(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0004】
本明細書において、絶対的又は相対的に過剰なアルドステロンによって引き起こされる臓器/組織障害を防ぐ可能性を有する、アルドステロン合成酵素のインヒビターを記載する。高血圧症は、先進国において成人人口の約20%が罹患している。60歳以上の人では、このパーセンテージは60%超に増加する。高血圧症患者では、卒中、心筋梗塞、心房細動、心不全、末梢血管疾患及び腎機能障害を含む、その他の生理学的合併症のリスクが増加する。レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系は、高血圧症、体液量及び塩分バランスに関連している経路であり、また、最近では、心不全又は腎疾患の進行期における末期臓器障害に直接的に寄与している。ACE阻害剤及びアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)は、患者の寿命及び生活の質の改善に使用され成功している。これらの薬物は、最大限の防御をもたらすわけではない。比較的多くの患者では、ACE及びARBは、いわゆるアルドステロンブレイクスルー(アルドステロンレベルが、まず初期低下を起こし、その後に、病理学的レベルまで再上昇する現象)を導く。アルドステロンレベルの不適切な増加(塩分摂取/レベルに対して)によって生じる有害な結果は、鉱質コルチコイド受容体拮抗薬を用いたアルドステロン遮断によって最小限に抑えることができることが実証されている。アルドステロン合成の直接阻害は、アルドステロンの非ゲノム効果も同様に低下させるだろうから、さらに良好な防御を提供すると期待されている。
【0005】
Na/K輸送に対するアルドステロンの作用は、腎臓におけるナトリウム及び水の再吸収ならびにカリウムの分泌の増加を導く。全体として、これは血液量の増加をもたらし、それによって血圧を増加させる。腎臓のナトリウム再吸収の調節において役割を果たす以外に、アルドステロンは、腎臓、心臓及び血管系に対して、特に、「高ナトリウム」環境において有害作用を及ぼし得る。そのような状態下では、アルドステロンは、最終的に臓器障害の一因になり得る酸化ストレスの増加を導くことが知られている。腎機能障害ラット(高い塩分処置又は一側性腎摘出のいずれかによる)へのアルドステロンの注入は、腎臓に様々な損傷(タンパク尿に反映される糸球体拡大、有足細胞損傷、間質性炎症、メサンギウム細胞増殖及び線維症を含む)を引き起こす。より具体的には、アルドステロンが、腎臓において接着分子ICAM−1の発現を増加させることが示された。ICAM−1は、糸球体の炎症に大きく関与している。同様に、アルドステロンが、インターロイキンIL−1b及びIL−6、MCP−1ならびにオステオポンチンなどの炎症性サイトカインの発現を増加させることが示された。細胞レベルでは、血管の線維芽細胞において、アルドステロンが線維症のメディエーターであるI型コラーゲンmRNAの発現を増加させたことが実証された。アルドステロンは、また、ラットのメサンギウム細胞においてIV型コラーゲンの蓄積を刺激し、平滑筋細胞においてプラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1(PAI−1)の発現を誘導する。まとめると、アルドステロンは、腎障害に関与する重要なホルモンであることが明らかとなった。アルドステロンは、心血管系リスクの媒介において同様に重要な役割を担っている。
【0006】
MR拮抗薬(スピロノラクトン及びエプレレノン)が、様々な前臨床モデルにおいて、血圧、心臓及び腎臓の機能を改善するという数多くの前臨床証拠がある。
【0007】
最近の前臨床研究で、心血管及び腎臓の疾病率及び死亡率にCYP11B2が大きく寄与していることが明らかにされた。CYP11B2阻害剤のFAD286及びMR拮抗薬のスピロノラクトンが、慢性腎疾患のラットモデル(高いアンジオテンシンII曝露;高い塩分及び一側性腎摘出)で評価された。アンジオテンシンII及び高い塩分処置は、アルブミン尿、高窒素血症、腎血管肥大(renovascular hypertrophy)、糸球体障害、増加したPAI−1及びオステオポンチンmRNAの発現ならびに尿細管間質線維症を引き起こした。両方の薬物は、これらの腎臓への効果を抑制し、心臓及び大動脈の中膜肥厚を軽減した。FAD286による処置の4週間後、血漿アルドステロンは減少したが、一方でスピロノラクトンでは、処置の4及び8週目の時点でアルドステロンが増加していた。同様に、FAD286ではなくスピロノラクトンだけが、大動脈及び心臓においてアンジオテンシンII及び塩刺激によるPAI−1のmRNAの発現を増大させた。その他の研究で、CYP11B2阻害剤のFAD286は、実験的心不全ラットにおいて血圧及び心血管の機能及び構造を改善した。同じ研究において、FAD286が腎臓の機能及び形態を改善することが示された。
【0008】
原発性アルドステロン症の患者への経口活性CYP11B2阻害剤のLCI699の投与から、この阻害剤が、原発性アルドステロン症の患者において、CYP11B2を効果的に阻害して血中アルドステロンレベルを著しく低下させ、そして、低カリウム血症及び軽度の血圧低下を修正するという結論に到達する。この糖質コルチコイド系への効果は、該化合物の低い選択性及びコルチゾール合成の潜在的阻害と一致した。まとめると、これらのデータは、CYP11B2阻害剤が不適切に高いアルドステロンレベルを低下させることができるという概念を支持する。CYP11B1に対して良好な選択性を達成することは、HPA系への望ましくない副作用を回避するために重要であり、また、異なるCYP11B2阻害剤との差別化になるであろう。
【0009】
式(I)に係る本発明の化合物は、CYPB11B2の強力なインヒビターであり、そして代謝安定性の向上と併せて、CYP11B1と対比して向上したCYP11B2への選択性を提示する。
【0010】
本発明の目的は、式(I)の化合物ならびにそれらの前述の塩及びエステル、治療活性物質としてのそれらの使用、前記化合物の製造プロセス、中間体、医薬組成物、前記化合物、その薬学的に許容し得る塩もしくはエステルを含有する医薬、病気の治療又は予防のための、特に、慢性腎疾患、鬱血性心不全、高血圧症、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群の治療又は予防における前記化合物、塩又はエステルの使用、ならびに、慢性腎疾患、鬱血性心不全、高血圧症、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群の治療又は予防のための医薬の製造のための前記化合物、塩又はエステルの使用である。
【0011】
用語「アルキル」は、1〜12個の炭素原子の一価の直鎖又は分岐飽和炭化水素基を示す。特定の実施態様において、アルキルは、1〜7個の炭素原子、より特定の実施態様において、1〜4個の炭素原子を有する。アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルを含む。特定のアルキル基は、メチル、エチル、プロピル及びイソプロピルを含む。
【0012】
用語「シクロアルキル」は、3〜10個の環炭素原子の一価の飽和単環式炭化水素基を示す。特定の実施態様において、シクロアルキルは、3〜8個の環炭素原子の一価の飽和単環式炭化水素基を示す。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。特定のシクロアルキル基は、シクロプロピルである。
【0013】
用語「ハロゲン」及び「ハロ」は、本明細書において互換的に用いられ、そして、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを示す。特定のハロゲンは、クロロ及びフルオロである。特定のハロゲンは、クロロである。
【0014】
用語「ヒドロキシ」は、−OH基を示す。
【0015】
用語「薬学的に許容し得る塩」は、遊離塩基又は遊離酸の生物学的効果及び特性を保持し、生物学的にも又はその他の点でも望ましくないことはない塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸(特に、塩酸)及び酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、N−アセチルシステインなどの有機酸と形成される。また、これらの塩は、遊離酸に無機塩基又は有機塩基を付加させることにより調製することもできる。無機塩基から誘導される塩は、特に限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム塩などを含む。有機塩基から誘導される塩としては、第一級、第二級及び第三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リシン、アルギニン、N−エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂などの塩が含まれるが、これらに限定されない。式(I)の化合物の特定の薬学的に許容し得る塩は、塩酸塩、メタンスルホン酸塩及びクエン酸塩である。
【0016】
「薬学的に許容し得るエステル」は、一般式(I)の化合物を官能基で誘導体化して、インビボで親化合物に変換し戻ることが可能な誘導体を提供することができることを意味する。そのような化合物の例は、メトキシメチルエステル、メチルチオメチルエステル及びピバロイルオキシメチルエステルなどの生理学的に許容し得かつ代謝的に不安定なエステル誘導体を含む。加えて、一般式(I)の化合物の任意の生理学的に許容し得る等価体は、インビボで一般式(I)の親化合物を製造することが可能な代謝的に不安定なエステルと同様に、本発明の範囲内である。
【0017】
用語「保護基」(PG)は、合成化学において従来それに用いられる意味で、化学反応を別の保護されていない反応部位で選択的に行うことができるように、多官能性化合物中の1つの反応部位を選択的にブロックする基を示す。保護基は、適切な時点で除去され得る。典型的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基又はヒドロキシ保護基である。
特定の保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)及びベンジル(Bn)である。
さらなる特定の保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)及びフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)である。より特定の保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)である。
【0018】
略語uMは、マイクロモルを意味し、記号μMに相当する。
【0019】
本発明の化合物は、このような化合物を構成する原子の1つ又は複数に非天然の割合の原子同位体を含有することもできる。例えば、本発明は、また、本明細書において列挙したものと同一であるが、1つ又は複数の原子が、その原子について天然に通常見出される主要な原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子により置き換わっている、同位体標識された本発明の変形体も包含する。指定されるような任意の特定の原子又は元素の全ての同位体が、本発明の化合物及びそれらの使用の範囲内にあることが意図される。本発明の化合物に組み込むことができる典型的な同位体としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体、例えば、
2H(「D」)、
3H(「T」)、
11C、
13C、
14C、
13N、
15N、
15O、
17O、
18O、
32P、
33P、
35S、
18F、
36Cl、
123I及び
125Iが含まれる。特定の同位体標識された本発明の化合物(例えば、
3H又は
14Cで標識されたもの)は、化合物及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(
3H)及び炭素14(
14C)同位体は、それらの調製及び検出を容易にするために有用である。より重い同位体、例えば、ジュウテリウム(すなわち、
2H)によるさらなる置換は、より大きな代謝安定性に起因する特定の治療的利点(例えば、インビボ半減期の増加又は必要用量の低減)をもたらすことができ、そのため幾つかの状況において好ましい。陽電子放出同位体、例えば、
15O、
13N、
11C及び
18Fは、基質受容体占有率を調べるポジトロン放出断層撮影(PET)研究に有用である。同位体標識された本発明の化合物は、一般的に、本明細書において後述するスキーム及び/又は実施例に開示されるものと類似の手順に従って、非同位体標識試薬を同位体標識試薬で置換することによって調製することができる。特に、1つ又は複数のH原子が
2H原子により置き換わっている式(I)の化合物も本発明の一実施態様である。
【0020】
式(I)の化合物は、いくつかの不斉中心を含有することができ、光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物(例えば、ラセミ体など)、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体のラセミ体又はジアステレオ異性体のラセミ体の混合物の形態で存在することができる。
【0021】
Cahn-Ingold-Prelog順位則に従って、不斉炭素原子は、「R」又は「S」の立体配置をとることができる。
【0022】
また、本発明のある実施態様は、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物及び薬学的に許容し得るその塩又はエステル、特に、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物及びその薬学的に許容し得る塩、より特定すると、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0023】
本発明はまた、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物であって、
R
1、R
2、R
3及びR
4が、H、アルキル及びシクロアルキルから独立に選択され;
R
5、R
7及びR
9が、H及びアルキルから独立に選択され;
R
8及びR
11が、一緒に−CH
2−CH
2−を形成し;
R
10が、Hであるか、又はR
10及びR
11が、一緒に−(CH
2)
w−を形成するか;あるいは
R
6及びR
9が、一緒に−CH
2−を形成し、R
8が、Hであり、そしてR
10及びR
11が、一緒に−CH
2−を形成し;
Aが、−C(O)−又は−S(O)
2−であり;
R
12が、アルキルであり;
R
13が、ハロゲンであり;
R
14が、H、アルキル又はシクロアルキルであり;
R
15が、H、アルキル、シクロアルキル又はハロゲンであり;
m、n及びpが、0及び1から独立に選択され;
wが、1、2又は3である、化合物及び薬学的に許容し得るその塩に関する。
【0024】
また、本発明の特定の実施態様は、Aが、−S(O)
2−である、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0025】
本発明の別の実施態様は、R
1及びR
2が、H及びアルキルから独立に選択される、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0026】
本発明の更なる特定の実施態様は、R
1及びR
2が、アルキルである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0027】
本発明の更に特定の実施態様は、R
1及びR
2が、メチルである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0028】
本発明の更に別の実施態様は、m及びnが、0である、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0029】
本発明の別の更なる実施態様は、pが1である、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0030】
本発明の別の実施態様は、wが、1又は2である、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0031】
本発明の別の特定の実施態様は、R
5、R
7及びR
9が、Hである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0032】
本発明の特定の実施態様は、R
9がHである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0033】
本発明の別の実施態様は、R
12が、メチル、エチル、プロピル又はイソプロピルである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0034】
また本発明の特定の実施態様は、R
12が、エチル、プロピル又はイソプロピルである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0035】
本発明の更なる特定の実施態様は、R
12がエチルである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0036】
本発明の特定の実施態様は、R
13がクロロである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0037】
本発明の別の特定の実施態様は、R
15がHである、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0038】
また本発明のある実施態様は、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物であって、
R
1及びR
2が、アルキルであり;
R
7及びR
9が、Hであり;
R
8及びR
11が、一緒に−CH
2−CH
2−を形成し;
R
10が、Hであるか、又はR
10及びR
11が、一緒に−(CH
2)
w−を形成し;
Aが、−C(O)−又は−S(O)
2−であり;
R
12が、アルキルであり;
R
13が、ハロゲンであり;
R
14が、H又はアルキルであり;
R
15が、Hであり;
m及びnが、0であり;
pが、0又は1であり;
wが、1又は2である、化合物及び薬学的に許容し得るその塩である。
【0039】
本発明の特定の実施態様は、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物であって、
R
1及びR
2が、アルキルであり;
R
7及びR
9が、Hであり;
R
8及びR
11が、一緒に−CH
2−CH
2−を形成し;
R
10が、Hであるか、又はR
10及びR
11が、一緒に−(CH
2)
w−を形成し;
Aが、−S(O)
2−であり;
R
12が、アルキルであり;
R
13が、ハロゲンであり;
R
14が、H又はアルキルであり;
R
15が、Hであり;
m及びnが、0であり;
pが、0又は1であり;
wが、1又は2である、化合物及び薬学的に許容し得るその塩である。
【0040】
本発明の更なる特定の実施態様は、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物であって、
R
1及びR
2が、アルキルであり;
R
7及びR
9が、Hであり;
R
8及びR
11が、一緒に−CH
2−CH
2−を形成し;
R
10が、Hであり;
Aが、−S(O)
2−であり;
R
12が、アルキルであり;
R
13が、クロロであり;
R
14が、Hであり;
R
15が、Hであり;
m及びnが、0であり;
pが、1である、化合物及び薬学的に許容し得るその塩である。
【0041】
本発明の更に特定の実施態様は、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物であって、
R
1及びR
2が、メチルであり;
R
7及びR
9が、Hであり;
R
8及びR
11が、一緒に−CH
2−CH
2−を形成し;
R
10が、Hであり;
Aが、−S(O)
2−であり;
R
12が、エチルであり;
R
13が、クロロであり;
R
14が、H又はアルキルであり;
R
15が、Hであり;
m及びnが、0であり;
pが、1である、化合物及び薬学的に許容し得るその塩である。
【0042】
本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の特定の例は、以下:
2−[5−[(1−アセチルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−5−クロロ−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
2−[5−[(1−アセチルアゼチジン−3−イル)−メチルアミノ]ピリジン−3−イル]−5−クロロ−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
5−クロロ−2−[5−[[(3R又は3S)−1−エチルスルホニルピロリジン−3−イル]−メチルアミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
5−クロロ−2−[5−[[(3S又は3R)−1−エチルスルホニルピロリジン−3−イル]−メチルアミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
2−[5−[(1−アセチルピペリジン−4−イル)アミノ]−ピリジン−3−イル]−5−クロロ−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
5−クロロ−2−[5−[(1−エチルスルホニルピペリジン−4−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
5−クロロ−2−[5−[(1−エチルスルホニルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[(1−メチルスルホニルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[(1−プロパノイルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−2−[5−[(1−エチルスルホニルアゼチジン−3−イル)−メチルアミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[メチル−(1−メチルスルホニルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[メチル−(1−プロパノイルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[メチル−(1−プロパン−2−イルスルホニルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[メチル−(1−プロピルスルホニルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[メチル−[(3S又は3R)−1−プロパン−2−イルスルホニルピロリジン−3−イル]アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[メチル−[(3R又は3S)−1−プロパン−2−イルスルホニルピロリジン−3−イル]アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[メチル−[(3S又は3R)−1−プロピルスルホニルピロリジン−3−イル]アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[メチル−[(3R又は3S)−1−プロピルスルホニルピロリジン−3−イル]アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[メチル−(1−プロパノイルピペリジン−4−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−2−[5−[(1−エチルスルホニルピペリジン−4−イル)−メチルアミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[メチル−(1−メチルスルホニルピペリジン−4−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[[(3R又は3S)−1−メチルスルホニルピペリジン−3−イル]アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[[(3S又は3R)−1−メチルスルホニルピペリジン−3−イル]アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−2−[5−[[(3R又は3S)−1−エチルスルホニルピペリジン−3−イル]アミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
5−クロロ−2−[5−[[(3S又は3R)−1−エチルスルホニルピペリジン−3−イル]アミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[[(3R又は3S)−1−プロパン−2−イルスルホニルピペリジン−3−イル]アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[[(3S又は3R)−1−プロパン−2−イルスルホニルピペリジン−3−イル]アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−2−[5−[(1−プロパノイルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−3H−イソインドール−1−オン;
6−クロロ−2−[5−(1−プロパノイルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1−オン;
6−クロロ−2−[5−(1−エチルスルホニルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1−オン;
6−クロロ−2−[5−(1−プロパン−2−イルスルホニルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−3,4−ジヒドロイソキノリン−1−オン;
2−[5−[(1−アセチルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−6−クロロ−3,4−ジヒドロイソキノリン−1−オン;
5−クロロ−3−メチル−2−[5−[(1−プロパノイルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−3H−イソインドール−1−オン;
5−クロロ−2−[5−[(1−エチルスルホニルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−3−メチル−3H−イソインドール−1−オン;
2−[5−[(2−アセチル−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−6−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−5−クロロ−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[(2−プロパノイル−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−6−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−2−[5−[(2−エチルスルホニル−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−6−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[(2−プロパン−2−イルスルホニル−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−6−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
(3R又は3S)−5−クロロ−3−メチル−2−[5−[(1−プロパノイルアゼチジン−3−イル)アミノ]−3−ピリジル]イソインドリン−1−オン;
(3S又は3R)−5−クロロ−3−メチル−2−[5−[(1−プロパノイルアゼチジン−3−イル)アミノ]−3−ピリジル]イソインドリン−1−オン;
(3R又は3S)−5−クロロ−2−[5−[(1−エチルスルホニルアゼチジン−3−イル)アミノ]−3−ピリジル]−3−メチル−イソインドリン−1−オン;
(3S又は3R)−5−クロロ−2−[5−[(1−エチルスルホニルアゼチジン−3−イル)アミノ]−3−ピリジル]−3−メチル−イソインドリン−1−オン;
2−[5−[(1−エチルスルホニル−4−ピペリジル)アミノ]−3−ピリジル]−3,3−ジメチル−1−オキソ−イソインドリン−5−カルボニトリル;
3,3−ジメチル−1−オキソ−2−[5−[(1−プロパノイル−4−ピペリジル)アミノ]−3−ピリジル]イソインドリン−5−カルボニトリル;
3,3−ジメチル−1−オキソ−2−[5−[(1−プロパノイルアゼチジン−3−イル)アミノ]−3−ピリジル]イソインドリン−5−カルボニトリル;及び薬学的に許容し得るその塩から選択される。
【0043】
本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の更なる特定の例は、以下:
5−クロロ−2−[5−[(1−エチルスルホニルピペリジン−4−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
5−クロロ−2−[5−[(1−エチルスルホニルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[(1−プロパノイルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[メチル−[(3S又は3R)−1−プロパン−2−イルスルホニルピロリジン−3−イル]アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[メチル−[(3R又は3S)−1−プロパン−2−イルスルホニルピロリジン−3−イル]アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;
5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−[メチル−[(3R又は3S)−1−プロピルスルホニルピロリジン−3−イル]アミノ]ピリジン−3−イル]イソインドール−1−オン;及び薬学的に許容し得るその塩から選択される。
【0044】
本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の更に特定の例は、
5−クロロ−2−[5−[(1−エチルスルホニルピペリジン−4−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン;及び薬学的に許容し得るその塩である。
【0045】
本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の製造プロセスは、本発明の1つの目的である。
【0046】
本発明の式(I)の化合物の調製は、逐次又は収束合成経路で実施することができる。本発明の合成法は、以下の一般的スキームに示される。本反応及び生じる生成物の精製を実施するために必要な技能は、当業者には公知である。ある反応中にエナンチオマー又はジアステレオ異性体の混合物が生成する場合に、これらのエナンチオマー又はジアステレオ異性体は、例えば、キラルクロマトグラフィー又は結晶化のような、本明細書に記載される方法又は当業者には公知の方法により分離することができる。以下のプロセスの説明に使用される置換基及び添え字は、本明細書に与えられる意味を有する。
【0047】
本文では以下の略語が使用される:
AcOH=酢酸、BOC=t−ブチルオキシカルボニル、BuLi=ブチルリチウム、CDI=1,1−カルボニルジイミダゾール、DCM=ジクロロメタン、DBU=2,3,4,6,7,8,9,10−オクタヒドロピリミド[1,2−a]アゼピン、DCE=1,2−ジクロロエタン、DIBALH=水素化ジ−i−ブチルアルミニウム、DCC=N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、DMA=N,N−ジメチルアセトアミド、DMAP=4−ジメチルアミノピリジン、DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、EDCI=N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、Et
2O=ジエチルエーテル、Et
3N=トリエチルアミン、eq=当量、HATU=ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム、HPLC=高性能液体クロマトグラフィー、HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ヒューニッヒ塩基=iPr
2NEt=N−エチルジイソプロピルアミン、IPC=工程内管理、LAH=水素化アルミニウムリチウム、LDA=リチウムジイソプロピルアミド、LiBH
4=水素化ホウ素リチウム、MeOH=メタノール、NaBH
3CN=シアノ水素化ホウ素ナトリウム、NaBH
4=水素化ホウ素ナトリウム、NaI=ヨウ化ナトリウム、Red-Al=水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、RT=室温、TBDMSCl=塩化t−ブチルジメチルシリル、TFA=トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン、quant=定量的。
【0048】
ハロゲン又はトリフラート、好ましくはヨード置換ピリジン化合物(2)又は(8)は、1,4−ジオキサンのような溶媒中で、ヨウ化銅(I)、炭酸カリウム又はセシウム、N,N’−ジメチルエチレンジアミン又はtrans−1,2−ジアミノ−シクロヘキサンのようなキレート化1,2−ジアミノ化合物、あるいは2−イソブチリル−シクロヘキサノンのようなキレート化β−ケトエステル化合物の存在下で、高温で、好ましくはマイクロ波加熱を用いて、アリールラクタム(1)と反応させることにより、スキーム1a及びスキーム1bに記載されるとおりラクタム置換複素環化合物(3)及び(5)を形成する(工程a)。アミノ化合物(4)又は(6)(公知であるか、又は当該分野で公知の方法により容易に調製できる化合物)は、工程aに利用された条件と同様の条件下で(第1級アミノ化合物(4)又は(6)に好ましい条件)、あるいは「Buchwald」条件を利用すること、例えば、t−BuONaのような塩基の存在下でジオキサンのような溶媒中で高温でPd(OAc)
2のような触媒及びXanphosのようなキレート化配位子を使用することにより(第2級アミノ化合物(4)又は(6)に好ましい条件)、置換ピリジン化合物(3)と反応させる(工程b)ことにより、化合物(5)又は(7)を与える。R
101が保護基、例えば、Boc基である化合物(5)は次に、保護基R
101の脱離、及び適切な活性化カルボキシル又はスルホニル化合物との反応によって、化合物(7)に変換することができる(工程c、d;スキーム1a及び1b)。
【0049】
【化2】
【0050】
【化3】
【0051】
カルバマート(101)(スキーム2a)は、高温(例えば、100〜180℃)でポリリン酸と反応させることにより、3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン誘導体(102)を形成する(工程a)。トリフルオロアセトアミド(103)は、濃硫酸と酢酸の混合物中で好ましくは室温前後でパラホルムアルデヒドで処理することにより、1−(3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル)−2,2,2−トリフルオロ−エタノン化合物(104)に環化することができる(工程b)。例えば、エタノールのような溶媒中で室温前後の温度の水酸化カリウムでの処理により、トリフルオロアセチル基を脱離することによって、テトラヒドロイソキノリン化合物(105)を与える(工程c)。例えば、ヨードソベンゼン及び臭化カリウムで好ましくは水中でテトラヒドロ−イソキノリン化合物(105)を酸化することによって、3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン化合物(102)を与える(工程d)。THFのような溶媒中で好ましくは0℃前後でのイソインドール−1,3−ジオン化合物(106)(スキーム2b)とグリニャール試薬R
1MgXとの反応によって、付加物(107)を与える(工程e)。次にジクロロメタンのような溶媒中で、そして好ましくは−25℃〜RTの温度範囲でトリエチルシラン及び三フッ化ホウ素エーテラートで処理することによって、イソインドロン化合物(108)を与える(工程f)。イソインドロン化合物(109)へのメトキシベンジル保護基の導入(例えば、THF中で0℃とRTの間のナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド及び1−ブロモメチル−4−メトキシ−ベンゼンでの処理による)によって、保護化合物(110)を与える(工程g);同様に、メトキシベンジル保護基を化合物(108)中に導入することができる。THFのような溶媒中の水素化ナトリウムのような塩基での追加のメトキシベンジル保護基を持つ化合物(108)又は化合物(110)の処理と、次に好ましくはRTと溶媒の還流温度との間でのアルキルハロゲン化物、メシラート又はトシラートでの処理によって、構造的に異なるか又は構造的に同一のR
1及びR
2基を持つ化合物(111)を与える(工程h)。あるいは、DMF、テトラヒドロフラン又は1,2−ジメトキシエタンのような溶媒中のNaH、LDA又はLiHMDSのような塩基での追加のメトキシベンジル保護基を持つ化合物(108)又は化合物(110)の処理と、次に好ましくは−78℃と溶媒の還流温度との間での1つの又は2つの異なる連続してのアルキルハロゲン化物、メシラート又はトシラートでの処理によって、構造的に異なるか又は構造的に同一のR
1及びR
2基を持つ化合物(111)を与える(工程h)。保護基の脱離(例えば、高温でトリフルオロ酢酸での処理による)によって、イソインドロン化合物(112)を与える(工程i)。あるいは(スキーム2c)、R
1及びR
2がアルキル基である化合物(114)は、シアノ化合物(113)及び適切なグリニャール試薬から、好ましくはチタンテトライソプロポキシドの存在下でのTHFのような溶媒中での、好ましくは0℃とRTとの間の温度範囲での2つの異なる試薬の連続した添加又は過剰の単一のグリニャール試薬の添加(同一のR
1及びR
2を持つ化合物を得るため)のいずれかにより得ることができる(工程k)。R
1=HでありR
2がアルキル基である化合物(114)は、シアノ化合物(113)及び適切なグリニャール試薬から、THFのような溶媒中での、好ましくは0℃とRTとの間の温度範囲で(工程k)、そしてこれに続く、例えばメタノール中でRT前後での水素化ホウ素ナトリウムによる、形成されたイミンの還元(工程k)によって、得ることができる。化合物(114)は、DMFのような溶媒中でiPr
2NEtのような塩基の存在下で、好ましくはオートクレーブ中約100℃と150℃との間の温度範囲で一酸化炭素の存在下でのジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)のような触媒との反応による閉環を受ける(工程l)。
【0052】
【化4】
【0053】
【化5】
【0054】
【化6】
【0055】
ハロゲン又はトリフラート置換化合物(8)は、スキーム1に記載されたとおりの条件を用いるアミノ化合物(4)とジ−ハロ又はジ−トリフラート置換ピリジン(2)との反応によって調製することができる(スキーム3)(工程a)。
【0056】
【化7】
【0057】
また本発明のある実施態様は、上記と同義の式(I)の化合物を調製するためのプロセスであって、
a)式(III)の化合物の存在下での式(II)の化合物の反応;
【0058】
【化8】
又は
b)式(V)の化合物の存在下での式(IV)の化合物の反応;
【0059】
【化9】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、A、m、n及びpは、本明細書に前記のとおりであり、そしてXは、工程a)ではハロゲン又はトリフラートであり、そして工程b)ではハロゲンである]を含むプロセスである。
【0060】
特に、工程a)では、ヨウ化銅(I)、炭酸カリウム若しくはセシウム、N,N’−ジメチルエチレンジアミン若しくはtrans−1,2−ジアミノ−シクロヘキサンのようなキレート化1,2−ジアミノ化合物、又は2−イソブチリル−シクロヘキサノンのようなキレート化β−ケトエステル化合物の存在下で、高温で、好ましくはマイクロ波加熱を用いて、そして1,4−ジオキサンのような溶媒中で。
【0061】
特に、工程b)では、トリエチルアミンのような塩基の存在下で、ジクロロメタンのような溶媒中で、−10℃とRTとの間の温度で。
【0062】
また本発明の目的は、治療活性物質として使用するための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0063】
同様に本発明の目的は、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物及び治療不活性担体を含む医薬組成物である。
【0064】
本発明はまた、慢性腎疾患、鬱血性心不全、高血圧症、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0065】
本発明はまた、糖尿病性腎症の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0066】
本発明はまた、腎臓又は心臓の線維症の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0067】
本発明はまた、慢性腎疾患の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0068】
本発明はまた、鬱血性心不全の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0069】
本発明はまた、高血圧症の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0070】
本発明はまた、原発性アルドステロン症の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0071】
本発明の特定の実施態様は、慢性腎疾患、鬱血性心不全、高血圧症、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0072】
また本発明の特定の実施態様は、糖尿病性腎症の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0073】
本発明の別の特定の実施態様は、腎臓又は心臓の線維症の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0074】
また本発明の特定の実施態様は、慢性腎疾患の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0075】
また本発明の特定の実施態様は、鬱血性心不全の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0076】
また本発明の特定の実施態様は、高血圧症の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0077】
また本発明の特定の実施態様は、原発性アルドステロン症の治療又は予防のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0078】
本発明はまた、慢性腎疾患、鬱血性心不全、高血圧症、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群の治療又は予防用の医薬の調製のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0079】
本発明はまた、糖尿病性腎症の治療又は予防用の医薬の調製のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0080】
本発明はまた、腎臓又は心臓の線維症の治療又は予防用の医薬の調製のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用に関する。
【0081】
また本発明のある実施態様は、慢性腎疾患の治療又は予防用の医薬の調製のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用である。
【0082】
また本発明のある実施態様は、鬱血性心不全の治療又は予防用の医薬の調製のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用である。
【0083】
また本発明のある実施態様は、高血圧症の治療又は予防用の医薬の調製のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用である。
【0084】
また本発明のある実施態様は、原発性アルドステロン症の治療又は予防用の医薬の調製のための本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物の使用である。
【0085】
また本発明の目的は、慢性腎疾患、鬱血性心不全、高血圧症、原発性アルドステロン症及びクッシング症候群の治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む方法である。
【0086】
また本発明の目的は、糖尿病性腎症の治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む方法である。
【0087】
また本発明の目的は、腎臓又は心臓の線維症の治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む方法である。
【0088】
また本発明のある実施態様は、慢性腎疾患の治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む方法である。
【0089】
また本発明のある実施態様は、鬱血性心不全の治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む方法である。
【0090】
また本発明のある実施態様は、高血圧症の治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む方法である。
【0091】
また本発明のある実施態様は、原発性アルドステロン症の治療又は予防のための方法であって、有効量の本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物を投与することを含む方法である。
【0092】
また本発明の実施態様は、記載したプロセスのいずれか1つにより製造される、本明細書に記載されるような式(I)に係る化合物である。
【0093】
アッセイ手順
ここで本発明者等は、CYP11ファミリーの酵素を異所性に(一時的又は安定的に)発現させるための宿主細胞としてG-402細胞株の使用を確認した。具体的には、本発明者等はヒトCYP11B1、ヒトCYP11B2、ヒトCYP11A1、カニクイザルCYP11B1又はカニクイザルCYP11B2酵素活性を異所性に発現する安定なG-402細胞を開発した。重要なことには、同定された細胞株G-402は、CYP11ファミリーの活性に重要な補因子(アドレノドキシン及びアドレノドキシン還元酵素)を発現し、かつこれらの細胞においてCYP11ファミリーの関連酵素活性(H295R細胞に比較して)は検出されなかった。したがってG-402細胞株は、CYP11ファミリーからの酵素の異所性発現のための宿主細胞として比類なく適している。
【0094】
G-402細胞は、ATCC(CRL-1440)から入手することができ、そして元々は腎平滑筋芽細胞腫に由来した。
【0095】
発現プラスミドは、適切なプロモーター(CMV−プロモーター)及び適切な耐性マーカー(ネオマイシン)の制御下にヒト/カニクイザルCYP11B1又はCYP11B2のいずれかのORFを含有する。標準法を用いて、発現プラスミドは、G-402細胞にトランスフェクトされ、次にこれらの細胞は、所与の耐性マーカーの発現について選択される。個々の細胞クローンは次に、11−デオキシコルチコステロン(Cyp11B2)又は11−デオキシコルチゾール(Cyp11B1)を基質として用いて、所望の酵素活性の提示について選択及び評価される。
【0096】
CYP11構築物を発現するG-402細胞は、上記のとおり樹立され、そして10% FCS及び400μg/ml G418(Geneticin)を含有するマッコイ(McCoy)5A改変培地(ATCCカタログ30-2007番)中で37℃で5% CO
2/95%空気の雰囲気下で維持された。細胞内酵素アッセイは、2.5%活性炭処理FCS及び適切な濃度の基質(0.3〜10μM デオキシコルチコステロン、11−デオキシコルチゾール又はコルチコステロン)を含有するDMEM/F12培地中で実施された。酵素活性のアッセイのために、細胞を96ウェルプレートに蒔き、16時間インキュベートした。次に上清のアリコートを移して、期待される生成物(CYP11B2にはアルドステロン;CYP11B1にはコルチゾール)の濃度を分析する。これらのステロイド類の濃度は、アルドステロン又はコルチゾールのいずれかを分析するCisBio製のHTRFアッセイ法を用いて測定することができる。
【0097】
生成したステロイドの放出の阻害は、細胞内酵素アッセイ中に添加された試験化合物による、それぞれの酵素阻害の尺度として利用することができる。ある化合物による酵素活性の用量依存性阻害は、加えたインヒビター濃度(x軸)と対する測定されるステロイド/生成物レベル(y軸)とをプロットすることによって算出される。次に阻害は、最小二乗法を用いて以下の4パラメーターシグモイド関数(Morgan-Mercer-Flodin(MMF)モデル)を生データ点にフィットさせることによって算出される:
【0098】
【数1】
[式中、Aは、最大y値であり、Bは、XLFitを用いて決定されるEC50値であり、Cは、最小y値であり、そしてDは、傾き値である]。
【0099】
最大値Aは、インヒビターの非存在下で生成するステロイドの量に相当し、C値は、酵素が完全に阻害されるとき検出されるステロイドの量に相当する。
【0100】
本明細書に請求される化合物のEC50値は、記載したG402に基づくアッセイ系により試験された。CYP11B2酵素活性は、1μM デオキシコルチコステロン及び可変量のインヒビターの存在下で試験された;Cyp11B1酵素活性は、1μM デオキシコルチゾール及び可変量のインヒビターの存在下で試験された。
【0101】
【表1】
【0102】
本明細書に記載されるような式(I)の化合物及びその薬学的に許容し得る塩もしくはエステルは、0.000001uM〜1000uMのEC
50(CYP11B2)値を有し、特定の化合物は、0.00005uM〜500uMのEC
50(CYP11B2)値を有し、さらなる特定の化合物は、0.0005uM〜50uMのEC
50(CYP11B2)値を有し、より特定の化合物は、0.0005uM〜5uMのEC
50(CYP11B2)の値を有する。これらの結果は、記載される酵素アッセイを使用して得た。
【0103】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容し得る塩は、(例えば、医薬製剤の形態で)医薬として使用することができる。この製剤は、経口(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬及び軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤の剤形で)、鼻内(例えば、鼻内スプレーの剤形で)又は直腸内(例えば、坐剤の剤形で)のように、内服することができる。しかし、投与はまた、筋肉内又は静脈内のように、非経口的に(例えば、注射剤の剤形で)達成することができる。
【0104】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容し得る塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤の製造のために、薬学的に不活性な無機又は有機補助剤と共に加工することができる。乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などは、例えば、錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤用のそのような補助剤として使用することができる。
【0105】
軟ゼラチンカプセル剤に適切な補助剤は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体物質及び液体ポリオールなどである。
【0106】
液剤及びシロップ剤の製造に適切な補助剤は、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、ブドウ糖などである。
【0107】
注射剤に適切な補助剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。
【0108】
坐剤に適切な補助剤は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半固体又は液体ポリオールなどである。
【0109】
更には、本製剤は、保存料、可溶化剤、増粘性物質、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香味料、浸透圧を変化させる塩、緩衝剤、マスキング剤又は酸化防止剤を含有することができる。これらはまた、さらに他の治療上価値のある物質を含有することができる。
【0110】
用量は、広い範囲内で変化させることができ、当然ながら、各特定症例における個々の要求に合わせられる。一般に、経口投与の場合には、好ましくは1〜3回の個々の用量(例えば、同量からなってよい)に分割した、体重1kgあたり約0.1mg〜20mg、好ましくは体重1kgあたり約0.5mg〜4mgの1日用量(例えば、一人あたり約300mg)が、適切であろう。しかし、本明細書においての上限値は、必要が示されれば、これを超えられることは明らかであろう。
【0111】
本発明によれば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、アルドステロン媒介疾患の治療又は予防のために使用することができる。
【0112】
本明細書の式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、CYP11B2のインヒビターである。本明細書の式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルはまた、CYP11B1の可変的阻害も示すが、CYP11B1と対比してCYP11B2への向上した選択性を提示する。このような化合物は、過剰なコルチゾール産生/レベル、又は過剰なコルチゾール及びアルドステロンレベルの両方を示す症状(例えば、クッシング症候群、熱傷患者、鬱病、心的外傷後ストレス障害、慢性ストレス、副腎皮質刺激ホルモン分泌腺腫、クッシング病)の処置又は予防に使用することができる。
【0113】
本発明により、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、心血管疾患(高血圧症及び心不全を含む)、血管疾患、内皮機能障害、圧受容器機能障害、腎臓疾患、肝臓疾患、線維性疾患、炎症性疾患、網膜症、神経障害(末梢神経障害など)、疼痛、異常インスリン症、浮腫、浮腫性疾患、鬱病などの処置又は予防に使用することができる。
【0114】
心血管疾患は、鬱血性心不全、冠動脈性心疾患、不整脈、動脈細動、心臓病変、駆出率低下、拡張期及び収縮期心機能障害、冠状動脈のフィブリノイド壊死、心臓線維症、肥大型心筋症、動脈コンプライアンス障害、拡張期充満障害、虚血、左心室肥大、心筋及び血管線維症、心筋梗塞、心筋の壊死性病変、心不整脈、心臓突然死の予防、再狭窄、卒中、血管損傷を含む。
【0115】
腎臓疾患は、急性及び慢性腎不全、腎症、末期腎臓疾患、糖尿病性腎症、クレアチニンクリアランス低下、糸球体濾過率低下、有意な細胞過形成を伴うか伴わない網状メサンギウム基質の拡大、糸球体毛細管の巣状血栓形成、全節性フィブリノイド壊死、糸球体硬化症、虚血性病変、悪性腎硬化症(虚血性退縮など)、微量アルブミン尿、タンパク尿、腎血流減少、腎動脈症、毛細管内(内皮及びメサンギウム)及び/又は毛細管外細胞(半月体)の膨張及び増殖を含む。
【0116】
腎臓疾患はまた、糸球体腎炎(びまん性増殖性、巣状増殖性、メサンギウム増殖性、膜性増殖性、微小変化型膜性糸球体腎炎など)、ループス腎炎、非免疫性基底膜異常(Alport症候群など)、腎臓線維症及び糸球体硬化症(結節性又は全節性及び巣状分節性糸球体硬化症など)を含む。
【0117】
肝臓疾患は、肝臓脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変、肝臓腹水、肝鬱血などを含むが、これらに限定されない。
【0118】
血管疾患には、特に限定されないが、血栓性血管疾患(壁在線維素様壊死、赤血球の溢出及び破砕ならびに管腔及び/又は壁在血栓症など)、増殖性動脈症(粘液性細胞外基質によって囲まれた筋内膜細胞(myointimal cell)の腫大及び結節性肥厚など)、アテローム性動脈硬化、血管コンプライアンスの減少(剛性、心室コンプライアンスの低下及び血管コンプライアンスの低下など)、内皮機能不全などが含まれる。
【0119】
炎症性疾患には、特に限定されないが、関節炎(例えば、骨関節炎)、炎症性気道疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD))などが含まれる。
【0120】
疼痛には、特に限定されないが、急性疼痛、慢性疼痛(例えば、関節痛)などが含まれる。
【0121】
浮腫は、特に限定されないが、末梢組織浮腫、肝欝血、肝臓腹水、脾臓欝血、呼吸器又は肺欝血などが含まれる。
【0122】
異常インスリン症には、特に限定されないが、インスリン抵抗性、I型糖尿病、II型糖尿病、グルコース感受性、前糖尿病状態、前糖尿病、X症候群などが含まれる。
【0123】
線維症には、特に限定されないが、心筋及び腎内線維症、腎間質線維症及び肝線維症が含まれる。
【0124】
さらに、本明細書に記載されるような式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、また、高血圧症、心不全(特に、心筋梗塞後心不全)、左室肥大及び卒中からなる群より選択される心血管疾患の治療又は予防のために使用することができる。
【0125】
別の実施態様において、心血管疾患は、高血圧症である。
【0126】
特定の実施態様において、心血管状態は、治療抵抗性高血圧症である。
【0127】
別の実施態様において、心血管疾患は、心不全である。
【0128】
別の実施態様において、心血管疾患は、左室肥大である。
【0129】
別の実施態様において、心血管疾患はより特定には保存された左室駆出分画を有する患者における鬱血性心不全である。
【0130】
別の実施態様において、心血管疾患は、卒中である。
【0131】
別の実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、腎疾患の治療又は予防のために使用することができる。
【0132】
別の実施態様において、腎疾患は、腎症である。
【0133】
別の実施態様において、腎疾患は、自己免疫性糸球体腎炎である。
【0134】
別の実施態様において、慢性腎疾患は、糖尿病性腎症である。
【0135】
別の実施態様において、線維症は、腎臓又は心臓の線維症である。
【0136】
別の実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、II型糖尿病の治療又は予防のために使用することができる。
【0137】
別の実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、I型糖尿病の治療又は予防のために使用することができる。
【0138】
別の実施態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及びエステルは、糖尿病性網膜症の治療又は予防のために使用することができる。
【0139】
本発明は、実施例により以降説明されるが、これらは限定性を持つものではない。
【0140】
調製例では、エナンチオマーの混合物として得られるが、純粋なエナンチオマーは、本明細書に記載される方法又は当業者に公知の方法、例えば、キラルクロマトグラフィー又は結晶化により分離することができる。
【0141】
実施例
全ての実施例及び中間体は、特に指示しない限り、アルゴン雰囲気下で調製した。
【0142】
中間体A−1
6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン
【化10】
【0143】
[A] [2−(3−クロロ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸メチルエステル
【化11】
0℃で、クロロギ酸メチル(4.6g、48mmol)を、DCM(100mL)中の2−(3−クロロ−フェニル)−エチルアミン(5.0g、32mmol)及びEt
3N(6.4g、64mmol)の溶液に滴下した。添加後、混合物を室温で0.5時間撹拌した。有機層を、水(3×30mL)、1N HCl(20mL)及びブライン(30mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮した。真空乾燥後、標記化合物を白色の固体として得た(6.49g、95%)。MS:214.1(M+H
+)。
【0144】
[B] 6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−イソキノリン−1−オン
【化12】
N
2保護下、250mLの丸底フラスコ中の[2−(3−クロロ−フェニル)−エチル]−カルバミン酸メチルエステル(5.0g、23.4mmol)とPPA(ポリリン酸)(20g)の混合物を、120℃で2時間激しく撹拌した。室温に冷やした後、反応混合物を、氷水及びアンモニア水溶液で処理してpHを8に調整した。次に、混合物をEtOAcで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、そして濾過した。減圧下で溶媒の除去後、得られた粗生成物をエチルエーテルでさらに洗浄して、標記化合物(1.66g、39%)を白色の固体として与えた。MS:182.0(M+H
+)。
【0145】
中間体A−2
5−クロロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン
【化13】
【0146】
[A] 1−(2−ブロモ−5−クロロ−フェニル)−エチルアミン
【化14】
0℃で、THF(1000mL)中の2−ブロモ−5−クロロベンゾニトリル(80g、370mmol)の撹拌した溶液に、EtMgBr(370mL、1110mmol)を滴下した。反応混合物を0〜5℃で5時間撹拌し、その後MeOH(500mL)を滴下した。溶液をさらに15分間撹拌した後、NaBH
4(28g、740mmol)を注意深く加え、そして得られた混合物を室温で16時間撹拌した。次に、反応溶液を水に注ぎ、EtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、そして真空下で濃縮して、粗生成物を与え、これをカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:EtOAc=3:1)により精製して、標記化合物(30g、34.6%)を黄色を帯びた油状物として与えた。MS:235.5[M+H
+]。
【0147】
[B] 5−クロロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン
【化15】
DMF(1.2L)中の1−(2−ブロモ−5−クロロフェニル)−エチルアミン(30g、127.9mmol)、Pd(dppf)Cl
2(3.2g、12.79mmol)とDIPEA(49.5g、383.7mmol)の混合物を、オートクレーブ中でCOの2 MPa下、130℃で24時間撹拌した。反応物を室温に冷やした後、反応混合物をEtOAc(500mL)で希釈した。有機層をブラインで洗浄し、濾過し、真空下で濃縮して粗生成物を与え、これをクロマトグラフィー(PE:EtOAc=3:1)により精製して、標記化合物(5.2g、22.5%)を褐色の固体として与えた。MS:181.7[M+H
+]。
【0148】
中間体A−3
5−クロロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン
【化16】
【0149】
[A] 1−(2−ブロモ−5−クロロ−フェニル)−1−メチル−エチルアミン
【化17】
0℃で、THF(200mL)中の2−ブロモ−5−クロロ−ベンゾニトリル(10g、46mmol)の撹拌した溶液に、MeMgBr(77mL、230mmol)を滴下した。反応混合物を室温まで温め、そして2時間撹拌した。Ti(Oi−Pr)
4(13g、46mmol)を加え、溶液をさらに16時間撹拌し、その後、HCl水溶液でクエンチし、そしてEtOAcで洗浄した。水相を、NaOH水溶液でpHを約10に調整し、そしてEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機層を濃縮して、粗標記生成物(3.8g、収率33%)を油状物として与え、これをさらに精製することなく次の工程においてそのまま使用した。MS:249.30(M+H
+)
【0150】
[B] 5−クロロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン
【化18】
DMF(20mL)中の1−(2−ブロモ−5−クロロ−フェニル)−1−メチル−エチルアミン(3.8g、15.3mmol)、Pd(dppf)Cl
2(0.4g、0.55mmol)及びDIPEA(6g、45.9mmol)の混合物を、オートクレーブ中でCOの2 MPa下、130℃で16時間撹拌した。次に、それを室温に冷やし、反応混合物をEtOAc(300mL)で希釈した。有機層をブライン(80mL、2×)で洗浄し、濾過し、真空下で濃縮して、粗生成物を与え、これをクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(1.13g、38%)を褐色の固体として与えた。MS:195.70(M+H
+)
【0151】
中間体A−4
3,3−ジメチル−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボニトリル
【化19】
【0152】
[A] 4−ブロモ−2−メチル−安息香酸メチルエステル
【化20】
メタノール(115mL)中の4−ブロモ−2−メチル−安息香酸(30.0g、0.14mol)の溶液に、塩化チオニル(20.25mL、0.28mol)をゆっくり加え、反応混合物を70℃で2時間撹拌し、その後、濃縮して、粗生成物を与え、次に、これをカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(30.03g、93.6%)を固体として与えた。
【0153】
[B] 4−シアノ−2−メチル−安息香酸メチルエステル
【化21】
4−ブロモ−2−メチル−安息香酸メチルエステル(26.0g、113.5mmol)とCuCN(12.48g、140.7mmol)の混合物を、180℃で5時間加熱し、その後氷水に注いだ。固体の沈殿物を真空濾過により集めて粗生成物を与え、次に、これをカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(12.53g、63%)を固体として与えた。
【0154】
[C] 2−ブロモメチル−4−シアノ−安息香酸メチルエステル
【化22】
CCl
4(200mL)中の4−シアノ−2−メチル−安息香酸メチルエステル(12.5g、71.35mmol)、NBS(12.7g、71.35mmol)及びジベンゾイルペルオキシド(BPO)(0.8g、3.28mmol)の混合物を、還流温度に3時間加熱した。室温に冷やした後、反応混合物を濾過した。濾液を真空下で濃縮して、粗生成物(18.2g)を与え、これをさらに精製することなく次の反応工程において使用した。
【0155】
[D] 2−(4−メトキシ−ベンジル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボニトリル
【化23】
THF(300mL)中の2−ブロモメチル−4−シアノ−安息香酸メチルエステル(18.1g、71.24mmol)の溶液に、PMBNH
2(23.4g、178.1mmol)を0℃で加え、そして反応混合物を室温で16時間撹拌した。真空濾過後、濾液を真空下で濃縮した。得られた残留物をEtOAcに再溶解し、水及びブラインで洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して粗生成物を与え、これをカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(11.69g、56.0%)を固体として与えた。
【0156】
[E] 2−(4−メトキシ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボニトリル
【化24】
THF(300mL)中の2−(4−メトキシ−ベンジル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボニトリル(11.6g、41.7mmol)の溶液に、NaH(8.34g、208.4mmol、鉱油中60%)を加え、反応混合物を室温で1時間撹拌し、その後ヨードメタン(35.5g、250.1mmol)を加えた。添加後、すべての出発物質が消費されるまで、反応混合物を70℃で2時間撹拌した。室温に冷やした後、飽和NH
4Cl水溶液を加え、そして混合物をEtOAc(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を与え、これをカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(7.22g、56.5%)を固体として与えた。
【0157】
[F] 3,3−ジメチル−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボニトリル
【化25】
MeCN(70mL)中の2−(4−メトキシ−ベンジル)−3,3−ジメチル−1−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボニトリル(3.5g、11.42mmol)の溶液に、水(30mL)中のCAN(18.79g、34.27mmol)を0℃で加えた。得られた反応混合物を、すべての出発物質が消費されるまで、0℃で1時間撹拌した。反応混合物を水とEtOAcで抽出し、合わせた有機層を無水MgSO
4で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を与え、これをカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(1.06g、49.8%)を固体として与えた。
【0158】
中間体A−5
3,5−ジヨード−ピリジン
【化26】
ジオキサン(400mL)中の3,5−ジブロモピリジン(20g、84mmol)、CuI(4.76g、25mmol)、KI(83.7g、504mmol)及びN
1,N
2−ジメチルエタン−1,2−ジアミン(4.4g、50.4mmol)の混合物を、110℃で16時間撹拌した。この間に、反応の進行をLC/MSによりモニターした。反応混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して固体を与え、次に、これをEtOAc(100mL)及びDCM(100mL)で洗浄して、粗標記化合物を灰色の固体として与えた(13g、47%)。MS:331.50(M+H
+)。それをさらに精製することなく次の工程において使用した。
【0159】
中間体A−6
3,5−ジヨード−4−メチル−ピリジン
【化27】
ジオキサン(400mL)中の3,5−ジブロモ−4−メチルピリジン(20g、80mmol)、KI(79.7g、480mmol)、CuI(4.57g、24mmol)及びN
1,N
2−ジメチルエタン−1,2−ジアミン(4.23g、48mmol)の混合物を、110℃で16時間加熱した。反応混合物を濾過し、濾液を真空下で濃縮して粗固体を与え、これをDCM及びEtOAcで洗浄して、粗生成物(18g、65%)を白色の固体として与えた。MS:345.5[M+H
+]。それをさらに精製することなく次の工程において使用した。
【0160】
中間体A−7
3−[5−(6−クロロ−1,1−ジメチル−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピリジン−3−イルアミノ]−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化28】
【0161】
[A] 5−クロロ−2−(5−ヨード−ピリジン−3−イル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン
【化29】
75mLの密閉管中で、3,5−ジヨード−ピリジン(中間体A−5、6.6g、20mmol)、5−クロロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン(中間体A−3、1.95g、10mmol)、CuI(571mg、3mmol)、K
3PO
4(4.24g、20mmol)及び(+)−(S,S)−1,2−ジアミノシクロヘキサン(0.7mL、6mmol)を、ジオキサン(20mL)に溶解した。得られた反応混合物を120℃で3時間加熱し、その後水(50mL)に注ぎ、そしてEtOAc(2×125mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗生成物を与え、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(0〜30% EtOAc−ヘキサンの勾配)により精製して、標記化合物(1.8g、45%)を明黄色の固体として生成した。MS:399.2(M+H
+)。
【0162】
[B] 3−[5−(6−クロロ−1,1−ジメチル−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピリジン−3−イルアミノ]−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化30】
DMF(12mL)中の5−クロロ−2−(5−ヨード−ピリジン−3−イル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン(2.16g、5.4mmol)、3−アミノ−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.8g、10.8mmol)、CuI(103mg、0.54mmol)、Cs
2CO
3(3.5g、10.8mmol)及び2−イソブチリル−シクロヘキサノン(0.36mL、2.16mmol)の混合物を、100℃で12時間撹拌した。室温に冷やした後、反応混合物を水(20mL)に注ぎ、そしてEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して粗生成物を与え、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(30〜100% EtOAc−ヘキサンの勾配)により精製して、標記化合物(1.1g、48%)を明黄色の泡状物として生成した。MS:443.2(M+H
+)。
【0163】
表1に列挙した以下の中間体は、適切な反応パートナーを使用し、中間体A−7の調製について記載した手順と同様に調製した。
【0164】
【表2】
【0165】
実施例1
2−[5−[(1−アセチルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−5−クロロ−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン
【化31】
【0166】
[A] 2−[5−(アゼチジン−3−イルアミノ)−ピリジン−3−イル]−5−クロロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン
【化32】
メタノール(12mL)中の3−[5−(6−クロロ−1,1−ジメチル−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピリジン−3−イルアミノ]−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(中間体A−7、360mg、0.812mmol)とアセチルクロリド(0.56mL)の混合物を、室温で2時間撹拌を続けた。減圧下での濃縮後、粗生成物を明黄色の泡状物として与え、これをさらに精製することなく次の工程において使用した。MS:343.2(M+H
+)。
【0167】
[B] 2−[5−[(1−アセチルアゼチジン−3−イル)アミノ]ピリジン−3−イル]−5−クロロ−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン
【化33】
DCM(5mL)中の2−[5−(アゼチジン−3−イルアミノ)−ピリジン−3−イル]−5−クロロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン(56mg、0.163mmol)及びEt
3N(0.5mL)の撹拌した溶液に、アセチルクロリド(0.012mL、0.163mmol)を0℃で加え、撹拌を0℃で1時間続けた。得られた反応混合物をEtOAc(2×100mL)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して粗生成物を与え、これを分取HPLCにより精製して、標記化合物(20mg、32%)を白色の泡状物として与えた。MS:385.1(M+H
+)。
【0168】
実施例2
2−[5−[(1−アセチルアゼチジン−3−イル)−メチルアミノ]ピリジン−3−イル]−5−クロロ−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン
【化34】
【0169】
[A] 3−{[5−(6−クロロ−1,1−ジメチル−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピリジン−3−イル]−メチル−アミノ}−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化35】
ジオキサン(6mL)中の5−クロロ−2−(5−ヨード−ピリジン−3−イル)−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン(398mg、1mmol、中間体A−7[A])、3−メチルアミノ−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(250mg、1.3mmol)、Pd(OAc)
2(35mg、10重量%)、Xanphos(70mg、20重量%)及びt−BuONa(192mg、2mmol)の混合物を、115℃で2時間撹拌した。室温に冷やした後、反応混合物を水(20mL)に注ぎ、そしてEtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して粗生成物を与え、これをシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(40〜100% EtOAc−ヘキサンの勾配)により精製して、標記化合物(196mg、43%)を明黄色の泡状物として生成した。MS:457.1(M+H
+)。
【0170】
[B] 2−[5−(アゼチジン−3−イル−メチル−アミノ)−ピリジン−3−イル]−5−クロロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン
【化36】
メタノール(12mL)中の3−{[5−(6−クロロ−1,1−ジメチル−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピリジン−3−イル]−メチル−アミノ}−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(196mg、0.43mmol)、アセチルクロリド(0.56mL)の混合物を、室温で2時間撹拌した。次に、それを真空下で濃縮して、粗生成物を明黄色の泡状物として与えた。それをさらに精製することなく次の反応工程において使用した。MS:357.2(M+H
+)。
【0171】
[C] 2−[5−[(1−アセチルアゼチジン−3−イル)−メチルアミノ]ピリジン−3−イル]−5−クロロ−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン
【化37】
DCM(5mL)中の2−[5−(アゼチジン−3−イル−メチル−アミノ)−ピリジン−3−イル]−5−クロロ−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン(60mg、0.17mmol)及びEt
3N(0.50mL)の撹拌した溶液に、アセチルクロリド(0.012mL、0.17mmol)を0℃で加え、そして撹拌を0℃で1時間続けた。得られた混合物をEtOAc(2×100mL)で抽出し、合わせた有機物をブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して粗生成物を与え、これを分取HPLCにより精製して、標記化合物(19mg、28%)を白色の泡状物として与えた。MS:399.1(M+H
+)。
【0172】
実施例3及び実施例4
(+)−5−クロロ−2−[5−[[(3R又は3S)−1−エチルスルホニルピロリジン−3−イル]−メチルアミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン及び(−)−5−クロロ−2−[5−[[(3S又は3R)−1−エチルスルホニルピロリジン−3−イル]−メチルアミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン
【化38】
【0173】
[A] 3−{[5−(6−クロロ−1,1−ジメチル−3−オキソ−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピリジン−3−イル]−メチル−アミノ}−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化39】
実施例2[A]の調製について記載した手順と同様にして、3−メチルアミノ−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを使用して、標記化合物を明黄色の泡状物として与えた(47%)。MS:471.1(M+H
+)。
【0174】
[B] 5−クロロ−3,3−ジメチル−2−[5−(メチル−ピロリジン−3−イル−アミノ)−ピリジン−3−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン
【化40】
実施例2[B]の調製について記載した手順と同様にして、標記化合物を明黄色の泡状物の粗生成物として得た。それをさらに精製することなく次の工程において使用した。MS:371.2(M+H
+)。
【0175】
[C] 5−クロロ−2−{5−[(1−エタンスルホニル−ピロリジン−3−イル)−メチル−アミノ]−ピリジン−3−イル}−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン
【化41】
実施例2[C]の調製について記載した手順と同様にして、エタンスルホニルクロリドを使用して、標記化合物(40%)を白色の泡状物として生成した。MS:463.1(M+H
+)
【0176】
[D] (+)−5−クロロ−2−[5−[[(3R又は3S)−1−エチルスルホニルピロリジン−3−イル]−メチルアミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン(実施例3)及び(−)−5−クロロ−2−[5−[[(3S又は3R)−1−エチルスルホニルピロリジン−3−イル]−メチルアミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン(実施例4)
【化42】
標記化合物を、Chiralpak AS-H カラム(エタノール中10% ACN)の(rac)−5−クロロ−2−{5−[(1−エタンスルホニル−ピロリジン−3−イル)−メチル−アミノ]−ピリジン−3−イル}−3,3−ジメチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オンのキラル分離により調製して、(+)−5−クロロ−2−[5−[[(3R又は3S)−1−エチルスルホニルピロリジン−3−イル]−メチルアミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン(実施例3、10mg、20%)、MS:463.1(M+H
+)及び(−)−5−クロロ−2−[5−[[(3S又は3R)−1−エチルスルホニルピロリジン−3−イル]−メチルアミノ]ピリジン−3−イル]−3,3−ジメチルイソインドール−1−オン(実施例4、12.5mg、25%)をオフホワイトの泡状物として与えた。MS:463.1(M+H
+)。
【0177】
表2に列挙した以下の実施例は、適切な出発物質を使用し、実施例1、2、3又は4の調製について記載した手順と同様に調製した。
【表3】
【0178】
実施例A
式(I)の化合物は、それ自体既知のやり方で、以下の組成の錠剤の製造用の活性成分として使用することができる:
1錠当たり
活性成分 200mg
微結晶性セルロース 155mg
トウモロコシデンプン 25mg
タルク 25mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
20mg
425mg
【0179】
実施例B
式(I)の化合物は、それ自体既知のやり方で、以下の組成のカプセル剤の製造用の活性成分として使用することができる:
1カプセル当たり
活性成分 100.0mg
トウモロコシデンプン 20.0mg
乳糖 95.0mg
タルク 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム
0.5mg
220.0mg