特許第6670910号(P6670910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6670910ダブルミキサーを備えた気体溶解システム
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  • 特許6670910-ダブルミキサーを備えた気体溶解システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6670910
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】ダブルミキサーを備えた気体溶解システム
(51)【国際特許分類】
   B01F 1/00 20060101AFI20200316BHJP
   B01F 3/08 20060101ALI20200316BHJP
   B01F 3/04 20060101ALI20200316BHJP
   B01F 5/04 20060101ALI20200316BHJP
   B01F 5/10 20060101ALI20200316BHJP
   B01F 15/02 20060101ALI20200316BHJP
   C02F 1/50 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   B01F1/00 A
   B01F3/08 Z
   B01F3/04 F
   B01F5/04
   B01F5/10
   B01F15/02 A
   C02F1/50 531R
   C02F1/50 540B
   C02F1/50 550D
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-201710(P2018-201710)
(22)【出願日】2018年10月26日
【審査請求日】2019年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】518381422
【氏名又は名称】リオウ、フエイ タルング
【氏名又は名称原語表記】LIOU,HUEI TARNG
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(72)【発明者】
【氏名】リオウ、フエイ タルング
【審査官】 小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−155754(JP,A)
【文献】 特開2006−55719(JP,A)
【文献】 特開2011−224519(JP,A)
【文献】 特開平10−216750(JP,A)
【文献】 特開2001−314739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 1/00−5/26、15/02
B08B 3/04
C02F 1/50、1/78
C01B 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダブルミキサーを備えた気体溶解システムであって、
液体入口(11)、液体出口(12)、およびスロート入口(13)を有する第一のミキサー(10)であって、前記第一のミキサー(10)の前記液体入口(11)は、圧力弁(4)を介して原液源(2)に接続され、前記第一のミキサー(10)の前記液体出口(12)は、前記圧力弁(4)に電気的に結合された圧力センサー(6)が取り付けられた管路(101)を介して投与液体出口(34)に接続される、第一のミキサー(10)と、
液体入口(21)、液体出口(22)、およびスロート入口(23)を有する第二のミキサー(20)であって、前記第二のミキサー(20)の前記液体入口(21)は、前記第一のミキサー(10)の前記液体出口(12)と前記圧力センサー(6)との間の位置で前記管路(101)に接続され、前記スロート入口(23)は、弁(8)を介して気体源(33)に接続される、第二のミキサー(20)と、
入口(41)、出口(42)、およびガスベント(43)を有する脱気装置(4)であって、前記脱気装置(4)の前記入口(41)は、管路(103)を介して前記第二のミキサー(20)の前記液体出口(22)に接続され、前記出口(42)は、ポンプ(32)が取り付けられた接続管路(45)を介して前記第一のミキサー(10)の前記スロート入口(13)に接続される、脱気装置(4)と、
前記ポンプ(32)と前記第一のミキサー(10)の前記スロート入口(13)との間の位置で接続管路(45)に接続された弁(50)と、を備える気体溶解システム。
【請求項2】
圧力弁(4)の開度は、前記圧力センサー(6)に感知される前記管路(101)内の液圧低下により制御され、前記圧力センサー(6)は、圧力低下の大きさに応じて前記圧力弁(4)に信号を送る、請求項1に記載の気体溶解システム。
【請求項3】
前記第一のミキサーおよび前記第二のミキサーのそれぞれはベンチュリ管である、請求項1に記載の気体溶解システム。
【請求項4】
前記第一のミキサーおよび前記第二のミキサーのそれぞれはベンチュリ管である、請求項2に記載の気体溶解システム。
【請求項5】
前記脱気装置(40)は気液分離器および気体分解器を備え、前記気体源(33)はオゾン源である、請求項4に記載の気体溶解システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の高い気体溶解速度を達成するためのダブルミキサーを用いた液体溶解システムに関する。
【背景技術】
【0002】
気体は水に溶けうるが、気体の溶解度は気体によって大きく異なる。大気圧および室温(摂氏25度)では、アンモニア(NH3)、二酸化炭素(CO2)、オゾン(O3)および酸素(O2)等の気体は、水1リットル当たりそれぞれ700L、1L、0.4Lおよび0.03Lの溶解度を有する。工業的な用途では、通常ベンチュリ管が気体および液体ミキサーとして採用され、このミキサーを通って気体が引き出されて液体と混合される。この方法では、液体中に引き出された気体は液体にのみ溶解される。気体のかなりの部分は液体に溶解しないままである。ベンチュリ管を通って処理される液体の気体濃度は、飽和液体の気体濃度よりもかなり低く、いくつかの用途においては、必要条件を満たさない可能性がある。
【0003】
したがって、高い気体濃度の液体を生成するためのシステムが必要とされている。
【0004】
上述の気体の中で、オゾン(O3)は、人間の病気を引き起こす多くの細菌、原生動物、およびウイルスを殺すため、排水および飲用水の消毒等の多くの工業用途においてますます重要になっている。
【0005】
オゾンの主な利点の一つは、有毒で腐食性の化学プロセスの代わりに、安全で、効果的で、環境に優しい代替物を提供することである。
【0006】
水の消毒に必要なオゾン濃度は、ウェハ洗浄に必要なオゾン濃度よりもはるかに低い。オゾンは既存の洗浄プロセスに代わる、より環境に優しい代替物を提供することができ、多くの場合、それらを上回る可能性があることが研究によって示されている。
【0007】
オゾン分子は非常に不安定であり、短い半減期を有する。したがって、以下に示す反応に従って、しばらくして元の酸素(O2)の形態に分解する。
【0008】
【数1】
【0009】
半減期が短いため、オゾンは生成された後すぐに崩壊し始める。水中でのオゾンの半減期は約30分であり、これは30分ごとにオゾン濃度が初期濃度の半分に減少することを意味する。
【0010】
オゾン濃度が高い液体は得難いため、オゾン濃度が高い液体を生成できるシステムもまた必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
本発明によるシステムは、液体の高い気体溶解速度を達成するために、二つの負圧吸引ミキサーを利用し、脱気装置および圧力弁を備える。二つのミキサーの一方は気体を引き出し液体と混合するために使用され、他方は原液と気体含有液体を混合するために使用される。圧力弁を制御することによって、システムは二つの投与液アウトプットを提供しうる。一方は高濃度投与液のアウトプットであり、他方は所望の濃度に希釈することのできる投与液のアウトプットである。
【0012】
気体分解器を脱気装置に加えることにより、本発明によるシステムは、有害で外部環境に放出できない気体を処理することができる。気体含有液体は、気体分解器を備えた脱気装置に導かれる。気体分解器は、分解媒体を含む。液体中の未溶解気体は分解媒体と反応して無害な気体となり、安全に外部環境に放出されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明によるダブルミキサーを備えた気体溶解システムのレイアウト。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の例示的な実施形態を、付属の図面を参照して詳細に説明する。本発明は、ダブルミキサーを使用した気体溶解システムに関する。その構成図を、図1に示す。システムは主に、二つのミキサー10、20、脱気装置40、圧力センサー6、圧力弁4、8、35、50、およびポンプ32を備える。
【0015】
図1に示すように、第一のミキサー10は、液体入口11、液体出口12、およびスロート入口13を備え、第一のミキサー10の液体入口11は、圧力弁4を介して原液源2に接続され、第一のミキサー10の液体出口12は、管路101を介して投与液アウトプット34に接続される。管路101には、圧力弁4に電気的に結合された圧力センサー6(図1に破線で示す)が取り付けられている。
【0016】
システム1は、液体入口21、液体出口22、およびスロート入口23を有する第二のミキサー20を備える。第二のミキサー20の液体入口21は、第一のミキサー10の液体出口12と圧力センサー6との間の位置で管路101に接続され、スロート入口23は、背圧弁8を介して気体源33に接続される。
【0017】
システム1は、入口41、出口42、およびガスベント43を有する脱気装置4を備える。脱気装置4の入口41は、管路103を介して第二のミキサー20の液体出口22に接続され、出口42は、ポンプ32が取り付けられた接続管路45を介して第一のミキサー10のスロート入口13に接続される。
【0018】
システム1はさらに、ポンプ32と第一のミキサー10のスロート入口13との間の位置で管路45に接続された弁50を備える。
【0019】
ミキサー10、20は、ベンチュリ管にすることができる。ベンチュリ管は、中央に狭いスロートを有する。流体(一次流れ)がチューブを通過する際、流体はスロートを通って流れるにつれて速度が増し、圧力が低下する。ベンチュリ管内の圧力低下を使用して、本発明では気体である第二の流体を、本発明では液体である一次流れに引き込むことができる。液体中に引き込まれた気体は、部分的にのみ液体に溶解する。液体中に引き込まれた気体のかなりの部分は液体に溶解しないままである。
【0020】
脱気装置40は、気液分離器を含む。液体が気液分離器を通って流れると、未溶解の気体は液体から分離され、環境中に放出される。脱気装置40は、システムで処理される気体がオゾンの場合、気体分解器をさらに含む。
【0021】
オゾンは環境に有害である。オゾンが環境中に存在すると、それは汚染物質そのものであり、森林や作物、および人間の健康に害を及ぼす可能性がある。気体分解器はオゾン分解媒体を含んでおり、オゾンが酸素に分解されることによって、オゾンの直接放出により引き起こされうる環境汚染を避けることができる。
【0022】
図1に示すように、原液源2からの液体は、圧力弁4を介して気体溶解システム1に導入される。圧力弁4は、圧力センサー6から所定レベル未満の圧力を示す信号を受信した時に開弁するが、これは以下に詳細に説明する。
【0023】
原液がシステム1に導入された後、原液は第一のミキサー10を通過し、その後、管路101の端部付近の弁35が閉鎖されているので、原液の一部は管路101ではなく管路102に沿って流れる。管路102に沿って流れる液体は、その後第二のミキサー20を通って流れる。ベンチュリ効果によって生じる圧力低下または負圧(すなわち、大気圧よりも低い圧力)のために、気体源33からの気体は、スロート入口23を介して第二のミキサー20に導入され、ミキサー20を通って流れる液体と混合する。第二のミキサー20から流出した液体は、溶解気体および未溶解気体を含み、その後、管路103を介して脱気装置40に導入される。脱気装置40は、液体から未溶解気体を分離しうる気液分離器を含む。未溶解気体は、外部環境に放出される。気体がオゾンの場合、未溶解オゾンは環境に有害であるため、外部環境に放出される前に処理される必要がある。オゾンが外部環境に放出される前に、オゾンは脱気装置40のオゾン分解媒体と反応し、酸素に分解され、その後外部環境に放出される。
【0024】
脱気装置40のアウトプット42は、ポンプ32を取り付けられた接続管路45を介して第一のミキサー10のスロート入口13に接続される。脱気装置40から流出した液体は溶解気体を含み、ポンプ32によってポンピングされ、第一のミキサー10に引き込まれる。第一のミキサー10に引き込まれた液体は、原液源2からの原液と混合され、投与液体アウトプット34として所望の濃度に希釈される。
【0025】
弁35が閉じているとき、管路101、102、103、および45は、閉ループを形成する。投与アウトプットがないので、圧力センサー6によって示される管路101内の圧力は一定のままである。ポンプ32の作用のために、この閉ループ内の液体は流れ続け、気体源33からの気体は第二のミキサー20に連続的に引き込まれる。液体中の気体濃度は、各サイクル後、飽和濃度に近いレベルに達するまで高くなっていく。弁50は、ポンプ32と第一のミキサー10のスロート入口13との間の位置で接続管路45に接続される。弁50を開けると気体濃度が高い液体が得られ、弁50は高濃度の投与液体アウトプットとして働く。
【0026】
圧力センサー6は、圧力弁4に電気的に結合される。圧力弁4の開度は、圧力センサー6に感知される管路101内の液圧低下により制御される。圧力センサー6は、圧力低下の大きさに応じて圧力弁4に信号を送るように構成されている。弁50が開くと、管路101内の圧力が低下する。圧力低下は圧力センサー6によって感知され、圧力センサー6は圧力弁4に信号を送り、開かせる。弁50が閉じると、管路101内の圧力は正常レベルまで上がり、圧力弁4は、圧力センサー6によって信号が送られて閉じる。
【0027】
当業者であれば、上記実施形態は例示することを意図したものであり、本発明を限定するものではないことを理解されたい。当業者であれば、本開示の原理および精神から逸脱することなく、本実施形態において種々の変更または修正を行うことができ、その範囲は特許請求の範囲およびそれらの均等物で定義されることを理解されたい。
【要約】      (修正有)
【課題】ダブルミキサーを使用した、液体中でより高い気体濃度を生成する気体溶解システムの提供。
【解決手段】第一のミキサー10、第二のミキサー20、脱気装置40、圧力弁4、圧力センサー6、およびポンプ32を含む気体溶解システムであって、液体は第二のミキサー20を通って流れ、そこに気体をスロート入口23にて同伴させることで、溶解気体および未溶解気体を含む液体を生成せしめ、脱気装置40にて未溶解気体はガスベント43により外部環境に放出され、溶解気体を有する液体は接続管路45を経て、スロート入口13にて第一のミキサー10で原液と希釈され、管路102を通じて第二のミキサー20を通るサイクルを繰り返すことにより高い気体濃度の液体が得られる気体溶解システム。
【選択図】図1
図1