9を参照しつつ説明する。本実施形態の圧着端子は、コネクタ端子である。より詳しくは、圧着端子は、雄型のコネクタ端子のピン(相手側端子ピン)が接続(嵌合)される雌型のコネクタ端子である。このコネクタ端子には、芯線が導電性繊維によって構成される電線が接続される。
【0026】
コネクタ端子1は、図1図4に示すように、電線を接続可能な電線接続部2を備える。また、このコネクタ端子1は、電線接続部2と導通し且つ相手側端子ピンP(図8参照)が取り外し可能に接続される電気接続部3を備える。本実施形態のコネクタ端子1は、導電性を有する金属製の平板を所定の形状に打ち抜いたもの(図4参照)を、中心線C1と平行な軸を中心軸Cとして筒状に曲げ加工等することによって形成されている。このコネクタ端子1は、リン青銅によって形成されているが、真鍮、洋白、メッキ処理されたSUS等によって形成されていてもよい。以下では、中心軸C方向において、電気接続部3側(図3における左側)を前方側とし、電線接続部2側(図3における右側)を後方側とする。
【0027】
電線接続部2は、板状の電線接続部本体21と、電線接続部本体21から延びる複数の導体カシメ片22と、電線接続部本体21における導体カシメ片22より後方側の部位から延びる少なくとも一対の被覆部カシメ片23と、を有する。これら導体カシメ片22と被覆部カシメ片23とは、前記曲げ加工等が行われる前の状態のコネクタ端子1(図4に示す状態:以下、「平板状のコネクタ端子1」と称する。)において、電線接続部本体21の幅方向(中心線C1と直交する方向)の両端から該幅方向の外側に向けて延びている部位である。
【0028】
電線接続部本体21は、中心軸C方向に延び且つ断面(中心軸Cと直交する断面)がU字状の部位である。
【0029】
複数の導体カシメ片22は、かしめられて電線の先端で露出する芯線(導体)を抱き込むことにより、この芯線を電線接続部本体21に圧着させる。複数の導体カシメ片22は、図5に示すように、平板状のコネクタ端子1の電線接続部2(以下、単に「平板状の電線接続部2」と称する。)において、電線接続部本体21の幅方向の一方端(図5における左端)から延びる複数の第一カシメ片221と、幅方向の他端(図5における右端)から延びる少なくとも一つの第二カシメ片222とによって構成される。これら第一カシメ片221と第二カシメ片222とは、中心線C1方向にずれた位置から交互に延びている(即ち、互い違いに配置されている)。本実施形態の電線接続部2は、二つの第一カシメ片221と、二つの第二カシメ片222とを有する。
【0030】
二つの第一カシメ片221のうち、一方(前方側)の第一カシメ片221Aは、山型である。具体的に、一方の第一カシメ片221Aでは、平板状の電線接続部2において、前方側の縁部2214Aが電線接続部本体21の幅方向(中心線C1と直交する方向)の一方端から該幅方向に延び、後方側の縁部2215Aが電線接続部本体21の幅方向の一方端から該幅方向と交差する方向、詳しくは、前方側に向かうに連れて中心線C1から離れる方向に延びている。即ち、平板状の電線接続部2では、一方の第一カシメ片221Aの前方側では、先端2211Aと基端2212Aとの間の縁部2214Aは、幅方向に延び、一方の第一カシメ片221Aの後方側では、先端(先端部)2211Aと基端(基端部)2213Aとの間の縁部2215Aは、幅方向と交差する方向に延びている。
【0031】
二つの第一カシメ片221のうち、他方(後方側)の第一カシメ片221Bも、山型である。具体的に、他方の第一カシメ片221Bでは、平板状の電線接続部2において、前方側の縁部2214Bが電線接続部本体21の幅方向の一方端から該幅方向と交差する方向、詳しくは、後方側に向かうに連れて中心線C1から離れる方向に延び、後方側の縁部2215Bが電線接続部本体21の幅方向の一方端から該幅方向と交差する方向、詳しくは、前方側に向かうに連れて中心線C1から離れる方向に延びている。即ち、平板状の電線接続部2では、他方の第一カシメ片221Bの前方側では、先端(先端部)2211Bと基端(基端部)2212Bとの間の縁部2214Bは、幅方向と交差する方向に延び、他方の第一カシメ片221Bの他方側では、先端(先端部)2211Bと基端(基端部)2213Bとの間の縁部2215Bは、幅方向と交差する方向に延びている。
【0032】
一方の第一カシメ片221Aの後方側の基端2213Aと、他方の第一カシメ片221Bの前方側の基端2212Bとは、中心線C1方向において一致している。
【0033】
二つの第二カシメ片222のうち、一方(前方側)の第二カシメ片222Aは、山型である。具体的に、一方の第二カシメ片222Aでは、平板状の電線接続部2において、前方側の縁部2224Aが電線接続部本体21の幅方向の他方端から該幅方向と交差する方向、詳しくは、後方側に向かうに連れて中心線C1から離れる方向に延び、後方側の縁部2225Aが電線接続部本体21の幅方向の他方端から該幅方向と交差する方向、詳しくは、前方側に向かうに連れて中心線C1から離れる方向に延びている。即ち、平板状の電線接続部2では、一方の第二カシメ片222Aの前方側では、先端(先端部)2221Aと基端(基端部)2222Aとの間の縁部2224Aは、幅方向と交差する方向に延び、一方の第二カシメ片222Aの後方側では、先端(先端部)2221Aと基端(基端部)2223Aとの間の縁部2225Aは、幅方向と交差する方向に延びている。
【0034】
二つの第二カシメ片222のうち、他方(後方側)の第二カシメ片222Bも、山型である。具体的に、他方の第二カシメ片222Bでは、平板状の電線接続部2において、前方側の縁部2224Bが電線接続部本体21の幅方向の他方端から該幅方向と交差する方向、詳しくは、後方側に向かうに連れて中心線C1から離れる方向に延び、後方側の縁部2225Bが電線接続部本体21の幅方向の他方端から該幅方向に延びている。即ち、平板状の電線接続部2では、他方の第二カシメ片222Bの前方側では、先端(先端部)2221Bと基端(基端部)2222Bとの間の縁部2224Bは、幅方向と交差する方向に延び、他方の第二カシメ片222Bの後方側では、先端2221Bと基端2223Bとの間の縁部2225Bは、幅方向に延びている。
【0035】
一方の第二カシメ片222Aの後方側の基端2223Aと、他方の第二カシメ片222Bの前方側の基端2222Bとは、中心線C1方向において一致する。
【0036】
平板状の電線接続部2の各カシメ片221A、221B、222A、222Bにおいて、他方の第二カシメ片222Bにおける電線接続部本体21からの高さ寸法(前記幅方向の寸法)は、他のカシメ片221A、221B、222Aの高さ寸法より小さい。尚、他のカシメ片221A、221B、222Aの高さ寸法は、同じである。
【0037】
また、平板状の電線接続部2において、二つの第一カシメ片221A、221Bの境界(一方の第一カシメ片221Aの基端2213Aと他方の第一カシメ片221Bの基端2212Bとが一致している位置)と、一方の第二カシメ片222Aの先端2221Aとは、中心線C1方向において同じ位置である。一方、他方の第一カシメ片221Bの先端2211Bと、二つの第二カシメ片222A、222Bの境界(一方の第二カシメ片222Aの基端2223Aと他方の第二カシメ片222Bの基端2222Bとが一致している位置)とは、中心線C1方向において異なる位置である。詳しくは、第一カシメ片221Bの先端2211Bの方が、二つの第二カシメ片222A、222Bの境界より前方側にずれている。
【0038】
以上のように構成される各カシメ片221A、221B、222A、222Bを、図6に示すように、電線9の芯線90を抱き込むようにかしめると、中心軸C方向において、最も後方側(電線9の絶縁被覆部材91に近い位置)に形成される第一カシメ片221Bと第二カシメ片222Bとの間隔、詳しくは、中心軸C方向の間隔(第一間隔α)が、他の位置に形成される第一カシメ片221A、221Bと第二カシメ片222Aとの間隔(中心軸C方向の間隔:第二間隔β)より大きくなる。本実施形態のコネクタ端子1では、他方の第一カシメ片221Bと他方の第二カシメ片222Bとの間隔(第一間隔α)が、他方の第一カシメ片221Bと一方の第二カシメ片222Aとの間隔(第二間隔β)、及び一方の第一カシメ片221Aと一方の第二カシメ片222Aとの間隔(第二間隔β)より大きい。
【0039】
尚、第一間隔αは、かしめに起因して縁部が膨らんだ状態の第一カシメ片221B及び第二カシメ片222Bが接触しない距離である。詳しくは、以下の通りである。
【0040】
各カシメ片221A、221B、222A、222Bがかしめられたときに、図7に示す断面のように、各カシメ片221A、221B、222A、222Bの縁部が初期状態(かしめられる前の状態:図7の部分拡大図における破線参照)に比べて膨らむ。また、かしめるときの芯線90や電線9の状態等によって各カシメ片221A、221B、222A、222Bがかしめ後に予定されていた位置から中心軸C方向等に若干ずれる場合がある。第一間隔αは、これらの膨らみやずれ等が生じても、他方の第一カシメ片221Bと他方の第二カシメ片222Bとが接触しないような間隔に設定されている。このように、他方の第一カシメ片221Bと他方の第二カシメ片222Bとは、かしめられたときに第一間隔αが生じるような形状を有している。本実施形態の第一間隔αは、後方側に向かうに連れて大きくなっている(図6参照)。
【0041】
図1図6に戻り、少なくとも一対の被覆部カシメ片23は、電線9における露出した芯線90近傍の絶縁被覆されている部位を電線接続部本体21との間に挟み込むようにかしめられる部位である。本実施形態の電線接続部2は、一対の被覆部カシメ片23を有する。一対の被覆部カシメ片23のそれぞれは、平板状の電線接続部2において、中心線C1方向において導体カシメ片22の後方側に隣接する位置から前記幅方向の外側に向けて延びている。前記幅方向の一方側の被覆部カシメ片23と他方側の被覆部カシメ片23とは、中心線C1方向において同じ位置から延びている。
【0042】
これら電線接続部本体21、導体カシメ片22、及び被覆部カシメ片23が形成されている平板状のコネクタ端子1において、電線接続部本体21が湾曲するように曲げ加工することによって、電線接続部2が形成されている(図1参照)。
【0043】
電気接続部3は、電線接続部本体21と連接する電気接続部本体31と、中心軸C周りに間隔をあけて並ぶ三つ以上(本実施形態の例では三つ)の弾性接触片32と、を有する。電気接続部3は、三つ以上の弾性接触片32に囲まれた領域A(図2参照)に相手側端子ピンが挿入されることで、該相手側端子ピンP(図8参照)と導通可能に接続される(嵌合する)。
【0044】
電気接続部本体31は、中心軸Cを囲む筒部311と、筒部311の後端から中心軸Cに向けて延びる規制片312と、を有する。また、電気接続部本体31は、筒部311から外側に延び且つコネクタ端子1がコネクタハウジングに収容された場合に該コネクタハウジングと係合可能な端子側係合部313と、を有する。
【0045】
筒部311は、相手側端子ピンPとコネクタ端子1とが嵌合したときに相手側端子ピンPの先端部が内側(該筒部311に囲まれた領域)に位置する部位である(図8参照)。この筒部311は、平板状のコネクタ端子1において中心線C1と直交する方向に長い矩形板状の部位であり、この部位を、中心軸Cを中心にして且つ長手方向の端部同士を対向させるように全体を湾曲させて筒状とすることにより形成されている。
【0046】
規制片312は、相手側端子ピンPとコネクタ端子1とを嵌合させるときに、相手側端子ピンPの先端のそれ以上奥への(コネクタ端子1の後方側への)移動を防ぐ。即ち、規制片312は、中心軸Cに沿って移動する相手側端子ピンPが筒部311内に侵入してきたときに、この相手側端子ピンPの先端が当該規制片312に当接することで、該先端のそれ以上奥への移動を防ぐ。
【0047】
この規制片312は、図4に示す平板状の筒部311において後方側の端縁から中心線C1方向に延びる部位312を筒部311が筒状になった状態で中心軸Cに向けて折り曲げることによって形成されている。本実施形態の電気接続部3では、複数の規制片312が、筒部311の周方向に間隔をあけて配置されている。
【0048】
端子側係合部313は、コネクタ端子1をコネクタハウジング5(図10参照)に収容させる場合に該コネクタハウジング5と係合する部位である。端子側係合部313は、筒部311から突出し、後方側に向かうに連れて中心軸Cから離れるように中心軸Cに対して傾斜している。
【0049】
三つの弾性接触片32のそれぞれは、中心軸Cに沿って延び、これら三つの弾性接触片32に囲まれた領域Aに相手側端子ピンPが中心軸Cに沿って挿入されることで該相手側端子ピンPに押圧され、これにより、弾性変形する。三つの弾性接触片32は、中心軸Cを中心とする円周上において間隔あけて並んでいる。各弾性接触片32の具体的な構成は、以下の通りである。
【0050】
各弾性接触片32は、電気接続部本体31から前方側に延びる弾性変形可能な板状の部位であり、主面(厚さ方向と直交する面)32Aを中心軸Cに向けた状態で中心軸C周りに等間隔で並んでいる。この弾性接触片32は、中心軸C方向に間隔をあけた二つの屈曲部(第一屈曲部321、第二屈曲部322)を有する。以下では、弾性接触片32における第一屈曲部321より後方側の部位を基部323と称し、第一屈曲部321と第二屈曲部322との間の部位を接触部324と称し、第二屈曲部322より前方側の部位を先端部325と称する。
【0051】
基部323は、接触部324から後方側に向かうに連れて中心軸Cから離れるように、中心軸Cに対して傾斜している(図3参照)。
【0052】
接触部324は、相手側端子ピンPが中心軸Cに沿って三つの弾性接触片32に囲まれた領域Aに相手側端子ピンPが挿入されたときに、該相手側端子ピンPと接触(導通)する部位である(図8参照)。この接触部324は、撓んでいる。詳しくは、接触部324は、中心軸Cに沿って延びると共に中心軸Cに向けて膨らむように湾曲する。この湾曲によって、中心軸Cを中心とし且つ各接触部324における最も中心軸Cに近づいている部位と接する内接円γ(図2参照)は、相手側端子ピンPの外周よりも小さくなっている。このため、相手側端子ピンPが弾性接触片32に囲まれた領域Aに挿入されると、各接触部324は中心軸Cから離れる方向に押し広げられる。
【0053】
先端部325は、接触部324の先端(基部323と反対側の端部)から延びると共に、中心軸Cと直交する方向において接触部324より外側に位置する。具体的に、先端部325は、接触部324から前方側に向かうにつれて中心軸Cから離れるように、中心軸Cに対して傾斜している(図3参照)。
【0054】
以上のように構成されるコネクタ端子1は、例えば、図6に示すように、カーボン繊維等の導電性繊維によって芯線90が構成される電線9の先端に接続されて使用される。具体的に、電線9へのコネクタ端子1の接続は、以下のように行われる。尚、本実施形態の電線9では、直径が数μのカーボン繊維が束ねられることで芯線90が形成されている。
【0055】
電線9がコネクタ端子1の電線接続部2に接続される。具体的には、電線接続部2の電線接続部本体21上に、芯線90を露出させた電線9の端部が配置される。続いて、導体カシメ片22(第一カシメ片221、第二カシメ片222)が、芯線90を抱き込むようにかしめられ、該芯線90が電線接続部本体21に圧着される。このとき、他方の第二カシメ片222Bの後方側(図6の下側)の端部が圧着治具で加圧されないようにかしめを行い、該部位が完全に芯線90側に寝ないように(少し起き上った状態に)している。また、被覆部カシメ片33がかしめられ、電線接続部本体21との間に電線9の絶縁被覆されている部位が挟み込まれる。このようにして、コネクタ端子1が電線に接続される。
【0056】
尚、コネクタ端子1に接続される電線9の芯線90は、カーボン繊維に限定されない。芯線90は、金属フィラーを有した樹脂繊維、ポリエステル繊維やカーボン繊維等に金属メッキを施したメッキ繊維、ポリピロール類、ポリチオフェン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、およびこれらのうちの二以上の共重合体からなる繊維等の導電性繊維であってもよい。即ち、本実施形態のコネクタ端子1によれば、カーボン繊維のようなかしめ時に内部応力が生じず且つ非常に細い導電性繊維を束ねることによって芯線90が構成されていても、電線接続部2における電線9の十分な引っ張り強度を確保できるが、他の導電性繊維によって芯線90が構成されていても、電線接続部2における十分な引っ張り強度を確保できる。また、コネクタ端子1は、金属製の芯線を有する電線にも接続可能である。
【0057】
また、コネクタ端子1は、例えば、医療用センサ等に用いられてもよい。本実施形態の医療用センサは、例えば、図9に示すような心電図用電極10である。この心電図用電極10は、胸部等の皮膚に装着する電極本体11と、電極本体11から延びる出力用電線12と、出力用電線12の先端に接続されるコネクタ端子1と、を備える。尚、コネクタ端子1は、例えば、図10に示すコネクタハウジング5等に収容された状態で使用されてもよい。
【0058】
以上のコネクタ端子1によれば、図6に示すように、各導体カシメ片22(第一カシメ片221及び第二カシメ片222)がかしめられることで、芯線90が導電性繊維によって構成される電線9が該コネクタ端子1(電線接続部2)に接続されたときに、中心軸C方向における電線9の絶縁被覆部材91に最も近い位置に形成される第一カシメ片221Bと第二カシメ片222Bとの間隔(第一間隔α)が大きくなる。このため、該位置での導電性繊維の断線が抑えられ、これにより、十分な引っ張り強度を確保することができる。詳しくは、以下の通りである。
【0059】
電線9をコネクタ端子1に接続するために各導体カシメ片22をかしめたときに、第一カシメ片221と第二カシメ片222との間隔が狭いと、かしめ時の第一カシメ片221及び第二カシメ片222の間への咬み込み等によって、この第一カシメ片221と第二カシメ片222との間で(境界位置において)導電性繊維の断線が生じ易い。また、かしめたときに、他方の第一カシメ片221Bと他方の第二カシメ片222Bとの間での導電性繊維の断線を防ぐことによって、他の位置の第一カシメ片221A、221Bと第二カシメ片222Aとの間で導電性繊維の断線が生じていても、十分な引っ張り強度が確保される。このため、第一間隔αを第二間隔βより広くして(具体的には、前記咬み込み等による断線が生じない程度の間隔にして)この位置での断線を抑えることで、十分な引っ張り強度を確保することができる。
【0060】
尚、第二間隔βが形成されている位置で断線が生じても、第一カシメ片211A、211Bと第二カシメ片222Aとが強固にかしめられて芯線90をしっかり抱き込むことで、電線9(芯線90)とコネクタ端子1とが十分に導通する。
【0061】
また、本実施形態のコネクタ端子1では、第一間隔(他方の第一カシメ片221Bと他方の第二カシメ片222Bとの間隔)αは、電線9が接続された状態(即ち、各カシメ片221A、221B、222A、222Bがかしめられた状態)において、かしめに起因して縁部が膨らんだ状態の他方の第一カシメ片221B及び他方の第二カシメ片222Bが接触しない間隔である。このため、中心軸C方向における電線9の絶縁被覆部材91に最も近い位置に形成される第一カシメ片221Bと第二カシメ片222Bとの間(境界位置)での導電性繊維の断線がより確実に抑えられ、これにより、十分な引っ張り強度をより確実に確保することができる。
【0062】
また、本実施形態のコネクタ端子1では、例えば、第一カシメ片221Bにおける先端2211Bと基端2212Bとの間の縁部、及び第二カシメ片222Aにおける先端2221Aと基端2222Bとの間の縁部のそれぞれが、電線接続部本体21の幅方向と交差する方向に延びている。
【0063】
かかる構成によれば、各カシメ片221B、222Aがかしめられた状態で、各カシメ片221B、222Aの前記縁部が、各導電性繊維(芯線90を構成する導電性繊維)に対し、斜めに横切るように接する。これにより、導電性繊維と直交するように(電線接続部本体21の幅方向に)接する場合に比べ、導電性繊維との接触面積が増え、その結果、該縁部での導電性繊維の断線がより抑えられる。
【0064】
また、以上のコネクタ端子1が接続された電線9(コネクタ端子付き電線)では、芯線90が導電性繊維で構成された電線9が電線接続部2に圧着されていても、コネクタ端子1の電線接続部2における電線9の引っ張り強度が十分に確保されている。
【0065】
即ち、コネクタ端子1が医療機器用センサ10に用いられる場合、該医療機器用センサ10において、芯線が導電性繊維で構成された電線が出力用電線として用いられても、コネクタ端子1の電線接続部2における電線9の引っ張り強度が十分に確保される。
【0066】
尚、本発明の圧着端子、圧着端子付き電線、及び医療機器用センサは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0067】
上記実施形態のコネクタ端子1では、導体カシメ片22は、二つの第一カシメ片221と、二つの第二カシメ片222とによって構成されているが、この構成に限定されない。導体カシメ片22は、二つ以上の第一カシメ片221と、少なくとも一つの第二カシメ片222とによって構成されていればよい。これら第一カシメ片221と第二カシメ片222とは、中心軸C方向にずれた状態で交互に配置される。
【0068】
圧着端子の電気接続部3の具体的な構成は、限定されない。上記実施形態の圧着端子(コネクタ端子)1の電気接続部3は、三つ以上の弾性接触片32によって相手側端子ピンPを保持するが、この構成に限定されない。電気接続部3は、締結部材やはんだ付け等によって相手側端子に接続される構成であってもよい。
【0069】
コネクタ端子1は、コネクタハウジングに収容されてコネクタを構成してもよい。このコネクタの構成は、例えば、以下の通りである。
【0070】
コネクタハウジング5は、図10図12にも示すように、コネクタ端子1を収容する端子収容部6と、相手側端子ピンPが挿入される端子挿入口7と、を有する。また、コネクタハウジング5は、コネクタ端子1が挿入される基端側開口8を有する。詳しくは、以下の通りである。尚、以下では、中心軸C方向において、端子挿入口7の側を前方側とし、基端側開口8の側を後方側とする。
【0071】
コネクタハウジング5は、中心軸Cを有する筒状であり、絶縁性を有する樹脂によって形成されている。コネクタハウジング5は、内周面50を有し、内周面50は、コネクタ端子1が収容される空間(収容空間)Sを画定する。本実施形態の端子収容部6は、これら内周面50と収容空間Sとを含む。また、端子挿入口7は、コネクタハウジング5の先端において、中心軸C方向に外部と収容空間Sを連通させる開口であり、基端側開口8は、コネクタハウジング5の後端において、中心軸C方向に外部と収容空間Sとを連通させる開口である。
【0072】
本実施形態の内周面50では、中心軸C方向の各位置における断面(中心軸Cと直交する面方向の断面)は円形又は略円形である。この内周面50は、径の異なる複数の部位を有する。具体的には、前方側から後方側に向かって順に、径の最も小さな第一部位51と、第一部位51より径の大きな第二部位52と、第二部位52より径の大きな(最も径の大きな)第三部位53と、を有する。第一部位51と第二部位52とは、前方側に向かうに連れて縮径する第一縮径部54によって接続されている。また、第二部位52と第三部位53とは、先端側に向かうに連れて縮径する第二縮径部55によって接続されている。これら内周面50を構成する各部位51〜55の中心軸は、一致している。
【0073】
第一部位51、第一縮径部54、及び第二部位52は、内周面50において電気接続部3の周囲を囲う部位である。第二部位52は、電気接続部3(詳しくは、電気接続部本体31)の端子側係合部313と対応する位置に該端子側係合部313と係合するハウジング側係合部521を有する。本実施形態のハウジング側係合部521は、中心軸C方向において部分的に設けられた径の小さな部位(中心軸C側に盛り上がった部位)であり、中心軸C方向において第二縮径部55と隣接(連続)した位置に設けられている。また、第一部位51と第一縮径部54との境界部56は、弾性接触片32の基部323と該基部323の外側(詳しくは、内周面50の径方向の外側)から当接する。即ち、境界部56は、基部323を外側から支持する。
【0074】
第三部位53の基端部は、コネクタハウジング5の基端部に形成されている基端側開口8を画定する。コネクタハウジング5の収容空間Sと外部空間とは、基端側開口8を通じて連通している。
【0075】
また、コネクタハウジング5は、第一部位51における中心軸C方向の所定位置から中心軸Cに向けて突出する突出部70を有する。本実施形態の突出部70は、コネクタハウジング5の先端において端子挿入口7を画定する壁部(先端壁部)である。即ち、突出部70は、第一部位51の先端側の端縁から中心軸C方向に突出する。この突出部70は、コネクタハウジング5にコネクタ端子1が収容された状態で端子挿入口7から相手側端子ピンPが挿入されたときに、相手側端子ピンPに押圧された接触部324が湾曲した状態から弾性変形して直線状になったとき(真っ直ぐ伸びたとき)に先端部325が当接する位置に設けられている。詳しくは、以下の通りである。
【0076】
相手側端子ピンPが挿入される前の状態(初期状態)では、各弾性接触片32の接触部324は、中心軸Cに向けて膨らむように湾曲している。この状態で、相手側端子ピンPが端子挿入口7から中心軸C方向に挿入されると、内接円γ(図2参照)が相手側端子ピンPの外周より小さいため、相手側端子ピンPが後方側に向けて進むことで、各弾性接触片32の接触部324が内周面50の径方向外側に押し広げられる。即ち、各弾性接触片32の接触部324には、相手側端子ピンPからの内周面50の径方向外側に向けた押圧力が加わる。
【0077】
このとき、接触部324の後端は、コネクタハウジング5と係合している電気接続部本体31から延び且つ境界部56によって内周面50の径方向外側から支持されている基部323に接続されているため移動が規制されている。このため、接触部324に前記押圧力が加わると、接触部324の先端が端子挿入口7側に移動し、これにより、接触部324が弾性変形して曲率が小さくなり、相手側端子ピンPが十分に挿入されたときに、接触部324は相手側端子ピンPに沿った直線状となる。
【0078】
この接触部324が弾性変形によって伸びる際には、先端部325が第一部位51によって内周面50の径方向外側への移動が規制されているが、第一部位51に沿った移動は可能であるため、該第一部位51に接触した状態で先端側(端子挿入口7側)に移動する。即ち、先端部325は、第一部位51に対して端子挿入口7側に摺動する(摺りつつ移動する)。そして、接触部324が弾性変形により相手側端子ピンPに沿って真っ直ぐなったときに(図12参照)、第一部位51に対して端子挿入口7側に向けて摺動していた先端部325は、突出部70に当接する。このように弾性変形して接触部324が真っ直ぐになった状態では、中心軸C方向における接触部324の全域が、相手側端子ピンPに接触している。
【0079】
これにより、コネクタ(コネクタ端子1を収容した状態のコネクタハウジング5)では、各弾性接触片32の弾性復帰力(相手側端子ピンPへ向けた押圧力)による保持力と、接触部324が中心軸C方向(挿入方向)の全域で相手側端子ピンPと接触することによる摩擦力(相手側端子ピンPが抜けようとしたときにこれに抗する力)と、によって、相手側端子ピンPを保持する力が十分に確保される。しかも、弾性復帰力のみで相手側端子ピンPを保持する力を確保する場合に比べて、弾性復帰力(相手側端子ピンPへ向けた弾性接触片32の押圧力)を小さくできるため、相手側端子ピンPが挿入し易くなる。
【0080】
即ち、弾性接触片の弾性復帰力のみによって相手側端子ピンを保持する力を確保する場合には相手側端子ピンが挿入し難くなるが、前記コネクタのように弾性復帰力に加えて摩擦力も利用して相手側端子ピンPを保持する力を確保することで、相手側端子ピンPの挿入し易さと、挿入後の相手側端子ピンPに対する十分な保持力の確保との両方が実現できる。
【0081】
上記実施形態の医療機器用センサは、心電図用電極であるが、この構成に限定されない。医療機器用センサは、例えば、血圧センサ、SpO2(動脈血酸素飽和度)センサ、呼気センサ等であってもよい。
【0082】
また、コネクタ端子1は、医療機器用センサに限定されず、種々の機器に用いられ且つ導電性繊維によって芯線が構成される電線に接続可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…コネクタ端子、2…電線接続部、21…電線接続部本体、22…導体カシメ片、221、221A、221B…第一カシメ片、2211A、2211B…第一カシメ片の先端、2212A、2212B、2213A、2213B…第一カシメ片の基端、2214A、2214B、2215A、2215B…第一カシメ片の縁部、222、222A、222B…第二カシメ片、2221A、2221B…第二カシメ片の先端、2222A、2222B、2223A、2223B…第二カシメ片の基端、2224A、2224B、2225A、2225B…第二カシメ片の縁部、23…被覆部カシメ片、3…電気接続部、31…電気接続部本体、311…筒部、312…規制片、313…端子側係合部、32…弾性接触片、321…第一屈曲部、322…第二屈曲部、323…基部、324…接触部、325…先端部、33…被覆部カシメ片、4…電気接続部、5…コネクタハウジング、50…内周面、51…第一部位、52…第二部位、521…ハウジング側係合部、53…第三部位、54…第一縮径部、55…第二縮径部、56…境界部、6…端子収容部、7…端子挿入口、70…突出部、8…基端側開口、9…電線、90…芯線、91…絶縁被覆部材、10…心電図用電極(医療機器用センサ)、11…電極本体、12…出力用電線、100…圧着端子、101…端子接続部、102…電線接続部、1021…底板、1022…一方側カシメ片、1023…他方側カシメ片、1022A、1023A…カシメ片、105…カシメ片の間隔、A…弾性接触片に囲まれた領域、C…中心軸、C1…中心線、P…相手側端子ピン、S…収容空間、α…第一間隔、β…第二間隔、γ…内接円
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15