(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670887
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】セーフティカッターナイフ
(51)【国際特許分類】
B26B 3/00 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
B26B3/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-104350(P2018-104350)
(22)【出願日】2018年5月31日
(65)【公開番号】特開2019-208569(P2019-208569A)
(43)【公開日】2019年12月12日
【審査請求日】2018年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】390024132
【氏名又は名称】オルファ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138874
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 雅晴
(72)【発明者】
【氏名】高嶋 洋輔
【審査官】
山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3204038(JP,U)
【文献】
特開2017−189398(JP,A)
【文献】
米国意匠特許発明第00660675(US,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリップ部(31)と、
グリップ部から突出するブレード(50a、50b)と、
突出したブレードの先端に配置されるヘッド部(33a、33b)と、を備えるセーフティカッターナイフであって、
上記ブレードに、貫通孔(55)が形成されていて、
当該貫通孔(55)内に位置する連結部(35)が、上記グリップ部と上記ヘッド部とを連結していることを特徴とする、セーフティカッターナイフ。
【請求項2】
上記グリップ部(31)、ヘッド部(33a、33b)、および連結部(35)が樹脂製である、請求項1記載のセーフティカッターナイフ。
【請求項3】
1つのブレード(50)の両端部(50a、50b)が、上記グリップ部(31)から互いに遠ざかる反対方向両側に突出していて、当該両端部のそれぞれに上記ヘッド部(33a、33b)が設けられてなる請求項1または2記載のセーフティカッターナイフであって、
上記貫通孔(55)は、当該1つのブレード(50)に形成され、一方のヘッド部(33a)から他方のヘッド部(33b)まで延在していることを特徴とする、請求項1または2記載のセーフティカッターナイフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚紙や紐材等を安全に切断できるセーフティカッターナイフに関する。
【背景技術】
【0002】
厚紙や紐材等を安全に切断できるセーフティカッターナイフが、従来より種々提案されている(例えば、特許文献1〜4)。特許文献1のセーフティカッターナイフを
図1に示す。
使用者が握るグリップ部11から両側にブレード12a、12bが突出し、各ブレードの先端にガイドおよびガードを目的としたヘッド部13a、13bが設けられている。使用者はグリップ部11を握って手前に引き、一方のブレード12aまたは12bにより、厚紙等を切断する。
【0003】
一般的に、ブレード12a、12bは金属製で、グリップ部11、ヘッド部13a、13bは、それぞれ樹脂製である。これを製造する場合、成形型にブレードを設置した上で、グリップ部11、ヘッド部13a、13bを構成する樹脂を成形型に流し込むこととなる。グリップ部11、ヘッド部13a、13bは、互いに分離された(繋がっていない)樹脂成形体であるため、
図3Aに概略的に示したように、3ゲートタイプの成形型が必要となる。
【0004】
つまり、
図3Aは、3ゲートタイプの成形型を用いて成形した直後における、セーフティカッターナイフを簡略的に示している。3つの樹脂部分(11、13a、13b)のそれぞれからランナー(成形型の流路に留まっていた樹脂)が突出しており、3ゲートタイプの成形型が使用されたことが理解できる。このランナーは、その後適宜の方法で除去される。
一般的に言って、3ゲートタイプの成形型を使用する場合、後述する1ゲートタイプの成形型を使用する場合と比べて、バリ取り等を含めた製造の手間およびコストがアップする。
【0005】
特許文献4は、同様の目的で使用されるセーフティカッターナイフを開示しているが、3ゲートタイプではなく、1ゲートタイプの成形型を用いて製造できる。つまり、特許文献4のセーフティカッターナイフは、
図2に示したように、グリップ部11とヘッド部13aが連結された一体物である。このカッターナイフでは、グリップ部11とヘッド部13aを連結する樹脂部14がブレードを覆っていて、当該ブレードのエッジ15のみが露出している。このような構成によれば、樹脂で成形される部分が一体化されるので、1ゲートタイプの成形型を使用することができ、したがって、製造の手間およびコストを低減することができる。
【0006】
しかしながら、樹脂部14がブレード上を覆って延在するが故に、切断作業時における切断抵抗が増すという別の問題が生じる。その結果、切断をスムーズに行えず手の疲労が増す、切り口が雑になる等の問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国意匠特許 USD 784,107S
【特許文献2】米国意匠特許 USD 660,675S
【特許文献3】米国意匠特許 USD 802,394S
【特許文献4】米国意匠特許 USD 527,604S
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み創案されたものであって、その目的は、グリップ部とヘッド部を樹脂等で一体的に構成して製造工程を簡略化できるとともに、切断抵抗が増すこともないセーフティカッターナイフを提供することにある。
【0009】
本発明のセーフティカッターナイフは、「グリップ部」と「グリップ部から突出するブレード」と「突出したブレードの先端に配置されるヘッド部」とを備える。ブレードには貫通孔が形成されていて、当該貫通孔内に位置する連結部が、上記グリップ部と上記ヘッド部とを連結している。
連結部は、型成形に広く使用できる樹脂製であることが好ましいが、ダイカスト成形に使用できるアルミニウム、亜鉛、マグネシウム、その他の金属製であってもよい。
【0010】
上記構成を備えた本発明のセーフティカッターナイフにおいては、ブレードに形成した貫通孔内に位置する連結部が、グリップ部とヘッド部を連結している。そのため、1ゲートタイプの成形型を用いて製造することが可能となり、3ゲートタイプの成形型を使用する場合と比べて、成形型の構成を簡単化してコストを抑えることができる。また、成形直後のバリ取り等を含めた製造の手間が抑えられ、この点からもコストを抑えることができる。
しかも、グリップ部とヘッド部を連結する連結部は、ブレードに形成した貫通孔内に位置しているので、ブレードの全厚を増加させることも無い。そのため、厚紙その他の対象物を切断する際の切断抵抗が増加することが無く、したがって、(連結部がブレード上を覆って厚みを増す場合と比較して)切断作業がスムーズとなり、手の疲労が少ない、あるいは、切り口が雑になるのを防止できる、といった効果が得られる。
さらには、当該連結部は、貫通孔内に位置するが故に、ブレードの背に沿って延在する場合と比べると耐久性が高い。すなわち、セーフティカッターナイフを使用するうちに連結部が破断してしまうということが起こり難く、したがって、破断した連結部が異物となってどこかに混入することも有効に防止できる。
【0011】
本発明のセーフティカッターナイフにおいては、(グリップ部内に埋め込まれた)1つのブレードの両端部が、上記グリップ部から互いに遠ざかる反対方向両側に突出していて、当該両端部のそれぞれに上記ヘッド部が設けられていてもよい。この場合、上記貫通孔は、当該1つのブレードに形成され、一方のヘッド部から他方のヘッド部まで延在していることが好ましい。
【0012】
このような構成を採用すると、2つの切断部を有するセーフティカッターナイフを構成するために、成形型内に1枚のブレードを配置するだけで足りる。したがって、成形型内でのブレードの配置が簡単となり、製造の手間およびコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】従来のセーフティカッターナイフの一例を説明する図。
【
図2】従来のセーフティカッターナイフの他の一例を説明する図。
【
図3A】3ゲートタイプの成形型でセーフティカッターナイフを製造する場合を説明する概略斜視図。
【
図3B】1ゲートタイプの成形型でセーフティカッターナイフを製造する場合を説明する概略斜視図。
【
図4A】本発明の第1実施形態に係るセーフティカッターナイフの先端近傍領域を示す図。
【
図4B】
図4Aのセーフティカッターナイフ中に配置されているブレードを示す透視図。
【
図5】本発明のセーフティカッターナイフの裏表の形状を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を、添付の図面を参照して以下に説明する。第1実施形態は、詳細は以下に説明するが、グリップ部31、ヘッド部33a、33b、連結部35が樹脂製であって、成形型を用いて製造される。
図4Aは、本発明の第1実施形態に係るセーフティカッターナイフ30を示している。セーフティカッターナイフ30は、
図4Aにおいて先端付近のみが図示されているが、
図1、2に示した従来と同様に全体が細長く、使用者がグリップ部31を握って手前に引き、一方のブレード50aまたは50bにより、厚紙等を切断する。
なお、
図5および
図6には、本発明のセーフティカッターナイフの全体形状の一例を図示した。
【0015】
グリップ部31(の先端領域)から両側にブレード50a、50bが突出し、各ブレードの先端にガイドおよびガードを目的としたヘッド部33a、33bが設けられている。このような特徴、それ自体は、
図1に示した従来のセーフティカッターナイフと同様である。
【0016】
本発明の主たる特徴は、ブレード50に長孔(貫通孔)55を設けている点にある。その結果、以下に説明するように、「1ゲートタイプの成形型を使用してセーフティカッターナイフを製造できる」、しかも「ブレードの全厚が増加することが無い」という効果を得るがことができる。
【0017】
<1ゲートタイプの成形型を使用して製造できる>
図4Bは、
図4Aのセーフティカッターナイフ30におけるブレード50を示す透視図である。ブレード50に形成された長孔55は、一方のヘッド部33aから他方のヘッド部33bまで延在していることが分かる。
【0018】
セーフティカッターナイフ30は型成形で作られるが、その際、成形型内にブレード50をセットしておき、そこに樹脂が流し込まれる。
1ゲートタイプの成形型を使用して、例えば、当該ゲートからグリップ部31に対応するキャビティ部分に流れ込むようにすると、樹脂は、ブレードの貫通孔55内を進行しながらキャビティ内を流れ、最終的には、ヘッド部33a、33bを形成する。型成形が完了した後において、貫通孔55内に残る樹脂が固まったものが、
図4A中の連結部35である。
【0019】
このように、樹脂製のパーツは3つ(グリップ部31、ヘッド部33a、33b)存在するが、これら3つのパーツが同じく樹脂製の連結部35で一体化されているため、本発明のセーフティカッターナイフ30は、1ゲートタイプの成形型を使用して製造することが可能になる。
図3Bは、これを概略的に説明するもので、1ゲートタイプの成形型を用いて成形した直後における、セーフティカッターナイフを簡略的に示している。従来技術の説明において参照した
図3Aと比較すれば明らかなように、ランナーは1箇所からだけ出ている。
一般的に言って、3ゲートタイプの成形型を使用するよりも、1ゲートタイプの成形型を使用した方が、バリ取り等を含めた製造の手間およびコストを抑えることができる。また、1ゲートタイプの成形型の方が、成形型の構成を簡単化してコストを抑えることができる。
【0020】
<ブレードの全厚が増加することが無い>
しかも、
図4A、4Bに示した構成によれば、グリップ部31とヘッド部33a、33bとを繋ぐ連結部35は、ブレード50に形成された長孔(貫通孔)55内に収まっているので、ブレード50の厚みが増すことが無い。
仮に、
図2に示した従来例のように樹脂部14がブレード上に重なるように延在すると、ブレードの全厚が増え、これが原因で、切断抵抗の増加や、切り口の劣悪化を招く。本発明のセーフティカッターナイフでは、連結部35が長孔55内に位置することで、ブレードの厚みは本来の厚さのままとなり(代表的には、全厚0.5〜0.6mm程度)、したがって、切断抵抗が増えたり、切り口が雑になったりすることはない。
さらに言うと、連結部35は、長孔55内に位置するが故に(すなわち、その全周をブレード50で囲まれているが故に)、ブレード50の背に沿って延在する場合と比べて耐久性が高い。仮に、樹脂部がブレード50の背に沿って外側に延在している場合を考えると、セーフティカッターナイフを使用するうちに、被切断物(厚紙や紐材等)との摩擦により連結部35に対して
図4A中で上向きの力が作用し、これにより連結部35が破断する可能性が高い。本発明では、連結部35がその全周をブレード50で囲まれているが故に、そのような破断が生じ難く、したがって、破断した連結部35が異物となってどこかに混入することも有効に防止できる。
【0021】
<第2実施形態>
第1実施形態では、セーフティカッターナイフを構成する「グリップ部31」、「ヘッド部33a、33b」、「連結部35」が樹脂製であって、成形型を用いて製造されていた。
これに対して、第2実施形態では、ダイカスト成形により、セーフティカッターナイフを製造する。すなわち、ダイカストマシンに取り付けた金型に、溶融金属(アルミニウム、亜鉛、マグネシウムなど)を高圧で注入して凝固させる。したがって、「グリップ部31」、「ヘッド部33a、33b」、「連結部35」は、いずれも金属製となる。
第2実施形態でも、第1実施形態の場合と同様に、1ゲートタイプの成形金型を使用して製造でき、しかも、ブレードの全厚が増加することが無い。したがって、上に説明した第1実施形態の場合と効果を得ることができる。
【0022】
上に説明した第1実施形態、第2実施形態の両方に対して、それぞれ、以下に説明するような変形例を採用することができる。
【0023】
<変形例>
(1)
図4A、4Bに示した実施形態では、グリップ部31から両側にブレード50a、50bが突出して、セーフティカッターナイフ30は、2箇所に切断部を有している。本発明は、そのような構成に限定されるものではなく、例えば、ブレードが片側にのみ突出するものであってもよい。
その場合であっても、ブレードに適宜の貫通孔を設けることで、グリップ部とヘッド部を連結部で連結することができ、したがって、1ゲートタイプの成形型を用いて製造することができる。
【0024】
(2)
図4A、4Bに示した実施形態では、グリップ部31内に1枚のブレード50が埋め込まれていて、当該1枚のブレードの両端50a、50bが、それぞれ、グリップ部31の側方に突出していた。しかし、本発明では、そのような構成に限らず、2枚の個別のブレードを用いて、セーフティカッターナイフを構成してもよい。
さらには、3枚以上の個別のブレードを用いて、切断部を3つ以上備えるセーフティカッターナイフとしてもよい。いずれの場合であっても、各ブレードに、それぞれ、貫通孔が形成されて、そこに流れ込んだ連結部が、グリップ部とヘッド部を連結する。それによって、1ゲートタイプの成形型を使用して、セーフティカッターナイフを製造することが可能となる。
【符号の説明】
【0025】
11 グリップ部
12a、12b ブレード
13a、13b ヘッド部
14 樹脂部
15 エッジ
30 セーフティカッターナイフ
31 グリップ部
33a、33b ヘッド部
35 連結部
50、50a、50b ブレード
55 長孔