(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記加工時間算出部は、前記板金にピアスを開ける時間と、前記ピアスから前記切断線までのアプローチを切断する時間と、前記切断線を断線する時間との合計時間に基づいて、前記加工時間を算出する請求項1に記載の加工見積もり装置。
前記加工時間算出部は、前記合計時間に、前記板金にレーザビームを射出して前記板金を切断する加工ヘッドの移動時間を加えた時間を前記加工時間とするために、前記合計時間に1以上の係数を乗算する請求項2に記載の加工見積もり装置。
前記加工時間算出部によって算出された前記加工時間に基づいて、前記パーツの加工コストを算出する加工コスト算出部をさらに備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の加工見積もり装置。
前記コンピュータに、前記板金にピアスを開ける時間と、前記ピアスから前記切断線までのアプローチを切断する時間と、前記切断線を断線する時間との合計時間に基づいて、前記加工時間を算出するステップを実行させる請求項7に記載の加工見積もりプログラム。
前記コンピュータに、前記合計時間に、前記板金にレーザビームを射出して前記板金を切断する加工ヘッドの移動時間を加えた時間を前記加工時間とするために、前記合計時間に1以上の係数を乗算するステップを実行させる請求項8に記載の加工見積もりプログラム。
前記コンピュータに、算出された前記加工時間に基づいて、前記パーツの加工コストを算出するステップをさらに実行させる請求項7〜10のいずれか1項に記載の加工見積もりプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態の加工見積もり装置、加工見積もり方法、及び加工見積もりプログラムについて、添付図面を参照して説明する。
【0013】
図1において、加工見積もり装置10は、カメラ11、画像処理部12、加工時間算出部13、加工コスト算出部14、入力部15、表示制御部16、表示部17、記憶部18、通信部19、計時部101を備える。加工見積もり装置10は、コンピュータ端末、タブレット端末、またはスマートフォンで構成することができる。加工見積もり装置10には、プリンタ40が接続されることがある。
【0014】
加工見積もり装置10は、サーバ20と接続されている。サーバ20は、加工見積もり装置10が各種のパーツを加工する加工時間または加工コストを見積もった見積もり結果を蓄積する蓄積部21と、後述する係数を算出する係数算出部22を備える。加工見積もり装置10をサーバ20に接続することは必須ではないが、加工見積もり装置10をサーバ20に接続することが好ましい。サーバ20には、CAMプログラムを実行するコンピュータ機器30が接続されている。
【0015】
図2に示すパーツP1を例として、加工見積もり装置10がパーツを見積もる場合の動作、加工見積もり装置10で実行される加工見積もり方法を説明する。パーツP1は見積もり対象のパーツの一例であって、所定の加工機で予め板金を切断することによって作成されている。
図2に示すように、パーツP1は、横180mm、縦100mmの矩形の内部に、直径50mmの円形の穴H1と、一辺の長さが50mmである正方形の穴H2を有する。
【0016】
セールスパーソン等の加工見積もり装置10の操作者は、入力部15によって、板金を切断してパーツP1を作成する加工機の機種と、パーツP1を切り出す板金の材質及び板厚、加工方法を入力する。加工機は、例えばレーザビームによって板金を切断するレーザ加工機である。レーザ加工機は、板金にレーザビームを射出して板金を切断する加工ヘッドを備える。入力部15によって入力する加工機の機種は、顧客に導入を提案する提案機種である。
【0017】
図3に示すように、入力部15は、一例として、表示制御部16が表示部17に表示する、各種の情報を入力する入力ウィンドウ150を含む表示画像である。入力部15は、表示部17の画面上に装着されたタッチパネルであってもよい。入力ウィンドウ150は、提案機種を入力する機種入力領域151と、板金の材質を入力する材質入力領域152と、板金の板厚を入力する板厚入力領域153と、加工方法を入力する加工方法入力領域154とを有する。
【0018】
機種入力領域151は、予め登録されている加工機の機種をプルダウンによって選択して入力する入力領域であってもよい。材質入力領域152は、冷間圧延鋼板(SPC)、ステンレス鋼板、アルミニウム板またはアルミニウム合金板等の複数の材質から板金の材質をプルダウンによって選択して入力する入力領域であってもよい。板厚入力領域153は、板厚の数値を直接的に入力する入力領域であってもよいし、プルダウンによって板厚の数値を選択して入力する入力領域であってもよい。
【0019】
加工方法入力領域154は、複数の加工方法からいずれかの加工方法をプルダウンによって選択して入力する入力領域であってもよい。加工方法とは、アシストガスの種類として、窒素を用いる加工方法、酸素を用いる加工方法、空気を用いる加工方法等である。
【0020】
また、入力ウィンドウ150は、顧客が既に導入している機種であって、機種入力領域151に入力した提案機種と比較すべき比較機種の加工機で、パーツP1を作成するのに要する時間を入力する比較加工時間入力領域155を有する。さらに、入力ウィンドウ150は、比較機種を選択して設定するための比較機種設定領域156を有する。比較機種設定領域156は、比較機種をプルダウンによって選択して設定する領域であってもよい。
【0021】
表示部17には、入力部15として、比較機種の加工機で実際に板金を切断してパーツP1を作成する時間を計時するための計時ボタン157と、カメラ11を動作させるためのカメラボタン158とが表示されている。比較機種の加工機で板金の切断開始時に計時ボタン157を操作すると、計時部101が計時を開始する。切断終了時に計時ボタン157を再び操作すると、計時部101が計時した時間が比較加工時間として比較加工時間入力領域155に入力される。計時部101を動作させることなく、比較加工時間入力領域155に直接、比較加工時間を入力してもよい。
【0022】
操作者は、比較機種設定領域156によって比較機種を選択する。比較機種が他社製の機種である場合には、比較機種設定領域156の選択肢が他社製の機種を含まないことがある。この場合には、他社製の比較機種と同等の自社製の機種を比較機種として選択することにより、比較機種のおおよその加工コストを算出することができる。
【0023】
入力ウィンドウ150に、提案機種、板金の材質及び板厚、加工方法、比較加工時間の入力を完了すると、操作者は、次のようにしてカメラ11によってパーツP1を撮影する。
図4に示すように、操作者は、パーツ撮影用マット50上に、パーツP1と、マーカ板51とを配置する。パーツ撮影用マット50は、パーツP1の撮影画像データに基づいてパーツP1のエッジを抽出しやすい色のマットであるのがよく、例えば黒色のマットである。
【0024】
マーカ板51には、寸法基準マーカ52が刻印または印刷されている。一例として、寸法基準マーカ52は一辺2cmの正方形である。寸法基準マーカ52は、寸法基準マーカであることを示すコードを有する。例えば、寸法基準マーカであることを示すコードはARマーカよりなる。
図4に示す例では、マーカ板51の一部に寸法基準マーカ52が設けられているが、マーカ板51が寸法基準マーカ52と同じ寸法であってもよい。
【0025】
操作者が
図4に示すパーツ撮影用マット50上のパーツP1及びマーカ板51を撮影するためにカメラボタン158を操作すると、カメラ11が起動する。カメラ11による撮影画像データは、画像処理部12に供給される。画像処理部12は、撮影画像データを表示制御部16に供給する。これにより、
図5に示すように、表示部17には入力ウィンドウ150に代えてカメラ11によるスルー画像である撮影画像110が表示される。このとき、表示部17には、入力部15として、カメラ11による撮影を決定するための決定ボタン111と戻りボタン112とが表示される。
【0026】
画像処理部12は、寸法基準マーカ52を認識すると寸法基準マーカ52に例えば青色の太枠を重畳し、パーツP1のエッジを抽出して、エッジを例えば緑色のグラフィックの線分で表示する。画像処理部12は、パーツP1の外周である外周エッジと、穴H1及びH2の端部である内周エッジとを抽出する。操作者は、寸法基準マーカ52に太枠が重畳されていることを確認し、パーツP1のエッジがグラフィックの線分で表示されたことを確認して、決定ボタン111を操作すればよい。
【0027】
操作者が決定ボタン111を操作すると、画像処理部12は、決定ボタン111を操作した時点の外周エッジ及び内周エッジを含むエッジデータを生成して、加工時間算出部13に供給する。操作者が戻りボタン112を操作すると、
図3の状態に戻される。
【0028】
ところで、カメラ11がパーツP1及びマーカ板51を撮影するとき、カメラ11からパーツP1までの距離は一定ではなく、パーツP1を斜めから撮影することもある。よって、撮影されたパーツP1及びマーカ板51の大きさは一定ではない。そこで、画像処理部12は、寸法基準マーカ52の一辺が実寸で2cmであるから、撮影画像110における寸法基準マーカ52の一辺の大きさに基づいて、パーツP1のエッジデータを実サイズに対応した大きさとなるように拡大または縮小して、加工時間算出部13に供給する。例えば、撮影画像110における寸法基準マーカ52の一辺の大きさが1cmであれば、パーツP1のエッジデータを2倍に拡大すればパーツP1の実サイズとなる。
【0029】
図6は、操作者が
図5に示す決定ボタン111を操作した後に、寸法基準マーカ52の一辺が2cmとなるように
図5の撮影画像110が縮小された状態のエッジデータを示している。このとき、表示部17には、入力部15として、決定ボタン111に代えて計算を開始するための計算ボタン113が表示される。
図6に示すように、撮影画像110のエッジデータは、パーツP1の外周P1cのエッジP1ce、穴H1及びH2のエッジH1e及びH2e、寸法基準マーカ52のエッジ52eを含む。エッジデータは、加工時間算出部13に供給される。
【0030】
操作者が計算ボタン113を操作すると、加工時間算出部13は、次のようにしてパーツP1の加工時間を算出する。加工時間算出部13は、パーツP1のエッジデータを直線と円弧の線分に変換する。
図7に示すように、加工時間算出部13は、パーツP1の外周P1cを切断するための切断線(外周切断線)が560mmの直線の線分であると認識する。加工時間算出部13は、穴H1を形成するための切断線が157mmの円弧の線分であると認識し、穴H2を形成するための切断線が200mmの直線の線分であると認識する。加工時間算出部13は、パーツP1を作成するために合計917mmの切断線を切断する必要があることを認識する。
【0031】
図7に示すように、板金からパーツP1を切り出すためには、パーツP1の外部にピアスPS1を開け、ピアスPS1から外周P1c(外周切断線)までのアプローチAP1を切断する必要がある。また、穴H1及びH2となる閉じた領域内にそれぞれピアスPSh1及びPSh2を開け、ピアスPSh1及びPSh2から穴H1及びH2の切断線までのアプローチAPh1及びAPh2を切断する必要がある。アプローチAP1、APh1及びAPh2は5mmであるとする。
【0032】
記憶部18には、提案機種ごとに、板金の材質及び板厚に対応して、ピアスを開けるのに必要な時間と、アプローチを切断する際の加工速度、パーツの外周切断線を直線状または円弧状に切断する際の加工速度、パーツ内に穴を形成するために板金を直線状に切断する際の加工速度、パーツ内に穴を形成するために板金を円弧状に切断する際の加工速度とを含む加工条件表が記憶されている。
【0033】
図3で入力した提案機種で、ピアスを開けるのに必要な時間が0.2秒、アプローチを切断する際の加工速度が6mm/分、パーツの外周切断線を直線状に切断する際の加工速度が67mm/分であるとする。また、パーツ内に穴を形成するために板金を直線状に切断する際の加工速度が83mm/分、パーツ内に穴を形成するために板金を円弧状に切断する際の加工速度が75mm/分であるとする。
【0034】
パーツP1の外周P1cを切断するのに要する時間は、ピアスPS1を開ける時間の0.2秒と、アプローチAP1の長さ5mmを加工速度6mm/分で除算した0.8秒と、560mmの外周P1cを67mm/分で除算した8.4秒との合計の9.4秒である。穴H1を形成するのに要する時間は、ピアスPSh1を開ける時間の0.2秒と、アプローチAPh1の長さ5mmを加工速度6mm/分で除算した0.8秒と、157mmの切断線を75mm/分で除算した2.1秒との合計の3.1秒である。穴H2を形成するのに要する時間は、ピアスPSh2を開ける時間の0.2秒と、アプローチAPh2の長さ5mmを加工速度6mm/分で除算した0.8秒と、200mmの切断線を83mm/分で除算した2.4秒との合計の3.4秒である。
【0035】
以上より、板金からパーツP1を切り出すために要する時間は、9.4秒と3.1秒と3.4秒とを合計した15.9秒となる。この15.9秒なる時間は、パーツP1の外周P1cである外周切断線を切断する時間と、穴H1及びH2を形成するために穴H1及びH2の切断線を切断する時間との合計時間であり、加工ヘッドが移動する時間は含まれていない。例えば、穴H1を形成した後に穴H2を形成し、最後に外周P1cを切断する場合を例とする。この場合、15.9秒の他に、穴H1の切断線を切断した後に加工ヘッドがピアスPSh2の直上に移動する時間と、穴H2の切断線を切断した後に加工ヘッドがピアスPS1の直上に移動する時間とが必要となる。
【0036】
そこで、加工時間算出部13は、板金からパーツP1を切り出すために要する時間(合計時間)の15.9秒に1以上の所定の係数を乗算することによって、加工ヘッドが移動する時間を含めた推定の加工時間を算出する。一例として、係数を1.08とすると、加工時間算出部13は、パーツP1の加工時間を17.2秒と算出する。加工時間算出部13は、係数を保持していてもよいし、後述するように、通信部19を介してサーバ20より係数を読み出してもよい。
【0037】
このように、加工時間算出部13は、実際にパーツを切断するための切断時間の合計時間に、加工ヘッドの移動時間を加えた時間を加工時間とするために、合計時間に係数を乗算する。係数は、板金の材質、板厚、切断方法、パーツ内部の穴数、パーツの大きさ、パーツの形状に応じて設定されるのがよい。材質、板厚、切断方法に応じて係数を設定する理由は、同じ穴数、同じ大きさ、同じ形状のパーツであっても、加工時間が異なるからである。板金の材質、板厚、切断方法、パーツ内部の穴数、パーツの大きさ、パーツの形状の組み合わせごとに係数を設定することが好ましい。
【0038】
記憶部18には、提案機種及び比較機種ごとに、加工方法に対応して、板金を1m切断するのに要するコストを含むコスト計算表が記憶されている。
図3で入力した提案機種及び加工方法で1m当たりのコストが38円であるとする。加工コスト算出部14は、917mm(0.917m)に38円を乗算して、パーツP1の加工コストを34.9円と算出する。
【0039】
図8に示すように、表示制御部16は、表示部17に見積もり結果(シミュレーション結果)を示す加工見積もり画像160を表示するよう制御する。加工見積もり画像160は、パーツP1及びマーカ板51の撮影画像161と、画像処理部12が抽出したパーツP1のエッジ画像162と、比較機種と提案機種との加工時間を比較する加工時間比較グラフ163と、比較機種と提案機種との加工コストを比較する加工コスト比較グラフ164とを含む。撮影画像161は、
図6に示す撮影画像110と同様の画像である。
【0040】
加工コスト比較グラフ164は、加工コストとして、消耗品代、アシストガス代、電気代とに分けてコストを表示するのがよい。加工時間比較グラフ163は、比較機種を提案機種に置き換えることによる加工時間の削減率または削減時間を表示してもよい。加工コスト比較グラフ164は、比較機種を提案機種に置き換えることによる加工コストの削減率または削減コストを表示してもよい。
【0041】
表示制御部16は、見積もり結果を記憶部18に供給する。記憶部18は、パーツP1及びその他のパーツの見積もり結果を記憶する。記憶部18に記憶された見積もり結果はサーバ20に転送され、蓄積部21は見積もり結果を蓄積する。
【0042】
図8において、表示部17には、再撮影ボタン165と、戻りボタン166と、ダウンロードボタン167とが表示される。操作者が再撮影ボタン165を操作すると、
図5の状態に戻される。操作者が戻りボタン166を操作すると、
図3の状態に戻される。
図9に示すように、操作者がダウンロードボタン167を操作すると、ダウンロードボタン167の上方には、ダウンロード選択ボタン168が表示される。ダウンロード選択ボタン168は、“見積データ”、“DXFデータ”、“画像データ”と表示されているボタンを有する。
【0043】
“見積データ”のボタンは、加工時間比較グラフ163及び加工コスト比較グラフ164のデータを、コンピュータ端末、タブレット端末、またはスマートフォンのローカルの記憶媒体にダウンロードするためのボタンである。
図1に示すハードディスクドライブ(HDD)60は、ローカルの記憶媒体の一例である。
【0044】
“DXFデータ”のボタンは、エッジ画像162をCAD用のDXFデータとしてHDD60にダウンロードするためのボタンである。“画像データ”のボタンは、撮影画像161の画像データをHDD60にダウンロードするためのボタンである。操作者は、ダウンロードすべきデータを選択してダウンロードボタン167を再び操作することによって、選択されたデータをHDD60にダウンロードすることができる。
【0045】
操作者が所定の操作によって
図8に示す見積もり結果をプリンタ40によって印刷するよう指示すると、プリンタ40は、
図10に示すような加工見積シミュレーションレポート400を印刷する。加工見積シミュレーションレポート400には、
図8と同様の、撮影画像161と、エッジ画像162と、加工時間比較グラフ163と、加工コスト比較グラフ164とが印刷されている。
【0046】
操作者は、顧客に
図8に示す加工見積もり画像160を見せるか、
図10に示す加工見積シミュレーションレポート400を手渡すことによって、顧客に即座に見積書を提示することができる。
【0047】
上記のように、加工時間算出部13が通信部19を介してサーバ20より係数を読み出す場合には、サーバ20は次のように構成されることが好ましい。コンピュータ機器30は、CAMプログラムによって、パーツP1及びその他のパーツの加工時間を算出して、サーバ20の係数算出部22に供給する。コンピュータ機器30がCAMプログラムによって算出する加工時間はほぼ実加工時間となる。
【0048】
係数算出部22は、蓄積部21に蓄積されている加工見積もり装置10によって算出された加工時間を読み出す。係数算出部22は、加工見積もり装置10によって算出された加工時間と、コンピュータ機器30が算出した加工時間とを比較することによって、パーツの切断時間を実際の加工時間に近付けるための係数を算出する。係数算出部22が算出した係数は蓄積部21に蓄積される。
【0049】
コンピュータ機器30がパーツの加工時間を算出する処理を実行し、係数算出部22が係数を算出する処理を実行すればするほど、蓄積部21には、パーツの切断時間を実際の加工時間に近付けることができる、より正確な係数が蓄積されることになる。加工時間算出部13は、通信部19によって蓄積部21に蓄積された係数を読み出すことによって、常に最新の係数を用いて加工時間を算出することができる。
【0050】
図1において、少なくとも、画像処理部12、加工時間算出部13、加工コスト算出部14は、コンピュータの中央処理装置(CPU)が、加工時間及び加工コストを見積もる加工見積もりプログラムを実行することによって構成することができる。画像処理部12、加工時間算出部13、加工コスト算出部14、表示制御部16、通信部19、計時部101が、加工見積もりプログラムによる機能として構成されていてもよい。
【0051】
図11に示すように、コンピュータ端末、タブレット端末、またはスマートフォンが備える非一時的記憶媒体200は、加工見積もりプログラムをアプリケーションプログラムとして記憶する。CPU100は、加工見積もりプログラムをメインメモリ300にロードして、加工見積もりプログラムで記述されている各命令を実行する。
図12A及び
図12Bは、CPU100が加工見積もりプログラムで記述されている各命令を実行した場合の処理を示す。
図12A及び
図12Bは、加工見積もり装置10の動作、加工見積もり装置10で実行される加工見積もり方法の処理を示す。
【0052】
図12Aにおいて、CPU100は、ステップS1にて、加工見積もりプログラムが起動されたか否かを判定する。加工見積もりプログラムが起動されなければ(NO)、CPU100はステップS1の処理を繰り返す。加工見積もりプログラムが起動されれば(YES)、CPU100は、ステップS2にて、
図3に示すような入力ウィンドウ150を表示部17に表示させる。
【0053】
操作者は、ステップS3にて、入力ウィンドウ150に見積もりのための各条件を入力する。
図11に示すように、入力部15は表示部17と一体的なタッチパネルであるとする。CPU100は、ステップS4にて、カメラボタン158が操作されたか否かを判定する。カメラボタン158が操作されなければ(NO)、CPU100はステップS4の処理を繰り返す。カメラボタン158が操作されれば(YES)、CPU100は、ステップS5にて、カメラ11を起動する。
【0054】
CPU100は、ステップS6にて、決定ボタン111及び計算ボタン113が操作されたか否かを判定する。
図12Aにおいては、戻りボタン112が操作されたか否かの判定及び戻りボタン112が操作されたときの処理を省略している。決定ボタン111及び計算ボタン113が操作されなければ(NO)、CPU100はステップS6の処理を繰り返す。
【0055】
ステップS6にて決定ボタン111及び計算ボタン113が操作されれば(YES)、CPU100は、ステップS7にて、加工時間を算出し、続けて、ステップS8にて、加工コストを算出する。CPU100は、ステップS9にて、シミュレーション結果を表示部17に表示する。
【0056】
図12Bに示すように、CPU100は、ステップS10にて、シミュレーション結果をダウンロードする操作がなされたか否かを判定する。シミュレーション結果をダウンロードする操作がなされれば(YES)、CPU100は、ステップS11にて、シミュレーション結果をHDD60にダウンロードして、処理をステップS12に移行させる。シミュレーション結果をダウンロードする操作がなされなければ(NO)、CPU100は処理をステップS12に移行させる。
【0057】
CPU100は、ステップS12にて、加工見積シミュレーションレポート400を印刷する操作がなされたか否かを判定する。加工見積シミュレーションレポート400を印刷する操作がなされれば(YES)、CPU100は、ステップS13にて、プリンタ40に加工見積シミュレーションレポート400の印刷を指示して、処理をステップS14に移行させる。加工見積シミュレーションレポート400を印刷する操作がなされなければ(NO)、CPU100は処理をステップS14に移行させる。
【0058】
CPU100は、ステップS14にて、再撮影ボタン165による再撮影の操作がなされたか否かを判定する。再撮影の操作がなされれば(YES)、CPU100は、
図12Aに示すステップS15にて、
図5の撮影画像110に戻して、処理をステップS6に戻す。再撮影の操作がなされなければ(NO)、CPU100は、ステップS16にて、戻りボタン166が操作されたか否かを判定する。戻りボタン166が操作されれば(YES)、CPU100は処理を
図12Aに示すステップS2に戻す。
【0059】
ステップS16にて戻りボタン166が操作されなければ(NO)、CPU100は、ステップS17にて、加工見積もりプログラムを終了させる操作がなされたか否かを判定する。加工見積もりプログラムを終了させる操作がなされなければ(NO)、CPU100は、処理を
図12Aに示すステップS9に戻す。加工見積もりプログラムを終了させる操作がなされれば(YES)、CPU100は、処理を終了させる。
【0060】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。本実施形態においては、加工コスト算出部14を備えて加工コストを見積もっているが、加工コストを見積もることは必須ではなく、加工時間のみを見積もってもよい。但し、加工時間及び加工コストの双方を見積もることが好ましい。
【0061】
本実施形態の加工見積もり装置を構成する上で、ハードウェアとソフトウェアとの使い分けは任意である。加工見積もりプログラムは、インターネット等のネットワークを介してコンピュータ端末、タブレット端末、またはスマートフォンに送信されてダウンロードされてもよい。
【解決手段】カメラ11は、予め板金を切断することによって作成された見積もり対象のパーツと、寸法基準マーカとを撮影する。画像処理部12は、カメラ11によって撮影されたパーツのエッジを抽出してエッジデータを生成し、カメラ11によって撮影された寸法基準マーカの大きさに基づいて、エッジデータを、パーツの実サイズに対応した大きさとなるように拡大または縮小する。加工時間算出部13は、パーツの実サイズに対応したエッジデータのエッジに基づいて板金よりパーツを切り出すための切断線の長さを算出し、板金の材質及び板厚に対応して、切断線を切断してパーツを作成するための加工時間を算出する。