特許第6670960号(P6670960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6670960
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】バッグ装着式照明具
(51)【国際特許分類】
   F21L 4/00 20060101AFI20200316BHJP
   A45C 15/06 20060101ALI20200316BHJP
   F21L 4/04 20060101ALI20200316BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200316BHJP
【FI】
   F21L4/00 500
   A45C15/06
   F21L4/00
   F21L4/04
   F21Y115:10
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-27991(P2019-27991)
(22)【出願日】2019年2月20日
【審査請求日】2019年2月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519058402
【氏名又は名称】八嶋 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100160657
【弁理士】
【氏名又は名称】上吉原 宏
(72)【発明者】
【氏名】八嶋 弥生
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭29−014291(JP,Y1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0021787(US,A1)
【文献】 特開平10−294002(JP,A)
【文献】 特表2003−508140(JP,A)
【文献】 特開2004−290626(JP,A)
【文献】 特開2001−204530(JP,A)
【文献】 実開昭56−098025(JP,U)
【文献】 実開昭57−148329(JP,U)
【文献】 特開2013−144517(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3134831(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21L 4/00
A45C 15/06
F21L 4/04
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッグ又はリュックサックの袋状収容体(10)に装着して内部及び外部へ投光する照明器具であって、
照明部(20)と、本体部(30)と、電源制御部(50)から構成され、
前記本体部(30)は、収容体保持部(40)を有し、前記袋状収容体(10)の内部に保持され、
前記本体部(30)は、さらに、前記袋状収容体(10)の内部への投光(N)と外部への投光(G)とを切り替える切替機構(60)と、
前記袋状収用体(10)の開口部(K)の開閉を、磁性の変化又は明るさの変化から感知する開閉検出機構(70)を有し、
前記照明部(20)の位置が前記本体部(30)に対し、上側に配置されている場合、又は下側に配置されている場合であって、前記開閉検出機構(70)により前記開口部(K)が開いていると判断したときに、前記電源制御部(50)より電源を前記照明部(20)に供給して投光させ、
さらに前記照明部(20)は、リフレクターを用いて集光した光を、歩行時は前記袋状収容体(10)から足下の前方に投光させることができ、停電時には上方へ拡散するような投光ができる投光角調整機構(90)を備え、
前記内部への投光(N)に際しては、前記切替機構(60)及び前記投光角調整機構(90)によって前記照明部(20)と前記本体部(30)の何れも前記袋状収容体(10)の内部に収容された状態で前記袋状収容体(10)の内部方向へ光を集光して投光し、
前記外部への投光(G)に際しては、前記照明部(20)が前記本体部(30)を介して移動することにより前記袋状収容体(10)の前記開口部(K)から外部に突出して配置された状態で前記袋状収容体(10)の外部方向へ光を集光して投光することを特徴とするバッグ類装着式照明具(1)。
【請求項2】
前記切替機構(60)が、前記照明部(20)を前記本体部(30)の長手方向に摺動させる摺動機構(61)と該摺動機構(61)による摺動範囲の両端で前記照明部(20)の位置を保持する位置決め機構(62)を備えることを特徴とする請求項1に記載のバッグ類装着式照明具(1)。
【請求項3】
前記切替機構(60)が、前記照明部(20)を本体部(30)に対して回転させることで内部への投光(N)と外部への投光(G)と切り替える回転機構(63)と、切り替えられた位置を保持する位置決め機構(62)とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のバッグ類装着式照明具(1)。
【請求項4】
前記照明部(20)による前記袋状収容体(10)の内側への投光(N)と外側への投光(G)とを、異なる複数の前記照明部(20)により行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバッグ類装着式照明具(1)。
【請求項5】
前記収容体保持部(40)が、本体部(30)を前記袋状収容体(10)に対してクリップで挟持することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のバッグ類装着式照明具(1)。
【請求項6】
前記収容体保持部(40)が、永久磁石(E)を利用して本体部(30)を前記袋状収容体(10)に磁着させることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載のバッグ類装着式照明具(1)。
【請求項7】
振動発電機構(80)を備えたことを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載のバッグ類装着式照明具(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明具の技術に関し、詳しくは、バッグ又はリュックサック等の袋状収容体に装着して、内部及び外部へ投光する照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、外出時に必要なものをまとめて収納するためにバッグを持つということは、当たり前になっているが、ともすると、まだまだバッグにおいては実用的に不便なことが多々あり、開発が確立しているとはいえない現状がある。例えば、外出時に常時必要なアイテムとして、財布、携帯、鍵、身だしなみグッズなど、バッグの中で散乱してしまったり、買い物で荷物が増えてしまったときなどの対処等、バッグはまだまだ開発の余地があるといえる。
【0003】
特に、困るのは、夜の帰宅時にドアの前でバッグに入れた鍵を探したり、鍵を見つけても今度は鍵穴の位置が暗くてよく見えなかったり、そんな経験は誰にでもあることである。そのようなときのために小さな懐中電灯を用意したり、携帯電話機のライト機能を利用したりする等の工夫をしている人も多い。しかしながら、暗闇では懐中電灯や携帯電話自体を見つけにくいことも少なくない。そこで、バッグに常時固定による装着が可能で、暗闇でもバッグ内や鍵穴などの外部を照らすことを可能とする照明具が求められている。
【0004】
また、近年、わが国では、相次ぐ大きな震災の経験から、災害時において電気の復旧を待つまでの間に、室内の緊急用照明が必要であることや、街灯が消えた場所での足元を照らす照明の必要性は、多くの人が経験上認めるものと考えられ、バッグ内の投光だけに留まらず、災害等の緊急時や、帰宅途中の街灯の少ない危険な箇所における外部への投光も可能とする便利な照明器具があれば多くの不安が解消できるといえる。
【0005】
このような問題点に鑑み、本発明の発明者は便利なバッグに関し、特に暗闇においてバックの中から容易に必要なものを見つけ出せ、且つ緊急時においては周囲も手放しで投光できる便利な照明器具であって、通常は美観の観点から外部から見えない、もしくは目立たない照明器具はないかとの考えから、本願発明に至ったものである。
【0006】
なお、係る問題を解決すべく、従来からも種々の技術が他からも提案されている。例えば、発明の名称を「電力システムが装備されたバッグ」とするもので(特許文献1参照)、「ハンドバッグの中の様々なコンポーネントの容易な取り付けを可能にする照明及び電源システムを設けたハンドバッグを提案すること」を目的とし、「閉鎖手段を設けた開口を伴うコンパートメントを規定するケースと、前記開口に近い前記コンパートメントの内部に配置された照明デバイスと、前記照明デバイスに供給するバッテリーと、前記コンパートメントの前記閉鎖手段に操作可能に接続されたスイッチと、外部充電デバイスに接続されるように構成された接続デバイスと、少なくとも前記照明デバイスと前記接続手段を制御させる」というものである。係る特許文献1に記載の発明は、係る機能が備えられた専用のバッグのみでしか利用できず、汎用性がないという問題点がある。また、緊急時や外出時の歩行に投光することができないことから、特許文献1に記載の発明では本発明の課題を解決するには至っていない。
【0007】
また、発明の名称を「バッグ」とする技術が開示され公知技術となっている(特許文献2参照)。「バッグ本体の内部に収納した中身を暗闇でも容易に探し出して取り出しやすいバッグを提供する」ことを課題とし、具体的には、「バッグ本体に、上記バッグ本体の内部を明るく照らしうる照明装置が設けられている。上記照明装置は、LEDで発光しうるライトであって、上記ライトは連結部材を介して上記バッグ本体に取り付けられている。上記ライトは、指で把持しうる大きさであって略円筒状に形成されたケースを有し、上記ケース内部には電池及び上記LEDが収納され、上記ケースの一部には回転操作によりON、OFF操作しうるスイッチが設けられている。上記バッグ本体の内部には、上記ライトを収納しうるライト格納部が設ける。」というものである。しかしながら、係る特許文献2に記載の発明は、特許文献1と同様に係る機能を備えた専用のバッグのみでしか利用できないという問題点があり、また、緊急時や外出時の歩行に手放しによる投光ができないことから、特許文献2に記載の発明は、本発明の課題を解決するには至っていない。
【0008】
また、発明の名称を「携帯用照明具」とする技術が開示され公知技術となっている(特許文献3参照)。「LEDと、各種電源装置を利用し、両手を使用することなく夜間活動時の手元照明の補助、音響発生によって通勤、通学、看護、介護、登山時の安全確保を行える照明具を提供する。」ことを目的とし、具体的には、「LED電球によって発光し、その光を反射鏡によって集光し、上着の前面ポケット、側面ポケット、或いは携帯用バッグのポケット等へ装着して行動の前面を照射する小型携帯用照明具に音響発生装置を付加し、LED球と反射鏡、及び音響発生装置と付属するスイッチを含む装置を上部に置き、電源電池の収納部を下部に置いて一体化し、同下部の外側へ懸架アームを持つホルダーを設置し、懸架アームを洋服のポケットの外側又は内側に装着することによって、照明器具本体を洋服のポケットの外側、又は内側に配置する。」というものである。しかしながら、特許文献3に記載の発明は、取り外しが自在なことにおいてはバッグ内にも装着が可能であり、外部にも付け替えるという点では便利な構造といえる。しかしながら、ポケット等に引っ掛ける構造であることから、照明部は常に露出させて配置しなければならず、バック内外の投光を容易に切り替えることができず、また、不使用時にはバック等の内部へしまわなければ、バック等の美観を損なうという欠点を残すものである。よって、本発明の課題を解決するに至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2015−509806号
【特許文献2】実用新案登録第3126076号
【特許文献3】実用新案登録第3202508号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、バッグやリュックサックのような袋状収容体に装着して内部及び外部への投光を手放しで可能とするものであって、内部を照らすことにより夜間や暗所でもバッグ等に収容された物の所在を把握できるようにし、照明部の位置を切り替えることで外部も照らすことを可能とするバッグ装着式照明具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、バッグ又はリュックサックの袋状収容体に装着して内部及び外部へ投光する照明器具であって、照明部と、本体部と、収容体保持部と、電源制御部から構成され、前記本体部は、前記収容体保持部により前記袋状収容体の内部に保持され、前記照明部は前記袋状収容体の内部への投光と外部への投光とを切り替える切替機構を有し、前記内部への投光に際しては前記照明部と前記本体部の何れも前記袋状収容体の内部に収容された状態で行い、前記外部への投光に際しては前記照明部が前記本体部を介して移動することにより前記袋状収容体の開口部から外部に突出して配置する構成を採用した。
【0012】
また、本発明は、前記切替機構が、前記照明部を前記本体部の長手方向に摺動させる摺動機構と該摺動機構による摺動範囲の両端で前記照明部の位置を保持する位置決め機構を備える構成を採用することもできる。
【0013】
また、本発明は、前記切替機構が、前記照明部を本体部に対して回転させることで内部への投光と外部への投光と切り替える回転機構と、切り替えられた位置を保持する位置決め機構とを備える構成を採用することもできる。
【0014】
また、本発明は、前記照明部による前記袋状収容体の内側への投光と外側への投光とを、異なる複数の前記照明部により行う構成を採用することもできる。
【0015】
また、本発明は、前記収容体保持部が、本体部を前記袋状収容体に対してクリップで挟持する構成を採用することもできる。
【0016】
また、本発明は、前記収容体保持部が、永久磁石を利用して本体部を前記袋状収容体に磁着させる構成を採用することもできる。
【0017】
また、本発明は、前記袋状収容体の開口部の開閉を、磁性の変化により感知する開閉検出機構を備える構成を採用することもできる。
【0018】
また、本発明は、前記照明部が、前記本体部に対して投光角度の調整ができる投光角調整機構を備える構成を採用することもできる。
【0019】
また、本発明は、振動発電機構を備える構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るバッグ装着式照明具によれば、暗闇でバッグやリュックサック等の袋状収用体の内部を明るく照らすことができるため、小物等の所在を認識しやすくなり、取り出しが容易になるという優れた効果を発揮する。
【0021】
また、本発明に係るバッグ装着式照明具によれば、通常はバッグ等の内部に見えないように配置しつつ、必要に応じて内部への投光と外部への投光とを切り替えることが可能であることから、停電等において照明器具の代わりとなるという優れた効果を発揮する。
【0022】
また、本発明に係るバッグ装着式照明具において、内部への投光と、外部への投光をそれぞれ別々の照明部とする構成を採用した場合には、例えば、内部へ投光する照明部よりも外部へ投光する照明部の方を明るくするなど、照度を変えることが容易となるといった優れた効果を発揮する。
【0023】
また、本発明に係るバッグ装着式照明具において、収用体保持部に永久磁石を利用して本体部を袋状収用体へ磁着させる構成を採用した場合には、袋状収用体に損傷を与えることなく、取り付け位置を自由にすることができるという優れた効果を発揮する。
【0024】
また、本発明に係るバッグ装着式照明具において、袋状収容体の開口部の開閉を磁性の変化により感知する開閉検出機構を備える構成を採用した場合には、物理的なスイッチ等を配置することなく開閉の検出をすることができるという優れた効果を発揮する。
【0025】
また、本発明に係るバッグ装着式照明具において、前記照明部が、前記本体部に対して投光角度の調整ができる投光角調整機構を備える構成を採用した場合には、歩行時に足元を照らしたり、停電時に室内全体を照らす照明器具の代わりとなるといった優れた効果を発揮する。
【0026】
また、本発明に係るバッグ装着式照明具において、振動発電機構を備える構成を採用した場合には、歩行等による振動によって発電し、これを充電して電源とすることもできることから、例えば、昼間持ち歩くことによる振動により充電された電源を用いて、夜間に投光させることが可能になるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係るバッグ装着式照明具の基本構成を示す基本構成説明図である。
図2】本発明に係るバッグ装着式照明具の別の実施例を示す実施例説明図である。
図3】本発明に係るバッグ装着式照明具の切替機構による動作を説明する切替動作のフローチャート図である。
図4】本発明に係るバッグ装着式照明具の切替機構を説明する切替機構説明図である。
図5】本発明に係る照明部を複数有する実施例を説明する実施例説明図である。
図6】本発明に係る袋状収用体の種類ごとの取り付け状態を説明する取り付け状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係るバッグ装着式照明具は、投光しない状態においては、バッグ等の袋状収容体の内部に本体の全てが収納され、外部からは見えないようにしつつ、開口することにより内部側への投光を行い、切替機構によって、照明部が外部へ突き出し、歩行時の足下への投光や、停電時の室内灯の代わりとなることを最大の特徴とするものである。以下、図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、本発明に係るバッグ装着式照明具の基本構成を示す基本構成説明図であり、図1(a)は、内部側へ投光している状態を示し、図1(b)は外部側へ投光している状態を示している。
【0030】
袋状収用体10は、バッグやリュックサック等の収容体であり、二つの持ち手、もしくは一つの肩掛け紐が取り付けられているのが一般的である。素材は革や化学繊維、或いは綿や麻を織った布等であり、加えて金属や竹などの植物なども用いられ、また、袋状収用体10の大きさについても特に限定するものではなく、通常の手持ち収容体として利用できるものであればよい。袋の口はジッパー、ボタン、紐、金具、或いは折り畳んで封をするもの等、多種多様なものが対象となる。
【0031】
照明部20は、光を発して辺りを明るくするための器具であって、白熱球や蛍光灯などの種類もあるが、本発明に係るバッグ装着式照明具では、電源や消費電力の関係からLED照明を用いることが有効である。但し、発光体についてはこれらに限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。また、LED照明を用いる場合では点灯のみならず、点滅するなどの構成によるものを光源とすることも有効である。
【0032】
本体部30は、照明部20、切替機構60、及び収容体保持部40を備えて、袋状収用体40の内部に配置される。配置に際しては収用体保持部40を介して袋状収用体10に装着される。係る装着は図1に示すような収用体保持部の場合例えばバッグのマチの縁を挟持させ、図2に示すような収容体保持部40の場合では永久磁石と磁性材料の組み合わせによって袋の口の縁部近傍に磁着させることによって配置する。但し、これらの装着方法に限定されるものではなく、図面には示していないが、持ち手に係止するなどの方法でもよい。
【0033】
収容体保持部40は、クリップ、面ファスナー、または磁石と磁性材の組み合わせなど取り外し自在となるものであって、袋状収用体40に負担をかけない構造であればよい。但し、磁石と磁性材の組み合わせの場合、磁場の影響が磁気カード等に影響しないよう遮蔽等が必要となる。
【0034】
電源制御部50は、電源装置と制御装置とからなり、電源装置には乾電池のような一次電池や、リチウム電池のような二次電池でもよく、また、コンデンサー等の蓄電体でもよい。すなわち、これらに限定するものではなく、蓄電できて電気を取り出せるものであればよい。
【0035】
切替機構60は、照明部の位置をスライド又は回転することによって、本体部に対して移動させ、上側、または下側に配置させるものであり、図1に示す構成では、摺動して照明部20を上下に移動させ、図2に示す構成では回転して照明部20を上下に移動させるため、その位置決めとして位置決め機構62を設けている。かかる位置決め機構62は、図1ではノック機構、図2では弾性材料により突出する凸部と、これに係合する凹部などによって構成されることが考え得る。
【0036】
なお、切替機構60は、照明部の位置を内部への投光Nと外部への投光Gとを切り替えるための機構であるため、その方法としては多数の構成が考えられるが、本発明では、摺動をさせることによるスライド方式(図1参照)及び、回動することによる回動方式(図2参照)を実施例として示している。
【0037】
次に、前記切替機構60が、照明部20を本体部30の長手方向に摺動させることによって、照明部20の位置を上下させ、その位置を前記位置決め機構62により固定させる構成も有効である。係る構成を採用した場合には、内部への投光Nと外部への投光Gを、ノック機構を利用し、ワンプッシュでの切り替えが可能であり、電源のオンオフ動作を係るノック機構における摺動部に接触端子を設けて連動させることも容易となる。また、内部側に位置している場合であって、袋状収容体10の開口部Kが開いた状態となると投光する構成とし、外部側に位置している場合には、常に投光する構成とすることが好適である。但し、手動スイッチを設けてオンオフの切替を行うことを除外するものではない。
【0038】
摺動機構61は、摺動体64を上下に往復させる摺動範囲において、移動させるための機構であり、具体的には、例えば、本体部30のシリンダー内に凹溝を設け、摺動体64に凸部を設けるなどにより案内させる構造などが考えられる。係る機構により、摺動体の内部に設けた照明部20を上下の摺動範囲において、それぞれの端部まで移動させることで照明部の位置を本体部30に対して上側、または下側へ移動させるものである。
【0039】
位置決め機構62は、図1図2、及び図4に示すように、摺動機構61や、回動機構63等により、スライド又は回動した摺動体64や又は回動体65を移動範囲の両端で固定し、内側への投光モード状態の保持と、外側への投光モード状態の保持を可能とするものである。具体的には、例えば、弾性部材により突出する凸部とこれを受ける凹部によるものや、押圧される爪部によって摺動体64や回動体65を位置決めしその位置の保持を可能とする機構である。
【0040】
摺動体64は、本体部30に対し、摺動により照明部20を上側又は下側へ移動させるための容体であり、本体部30と接触状態で照明部20を移動させる。係る移動に際しては例えば、ボールペン等に代表されるノック機構を用い、垂直段差と傾斜段差が周方向に連続して繰り返されるつば部と、それを駆動するカム部及び押動作動体により、回転しながら前進と後退を繰り返す溝部を有するシリンダーを摺動体64とし、係る溝部に対する突き出し部を本体部30に備えさせて案内摺動させる。なお、本体部30内に収納された電源制御機構50から供給される電気を照明部20に伝達する為、ノック機構における直線的な動作を伴う摺動部に接触端子を設けて電源を供給するの両端で前記照明部20の位置を保持する。
【0041】
図2は、本発明に係るバッグ装着式照明具の別の実施例を示す実施例説明図である。図2(a)は、内部側へ投光している状態を示し、図2(b)は外部側へ投光している状態を示している。図2に示した実施例の構成は、本体部30を略コの字状にし、照明部20をその隙間に狭持させるものである。可動部を設け、照明部20が本体部30に対して回動することで、内部への投光Nと外部への投光Gを切り替えることができる構成で、以下それぞれの構成部材について説明する。
【0042】
回動機構63は、回転体65を上下に回動して、外部への投光Gと内部への投光Nへの位置まで移動させるための機構であり、具体的には、例えば、回動体65に設けた回転軸に対し、これを受ける軸受を本体部30に設ける構造などが考えられる。係る機構により、回動体60の内部に設けた照明部20を上下への回動範囲において、それぞれの上端、または下端まで移動させるものである。
【0043】
回動体65は、本体部30に対し、回動により照明部20を上側又は下側へ移動させるための容体であり、本体部30と接触状態で移動するものである。
【0044】
開閉検出機構70は、袋状収容体10の開口部の開閉を検出するもので、簡易的なスイッチにより動作するものが考えられるが、光の変化量や磁力の変化量を捉えるセンサーにより係る開閉状態を検出することが望ましい。
【0045】
図3は、本発明に係るバッグ装着式照明具の切替機構による動作を説明する切替動作のフローチャートである。まず、照明部20への電源供給がなされる状態において、照明部20の位置が本体部30に対し、上側に配置されている場合には、電源制御部50より電源を照明部20に供給して点灯させる。他方、下側に配置されている場合には、袋状収容体10の開口部Kが開いているか否かを開閉検出機構70を設けて検出し、開口部Kが開いていると判断したときは照明部20から投光させる。
【0046】
図4は、本発明に係るバッグ類装着式照明具の切替機構60を説明する切替機構説明図であり、図4(a)は、本体部30に対し、照明部20が上側に突出して外部への投光Gをしている状態を示し、図4(b)は、本体部30に対し、照明部20が下側に突出して内部への投光Nをしている状態を示し、図4(c)は、本体部30に対し、照明部20が下側に突出し、且つ、開口部Kが閉じており、照明部20が消灯している状態を示している。なお、図4は、点灯の状態を示すものであり、照明部20が上側に突出し、且つ、消灯している状態を示していないが、特に、係る状態での消灯を意識的に除外するものではなく、メインスイッチを設けるなどして、照明部20が上側に突出する配置においても、消灯する構成を採用してもよい。
【0047】
投光角調整機構90は、照明部20においてリフレクターを用い、集光した光を所定の箇所に投光させ、その位置を回転自在に調整できる機構である。具体的には、例えば、歩行時において、バッグ等の袋状収容体10から足元の前方を投光するように角度を調節すれば、懐中電灯を手に持つことなく暗闇での歩行が安全となり、上方に拡散するような投光とすれば停電時における室内の照明の代わりとなる。
【0048】
振動発電機構80は、特に図面には示していないが、対向電極とエレクトレット電極を左右にスライドさせて発電するマイクロ振動発電器等を用い、バッグやリュックサックといった袋状収容体10が使用される際に、繰り返して生じる振動や動揺を利用して発電を行わせるものである。係る発電によって得られた電気は、電源制御部50において、蓄電体に充電される構成とすることが望ましい。バッグやリュックサックといった袋状収容体10は、移動時に必ず振動を伴うため、使用態様に応じた有効な蓄電を可能とする点で好適な構成である。
【0049】
図6は、本発明に係る袋状収用体の種類ごとの取り付け状態を説明する取り付け状態説明図であり、図6(a)はハンドバッグ、図6(b)はスポーツバッグ、図6(c)はショルダーバッグ、図6(d)をそれぞれを示し、左側は照明部20が内側への投光Nの位置にあり非投光の状態であって、右側は照明部20が外側への投光Gの位置にあって投光している状態を示している。なお、開口部Kが開いている状態を図6(b)に示し、図6(c)では開口部Kを開いて照明部を外部に突き出した状態で両側からファスナーで閉じた状態を示している。そして、図6(a)と図6(d)では側部のマチの上部であって該蓋体との隙間近傍に収容体保持部40により照明部が外側に突出している状態を示している。係る外部と内部の突出については、摺動体64又は回転体65の移動により行われることとなる。袋状収用体10によっては、内側ポケットとの縁部を収容体保持部40で保持したり、開口部Kの縁部で保持するなど袋状収用体10の構造にそれぞれ対応して装着することとなる。なお、収容体保持部と本体部との取り付け位置を調整できる収容体保持部位置調整機構を設けて照明部の位置の調整を容易にすることも有効である。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、身近なバックやリュックサック等の袋状収容体に容易に装着可能で安全に資することから、その生産・販売により産業上の利用可能性は高いものと思慮される。
【符号の説明】
【0051】
1 バッグ類装着式照明具
10 袋状収容体
20 照明部
30 本体部
40 収容体保持部
41 永久磁石
50 電源制御部
60 切替機構
61 摺動機構
62 位置決め機構
63 回動機構
64 摺動体
65 回動体
70 開閉検出機構
80 振動発電機構
90 投光角調整機構
G 外部への投光
N 内部への投光
K 開口部
【要約】
【課題】本発明は、バッグやリュックサックのような袋状収容体に装着して内部及び外部への投光を手放しで可能とするもので、内部を照らすことにより夜間や暗所でもバッグ等に収容された物の所在を把握できるようにし、照明部の位置を切り替えることで外部も照らすことを可能とするバッグ装着式照明具の提供。
【解決手段】本発明は、照明部と、本体部と、収容体保持部と、電源制御部から構成され、前記本体部は、前記収容体保持部により前記袋状収容体の内部に保持され、前記照明部は前記袋状収容体の内部への投光と外部への投光とを切り替える切替機構を有し、前記内部への投光に際しては前記照明部と前記本体部の何れも前記袋状収容体の内部に収容された状態で行い、前記外部への投光に際しては前記照明部が前記本体部を介して移動することにより前記袋状収容体の開口部から外部に突出して配置できる構成を採用した。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6