(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0050] 本発明は、子宮頸部の異常な組織の検出、診断及び治療に関する。一態様では、本発明は、非侵襲的光線力学的方法を使用して、蛍光診断を用いて異常な組織から健康な組織を区別する。一態様では、本発明は、同様の光線力学的方法を使用して、異常な組織に対する光線力学的治療(PDT)を提供する。いくつかの態様では、本発明は、診断構成要素を含む装置である。診断構成要素は、子宮頸部の異常な組織を検出するように特に適合されている。いくつかの態様では、本発明は、治療構成要素を含む装置である。治療構成要素は、子宮頸部の異常な組織を治療するように特に適合されている。いくつかの態様では、本発明は、診断構成要素及び治療構成要素両方を含む装置である。いくつかの態様では、本発明の装置は、診断構成要素及び/又は治療構成要素を作動させる制御パネルを含む制御構成要素を含む。いくつかの態様では、本発明は、本明細書に記載する装置を用いる診断方法及び/又は治療方法である。いくつかの態様では、本発明は、組織自家蛍光、光増感剤化合物の投与後の組織蛍光、及び/又は光線力学的治療の後の組織蛍光を検出することにより、子宮頸部組織の蛍光診断を提供する方法である。いくつかの態様では、本発明は、子宮頸部組織の光線力学的治療の前及び後に子宮頸部組織の蛍光診断を提供する方法である。いくつかの態様では、本発明は、子宮頸部の異常な組織を治療する方法である。
【0016】
[0051] 予備的臨床評価に基づいて、本診断構成要素は、初めて、光増感剤(PS)を使用せずに異常な組織の同定及び診断を可能にする。さらに、治療構成要素を使用して、前がん病変又はがんがある23人の患者を治療するのに成功した。さらに、予備的評価に基づいて、治療構成要素は、子宮頸部内及びその近くの最大1cm深さ、場合によってはそれより深い前がん病変及びがん等の異常な組織を治療することができることが期待される。実施例4も参照されたい。
【0017】
[0052] 本明細書で考察する「異常な組織」は、例えば、HPV等の微生物による感染から、又は前がん状態、がん状態あるいは他の過剰増殖性状態からもたらされる、異常な細胞増殖又は他の検出可能な異常がある組織を指すものとする。異常な組織としては、子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)、子宮頸部上皮内病変(SIL)、子宮頸がん(子宮頸部扁平上皮がん及び子宮頸部腺がん)及び他の過剰増殖性組織が挙げられる。
【0018】
[0053] 本発明は、子宮頸部を光源で照明して健康な組織と異常な組織との相違を検出する診断構成要素に関する。診断構成要素は、例えば異常な細胞増殖がある異常な組織を示す蛍光を検出する。組織の構造及び生化学的組成は、その組織の光との相互作用に影響を与え、それにより、健康な組織は、異常な組織に見られる光学特性とは異なる光学特性を示す。感染、子宮頸部異形成及び子宮頸がん等の状態により、罹患細胞の組成が変化し、それによりそれらの細胞の光との相互作用が変化する。組織異常の診断の光学的方法には、非侵襲的であり、副作用があるとしても最低限であるという実質的な利点がある。さらに、本発明は、パップスメア等の現時点で利用可能な方法を用いる診断とは対照的に迅速な診断が可能である。
【0019】
[0054] 診断構成要素は、子宮頸部に対して特に適合されており、低強度レーザダイオード等の光源を含む。本発明のいくつかの態様では、光源は、規定された波長及び規定された強度で光を発生させる。本明細書で考察するように、低強度レーザダイオードは、およそ0mW/cm
2〜100mW/cm
2の範囲の光強度を出力することができる。さらに、低強度レーザダイオードは、およそ15mW/cm
2〜24mW/cm
2の範囲の光強度を出力することができる。本発明のいくつかの態様では、診断構成要素は、光源の温度を調節する熱放散システムを含む。
【0020】
[0055] いくつかの態様では、診断構成要素は、光路と、光路に取り付けられた、1つあるいは複数のレンズ及び/又は1つあるいは複数のフィルタ及び/又は1つあるいは複数のミラーと、を有する、光学部(optic)を含むことができる。いくつかの態様では、診断構成要素は、発生した光を集めて平行にするコリメータレンズを含むことができる。いくつかの態様では、診断構成要素は、光を子宮頸部組織に向けるフィルタ又はダイクロイックミラーを含むことができる。いくつかの態様では、診断構成要素は、子宮頸部組織によって反射された光の蛍光から光のスペクトル領域を分離して、子宮頸部組織から戻る光をよりよく分析するための第2フィルタを含むことができる。診断構成要素は、直径がおよそ20mmの光ビームを発生することができる。
【0021】
[0056] いくつかの態様では、本発明は、子宮頸部及びその近くの異常な組織を治療する構成要素である。治療構成要素は、光線力学的治療を用いる異常な組織の治療のための領域を照明する。光線力学的治療では、所定波長の光照射と組み合わせて光増感剤(PS)を使用して、異常な、例えば過剰増殖性組織における酸化損傷を引き起こす。異常な、例えば過剰増殖性組織は、PSを選択的に保持し、その後に引き起こされる酸化損傷は、PS蓄積領域に局所化することが考えられる。
【0022】
[0057] 多数のタイプのPSが、光線力学的治療に少なくとも部分的に有効であることが評価され示された。既知の光線力学的治療用PCとしては、プソラレン、ポルフィリン、クロリン、バクテリオクロリン、フェオフォルバイド、バクテリオフェオフォルバイド及びフタロシアニンとともに、細胞内でプロトポルフィリンIX(PpIX)に変換される5−アミノレブリン酸(ALA)、メチルアミノレブリン酸(MAL)及びヘキシルアミノレブリン酸(HAL)等のPpIXの前駆体が挙げられる。PS化合物は、一般に、クリーム又はゲル等の担体で投与される。PS化合物及びそれらの担体についてはさらに後述する。
【0023】
[0058] 治療構成要素は、子宮頸部に対して特に適合されており、高輝度発光ダイオード(LED)光源等の光源と、規定された領域に光を伝送する光ガイドとを含む。本発明の一態様では、規定された領域は、直径がおよそ20mmである。さらに、治療構成要素は、膣挿入を可能にする、光ガイドを包囲する保護スリーブと、保護スリーブを光ガイドにおいて中心合せし、子宮頸部組織と光源との間の生物学的障壁を提供する、光源と保護スリーブとの間のリングと、を含むことができる。
【0024】
[0059] 本明細書で用いる高輝度LEDは、およそ0mW/cm
2〜250mW/cm
2の範囲の光強度を出力することができるLEDアレイである。さらに、高輝度LEDは、およそ40mW/cm
2〜120mW/cm
2の範囲の光強度を出力することができる。本発明の一態様では、この光強度範囲は、具体的な医者のプロトコルに対してエネルギーを適合させるように確立される。本発明の一態様では、治療構成要素は、光源の温度を調節する、光源に取り付けられた熱放散システムを含む。
【0025】
[0060] 治療の前に、異常な組織に対してPS化合物が投与され、それにより、治療構成要素からの照明時に、異常な細胞及び組織が破壊される。本技術分野において周知であるように、異なるPS化合物には、光線力学的治療用の異なる波長の光が必要である。患者の患部への投与の後、光増感剤は、およそ8分間〜30分間の期間、患部に浸透することができる。本技術分野において周知であるように、異なるPS及び担体は、浸透するのに異なる長さの時間が必要であり、最適な浸透時間を容易に求めることができる。例えば、PS化合物はまた、およそ60分間〜180分間の期間、患部に浸透することも可能である。本発明の代替態様では、PS化合物を、およそ8分間〜180分間の期間、患部に浸透させることができる。
【0026】
[0061] 本発明のいくつかの態様では、治療構成要素は、PSを含む異常な子宮頸部組織を治療するために規定された波長及び規定された強度で光を発生させる光源を含む。本発明のいくつかの態様では、治療構成要素は、異常な子宮頸部組織の方に光を向ける光ガイドと、子宮頸部組織を包囲し発生した光から近くの解剖学的構造を保護する光プロテクタとを含むことができる。本発明のいくつかの態様では、光プロテクタは、種々の患者の子宮頸部の解剖学的相違に適合することも可能である。
【0027】
[0062] 本発明のいくつかの態様では、治療後、診断構成要素を用いて治療の効力を検証することができる。本発明のいくつかの態様では、PS化合物を再度投与して、すべての異常な組織が破壊されたことを検証することができる。本発明のいくつかの態様では、残った異常な組織を、例えば合計2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回又は10回の治療に対して追加の光線力学的治療によって再治療することができる。
【0028】
[0063] 本発明のいくつかの態様では、診断構成要素及び/又は治療構成要素を手持ち式とすることができる。いくつかの態様では、診断構成要素は自立型である。いくつかの態様では、診断構成要素はより大型の装置の一部である。いくつかの態様では、治療構成要素は自立型である。いくつかの態様では、治療構成要素はより大型の装置の一部である。いくつかの態様では、診断構成要素又は治療構成要素のいずれかを含む装置は、制御構成要素も含む。本発明のいくつかの態様では、装置は、診断構成要素及び治療構成要素の両方を含む。いくつかの態様では、診断構成要素及び治療構成要素両方を含む装置は制御構成要素も含む。いくつかの態様では、診断構成要素及び/又は治療構成要素を含む装置を携帯型とすることができる。
【0029】
[0064] いくつかの態様では、本発明は、診断構成要素及び/又は治療構成要素を含む装置である。いくつかの態様では、装置は制御構成要素も含む。いくつかの態様では、制御構成要素は、診断構成要素及び/又は治療構成要素に電力を提供する。いくつかの態様では、制御構成要素は、診断構成要素及び/又は治療構成要素を作動させる制御パネルを含む。いくつかの態様では、制御パネルは、表示画面と、診断構成要素及び/又は治療構成要素の起動を制御する入力ボタンと、を含むことができる。いくつかの態様では、制御パネルはまた、診断構成要素及び/又は治療構成要素に対する特定の光強度及び光強度の持続時間の選択も可能にすることができる。本発明のいくつかの態様では、制御パネルは、診断構成要素及び/又は治療構成要素に対する特定の光波長の選択を可能にすることができる。
【0030】
[0065] 本技術分野では、各光増感剤が特定の波長の光によって活性化されることが周知である。例えば米国特許第6,645,230B2号を参照されたい。従って、種々の光増感剤を使用するためには、治療構成要素において所望の波長を生成するために種々のLEDを使用する必要がある可能性がある。光増感剤は、子宮頸部領域の異常な組織に投与されるために、クリーム又はゲル等の好適な担体になるように混合される。担体は、効力を強化するためにDMSO及びEDTAを含むことができる。いくつかのPSクリーム及びゲルは市販されている。MALを含む一例はMETVIX(Galderma)である。増感剤化合物の割合又は用量は、本技術分野における知識に基づいて容易に求められる。例えば、ALA及びMALは、一般に20%濃度で使用される。光増感剤は、単独で、又は組み合せて、例えばおよそ0%ALA及びおよそ100%MAL〜100%ALA及び0%MALまでの比率の範囲でのALA及びMALの混合物で使用される。
【0031】
[0066] メタテトラ(ヒドロキシフェニル)クロリン(「m−THPC」)は、がんのPDTにおいて、特に進行した頭部及び頸部扁平上皮がんに対して有効であることが示された光増感剤である。光線力学的治療に対して他のいくつかの一般に使用されるポルフィリンは、ヘマトポルフィリンIX((HpIX)及びヘマトポルフィリン誘導体(HpD)である。米国特許第4,992,257号及び同第5,162,519号は、腫瘍に壊死(組織の死)を引き起こすために、選択されたジヒドロポルフィリン及びm−THPCを含むテトラヒドロポルフィリンを使用することを開示している。米国特許第5,399,583号は、ヒドロモノベンゾポルフィリンすなわち「グリーンポルフィリン(green porphyrin)」の限られた群を開示しており、それらは、PDTにおいてより低い用量のグリーンポルフィリンの使用を可能にすることができる、身体組織内により深く浸透すると考えられる、比較的長い波長で光活性である。さらなる光増感剤も既知である。例えば、米国特許第5,458,595号、同第5,773,609号、同第6,645,230号、同第7,351,242号及びAllison,et al., “Photosensitizers in clinical PDT,” Photodiagn. Photodyn. Ther. 1:27-42(2004)。
【0032】
[0067] 目下臨床的に投与される光増感剤は、Agostinis, et al., “Photodynamic Therapy of Cancer: An Update,,” CA Cancer J, Clin, 61:250-281(2011)の表2に示されている。表2の光増感剤及び対応する波長の情報を以下に示す。
【表1】
【0033】
[0068] 上述したように、当業者は、光の波長を各異なるPS化合物に一致させることが既知である。例えば、PpIX、ALA、MAL及びHALに対する最適な波長範囲は615nmから635nmであり、米国特許第5,399,583号に開示されているヒドロモノベンゾポルフィリンに対する最適な範囲は、670nmから780nmである。米国特許第4,992,257号及び同第5,162,519号に開示されているジヒドロポルフィリン及びテトラヒドロポルフィリンには、652nmから653nmの波長が必要である。
【0034】
[0069] 本発明のいくつかの態様では、患者は、潜在的な子宮頸部異形成及び/又は子宮頸がんに対して、最初に蛍光診断装置を用いて子宮頸部組織を分析することによって治療される。異常な組織が検出されると、子宮頸部組織にPSが投与される。PSは、光線力学的治療を適用する前に60分間〜180分間、子宮頸部組織に浸透することができる。任意選択的に、光線力学的治療装置を用いて、PSが異常な組織によって選択的に利用されることを検証し、治療のために子宮頸部組織の用意ができていることを確認することができる。そして、子宮頸部組織に選択された照射量の光エネルギーが投与されて、異常な組織が破壊される。光エネルギーの選択される照射量を、およそ0mW/cm
2〜250mW/cm
2の光強度、及びおよそ0分間〜90分間の治療時間の範囲から指定することができる。別法として、可変の光強度及び治療時間の組合せを提供する複数の事前プログラムされたオプションから、固定照射量の光エネルギーを選択することができる。光線力学的治療の後、蛍光診断装置を再度用いて、異常な組織を破壊する光線力学的治療の効力を検証することができる。
【0035】
[0070] 蛍光診断及び光線力学的治療装置の以下の詳細な説明は、例示的な実施形態を示す添付図面を参照する。他の実施形態が可能である。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載する実施形態に対して変更を行うことができる。従って、以下の詳細な説明は限定するようには意図されていない。
【0036】
[0071] ここで
図1〜
図2を参照すると、蛍光診断及び光線力学的治療装置10は、本発明の例示的な態様である。装置10は、病変の光学的検出用の診断構成要素200と、病変の治療用の治療構成要素300と、診断構成要素200及び治療構成要素300を制御する制御構成要素400とを含む。
【0037】
[0072]
図3〜
図5に示すように、診断構成要素200は、医療専門家が病変及び異常な細胞を検出するのを可能にする一続きのレンズ及びフィルタを含む。診断構成要素200は、病変及び異常な組織の自家蛍光を検出することができる。その結果、診断構成要素200を、最初に感光性化合物又は光増感剤を投与する必要なしに、異常な組織の検出及び診断に使用することができる。診断構成要素200はシェル250内に収容されており、電源コード252を介してシステムに電力が供給される。診断構成要素200は、発光を発生させ、分析された組織の蛍光から対象となるスペクトル領域の分離を可能にする光学フィルタのシステムを利用する。
【0038】
[0073] レンズ及びフィルタは、診断構成要素200の光学部204及びシェル250内に収容されている。光学部204は、医療専門家が、光学部端部204bを患者の患部の方に向けながら、光学部端部204aにおいて仕上げリング222を通して見ることができるように設計されている。光学支持体210が、円筒状空洞であり、反射防止フィルタ212、ダイクロイックフィルタ214、ノッチフィルタ216及びハイパスフィルタ218を取り付けるための支持基部を提供する。光学部204はまた、仕上げリング222又はアダプタリング262用の基部を提供するリング220も含む。リング220を、ねじ係合、締り嵌め係合又は他の好適な接続機構を介して仕上げリング222又はアダプタリング262に取り付けることができる。仕上げリング222は、医療専門家に対して、裸眼で組織蛍光を見るための窓を提供する。別法として、写真カメラ260を用いて、組織蛍光を目視し記録することができる。写真カメラ260は、アダプタリング262を用いて診断構成要素200に取り付けられる。写真カメラ260は、ねじ係合、締り嵌め係合又は他の好適な接続機構を介してアダプタリング262に取り付けられる。
【0039】
[0074] 異常な組織の検出及び診断用の光は、レーザダイオード232によって生成される。レーザダイオード232は、膣を通して患者の子宮頸部組織にアクセスするために十分な励起光の平行ビームを提供する。さらに、レーザ誘起組織蛍光は、他の光源の蛍光より清浄であり、診断構成要素200が、最初に組織に光増感剤を投与する必要なしに組織の自家蛍光を検出するのを可能にする。レーザダイオード232は単一波長を提供し、それにより、異常な組織の蛍光を目視することとポルフィリンの形成を目視することとにおいて優れた選択性が可能になる。本発明の一態様では、診断構成要素200は、単一波長で光を放出する単一レーザダイオード232を利用する。本発明の代替態様では、診断構成要素200は、追加の光波長を発生させ提供する追加のレーザダイオードを含むことができる。
【0040】
[0075] コリメータレンズ230が、レーザダイオード232によって発生する光を集め、光ビームを平行にして、照明の均一性をもたらしかつその照明の寸法を規定する。本発明の一態様では、コリメータレンズ230は単一レンズである。本発明の代替態様では、コリメータレンズ230は、レーザダイオード232によって発生する光を集める2つの伸縮式レンズのシステムを含む。本発明の代替態様では、コリメータレンズ230は、照明の適切な寸法及びサイズを定義するように追加のレンズを含むことができる。
【0041】
[0076] 焦点調整リング234を低強度とすることができ、その焦点調整リング234により、およそ400nm〜450nmの範囲の波長での光の放出が可能になる。本発明の代替態様では、蛍光診断構成要素200は、およそ400nm〜420nm、およそ400nm〜415nm、およそ405nm〜415nmの範囲の波長、例えば、405nm、410nm、415nm、420nm、425nm、430nm、435nm、440nm、445nm又は450nmの波長での光の放出を提供することができる。本発明の代替態様では、蛍光診断構成要素200は、およそ418nmの波長での光の放出を提供することができる。上述したように、1つ又は複数の追加の発光波長を発生させるように、1つ又は複数の追加のレーザダイオードを設けることができる。本発明の一態様では、診断構成要素200は、固定光強度を発生させる。本発明の代替態様では、診断構成要素200は、レーザダイオード232の動作範囲に基づいて、およそ0mW/cm
2〜100mW/cm
2の範囲の光強度の連続した変動を発生させることができる。本発明の代替態様では、診断構成要素200は、およそ15mW/cm
2〜24mW/cm
2の範囲の光強度の連続した変動を発生させる。診断構成要素200に対する特定の光強度を、制御パネル408に事前プログラムすることも可能である。例えば、使用者は、およそ10mW/cm
2〜30mW/cm
2、例えばおよそ15mW/cm
2、およそ20mW/cm
2、およそ25mW/cm
2又はおよそ30mW/cm
2の光強度から選択することができる可能性がある。診断構成要素200の光強度を変化させることにより、医療専門家は、分析された組織の詳細をよりよく見ることができる。光強度を変化させることができることにより、医療専門家が、異なる患者の間に存在する可変の子宮頸部の色調を考慮することも可能になり、かつ、医療専門家が、診断構成要素200を通して見える組織蛍光画像のコントラストを制御することが有効に可能になる。
【0042】
[0077] 熱放散システム236が、レーザダイオード232を包囲し、レーザダイオード232が過熱するのを防止する。熱放散システム236は、レーザダイオード232を包囲する空気と接触する表面積を増大させ、それによりシステムを冷却するように設計されている。本発明の一態様では、熱放散システム236は、金属、例えばアルミニウム、又は熱エネルギーの伝達に好適な他の材料から作製されている。
【0043】
[0078] コリメータレンズ230を離れる励起光は、ダイクロイックフィルタ214から反射して患者及び分析される組織に向かう。ダイクロイックフィルタ214はまた、光学系を塵埃及び汚損から保護し、紫外線光の伝送における損失を低減する。ノッチフィルタ216が、分析される組織によって反射された励起光を反射し、蛍光光の伝送を可能にする。ハイパスフィルタ218が、蛍光信号(赤色及び緑色)の伝送を可能にし、黄色照明を阻止する。支持体210もまた、紫外線光を阻止し、蛍光の伝送を可能にする。このフィルタシステムにより、分析される組織の蛍光から対象となるスペクトル領域の分離が可能になり、それにより、医療専門家は、組織蛍光を目視し分析することができる。
【0044】
[0079] 電源ボタン202が、診断構成要素シェル250の上に位置し、レーザダイオード232の起動を制御する回路基板242に接続されている。レーザダイオード232はまた回路基板240にも接続されており、回路基板240はさらに回路基板242に接続されている。電力は、電源コード252を介して診断構成要素200に供給される。
【0045】
[0080] ここで
図6〜
図9を参照すると、治療構成要素300は、高輝度LEDを利用して患者の患部を治療する。治療構成要素300は、照明構成要素304及び案内スリーブ370を含む。使用されていない時、端部キャップ352が照明構成要素シェル350に取り付けられ、照明構成要素304の遠位端を覆う。本発明の一態様では、端部キャップ352は、シェル350へのねじ係合のための雌ねじを含む。本発明の代替態様では、端部キャップ352を、締り嵌め係合又は他の好適な接続機構によってシェル350に取り付けることも可能である。
【0046】
[0081] 高輝度LED322は、照明構成要素304の遠位端のコア金属板320に位置している。コア金属板320により、高輝度LED322が照明構成要素304において環状に分散され、およそ400nm〜820nmの範囲、例えば、およそ410nm、およそ440nm、およそ447nm、およそ456nm、およそ480nm、およそ505nm、およそ525nm、およそ540nm、およそ580nm、およそ625nm、およそ630nm、およそ635nm、およそ650nm、およそ652nm、およそ653nm、およそ660nm、およそ664nm、およそ665nm、およそ670nm、およそ675nm、およそ685nm、およそ690nm、およそ732nm、およそ735nm、およそ762nm、およそ615nm〜635nm、およそ660nm〜665nm、およそ660nm〜700nm、およそ660nm〜710nm、およそ670nm〜720nm、およそ670nm〜780nm、およそ780nm〜810nm及びおよそ780nm〜820nmの範囲での1つ又は複数の光増感剤の吸収スペクトルに対応する指定された波長又は波長の範囲を放出することができる。本発明の代替態様では、コア金属板320は、種々の波長で光を放出する複数のLEDを含むことができる。この態様では、医療専門家は、適切なLEDを選択的に作動させることにより特定の光増感剤に対して適切な波長を選択することができる。
【0047】
[0082] さらに、治療構成要素300は、高輝度LED322の動作範囲に基づいて、およそ0mW/cm
2〜250mW/cm
2の範囲の光強度の連続的な変動を発生させることができる。本発明の代替態様では、治療構成要素300は、およそ40mW/cm
2〜120mW/cm
2の範囲の光強度の連続的な変動を発生させる。治療構成要素300に対する治療の組合せの特定の光強度及び持続時間を、制御パネル408に事前プログラムすることも可能である。例えば、使用者は、およそ120mW/cm
2を21分間、およそ80mW/cm
2を32分間、又はおよそ40mW/cm
2を63分間、選択することができる可能性がある。
【0048】
[0083] 高輝度LED322を塵埃及び汚損並びに他の汚染物質から保護するために、コア金属板320及びLED322の遠位側に保護スクリーン330が位置している。高輝度LED322は、大量の熱を発生する。従って、照明構成要素304はヒートシンク336を含む。ヒートシンク336は、LED322を包囲する空気と接触する表面積を増大させ、それによりシステムを冷却するように設計されている。本発明の一態様では、ヒートシンク336は、金属、例えばアルミニウム、又は熱エネルギーの伝達に好適な他の材料から作製されている。ヒートシンク336は、電源コード306とコア金属板320との間の電気接点を提供することも可能である。
【0049】
[0084] ヒートシンク336の遠位端は、高輝度LED322によって発生する熱を放散させるためにコア金属板302に当接している。リング334及び絶縁体リング336が、ヒートシンク336をシェル350に締結し保持する。電源コード306を介して照明構成要素304に電力が供給される。
【0050】
[0085] 使用時、端部キャップ352が取り外され、案内スリーブ370が、案内スリーブノズル310において照明構成要素304に取り付けられる。案内スリーブ370は、光ガイド380、保護スリーブ378及び光プロテクタ372から構成されている。案内スリーブ370を照明構成要素304に取り付けるために、光ガイド380が最初に案内スリーブノズル310に挿入され、シェル350に取り付けられる。次に、保護スリーブ378が光ガイド380の上に提供され、案内スリーブノズル310に取り付けられる。そして、光プロテクタ372が保護スリーブ378の遠位端に取り付けられる。
【0051】
[0086] 案内スリーブ370は、高輝度LED322から患者の患部まで光を向ける。光プロテクタ372は、案内スリーブ370の遠位端に取り付けられて、患者の患部上に光が広がるのを可能にする。本発明の一態様では、案内スリーブ370は患者の膣に挿入され、光プロテクタ372は患者の子宮頸部を包囲して、治療構成要素300が患者の子宮頸部を照明するのを可能にする。子宮頸部の患者の解剖学的相違に適合するために、光プロテクタ372を、直径がおよそ20mm〜40mmの範囲である種々のサイズとすることができる。本発明の一態様では、光プロテクタ372aは、直径がおよそ27mmである。本発明の代替態様では、光プロテクタ372bは、直径がおよそ33mmである。光プロテクタ372は、患者の子宮頸部と接触することができる。
【0052】
[0087] 案内スリーブ370はまた、生物学的汚染物質から装置を保護し、高輝度LED322によって発生する照明の均一性を可能にするように、ガラススクリーン374も含む。本発明の一態様では、ガラススクリーン374は、案内スリーブ370の遠位端部に取り付けられている。本発明の一態様では、案内スリーブ370のすべての部品が、再使用可能であり、例えばオードクレーブで滅菌することが可能である。本発明の別の態様では、案内スリーブ370は、治療構成要素300、特に案内スリーブ370を生物学的汚染物質から保護し、滅菌環境を維持し続けるように、生物学的障壁とともに使用される。生物学的障壁は、挿入及び治療中に案内スリーブ370上に残り、治療後に破棄することが可能である。生物学的障壁を、案内スリーブ370の形状に一致する滅菌した使い捨てフィルム又はカバーとすることができる。生物学的障壁を、プラスチックとすることができ、閉鎖端及び開放端を有する円筒形状とすることができる。生物学的障壁を、発光が遮られることなく通過するのを可能にするように透明とすることも可能である。
【0053】
[0088] 保護スリーブ378は、案内スリーブ370の最外面であり、金属製であり得る。本発明の一態様では、保護スリーブ378は、ステンレス鋼(Inox)又はアルミニウムである。保護スリーブ378は、光ガイド380を包囲している。光ガイド380を、ガラス又はアクリル材料から作製することができる。光ガイド380は、高輝度LED322から発生する光を標的位置又は部位に振り向け方向付ける。光ガイド380と保護スリーブ378との間にゴムリング376が設けられている。ゴムリング376は、保護スリーブ378を光ガイド380において中心合せし、患者と照明構成要素304との間に生物学的障壁を提供する。
【0054】
[0089] 本発明の代替態様では、案内スリーブ370の構造及び設計を、可変サイズの照明領域を可能にするように変更することができる。案内スリーブ370に、種々の子宮頸部領域に適合するように27mm又は30mm内径を与えることができる。本発明の一態様では、両案内スリーブの長さはおよそ108mmである。案内スリーブによって提供される照明領域は直径が20mmである。
【0055】
[0090] 本発明の一態様では、治療構成要素300によって照明される標的領域は、直径がおよそ20mmである。この照明領域は、概して、患者の子宮頸部を照明するのに十分である。治療構成要素300は、適切に境界が定められた標的領域に治療光ビームを集束させることができ、それにより隣接する正常な解剖学的構造を保護する。
【0056】
[0091] ここで、
図10〜
図11を参照すると、制御構成要素400は、制御構成要素シェル450、電源コンセント402及びマスタオン・オフスイッチ404を含む。制御構成要素400は、診断構成要素200及び/又は治療構成要素300にそれぞれ電源コード252、306を介して電力を提供する。制御構成要素400は、使用されていない時にそれぞれの構成要素を保持する治療構成要素支持体430及び/又は診断構成要素支持体420も含む。制御構成要素400は、蛍光診断及び光線力学的治療装置10の権限のない使用を防止する安全鍵機構406を含む。安全鍵機構406は、安全鍵が適所にない時に装置10の作動を阻止し、「オン」位置にされる、ロック可能電源スイッチである。
【0057】
[0092] 制御構成要素400は、制御パネル408も含む。制御パネル408は、表示画面410及び操作ボタン412、414、416a及び416bを含む。制御パネル408は、診断構成要素200及び/又は治療構成要素300の動作を制御する。制御パネル408は、医療専門家が、診断構成要素200又は治療構成要素300のいずれかの使用を選択するのを可能にする。
【0058】
[0093] 制御パネル408は、診断構成要素200の起動及び光強度もまた制御し、光が診断構成要素200によって放出されている時に医療専門家に指示を提供する。本発明の一態様では、制御パネル408により、医療専門家は、およそ0mW/cm
2〜100mW/cm
2の範囲の診断構成要素200光強度を手動で選択することができる。本発明の代替態様では、制御パネル408により、医療専門家は、およそ15mW/cm
2〜24mW/cm
2の範囲の診断構成要素200光強度を手動で選択することができる。本発明の代替態様では、制御パネル408を、医療専門家が、レーザダイオード232の光強度動作範囲の指定された範囲内の診断構成要素200光強度を手動で選択するのを可能にするようにプログラムすることができる。本発明の代替態様では、制御パネル408は、例えばおよそ15mW/cm
2、およそ20mW/cm
2、およそ25mW/cm
2及びおよそ30mW/cm
2を含む、固定の光強度オプションを診断構成要素200に与える。
【0059】
[0094] 制御パネル408により、医療専門家が、治療構成要素300によって送達される光エネルギーの所望の照射量を選択することも可能になる。治療構成要素300は2つの動作モード、すなわち「手動」及び「プロトコル」を有している。手動モードにより、医療専門家は、最大でおよそ250mW/cm
2までの光強度のレベルを選択することができる。従って、制御パネル408により、医療専門家は、およそ0mW/cm
2〜250mW/cm
2の範囲の治療構成要素300光強度、すなわち治療構成要素300の高輝度LED322の動作範囲を手動で選択することができる。本発明の代替態様では、制御パネル408により、医療専門家は、およそ40mW/cm
2〜120mW/cm
2の範囲の治療構成要素300光強度を手動で選択することができる。本発明の代替態様では、制御パネル408を、医療専門家が、高輝度LED322の光強度動作範囲の指定された範囲内の治療構成要素300光強度を手動で選択することができるように設計され得る。
【0060】
[0095] 手動モードにより、医療専門家は、選択された光強度に対する治療の適切な持続時間を選択することも可能である。従って、手動モードにより、臨床治療のより優れた柔軟性及びカスタマイズが可能になる。プロトコルモードは、制御パネル408に事前プログラムされる、治療の組合せの頻繁に使用される光強度及び持続時間の事前定義されたオプションを提供する。例えば、およそ120mW/cm
2を21分間、およそ80mW/cm
2を32分間又はおよそ40mW/cm
2を63分間。プロトコルモードでは、各治療の組合せにより、患者に対して同じ照射量の光エネルギー、およそ150J/cm
2がもたらされる。しかしながら、当業者は容易に求めることができるように他の照射量も適切である場合がある。
【0061】
[0096] ここで
図12を参照すると、調整可能支持体500により、治療中に子宮頸部領域に光を正確に位置決めするのを可能にするように治療構成要素300の位置決めが可能である。支持体500は、治療構成要素300に取り付けるための継手510を含む。支持体500は、折畳み式脚520、伸縮式管540、542及び544、並びに治療構成要素300の高さ及び位置を調節する調整止め具540a及び542aを含む。支持体500はまた、治療構成要素300の位置決めに対する微調整のための可撓性ロッド530も含む。本発明の一態様では、支持体500は、およそ80cm〜140cmの範囲の可変高さを可能にする。
【0062】
[0097] ここで、診断構成要素200の動作について説明する。
図16〜
図19は、診断構成要素200の動作中に表示画面410に表示される情報を示す。本発明の一態様では、制御構成要素400は、診断構成要素200を制御する。本発明の別の態様では、制御構成要素400は治療構成要素300を制御する。本発明の別の態様では、制御構成要素400は、診断構成要素200及び/又は治療構成要素300を制御する。この態様では、
図16及び
図20に示すように、医療専門家は、診断構成要素200を作動させるように「エビデンス」あるいは「検出」あるいは「診断」オプション、又は治療構成要素300を作動させるように「治療」オプションから選択することができる。選択は、操作ボタン412、414、416a及び416bのうちに1つ又は複数を用いて行われる。
【0063】
[0098] 「エビデンス」が選択された場合、
図17に示すように、画面410はこうした選択がなされたことを示す。そして、医療専門家は、
図18に示すように、表示画面410に、診断構成要素200が光の放出の用意ができていることを表示させる、制御構成要素400上の操作ボタン414を押す。次に、光の放出を開示するために、医療専門家は、診断構成要素200上の電源ボタン202を押す。そして、表示画面410は、
図19に示すように、光の放出が開始したことを示す。本発明の一態様では、診断構成要素200における光強度は固定である。本発明の代替態様では、制御パネル408により、医療専門家は、およそ0mW/cm
2〜100mW/cm
2の範囲のレーザダイオード232の動作範囲内の診断構成要素200光強度を選択することができる。本発明の代替態様では、制御パネル408により、医療専門家は、およそ15mW/cm
2〜24mW/cm
2の範囲の診断構成要素200光強度を選択することができる。本発明のさらなる態様では、制御パネル408は、例えばおよそ15mW/cm
2、およそ20mW/cm
2、およそ25mW/cm
2及びおよそ30mW/cm
2を含む診断構成要素200光強度選択オプションを提供する。診断構成要素200が複数のレーザダイオードを含む本発明のさらなる態様では、制御パネル408は、発光波長選択オプションを提供することができる。
【0064】
[0100] 診断構成要素200により、医療専門家は、健康な組織と異常な組織との既存の相違を非侵襲的に検出することができる。診断構成要素200は、異常な組織の自家蛍光、光増感剤が投与された後の異常な組織の蛍光、又は治療構成要素300での治療後の異常な組織の蛍光を検出することができる。診断構成要素200によって検出されるような悪性度(グレード)II子宮頸部異形成(CIN II)の組織自家蛍光の例を
図13に示す。診断構成要素200によって検出されるような光増感剤の使用の後の悪性度I子宮頸部異形成(CIN I)の組織蛍光の例を
図14に示す。診断構成要素200によって検出されるような治療構成要素300による治療の後の悪性度I子宮頸部異形成(CIN I)の組織蛍光の例を
図15に示す。
【0065】
[0101] ここで、治療構成要素300の動作について説明する。
図20〜
図26は、治療構成要素300の動作中に表示画面410に表示される情報を示す。
図16及び
図20に示すように、医療専門家は、最初に、診断構成要素200を作動させるようにエビデンスオプション、又は治療構成要素300を作動させるように治療オプションから選択する。治療が選択された後、医療専門家は、2つの動作モード、すなわち
図21及び
図24に示すような「プロトコル」モード又は「手動」モードのうちの1つを選択しなければならない。プロトコルモードは、およそ150J/cm
2の固定照射量に対する頻繁に使用される治療の組合せの事前定義されたオプションを提供する。手動モードにより、医療専門家は、特定の選択された光強度に対して治療の適切な持続時間を含む光エネルギーの適切な照射量を選択することができる。従って、手動モードにより、臨床治療のより優れた柔軟性及びカスタマイズが可能になる。
【0066】
[0102] 本発明の態様では、プロトコルモードは、3つの所定オプション、すなわちP1−およそ120mW/cm
2で21分間、P2−およそ80mW/cm
2で32分間、又はP3−およそ40mW/cm
2で63分間を、医療専門家に提供するようにプログラムされている。各オプションは、光エネルギーの同じ照射量、およそ150J/cm
2を提供する。医療専門家は、適切なオプションを選択し、制御構成要素400上の操作ボタン414を押して、治療構成要素300における高輝度LED322を起動させる。起動後、表示画面410は、
図23に示すように、カウントダウンフォーマットで治療の持続時間を表示する。
【0067】
[0103] 本発明の代替態様では、治療構成要素300は、シェル350に配置された電源ボタンを含むことができる。医療専門家が適切なオプションを選択し、操作ボタン414を押した後、制御パネル408は、治療構成要素300が光の放出の用意ができていることを表示する。次に、光の放出を開始するために、医療専門家は、治療構成要素300上の電源ボタンを押す。そして、表示画面410は、光の放出が開始したことを示す。
【0068】
[0104] 本発明の態様では、手動モードは、5つの強度レベル、すなわちおよそ40mW/cm
2、およそ60mW/cm
2、およそ80mW/cm
2、およそ100mW/cm
2及びおよそ120mW/cm
2からの選択を医療専門家に提供するようにプログラムされている。本発明の代替態様では、医療専門家はまた、高輝度LED322の動作範囲内で、必要に応じておよそ0mW/cm
2〜250mW/cm
2で光強度を連続的に変更することができる。医療専門家はまた、医療専門家によって選択された照射量の光エネルギーを可能にするように、およそ1分間隔でおよそ1分間〜90分間、治療の持続時間を変更することも可能である。
図25に示すように、表示画面410に強度及び時間選択が提示される。医療専門家は、矢印ボタン416a及び416b並びに選択ボタン414を用いて、治療の適切な強度及び時間の選択を行う。
【0069】
[0105] 制御パネル408のさまざまな態様を、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア又はそれらの組合せによって実施することができる。
図27は、本発明又はその一部をコンピュータ可読媒体として実施することができる例としてのコンピュータシステム600を示す。本発明のさまざまな態様を、この例としてのコンピュータシステム600に関して説明する。
【0070】
[0106] コンピュータシステム600は、プロセッサ604等の1つ又は複数のプロセッサを含む。プロセッサ604は、専用プロセッサ又は汎用プロセッサであり得る。プロセッサ604は、通信基盤606(例えば、バス又はネットワーク)に接続されている。
【0071】
[0107] コンピュータシステム600はまた、主記憶装置608、好ましくはランダムアクセスメモリ(RAM)も含み、補助記憶装置610も含むことができる。補助記憶装置610は、例えば、ハードディスクドライブ612、リムーバブルストレージドライブ614及び/又はメモリスティックを含むことができる。リムーバブルストレージドライブ614は、フロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブ、フラッシュメモリ等を含むことができる。リムーバブルストレージドライブ614は、周知の方法でリムーバブルストレージユニット618から読み出しかつ/又はそこに書き込む。リムーバブルストレージユニット618は、リムーバブルストレージドライブ614によって読み出されかつ書き込まれるフロッピーディスク、磁気テープ、光ディスク等を含むことができる。関連する技術分野における当業者には理解されるように、リムーバブルストレージユニット618は、コンピュータソフトウェア及び/又はデータが格納されるコンピュータ使用可能記憶媒体を含む。
【0072】
[0108] 代替実施形態では、補助記憶装置610は、コンピュータプログラム又は他の命令がコンピュータシステム600にロードされるのを可能にする他の同様の手段を含むことができる。こうした手段としては、例えばリムーバブルストレージユニット622及びインタフェース620を挙げることができる。こうした手段の例としては、(ビデオゲーム装置で見られるような)プログラムカートリッジ及びカートリッジインタフェース、リムーバブルメモリチップ(EPROM又はPROM等)及び関連するソケット及び他のリムーバブルストレージユニット622、並びにソフトウェア及びデータがリムーバブルストレージユニット622からコンピュータシステム600に転送されるのを可能にするインタフェース620を挙げることができる。
【0073】
[0109] コンピュータシステム600は、ネットワークインタフェース624も含むことができる。ネットワークインタフェース624により、ソフトウェア及びデータがコンピュータシステム600と外部デバイスとの間で転送されることが可能になる。本発明の一態様では、外部デバイスは、患者記録を記録し維持する電子患者データベースである。ネットワークインタフェース624は、モデム、ネットワークインタフェース(イーサネット(登録商標)カード等)、通信ポート、PCMCIAスロット及びカード等を含むことができる。ネットワークインタフェース624を介して転送されるソフトウェア及びデータは、電子信号、電磁信号、光信号、又はネットワークインタフェース624が受信することができる他の信号であり得る信号628の形態である。これらの信号628は、通信経路626を介してネットワークインタフェース624に提供される。通信経路626は、信号628を搬送し、ワイヤ又はケーブル、光ファイバ、電話線、携帯電話リンク、RFリンク又は他の通信チャネルを用いて実施され得る。
【0074】
[0110] 本文書では、「コンピュータプログラム媒体」及び「コンピュータ使用可能媒体」という用語を用いて、概して、リムーバブルストレージユニット618、リムーバブルストレージユニット622、ハードディスクドライブ612にインストールされるハードディスク等の媒体を指す。通信経路626で搬送される信号は、本明細書に記載するロジックを具現化することも可能である。コンピュータプログラム媒体及びコンピュータ使用可能媒体は、メモリ半導体(例えば、DRAM等)であり得る主記憶装置608及び補助記憶装置619等のメモリも指すことができる。これらのコンピュータプログラム製品は、コンピュータシステム600にソフトウェアを提供する手段である。
【0075】
[0111] (コンピュータ制御ロジックとも呼ぶ)コンピュータプログラムは、主記憶装置608及び/又は補助記憶装置610に格納される。コンピュータプログラムを、ネットワークインタフェース624を介して受け取ることも可能である。こうしたコンピュータプログラムは、実行されると、コンピュータシステム600が、本明細書で述べるような本発明を実施するのを可能にする。特に、コンピュータプログラムは、実行されると、プロセッサ604が、上述したように、本発明のプロセスを実施するのを可能にする。従って、こうしたコンピュータプログラムは、コンピュータシステム600のコントローラを表す。本発明がソフトウェアを用いて実施される場合、そのソフトウェアを、コンピュータプログラム製品に格納し、リムーバブルストレージドライブ614、インタフェース620、ハードドライブ612又はネットワークインタフェース624を用いてコンピュータシステム600にロードすることができる。
【0076】
[0112] 本発明はまた、あらゆるコンピュータ使用可能媒体に格納されるソフトウェアを含むコンピュータプログラム製品に関する。こうしたソフトウェアは、1つ又は複数のデータ処理デバイスで実行されると、データ処理デバイスを本明細書に記載するように動作させる。本発明の実施形態は、現在既知であるか又は将来既知となるあらゆるコンピュータ使用可能媒体又は可読媒体を採用する。コンピュータ使用可能媒体の例としては、限定されないが、一次記憶装置(例えば、あらゆるタイプのランダムアクセスメモリ)、二次記憶装置(例えば、ハードドライブ、フロッピーディスク、CD ROM、ZIPディスク、テープ、磁気記憶装置、光記憶装置、MEMS、ナノテクノロジー記憶装置等)、及び通信媒体(例えば、有線及び無線通信ネットワーク、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、イントラネット等)が挙げられる。
【0077】
[0113] ここで、光線力学的診断及び治療に対する患者の準備について説明する。診断又は治療の前に、患者に対して、必要な衣類を取り除いて、脚を足載せに置いて手術台に横になるように要求する。
【0078】
[0114] 患者の子宮頸部の細胞の蛍光を評価するために、医療専門家は、患者の膣の正面に診断構成要素200を配置し、検鏡を用いて患者の膣へのアクセスを可能にする。そして、医療専門家は、光の放出を開始し、診断構成要素200によって患者の子宮頸部を照明する。医療専門家は、光学部204を通して裸眼で見るか、又はカメラ260を利用して患者の患部の組織蛍光を目視する。医療専門家は、異常な組織が存在すると判断した場合、治療構成要素300を利用して異常な組織を破壊することができる。
【0079】
[0115] 医療専門家は、診断構成要素200を用いる光線力学的治療の前にかつ後に、患部における細胞の蛍光を評価する。例えば、診断構成要素200は、異常な組織の自家蛍光を検出することができる。異常な組織を検出することに加えて、医療専門家は、診断構成要素200を使用して、治療の前にPpIXの適切な生成を測定し、治療の後に光増感剤が完全に使用されたことを検証することができる。従って、診断構成要素200を用いて、光線力学的治療の有効性及び進行を評価することができる。
【0080】
[0116] 治療構成要素300を使用する前に、異常な組織を含む患者の患部に光増感剤が投与される。本発明の一態様では、光増感剤はMALである。本発明の代替態様では、光増感剤は5−ALAである。本発明の代替態様では、光増感剤はALA及びMALの組合せである。本発明の代替態様では、光増感剤は、上述した光増感剤のうちの1つ又は混合物である。各光増感剤は、所定波長の光によって活性化される。従って、種々の増感剤を使用するためには、所望の波長を生成するために治療構成要素300において種々のLEDを使用することが必要である。光増感剤は、患者の患部に投与されるためにクリーム状に混合される。
【0081】
[0117] 患者の患部に投与された後、光増感剤は、上述したようにある期間、患部に浸透することができる。光増感剤の浸透の後、照明構成要素304が案内スリーブ370に取り付けられ、治療構成要素300が支持体500に取り付けられる。治療構成要素300は、案内スリーブ370上の光プロテクタ372が患者の患部に隣接するように、治療のための適所に配置される。本発明の一態様では、患者の患部を、患者の子宮頸部に配置することができる。子宮頸部及び患部に達するために、案内スリーブ370は、光プロテクタ372が子宮頸部を包囲するように患者の膣を通過する。照明構成要素304は、光線力学的治療の間、患者の体外にあり続ける。
【0082】
[0118] 治療構成要素300を配置した後、医療専門家は、患者の患部を治療するために光エネルギーの適切な照射量を選択する。そして、治療構成要素300は、異常な細胞を破壊するために患者の患部に適切な照射量を投与する。治療後、医療専門家は、再度診断構成要素200を用いて、患部における細胞の蛍光を評価して、光増感剤が完全に使用されたことを検証し、光線力学的治療の有効性を検証する。
【0083】
[0119] 患者は、患者の患部の異常な細胞が破壊されるまで、診断及び治療装置10を用いてさらなる診断及び治療を受けることができる。
【0084】
[0120] 本発明の代替態様において、
図28〜
図35は、蛍光診断及び光線力学的治療装置1010を示す。装置1010は、病変の光学的検出用の診断構成要素1200と、病変の治療用の治療構成要素1300と、診断構成要素1200及び治療構成要素1300を制御するための制御構成要素1400と、可動基部1600上の調整可能支持体1500とを含む。診断構成要素1200は、例えば段落[0073]〜[0080]及び[0098]〜[0100]において上述したような診断構成要素200のすべての特徴を含む。治療構成要素1300は、例えば段落[0081]〜[0091]及び[0101]〜[0104]において上述したような治療構成要素300のすべての特徴を含む。制御構成要素1400は、段落[0092]〜[0096]において上述したような制御構成要素400のすべての特徴を含む。
【0085】
[0121] 調整可能支持体1500により、診断又は治療中に子宮頸部領域に光を正確に位置決めするのを可能にするように診断構成要素1200又は治療構成要素1300の位置決めが可能である。支持体1500は、診断構成要素1200又は治療構成要素1300に取り付けるための継手1510を含む。支持体1500は、診断構成要素1200又は治療構成要素1300の位置決めのために継手1510の高さ及び位置を調節する調整止め具1520a及び1542a並びに伸縮式部材1542を含む。支持体1500はまた、診断構成要素1200又は治療構成要素1300の位置決めに対する微調整のための可撓性ロッド1530も含む。本発明の一態様では、支持体1500は、およそ80cm〜140cmの範囲の可変高さを可能にする。支持体1500はまた、蛍光診断及び光線力学的治療装置1010用の電源コードを保持するケーブル支持体1502a及び1502bも含む。支持体1500はまた、制御構成要素1400を支持体1500上に保持する制御構成要素支持体1504a及び1504bも含む。支持体1500は、可動基部1600に取り付けられている。可動基部1600は、車輪1602及び脚1620を含む。可動基部1600により、蛍光診断及び光線力学的治療装置1010を使用のための適所まで容易に操縦することができる。
【0086】
[0122] 制御構成要素1400は、制御構成要素シェル1450、電源コンセント1402及びマスタオン・オフスイッチ1404を含む。制御構成要素1400は、ケーブル支持体1418を含む。制御構成要素1400はまた、制御構成要素1400に対する権限のないアクセスを防止するように連動機構1422も含む。制御構成要素1400は、診断構成要素1200及び/又は治療構成要素1300にそれぞれ電源コード1252及び1306を介して電力を提供する。制御構成要素1400は、電源コード1306に接続する2方向コネクタ1406aを含む。制御構成要素1400はまた、電源コード1252に接続する4方向コネクタ1460bも含む。制御構成要素1400は、使用されていない時にそれぞれの構成要素を保持する治療構成要素支持体1430及び/又は診断構成要素支持体1420をさらに含む。制御構成要素1400は、上述した制御パネル408と同じ特徴を含む制御パネル1408も含む。例えば、制御パネル1408は、表示画面1410及び操作ボタン1412、1414、1416a及び1416bを含む。制御パネル1408は、診断構成要素1200及び/又は治療構成要素1300の動作を制御する。制御パネル1408により、医療専門家は、診断構成要素1200又は治療構成要素1300のいずれかの使用を選択することができる。
【0087】
[0123] 治療構成要素1300は、高輝度LEDを利用して患者の患部を治療する。治療構成要素1300は、照明構成要素1304及び案内スリーブ370を含む。本発明のこの態様では、案内スリーブ370は、照明構成要素1304に対しておよそ90度に配置される。本発明の代替態様では、案内スリーブ370を、照明構成要素1304に対して複数の異なる角度で配置することができる。例えば、案内スリーブ370を、照明構成要素1304に対しておよそ0度〜140度に配置することができる。治療構成要素1300が使用されていない時、案内スリーブ370を取り除き、端部キャップ1352と交換することができる。端部キャップ1352を、照明構成要素1350に取り付けることができ、端部キャップ1352は、照明構成要素1304の発光端を覆うことができる。本発明の一態様では、端部キャップ1352は、シェル1350にねじ係合される雌ねじを含む。本発明の代替態様では、端部キャップ1352を、締り嵌め係合又は他の好適な接続機構によってシェル1350に取り付けることも可能である。
【0088】
[0124] 高輝度LED1322が、照明構成要素1304の底部の近くのコア金属板1320上に位置している。コア金属板1320により、高輝度LED1322が、照明構成要素1304に環状に分散され、上述した高輝度LED322と同様のおよそ400nm〜820nmの範囲の1つ又は複数の光増感剤の吸収スペクトルに対応する指定された波長又は波長の範囲を放出することが可能である。本発明の代替態様では、コア金属板1320は、異なる波長で光を放出する複数のLEDを含むことができる。この態様では、医療専門家は、適切なLEDを選択的に作動させることにより、特定の光増感剤に対して適切な波長を選択することができる。
【0089】
[0125] さらに、治療構成要素1300は、高輝度LED1322の動作範囲に基づいて、およそ0mW/cm
2〜250mW/cm
2の範囲の治療構成要素300と同様の光強度の連続した変動を発生させることができる。本発明の代替態様では、治療構成要素1300は、およそ40mW/cm
2〜120mW/cm
2の範囲の光強度の連続した変動を発生させることができる。
【0090】
[0126] 高輝度LED1322を塵埃及び汚損並びに他の汚染物質から保護するために、LED1322に隣接して保護スクリーン1330が配置されている。高輝度LED1322は、大量の熱を発生する。従って、照明構成要素1304は、コア金属板1320に隣接して配置されたヒートシンク1336を含む。ヒートシンク1336は、LED1322を包囲する空気と接触する表面積を増大させ、それによりシステムを冷却するように設計されている。本発明の一態様では、ヒートシンク1336は、金属、例えばアルミニウム、又は熱エネルギーの伝達に好適な他の材料から作製されている。ヒートシンク1336は、電源コード1306とコア金属板1320との間の電気接点を提供することも可能である。ヒートシンクリング1334が設けられ、ヒートシンク1336をシェル1350に取り付けることができる。ヒートシンク1336とヒートシンクリング1334との間に、絶縁体リング1326が設けられている。
【0091】
[0127] ヒートシンク1336は、高輝度LED1322によって発生する熱を放散させるためにコア金属板1320に当接している。リング1334は、シェル1350にヒートシンク1336を締結し保持する。電源コード1306を介して照明構成要素1304に電力が供給される。
【0092】
[0128] 使用時、端部キャップ1352が取り除かれ、案内スリーブ370が、案内スリーブノズル1310において照明構成要素1304に取り付けられる。上述したように、案内スリーブ370は、光ガイド380、保護スリーブ378及び光プロテクタ372から構成され、光を高輝度LED1322から患者の患部に向ける。
【0093】
[0129] 概要及び要約書ではなく詳細な説明は、特許請求の範囲を解釈するために使用されるように意図されていることが理解されるべきである。概要及び要約書は、本発明者によって企図されるように本発明1つ又は複数(ただしすべてではない)例示的な実施形態を示すものであり、従って、本発明及び添付の特許請求の範囲をいかなるようにも限定するようには意図されていない。本発明の範囲は、記載した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物のみに従って規定されるべきである。
【実施例】
【0094】
[0130] 以下の実施例を、本発明の態様を限定するのではなく例示するために提供する。
【0095】
実施例1
光増感剤化合物及び担体。
[0131] 光増感剤を、患者の患部に投与するためにクリーム状に混合することができる。クリームは、POLAWAX19.5%とともに均質化されたMAL(メチルアミノレブリン酸)20%(w/w)、CETIOL V(オレイン酸デシル)4%、NIPASOL(プロピルパラベン)0.2%、ジメチルスルホキシド(DMSO)5%、NIPAGIN(メチルパラベンナトリウム)0.15%、プロピレングリコール5%、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)0.15%、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.05%、GERMAL(イミダゾリノール尿素)0.2%及び成分を均質化するために十分な脱イオン水を含むことができる。
【0096】
[0132] クリームを準備するために、POLAWAX、CETIOL V及びNIPASOLを含む油相とNIPAGIN、プロピレングリコール、EDTA、BHT及びGERMALを含む水相とを、計量し、およそ65〜70℃まで加熱する。次に、DMSOも混和しながら、水相を油相に一定の撹拌で注ぎ込む。次に、混合物を振ってクリームを形成する。MAL(20g)を80gのクリームと混合する。
【0097】
[0133] この混合物では、POLAWAXは乳化ワックスであり、DMSOは、組織内へのMAL浸透を促進する有機化合物であり、NIPASOL(プロピルパラベン)、NIPAGIN(メチルパラペンナトリウム)及びGERMAL(イミダゾリノール尿素)は抗真菌・抗菌剤であり、プロピレングリコール及びオレイン酸デジルは軟化剤であり、EDTAは鉄キレート剤であり、BHTは抗酸化化合物である。
【0098】
実施例2
FIGO子宮頸がん病期分類
[0134] 診断及び治療装置10は、子宮頸部異形成(子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)、HPV病変を含む子宮頸部の前がん変化)、国際産婦人科連合(FIGO)によって定義されるようなステージ(病期)IA(IA1及びIA2)を含むステージI子宮頸がんを治療することができる。FIGO病期分類によれば、ステージI子宮頸がんでは、がんは子宮頸部内に成長(侵入)したが、子宮の外側では成長していない。がんは、近くのリンパ節まで転位していない(N0)か、又は遠隔部位に転位していない(M0)。ステージIAでは、非常にわずかな量の癌があり、顕微鏡下でのみ見ることができる。ステージIA1では、がんは3mm未満の深さであり7mm未満の幅である。ステージIA2では、がんは3mmと5mmとの間の深さであり、7mm未満の幅である。
【0099】
実施例3
診断及び検出
[0135] 診断構成要素200により、医療専門家は、健康な組織と異常な組織との既存の相違を非侵襲的に検出することができる。診断構成要素200は、異常な組織の自家蛍光、光増感剤が投与された後の異常な組織の蛍光、又は治療構成要素300による治療後の異常な組織の蛍光を検出することができる。診断構成要素200によって検出されるような悪性度II子宮頸部異形成の組織自家蛍光の例を
図13に示す。診断構成要素200によって検出されるような光増感剤の使用後の悪性度I子宮頸部異形成の組織蛍光の例を
図14に示す。診断構成要素200によって検出されるような治療構成要素300による治療後の悪性度I子宮頸部異形成の組織蛍光の例を
図15に示す。
【0100】
実施例4
治療
[0136] 今日まで、23人の患者が、診断構成要素及び治療構成要素を含む装置を用いて子宮頸部前がん病変(子宮頸部上皮内がん)と診断され治療に成功した。
図15(「治療後の蛍光」)は、治療の成功を示す。
図14は、
図15における治療の後に見えなくなった上方部分の蛍光の領域を示す。このデータに基づいて、装置はすぐに臨床試験に入る。
【0101】
[0137] 近年の知見により、「扁平円柱上皮接合部細胞の離散的個体群が子宮頸がんの病原に関与している」ことが論証されている。Herfs et al., “A discrete population of squamocolumnar junction cells implicated in the pathogenesis of cervical cancer,” PNAS 109: 10516-10521(2012)を参照されたい。この知見は、これらの扁平円柱上皮接合部細胞が、子宮膣部子宮頸管(ectoendocervical)接合部に見られ、子宮頸がんの原因であり得ることを示す。こうした知見は、本発明を用いる治療の有効性を説明しており、それは、本明細書に開示した蛍光診断及び光線力学的治療装置が、子宮膣部子宮頸管接合部におけるこれらの前がん細胞を検出し治療するためである。光増感剤はこの接合部に浸透し、治療構成要素は、その領域(接合部)の異常な細胞を破壊する。
【0102】
[0138] 各引用した特許及び刊行物は、すべての目的で全体として参照により本明細書に組み込まれる。