特許第6670888号(P6670888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670888
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】バッテリの固定構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/04 20060101AFI20200316BHJP
   B60R 7/04 20060101ALI20200316BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20200316BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20200316BHJP
【FI】
   B60R16/04 F
   B60R7/04 C
   H01M2/10 K
   B60N2/90
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-104832(P2018-104832)
(22)【出願日】2018年5月31日
(65)【公開番号】特開2019-209718(P2019-209718A)
(43)【公開日】2019年12月12日
【審査請求日】2019年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】分部 健太郎
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−119326(JP,A)
【文献】 特開2008−189242(JP,A)
【文献】 特開2015−106531(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0001553(US,A1)
【文献】 特開2007−258164(JP,A)
【文献】 特開2013−067251(JP,A)
【文献】 特開2013−247774(JP,A)
【文献】 特開2001−097149(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0025045(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/04
B60N 2/90
B60R 7/04
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
車幅方向に設置された車両シートと、
前記バッテリを前記車両シート間に固定するための固定部材とを備えたバッテリの固定構造において、
前記固定部材は、前記バッテリに接触して前記バッテリを前記車両シートの間で支持する接触部材を備え、
前記接触部材は、車幅方向からの所定値以上の荷重の入力時に変形して前記バッテリを車幅方向に移動可能とし、
前記バッテリは、車幅方向の中心線を基準として一方の前記車両シート側に寄せて配置され、
前記バッテリはバッテリ収容部に収容され、該バッテリ収容部はセンターコンソールに配置されており、前記バッテリが寄せて配置されている側は取り外し可能にサイドリッドが形成され、該センターコンソールに前記バッテリを露出させる開口が形成されることを特徴とするバッテリの固定構造。
【請求項2】
前記接触部材は、車幅方向からの所定値以上の荷重の入力時に、荷重入力方向と反対側の前記接触部材が変形して前記バッテリを車幅方向に移動可能とすることを特徴とする請求項1に記載のバッテリの固定構造。
【請求項3】
前記接触部材は、前記バッテリに対して車両の床下方向に力を入力する上部押さえ部と、車幅方向に力を入力する接触部とを備え、車幅方向からの所定値以上の荷重の入力時には前記接触部が変形することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバッテリの固定構造。
【請求項4】
バッテリと、
車幅方向に設置された車両シートと、
前記バッテリを前記車両シート間に固定するための固定部材とを備えたバッテリの固定構造において、
前記固定部材は、前記バッテリに接触して前記バッテリを前記車両シートの間で支持する接触部材を備え、
前記接触部材は、車幅方向からの所定値以上の荷重の入力時に変形して前記バッテリを車幅方向に移動可能とし、
前記バッテリは、車幅方向の中心線を基準として一方の前記車両シート側に寄せて配置され、
前記固定部材は、前記バッテリの側面を保護する側板をさらに備え、
前記側板のうち前記バッテリが寄せて配置されている側の側板の方が、前記バッテリが寄せて配置されている側と反対側の側板より強度が強く形成されていることを特徴とするバッテリの固定構造。
【請求項5】
車幅方向から荷重が入力された際に、前記バッテリが車幅方向に移動したことで形成される前記バッテリと前記車両シートとの間の空間の車幅方向の長さは、前記車両シートの下方に位置するシートパイプが、車幅方向からの荷重の入力時に前記バッテリ方向に対して前記シートパイプが押し出される長さよりも長いことを特徴とする請求項4に記載のバッテリの固定構造。
【請求項6】
前記側板のうち、側面視で前記シートパイプと重なりうる位置にある部分の強度は、他の部分の強度よりも強いことを特徴とする請求項5に記載のバッテリの固定構造。
【請求項7】
前記固定部材は、バッテリが載置されるバッテリ支持部をさらに備え、
前記バッテリ支持部は、前記側板と連結する部分が傾斜して形成されていることを特徴とする請求項6に記載のバッテリの固定構造。
【請求項8】
前記バッテリは、補機用のバッテリであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のバッテリの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリの固定構造に係り、特に、自動車に搭載される補機用のバッテリを固定するためのバッテリの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、センターコンソールに搭載された高圧バッテリ42において、バッテリの下方向に冷却ダクト兼用の構造物を設定し、側面方向の衝撃入力時にはダクトを折り曲げることにより、側面衝突による衝撃を吸収させるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、その他の技術として、センターコンソールに搭載された高圧バッテリ32を保護する保護筐体に、溶接点とリブ75の配置を適切に設定することで、衝突入力時にリブ75が強度に作用することで、前後方向および側面方向における衝撃吸収を行うようにした技術が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−035094号公報
【特許文献2】特開2016−117380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記引用文献1のものでは、センターコンソール下に衝撃吸収用のダクトを設置する必要があるため、センターコンソールが高さ方向に拡大してしまい、スペースを大きくとってしまう。また、センターコンソールは、運転者の腕置きとしての使用も想定することが多く、高さ方向での制約はそういった使用の妨げになる可能性が高い。
【0005】
また、前記引用文献2のものでは、バッテリの下に衝撃吸収部材を置くのではなく、周囲の金属構造物に強度を持たせる構造となっている。そのため、センターコンソールの高さ方向における制約はなくなったものの、周囲の金属構造物は非常に厚くて重い構造物になってしまうという課題がある。
そのため、例えば、側面衝突などにより車幅方向から荷重が入力された場合に、大きな保護空間を形成することなく、バッテリへの衝撃を吸収することができるバッテリの固定構造が望まれている。
【0006】
本発明は、前記した点に鑑みてなされたものであり、大きな保護空間を形成することなく、もしくは重く、かつ金銭的にも高くなる構造物を周囲に追加することなく、バッテリへの衝撃を吸収することができるバッテリの固定構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、バッテリと、車幅方向に設置された車両シートと、前記バッテリを前記車両シート間に固定するための固定部材とを備えたバッテリの固定構造において、前記固定部材は、前記バッテリに接触して前記バッテリを前記車両シートの間で支持する接触部材を備え、前記接触部材は、車幅方向からの所定値以上の荷重の入力時に変形して前記バッテリを車幅方向に移動可能とし、前記バッテリは、車幅方向の中心線を基準として一方の前記車両シート側に寄せて配置され、前記バッテリはバッテリ収容部に収容され、該バッテリ収容部はセンターコンソールに配置されており、前記バッテリが寄せて配置されている側は取り外し可能にサイドリッドが形成され、該センターコンソールに前記バッテリを露出させる開口が形成されることを特徴とする。
これによれば、車幅方向から所定値以上の荷重が入力された場合、接触部材が変形することで、車幅方向からの荷重入力による衝撃を吸収させるとともに、バッテリが移動できる空間を保することができ、荷重の入力方向から遠ざかる方向にバッテリを移動させることができる。その結果、バッテリを側面衝突時の衝撃から守るとともに、バッテリの破損により予想される車内の乗客への二次的な被害の発生を防止することが可能となる。
また、サイドリッドを取り外すことにより、センターコンソールの側面に形成された開口を介してバッテリを露出させて、バッテリのメンテナンスを行うことができる。
【0008】
前記構成において、前記接触部材は、車幅方向からの所定値以上の荷重の入力時に、荷重入力方向と反対側の前記接触部材が変形して前記バッテリを車幅方向に移動可能とすることを特徴とする。
これによれば、車幅方向から所定値以上の荷重が入力された場合、荷重入力方向と反対側の接触部材が変形することで、車幅方向からの荷重入力による衝撃を吸収させるとともに、バッテリが移動できる空間を保することができ、荷重の入力方向から遠ざかる方向にバッテリを移動させることができる。
【0009】
前記構成において、前記接触部材は、前記バッテリに対して車両の床下方向に力を入力する上部押さえ部と、車幅方向に力を入力する接触部とを備え、車幅方向からの所定値以上の荷重の入力時には前記接触部が変形することを特徴とする。
これによれば、上部押さえ部によりバッテリの上部を押さえることができるため、車幅方向から荷重が入力された場合でも、バッテリの上下方向への移動を規制することができ、バッテリを円滑に幅方向に移動させることが可能となる。
【0010】
本発明は、バッテリと、車幅方向に設置された車両シートと、前記バッテリを前記車両シート間に固定するための固定部材とを備えたバッテリの固定構造において、前記固定部材は、前記バッテリに接触して前記バッテリを前記車両シートの間で支持する接触部材を備え、前記接触部材は、車幅方向からの所定値以上の荷重の入力時に変形して前記バッテリを車幅方向に移動可能とし、前記バッテリは、車幅方向の中心線を基準として一方の前記車両シート側に寄せて配置され、前記固定部材は、前記バッテリの側面を保護する側板をさらに備え、前記側板のうち前記バッテリが寄せて配置されている側の側板の方が、前記バッテリが寄せて配置されている側と反対側の側板より強度が強く形成されていることを特徴とする。
これによれば、バッテリを車両シートの一方に寄せることで、バッテリのメンテナンスを容易に行うことができる。
また、バッテリが寄せて配置されている側の側板の方が、バッテリが寄せて配置されている側と反対側の側板より強度が強く形成されているので、保護空間が小さい側からの荷重入力時にも、バッテリを保護することができる。
【0013】
前記構成において、車幅方向から荷重が入力された際に、前記バッテリが車幅方向に移動したことで形成される前記バッテリと前記車両シートとの間の空間の車幅方向の長さは、前記車両シートの下方に位置するシートパイプが、車幅方向からの荷重の入力時に前記バッテリ方向に対して前記シートパイプが押し出される長さよりも長いことを特徴とする。
これによれば、シートパイプがバッテリに突き刺さってバッテリを破損してしまうことを防止することができる。
【0014】
前記構成において、前記側板のうち、側面視で前記シートパイプと重なりうる位置にある部分の強度は、他の部分の強度よりも強いことを特徴とする。
これによれば、側面視でシートパイプと重なる位置にある側板の強度を他の箇所の強度より高く形成しているので、シートパイプによりバッテリを破損してしまうことを防止することができる。
【0015】
前記構成において、前記固定部材は、バッテリが載置されるバッテリ支持部をさらに備え、前記バッテリ支持部は、前記側板と連結する部分が傾斜して形成されていることを特徴とする。
これによれば、車幅方向から荷重が入力された場合に、バッテリ支持部の傾斜により、仮に側板が倒れたとしても、側板の固定が外れてしまうことを防止することができる。
【0016】
前記構成において、前記バッテリは、補機用のバッテリであることを特徴とする。
これによれば、補機用のバッテリに本発明を適用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、接触部材が変形することで、車幅方向からの荷重入力による衝撃を吸収させるとともに、バッテリが移動できる空間を確保することができ、荷重の入力方向から遠ざかる方向にバッテリを移動させることができる。その結果、バッテリを側面衝突時の衝撃から守るとともに、バッテリの破損により予想される車内の乗客への二次的な被害の発生を防止することが可能となる。
また、バッテリを車幅方向に移動させることで、荷重入力面側に空間を確保することがでるため、バッテリの左右両側に大きな保護空間を確保していなくても済み、さらに、重くかつ高価になる構造物を周囲に追加する必要がなく、バッテリの設置空間の制約を大幅に減少させながらも、荷重入力時には確実にバッテリを保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係るバッテリの固定構造が設けられる自動車の実施の形態を示す概略斜視図である。
図2】本実施の形態のバッテリの固定構造を示す分解斜視図である。
図3】本実施の形態のバッテリの固定構造を示す左側から見た斜視図である。
図4】本実施の形態のバッテリの固定構造を示す右側から見た斜視図である。
図5】本実施の形態のバッテリの固定構造を示す正面図である。
図6】本実施の形態のバッテリの固定構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るバッテリの固定構造が設けられる自動車の実施の形態を示す概略斜視図である。図2は、本実施の形態のバッテリの固定構造を示す分解斜視図である。図3は、本実施の形態のバッテリの固定構造を左側から見た斜視図である。図4は、本実施の形態のバッテリの固定構造を右側から見た斜視図である。図5は、本実施の形態のバッテリの固定構造を示す正面図である。図6は、本実施の形態のバッテリの固定構造を示す斜視図である。
なお、図5においては、図中右側が運転席側、図中左側が助手席側とされており、図6においては、図中下側が運転席側、図中上側が助手席側とされている。すなわち、図5および図6は、それぞれ自動車11の左側に運転席がある場合の例を示している。
【0020】
本実施形態におけるバッテリ10は、ハイブリッド車両や電気自動車などの電動車両である自動車に搭載される、補機用のバッテリ10である。バッテリ10は、例えば、充放電可能なリチウムイオン電池などの二次電池である。
【0021】
図1図5および図6に示すように、本実施形態においては、自動車11は、フロアパネル12を備えている。フロアパネル12の上面側には、車両シートとしての運転席13と助手席14がそれぞれ並んで配置されている。運転席13と助手席14との間には、センターコンソール15が配置されている。
フロアパネル12の上面側には、運転席13および助手席14をそれぞれ支持するシート支持板16が設けられている。シート支持板16は、前後方向に延在する板状に形成されており、運転席13を支持するための一対のシート支持板16と、助手席14を支持するための一対のシート支持板16とを車幅方向に所定間隔をもって設けられている。運転席13を支持する一対のシート支持板16の前方であって各シート支持板16の間には、シートパイプ17が設けられている。同様に、助手席14を支持する一対のシート支持板16の前方であって各シート支持板16の間には、シートパイプ17が設けられている。
【0022】
図5に示すように、各シート支持板16の上方には、運転席13の座面フレーム18および助手席14の座面フレーム18が設けられている。このように、運転席13および助手席14は、シートパイプ17を備えたシート支持板16および座面フレーム18により、支持されている。また、運転席13および助手席14は、前後方向に移動可能であり、着座位置を調整可能とされている。
センターコンソール15の前方には、バッテリ収容部19が配置されており、バッテリ収容部19の内部にバッテリ10が収容されている。
【0023】
センターコンソール15に配置されたバッテリ収容部19の側面には、図示しないが取り外し可能なサイドリッドが設けられている。そして、サイドリッドを取り外すことにより、センターコンソール15の側面に開口(図示せず)が形成され、この開口を介してバッテリ10を露出させて、バッテリ10のメンテナンスを行うことができるように構成されている。なお、後述するように、本実施の形態においては、バッテリ支持板すなわちバッテリ10は、助手席14側寄りに配置されているので、サイドリッドは、助手席14側に形成されている。
【0024】
次に、バッテリの固定構造について詳細に説明する。
図2から図4に示すように、バッテリ10を載置するための略水平に保持されたバッテリ支持部としてのバッテリ支持板20を備えている。バッテリ支持板20は、図示していないが、フロアパネル12にボルトBにより固定されている。
バッテリ支持板20は、バッテリ10を載置する略平板状の載置板21を備えており、載置板21の後方側端部の両側には、斜め下方に延在する固定用フランジ22が一体に設けられている。固定用フランジ22は、前後方向において、シートパイプ17の設置位置と略同様の位置に形成されている。すなわち、固定用フランジ22は、側面視でシートパイプ17と重なりうる位置に形成されている。
【0025】
図5に示すように、バッテリ支持板20は、運転席13側のシート支持板16と、助手席14側のシート支持板16との間に配置されるものであるが、本実施の形態においては、バッテリ支持板20は、助手席14側のシート支持板16寄りに配置されている。すなわち、図5に示すように、助手席14側のシート支持板16とバッテリとの間隙aは、運転席13側のシート支持板16とバッテリとの間隙bより小さく形成されている。
【0026】
バッテリ支持板20により支持されるバッテリ10は、車幅方向から荷重が入力された際に、バッテリ10が車幅方向に移動したことで形成されるバッテリ10と運転席13または助手席14との間の空間の車幅方向の長さは、シートパイプ17が、車幅方向からの荷重の入力時にバッテリ10方向に対してシートパイプ17が押し出される長さよりも長く形成されている。
すなわち、バッテリ10と運転席13および助手席14との間隔は、車幅方向から荷重が入力されてシートパイプ17がバッテリ10側に押し出されたとしても、シートパイプ17がバッテリ10に荷重を加えない程度の間隔に保持されている。
【0027】
バッテリ支持板20の一側(本実施の形態においては、運転席13側)には、左側板30が溶接により接合されている。バッテリ支持板20の他側には、右側板40が配置されている。
左側板30の下端部には、斜め下方に突出する下部固定片31が形成されており、下部固定片31と固定用フランジ22とをボルトBにより固定することで、左側板30とバッテリ支持板20とをフロアパネル12に固定するように構成されている。
左側板30の内側下方には、接触部材としての2つの下部接触部材32が前後方向に所定間隔をもって設けられている。下部接触部材32は、左側板30に取り付けられる取り付け片33と、バッテリ10の側面下部に接触する接触片34と、取り付け片33と接触片34とを傾斜して連結する連結片35とから構成されている。
【0028】
下部接触部材32は、その接触片34がバッテリ10の側面下部に当接し、バッテリ10の側面下部を支持するとともに、バッテリ10に車幅方向から所定値以上の荷重が入力された場合に、連結片35が変形してバッテリ10の車幅方向への移動を可能にする機能を備えている。
左側板30は、バッテリ10の上面よりわずかに突出する高さ寸法を有しており、左側板30の上端部には、上部固定部36が形成されている。
【0029】
右側板40は、内右側板41と、外右側板42との2枚重ねで構成されており、左側板30に比較して強度が高くなるように構成されている。すなわち、バッテリ支持板20は、運転席13側のシート支持板16と、助手席14側のシート支持板16との間に配置されるものであるが、本実施の形態においては、バッテリ支持板20は、助手席14側のシート支持板16寄りに配置されている。そのため、側面衝突などにより助手席14側のシートパイプ17に幅方向への荷重が入力されて、シートパイプ17が右側板40に当たる可能性があるが、右側板40の強度を左側板30の強度に対して高くなるように構成することで、シートパイプ17による右側板40の損傷を低減させることができるように構成されている。
【0030】
内右側板41の下端部には、斜め下方に突出する下部固定片43が形成されており、下部固定片43を固定用フランジ22にボルトBにより固定することで、内右側板41をバッテリ支持板20に固定するように構成されている。また、内右側板41の上端部には、上部固定片44が設けられている。
バッテリ支持板20の固定用フランジ22を斜め下方に延在するように形成し、この固定用フランジ22に右側板40をボルトBにより固定するようにしているので、車幅方向から荷重が入力された場合に、固定用フランジ22の傾斜により、仮に右側板40または左側板30が倒れたとしても、固定用フランジ22と、右側板40との固定が外れないように構成されている。
【0031】
また、固定用フランジ22を、前後方向においてシートパイプ17の設置位置と略同様の位置に形成し、固定用フランジ22に右側板40および左側板30をボルトBにより固定するようにしているので、シートパイプ17に対応する箇所におけるボルトBによる固定箇所を多くすることができ、シートパイプ17に対応する箇所の強度を高めることが可能となる。
【0032】
外右側板42の上端部には、斜め上方に傾斜して延在する上部支持片45が突設されている。上部支持片45には、接触部材としての上部接触部材46が取り付けられている。上部接触部材46は、上部支持片45の上面に当接される本体板47と、本体板47の両側から延在する上部押さえ部としての上部押え板48と、両端部から下方に延在する接触部としての接触板49とから構成されている。
接触板49は、バッテリ10の側面上部に当接し、バッテリ10の側面上部を支持するとともに、バッテリ10に車幅方向から所定値以上の荷重が入力された場合に、変形してバッテリ10の車幅方向に移動を可能にする機能を備えている。
【0033】
また、上部押さえ板48によりバッテリ10の上部を押さえることができるため、車幅方向から荷重が入力された場合でも、バッテリ10の過度の上下方向への移動を規制することができ、バッテリ10を円滑に幅方向に移動させることが可能となる。
なお、本説明でいう「変形」とは、荷重の入力により変形したままの状態の他、荷重の入力により変形した後、元の形に戻る場合も含むものである。
【0034】
左側板30の上部固定部36と、内右側板41の上部固定片44との間には、上部支持部材50が設けられている。上部支持部材50は、平面視略台形状に形成されており、幅寸法が短い辺が上部固定片44に、幅寸法の長い辺が上部固定部36にそれぞれボルトBにより固定されている。
上部支持部材50は、バッテリ10の上部を支持するものである。
【0035】
また、図2に示すように、バッテリ10の前方には、前板51が設けられており、前板51一側は、左側板30に対して溶接により接合されている。前板51の他側は、右側板40にボルトBにより固定することにより保持されている。
バッテリ10の後方には、後板52が設けられており、後板52の両側を右側板40および左側板30とボルトBにより固定することにより保持されている。
このように構成することで、バッテリ10の周囲は、右側板40、左側板30、前板51および後板52により保持され、バッテリ10の上部は、上部支持部材50により保持されることになる。
そして、バッテリ10の左側において、左側板30、下部接触部材32により左側の固定部材60が構成されており、バッテリ10の右側において、右側板40、上部接触部材46により右側の固定部材61が構成されている。
【0036】
なお、前記実施の形態においては、バッテリ支持板20を助手席14側のシート支持板16寄りに配置した場合について説明したが、バッテリ支持板20を運転席側のシート支持板16寄りに配置するようにしてもよい。この場合は、前述のバッテリの固定構造を左右反転した構造とすればよい。
【0037】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施の形態において、自動車11の側面衝突などにより、車幅方向から所定値以上の荷重が入力された場合、下部接触部材32の連結片35または上部接触部材46の接触板49が変形することで、車幅方向からの荷重入力による衝撃を吸収させるとともに、バッテリ10が移動できる空間を保することができ、荷重の入力方向から遠ざかる方向にバッテリ10が移動可能となる。
【0038】
例えば、助手席14側から荷重が入力された場合は、助手席14と反対側の運転席13側の左側板30の下部接触部材32の連結片35が変形することで、バッテリ10が運転席13側に移動する空間が確保され、バッテリ10の車幅方向への移動が可能となる。
また、運転席13側から荷重が入力された場合は、運転席13と反対側の助手席14側の右側板40の上部接触部材46の接触板49が変形することで、バッテリ10が助手席14側に移動する空間が確保され、バッテリ10の車幅方向への移動が可能となる。
【0039】
このように幅方向からの荷重入力時にバッテリ10を移動可能としたことで、センターコンソール15に設置されたバッテリ10を側面衝突時の衝撃から守るとともに、バッテリ10の破損により予想される車内の乗客への二次的な被害の発生を防止することが可能となる。
さらに、バッテリ10を車幅方向に移動させることで、荷重入力面側に空間を確保することがでるため、バッテリ10の左右両側に大きな保護空間を確保していなくてもすみ、バッテリ10の設置空間の制約を大幅に減少させながらも、荷重入力時には確実にバッテリ10を保護することが可能となる。
【0040】
また、バッテリ10は、助手席14寄りに配置されているため、運転席13側と比較して助手席14側の保護空間が小さくなってしまうが、本実施の形態においては、右側板40を内右側板41と外右側板42との2枚重ねで構成し、右側板40の強度を左側板30に対して高くなるようにしているので、保護空間が小さい助手席14側からの荷重入力時にも、バッテリ10を保護することが可能となる。
また、バッテリ10は、車幅方向から荷重が入力された際に、バッテリ10が車幅方向に移動したことで形成されるバッテリ10と運転席13または助手席14との間の空間の車幅方向の長さを、車幅方向からの荷重の入力時にバッテリ10方向に対してシートパイプ17が押し出される長さよりも長く形成しているので、シートパイプ17がバッテリ10に突き刺さってバッテリ10を破損してしまうことを防止することができる。
【0041】
さらに、側面視でシートパイプ17と重なる位置にある右側板40および左側板30の強度を他の箇所の強度より高く形成しているので、シートパイプ17によりバッテリ10を破損してしまうことを防止することができる。また、バッテリ10支持板の固定用フランジ22を斜め下方に延在するように形成し、この固定用フランジ22に右側板40をボルトBにより固定するようにしているので、車幅方向から荷重が入力された場合に、固定用フランジ22の傾斜により、仮に右側板40が倒れたとしても、固定用フランジ22と、右側板40との固定が外れてしまうこと、およびそれに伴う側面保護強度低下を防止することができる。固定用フランジ22および左側板30についても、溶接とボルトBによる固定により、同等の効果を得ることができる。
【0042】
以上述べたように、本実施形態においては、固定部材は、バッテリ10に接触してバッテリ10を運転席13および助手席14(車両シート)の間で支持する下部接触部材32および上部接触部材46(接触部材)を備え、下部接触部材32および上部接触部材46は、車幅方向からの所定値以上の荷重の入力時に変形してバッテリ10を車幅方向に移動可能とする。
これにより、自動車11の側面衝突などにより、車幅方向から所定値以上の荷重が入力された場合、下部接触部材32または上部接触部材46が変形することで、車幅方向からの荷重入力による衝撃を吸収させるとともに、バッテリ10が移動できる空間を保することができ、荷重の入力方向から遠ざかる方向にバッテリ10を移動させることができる。その結果、バッテリ10を側面衝突時の衝撃から守るとともに、バッテリ10の破損により予想される車内の乗客への二次的な被害の発生を防止することが可能となる。
また、バッテリ10を車幅方向に移動させることで、荷重入力面側に空間を確保することができるため、バッテリ10の左右両側に大きな保護空間を確保していなくても済み、さらに、重くかつ高価になる構造物を周囲に追加する必要がなく、バッテリ10の設置空間の制約を大幅に減少させながらも、荷重入力時には確実にバッテリ10を保護することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態においては、下部接触部材32または上部接触部材46(接触部材)は、車幅方向からの所定値以上の荷重の入力時に、荷重入力方向と反対側の上部接触部材46または下部接触部材32が変形してバッテリ10を車幅方向に移動可能とする。
これにより、車幅方向から所定値以上の荷重が入力された場合、荷重入力方向と反対側の下部接触部材32または上部接触部材46が変形することで、車幅方向からの荷重入力による衝撃を吸収させるとともに、バッテリ10が移動できる空間を保することができ、荷重の入力方向から遠ざかる方向にバッテリ10を移動させることができる。
【0044】
また、本実施形態においては、上部接触部材46(接触部材)は、バッテリ10に対して車両の床下方向に力を入力する上部押さえ板48(上部押さえ部)と、車幅方向に力を入力する接触板49(接触部)とを備え、車幅方向からの所定値以上の荷重の入力時には接触板が変形する。
これにより、上部押さえ板48によりバッテリ10の上部を押さえることができるため、車幅方向から荷重が入力された場合でも、バッテリ10の上下方向への移動を規制することができ、バッテリ10を円滑に幅方向に移動させることが可能となる。
【0045】
また、本実施形態においては、バッテリ10は、車幅方向の中心線を基準として運転席13または助手席14の一方の側に寄せて配置されている。
これにより、運転席13または助手席14の一方に寄せることで、バッテリ10のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0046】
また、本実施形態においては、バッテリ10は、センターコンソール15に搭載されており、センターコンソール15のバッテリ10が寄せて配置されている側は取り外し可能に形成され、バッテリ10を露出させる開口が形成される。
これにより、開口を介してバッテリ10のメンテナンスや交換を容易に行うことができる。
【0047】
また、本実施形態においては、固定部材は、バッテリ10の側面を保護する右側板40および左側板30(側板)をさらに備え、側板のうちバッテリ10が寄せて配置されている側の左側板30の方が、バッテリ10が寄せて配置されている側と反対側の右側板40より強度が強く形成されている。
これにより、右側板40を内右側板41と外右側板42との2枚重ねで構成し、右側板40の強度を左側板30に対して高くなるようにしているので、保護空間が小さい助手席14側からの荷重入力時にも、バッテリ10を保護することができる。
【0048】
また、本実施形態においては、車幅方向から荷重が入力された際に、バッテリ10が車幅方向に移動したことで形成されるバッテリ10と運転席13および助手席14(車両シート)との間の空間の車幅方向の長さは、運転席13および助手席14の下方に位置するシートパイプ17が、車幅方向からの荷重の入力時にバッテリ10方向に対してシートパイプ17が押し出される長さよりも長い。
これにより、シートパイプ17がバッテリ10に突き刺さってバッテリ10を破損してしまうことを防止することができる。
【0049】
また、本実施形態においては、右側板40および左側板30(側板)のうち、側面視でシートパイプ17と重なりうる位置にある部分の強度は、他の部分の強度よりも強い。
これにより、側面視でシートパイプ17と重なりうる位置にある右側板40および左側板30の強度を他の箇所の強度より高く形成しているので、シートパイプ17によりバッテリ10を破損してしまうことを防止することができる。
【0050】
また、本実施形態においては、固定部材は、バッテリ10が載置されるバッテリ支持板20(バッテリ支持部)をさらに備え、バッテリ支持板20の固定用フランジ22は、右側板40および左側板30(側板)と連結する部分が傾斜して形成されている。
これにより、車幅方向から荷重が入力された場合に、固定用フランジ22の傾斜により、仮に右側板40または左側板30が倒れたとしても、固定用フランジ22と、右側板40および左側板30との固定が外れてしまうこと、および強度低下を防止することができる。
【0051】
なお、実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。あくまでも本発明の一実施態様を例示するものであるから、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更、および応用が可能である。
前記実施の形態においては、助手席14側のシート支持板16とバッテリとの間隙aを、運転席13側のシート支持板16とバッテリとの間隙bより小さく形成した場合について説明したが、運転席13側のシート支持板16とバッテリとの間隙bを小さく形成するようにしてもよい。この場合には、運転席13側の左側板の強度を強く形成すればよい。
【符号の説明】
【0052】
10 バッテリ
11 自動車
13 運転席
14 助手席
15 センターコンソール
16 シート支持板
17 シートパイプ
19 バッテリ収容部
20 バッテリ支持板
21 載置板
22 固定用フランジ
30 左側板
32 下部接触部材
33 取り付け片
34 接触片
35 連結片
40 右側板
41 内右側板
42 外右側板
46 上部接触部材
47 本体板
48 上部押さえ板
49 接触板
50 上部支持部材
51 前板
52 後板
60 固定部材
61 固定部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6