【実施例】
【0053】
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0054】
(表面粗さの測定)
表面粗さRaはJIS B 0601-1994に定義される算術平均粗さのことであり、粗さ曲線からその平均線の方向に基準粗さ(l)だけ抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、X軸と直行する方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)であらわしたときに、次の式によって求められる値である。
【0055】
【数2】
【0056】
フィルムおよび離型フィルム付銅箔をレーザー顕微鏡(キーエンス製、VK-8500)を用いて表面観察を行いJIS B0601-1994に準拠して行った。解析は株式会社キーエンス製の解析アプリケーションソフトVK-H1Wを用い、カットオフ値は0.25μmとした。該ソフトにおいて、100μmの長さを指定して表面粗さRaを求めた。測定はサンプルのある一方向とその垂直な方向で測定して値の大きな方を表面粗さRaとした。表面粗さRaは0.05μm以下のものを◎、0.05μmより大きく0.10μm以下のものを○、0.10μmより大きいものを×とした。
【0057】
(銅膜の厚み測定)
離型フィルム付銅箔の銅膜の厚みは蛍光X線膜厚計(エスエスアイ・ナノテクノロジー製、SFT9400)にて測定した。
【0058】
(炭素層の厚み)
フィルムに成膜した炭素層の透過率を透過率計で測定し、得られた値からランバート・ベールの法則
【0059】
【数3】
【0060】
から膜厚を算出した。ここでI
0は薄膜通過前の光量、Iは薄膜通過後の光量、αは吸光係数、Zは膜厚、kは消衰係数、λは波長である。I/I
0を透過率として波長632.8nmのときの消衰係数0.047の値を採用し、炭素層の膜厚とした。
【0061】
(離型フィルム付銅箔の剥離力測定)
離型フィルム付銅箔を150mm×10mmの大きさにカットした。カットしたサンプルの銅膜面を両面テープ(ナイスタック強力タイプ)でアクリル板に固定した。剥離層を介してフィルムを銅膜から一部剥離してテンシロンに固定し、銅膜を180°ピールで剥離して得られた値を1cm当りの剥離力に換算して剥離力とした。ここで剥離層を有していない箇所の剥離力については幅方向で剥離層を有した箇所から測定を行い剥離層が無くなり剥離力が上昇した時の値を読み取り、剥離力値とした。
【0062】
(真空プレス後の剥離試験)
離型フィルム付銅箔を340mm×340mmの大きさにカットして、アドフレマNC0204(ナミックス(株)製)との貼り合わせを行った。貼り合わせは110℃、30min、0.5MPaの後、180℃で105min、3.0MPaの条件で真空プレスを行った。真空条件は16torrとした。貼り合わせ後にフィルムがスムーズに剥離可能であったものを◎とし、剥離可能であったが、剥離中に一部剥離が困難であったものを○とし、剥離できなかったものは×とした。
【0063】
(実施例1)
厚さ100μm、幅1100mmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名“ルミラー”タイプ:U483)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。
【0064】
炭素層形成のスパッタリング条件としては、70mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10
−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。また、スパッタ膜は防着板を用いて1080mmの幅で形成されるようにした(両端部から10mmずつは炭素層が形成されない)。またスパッタガン中央部に100mmの防着版を設置し、中央部100mmも炭素層が形成されないようにした。
炭素層の透過率は99.8%であり換算式から算出した炭素層膜厚は2.5nmであった。
【0065】
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。この銅膜の厚みは2.06μm、表面粗さRaは0.03μmで◎であった。
【0066】
離型フィルム付銅箔は蒸着中において剥離することなく作製することができた。またこの離型フィルムをスリット半裁したところ、剥離することなくロール状に巻きあげることが出来た。この離型フィルムの剥離部の引き剥がし強さは0.002N/mm、端部および中央部の炭素層が形成されていない箇所の引き剥がし強さは0.2N/mm以上あった。また銅箔の断面をTEM観察したところ柱状晶を有していた。この離型フィルム付銅箔と樹脂の貼り合わせを行い、その後離型フィルムを剥離したところ、良好に剥離することが出来、◎であった。
【0067】
(実施例2)
厚さ100μm、幅1100mmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名“ルミラー”タイプ:U483)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。
【0068】
炭素層形成のスパッタリング条件としては、70mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10
−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。また、スパッタ膜は防着板を用いて1080mmの幅で形成されるようにした(両端部から10mmずつは炭素層が形成されない)。スパッタガン中央部には防着版を設置しなかった。
炭素層の透過率は99.8%であり換算式から算出した炭素層膜厚は2.5nmであった。
【0069】
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。この銅膜の厚みは2.04μm、表面粗さRaは0.03μmで◎であった。
【0070】
離型フィルム付銅箔は蒸着中において剥離することなく作製することができた。この離型フィルムの剥離部の引き剥がし強さは0.002N/mm、端部および中央部の炭素層が形成されていない箇所の引き剥がし強さは0.2N/mm以上あった。また銅箔の断面をTEM観察したところ柱状晶を有していた。この離型フィルム付銅箔と樹脂の貼り合わせを行い、その後離型フィルムを剥離したところ、良好に剥離することが出来、◎であった。
【0071】
(実施例3)
厚さ100μm、幅1100mmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名“ルミラー”タイプ:U483)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。
【0072】
炭素層形成のスパッタリング条件としては、70mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10
−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて2kwを採用した。また、スパッタ膜は防着板を用いて1094mmの幅で形成されるようにした(両端部から3mmずつは炭素層が形成されない)。スパッタガン中央部には防着版を設置しなかった。
炭素層の透過率は99.9%であり換算式から算出した炭素層膜厚は1.0nmであった。
【0073】
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。この銅膜の厚みは2.04μm、表面粗さRaは0.02μmで◎であった。
【0074】
離型フィルム付銅箔は銅膜剥がれが生じている箇所が一部発生したが大部分は剥離することなく作製することが出来た。この離型フィルムの剥離部の引き剥がし強さは0.005N/mm、端部および中央部の炭素層が形成されていない箇所の引き剥がし強さは0.2N/mm以上あった。また銅箔の断面をTEM観察したところ柱状晶を有していた。この離型フィルム付銅箔と樹脂の貼り合わせを行い、その後離型フィルムを剥離したところ、良好に剥離することが出来、◎であった。
【0075】
(実施例4)
厚さ100μm、幅1100mmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名“ルミラー”タイプ:U483)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。
【0076】
炭素層形成のスパッタリング条件としては、70mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10
−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて1.2kwを採用した。また、スパッタ膜は防着板を用いて1080mmの幅で形成されるようにした(両端部から10mmずつは炭素層が形成されない)。またスパッタガン中央部に100mmの防着版を設置し、中央部100mmも炭素層が形成されないようにした。
炭素層の透過率は99.94%であり換算式から算出した炭素層膜厚は0.6nmであった。
【0077】
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。この銅膜の厚みは2.04μm、表面粗さRaは0.04μmで◎であった。
【0078】
離型フィルム付銅箔は蒸着中において剥離することなく作製することができた。またこの離型フィルムをスリット半裁したところ、剥離することなくロール状に巻きあげることが出来た。この離型フィルムの剥離部の引き剥がし強さは0.014N/mm、端部および中央部の炭素層が形成されていない箇所の引き剥がし強さは0.2N/mm以上あった。剥離力が多少強く、引き剥がし時にシワが発生した。また銅箔の断面をTEM観察したところ柱状晶を有していた。この離型フィルム付銅箔と樹脂の貼り合わせを行い、その後離型フィルムを剥離したところ、良好に剥離することが出来、◎であった。
(実施例5)
厚さ50μm、幅1048mmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製、商標名“カプトン”タイプ:200EN)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。
【0079】
炭素層形成のスパッタリング条件としては、70mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10
−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて12.1kwを採用した。また、スパッタ膜は防着板を用いて1030mmの幅で形成されるようにした(両端部から9mmずつは炭素層が形成されない)。スパッタガン中央部には防着版を設置しなかった。
炭素層の透過率は99.4%であり換算式から算出した炭素層膜厚は6.2nmであった。
【0080】
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。この銅膜の厚みは2.00μm、表面粗さRaは0.05μmで◎であった。
【0081】
離型フィルム付銅箔は銅膜剥がれが生じている箇所が一部発生したが大部分は剥離することなく作製することが出来た。この離型フィルムの剥離部の引き剥がし強さは0.0008N/mm、端部および中央部の炭素層が形成されていない箇所の引き剥がし強さは0.2N/mm以上あった。また銅箔の断面をTEM観察したところ柱状晶を有していた。この離型フィルム付銅箔と樹脂の貼り合わせを行い、その後離型フィルムを剥離したところ、良好に剥離することが出来、◎であった。
【0082】
(実施例6)
厚さ75μm、幅1100mmのポリイミドフィルム(東レ(株)製、商標名“ルミラー”タイプ:S10)に、グラビアコート法でメラミン樹脂を0.4μmの厚さにコーティングし、剥離層をもつ離型フィルムを作製した。コート幅は1080mmとし、両端部から9mmずつは剥離層が形成されないようにした。
【0083】
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。この銅膜の厚みは2.03μm、表面粗さRaは0.02μmで◎であった。
【0084】
離型フィルム付銅箔は蒸着中において剥離することなく作製することができた。この離型フィルムの剥離部の引き剥がし強さは0.02N/mm、端部および中央部の剥離層が形成されていない箇所の引き剥がし強さは0.2N/mm以上あった。剥離力が多少強く、引き剥がし時にシワが発生した。また銅箔の断面をTEM観察したところ柱状晶を有していた。この離型フィルム付銅箔と樹脂の貼り合わせを行い、その後離型フィルムを剥離したところ、良好に剥離することが出来、◎であった。
【0085】
(実施例7)
厚さ100μm、幅1100mmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名“ルミラー”タイプ:U483)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。
【0086】
炭素層形成のスパッタリング条件としては、70mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10
−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。また、スパッタ膜は防着板を用いて1080mmの幅で形成されるようにした(両端部から10mmずつは炭素層が形成されない)。スパッタガン中央部には防着版を設置しなかった。
炭素層の透過率は99.8%であり換算式から算出した炭素層膜厚は2.5nmであった。
【0087】
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度4.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで4.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。この銅膜の厚みは4.06μm、表面粗さRaは0.03μmで◎であった。
【0088】
離型フィルム付銅箔は銅膜剥がれが生じている箇所が一部発生したが大部分は剥離することなく作製することが出来た。この離型フィルムの剥離部の引き剥がし強さは0.001N/mm、端部および中央部の炭素層が形成されていない箇所の引き剥がし強さは0.2N/mm以上あった。また銅箔の断面をTEM観察したところ柱状晶を有していた。この離型フィルム付銅箔と樹脂の貼り合わせを行い、その後離型フィルムを剥離したところ、良好に剥離することが出来、◎であった。
【0089】
(実施例8)
厚さ100μm、幅1100mmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名“ルミラー”タイプ:U483)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。
【0090】
炭素層形成のスパッタリング条件としては、70mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10
−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて2kwを採用した。また、スパッタ膜は防着板を用いて1080mmの幅で形成されるようにした(両端部から10mmずつは炭素層が形成されない)。スパッタガン中央部には防着版を設置しなかった。
炭素層の透過率は99.8%であり換算式から算出した炭素層膜厚は2.5nmであった。
【0091】
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度10.0m/minで0.2μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。この銅膜の厚みは0.21μm、表面粗さRaは0.03μmで◎であった。
【0092】
離型フィルム付銅箔は銅膜剥がれが生じている箇所が一部発生したが大部分は剥離することなく作製することが出来た。この離型フィルムの剥離部の引き剥がし強さは0.029N/mm、端部および中央部の炭素層が形成されていない箇所の引き剥がし強さは0.2N/mm以上あった。また銅箔の断面をTEM観察したところ柱状晶を有していた。この離型フィルム付銅箔と樹脂の貼り合わせを行い、その後離型フィルムを剥離したところ、一部離型フィルム剥離が困難となり、剥離困難な部分に銅面に樹脂の浸み出しが生じており、○であった。
【0093】
(実施例9)
厚さ100μm、幅1100mmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名“ルミラー”タイプ:U483)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。
【0094】
炭素層形成のスパッタリング条件としては、70mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10
−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。また、スパッタ膜は防着板を用いて1080mmの幅で形成されるようにした(両端部から10mmずつは形成されない)。炭素層の透過率は99.8%であり換算式から算出した炭素層膜厚は2.5nmであった。
【0095】
この離型フィルムの離型面にマグネトロンスパッタリング法で銅膜を形成した。銅膜形成のスパッタリング条件としては、70mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10
−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて10kwを採用した。スパッタリング法で0.08μmの銅の厚みを製膜した。その後、この銅表面に銅めっきによって2.0μm厚みの銅膜を形成した。この銅膜の厚みは平均2.12μmであったが測定箇所による厚みばらつきは大きかった。表面粗さRaは0.09μmで○であった。
【0096】
離型フィルム付銅箔は銅膜剥がれが生じている箇所が一部発生したが大部分は剥離することなく作製することが出来た。この離型フィルムの中央部の引き剥がし強さは0.005N/mm、端部の引き剥がし強さは0.2N/mm以上あった。剥離力が多少強く、引き剥がし時にシワが発生した。また銅箔の断面をTEM観察したところ柱状晶を有しておらず粒上であった。この離型フィルム付銅箔と樹脂の貼り合わせを行い、その後離型フィルムを剥離したところ、良好に剥離することが出来、◎であった。
【0097】
(実施例10)
厚さ75μm、幅1100mmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名“ルミラー”タイプ:X10S)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。
【0098】
炭素層形成のスパッタリング条件としては、70mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10
−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。また、スパッタ膜は防着板を用いて1080mmの幅で形成されるようにした(両端部から10mmずつは炭素層が形成されない)。またスパッタガン中央部に100mmの防着版を設置し、中央部100mmも炭素層が形成されないようにした。
炭素層の透過率は99.8%であり換算式から算出した炭素層膜厚は2.5nmであった。
【0099】
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。この銅膜の厚みは2.01μm、表面粗さRaは0.13μmで×であった。
【0100】
離型フィルム付銅箔は蒸着中において剥離することなく作製することができた。またこの離型フィルムをスリット半裁したところ、剥離することなくロール状に巻きあげることが出来た。この離型フィルムの剥離部の引き剥がし強さは0.002N/mm、端部および中央部の炭素層が形成されていない箇所の引き剥がし強さは0.2N/mm以上あった。また銅箔の断面をTEM観察したところ柱状晶を有していた。この離型フィルム付銅箔と樹脂の貼り合わせを行い、その後離型フィルムを剥離したところ、良好に剥離することが出来、◎であった。
【0101】
(比較例1)
厚さ100μm、幅1100mmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名“ルミラー”タイプ:U483)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。
【0102】
炭素層形成のスパッタリング条件としては、70mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10
−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。また、スパッタ膜は防着板を用いて1100mmの幅で形成されるようにした(両端部の形成されない箇所は無し)。
炭素層の透過率は99.91%であり換算式から算出した炭素層膜厚は2.5nmであった。
【0103】
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製しようとしたが工程中に銅膜剥がれが生じて離型フィルム付銅箔を作製できなかった。
(比較例2)
厚さ100μm、幅1100mmの2軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製、商標名“ルミラー”タイプ:U483)に、マグネトロンスパッタリング法で炭素層を形成して離型フィルムを作製した。
【0104】
炭素層形成のスパッタリング条件としては、70mm×550mmサイズのターゲットを用い、真空到達度は1×10
−2Pa以下、スパッタリング出力はDC電源を用いて5kwを採用した。また、スパッタ膜は防着板を用いて1100mmの幅で形成されるようにした。
炭素層の透過率は99.8%であり換算式から算出した炭素層膜厚は2.5nmであった。
【0105】
この離型フィルムの炭素層形成面に電子ビーム蒸着法によって銅を成膜速度2.0μm・m/min、ライン速度1.0m/minで2.0μmの厚さに真空蒸着して離型フィルム付銅箔を作製した。この銅膜の厚みは2.06μm、表面粗さRaは0.03μmで◎であった。
【0106】
離型フィルム付銅箔は蒸着中において剥離が生じたが枚葉サンプルは採取することが出来た。枚葉サンプルは銅膜と離型フィルムが剥がれている箇所が生じていた。この離型フィルムの剥離部の引き剥がし強さは0.002N/mm、端部および中央部の炭素層が形成されていない箇所の引き剥がし強さは0.2N/mm以上あった。また銅箔の断面をTEM観察したところ柱状晶を有していた。この離型フィルム付銅箔と樹脂の貼り合わせを行い、その後離型フィルムを剥離したところ、銅箔に亀裂が生じており樹脂が浸みだして剥離することが出来ず、×であった。