特許第6670963号(P6670963)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6670963細胞内抗原に対して指向された単一ドメイン抗体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6670963
(24)【登録日】2020年3月4日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】細胞内抗原に対して指向された単一ドメイン抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20200316BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20200316BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200316BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20200316BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20200316BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   C07K16/18ZNA
   A61K39/395 N
   A61P35/00
   G01N33/53 N
   C12P21/08
   C12N15/13
【請求項の数】12
【外国語出願】
【全頁数】68
(21)【出願番号】特願2019-62231(P2019-62231)
(22)【出願日】2019年3月28日
(62)【分割の表示】特願2017-521577(P2017-521577)の分割
【原出願日】2015年10月23日
(65)【公開番号】特開2019-142885(P2019-142885A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2019年4月1日
(31)【優先権主張番号】62/067,908
(32)【優先日】2014年10月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/148,656
(32)【優先日】2015年4月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/188,353
(32)【優先日】2015年7月2日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/210,795
(32)【優先日】2015年8月27日
(33)【優先権主張国】US
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517136896
【氏名又は名称】シング バイオテクノロジー、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン、シュナンダ
【審査官】 田ノ上 拓自
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/153495(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/070868(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0177979(US,A1)
【文献】 J. Biol. Chem., 2011年,Vol.286, No.5,p.3707-3716
【文献】 The EMBO J., 2007年,Vol.26, No.13,p.3250-3259
【文献】 Breast Cancer: Basic and Clinical Research, 2018年,Vol.12,p.1-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00−19/00
A61K 39/395
A61P 35/00
C12N 15/00−15/90
C12P 21/08
G01N 33/53
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
WPIDS/WPIX(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む、抗STAT3単一ドメイン抗体(sdAb)。
【請求項2】
配列番号3に示されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド。
【請求項3】
配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む、抗STAT3単一ドメイン抗体(sdAb)。
【請求項4】
配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド。
【請求項5】
請求項1又は3に記載する抗STAT3 sdAb又は請求項2又は4に記載するポリペプチドを含む、STAT3によって媒介される疾患を治療するための薬学的組成物。
【請求項6】
治療対象が哺乳動物である、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記哺乳動物がヒトである、請求項6に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
1つ以上の化合物と組み合わせて投与される、請求項5〜7の何れか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記1つ以上の化合物が転写阻害剤である、請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
静脈内投与、筋肉内投与、経口投与、直腸投与、経腸投与、眼内投与、非経口投与、皮下投与、経皮投与、点眼薬としての投与、鼻腔スプレーとしての投与、吸入または噴霧による投与、局所投与、及び埋め込み型薬物としての投与の何れかで投与される、請求項5〜9の何れか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
対象由来の試料中の抗STAT3 sdAbの濃度を測定する方法であって、
前記抗STAT3 sdAbは、配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列を含み、
a.配列番号3又は4に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対して指向されたマウスモノクローナル抗体を生成するステップと、
b.前記対象から試料を得るステップと、
c.前記マウスモノクローナル抗体及び前記試料を用いて定量的免疫アッセイを行って、対象におけるsdAbの量を決定するステップと、
d.前記対象における前記sdAbの量を定量するステップと、を含む、方法。
【請求項12】
前記定量的免疫アッセイが、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、特異的分析物標識再捕捉アッセイ(SALRA)、液体クロマトグラフィー、質量分析、蛍光活性化細胞選別、またはそれらの組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本国際特許出願は、2014年10月23日出願の米国仮特許出願第62/067,908号、2015年4月16日出願の米国仮特許出願第62/148,656号、2015年7月2日出願の米国仮特許出願第62/188,353号、及び2015年8月27日出願の米国仮特許出願第62/210,795号の利益を主張するものであり、これらの内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、電子形式で配列表とともに出願されている。この配列表は、2015年9月30日に作成され、2015年10月22日に最終更新された「Sequence_Listing_STP25.txt」という題名のファイルとして提供されており、83,000バイトのサイズである。この配列表の電子形式での情報は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
より大きいタンパク質またはポリペプチドにおける単一抗原結合タンパク質または抗原結合ドメインとしての単一ドメイン抗体(sdAb)の使用により、従来の抗体または抗体断片の使用よりも有意な利点がいくつか提供される。sdAbの利点としては、単一ドメインのみが高親和性及び高選択性を有する抗原に結合するよう要求されること、sdAbが単一遺伝子から発現することができ、翻訳後修飾を必要としないこと、sdAbが熱、pH、プロテアーゼ、及び他の変性剤または変性条件に対して高度に安定していること、sdAbの調製が安価であること、ならびにsdAbが従来の抗体ではアクセス不能な標的及びエピトープにアクセスすることができることが挙げられる。
【0004】
ヌクレオチド及びタンパク質等の異常な細胞内または膜貫通成分によって引き起こされる癌等の疾患または状態がいくつか存在する。異常な成分の排除を使用して、これらの疾患または状態を予防または治療することができる。治療に利用可能な薬理学的化合物がいくつか存在するが、これらの化合物は、効果がないか、送達不能であるか、または罹患していない細胞に対して毒性があり得る。
【0005】
他の治療としては、外因性標的配列を含む治療用タンパク質または治療薬の使用が挙げられ、治療薬が細胞膜中の受容体によって認識され得、治療薬が細胞膜を通過してその細胞に進入することが可能になる。一旦治療薬がその細胞内に位置すると、治療薬は、標的成分と相互作用して、疾患を治療することができる。しかしながら、外因性標的配列の使用は、治療薬が標的とする細胞の種類を限定する場合があり、治療薬の製造費用を増大させる。
【0006】
前述の理由により、細胞に進入するために外因性標的配列または化学組成物に依存せず、かつ体内の罹患した細胞のみを標的とするのに有効な疾患を治療または予防する組成物及び方法が必要とされている。
【0007】
本発明は、単一ドメイン抗体(sdAb)、これらのsdAbを含むタンパク質及びポリペプチドに関する。本sdAbは、状態または疾患を引き起こす細胞内成分に対して指向される。本発明は、sdAb、タンパク質、及びポリペプチドをコードする核酸、ならびにsdAbを含む組成物も含む。本発明は、予防、治療、または診断目的のためのそれらの組成物、sdAb、タンパク質、またはポリペプチドの使用を含む。本発明は、本発明のsdAbを対象とするモノクローナル抗体の使用も含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、細胞内成分に対して指向された単一ドメイン抗体(sdAb)である。この細胞内成分は、例えば、タンパク質、核酸、脂質、炭水化物、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5a、STAT5b、STAT6、TNF−アルファ、及びKRASであり得る。
【0009】
別の実施形態では、本発明は、抗STAT3 sdAbを対象とする。任意に、抗STAT3 sdAbは、配列番号3または配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む。
【0010】
別の実施形態では、本発明は、抗STAT sdAbをコードするアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチド、例えば、配列番号3または配列番号4に示されるポリペプチド等を対象とする。
【0011】
なお別の実施形態では、本発明は、宿主細胞を対象とし、この宿主細胞は、例えば、配列番号3または配列番号4に示されるアミノ酸等のsdAbのアミノ酸配列を発現する。
【0012】
本発明の一実施形態は、sdAbまたはポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物である。任意に、sdAbは、配列番号3または配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む抗STAT3 sdAbを含み、ポリペプチドは、配列番号3または配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを含む。
【0013】
本発明の別の実施形態は、対象におけるSTAT3によって媒介される障害を診断するための方法であって、a)生体試料をsdAbまたはポリペプチドと接触させるステップと、b)生体試料中のSTAT3の量を決定するステップと、c)ステップ(b)で決定された量を標準と比較するステップとを含み、量の差が障害の存在を示す、方法である。
【0014】
本発明の別の実施形態は、STAT3によって媒介される疾患もしくは障害を予防または治療するか、またはその疾患の再発を予防するか、または異常な細胞増殖によって引き起こされる癌もしくは疾患の治療に使用するための方法であって、抗STAT3 sdAbまたはポリペプチドを、それを必要とする対象に投与することを含む、方法である。任意に、sdAbは、配列番号3または配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む抗STAT3 sdAbを含み、ポリペプチドは、配列番号3または配列番号4に示されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを含む。
【0015】
本発明の一実施形態は、抗TNF−アルファsdAbである。任意に、抗TNF−アルファsdAbは、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるアミノ酸配列を含む。本発明は、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドも含む。
【0016】
本発明の別の実施形態は、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるアミノ酸配列を発現する宿主細胞である。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、sdAbまたはポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物でもある。任意に、sdAbは、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるアミノ酸配列を含む抗TNF−アルファsdAbを含み、ポリペプチドは、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを含む。
【0018】
本発明の別の実施形態は、対象におけるTNF−アルファによって媒介される障害を診断するための方法であって、a)生体試料をsdAbまたはポリペプチドと接触させるステップと、b)生体試料中のTNF−アルファの量を決定するステップと、c)ステップ(b)で決定された量を標準と比較するステップとを含み、量の差が障害の存在を示す、方法である。
【0019】
一実施形態では、本発明は、TNF−アルファによって媒介される疾患もしくは障害またはその疾患もしくは障害の再発を予防もしくは治療するか、または異常な細胞増殖によって引き起こされる癌もしくは疾患の治療に使用するための方法であって、抗TNF−アルファsdAbまたはポリペプチドを、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、方法を記載する。任意に、抗TNF−アルファsdAbは、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるアミノ酸配列を含み、ポリペプチドは、単離されたポリペプチドを含み、この単離されたポリペプチドは、配列番号5、配列番号6、または配列番号7に示されるアミノ酸配列を含む。
【0020】
本発明の一実施形態は、抗KRAS sdAbである。任意に、抗KRAS sdAbは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。一態様では、本発明は、単離されたポリペプチドを含み、この単離されたポリペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む。別の態様では、本発明は、配列番号2に示されるアミノ酸配列を発現する宿主細胞を含む。
【0021】
本発明の別の実施形態は、sdAbまたはポリペプチドと、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物である。任意に、sdAbは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む抗KRAS sdAbを含み、ポリペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを含む。
【0022】
本発明のさらなる実施形態は、対象におけるKRASによって媒介される障害を診断するための方法であって、a)生体試料をsdAbまたはポリペプチドと接触させるステップと、b)前記生体試料中のKRASの量を決定するステップと、c)ステップ(b)で決定された量を標準と比較するステップとを含み、量の差が障害の存在を示す、方法である。任意に、sdAbは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む抗KRAS sdAbを含み、ポリペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを含む。
【0023】
本発明は、抗KRAS sdAbを使用して疾患を治療する方法であって、有効量の抗KRAS sdAbを、それを必要とする対象に投与することを含む、方法も含む。
【0024】
一実施形態では、本発明は、KRASによって媒介される疾患もしくは障害を治療するか、またはその疾患もしくは障害の再発を予防するか、または異常な細胞増殖によって引き起こされる癌もしくは疾患の治療に使用するための方法であって、抗KRAS sdAbまたはポリペプチドを、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、方法を記載する。任意に、抗KRAS sdAbは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含み、ポリペプチドは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドを含む。
【0025】
一実施形態では、本発明は、本発明のsdAbを投与する方法であって、静脈内投与、筋肉内投与、経口投与、直腸投与、眼内投与、経腸投与、非経口投与、皮下投与、経皮投与、点眼薬としての投与、鼻腔スプレーとしての投与、吸入または噴霧による投与、局所投与、及び埋め込み型薬物としての投与を含む、方法を記載する。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、本発明のsdAbを1つ以上の化合物と組み合わせて使用して、疾患を治療するか、疾患を予防するか、または疾患の再発を予防する方法を記載する。任意に、1つ以上の化合物は、転写阻害剤である。
【0027】
別の実施形態では、本発明は、sdAbの濃度を測定する方法であって、a)sdAbの1つ以上のドメインに対して指向されたマウスモノクローナル抗体を生成するステップと、b)免疫アッセイを行って、対象におけるsdAbの量を決定するステップと、c)対象におけるsdAbの量を定量するステップとを含む、方法を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の記述、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面に関してより良く理解されるであろう。
図1】VHH13 抗STAT3 sdAb発現ベクターpTT21−stt VHH13の概略マップである。
図2】VHH14 抗STAT3 sdAb発現ベクターpTT21−stt VHH14の概略マップである。
図3】抗STAT3細菌性VHH13 STAT3(配列番号3)及び抗STAT3細菌性VHH14 STAT3(配列番号4)を使用した免疫沈降アッセイの結果を示す。
図4】抗STAT3細菌性VHH13 STAT3(配列番号3)を使用した免疫沈降アッセイの結果を示す。
図5】0.5mg/kg/日で投薬したMDA−MB−231異種移植モデルにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの成長阻害を図解する。
図6】1mg/kg/1日2回〜2mg/kg/1日2回の範囲または2mg/kg/日の用量でのMDA−MB−231異種移植モデルにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの成長阻害を図解する。
図7】5mg/kg/1日2回で投薬したMDA−MB−231異種移植モデルにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの成長阻害を図解する。
図8】5mg/kg/1日2回で投薬したDU145異種移植モデルにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの成長阻害を図解する。
図9】5mg/kg/1日2回で投薬したPANC−1異種移植モデルにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)の成長阻害を図解する。
図10】1mg/kg/1日3回で投薬したMCF−7異種移植モデルにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの成長阻害を図解する。
図11】1mg/kg/1日3回で投薬したBT−474異種移植モデルにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの成長阻害を図解する。
図12】U937細胞におけるTNF−アルファの細胞毒性を図解する。
図13】U937細胞におけるスタウロスポリンの細胞毒性を図解する。
図14】抗TNF−アルファsdAbによるTNF−アルファ細胞毒性の阻害を図解する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書で使用される場合、以下の用語及びそれらの変形は、異なる意味がかかる用語が使用される文脈によって明確に意図されない限り、以下に示される意味を有する。
【0030】
本明細書で使用される「a」、「an」、及び「the」という用語、ならびに同様の指示対象は、文脈におけるそれらの使用の別段の指示がない限り、単数形及び複数形の両方を包含するよう解釈されるべきである。
【0031】
「抗原決定基」という用語は、抗原結合分子(本発明のsdAbまたはポリペプチド等)によって、より具体的には、抗原結合分子の抗原結合部位によって認識される抗原上のエピトープを指す。「抗原決定基」及び「エピトープ」という用語は、同義に使用されてもよい。特異的抗原決定基、エピトープ、抗原、またはタンパク質に結合することができ、それに対する親和性を有し、かつ/またはそれに対する特異性を有するアミノ酸配列は、それらの抗原決定基、エピトープ、抗原、またはタンパク質「に対する」または「に対して指向される」と考えられる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「含む(comprise)」という用語、ならびに「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」等のこの用語の変形は、他の添加物、成分、整数、またはステップを排除するようには意図されていない。
【0033】
本明細書に記載のsdAb、ポリペプチド、及びタンパク質は、アミノ酸残基が同様の化学構造を有する別のアミノ酸残基で置き換えられ、かつポリペプチドの機能、活性、または他の生物学的特性にほとんどまたは本質的に全く影響を及ぼさないアミノ酸置換と一般に言われ得るいわゆる「保存的」アミノ酸置換を含むことができることが企図される。保存的アミノ酸置換は、当該技術分野で周知である。保存的置換は、以下の基(a)〜(e)、(a)小さい脂肪族、非極性、またはわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro、及びGly、(b)極性の負荷電残基及びそれらの(非荷電)アミド:Asp、Asn、Glu、及びGln、(c)極性の正荷電残基:His、Arg、及びLys、(d)大きい脂肪族非極性残基:Met、Leu、Ile、Val、及びCys、ならびに(e)芳香族残基:Phe、Tyr、及びTrp内のあるアミノ酸が同一の基内の別のアミノ酸により置換される置換である。他の保存的置換としては、AlaのGlyもしくはSerへの置換、ArgのLysへの置換、AsnのGlnもしくはHisへの置換、AspのGluへの置換、CysのSerへの置換、GlnのAsnへの置換、GluのAspへの置換、GlyのAlaもしくはProへの置換、HisのAsnもしくはGlnへの置換、IleのLeuもしくはValへの置換、LeuのIleもしくはValへの置換、LysのArg、Gln、もしくはGluへの置換、MetのLeu、Tyr、もしくはIleへの置換、PheのMet、Leu、もしくはTyrへの置換、SerのThrへの置換、ThrのSerへの置換、TrpのTyrへの置換、TyrのTrpへの置換、及び/またはPheのVal、Ile、もしくはLeuへの置換が挙げられる。
【0034】
本明細書で使用される「ドメイン」は、一般に、抗体鎖の球状領域、具体的には、重鎖抗体の球状領域、またはかかる球状領域から本質的になるポリペプチドを指す。
【0035】
sdAbのアミノ酸配列及び構造は、典型的には、4つのフレームワーク領域または「FR」で構成されており、これらは、それぞれ、「フレームワーク領域1」または「FR1」、「フレームワーク領域2」または「FR2」、「フレームワーク領域3」または「FR3」、及び「フレームワーク領域4」または「FR4」と称される。これらのフレームワーク領域は、3つの相補性決定領域または「CDR」によって中断されており、これらは、それぞれ、「相補性決定領域1」または「CDR1」、「相補性決定領域2」または「CDR2」、及び「相補性決定領域3」または「CDR3」と称される。
【0036】
本明細書で使用される場合、「ヒト化sdAb」という用語は、天然に存在するVHH配列のアミノ酸配列における1つ以上のアミノ酸残基が、ヒト由来の従来の4鎖抗体由来のVHドメインにおける対応する位置に生じるアミノ酸残基のうちの1つ以上に置き換えられたsdAbを意味する。これは、当該技術分野で周知の方法によって行うことができる。例えば、sdAbのFRは、ヒト可変FRに置き換えられ得る。
【0037】
本明細書で使用される場合、「単離された」核酸またはアミノ酸は、それが通常会合される少なくとも1つの他の成分、例えば、その源もしくは媒体、別の核酸、別のタンパク質/ポリペプチド、別の生物学的成分もしくは巨大分子、または汚染物質、不純物、もしくは微量成分から分離されている。
【0038】
「哺乳動物」という用語は、哺乳類クラスに属する個体として定義され、ヒト、家畜及び牧畜、ならびに動物園の動物、スポーツ用動物、及びペット動物、例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、イヌ、及びネコが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、薬学的投与に適合するありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を包含するよう意図されている。好適な担体については、本分野における標準的基準文書であるRemingtonのPharmaceutical Sciencesの最新版に記載されている。かかる担体または希釈剤の好ましい例としては、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)、及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、これらに限定されない。リポソーム、カチオン性脂質、及び固定油等の非水ビヒクルも使用され得る。薬学的に活性な物質のためのかかる媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。いずれの従来の媒体または薬剤も上で定義される治療薬に適合しない場合を除き、本発明の組成物におけるそれらの使用が企図される。
【0040】
「定量的免疫アッセイ」とは、抗体を使用して試料中に存在する抗原の量を測定する任意の手段を指す。定量的免疫アッセイを行うための方法としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、特異的分析物標識再捕捉アッセイ(SALRA)、液体クロマトグラフィー、質量分析、蛍光活性化細胞選別等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
「溶液」という用語は、溶媒及び溶質を含む組成物を指し、真溶液及び懸濁液を包含する。溶液の例としては、固体、液体、または液体中溶解されたガス、及び液体中に懸濁された粒子状物質またはミセルが挙げられる。
【0042】
「特異性」という用語は、特定の抗原結合分子または抗原結合タンパク質分子が結合することができる異なる種類の抗原または抗原決定基の数を指す。抗原結合タンパク質の特異性は、親和性及び/または結合力に基づいて決定され得る。抗原の抗原結合タンパク質との解離の平衡定数(KD)によって表される親和性は、抗原結合タンパク質上の抗原決定基と抗原結合部位との間の結合強度の尺度であり、KD値が低いほど、抗原決定基と抗原結合分子との間の結合強度が強い(あるいは、親和性は、1/KDである親和性定数(KA)としても表され得る)。当業者に明らかであるように、親和性は、目的とする特異的抗原に応じて決定され得る。結合力は、抗原結合分子と抗原との間の結合強度の尺度である。結合力は、抗原結合分子上の抗原決定基とその抗原結合部位との間の親和性にも抗原結合分子上に存在する関連結合部位の数にも関連している。抗原結合タンパク質の抗原または抗原決定基への特異的結合は、例えば、スキャッチャード分析及び/または競合的結合アッセイ、例えば、放射免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA)、及びサンドイッチ競合アッセイ等の任意の既知の様式によって決定され得る。
【0043】
本明細書で使用される場合、「組換え」という用語は、本発明のsdAbを産生するために使用される遺伝子操作方法(例えば、クローニング及び増幅)の使用を指す。
【0044】
「単一ドメイン抗体」、「sdAb」、または「VHH」は、一般に、3つの相補性決定領域によって中断されている4つのフレームワーク領域から成るアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはタンパク質として定義され得る。これは、FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4として表される。本発明のsdAbは、sdAbアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはタンパク質も含む。典型的には、sdAbは、ラマ等のラクダ科動物において産生されるが、当該技術分野で周知の技法を使用して合成的に生成することもできる。本明細書で使用される場合、天然に存在する重鎖抗体中に存在する可変ドメインは、それらを「VHドメイン」と称される従来の4鎖抗体中に存在する重鎖可変ドメイン及び「VLドメイン」と称される従来の4鎖抗体中に存在する軽鎖可変ドメインと区別するために「VHHドメイン」とも称される。「VHH」及び「sdAb」は、本明細書では同義に使用される。sdAbまたはポリペプチドのアミノ酸残基の番号付けは、Kabatら(「Sequence of proteins of immunological interest」、US Public Health Services,NIH Bethesda,MD、公開番号91)によって提供される一般的なVHドメイン番号付けに従う。この番号付けに従って、sdAbのFR1は、1〜30位にアミノ酸残基を含み、sdAbのCDR1は、31〜36位にアミノ酸残基を含み、sdAbのFR2は、36〜49位にアミノ酸を含み、sdAbのCDR2は、50〜65位にアミノ酸残基を含み、sdAbのFR3は、66〜94位にアミノ酸残基を含み、sdAbのCDR3は、95〜102位にアミノ酸残基を含み、sdAbのFR4は、103〜113位にアミノ酸残基を含む。
【0045】
「合成」という用語は、インビトロ化学または酵素合成による産生を指す。
【0046】
本明細書で使用される「標的」という用語は、sdAbによって認識される任意の成分、抗原、または部分を指す。「細胞内標的」という用語は、細胞内に存在する任意の成分、抗原、または部分を指す。「膜貫通標的」とは、細胞膜内に位置する成分、抗原、または部分である。「細胞外標的」とは、細胞外に位置する成分、抗原、または部分を指す。
【0047】
本明細書で使用される「治療組成物」とは、薬学的組成物、遺伝子材料、生物製剤、及び他の物質等の治療効果を有するよう意図されている物質を意味する。遺伝子材料としては、遺伝子ベクター、遺伝子調節要素、遺伝子構造要素、DNA、RNA等の直接または間接的遺伝子治療効果を有するよう意図されている物質が挙げられる。生物製剤としては、生き物であるか、または治療効果を有するよう意図されている生き物由来の物質が挙げられる。
【0048】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」及び「予防有効量」とは、疾患または疾患の明らかな症状の治療、予防、または管理において治療利益を提供する量を指す。治療有効量は、疾患、疾患の症状、または疾患素因を治すか、治癒するか、緩和するか、軽減するか、変化させるか、矯正するか、改善するか、改良するか、またはそれに作用する目的で、疾患もしくは状態、疾患の症状、または疾患素因を治療することができる。特定治療有効量は、通常の医師によって容易に決定され得、当該技術分野で既知の要因、例えば、疾患の種類、患者の病歴及び年齢、病期、ならびに他の治療薬の投与等によって変動し得る。
【0049】
本発明は、細胞内成分に対して指向された単一ドメイン抗体(sdAb)、ならびにこれらのsdAbを含むタンパク質及びポリペプチド、ならびにこれらのタンパク質及びポリペプチドをコードするヌクレオチドに関する。本発明は、細胞間、経細胞、及び細胞外標的または抗原に対して指向されたsdAbにも関し得る。本発明は、sdAb、タンパク質、及びポリペプチドをコードする核酸、ならびにsdAbを含む組成物も含む。本発明は、予防、治療、または診断目的のためのそれらの組成物、sdAb、タンパク質、またはポリペプチドの使用を含む。
【0050】
sdAbは、sdAbを機能的抗原結合ドメインまたはタンパク質としての使用に非常に有利にするいくつかの特有の構造特性及び機能特性を有する。sdAbは、軽鎖可変ドメインの不在下で抗原に機能的に結合し、単一の比較的小さい機能的抗原結合構造単位、ドメイン、またはタンパク質として機能することができる。これは、sdAbを、それら自体が抗原結合タンパク質またはドメインとして機能しないが、抗原に結合するためにFab断片またはScFv断片等の従来の抗体断片と結合されなければならない従来の抗体のドメインと区別する。
【0051】
sdAbは、当該技術分野で周知の方法を使用して得ることができる。例えば、sdAbを得るための一方法としては、(a)ラクダ科動物を1つ以上の抗原で免疫化すること、(b)末梢リンパ球を免疫化されたラクダ科動物から単離し、全RNAを得て、対応するcDNAを合成すること、(c)VHHドメインをコードするcDNA断片のライブラリを構築すること、(d)PCRを使用してステップ(c)で得られたVHHドメインコードcDNAをmRNAに転写し、このmRNAをリボソームディスプレイ形式に変換し、リボソームディスプレイによってVHHドメインを選択すること、及び(e)好適なベクターでVHHドメインを発現させ、任意に発現したVHHドメインを精製することが挙げられる。
【0052】
本発明のsdAbを得る別の方法は、核酸を合成し、続いてインビボまたはインビトロで核酸を発現させる技法を使用してsdAbをコードする核酸を調製することによる。さらに、本発明のsdAb、ポリペプチド、及びタンパク質は、タンパク質、ポリペプチド、または他のアミノ酸配列を調製するための合成または半合成技法を使用して調製することができる。
【0053】
本発明のsdAbは、一般に、野生型標的における本発明のsdAbが結合する抗原決定基もしくはエピトープと本質的に同じ1つ以上の抗原決定基もしくはエピトープを含有する標的の全ての天然に存在するまたは合成の類似体、変異形、変異体、対立遺伝子、部分、及び断片に結合するか、またはそれらの標的の類似体、変異形、変異体、対立遺伝子、部分、及び断片に少なくとも結合する。本発明のsdAbは、本発明のsdAbが野生型標的に結合する親和性及び特異性と同じか、またはそれよりも高いもしくは低い親和性及び/または特異性を有する類似体、変異形、変異体、対立遺伝子、部分、及び断片に結合し得る。本発明のsdAbが、この標的のいくつかの類似体、変異形、変異体、対立遺伝子、部分、及び断片に結合するが、他には結合しないことも本発明の範囲内で企図される。加えて、本発明のsdAbは、ヒト化されてもよく、一価もしくは多価であってもよく、かつ/または多特異性であってもよい。さらに、本発明のsdAbは、標的タンパク質のリン酸化形態、ならびに標的タンパク質の非リン酸化形態に結合することができる。sdAbは、アルブミン等の他の分子または他の巨大分子に連結されてもよい。
【0054】
加えて、sdAbが多価である、すなわち、sdAbが標的の2つ以上の異なるエピトープに対して指向された2つ以上のタンパク質またはポリペプチドを有し得ることは、本発明の範囲内である。かかる多価sdAbでは、タンパク質またはポリペプチドは、例えば、同じエピトープ、実質的に同等のエピトープ、または異なるエピトープに対して指向され得る。異なるエピトープは、同じ標的上に位置し得るか、または2つ以上の異なる標的上に存在し得る。
【0055】
本発明の1つ以上のsdAbの配列が1つ以上のリンカー配列で接続または連結され得ることも企図される。このリンカーは、例えば、セリン、グリシン、及びアラニンの組み合わせを含有するタンパク質配列であり得る。
【0056】
本発明のsdAbの部分、断片、類似体、変異体、変異形、対立遺伝子、及び/または誘導体が所望の使用に好適である限り、これらを使用することも本発明の範囲内である。
【0057】
本発明のsdAbが治療及び/または診断使用に主に意図されているため、それらは、哺乳類標的、好ましくはヒト標的に対して指向される。しかしながら、本明細書に記載のsdAbが、他の種由来の標的、例えば、霊長類または他の動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、またはイヌ)及び具体的には疾患及び標的に関連する疾患に関連する障害の動物モデルの1つ以上の他の種由来の標的と交差反応性であることも可能である。
【0058】
別の態様では、本発明は、本発明のsdAbをコードする核酸に関する。かかる核酸は、例えば、遺伝子構築物の形態であり得る。
【0059】
別の態様では、本発明は、本発明のsdAbを発現するか、またはそれを発現することができ、かつ/または本発明のsdAbをコードする核酸を含有する宿主もしくは宿主細胞に関する。sdAbの配列を使用して任意の生物のゲノムに挿入し、遺伝子組換え生物(GMO)を作製することができる。例としては、植物、細菌、ウイルス、及び動物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
本発明はさらに、sdAbを調製または生成するための方法、sdAbをコードする核酸、かかるsdAbを発現するか、またはそれを発現することができる宿主細胞、本発明のsdAbを含有する生成物及び組成物に関する。
【0061】
本発明はさらに、本明細書に記載のsdAb、sdAbをコードする核酸、宿主細胞、生成物、及び組成物の適用及び使用に関する。かかる生成物または組成物は、例えば、疾患の治療もしくは予防用の薬学的組成物、または診断に使用するための生成物もしくは組成物であり得る。sdAbを様々なアッセイ、例えば、ELISAアッセイ及び質量分析アッセイに使用して、sdAbの血清及び組織濃度を測定することができる。
【0062】
別の態様では、本発明の1つ以上のsdAbをコードする核酸が生物のゲノムに挿入されて、疾患を治療または予防することができる。
【0063】
本発明は、概して、sdAb、ならびに予防、治療、及び/または診断目的のために使用され得る、かかるsdAbのうちの1つ以上を含むか、またはそれらから本質的になるタンパク質またはポリペプチドに関する。
【0064】
本発明に詳述される方法及び組成物を使用して、本明細書に記載の疾患を治療することができ、これらの方法及び組成物を、本明細書に記載のまたはさもなければ既知のいずれの投薬量及び/または製剤とともに、かつ本明細書に記載のまたはさもなければ当業者に既知のいずれの投与経路で使用することができる。
【0065】
本発明のsdAb、具体的には、本発明の抗STAT3VHH、抗KRASVHH、及び抗TNF−アルファVHHは、多発性骨髄腫、白血病(HTLV−1依存性、赤白血病、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、及び大型顆粒リンパ球白血病(LGL)、リンパ腫(EBV関連/バーキット、菌状息肉腫、皮膚T細胞性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、頭頸部癌、黒色腫、卵巣癌、肺癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、骨肉腫、カポジ肉腫、ユーイング肉腫、肝細胞癌、神経膠腫、神経芽細胞腫、星状細胞腫、結腸直腸癌、ウィルムス腫瘍、腎臓癌、膀胱癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、食道癌、皮膚扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、及び任意の転移性癌を含むが、これらに限定されない悪性疾患の治療及び予防のために使用され得る。sdAbを癌患者に使用して、癌に起因する体重減少または悪液質を予防または低減する助けとなることができる。
【0066】
本発明のsdAb、具体的には、抗STAT3及び抗TNF−アルファsdAbは、自己免疫疾患(例えば、リウマチ性関節炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、細菌誘導性大腸炎、喘息、強皮症、ループス、脳脊髄炎、動脈炎、血管炎、糸球体腎炎、ブドウ膜炎、ブドウ膜網膜炎、多発性硬化症)、多発性嚢胞腎、皮膚疾患(例えば、乾癬、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、ケロイド/肥厚性瘢痕、脂肪腫、パジェット病、及び光線性角化症)、汗腺膿瘍、移植(例えば、固形臓器、骨髄、手、顔、肢、任意の身体部分)、癌及び加齢に関連した筋ジストロフィー及び筋肉疲労、子宮内膜症、黄斑変性、網膜変性、発作、癲癇、外傷性脳及び脊髄損傷、高血圧症、心臓肥大、アルツハイマー病、肺動脈高血圧症、2型糖尿病、ならびに強直性脊椎炎等であるが、これらに限定されない疾患の治療及び予防にも使用され得る。さらに、sdAbは、奇病を標的とすることができる。これらの稀な奇病の例としては、トリプルネガティブ乳癌、膵臓癌、AML(急性骨髄性白血病)、頭頸部癌、多発性骨髄腫、及び化学療法耐性癌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
ウイルス感染は、感染細胞中の細胞内ウイルスタンパク質を標的とすることによって治療することができる。HIV逆転写酵素等のウイルスタンパク質は、ウイルス生活環を阻止することができる。本発明のsdAbは、エボラVP24等の細胞内ウイルスタンパク質も標的とすることができ、それ故に、宿主の抗ウイルス免疫応答を停止するエボラの能力を阻止することができる。細胞内分子の過剰発現が存在する場合、本発明のsdAbを使用して、疾患を標的とすることができる。ハンチントン病は、sdAbで治療することができる。
【0068】
本発明のsdAbは、1つ以上の化合物とともに使用され得る。例えば、本発明のsdAbは、例えば、クルクミン、レスベラトロル、ククルビタシンA、B、E、I、Q、フラボピリドール、デオキシテトランゴマイシン、シクロペンテノン誘導体、N−アシルホモセリンラクトン、インジルビン誘導体、メイソインジゴ、チルホスチン、白金含有化合物(例えば、IS3−295)、ペプチド模倣薬、アンチセンスオリゴヌクレオチド、S3I−201、ホスホチロシントリペプチド誘導体、HIVプロテアーゼ阻害剤(例えば、ネルフィナビル、インジナビル、サキナビル、及びリトナビル)、JSI−124、XpYL、Ac−pYLPQTV−NH2、ISS 610、CJ−1383、ピリメタミン、メトホルミン、アチプリモド、S3I−M2001、STX−0119、N−[2−(1,3,4−オキサジアゾリル)]−4キノリンカルボキサミド誘導体、S3I−1757、LY5、5,8−ジオキソ−6(ピリジン−3−イルアミノ)−5,8,−ジヒドロ−ナフタレン−1−スルホンアミド、ウィサシンスチン(withacinstin)、Stattic、STA−21、LLL−3、LLL12、XZH−5、SF−1066、SF−1087、17o、クリプトタンシノン、FLL32、FLL62、C188−9、BP−1108、及びBP−1075、ガリエララクトン、JQ1、5、15 DPP、WP1066、ニクロサミド、SD1008、ニフロキサジド、クリプトタンシノン、BBIキノン、ならびにルキソリトニブリン酸塩等のJAK/STAT阻害剤とともに使用され得る。1つ以上の化合物は、治療応答を増大させ、本発明のsdAbの有効性を増補し得る。加えて、sdAbの有効性は、それをペプチド、ペプチド模倣薬、及び他の薬物(例えば、シメチジン、アトルバスタチン、セレコキシブ、メトホルミン、及びシメチジン等であるが、これらに限定されない)と組み合わせることによって増大し得る。加えて、抗STAT3 sdAbは、放射線療法に関して放射線抵抗性癌を放射線感受性癌に変換し得る。
【0069】
本発明の1つ以上のsdAbを組み合わせることができるか、または本発明のsdAbを他のsdAbと組み合わせることができることも企図される。
【0070】
本発明のある特定のsdAbが、sdAb上のさらなる標的タンパク質配列を用いることなく、かつ細胞表面受容体に結合して細胞膜を通過するようにsdAbを指向する外因性化合物を用いることなく、細胞膜を通過してその細胞に進入することができることが企図される。
【0071】
細胞膜を通過した後、これらのsdAbは、膜貫通または細胞内分子または抗原を標的とすることができる。これらの細胞内または膜貫通標的は、例えば、タンパク質、炭水化物、脂質、核酸、変異タンパク質、ウイルスタンパク質、及びプリオンであり得る。sdAb標的は、酵素、その細胞の構造タンパク質、細胞膜分子の細胞内部分、細胞小器官の膜内の分子、任意の種類のRNA分子、任意のDNAまたは染色体領域、メチル化または非メチル化核酸、その細胞の合成機構内の部分的に集合した分子、二次メッセンジャー分子、及び細胞シグナル伝達機構内の分子として機能し得る。標的は、細胞質、核、細胞小器官、及び細胞膜内の全ての分子を含み得る。細胞膜において分泌されるか、または置き換えられる運命にある分子は、その細胞を出る前に細胞質内で標的とされ得る。
【0072】
sdAb標的は、ヒト、動物、植物、真菌、寄生生物、原生生物、細菌、ウイルス、プリオン、原核細胞、及び真核細胞に存在し得る。本発明のsdAbによって標的とされ得る細胞間及び細胞内シグナル伝達分子及びタンパク質群のいくつかの例は、癌遺伝子産物、ホルモン、サイトカイン、成長因子、神経伝達物質、キナーゼ(チロシンキナーゼ、セリンキナーゼ、及びスレオニンキナーゼ等)、ホスファターゼ、ユビキチン、環状ヌクレオチド、シクラーゼ(アデニリル及びグアニリル)、Gタンパク質、ホスホジエステラーゼ、GTPアーゼスーパーファミリー、免疫グロブリン(抗体、Fab断片、結合剤、sdAb)、免疫グロブリンスーパーファミリー、イノシトールリン酸脂質、ステロイド受容体、カルモジュリン、CD群(例えば、CD4、CD8、CD28等)、転写因子、TGF−ベータ、TNF−アルファ及びベータ、TNFリガンドスーパーファミリー、Notch受容体シグナル伝達分子、ヘッジホッグ受容体シグナル伝達分子、Wnt受容体シグナル伝達分子、Toll様受容体シグナル伝達分子、カスパーゼ、アクチン、ミオシン、ミオスタチン、12−リポキシゲナーゼ、15−リポキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼスーパーファミリー、逆転写酵素、ウイルス及びそれらのタンパク質、アミロイドタンパク質、コラーゲン、Gタンパク質共役型受容体、変異正常タンパク質、プリオン、Ras、Raf、Myc、Src、BCR/ABL、MEK、Erk、Mos、Tpl2、MLK3、TAK、DLK、MKK、p38、MAPK、MEKK、ASK、SAPK、JNK、BMK、MAP、JAK、PI3K、シクロオキシゲナーゼ、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5a、STAT5b、STAT6、Myc、p53、BRAF、NRAS、KRAS、HRAS、ならびにケモカインである。
【0073】
KRASは、哺乳類ras遺伝子ファミリー由来のKirsten ras癌遺伝子ホモログである。KRASは、小GTPアーゼスーパーファミリーのメンバーであるタンパク質をコードする。このタンパク質は、肺腺癌、粘液性癌、膵臓腺管癌、及び結腸直腸癌等の様々な悪性腫瘍に関与する。正常な条件下で、Rasファミリーメンバーは、細胞内膜区画化に基づくシグナル伝達系における細胞成長及び分化事象に影響を及ぼす。しかしながら、発癌性Rasは、細胞増殖及びアポトーシスの両方を制御するプロセスを調節解除し得る。
【0074】
抗KRAS sdAbを、悪性細胞、例えば、結腸直腸癌、膵臓癌、胆道癌、肺癌、白血病、及び他の転移性悪性腫瘍に関与する細胞等におけるその役割を崩壊させるために野生型及び変異KRAS(G12D)を標的とするように開発した。特定の機構によって束縛されることなく、抗KRAS sdAbがKRASに結合し、悪性細胞におけるKRASの下流シグナル伝達を阻止すると考えられる。さらに、抗KRAS sdAbは、抗EGFR生物製剤(例えば、セツキシマブ及びパニツムマブ)に耐性を示す悪性腫瘍の治療に成功し得る。
【0075】
組換えヒト変異体KRAS(G12D)タンパク質を使用して、KRASもしくは変異体KRAS(G12D)のエピトープまたは他のKRAS変異体に対して指向されるか、またはそれに結合することができるsdAbを、当該技術分野で周知の方法を使用して生成した。さらに、他のKRAS変異体に対するsdAbも生成することができる。抗KRAS sdAbを生成するために、組換え全長ヒトKRAS(遺伝子ID:3845)を大腸菌で発現させた。
【0076】
いくつかのsdAbを得て、スクリーニングした。KRAS_13(配列番号1)と名付けられた1つの抗KRAS(G12D)sdAbのDNA配列を以下に示す。
【化1】
【0077】
抗KRAS(G12D)sdAbのアミノ酸配列(配列番号2)、KRAS_13を以下に示し、CDRには下線が引かれている。
【化2】
【0078】
さらに、本発明は、本発明の抗KRAS sdAbの1つ以上のドメインに対して指向された1つ以上のマウスモノクローナル抗体を含む。このマウスモノクローナル抗体は、当業者に既知の方法によって生成することができ、例えば、このマウスモノクローナル抗体は、マウスハイブリドーマによって産生することができる。このマウスモノクローナル抗体を診断アッセイに使用することができ、例えば、この抗体をELISAまたは質量分析アッセイ等の免疫アッセイに使用して、患者の血清中に存在する抗KRAS sdAbの量を測定することができる。以下に記載されるように、PANC−1ヒト膵臓癌細胞におけるKRAS(G12D)sdAbの細胞毒性を試験した。
【0079】
STAT3は、シグナル伝達及び転写機能の活性化の両方を保有するタンパク質のシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)ファミリーのメンバーである。STAT3は、広範に発現され、EGF、IL−6、PDGF、IL−2、及びG−CSF等の様々なサイトカイン及び成長因子に応答してDNA結合タンパク質としてチロシン及び/またはセリンにおけるリン酸化によって活性化される。STAT3リンタンパク質は、STATファミリーの他のメンバーとともにホモ二量体及びヘテロ二量体を形成し、核に移動して様々な遺伝子の転写を調節し、結果として、細胞成長、アポトーシス、血管新生、免疫回避、及び生存等の多くの細胞過程において重要な役割を果たす。
【0080】
抗STAT3 sdAbは、患者及び他の生物に与えられて、リン酸化及び非リン酸化STAT3によって引き起こされる疾患を治療し、かつ疾患の発症または疾患の再発を予防することができる。例えば、臓器移植及び骨髄移植を受けた患者は、彼らが服用する免疫抑制薬剤のため、皮膚SCCA及びBCCAにかかる危険性がより高い。抗STAT3 sdAbの投与により、この危険性を低減または排除することができる。再発の危険性がある悪性腫瘍の治療を受けた患者は、抗STAT3 sdAbでの治療から恩恵を受ける。家族病歴及びHLA型に基づいて、一部の個体は、ある種類の自己免疫疾患にかかる危険性が高く、その自己免疫疾患を発症する危険性を低減するためのsdAbでの治療から恩恵を受けることができる。乳癌の危険性は、近年のNCI研究で実証されているように、GLG−302等の抗STAT3薬剤の投与により低減され得る。
【0081】
STAT3の阻害に加えて、抗STAT3 sdAbは、これらの分子間の相同性が高いという理由から、STAT1、STAT2、STAT4、STAT5a、STAT5b、及びSTAT6も阻害することができる。
【0082】
組換えヒトSTAT3タンパク質を使用して、STAT3のエピトープに対して指向されるか、またはそれに結合することができる抗STAT sdAbを産生した。抗STAT3 sdAbを生成するために、組換え全長ヒトSTAT3(遺伝子ID:6774)をSf9昆虫細胞でバキュロウイルスによって発現させた。この抗STAT sdAbを、図1及び2に示されるように、細菌細胞及び哺乳類細胞の両方で発現されたベクターにクローニングした。
【0083】
細胞成長、例えば、癌細胞成長の抑制等を阻害するために、本発明の抗STAT3 sdAbを使用して、細胞内のSTAT3及び全ての他のSTAT分子を標的とすることができる。加えて、抗STAT3 sdAbは、VEGFによる乾癬及び黄斑変性等の他の増殖性疾患における細胞成長を阻害することができる。
【0084】
特定の作用機構に限定されることなく、抗STAT3 sdAbが、抗原提示細胞、例えば、宿主樹状細胞等中のSTAT3濃度を低減することによって、癌誘発性免疫抑制を排除することができると考えられる。STAT3阻害は、患者の先天性及び適応性免疫系(すなわち、樹状細胞、マクロファージ、好中球、T細胞、NK細胞、及びB細胞)により抗癌応答を促進することができる。
【0085】
当該技術分野で周知の方法を使用して、いくつかの抗STAT sdAbを得て、以下に記載されるように、癌細胞成長を抑制し、かつ癌細胞株におけるアポトーシスを誘発する能力についてスクリーニングした。抗STAT3 sdAbの細胞毒性及び抗増殖性活性を試験した。加えて、抗STAT3 sdAbの耐性をインビトロ及びインビボで試験した。抗STAT sdAbの1つ以上のドメインに対して指向されたマウスモノクローナル抗体が以下に記載される。
【0086】
VHH13(配列番号3)と名付けられた1つの抗STAT3 sdAbのアミノ酸配列を以下に示す。
【化3】

3つのCDRには下線が引かれている。
【0087】
VHH14(配列番号4)と名付けられた第2の抗STAT3 sdAbのアミノ酸配列を以下に示す。
【化4】
【0088】
この場合も同様に、3つのCDRには下線が引かれている。得られた他の抗STAT3 sdAbのタンパク質配列は、以下のとおりである。
STAT3_10(配列番号5):
【化5】

STAT3_34(配列番号6):
【化6】

STAT3_19(配列番号7):
【化7】

STAT3_14(配列番号8):
【化8】

STAT3_35(配列番号9):
【化9】

STAT3_9(配列番号10):
【化10】

STAT3_30(配列番号11):
【化11】

STAT3_23(配列番号12):
【化12】

STAT3_24(配列番号13):
【化13】

STAT3_36(配列番号14):
【化14】

STAT3_12(配列番号15):
【化15】

STAT3_16(配列番号16):
【化16】

STAT3_11(配列番号17):
【化17】

STAT3_20(配列番号18):
【化18】

STAT3_2(配列番号19):
【化19】

STAT3_15(配列番号20):
【化20】

STAT3_6(配列番号21):
【化21】

STAT3_33(配列番号22):
【化22】

STAT3_17(配列番号23):
【化23】

STAT3_25(配列番号24):
【化24】

STAT3_32(配列番号25):
【化25】

STAT3_13(配列番号26):
【化26】

STAT3_39(配列番号27):
【化27】

STAT3_4(配列番号28):
【化28】

STAT3_29(配列番号29):
【化29】
【0089】
対応する抗STAT3 DNA配列は、以下のとおりである。
【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】
【0090】
さらに、本発明は、本発明の抗STAT3 sdAbの1つ以上のドメインに対して指向された1つ以上のマウスモノクローナル抗体を含む。このマウスモノクローナル抗体は、当業者に既知の方法によって生成することができ、例えば、このマウスモノクローナル抗体は、マウスハイブリドーマによって産生することができる。このマウスモノクローナル抗体を診断アッセイに使用することができ、例えば、この抗体をELISA等の免疫アッセイに使用して、患者の血清中に存在する抗STAT3 sdAbの量を測定することができる。この方法が抗STAT3 sdAbに限定されず、この方法を使用して、本発明のsdAbのうちのいずれかに指向されたマウス抗体を産生することができることを理解されたい。
【0091】
TNF−アルファ遺伝子は、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーに属する多機能性炎症誘発性サイトカインをコードする。このサイトカインは、主にマクロファージによって分泌される。このサイトカインは、成長調節、分化、炎症、ウイルス複製、腫瘍形成、及び自己免疫疾患、ならびにウイルス、細菌、真菌、及び寄生虫感染を含む広範囲の生物学的過程の調節に関与する。腫瘍の出血性壊死の誘発に加えて、TNFが、腫瘍形成、腫瘍転移、ウイルス複製、敗血症性ショック、発熱、炎症、悪液質、及び自己免疫疾患、例えば、クローン病、及びリウマチ性関節炎、ならびに移植片対宿主疾患に関与することが見出された。
【0092】
本発明は、細胞によるTNF−アルファの分泌を阻止するように、細胞または細胞膜内のTNF−アルファ、具体的には、ヒトTNF−アルファに対して指向されたsdAb、タンパク質、及びポリペプチドを提供する。
【0093】
本発明の抗TNF−アルファsdAb及びポリペプチドが、TNF−アルファに関連し、かつ/またはそれによって媒介される疾患及び障害、例えば、炎症、リウマチ性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸症候群、多発性硬化症、アジソン病、自己免疫性肝炎、自己免疫性耳下腺炎、1型糖尿病、精巣上体炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、溶血性貧血、全身性エリテマトーデス、男性不妊、多発性硬化症、重症筋無力症、天疱瘡、乾癬、リウマチ熱、リウマチ性関節炎、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、脊椎関節症、甲状腺炎、血管炎、ならびに癌に起因する体重減少及び悪液質の予防及び/または治療のために使用され得ることが企図される。
【0094】
TNF−アルファは、異なる形態で存在し、単量体及び三量体形態等の多量体形態がある。本発明のsdAb、タンパク質、及びポリペプチドが、TNF−アルファの異なる形態、すなわち、単量体及び多量体形態に結合することは本発明の範囲内である。したがって、本発明のsdAb、タンパク質、及びポリペプチドがTNF−アルファに指向される場合、これが、TNF−アルファの三量体形態に対して指向されたsdAb、タンパク質、及びポリペプチドも含むことを理解されたい。
【0095】
TNFによるシグナル伝達が、3つの受容体結合部位を含有するTNF分子の三量体によるTNF受容体による架橋を伴うことが知られている(例えば、Peppel et al.,J.Exp.Med.,174(1991),1483−1489を参照のこと)。
【0096】
組換えヒトTNF−アルファタンパク質を使用して、TNF−アルファのエピトープに対して指向されるか、またはそれに結合することができるsdAbを生成した。抗TNF−アルファsdAbを生成するために、組換え全長ヒトTNF−アルファ(遺伝子ID:7124)を大腸菌で発現させ、標的抗原として使用した。
【0097】
TNF−アルファタンパク質に対するsdAbを35個得た。これらの抗TNF−アルファ抗体を配列相同性に基づいて3つの群に分けた。
【0098】
TNF−アルファVHH66と名付けられた第1の抗TNF−アルファsdAbのアミノ酸配列(配列番号45)sdAbを以下に示す。
【化45】

3つのCDRには下線が引かれている。
【0099】
TNF−アルファVHH69と名付けられた第2の抗TNF−アルファsdAbのアミノ酸配列(配列番号46)sdAbを以下に示す。
【化46】

3つのCDRには下線が引かれている。
【0100】
TNF−アッファVHH62と名付けられた第3の抗TNF−アルファsdAbのアミノ酸配列(配列番号47)sdAbを以下に示す。
【化47】
【0101】
3つのCDRには下線が引かれている。見つけられた他の抗TNF−アルファsdAbは以下の配列を含み、この場合も同様に、CDRには下線が引かれている。
TNF_2(配列番号48):
【化48】

TNF_46(配列番号49):
【化49】

TNF_71(配列番号50):
【化50】

TNF_21(配列番号51):
【化51】

TNF_38(配列番号52):
【化52】

TNF_18(配列番号53):
【化53】

TNF_37(配列番号54):
【化54】

TNF_66(配列番号55):
【化55】

TNF_68(配列番号56):
【化56】

TNF_78(配列番号57):
【化57】

TNF_67(配列番号58):
【化58】

TNF_6(配列番号59):
【化59】

TNF_7(配列番号60):
【化60】

TNF_13(配列番号61):
【化61】

TNF_60(配列番号62):
【化62】

TNF_73(配列番号63):
【化63】

TNF_69(配列番号64):
【化64】

TNF_76(配列番号65):
【化65】

TNF_62(配列番号66):
【化66】

TNF_43(配列番号67):
【化67】

TNF_15(配列番号68):
【化68】

TNF_11(配列番号69):
【化69】

TNF_17(配列番号70):
【化70】

TNF_63(配列番号71):
【化71】

TNF_20(配列番号72):
【化72】

TNF_58(配列番号73):
【化73】

TNF_27(配列番号74):
【化74】

TNF_28(配列番号75):
【化75】

TNF_4(配列番号76):
【化76】

TNF_14(配列番号77):
【化77】

TNF_3(配列番号78):
【化78】

TNF_1(配列番号79):
【化79】

TNF_45(配列番号80):
【化80】

TNF_22(配列番号81):
【化81】
【0102】
以下に記載されるように、いくつかのTNF−アルファsdAbのインビトロ成長阻害を試験した。さらに、本発明は、本発明の抗TNF−アルファsdAbの1つ以上のドメインに対して指向された1つ以上のマウスモノクローナル抗体を含む。このマウスモノクローナル抗体は、上述のように、当業者に既知の方法によって生成することができる。このマウスモノクローナル抗体を、診断アッセイ、例えば、ELISA等の免疫アッセイ等に使用して、患者の血清中に存在する抗TNF−アルファsdAbの量を測定することができる。
【0103】
RAFタンパク質は、細胞外シグナルを、細胞成長、分化、及び生存を制御するマイトジェン活性化タンパク質キナーゼカスケードに伝達する際に中央中間体としての役割を果たすセリン/トレオニン特異的キナーゼのファミリーである。BRAFは、成長因子誘発刺激時にRasファミリーのメンバーによって活性化されるRAFファミリーのメンバーである。活性Rasは、cRaf及びBRAFのヘテロ二量体化を誘導し、これにより、成長因子シグナルに応答する細胞におけるcRaf及びBRafの協同性の観察が説明され得る。BRAF遺伝子における活性化変異は、ヒト悪性黒色腫の大きな割合及び結腸癌のある割合に存在する。これらの変異の大半は、BRAFの活性化区分内の残基599にバリンからグルタミン酸への変化をもたらす。
【0104】
抗BRAF sdAbを、悪性細胞、例えば、結腸癌及び他の悪性腫瘍に関与する細胞等におけるその役割を崩壊させるために野生型及び変異BRAFを標的とするように開発した。
【0105】
組換えヒトBRAFタンパク質を使用して、BRAFのエピトープに対して指向されるか、またはそれに結合することができるsdAbを、当該技術分野で周知の方法を使用して生成した。
【0106】
さらに、本発明は、本発明の抗BRAF sdAbの1つ以上のドメインに対して指向された1つ以上のマウスモノクローナル抗体を含む。このマウスモノクローナル抗体は、当業者に既知の方法によって生成することができる。このマウスモノクローナル抗体を診断アッセイに使用することができ、例えば、この抗体をELISA等の免疫アッセイに使用して、患者の血清中に存在する抗BRAF sdAbの量を測定することができる。
【実施例】
【0107】
例1:抗STAT3 VHH13(配列番号3)sdAbは、STAT3に結合する
この例では、オクテットに基づく無標識アッセイを使用して、STAT3に対する2つのVHH標的の親和性を測定した。抗STAT3 VHH13(配列番号3)sdAb、抗KRAS(陰性対照)、及びGST−STAT3(16kDa一価抗原、Creative BioMart #STAT3−1476H)を、このアッセイで抗原プローブとして使用した。疎水性タンパク質専用のアミノプロピルシラン(APS)浸漬及び読み取りバイオセンサーを使用して、GST−STAT3タンパク質をPBS中20μg/mLで捕捉した。その後、これらのプローブを、指示される濃度でGST−STAT3タンパク質、抗STAT3 VHH13(配列番号3)sdAb、または抗KRASを有するウェル中に浸漬させた。抗原の会合速度(オン速度)を測定した。これらのセンサーを水中1%BSAでクエンチした。これらのプローブをアッセイ緩衝液(PBS)中に浸漬させ、解離速度(オフ速度)を測定した。
【0108】
抗原の抗原結合タンパク質との解離の平衡定数(KD)によって表される親和性を得られた親和性定数(KA)から決定し、KDには、以下の表1に示されるように1:1グローバルフィット分析Fortebioソフトウェアを使用した。0.95を超えるR2値を有する曲線のKD値を平均化することによって親和性を決定した。250nMの抗STAT3 VHH13データ点が外れ値であるため、これを除外した。抗STAT3 VHH13(配列番号3)sdAbの親和性が1.16×10−7であると決定した。抗KRAS VHHの親和性は決定されなかった。
【表1】
【0109】
例2:免疫沈降研究
STAT3 sdAbの特異性をヒト乳癌細胞でアッセイした。この例では、MDA−MB−231ヒト乳癌細胞を50%〜70%コンフルエンスまで成長させた。その後、これらの細胞を、新たに調製した氷上の氷冷溶解緩衝液(20mM HEPES、pH7.9、400mM NaCl、0.1%NP−40、10%グリセロール、1mMバナジウム酸ナトリウム、1mMフッ化ナトリウム、1mMジチオスレイトール、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル、10μg/mLアプロチニン、10μg/mLロイペプチン)中で45分間にわたって破壊した。その後、溶解物を遠心分離し、上清を収集し、修正ローリー法(Bio Rad,Hercules,CA)を使用してタンパク質濃度を決定した。総タンパク質(1mg)を、STAT3に対するsdAbを有する1.5mgのダイナビーズ(Invitrogen)、陽性対照(STAT3、カタログ番号SC−482、Santa Cruz Biotechnology,Dallas,TX)、または陰性対照(STAT−1、カタログ番号9172、Cell Signaling,Danvers,MA)とともに4℃で1時間インキュベートした。その後、ビーズを洗浄した。最終洗浄後、60μLの溶解緩衝液を添加し、結果として生じた上清をウエスタンブロット分析に供した。簡潔に、試料を10%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、ニトロセルロース膜に移した。これらの膜をブロックし、その後、適切な一次及び二次抗体とともにインキュベートした。陽性対照として使用した抗STAT3抗体は、Cell Signaling(カタログ番号4904、Danvers,MA)からのものであった。Santa Cruz Biotechnology(Dallas,TX)のECLシステムを使用して化学発光反応を行った。
【0110】
図3に図解されるように、内因性STAT3は、異なる量で試験した全てのsdAbで免疫沈降した。Mは、マーカーを含有するマーカーレーンであり、レーン1は、哺乳類細胞から産生及び単離されたSTAT3 VHH13(配列番号3)を含有し、レーン2は、哺乳類細胞から産生及び単離されたSTAT3 VHH14(配列番号4)を含有し、レーン3は、細菌細胞から産生及び単離されたSTAT3 VHH13(配列番号3)を含有し、レーン4は、哺乳類細胞から産生及び単離されたSTAT3 VHH14(配列番号4)を含有し、レーン5は、陽性STAT3抗体であり、陰性対照としてSTAT−1を使用したレーン6は、バンドを示さなかった。
【0111】
例3:抗STAT3細菌性VHH13は、構成的に活性化されたSTAT3を含有する細胞株に高親和性で結合する
ヒト(PANC−1及びDU145)及びマウス(4T1)細胞株における構成的に活性化されたSTAT3を使用して、細菌性抗STAT3 VHH13(配列番号3)の特異性をアッセイした。市販のHeLa細胞もインターフェロンガンマ(INFΓ)で処理して、リン酸化STAT3を誘導した。PC−3 STAT3ヌル細胞株を陰性対照として使用した。
【0112】
これらの細胞を50%〜70%コンフルエンスまで成長させ、その後、上述のように、新たに調製した氷上の氷冷溶解緩衝液中で45分間にわたって破壊した。その後、溶解物を遠心分離し、上清を収集し、上述のようにタンパク質濃度を決定した。総タンパク質(1mg)を、細菌性抗STAT3 VHH13(配列番号3)を含有する1.5mgのダイナビーズ(Invitrogen)または陰性対照(KRAS、Creative Biolabs,Shirley,NY)とともに4℃で1時間インキュベートした。その後、ビーズを洗浄した。最終洗浄後、例2に記載されるように、60μLの溶解緩衝液を添加し、結果として生じた上清をウエスタンブロット分析に供した。
【0113】
図4に図解されるように、内因性STAT3を、構成的に活性化されたSTAT3細胞株:PANC−1(レーン1)、DU145(レーン2)、及び4T1(レーン4)において細菌性VHH13 STAT3(配列番号3)で免疫沈降した。さらに、細菌性VHH13 STAT3(配列番号3)は、HeLa溶解物中のリン−STAT3(レーン3)に結合した。PANC−1 KRAS(レーン3)及びPC−3(陰性対照)(レーン6)のいずれのバンドも見られなかった。
【0114】
例4:MDA−MB−231癌細胞株における抗STAT3 sdAbの細胞毒性研究
この例では、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231を使用して、抗STAT3 sdAbの抗増殖効果をアッセイした。この実験のために、MDA−MB−231細胞が90%コンフルエンスに達するまでこれらの細胞を成長させた。その時点で、細胞を洗浄し、トリプシン処理し、Coulter計数器(Beckman,Brea,CA)を使用して計数した。3−[4,5−ジメチルチアオールイル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウム臭化物(MTT)アッセイを使用して増殖試験を行った。このアッセイのために、細胞を製造業者(Roche Diagnostics Corporation,Indianapolis,IN)によって指示されるように96ウェルプレートに5×10/ウェルの密度で播種した。細胞を24時間接着させ、その後、sdAbを適切な濃度(すなわち、0、0.5、1.0、10.0、または100μg/mL)で添加した。細胞を3日目に計数した。5日間処理された細胞の場合、sdAbを含有する新鮮培地を3日目に新鮮なものに取り換えた。終了時、製造業者によって指示されるように、10μLのMTT試薬(0.5mg/mL)を各ウェルに添加した。4時間インキュベートした後、100μLの可溶化溶液を添加し、プレートをインキュベーター内に一晩設置した。Biotekプレートリーダー(Winooski,VT)を使用して全てのプレートを570nmの波長で読み取った。
【0115】
GraphPad InStat 3(GraphPad Software,Inc.,La Jolla,CA)を使用して全てのデータを分析した。一方向ANOVAを使用して処理群をビヒクル対照群と比較した。有意差(p<0.05)が観察された場合、チューキー・クレーマー多重比較検定を行った。
【0116】
MTT実験に基づいて、以下の表2〜5に示されるように、細菌性VHH13 抗STAT3(配列番号3)sdAbが処理後3日目及び5日目の細胞成長の阻害に有効であることが見出された。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】
【0117】
例5:ヒト乳癌(MDA−MB−231)及び膵臓癌(PANC−1)細胞株における抗STAT3 sdAbの細胞毒性研究
この例では、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231及びヒト膵臓癌細胞株PANC−1を使用して、抗STAT3 VHH13(配列番号3)及びVHH14(配列番号4)sdAbの抗増殖効果をアッセイした。この実験のために、MDA−MB−231細胞及びPANC−1細胞を90%コンフルエンスに達するまでこれらの細胞を成長させた。その時点で、細胞を洗浄し、トリプシン処理し、Coulter計数器(Beckman,Brea,CA)を使用して計数した。上述のMTTアッセイを使用して増殖研究を行った。5日間処理された細胞の場合、抗STAT3 sdAbを含有する新鮮培地を3日目に新鮮なものに取り換えた。
【0118】
GraphPad InStat 3を使用して全てのデータを分析した。一方向ANOVAを使用して処理群をビヒクル対照群と比較した。有意差(p<0.05)が観察された場合、チューキー・クレーマー多重比較検定を行った。
【0119】
MTT実験に基づいて、以下の表6〜13に示されるように、VHH13(配列番号3)及びVHH14(配列番号4)がMDA−MB−231癌細胞及びPANC−1癌細胞の両方において細胞成長を阻害することが見出された。
【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】
【0120】
例6:ヒト乳癌及びヒト前立腺癌細胞株におけるSTAT3 sdAbの抗増殖作用
ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231及びヒト前立腺癌細胞株DU145におけるSTAT3 VHH13(配列番号3)sdAbの抗増殖効果をアッセイした。この実験のために、癌細胞が90%コンフルエンスに達するまでこれらの細胞を成長させた。その時点で、細胞を洗浄し、トリプシン処理し、Coulter計数器(Beckman,Brea,CA)を使用して計数した。上述のMTTアッセイを使用して増殖研究を行った。
【0121】
MDA−MB−231細胞に対する抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの抗増殖特性をDU145細胞に対するその作用と比較した。表14に示されるように、抗STAT3(配列番号3)sdAbで処理されたMDA−MB−231細胞は、それぞれ、50.0μg/mL及び100μg/mLで29.6及び91.2の平均成長阻害を示した。DU145細胞において、表15に示されるように、同様の成長阻害(それぞれ、50.0μg/mL及び100μg/mLで31.2%及び92.1%)が見られた。
【表14】

【表15】
【0122】
例7:ヒト癌細胞株に対するSTAT3 VHH13(配列番号3)sdAbの抗増殖効果
表16に示されるように、ヒト癌細胞株:MDA−MB−231、MDA−MB−468、MCF−7、BT474、及びDU145を使用してSTAT3 VHH13(配列番号3)sdAbの抗増殖効果を試験するために。
【0123】
全てのヒト癌細胞株をAmerican Type Culture Collection(Manassas,VA)から入手した。細胞株を、RPMI1640培地(MDA−MB−231、MDA−MB−468、MCF−7、BT474)、または10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミン、ならびに1%抗菌抗真菌溶液(10単位/mLペニシリン、10μg/mLストレプトマイシン、及び25μg/mLアムホテリシンB)を含有するMEM−E(DU145)中に維持及び培養した。細胞を、5%COの加湿環境下で、37℃で保った。細胞培養供給物をLife Technologies,Inc.(Grand Island,NY)から入手した。MTT試薬をSigma Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。
【0124】
この実験のために、癌細胞を90%コンフルエンスに達するまでこれらの細胞を成長させた。その時点で、細胞を洗浄し、トリプシン処理し、Coulter計数器(Beckman,Brea,CA)を使用して計数した。上述のMTTアッセイを使用して増殖研究を行った。
【0125】
様々な分類を表す5つの乳癌細胞に対する抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの抗増殖特性を評価した(表34)。表17に示されるように、処理後72時間時点の細胞株は全て著しい成長阻害を示した。最も高い成長阻害は、全ての細胞株において100μg/mL及び200μg/mL用量で見られた。試験した細胞株における成長の半数阻害濃度(IC50)は、それぞれ、MDA−MB−231細胞株、MDA−MB−468細胞株、MCF−7細胞株、及びBT474細胞株において、10.1±2.4、12.36±1.5、14.8±1.6、及び25.2±14.7であった。これらのデータは、トリプルネガティブ乳癌細胞株が、エストロゲン/プロゲステロン陽性細胞株(すなわち、MCF−7)またはHER2増幅細胞株(すなわち、BT474)と比較して、IC50を達成するのに最も低いVHH13(配列番号3)sdAb濃度しか必要としないことを示唆する。
【表16】

【表17-1】

【表17-2】
【0126】
表18に示されるように、ヒト前立腺癌細胞株DU145における抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの作用も評価した。抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbは、試験した全ての癌細胞において用量依存的成長阻害を示した。
【表18】
【0127】
例8:BALB/Cマウスにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)の最大耐量
この例では、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231を使用して試験動物における抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの耐性をアッセイした。この実験のために、合計9匹のBALB/C雌ヌードマウス(6〜7週齢)を体重に従って3つの群に分けた。(表19)マウス(n=3)に、ビヒクル(PBS)または抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbのいずれかを250μg/kg体重/日または500μg/kg体重/日で5日間与えた。この研究中、死亡率/罹患率を1日2回測定した。体重をこの研究の1日目、4日目、及び6日目、ならびに研究終了日(13日目)に記録した。毒性を体重測定結果により評価し、マウスの挙動をビヒクル対照マウスと比較した。処理期が終了した時点で、これらの動物をさらに1週間観察して、処理後の体重及び/または全体的な健康のいかなる異常も記した。
【表19】
【0128】
表20に図解されるように、これらの群間で有意な体重差はなく、抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbは、いずれの投薬レベルでもいかなる薬物関連死にも関連しなかった。さらに、対照マウスと比較して抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbで処理された動物の挙動変化は観察されなかった。
【表20】
【0129】
例9:BALB/Cヌードマウス異種移植片ならびにヒト乳癌及びヒト膵臓癌細胞における細菌性抗STAT3 VHH13(配列番号3)の活性
この例では、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231を使用してマウスにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの活性を評価した。簡潔に、MDA−MB−231ヒト乳癌異種移植モデル及びPANC−1ヒト膵臓癌異種移植モデルを使用して抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの活性を評価した。投薬スケジュールは、以下のとおりであった:第1群(n=6、PBS、腹腔内)1日1回14日間[QD×14]、及び第2群(n=12、500μg/kg体重、腹腔内)14日間毎日[QD×14]。薬物投与後5日間観察した。
【0130】
ヒト乳癌細胞株(MDA−MB−231及びPANC−1)をAmerican Type Culture Collection(ATCC)(Manassas,VA)から入手した。MDA−MB−231細胞を、10%FBS(Atlanta Biologicals,Flowery Branch,GA)及びペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミン(Life Technologies,Grand Island,NY)を補充したMEM(Life Technologies,Grand Island,NY)中で成長させた。PANC−1細胞を、10%FBS及びペニシリン−ストレプトマイシン−グルタミンを補充したRPMI1640培地(Life Technologies,Grand Island,NY)中で成長させた。全ての細胞を5%COの存在下で37℃のインキュベーター内で成長させた。
【0131】
4〜5週齢の無胸腺Foxnlnu雄ヌードマウスをHarlan Laboratories(Indianapolis,IN)から購入した。これらの動物を1週間隔離し、12時間明暗サイクル及び50%の相対湿度で1つのケージに5匹のマウスを収容した。飲用水及び食べ物をこれらの動物に自由に供給した。全ての動物を、病原体を含まない条件下で収容し、IIT Research Institute Animal Use and Care Committeeに従って実験を行った。MDA−MB−231異種移植研究の場合、最終体積100μLのMEM培地中の細胞(4×10)をマウスの右側腹部に皮下注入した。PANC−1異種移植研究の場合、最終体積100μLのRPMI培地中の細胞(5×10)をマウスの右側腹部に皮下注入した。腫瘍が触診可能になった直後に両モデルの腫瘍測定を開始した。その後、腫瘍を週に2回測定した。腫瘍が75〜175mmのサイズ範囲に達したときにこれらの動物を無作為化し、層化無作為サンプリングアルゴリズムを使用して対照群(n=6)及び処理群(n=12)を無作為化した。無作為化の翌日に処理(抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAb)またはビヒクル(PBS)を開始した。処理に良好な耐性を示し、薬物関連死には関連しなかった。著しい体重減少は見られなかった。
【0132】
MDA−MB−231異種移植研究の場合、対照群及び処理群の無作為化平均(±標準誤差)腫瘍サイズは、それぞれ、103.01±11.89及び102.61±9.60であった。第1群及び第2群の無作為化時の平均体重(±標準誤差)は、それぞれ、32.08±0.76及び30.27+0.75であった。表21は、全研究の平均体重(±標準誤差)を示す。
【表21】
【0133】
投薬14日目に、対照群の平均腫瘍サイズ(±標準誤差)が179.11±19.39であったのに対し、処理群は118.86±15.94であった。第1群及び第2群の終了時の平均体重(±標準誤差)は、それぞれ、31.98±0.71及び30.55±0.74であった。表22は、全研究の腫瘍体積(±標準誤差)を要約する。処理群における平均腫瘍成長阻害%は、33.64%であった。腫瘍倍増時間は、以下のとおりであった:第1群では44.27日間、第2群では61.06日間。図5は、MDA−MB−231異種移植モデルにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの成長阻害を図解する。抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbは、著しい成長阻害(p=0.047)を示した。したがって、抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbは、MDA−MB−231ヒト乳癌モデル系において化学療法活性を有する。
【表22】
【0134】
PANC−1異種移植研究の場合、無作為化平均(+標準誤差)腫瘍サイズは、対照群では107.01±4.54であり、処理群では110.58±6.18であった。第1群及び第2群の無作為化時の平均体重(±標準誤差)は、それぞれ、29.0±0.81及び28.5±0.70であった。第1群及び第2群の終了時の平均体重(±標準誤差)は、それぞれ、31.2±0.99及び30.1±0.75であった。表23は、全研究の平均体重(±標準誤差)を要約する。投薬14日目に、対照群の平均腫瘍サイズ(±標準誤差)が287.30±33.94であったのに対し、処理群は318.74+29.76であった。表24は、全研究の腫瘍体積(±標準誤差)を要約する。
【表23】
【0135】
腫瘍倍増時間は、以下のとおりであった:第1群では22.44日間、第群では23.02日間。抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbは、PANC−1ヒト膵臓癌モデル系において著しい成長阻害を示さなかった。
【表24】
【0136】
例10:MDA−MB−231異種移植研究
この例では、MDA−MB−231ヒト乳房異種移植モデルにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの有効性をさらに評価した。投薬スケジュールは、以下のとおりであった:第1群(n=4、PBS、腹腔内)1日2回14日間[BID×14]、第2群(n=4、1mg/kg体重、腹腔内)、1日2回14日間[BID×14]、第3群(n=4、2mg/kg体重、腹腔内)1日2回14日間[BID×14]、及び第4群(n=4、2mg/kg体重、腹腔内)1日1回14日間[QD×14]。投与後7日間観察した。
【0137】
ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231及び無胸腺Foxn1nu雌ヌードマウスは、上述のものであった。
【0138】
5×10の密度のMDA−MB−231細胞をMEM培地中最終体積100μLでマウスの右側腹部に皮下注入した。腫瘍が触診可能になった直後に腫瘍測定を開始した。その後、腫瘍を週に2回測定した。腫瘍が55〜150mmのサイズ範囲に達したときに、層化無作為サンプリングアルゴリズムを使用してこれらの動物を無作為化した。無作為化の翌日に処理(抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAb)またはビヒクル(PBS)を開始した。
【0139】
第1群、第2群、第3群、及び第4群の無作為化平均(±標準誤差)腫瘍サイズは、それぞれ、92.08±13.24、82.38±5.17、77.47±7.17、及び104.71±14.64であった。表25に示されるように、第1群、第2群、第3群、及び第4群の無作為化時の平均体重(±標準誤差)は、それぞれ、23.65±0.72、23.45±0.66、23.10±0.20、及び22.45±1.25であった。
【0140】
表26に示されるように、投薬14日目に、対照群の平均腫瘍サイズ(±標準誤差)が221.51±57.32であったのに対し、処理第2群、第3群、及び第4群は、それぞれ、67.12±10.66、58.27±22.54、及び131.44±22.86であった。終了時(42日目)、第1群、第2群、第3群、及び第4群の平均腫瘍サイズ(±標準誤差)は、それぞれ、255.42±65.46、55.98±6.94、41.15±13.21、及び145.51±52.32であった。第1群、第2群、第3群、及び第4群の終了時の平均体重(±標準誤差)は、それぞれ、24.80±0.49、23.25±1.20、24.00±0.32、及び23.2±1.46であった。第1群、第2群、第3群、及び第4群の最大平均正味体重減少%(日)は、それぞれ、0.7(36)、1.5(23)、1.8(36)、及び2.2(29)であった。
【0141】
同様に表26に示されるように、処理第2群、第3群、及び第4群における平均成長阻害は、それぞれ、78.3、75.2、及び55.9であった。腫瘍倍増時間は、第1群では20.56日間であり、第2群では34.54日間であり、第3群では30.07日間であり、第4群では27.17日間であった。第2群、第3群、及び第4群の成長遅延は、それぞれ、13.99日間、9.52日間、及び6.61日間であった。処理群の処理/対照値%は、第2群では−33.75(腫瘍停滞)であり、第3群では−54.4(腫瘍退行)であり、第4群では10.28(腫瘍阻害)であった。図6は、MDA−MB−231異種移植モデルにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの成長阻害を図解する。
【0142】
抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの投与は、第2群(p=0.02)[1mg/kg、BID×14]及び第3群(p=0.02)[2mg/kg、BID×14]における著しい成長阻害と関連した。さらに、4つの腫瘍のうち3つは、著しい退行を示した。これらのデータに基づいて、抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbがMDA−MB−231ヒト乳癌モデル系において化学療法活性を有すると結論付けられる。
【表25】

【表26-1】

【表26-2】
【0143】
例11:3匹のヒト癌異種移植モデルに対する抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの有効性
この例では、MDA−MB−231ヒト乳癌、PANC−1膵臓癌、及びDU145前立腺癌異種移植モデルにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの有効性を評価した。
【0144】
無胸腺Foxn1nuヌードマウス、MDA−MB−231乳癌細胞、PANC−1膵臓癌細胞株、及びDU145前立腺癌細胞株は、上述のものであった。研究1日目のマウスの体重は、17〜19g(雌34匹)及び21〜23g(雄16匹)の範囲であった。
【0145】
初期継代(4〜10)細胞をマウスへの移植に使用し、対数期成長中に採取した。MDA−MB−231(5×10)、DU145(5×10)、及びPANC−1(1.5×10)を最終体積100μLの培地でマウスの右側腹部に皮下注入した。腫瘍が触診可能になった直後に腫瘍測定を開始した。その後、腫瘍を週に2回測定した。
【0146】
腫瘍が74〜120mm(MDA−MB−231)、89〜146mm(DU145)、または60〜160mm(PANC−1)のサイズ範囲に達したときに、層化無作為サンプリングアルゴリズムを使用してこれらの動物を無作為化した。1日目と称する無作為化の翌日に処理(抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbを含有し、本明細書でSBT−100と称されるもの)またはビヒクル(PBS)を開始した。
【0147】
抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbを0.651mg/mLの濃度で事前に製剤化された溶液として供給し、使用するまで−20℃で保管した。このストック溶液を滅菌PBS(pH7.6)中に希釈して、10mL/kgの投薬体積中5mg/kgを得た。この希釈標準溶液を7日毎に調製し、7つのバイアルに一定分量ずつ入れ、4℃で保管した。各処理日に、必要なバイアルのみを室温にした。次の投薬の必要に応じて残ったsdAb材料を全て4℃で維持した。8日目に、いずれの残りのsdAb材料も廃棄し、新鮮なバッチを調製した。
【0148】
表27に示されるプロトコルに従って、1腫瘍モデル当たり2つのマウス群(対照及びSBT−100)に投薬した。投薬スケジュールは、以下のとおりであった:第1群(n=4、PBS)1日2回14日間[BID×14]、第2群(n=4、SBT−100、5mg/kg体重)1日2回14日間[BID×14]。ビヒクル(PBS(pH7.6))及びSBT100の両方を6時間間隔で1日2回14日間腹腔内(i.p.)投与した。個々の動物の体重に従って投薬を行った。投与後7日間回復に要した。
【表27】
【0149】
Study Log Study Director Animal Study Management Software(San Francisco,CA)を使用して、これらの動物を無作為化し、データ(例えば、投薬、体重、腫瘍測定値、臨床的観察)を収集し、データ分析を行った。
【0150】
MDA−MB−231腫瘍異種移植モデルにおいて、これらの動物を接種後23日目に無作為化し、第1群及び第2群の平均(±標準誤差)腫瘍サイズは、それぞれ、77.98±21.58及び84.71±5.56であった。第1群及び第2群の無作為化時の平均体重(±標準誤差)は、それぞれ、20.04±0.62及び23.7±1.84であった。表28は、全研究の平均体重(±標準誤差)を要約する。投薬最終日(14日目)、対照群の平均腫瘍サイズ(±標準誤差)が168.28±51.57であったのに対し、SBT−100処理マウスは83.81±22.65であった。表29は、全研究の腫瘍体積(±標準誤差)を要約する。終了時(28日目)、第1群及び第2群の平均腫瘍サイズ(±標準誤差)は、それぞれ、270.49±112.35及び91.72±33.17であった。第1群及び第2群の終了時の平均体重(±標準誤差)は、それぞれ、25.36±1.07及び24.25±1.68であった。研究終了時、SBT−100処理群における平均腫瘍成長阻害は、85.8%(p=0.006)であった。図7は、平均腫瘍体積を図解する。第1群及び第2群の腫瘍倍増時間は、それぞれ、25.78日間及び111.6日間であった。第2群の処理/対照%は、13.35(腫瘍阻害)であった。
【表28】

【表29】
【0151】
DU145腫瘍異種移植モデルにおいて、これらの動物を接種後17日目に無作為化し、第1群及び第2群の平均(±標準誤差)腫瘍サイズは、それぞれ、111.87±20.53及び111.23±25.16であった。第1群及び第2群の無作為化時の平均体重(±標準誤差)は、それぞれ、29.10±1.94及び30.68±1.56であった。表30は、全研究の平均体重(±標準誤差)を要約する。投薬最終日(14日目)、対照群の平均腫瘍サイズ(±標準誤差)が621.81±276.25であったのに対し、SBT−100処理マウスは364.14±51.64であった。表31は、全研究の腫瘍体積(±標準誤差)を要約する。終了時(28日目)、第1群及び第2群の平均腫瘍サイズ(±標準誤差)は、それぞれ、819.42±351.88及び601.83±131.51であった。第1群及び第2群の終了時の平均体重(±標準誤差)は、それぞれ、29.20±2.33及び29.60±1.04であった。研究終了時、SBT−100処理群における平均腫瘍成長阻害は、26.6%(p=0.29)であった。図8は、平均腫瘍体積を図解する。第1群及び第2群の腫瘍倍増時間は、それぞれ、14.57日間及び18.19日間であった。第2群の処理/対照%は、74.8であった。
【表30】

【表31】
【0152】
PANC−1腫瘍異種移植モデルにおいて、これらの動物を接種後22日目に無作為化し、第1群及び第2群の平均(±標準誤差)腫瘍サイズは、それぞれ、78.74±40.21及び93.84±36.31であった。第1群及び第2群の無作為化時の平均体重(±標準誤差)は、それぞれ、22.50±1.47及び24.23±1.63であった。表32は、全研究の平均体重(±標準誤差)を要約する。投薬最終日(14日目)、対照群の平均腫瘍サイズ(±標準誤差)が204.95±178.90であったのに対し、SBT−100処理マウスは159.03±28.01であった。表33は、全研究の腫瘍体積(±標準誤差)を要約する。終了時(28日目)、第1群及び第2群の平均腫瘍サイズ(±標準誤差)は、それぞれ、284.77±288.88及び203.02±30.34であった。第1群及び第2群の終了時の平均体重(±標準誤差)は、それぞれ、27.38±1.07及び26.23±1.19であった。研究終了時、SBT−100処理群における平均腫瘍成長阻害は、41.78%(p=0.35)であった。図9は、平均腫瘍体積を図解する。第1群及び第2群の腫瘍倍増時間は、それぞれ、18.51日間及び35.70日間であった。第2群の処理/対照%は、52.79であった。
【表32】

【表33】
【0153】
例12:ER+/PR+(MCF−7)ヒト乳房腫瘍異種移植モデルにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの有効性
この例は、ヌードマウスのMCF−7ヒト乳房腫瘍異種移植モデルにおける抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの有効性を実証する。
【0154】
研究1日目の無胸腺雌ヌードマウス(Crl:NU(Ncr)−Foxn1nu、Charles River)は、12週齢であり、体重(BW)23.0〜30.1gの範囲であった。これらの動物に上述のように食物を与え、収容した。
【0155】
MCF−7ヒト乳癌細胞を入手し、上述のように培養し、マウス異種グラフに使用した。腫瘍細胞移植の3日前に、滅菌外套針を使用してエストロゲンペレット(0.36mgエストラジオール、60日間放出、Innovative Research of America,Sarasota,FL)を各試験動物の肩甲骨間に皮下移植した。
【0156】
移植に使用した腫瘍細胞を対数期成長中に採取し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に1×10細胞/mLの濃度で再懸濁した。移植日に、各試験マウスに1×10個のMCF−7細胞(0.1mL細胞懸濁液)を右側腹部に皮下移植し、平均サイズが100〜150mmの目標範囲に達したとき腫瘍成長を監視した。研究1日目と指定した21日後、これらの動物を2つの群に分け、各々、個々の腫瘍体積108〜144mm及び群平均腫瘍体積117〜123mmを有する4匹のマウスからなった。
【0157】
抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbを1mLの一定分量中0.41867mg/mLの濃度で事前に製剤化された投薬準備の整った溶液として提供し、必要になるまで−20℃で保管した。0.41867mg/mLの溶液は、23.88mL/kgの投薬体積中1mg/kgの投薬量を提供した。各処理日に、必要な抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbバイアルのみを解凍して室温にした。次の投薬の必要に応じて残った懸濁液を全て4℃で維持した。
【0158】
表34に示されるプロトコルに従って、2つの無胸腺ヌードマウス群に投薬した。全てのビヒクル(対照)及び抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAb用量を6時間間隔で1日3回14日間腹腔内(i.p.)投与し、2用量を1日目に送達し、1用量を15日目の朝に送達した(tid×14、1日目2用量)。ビヒクル及び抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの投薬体積は、0.478mL/20グラム体重(23.88mL/kg)であり、個々の動物の各々の体重に調整した。第1群にビヒクルを与え、腫瘍生着及び進行のベンチマーク群、ならびに対照とした。第2群に抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbを1mg/kgで与えた。
【表34】
【0159】
腫瘍を週に2回測定し、各動物を、その新生物が所定の終点体積(1000mm)に達したときまたは研究終了時(39日目)のいずれか早い方に安楽死させた。腫瘍が終点体積に達したときに、その動物を、安楽死の日付とともに腫瘍進行(TP)の理由から安楽死させたと記録した。各マウスの終点までの時間(TTE)を以下の等式により計算した。
【数1】

式中、TTEは日数で表され、終点体積はmmで表され、bは切片であり、mは対数変換腫瘍成長データセットの線形回帰によって得られた線の勾配である。このデータセットは、分析に使用される終点体積を上回る1回目の観察及びこの終点体積に達する直前の3回連続の観察からなる。計算されたTTEは、通常、動物を腫瘍サイズの理由から安楽死させた日であるTP日付未満である。終点体積に達しなかった動物に研究最終日(39日目)に等しいTTE値を割り当てた。処理に関連した(TR)原因で死亡したと分類されたいずれの動物にも死亡日に等しいTTE値を割り当てた。処理に関連しない(NTR)原因で死亡したと分類されたいずれの動物もTTE計算から除外した。
【0160】
対照群と比較した処理群の処理有効性を、日数単位でのTTE中央値の増加として定義される腫瘍成長遅延(TGD)から決定した。
【数2】

対照群に対するTTE中央値の増加パーセントは、以下のとおりであり、
【数3】

式中、Tは処理群のTTE中央値であり、
Cは指定された対照群のTTE中央値である。
【0161】
各群における処理有効性を腫瘍体積中央値MTV(n)で示すことができ、これを腫瘍が終点体積に達しなかった残りの動物の数(n)における研究最終日(39日目)の腫瘍体積中央値として定義した。
【0162】
処理有効性を本研究中に観察された退行応答出現及び程度から決定することもできる。処理は、動物における腫瘍の部分退行(PR)または完全退行(CR)を引き起こし得る。PR応答では、腫瘍体積は、本研究過程中の3連続測定ではその1日目体積の50%以下であり、これらの3回の測定のうちの1回以上では13.5mm以上であった。CR応答では、腫瘍体積は、本研究過程中の3連続測定では13.5mm未満であった。研究終了時にCR応答を有したいずれの動物も、無腫瘍生存体(TFS)としてさらに分類した。
【0163】
動物の体重を最初の5日間は1日1回、その後、残りの研究期間中は週に2回量った。これらのマウスを健康及びいずれの不利な処理関連TR副作用の明白な兆候について頻繁に観察し、注目すべき臨床的観察を記録した。個々の体重減少をプロトコルに従って監視し、1回の測定で30%を超えるか、または3回の測定で25%を超えて体重減少したいずれの動物も健康状態の理由からTR死として安楽死させた。群平均体重が回復した場合、その群に投薬を再開してもよいが、より低い用量または低頻度の投薬スケジュールで投薬する。許容される毒性を、本研究中20%未満の群平均体重減少及び10匹の処理動物中1つのTR死または10%を超えないTR死として定義した。より高い毒性をもたらすいずれの投薬レジメンも最大耐量(MTD)を超えるものと見なす。死亡を、それが臨床的兆候及び/または解剖によって証明される処理による副作用に起因した場合にTRとして分類し、投薬期間中または最終投薬の14日以内の原因不明の理由による場合もTRとして分類することができる。死亡が処理関連ではなく腫瘍モデルに関連したことが証明される場合、死亡をNTRとして分類した。NTR死を、NTRa(事故または人的エラーによるもの)、NTRm(浸潤または転移による解剖で確認された腫瘍散在によるもの)、及びNTRu(原因不明の理由によるもの)としてさらに分類した。
【0164】
Windows用Prism6.07(GraphPad)をグラフィック分析に用いた。試料サイズが小さかったため、統計値を用いなかった。
【0165】
群別の個々のマウスのTTE値を示すための散布プロットを構築し、このプロットは、全ての他の図から排除したNTR死を示す。個々の動物、群腫瘍体積中央値、及び平均腫瘍体積を時間の関数としてプロットした。動物が腫瘍サイズまたはTR死の理由から本研究を去ったときに、その最後に記録した腫瘍体積を、その後の時点の体積中央値を計算するために使用したデータとともに含めた。時間に対する本研究に残っている各群の動物の割合を示すためのカプラン・マイヤープロットを構築した。2つのTR死が同じ群で起こった後に腫瘍成長曲線を切断した。本研究にわたる群平均体重変化を1日目からの変化パーセント±平均標準誤差でグラフにした。ある群の評価可能なマウスの半数以上が本研究を去った後に腫瘍成長及び体重変化曲線を切断した。図10は、本研究における平均腫瘍体積を図解する。
【0166】
表35は、マウスの平均体重減少、TR死、及びNTR死を提供する。表36〜38に示されるように、観察時に臨床的兆候を記録した。TR死は本研究では起こらなかった。体重減少は変化しやすく、各群における1匹の動物では重度であり、エストロゲン作用に起因するものであった。体重減少、拡大した子宮角、及び膀胱結晶等の臨床的観察は、両群に存在し、これらもエストロゲン作用に起因するものであった。エストロゲン毒性は、各群につき2つの処理に関連しない死をもたらした。本研究で評価した処理に許容できる耐性を示した。
【表35】

【表36】

【表37】

【表38】
【0167】
対照群及び処理群における4匹のマウスのうち2匹がエストロゲン毒性により死亡したため、統計的結論を下すことができなかった。利用可能なデータをもとに、腫瘍成長中央値及び平均腫瘍体積が対照群と比較して処理群で低下した。この差は14日間の処理中に見られ、本研究の25日目まで見られた。対照群が1000mmの腫瘍体積に達するのに25日かかった一方で、処理群が1000mmの腫瘍体積に達するのに36日かかった。これは、抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbがインビボでのMCF−7腫瘍の成長を遅らせることを示唆する。本研究を通じて、対照群も処理群もいずれも同様の体重を維持した。これは、抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbが体重減少に関して毒性を引き起こさなかったことを示唆する。
【0168】
例13:異種移植マウスにおけるヒトHER2+(BT474)乳癌の抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbでの処理
この例では、CB.17 SCIDマウスのBT474ヒト乳房腫瘍異種移植片における抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの有効性を決定した。
【0169】
腫瘍が100〜150mmの平均サイズに達したときに、表39に示されるプロトコルに従って、1mmのBT474腫瘍断片の異種グラフを側腹部に有する8〜12週齢のCB.17 SCIDマウスの2つの群を処理した。全てのビヒクル(PBS対照)及び抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAb(SB−01として表39に示される)用量を6時間間隔で1日3回14日間腹腔内(i.p.)投与し、2用量を1日目に送達した(tid×14、1日目2用量)。ビヒクル及び抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbの投薬体積は、0.478mL/20グラム体重(23.88mL/kg)であり、個々の動物の各々の体重に調整した。第1群にビヒクルを与え、腫瘍生着及び進行のベンチマーク群、ならびに対照とした。第2群に抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbを1mg/kgで与えた。
【表39】
【0170】
研究の最初の14日間にわたって、処理群に抗STAT3 B VHH13を与え、対照群にはビヒクルのみを与えた。表40に示されるように、この期間中、処理群が本研究を通じて体重を維持し、増量した一方で、対照群は、本研究を通じてより少ない体重を有した。これは、処理群が体重減少に関して抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbからの毒性を経験しなかったことを示唆する。両群の平均腫瘍体積及び腫瘍体積中央値は同様であり、研究の15日目に全く同じであった。研究の59日目に、両群が700立方mmの腫瘍体積に達した。これは、抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbが対照群と比較してインビボでのBT474腫瘍の成長を低下させなかったことを示唆する。図11は、群平均腫瘍体積を図解する。
【表40】
【0171】
例14:抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbに対して指向されたマウスモノクローナル抗体の産生
この例では、本発明のsdAbに対するマウスモノクローナル抗体を生成した。使用した動物は、8〜10週齢のBALB/c雌マウスであった。水溶性アジュバントを使用した(CBL)。使用したHAT及びHTは、Sigma−Aldrichからのものであった。
【0172】
抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAbを使用して3匹のマウスを免疫化し、ハイブリドーマ細胞株を作製した。これらのマウスを各々水溶性アジュバントで3回免疫化した。1匹のマウスにおいて、血清力価が1/51200に達した。このマウスを屠殺し、脾臓細胞を骨髄腫細胞株Sp2/0と融合させることによってハイブリドーマ細胞株を作製した。
【0173】
この融合した細胞を限界希釈により96ウェルプレートに播種した。この融合した細胞をHATの存在下で培養し、651個の単一クローンを試験した。651個の単一クローンのうち27個の陽性クローンが抗STAT3細菌性VHH13(配列番号3)sdAb抗原に特異的に結合すると特定された。
【0174】
例15:PANC−1ヒト膵臓癌細胞におけるKRAS(G12D)単一ドメイン抗体の細胞毒性
この例は、ヒト膵臓癌細胞株PANC−1を使用して抗KRAS(G12D)(配列番号2)sdAbの抗増殖効果を実証する。この実験のために、PANC−1細胞が90%コンフルエンスに達するまでこれらの細胞を成長させた。この時点で、上述のMTTアッセイを使用して増殖研究を行った。
【0175】
処理3日後のPANC−1細胞における抗KRAS(G12D)(配列番号2)sdABの抗増殖特性を表41に示す。抗KRAS(G12D)(配列番号2)sdAbで処理したPANC−1細胞は、それぞれ、50.0μg/mL及び100μg/mLで19.9及び37.7の平均成長阻害を示した。
【表41】
【0176】
したがって、抗KRAS(G12D)(配列番号2)sdAbは、PANC−1ヒト膵臓癌細胞において用量依存的成長阻害を示した。
【0177】
例16:TNF−アルファsdAbによるインビトロ成長阻害
この例は、TNF−アルファの濃度を決定するために開発された方法及びTNF−アルファ機能の阻害を評価する方法を実証する。U937ヒト肺リンパ芽球細胞株における活性の測定可能な調節を示すのに必要なTNF−アルファの濃度を、PromegaのCell Titer−GJo(登録商標)発光細胞生存アッセイを使用して代謝的に活性な細胞の存在をシグナル伝達するATPの存在を定量することによって評価した。
【0178】
U937細胞を、全体積90μL/ウェルの透明なポリスチレン96ウェルマイクロ培養プレート(Corning(登録商標)Costar(登録商標)96ウェル平底プレート、カタログ番号3997)に播種した。5%C0及び95%空気を有する37℃の加湿インキュベーター内で24時間インキュベートした後、成長培地中の5μLの20倍連続希釈TNF−アルファを各ウェルに二連で添加した(10点用量応答、最大濃度20ng/mL)。さらに、成長培地中の5μLの20倍希釈スタウロスポリンを各ウェルに二連で添加した(濃度1nM)。
【0179】
試験薬剤の存在下で24時間培養した後、U937細胞株におけるTNF−アルファ活性の測定可能な調節を示すのに必要な化合物の濃度を、ATPの存在を定量することによって評価した。細胞成長パーセントを未処理対照ウェルに対して計算した。全ての試験を各濃度レベルで、二連で行った。
【0180】
以下の4パラメータロジスティック等式を使用してデータを曲線フィッティングすることによって、Prism 6.05を使用して試験薬剤のEC50値を推定した。
【数4】

式中、Topは対照吸光度の最大%であり、Bottomは最大薬剤濃度での対照吸光度の最小%であり、Yは対照吸光度%であり、Xは薬剤濃度であり、IC50は対照細胞と比較して細胞成長を50%阻害する薬剤の濃度であり、nは曲線の勾配である。
【0181】
図12及び13は、TNF−アルファがU937細胞に細胞毒性であることを実証する。U937に対するTNF−アルファのIC50は、95.10pg/mLである。TNF−アルファ曲線は、用量漸増死滅作用(dose titration killing effect)を示す。
【0182】
図14は、U937に対するTNF−アルファ細胞毒性が3つの異なる抗TNF−アルファVHHによって阻害されることを実証する。抗TNF−アルファVHH62(配列番号47)sdAb、抗TNF−アルファVHH 66(配列番号45)sdAb、及び抗TNF−アルファVHH69(配列番号46)sdAbを一定用量のTNF−アルファとともにEC50でインキュベートしたときに、3つ全ての抗TNF−アルファVHHがTNF−アルファによるU937の死滅を阻害する。抗TNF−アルファVHH62(配列番号47)sdAbのIC50は、およそ713.6ug/mLであった。抗TNF−アルファVHH69(配列番号46)sdAbのIC50は、208.055ug/mLを超えた。抗TNF−アルファVHH66(配列番号45)sdAbが約1×10ug/mL〜1×10ug/mLの抗TNF−アルファVHH66(配列番号45)sdAb濃度でTNF−アルファの細胞毒性を完全に阻害したため、抗TNF−アルファVHH66(配列番号45)sdAbのIC50を決定することができなかった。この抗TNF−アルファVHH66(配列番号45)sdAb濃度範囲内で、U937細胞成長が増大し、それ故にTNF−アルファ活性を完全に阻害する。
【0183】
本発明がある特定の好ましい実施形態を参照してかなり詳細に説明されているが、他の実施形態も可能である。例えば、本方法の開示されるステップは、限定することを意図するものでも、各ステップが本方法に必ず必要であると示すことを意図するものでもなく、むしろ例示のステップにすぎない。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示に含まれる好ましい実施形態の記述に限定されるべきではない。本明細書で引用される全ての参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
図1
図2
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【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]