特許第6670953号(P6670953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670953
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】減速機構付モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20200316BHJP
   H02K 5/00 20060101ALI20200316BHJP
   H02K 5/24 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   H02K7/116
   H02K5/00 A
   H02K5/24 A
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-558585(P2018-558585)
(86)(22)【出願日】2016年12月27日
(86)【国際出願番号】JP2016088975
(87)【国際公開番号】WO2018122984
(87)【国際公開日】20180705
【審査請求日】2019年1月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根岸 利広
(72)【発明者】
【氏名】城 雄太郎
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特許第2720011(JP,B2)
【文献】 特許第4732207(JP,B2)
【文献】 特開2009−210019(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/116
H02K 5/00
H02K 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸の回転を減速して出力する減速機構付モータであって、
前記回転軸に対して平行に設けられる出力軸と、
前記回転軸および前記出力軸を回転自在に収容するケースと、
前記ケースに設けられ、取付対象物にそれぞれ取り付けられる第1マウントおよび第2マウントと、
を備え、
前記第1マウントおよび前記第2マウントは、前記回転軸および前記出力軸のそれぞれに対して平行に設けられる同一平面上に設けられ、
前記ケースを、前記回転軸と前記出力軸とが重ならない方向から見たときに、
前記第1マウントは、前記回転軸を軸方向に延長して形成される回転軸延長領域上に設けられ、
前記第2マウントは、前記出力軸を軸方向に延長して形成される出力軸延長領域上に設けられている、
減速機構付モータ。
【請求項2】
請求項1記載の減速機構付モータにおいて、
前記第1マウントおよび前記第2マウントは、前記回転軸および前記出力軸の軸方向に互いにずれて設けられている、
減速機構付モータ。
【請求項3】
請求項1記載の減速機構付モータにおいて、
前記ケースに、前記出力軸と同軸上に配置され、前記出力軸の軸方向に突出されて前記取付対象物に支持される環状フランジが設けられている、
減速機構付モータ。
【請求項4】
請求項3記載の減速機構付モータにおいて、
前記環状フランジが、前記取付対象物の差し込み凹部に差し込まれている、
減速機構付モータ。
【請求項5】
請求項1記載の減速機構付モータにおいて、
前記出力軸は、車両の天井に設けられる開閉体を開閉駆動する、
減速機構付モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸の回転を減速して出力する減速機構付モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両には、電動サンルーフ装置や電動サンシェード装置等を搭載したものがある。電動サンルーフ装置や電動サンシェード装置等の駆動源には、天井の狭小スペースに搭載し得る小型でありながら大きな出力が可能な減速機構付モータが採用されている。このような減速機構付モータには、例えば、特許文献1に記載された技術がある。
【0003】
特許文献1に記載された減速機構付モータ装置(減速機構付モータ)は、電動モータと、電動モータの回転を減速する減速機構とを備えている。電動モータは、給電により回転される回転軸部材(回転軸)を備え、減速機構は、回転軸部材により回転されるウォームと、ウォームに噛み合わされたウォームホイールとを備えている。ウォームホイールの回転中心には出力軸が設けられ、当該出力軸と回転軸部材との軸方向は互いに直交する関係とされる。
【0004】
そして、ウォームおよびウォームホイールを収容するケースには、出力軸の径方向外側において、当該出力軸を囲うようにして3つのマウントが設けられている。これらの3つのマウントは、車両のルーフ(天井)に固定ボルトを介して固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/039234号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載された技術では、出力軸を囲うようにして3つのマウントが分散して配置されている。したがって、減速機構付モータの天井への組み付け作業が面倒である上に、固定ボルトの締結作業を頭上で行う必要があるため、作業者への負担が大きかった。そこで、例えば、固定箇所を2箇所に減らすことも考えられるが、固定箇所を単に減らしたのでは、減速機構付モータの作動時において、当該減速機構付モータの姿勢が大きく変化してしまい、ひいては騒音が大きくなるという問題を生じ得る。
【0007】
本発明の目的は、固定箇所を減らすことができ、かつ作動時の姿勢変化が抑えられる減速機構付モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様では、回転軸の回転を減速して出力する減速機構付モータであって、前記回転軸に対して平行に設けられる出力軸と、前記回転軸および前記出力軸を回転自在に収容するケースと、前記ケースに設けられ、取付対象物にそれぞれ取り付けられる第1マウントおよび第2マウントと、を備え、前記第1マウントおよび前記第2マウントは、前記回転軸および前記出力軸のそれぞれに対して平行に設けられる同一平面上に設けられ、前記ケースを、前記回転軸と前記出力軸とが重ならない方向から見たときに、前記第1マウントは、前記回転軸を軸方向に延長して形成される回転軸延長領域上に設けられ、前記第2マウントは、前記出力軸を軸方向に延長して形成される出力軸延長領域上に設けられている。
【0009】
本発明の他の態様では、前記第1マウントおよび前記第2マウントは、前記回転軸および前記出力軸の軸方向に互いにずれて設けられている。
【0010】
本発明の他の態様では、前記ケースに、前記出力軸と同軸上に配置され、前記出力軸の軸方向に突出されて前記取付対象物に支持される環状フランジが設けられている。
【0011】
本発明の他の態様では、前記環状フランジが、前記取付対象物の差し込み凹部に差し込まれている。
【0012】
本発明の他の態様では、前記出力軸は、車両の天井に設けられる開閉体を開閉駆動する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1マウントおよび第2マウントを備え、これらの第1,第2マウントを、回転軸および出力軸のそれぞれに対して平行に設けられる同一平面上に設け、ケースを、回転軸と出力軸とが重ならない方向から見たときに、第1マウントが回転軸を軸方向に延長して形成される回転軸延長領域上に設けられ、第2マウントが出力軸を軸方向に延長して形成される出力軸延長領域上に設けられている。
【0014】
このように、固定箇所を2箇所にして、回転軸および出力軸が回転してケースを捩ろうとする反力が作用した場合でも、第1マウントが回転軸延長領域上に設けられ、第2マウントが出力軸延長領域上に設けられているので、ケースの姿勢変化やがたつき、さらには歪み等を効果的に抑えることができる。
【0015】
また、第1マウントが回転軸延長領域上に設けられ、第2マウントが出力軸延長領域上に設けられているので、回転軸および出力軸の軸方向と交差する方向にケースが大型化することを抑制することができる。よって、車両の天井に搭載された電動サンシェード装置等の用途で使用することで小型化の実現が可能になり、開閉体の開口量を稼ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】車両のルーフに搭載された電動サンシェード装置の概要を示す概略図である。
図2図1の電動サンシェード装置に用いられる減速機構付モータの斜視図である。
図3図2の減速機構付モータの平面図である。
図4図3のA矢視図である。
図5図3のB矢視図である。
図6図3のC−C線に沿う断面図である。
図7図3のD−D線に沿う断面図である。
図8】減速機構付モータの駆動系のみを示す斜視図である。
図9】第2フランジ部の取付ブラケットに対する係合状態を示す斜視図である。
図10】第1ヘリカルギヤの装着手順(その1)を示す斜視図である。
図11】第1ヘリカルギヤの装着手順(その2)を示す斜視図である。
図12】ギヤケースに設けられる逃げ部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は車両のルーフに搭載された電動サンシェード装置の概要を示す概略図を、図2図1の電動サンシェード装置に用いられる減速機構付モータの斜視図を、図3図2の減速機構付モータの平面図を、図4図3のA矢視図を、図5図3のB矢視図を、図6図3のC−C線に沿う断面図を、図7図3のD−D線に沿う断面図を、図8は減速機構付モータの駆動系のみを示す斜視図を、図9は第2フランジ部の取付ブラケットに対する係合状態を示す斜視図を、図10は第1ヘリカルギヤの装着手順(その1)を示す斜視図を、図11は第1ヘリカルギヤの装着手順(その2)を示す斜視図を、図12はギヤケースに設けられる逃げ部を示す斜視図をそれぞれ示している。
【0019】
図1に示される電動サンシェード装置10は、車両のルーフ(取付対象物,天井)に設けられたガラスルーフ(図示せず)の車室内側に設けられ、車室内への太陽光の通過を和らげる日除けとして機能する。電動サンシェード装置10は、車両のルーフに固定される一対のガイドレール11と、ガイドレール11の長手方向に移動される開閉体としてのサンシェード12(図中網掛部分)と、ガイドレール11の前方側(図中右側)に配置された駆動機構13と、を備えている。
【0020】
一対のガイドレール11は、互いに所定間隔となるよう平行に配置され、互いの対向面には摺動溝11a(片側のみ示す)がそれぞれ設けられている。これらの摺動溝11aには、サンシェード12の幅方向両側に設けられた摺動部材12a(片側のみ示す)が入り込んで摺動する。ここで、サンシェード12は布などによりシート状に形成され、ガイドレール11の後方側(図中左側)に移動されて「開状態」となり、ガイドレール11の前方側に移動されて「閉状態」となる。すなわち、図1に示される状態は、電動サンシェード装置10が「開状態」であることを示している。
【0021】
駆動機構13は、一対のガイドレール11の間に配置された減速機構付モータ20と、一端部が減速機構付モータ20の出力軸70に設けられた第1,第2連結部72,73(図7参照)に連結され、他端部が摺動溝11a内に配置された一対の駆動軸14と、摺動溝11a内に設けられ、駆動軸14の回転により摺動部材12aを移動させる駆動チェーン15(片側のみ示す)と、を備えている。そして、車室内の操作スイッチ(図示せず)を操作して減速機構付モータ20を正逆回転させることで、駆動軸14が正逆回転される。これにより、駆動チェーン15が駆動されて摺動部材12a(サンシェード12)が前後方向に移動される。つまり、減速機構付モータ20の出力軸70は、サンシェード12を開閉駆動するようになっている。
【0022】
図2および図3に示されるように、減速機構付モータ20は、モータ部30とギヤ部40とを備えている。
【0023】
モータ部30は、鋼板をプレス加工等することで有底筒状に形成されたヨーク31を備えている。具体的には、ヨーク31は、図5に示されるように、ヨーク31の軸心を中心に湾曲された一対の円弧部31aと、これらの円弧部31aに連なる互いに平行とされた一対の平板部31bと、段状の底部31cと、を備えている。これにより、ヨーク31の軸方向と交差する方向に沿う断面形状は、略小判形状に形成されている。
【0024】
また、ヨーク31の軸方向に沿う底部31c側とは反対側で、かつ一対の円弧部31aに対応した部分には、それぞれ径方向外側に膨出されたヨークフランジ31dが設けられている。そして、一対のヨークフランジ31dは、一対の固定ねじS1により、ギヤケース41のヨーク固定部42a(図2参照)に固定されている。すなわち、モータ部30およびギヤ部40は、一対の固定ねじS1により、互いに強固に連結されている。
【0025】
ヨーク31の径方向内側には、図8に示されるような4つのマグネット(永久磁石)32が装着されている。これらの永久磁石32は、断面形状が略円弧形状に形成され、それぞれの永久磁石32の径方向内側には、所定の隙間(エアギャップ)を介してアーマチュア(回転子)33が回転自在に収容されている。
【0026】
アーマチュア33の回転中心には、アーマチュア軸(回転軸)34が設けられている。アーマチュア軸34の軸方向一側(図8中右側)は、ヨーク31の底部31cに装着される第1ラジアル軸受B1によって回転自在に支持されている。これによりアーマチュア33は、ヨーク31の径方向内側で回転自在となっている。なお、第1ラジアル軸受B1には、所謂「メタル軸受」と呼ばれるすべり軸受が採用されている。
【0027】
アーマチュア軸34の周囲には、複数の鋼板を積層してなるアーマチュアコア35が固定されている。アーマチュアコア35には、図示しない複数のスロット(例えば10個)が設けられ、これらのスロットには、複数のコイル36(詳細図示せず)が所定の巻き方および巻き数で巻装されている。
【0028】
また、アーマチュア軸34には、アーマチュアコア35に隣接するようにして、複数のセグメント37aを備えたコンミテータ37が固定されている。そして、複数のセグメント37aには、複数のコイル36のコイル端(図示せず)がそれぞれ電気的に接続されている。
【0029】
さらに、コンミテータ37の周囲には、複数のブラシ(図示せず)が摺接するようになっている。そして、複数のブラシおよびコンミテータ37を介して、それぞれのコイル36に所定のタイミングで駆動電流が供給される。これにより、アーマチュア33に電磁力が発生して、アーマチュア33は所定の回転方向に所定の回転速度で回転される。
【0030】
このように、本実施の形態におけるモータ部30では、ブラシ付きの電動モータを採用している。ただし、モータ部30としては、ブラシ付きの電動モータに替えて、ブラシレスの電動モータを採用することもできる。
【0031】
図2ないし図7に示されるように、ギヤ部40は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することで、中空の略箱形状に形成されたギヤケース(ケース)41を備えている。ギヤケース41は、天井壁部41aと、底壁部41bと、側壁部41cと、を備えている。そして、これらの天井壁部41a,底壁部41b,側壁部41cに囲まれるようにして、ギヤケース41には、ウォーム軸収容部42,中間軸収容部43,出力軸収容部44が設けられている。
【0032】
ウォーム軸収容部42の内部には、ウォーム軸(回転軸)50(図8参照)が回転自在に収容され、その長手方向に沿うヨーク31側には、ヨーク固定部42aが設けられている。このヨーク固定部42aには、ヨーク31に設けられた一対のヨークフランジ31dが、一対の固定ねじS1によりそれぞれ強固に固定されている。つまり、ウォーム軸収容部42の開口部分(図示せず)は、ヨーク31によって閉塞されている。
【0033】
中間軸収容部43は、ウォーム軸収容部42の長手方向に沿うヨーク31側とは反対側に配置され、その内部には、中間軸60(図8参照)が回転自在に収容されている。中間軸収容部43は、図6に示されるように、ウォーム軸50の延在方向と交差する方向、つまり減速機構付モータ20の長手方向と交差する短手方向に延在されている。そして、中間軸収容部43の長手方向一側(図6中右側)には第1開口部43aが形成され、当該第1開口部43aは、鋼材よりなる第1カバー部材43bによって閉塞されている。ここで、第1カバー部材43bは、本発明におけるケースの一部を構成し、略正方形形状に形成されている。第1カバー部材43bの四隅は、4つの固定ねじS2(図2参照)により、ギヤケース41に強固に固定されている。
【0034】
なお、中間軸60の軸方向には、出力軸70から比較的大きな反力が作用する。そのため、第1カバー部材43bを鋼材製として、中間軸60の軸方向に対する固定強度を十分に確保している。これにより、中間軸60が軸方向に移動されるのを確実に防止して、ひいては減速機構付モータ20の作動音(メカノイズ)を小さくすることができる。特に、電動サンシェード装置10においては、運転者や乗員の頭上に配置されるため、静粛性向上は解決すべき課題のうちの1つである。
【0035】
出力軸収容部44は、減速機構付モータ20の短手方向に沿う第1カバー部材43b側とは反対側に配置され、その内部には、出力軸70(図8参照)が回転自在に収容されている。出力軸収容部44は、図7に示されるように、アーマチュア軸34の延在方向に延在されている。そして、出力軸収容部44の長手方向一側(図7中右側)には第2開口部44aが形成され、当該第2開口部44aは、樹脂材料よりなる第2カバー部材44bによって閉塞されている。ここで、第2カバー部材44bは、本発明におけるケースの一部を構成し、略正方形形状に形成されている。第2カバー部材44bの四隅は、4つの固定ねじS3(図2参照)により、ギヤケース41に強固に固定されている。
【0036】
なお、出力軸70の軸方向両側には、第1,第2連結部72,73を介して駆動軸14(図1参照)がそれぞれ連結されているため、出力軸70には中間軸60のように軸方向に大きな反力が作用しない。そのため、第2カバー部材44bにおいては、第1カバー部材43bほどの剛性を必要としない。よって、減速機構付モータ20の軽量化を優先して、第2カバー部材44bは樹脂製とされる。
【0037】
図2および図3に示されるように、ギヤケース41の短手方向(図中上下方向)に沿うウォーム軸収容部42側で、かつギヤケース41の長手方向(図中左右方向)に沿うウォーム軸収容部42のヨーク固定部42a側とは反対側には、第1マウント固定部45が一体に設けられている。第1マウント固定部45は、ギヤケース41の長手方向に沿うウォーム軸収容部42よりも、ヨーク固定部42a側とは反対側に突出されており、減速機構付モータ20の長手方向に沿うヨーク31側とは反対側の端部に配置されている。
【0038】
第1マウント固定部45には、天然ゴム等の弾性材料よりなる第1マウント45aが装着されている。第1マウント45aは、略筒状に形成され、その中心部分には、減速機構付モータ20を車両のルーフに固定するための固定ボルト(図示せず)が挿通されるようになっている。
【0039】
また、ギヤケース41の短手方向に沿う出力軸収容部44側で、かつギヤケース41の長手方向に沿う出力軸収容部44のヨーク固定部42a側には、第2マウント固定部46が一体に設けられている。第2マウント固定部46は、ギヤケース41の長手方向に沿う出力軸収容部44よりも、ヨーク固定部42a側に突出されており、減速機構付モータ20の長手方向に沿う略中央部に配置されている。そして、第2マウント固定部46には、第1マウント45aと同じ構造の第2マウント46aが装着されている。
【0040】
このように、減速機構付モータ20は、第1マウント45aおよび第2マウント46aを車両のルーフに取り付けることにより、第1マウント45aおよび第2マウント46aを介して車両のルーフに弾性支持される。これにより、減速機構付モータ20の振動が車両に伝達され難くなっている。
【0041】
以下、第1マウント45aおよび第2マウント46aのギヤケース41に対する位置関係について、図3および図7を用いてさらに詳細に説明する。
【0042】
まず、図7に示されるように、第1マウント45aおよび第2マウント46aは、いずれも減速機構付モータ20の厚み方向(図7中上下方向)に沿う一側(下側)に配置され、アーマチュア軸34および出力軸70のそれぞれに対して平行な平面SF上に配置されている。つまり、第1マウント45aおよび第2マウント46aは、互いに同一平面上に配置されている。
【0043】
また、図3に示されるように、第1マウント45aおよび第2マウント46aは、アーマチュア軸34(ウォーム軸50)および出力軸70の軸方向と交差(直交)する方向に、それぞれずれて配置されている。すなわち、第1マウント45aおよび第2マウント46aは、減速機構付モータ20の短手方向(図3中上下方向)に互いに所定間隔を持って配置されている。
【0044】
さらに、図3に示されるように、第1マウント45aおよび第2マウント46aは、アーマチュア軸34(ウォーム軸50)および出力軸70の軸方向に互いにずれて配置されている。すなわち、第1マウント45aおよび第2マウント46aは、減速機構付モータ20の長手方向(図3中左右方向)に互いに所定間隔を持って配置されている。
【0045】
そして、図3に示されるように、減速機構付モータ20(ギヤケース41)を、アーマチュア軸34(ウォーム軸50)と出力軸70とが重ならない方向、つまり、アーマチュア軸34(ウォーム軸50)と出力軸70とが重なる方向と交差(直交)する方向から見たときに、第1マウント45aは、アーマチュア軸34の軸線上に配置されている。
【0046】
より具体的には、第1マウント45aは、アーマチュア軸34を軸方向に延長して形成されるアーマチュア軸延長領域(回転軸延長領域)AR1(図中網掛け部分)上におけるウォーム軸収容部42の近傍に配置されている。一方、第2マウント46aは、出力軸70の軸線上に配置されている。より具体的には、第2マウント46aは、出力軸70を軸方向に延長して形成される出力軸延長領域AR2(図中網掛け部分)上における出力軸収容部44の近傍に配置されている。
【0047】
ここで、アーマチュア軸延長領域AR1は、減速機構付モータ20のヨーク31からギヤケース41側に向けて延在され、出力軸延長領域AR2は、減速機構付モータ20のギヤケース41からヨーク31側に向けて延在されている。
【0048】
これにより、車両のルーフへの固定箇所が2箇所であるにも関わらず、第1マウント45aおよび第2マウント46aにより、減速機構付モータ20をバランス良く固定することができる。より具体的には、第1マウント45aおよび第2マウント46aは、アーマチュア軸34および出力軸70の軸線上にそれぞれ配置されているので、アーマチュア軸34および出力軸70が回転して、ギヤケース41に対して当該ギヤケース41を捩ろうとする反力が作用しても、ギヤケース41のがたつきや歪みを効果的に抑えることができる。
【0049】
図3および図7に示されるように、出力軸収容部44および第2カバー部材44bには、出力軸70の軸方向に突出された第1フランジ部44cおよび第2フランジ部44dがそれぞれ設けられている。これらの第1,第2フランジ部44c,44dは、環状に形成され、本発明における環状フランジを構成している。第1,第2フランジ部44c,44dは、出力軸70と同軸上に配置されている。そして、第1,第2フランジ部44c,44dは、図9に示されるように、減速機構付モータ20を、車両のルーフの所定箇所に位置決めするために設けられている。具体的には、第1,第2フランジ部44c,44dは、車両のルーフ内に設けられた取付ブラケット(取付対象物)BRの差し込み凹部DPに差し込まれて支持されるようになっている。
【0050】
これにより、ルーフ内の狭小スペースに対する減速機構付モータ20の設置作業を容易に行うことができる。ここで、図9においては、第2フランジ部44d側のみが示されているが、第1フランジ部44c側にも、図9に示されるものと同様の取付ブラケットBRが設けられている。
【0051】
ウォーム軸収容部42の内部には、ウォーム軸50が回転自在に収容されている。ウォーム軸50は、図8に示されるように、アーマチュア軸34と同軸上に配置され、連結部材51を介してアーマチュア軸34により回転されるようになっている。すなわち、アーマチュア軸34とウォーム軸50とは、連結部材51により一体回転可能に連結されている。
【0052】
ウォーム軸50の長手方向基端側(図8中右側)には、連結部材51に近接して環状のセンサマグネットMGが設けられている。また、センサマグネットMGの近傍には、ホールセンサ(図示せず)が設けられ、これによりホールセンサは、センサマグネットMGの回転に伴い矩形波信号を出力する。そして、図示しないコントローラによりホールセンサからの矩形波信号が検出されて、これによりコントローラはウォーム軸50の回転状態を把握して、アーマチュア軸34の回転状態を制御するようになっている。
【0053】
ウォーム軸50の長手方向に沿うセンサマグネットMG側とは反対側には、第1ウォーム52(詳細図示せず)が一体に設けられている。第1ウォーム52は、鋼材よりなるウォーム軸50に転造加工等により形成される。
【0054】
第1ウォーム52の軸方向両側には、第2ラジアル軸受B2および第3ラジアル軸受B3がそれぞれ設けられている。これらの第2,第3ラジアル軸受B2,B3は、ウォーム軸収容部42の内部に固定されており、これによりウォーム軸50は、ウォーム軸収容部42の内部でがたつくこと無くスムーズに回転可能とされる。なお、第2,第3ラジアル軸受B2,B3についても、第1ラジアル軸受B1と同様に、所謂「メタル軸受」と呼ばれるすべり軸受が採用されている。
【0055】
図6および図8に示されるように、中間軸収容部43の内部には、中間軸60が回転自在に収容されている。中間軸60は、鋼材により形成され、ウォーム軸50と交差する方向に延在されている。中間軸60の軸方向一側(図6中右側)には、第1ボールベアリング61が固定されている。第1ボールベアリング61は、インナーレース61a,アウターレース61bおよびこれらの間に転動自在に設けられる複数の鋼球61cを備えている。
【0056】
そして、インナーレース61aは、中間軸60の軸方向一側に圧入により固定され、かつワッシャWおよび第1スナップリングSR1により抜け止めされている。また、アウターレース61bは、図6に示されるように、ギヤケース41と第1カバー部材43bとの間に挟持されている。すなわち、第1ボールベアリング61は、ギヤケース41および第1カバー部材43bに支持されている。これにより、中間軸60は、中間軸収容部43の内部において、その軸方向への移動が規制された状態とされ、かつスムーズに回転可能とされる。
【0057】
このように、中間軸60は、第1ボールベアリング61により軸方向への移動が規制された状態となるので、中間軸60の軸方向両側には、当該中間軸60を軸方向から支持するスラストベアリング等を設ける必要が無い。これにより、ギヤケース41の中間軸60の軸方向に沿う寸法(ギヤケース41の短手方向に沿う寸法)が大きくなることが抑えられる。言い換えれば、減速機構付モータ20は、部品点数の削減および小型化を両立している。
【0058】
中間軸60の軸方向一側で、かつ第1ボールベアリング61の近傍には、プラスチック等の樹脂材料よりなる第1ヘリカルギヤ62が設けられている。この第1ヘリカルギヤ62には、第1ウォーム52が噛み合わされている。すなわち、第1ウォーム52および第1ヘリカルギヤ62は、ウォーム減速機よりなる第1減速機構SD1を構成している。具体的には、第1減速機構SD1は、アーマチュア軸34(ウォーム軸50)の回転を所定の回転速度にまで減速し、減速して高トルク化された回転力を中間軸60から出力するようになっている。
【0059】
また、中間軸60の軸方向他側(図6中左側)には、第2ウォーム63(詳細図示せず)が一体に設けられている。第2ウォーム63は、鋼材よりなる中間軸60に転造加工等により形成される。
【0060】
さらに、中間軸60の軸方向に沿う第1ヘリカルギヤ62と第2ウォーム63との間には、第4ラジアル軸受B4が装着されている。この第4ラジアル軸受B4についても、第1ラジアル軸受B1と同様に、所謂「メタル軸受」と呼ばれるすべり軸受が採用されている。そして、この第4ラジアル軸受B4は、図8に示されるように、減速機構付モータ20を、ウォーム軸50の第1ウォーム52と、出力軸70の第2ヘリカルギヤ71とが重ならない方向から見たときに、中間軸60の軸方向に沿う第1ウォーム52と第2ヘリカルギヤ71との間に設けられている。より具体的には、第4ラジアル軸受B4は、図6に示されるように、第1ウォーム52と第2ヘリカルギヤ71との間の隙間領域AR3に配置されている。
【0061】
図7および図8に示されるように、出力軸収容部44の内部には、出力軸70が回転自在に収容されている。出力軸70は、鋼材により形成され、中間軸60と交差する方向に延在されている。出力軸70の軸方向中央部には、第2ヘリカルギヤ71が一体に設けられている。この第2ヘリカルギヤ71には、第2ウォーム63が噛み合わされている。すなわち、第2ウォーム63および第2ヘリカルギヤ71は、ウォーム減速機よりなる第2減速機構SD2を構成している。具体的には、第2減速機構SD2は、中間軸60の回転を所定の回転速度にまで減速し、減速して高トルク化された回転力を出力軸70から出力するようになっている。
【0062】
このように、減速機構付モータ20においては、2段のウォーム減速機(第1減速機構SD1および第2減速機構SD2)のみを備えている。
【0063】
出力軸70は、アーマチュア軸34およびウォーム軸50に対して平行となっており、その軸方向両側には、第1連結部72および第2連結部73が設けられている。具体的には、第1連結部72は、出力軸70の軸方向に沿うヨーク31側に設けられ、第2連結部73は、出力軸70の軸方向に沿うヨーク31側とは反対側(第1マウント45a側)に設けられている。
【0064】
そして、これらの第1,第2連結部72,73には、図9に示されるように、一対の駆動軸14が動力伝達可能にそれぞれ連結される。このように、出力軸70の軸方向両側に駆動軸14がそれぞれ連結されるので、出力軸70には、当該出力軸70を軸方向に移動させようとする反力が掛からない。
【0065】
出力軸70の軸方向一側(図7中右側)には、第2ボールベアリング74が固定されている。第2ボールベアリング74は、インナーレース74a,アウターレース74bおよびこれらの間に転動自在に設けられる複数の鋼球74cを備えている。
【0066】
そして、インナーレース74aは、出力軸70の軸方向一側に圧入により固定され、かつ第3スナップリングSR3により抜け止めされている。また、アウターレース74bは、図7に示されるように、ギヤケース41と第2カバー部材44bとの間に挟持されている。すなわち、第2ボールベアリング74は、ギヤケース41および第2カバー部材44bに支持されている。これにより、出力軸70は、出力軸収容部44の内部において、その軸方向への移動が規制された状態とされ、かつスムーズに回転可能とされる。
【0067】
さらに、出力軸70の軸方向他側(図7中左側)には、第5ラジアル軸受B5が装着されている。この第5ラジアル軸受B5についても、第1ラジアル軸受B1と同様に、所謂「メタル軸受」と呼ばれるすべり軸受が採用されている。第5ラジアル軸受B5の外周部分は、ギヤケース41の第1フランジ部44cの近傍に固定されている。
【0068】
ここで、第1ヘリカルギヤ62は、プラスチック等の樹脂材料よりなり、鋼材の中間軸60に強固に固定する必要がある。そこで、本実施の形態に係る減速機構付モータ20では、図10および図11に示されるように、第1ヘリカルギヤ62の中間軸60への固定構造に工夫を施している。
【0069】
中間軸60には、第1ヘリカルギヤ62が装着されるギヤ装着部64が設けられている。そして、ギヤ装着部64の軸方向両側には、それぞれ一対の第1,第2キー溝64a,64bが形成されている。一対の第1キー溝64aは、ギヤ装着部64の軸方向に沿う第2ウォーム63側にそれぞれ設けられ、かつギヤ装着部64の周方向に180°間隔となるように対向配置されている。一方、一対の第2キー溝64bは、ギヤ装着部64の軸方向に沿う第2ウォーム63側とは反対側にそれぞれ設けられ、かつギヤ装着部64の周方向に180°間隔となるように対向配置されている。なお、一対の第1キー溝64aと一対の第2キー溝64bとは、中間軸60の軸方向に真っ直ぐに並べられている。また、図10および図11においては、一方の第1,第2キー溝64a,64bのみが示されている。
【0070】
一対の第1キー溝64aには、一対の第1キー65a(図10参照)が差し込まれるようになっており、一対の第2キー溝64bには、一対の第2キー65b(図11参照)が差し込まれるようになっている。そして、これらの第1,第2キー65a,65bは、それぞれ鋼材によって略直方体形状に形成され、第1,第2キー溝64a,64bに差し込んだ状態のもとで、その一部がギヤ装着部64の径方向外側に突出されるようになっている。すなわち、第1,第2キー溝64a,64bの深さ寸法よりも、第1,第2キー65a,65bの高さ寸法の方が大きくなっている。
【0071】
一対の第1キー65aおよび一対の第2キー65bには、鋼材よりなる環状プレート66がそれぞれ装着されるようになっている。具体的には、環状プレート66は、本体部66aと、本体部66aの径方向内側に設けられた一対の係合凹部66bと、本体部66aの径方向外側に設けられた4つの係合凸部66cと、を備えている。そして、一対の係合凹部66bに、一対の第1,第2キー65a,65bがそれぞれ入り込むようになっている。よって、環状プレート66は、中間軸60に対して、相対回転不能に強固に固定される。
【0072】
そして、第1ヘリカルギヤ62の軸方向両側には、環状プレート66を収容するプレート収容部62aがそれぞれ設けられており、このプレート収容部62aは、第1ヘリカルギヤ62の軸方向に窪んで設けられている。これらのプレート収容部62aに環状プレート66がそれぞれ収容されることで、第1ヘリカルギヤ62は、一対の環状プレート66と一体回転するようになっている。なお、図10および図11においては、一方側のプレート収容部62aのみが示されている。
【0073】
より具体的には、第1ヘリカルギヤ62の軸方向両側に設けられるプレート収容部62aには、環状プレート66の4つの係合凸部66cがそれぞれ収容される4つの収容凹部62bが設けられている。これにより、一対の環状プレート66の4つの係合凸部66c(合計8つの係合凸部66c)から、中間軸60の回転力が第1ヘリカルギヤ62に伝達される。このように、中間軸60の回転力を、合計8つの係合凸部66cから分散された状態で第1ヘリカルギヤ62に伝達することができるので、樹脂製の第1ヘリカルギヤ62の一部に応力が集中して損傷されること等が確実に防止され、より大きな回転力を第1ヘリカルギヤ62に伝達することが可能となる。
【0074】
なお、中間軸60に対する第1ヘリカルギヤ62の組み立て手順について説明すると、まず、図10の矢印(1)に示されるように、一対の第1キー65aを一対の第1キー溝64aにそれぞれ装着する。次いで、矢印(2)に示されるように、一方の環状プレート66を、第1ヘリカルギヤ62の軸方向一側(第2ウォーム63側)のプレート収容部62aに装着する。このとき、4つの係合凸部66cを、4つの収容凹部62bにそれぞれ収容させるようにする。
【0075】
その後、矢印(3)に示されるように、一方の環状プレート66が装着された第1ヘリカルギヤ62を、ギヤ装着部64に装着する。このとき、一対の係合凹部66bに、一対の第1キー65aが入り込むようにする。
【0076】
次いで、図11の矢印(4)に示されるように、一対の第2キー65bを一対の第2キー溝64bにそれぞれ装着する。その後、矢印(5)に示されるように、他方の環状プレート66を、ギヤ装着部64に装着する。このとき、一対の係合凹部66bに、一対の第2キー65bが入り込むようにする。また、第1ヘリカルギヤ62の軸方向他側(第2ウォーム63側とは反対側)のプレート収容部62a(図示せず)に、他方の環状プレート66が収容されるようにする。このとき、4つの係合凸部66cを、4つの収容凹部62bにそれぞれ収容させるようにする。
【0077】
次いで、矢印(6)に示されるように、第2スナップリングSR2を中間軸60に装着する。具体的には、中間軸60の軸方向に沿う第2ウォーム63側とは反対側に設けられた環状溝67に、第2スナップリングSR2を嵌めるようにする。これにより、第2スナップリングSR2により第1ヘリカルギヤ62の抜け止めがなされて、第1ヘリカルギヤ62の中間軸60への組み付け(固定)が完了する。
【0078】
ここで、本実施の形態に係る減速機構付モータ20では、上述したように小型化が図られているため、さらに、以下に示すような工夫を施している。
【0079】
具体的には、図5および図12に示されるように、ヨーク31のヨークフランジ31dを、ギヤケース41のヨーク固定部42aに対して、容易に位置決めできるようにした点、および出力軸70の第1連結部72の近傍に、駆動軸14(図1および図9参照)を容易に連結できるようにスペースSPを確保した点を工夫している。
【0080】
図5および図12に示されるように、ヨーク固定部42aのヨークフランジ31dが突き当てられる突き当て面には、合計3つの第1,第2,第3位置決め突起42b,42c,42dが設けられている。これらの第1,第2,第3位置決め突起42b,42c,42dは、ヨーク31側に突出されており、突出方向と交差する方向に沿う断面形状は略四角形とされる。
【0081】
第1,第2,第3位置決め突起42b,42c,42dのうちの第1位置決め突起42bは、ヨーク31の一対の円弧部31aのうちの一方の円弧部31a(第1カバー部材43b側)に対応して設けられ、円弧部31aの頂部Tに対応する箇所に配置されている。これに対し、その他の第2,第3位置決め突起42c,42dは、ヨーク31の一対の円弧部31aのうちの他方の円弧部31a(出力軸70側)に対応して設けられ、円弧部31aの頂部Tから一対の平板部31b側にずれた箇所にそれぞれ配置されている。
【0082】
そして、これらの第1,第2,第3位置決め突起42b,42c,42dは、一対のヨークフランジ31dにそれぞれ設けられた第1,第2,第3位置決め凹部31e,31f,31gに、それぞれ入り込んでいる。これにより、ヨーク31をギヤケース41に対して正規の位置に位置決めすることができ、モータ部30とギヤ部40との組み付け作業性(連結作業性)を向上させることができる。
【0083】
ここで、ヨーク31とギヤケース41とを固定する一対の固定ねじS1は、第1,第2,第3位置決め凹部31e,31f,31gを避けた位置に配置されている。これにより、第1,第2,第3位置決め突起42b,42c,42dおよび第1,第2,第3位置決め凹部31e,31f,31gからなる「位置決め機構」を、比較的大きくすることができる。よって、組み付け作業性(連結作業性)を向上させつつ、位置決め時(仮固定時)の固定強度を向上させることができる。
【0084】
また、第2位置決め突起42cと第3位置決め突起42dとの間には、窪み部42eが形成されている。この窪み部42eは、ギヤケース41に設けられ、アーマチュア33に向けて窪んでいる。また、第1連結部72の近傍(略真横)に配置されている。これにより、ギヤケース41の周囲の特に込み入った第1連結部72の周囲の部分に、所定のスペースSPを設けることができる。これにより、第1連結部72に対する駆動軸14の連結作業を、容易に行えるようになる。
【0085】
言い換えれば、第2,第3位置決め突起42c,42dを、それぞれ円弧部31aの頂部Tから一対の平板部31b側(図5中上下)にずらして配置することで、円弧部31aの頂部Tに対応したギヤケース41の部分を薄肉にすることができる。したがって、ギヤケース41に出力軸70の第1連結部72をより近接配置することができる。よって、減速機構付モータ20のさらなる小型化と、駆動軸14の連結作業性の向上と、を両立させることができる。また、減速機構付モータ20の搭載スペースを狭めることが可能になるため、その狭めたスペースを開閉体の開口量にあてることができる。よって、開閉体の開口量を稼ぐことが可能になる。
【0086】
以上詳述したように、本実施の形態によれば、第1マウント45aおよび第2マウント46aを備え、これらの第1,第2マウント45a,46aを、アーマチュア軸34(ウォーム軸50)および出力軸70のそれぞれに対して平行に設けられる同一平面上に設け、ギヤケース41を、アーマチュア軸34(ウォーム軸50)と出力軸70とが重ならない方向から見たときに、第1マウント45aがアーマチュア軸34を軸方向に延長して形成されるアーマチュア軸延長領域AR1上に設けられ、第2マウント46aが出力軸70を軸方向に延長して形成される出力軸延長領域AR2上に設けられている。
【0087】
このように、固定箇所を2箇所にして、アーマチュア軸34(ウォーム軸50)および出力軸70が回転してギヤケース41を捩ろうとする反力が作用した場合でも、第1マウント45aがアーマチュア軸延長領域AR1上に設けられ、第2マウント46aが出力軸延長領域AR2上に設けられているので、ギヤケース41の姿勢変化やがたつき、さらには歪み等が効果的に抑えられる。
【0088】
また、第1マウント45aがアーマチュア軸延長領域AR1上に設けられ、第2マウント46aが出力軸延長領域AR2上に設けられているので、アーマチュア軸34(ウォーム軸50)および出力軸70の軸方向と交差する方向にギヤケース41が大型化することを抑制することができる。
【0089】
さらに、本実施の形態によれば、第1マウント45aおよび第2マウント46aは、アーマチュア軸34(ウォーム軸50)および出力軸70の軸方向に互いにずれて設けられているので、減速機構付モータ20をその長手方向に沿ってバランス良く固定することができる。よって、減速機構付モータ20の姿勢変化をより抑制することができ、ひいてはより静粛性を向上させることができる。
【0090】
また、本実施の形態によれば、出力軸収容部44および第2カバー部材44bに、出力軸70と同軸上に配置され、出力軸70の軸方向に突出されて取付ブラケットBRの差し込み凹部DPに差し込まれて支持される第1フランジ部44cおよび第2フランジ部44dが設けられている。これにより、ルーフの所定箇所に減速機構付モータ20を位置決めできるので、減速機構付モータ20の設置作業を容易に行うことが可能となる。
【0091】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態では、車両のルーフに設けられる開閉体としてのサンシェード12(図1参照)を、出力軸70の回転により開閉駆動させるものを示したが、本発明はこれに限らず、サンルーフを開閉体として、当該サンルーフを出力軸70の回転により開閉駆動させるようにしても良い。
【0092】
また、上記実施の形態では、本発明を、車両のルーフに搭載される電動サンシェード装置10の駆動源に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、車両のドアに搭載されるスライドドア装置やパワーウインド装置等の駆動源にも適用することができる。
【0093】
その他、上記実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0094】
減速機構付モータは、自動車等の車両の天井に搭載される電動サンルーフ装置や電動サンシェード装置等の駆動源として、サンルーフやサンシェード等の開閉体を開閉駆動するのに用いられる。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12