(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の上型ストッカにおいて、前記切欠部は、ストッカ本体の長手方向の複数箇所に備えられており、前記各切欠部は、近接してストッカ本体に装着される分割上型の幅寸法に対応した大きさに形成してあることを特徴とする上型ストッカ。
請求項1又は2に記載の上型ストッカにおいて、前記装着溝から前記切欠部の位置への分割上型の移動を規制自在なシャッタをストッカ本体に備えていることを特徴とする上型ストッカ。
請求項3に記載の上型ストッカにおいて、前記ストッカ本体を金型交換位置に設置したときに、前記シャッタの開動作が行われる構成であることを特徴とする上型ストッカ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。先ず、理解を容易にするために、プレスブレーキと、交換すべき金型を格納した金型格納装置との関係について説明する。
【0016】
プレスブレーキの構成はよく知られている。したがって、概略的に示すと、
図1に示すように、プレスブレーキ1は、左右対称形に構成してあって、C形状の左右のサイドフレーム3L,3R(左側図示省略のため符号3Lは図示省略)を備えている。そして、サイドフレーム3L,3Rの前側下部には、下部テーブル5が一体的に取付けてある。この下部テーブル5の上部には、分割下型7を着脱交換自在に装着する下型装着部9が備えられている。
【0017】
前記サイドフレーム3L,3Rの前側上部には、下部テーブル5と上下に対向した上部テーブル11が上下動自在に備えられている。そして、上部テーブル11を上下動するために、前記サイドフレーム3L,3Rの上部には、例えば流体圧シリンダやサーボモータなどのごとき左右の上下動用アクチュエータ13L,13R(符号13L省略)が備えられている。
【0018】
前記上部テーブル11の下部には、左右方向(X軸方向)に適宜間隔に離隔した複数の上型ホルダ15が備えられている。この上型ホルダ15は、分割上型17を着脱交換可能に保持する機能を奏する。なお、上型ホルダ15の構成は、前記特許公報に記載された上型ホルダの構成と同様の構成である。したがって、上型ホルダ15の詳細については説明を省略する。
【0019】
上記構成により、下部テーブル5に装着した分割下型7に板状のワークWを載置位置決めし、上部テーブル11を下降することにより、分割下型7と分割上型17との協働によって、ワークWの折曲げ加工が行われる。
【0020】
前記下型装着部9に対して着脱交換する分割下型7及び前記上型ホルダ15に対して着脱交換する分割上型17を格納した金型格納装置19が、プレスブレーキ1の左右方向の一側に近接して備えられている。そして、プレスブレーキ1と金型格納装置19との間で分割下型7の着脱交換を行うための下型交換装置(
図1には図示省略)と、分割上型17の着脱交換を行うための上型交換装置(ATC)20(
図2参照)が備えられている。
【0021】
より詳細には、前記上型ホルダ15に対して分割上型17の着脱交換を行うために、上部テーブル11の後側(
図2において右側)には、左右方向(X軸方向)に長いガイドレール21が備えられている。
【0022】
すなわち、前記上部テーブル11の下部であって、適宜に離隔して備えた上型ホルダ15のX軸方向(左右方向)の間には、後方向(
図2において右方向)へ突出した複数の桁部材23が備えられている。そして、この桁部材23の先端部(後端部)には、左右方向(X軸方向)に延伸した梁部材25が水平に備えられている。上記梁部材25の下面には、X軸方向に長いラック27が備えられている。そして、このラック27には、X軸方向の前記ガイドレール21が備えられている。
【0023】
前記ガイドレール21には、移動部材としての箱状の第1スライダ31がリニアスライダ29を介して移動自在に支持されている。そして、第1スライダ31をX軸方向に移動位置決めするために、第1スライダ31にはサーボモータ33が備えられている。そして、このサーボモータ33によって回転駆動されるピニオンギア35(
図3参照、
図3においてはラック27,ガイドレール21は図示省略)は前記ラック27に噛合してある。したがって、前記サーボモータ33の回転によって、第1スライダ31はX軸方向に往復移動位置決めされるものである。
【0024】
なお、前記ガイドレール21、梁部材25、ラック27は、金型格納装置19内に亘って長く延伸してある。したがって、スライダ31は、プレスブレーキ1の後側から金型格納装置19内に亘ってX軸方向に往復移動し得るものである。
【0025】
前記第1スライダ31のX軸方向の一側面にはベースプレート37(
図3参照)が垂直に一体的に備えられている。このベースプレート37に備えたY軸方向のガイド部材39には、第2スライダ41がY軸方向へ移動自在に支持されている。第2スライダ41をY軸方向へ移動するために、第2スライダ41には、往復作動装置43が備えられている。
【0026】
この往復作動装置43としては、種々の構成を採用可能である。しかし、本実施形態においては、上記往復作動装置43は流体圧シリンダにて例示してある。そして、流体圧シリンダ43に往復動自在に備えたピストンロッド43Pの先端部43Eは、前記ベースプレート37と一体的に連結して(連結構造は図示省略)備えたブラケット部37Aに連結してある。したがって、流体圧シリンダ43を駆動することにより、ベースプレート37に対して第2スライダ41をY軸方向に往復動することができる。
【0027】
前記第2スライダ41には、Y軸方向のガイド部材(図示省略)を介して第3スライダ45がY軸方向へ往復動自在に備えられている。そして、この第3スライダ45を往復動するために、前記第2スライダ41に装着した往復作動装置としての流体圧シリンダ47に往復動自在に備えたピストンロッド47Pが、前記第3スライダ45に備えた突出部45Pに連結してある。したがって、第3スライダ45は流体圧シリンダ47の作動によって第2スライダ41に対してY軸方向へ往復動される。
【0028】
前記第3スライダ45の前後方向(Y軸方向)の前側には支持ブロック49が一体的に備えられている。この支持ブロック49には、分割上型17における左右方向(X軸方向)の中央部に備えた前後方向の貫通穴51へ挿通自在な丸棒状のフィンガー53が前方向へ(
図2,3において左方向)へ突出して備えている。
【0029】
前記分割上型17は、
図3においてはグースネック金型17Gにて例示してある。グースネック金型17Gの肉厚部17A(
図2参照)は、
図4に示すごとき分割上型17の肉厚部17Aに比較して前後方向に大きな肉厚に形成してある。したがって、貫通穴51は、
図2に示すように、大径穴51Aと小径穴51Bとを連通してある。そして、大径穴51Aと小径穴51Bとの接続部には段差部51Cが形成してある。
【0030】
前記フィンガー53の先端側には、グースネック金型17Gの貫通穴51に挿通した際に、グースネック金型17Gが落下しないように支持するために、フィンガー53の先端側の外周面に対して出没自在なロック片(係止片)55が備えられている。
【0031】
すなわち、前記フィンガー53は、
図4に示したように、前記貫通穴51に挿通自在な先端側の小径部53Aと基端部側の大径部53Bとを備えている。そして、小径部53Aと大径部53Bとの間には段差部53Cが形成してある。この段差部53Cは、金型17における貫通穴51に前記小径部53Aを挿通した際に、金型17の前記肉厚部17Aにおける前後の面17F(フィンガー53を貫通穴51に前側から挿通した場合には前面に、後側から挿通した場合には後面)に当接する構成である。
【0032】
より詳細には、前記フィンガー53の先端側には、
図5に示すようにスリット57が形成してある。そして、このスリット57内には、フィンガー53の長手方向に対して直交する枢軸59を介して、前記ロック片55が上下に回動自在に備えられている。なお、前記スリット57には、フィンガー53の外周面に対するロック片55の没入を制限するストッパ61が備えられている。そして、前記フィンガー53の外周面に対してロック片55を出没するために、フィンガー53には、操作ロッド63が長手方向(Y軸方向、前後方向)へ移動自在に備えられている。
【0033】
前記操作ロッド63の先端部には、
図6(a),(b)に示すように、切欠部63Aが備えられている。そして、切欠部63Aには、フィンガー53の外周面に対してロック片55を没入すべく回動操作するための押し面63Bが形成してある。また、切欠部63Aには、フィンガー53の外周面に対してロック片55を突出操作すべく回動するための引き面63Cが押し面63Bと対向して形成してある。したがって、前記操作ロッド63を長手方向に往復動することにより、フィンガー53の外周面に対して、ロック片55を出没操作することができる。
【0034】
図5に示すように、前記フィンガー53における大径部53Bの外周には、フィンガー53の長手方向へ移動自在なスライドブロック65が備えられている。このスライドブロック65は、
図2,4において図示の形態が異なるが機能は同一である。前記スライドブロック65には、分割上型17,17Gに備えた回り止め部67に係合して金型17,17Gの回り止めを行うピン状の回り止め部材69が備えられている。
【0035】
すなわち、上金型17(17G)における貫通穴51に対して、フィンガー53の小径部53Aを挿通すると、フィンガー53の段差部53Cが上金型17(17G)の前面17F又は後面17Fに当接する。そして、小径部53Aの先端側に備えたロック片55等は、前記貫通穴51の小径部51Bから外部へ突出する。したがって、フィンガー53の外周面に対してロック片55を突出して、上金型17(17G)の前面17F又は後面17Fを、係止することができる。そして、前記ロック片55によって係止された面の反対側の後面又は前面に備えた回り止め部67に、ATC20に備えた回り止め部材69を係合して、フィンガー53を中心とする上金型17(17G)の回り止めを行うことができる。
【0036】
なお、前記回り止め部材69は、前記ロック片55がフィンガー53の外周面に突出した状態にあるとき、分割上型17,17Gをロック片55側へ押圧する作用をなす。また、回り止め部材69は、ロック片55との間に分割上型17,17Gを挟み込む作用をなす。
【0037】
前記スライドブロック65を、フィンガー53に沿って往復動するために、
図3に示すように、第3スライダ45には流体圧シリンダ71が取付けてある。そして、この流体圧シリンダ71に往復動自在に備えたピストンロッド71Pは、前記支持ブロック49に摺動自在に支持されたスライドロッド73の基端部に取付けた連結部材75に連結してある。そして、前記スライドロッド73の先端側に前記スライドブロック65が備えられている。
【0038】
したがって、流体圧シリンダ71を往復作動することにより、フィンガー53に対してスライドブロック65が往復動される。そして、スライドブロック65に備えた回り止め部材69が分割上型17,17Gに備えた回り止め部67に対して係合離脱することになる。
【0039】
前記操作ロッド63を長手方向に往復動するために、前記第3スライダ45には流体圧シリンダ77が装着してある。そして、流体圧シリンダ77に往復動自在に備えたピストンロッド77Pに前記操作ロッド63が連結してある。
【0040】
したがって、流体圧シリンダ77を往復作動することによって操作ロッド63をY軸方向(前後方向)に往復動できる。よって、前述したように、ロック片55を、フィンガー53の外周面に対して出没することができる。
【0041】
以上のごとき説明から理解されるように、分割上型17,17Gに備えた貫通穴51に、ATC20に備えたフィンガー53の小径部53Aを挿通することができる。そして、分割上型17,17Gにおける前後の両面17Fには、
図6に示すように、ATC20に備えた回り止め部材69と係合して回り止めを行う凹状の前記回り止め部67が備えられている。
【0042】
したがって、分割上型17,17Gにおける貫通穴51に対して前側又は後側からフィンガー53を挿通することができる。そして、フィンガー53における段差部53Cが前後の面17Fに当接し、フィンガー53の外周面に対して出没自在に備えたロック片55でもって分割上型17,17Gの前面17F又は後面17Fを係止することができる。また、前記ロック片55によって係止された面の反対側の後面又は前面に備えた回り止め部67に、ATC20に備えた回り止め部材69を係合して、フィンガー53の回りに分割上型17,17Gが回転することを防止できる。
【0043】
すなわち、分割上型17,17Gに備えた前後方向の貫通穴51に対して、ATC20に備えたフィンガー53の小径部53Aを挿通して、分割上型17,17Gを落下しないように搬送することができる。換言すれば、プレスブレーキの上部テーブル11に備えた上型ホルダ15に対して、ATC20によって分割上型17,17Gの着脱を行うことができる。
【0044】
ところで、分割上型17,17Gが、
図2,3に示すように、グースネック金型17Gの場合に、貫通穴51の小径穴51B側からフィンガー53を挿通した場合には、
図6(a)に示すように、貫通穴51における段差部51Cがロック片55を係止する係止面となる。そして、大径穴51A側からフィンガー53を挿通すると、小径穴51Bにおける外端縁を備えた外側面17F(
図6(a)参照)が、ロック片55を係止する係止面となる。
【0045】
すなわち、分割上型17Gの前側又は後側から貫通穴51にフィンガー53の小径部53Aを挿通した場合、どちらの場合であっても、スライドブロック65に備えた回り止め部材69を、グースネック金型17Gの前後両側に備えた回り止め部67に係合することができる。したがって、グースネック金型17Gの場合であっても、回動することなくATC20を用いて着脱することができる。
【0046】
既に理解されるように、グースネック金型17Gの場合には、
図6(a)に示すように、貫通穴51の、大径穴51Aと小径穴51Bとの間に段差部51Cを備えた構成である。したがって、グースネック金型17Gにおける肉厚部17Aの肉厚が大きい場合であっても、容易に対応することができる。
【0047】
以上のごとき説明から理解されるように、分割上型17,17GはATC20を用いて、上型ホルダ15に対して着脱交換することができる。そして、分割上型17,17Gは、分割上型17,17Gの上部に備えた取付部79に近接して備えた肉厚部17Aの幅方向(左右方向)の中央部に、ATC20のフィンガー53の小径部53Aを挿通する円形状の貫通穴51を備えた構成である。したがって、分割上型17,17Gの構成の簡素化を図ることができると共に、上下方向が長孔の場合に比較して上下寸法を小さくすることができる。また、貫通穴51が丸穴であることにより、貫通穴51の加工が容易なものである。
【0048】
前記プレスブレーキ1における上部テーブル11に備えた上型ホルダ15に対して、前記金型格納装置19に格納された分割上型17,17Gを上型交換装置(ATC)20によって装着するために、ATC20は、上型ホルダ15の後方位置と金型格納装置19との間を往復動自在に備えられている。
【0049】
ところで、前記金型格納装置19の全体的構成は、例えば前記特許文献2に記載されている金型収納装置の構成とほぼ同様の構成である。そして、特許文献2には、プレスブレーキにおける上下のテーブルに備えた左右方向のガイドレールに沿って上下の金型交換装置が左右方向へ移動自在に備えられている。そして、上下の金型交換装置によって、プレスブレーキと金型交換装置との間で金型交換を行うことが記載されている。すなわち、プレスブレーキと金型収納装置との間で金型交換を行うことは公知である。
【0050】
ところで、今回の実施形態は、上型ホルダ15に対する分割上型17の装着に関するものである。したがって、上型ホルダ15に対して分割上型17を装着する場合について説明することとする。そして、下型装着部9に対する分割下型7の装着を行う構成は、例えば、前記特許文献に記載の構成を適用してもよいものである。したがって、下型装着部9に対して分割下型7を装着する場合の構成についての説明は省略する。
【0051】
金型格納装置19に格納されている分割上型17を、プレスブレーキ1に備えた上型ホルダ15に装着するために、前記ATC20は、プレスブレーキ1と金型格納装置19との間を往復動自在に備えられている。
【0052】
すなわち、ATC20を左右方向に案内するガイドレール21、梁部材25及びラック27などは、プレスブレーキ1側から金型格納装置19側へ延伸した延伸フレーム81(
図1参照)に支持されている。この延伸フレーム81は、前記特許文献2に記載のガイドレール延伸部に相当するものである。
【0053】
前記金型格納装置19は、前記特許文献2に記載の金型収納装置と同様に機能するものである。したがって、概略的に説明すると、金型格納装置19には、金型格納装置19に格納された所望のストッカ本体83を持上げて前記延伸フレーム81の前側の所定位置(上型ホルダ15と左右方向(X軸方向)に整列した位置)へ搬送するストッカ搬送装置85が備えられている。
【0054】
前記ストッカ搬送装置85は、特許文献2に記載の上型ホルダ搬送手段(符号51で示されている)に相当するもので、同様の機能を奏するものである。すなわち、ストッカ搬送装置85は、金型格納装置19側に移動するATC20に対応した金型交換位置19Aに前記ストッカ本体83を搬送し位置決めする機能及びATC20に対してストッカ本体83を上下動する機能を有するものである。
【0055】
前記ストッカ本体83は、
図7、
図8に示すように、X軸方向(左右方向)に長く構成してある。そして、左右両端部には、金型格納装置19における前記金型交換位置19Aに設置(位置決め)したときに、金型交換位置19Aに備えた左右の支持部材19B(
図12参照)に支持されるブラケット19C(
図7,8参照)を左右方向に突出して備えている。そして、ブラケット19Cの下側には、垂直なガイドプレート19Dが備えられている。このガイドプレート19Dは、前記金型交換位置19Aに備えたブラケット19Eに備えられた前後の複数のガイドローラ19Fによって垂直に挟持案内されるものである。
【0056】
前記ストッカ本体83には、分割上型17の取付部79(
図9参照)を着脱可能に装着する左右方向(X軸方向)の装着溝87(
図10、
図11参照)が下側へ開口して備えられている。そして、ストッカ本体83には、装着溝87に装着した分割上型17の取付部79に形成してある左右方向の落下防止溝79Gに対して先端部89Aが係脱自在な複数のロック片89が水平に、かつY軸方向に移動可能に備えられている。
【0057】
より詳細には、前記装着溝87は、左右方向に延伸したストッカ本体83における第1ビーム部材83Aと平行にかつ一体的に第2ビーム部材83Bを備えることによって、第1ビーム部材83Aと第2ビーム部材83Bとの間に、前記装着溝87が左右方向(X軸方向)に形成してある。そして、第2ビーム部材83Bに、複数の前記ロック片89がX軸方向に適宜間隔にかつY軸方向に摺動可能に備えられている。
【0058】
前記各ロック片89の先端部89Aは、前記落下防止溝79Gに対して容易に係脱するように、例えば半球状又はテーパ状に形成してある。そして、前記各ロック片89の基端部89Bは、ストッカ本体83の第2ビーム部材83Bから外方に突出自在に備えられている。前記各ロック片89の先端部89Aを前記分割上型17の落下防止溝79Gに係合すべく、各ロック片89の基端部89Bを装着溝87の内方向へ同時に押圧するシャッタ91が備えられている。
【0059】
より詳細には、シャッタ91は、ストッカ本体83に備えた上下方向のガイド部材93に上下動自在に案内支持されている。このシャッタ91は、左右方向に長く形成してあって、ガイド部材93によって上下に案内される水平部分91Aと、前記各ロック片89の基端部89Bを押圧自在な垂直なロック片押圧部(垂直部)91Bを備えた断面L形状に構成してある。そして、シャッタ91は、ガイド部材93に備えたコイルスプリング等のごとき付勢部材95によって常に下方向に付勢されている。
【0060】
したがって、各ロック片89の基端部89Bはシャッタ91の垂直部(押圧部)91Bによって常に押圧される。よって、各ロック片89の先端部89Aは、分割上型17における取付部79に備えた落下防止溝79Gに係合して、分割上型17の落下を防止するものである。
【0061】
前記シャッタ91における垂直部91Bによる各ロック片89の押圧を解除するために、シャッタ91における左右両端部には、左右方向へ突出した突出部91P(
図7,8参照)が備えられている。この突出部91Pは、ストッカ本体83に備えた前記ガイドプレート19Dよりも左右方向に突出して備えられている。したがって、ストッカ本体83を、前記金型交換位置19Aに設置すると、突出部91Pは、
図12に示すように、ブラケット19Eによって相対的に持上げられることになる。
【0062】
よって、付勢部材95の付勢力に抗してシャッタ91が相対的に上昇されることになる。したがって、シャッタ91の垂直部91Bによる各ロック片89の押圧が同時に解放される。よって、分割上型17を、ストッカ本体83に対して下方向へ相対的に移動することにより、ロック片89による押圧を解除して、ストッカ本体83から分割上型17を相対的に下方向に取り外すことができる。
【0063】
そして、ストッカ本体83に対して分割上型17を取付ける場合には、シャッタ91によるロック片89の押圧を解除した状態にあるときに、分割上型17の取付部79を装着溝87内に挿入位置決めする。そして、シャッタ91における垂直部91Bによって各ロック片89の基端部89Bを押圧すべく、ストッカ本体83を相対的に上昇すると、ストッカ本体83に対してシャッタ91が付勢部材95の付勢力によって相対的に下降される。したがって、ロック片89の先端部89Aが分割上型17の落下防止溝79Gに係合して、分割上型17の落下防止を行うことになる。
【0064】
なお、各ロック片89
は、例えばコイルスプリング等の弾性部材
(図示せず)によって装着溝87方向へ押圧付勢
されている。そして、分割上型17を下方向に取り外すときに、弾性部材の付勢力に抗して各ロック片89の先端部89Aを押圧する構成と
されている。
この場合、例えばクリック機構によって装着溝87に対して分割上型17の取付部79を保持する構成とすることも可能である。
【0065】
以上のごとき説明から理解されるように、本実施形態によれば、上型ホルダ15に対して手動的に着脱交換される分割上型17に、ATC20におけるフィンガー53を挿通可能な円形状の貫通穴51を備えた構成である。したがって、上型ホルダ15に対して分割上型17を手動的に着脱交換することができる。また、ATC20を使用して分割上型17の着脱交換を行うことができる。そして、ストッカ本体83は、前記分割上型17を着脱可能に支持することができる。よって、上型ホルダ15に対する分割上型17の着脱の汎用性が向上する。
【0066】
図13は、第2の実施形態に係るストッカ本体97の斜視図である。この第2の実施形態に係る構成において、前述した構成と同一機能を奏する構成要素には、同一符号を付することとして重複した説明は省略する。
【0067】
この第2の実施形態においては、ストッカ本体97に備えた装着溝87(
図15,16参照)は、第1ビーム部材83Aと一体的に備えた断面形状がL形状の第3ビーム部材83Cとの間に形成してある。上記第3ビーム部材83Cは、第1ビーム部材83Aに一体的に取付けた天井部材83D(
図15参照)に取付けてある。したがって、装着溝87は、第1ビーム部材83Aと第3ビーム部材83Cと天井部材83Dとによって三方向を閉じた構成である。前記第3ビーム部材83Cの下部には、X軸方向に長い落下防止プレート99が備えられている。この落下防止プレート99は、分割上型17における取付部79に形成した落下防止溝79Gに係合して、装着溝87から分割上型17が落下することを防止する機能を有するものである。
【0068】
前記ストッカ本体97の装着溝87から分割上型17を下方向に、又は前後方向に着脱するために、前記第1ビーム部材83A、第3ビーム部材83C及び落下防止プレート99には、前記装着溝87に連通した前後方向の複数の切欠部101A〜101D(
図13,14参照)が適宜間隔に形成してある。前記切欠部101A〜101Dは、近接してストッカ本体97に装着した分割上型17の左右方向の幅寸法に対応した大きさに形成してある。
【0069】
したがって、ストッカ本体97に装着された分割上型17を、対応した大きさの切欠部101A〜101Dの位置へ左右方向に移動することにより、落下防止プレート99から落下防止溝79Gが外れることとなり、ストッカ本体97に対して分割上型17を下方向又は前後方向に取り外すことができる。
【0070】
なお、ストッカ本体97において、後側のビーム部材83Aのみに前後方向の切欠部101A〜101Dを形成した場合には、ストッカ本体97に対して分割上型17を後側から着脱することができる。また、落下防止プレート99のみに上下方向の切欠部101A〜101Dを形成した場合には、ストッカ本体97に対して分割上型17を上下方向に着脱することができる。
【0071】
ところで、ストッカ本体97に装着(支持)された分割上型17が不用意に切欠部101A〜101Dの位置へ移動して落下することを防止するために、前記切欠部101A〜101Dへの分割上型17の移動を規制自在なシャッタ103がストッカ本体97に備えられている。
【0072】
シャッタ103は、
図15,16に示すように、側面視した場合に、水平部103Hと垂直部103Vを備えたZ形状に形成してある。水平部103Hは、天井部材83D上に立設したガイド部材93に上下動自在に案内されている。そして、ガイド部材93の頭部との間に弾装したコイルスプリングなどのごとき付勢部材95によって常に下方向へ付勢されている。前記シャッタ103における垂直部103Vにおいて、前記切欠部101A〜101Dに対応した位置には、装着溝87内から切欠部101A〜101Dへの分割上型17の移動を規制自在なストッパ部105が備えられている。
【0073】
上記ストッパ部105は、前記切欠部101A〜101Dを開閉自在であって、常態においては、切欠部101A〜101Dを閉じた状態に保持されるものである(
図15参照)。したがって、常態においては、装着溝87から切欠部101A〜101Dの位置へ分割上型17が移動する傾向にあると、切欠部101A〜101Dに位置するストッパ部105に、分割上型17の取付部79が当接して、分割上型17が切欠部101A〜101Dへ移動することが防止される。
【0074】
ところで、前記金型格納装置19に備えたストッカ搬送装置85によってストッカ本体97を金型交換装置19Aへ搬送し位置決めする(設置する)と、シャッタ103の左右両端側に左右方向へ突出して備えた突出部103Pが、金型交換位置19Aにおけるブラケット19Eに支持される。そして、付勢部材95の付勢力に抗してシャッタ103が相対的に持上げられる形態となる。したがって、シャッタ103におけるストッパ部105は、切欠部101A〜101Dから上側に引き上げられる(
図16参照)。よって、金型交換位置19Aにおいては、装着溝87から切欠部101A〜101Dの位置へ分割上型17を横移動(X軸方向に移動)して、前後方向又は下方向に取り外すことができる。
【0075】
ところで、ストッカ本体97に装着した複数の分割上型17をATC20を用いて着脱交換する場合、装着溝87に沿って切欠部101A〜101Dの位置へ分割上型17を移動することにより、切欠部101A〜101Dから分割上型17を取り外すことができる。したがって、ストッカ本体97に対して分割上型17を着脱するとき、ストッカ本体97に備えた装着溝に沿っての横方向の移動距離は短くなるものである。よって、ストッカ本体97に対する分割上型17の着脱交換を迅速に、かつ効果的に行い得るものである。
【0076】
以上のごとき説明から理解されるように、実施形態に係るストッカ本体は、ストッカ本体に着脱自在に備えた複数の分割上型の落下を防止するシャッタを備えた構成である。したがって、ストッカ本体の移動時に分割上型が不用意に落下することを防止でき、安全性が向上するものである。