特許第6671098号(P6671098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハイプロテック、 インク.の特許一覧

特許6671098アンチセプティックアプリケーターおよびパッケージング技術
<>
  • 特許6671098-アンチセプティックアプリケーターおよびパッケージング技術 図000002
  • 特許6671098-アンチセプティックアプリケーターおよびパッケージング技術 図000003
  • 特許6671098-アンチセプティックアプリケーターおよびパッケージング技術 図000004
  • 特許6671098-アンチセプティックアプリケーターおよびパッケージング技術 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671098
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】アンチセプティックアプリケーターおよびパッケージング技術
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/80 20160101AFI20200316BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   A61B90/80
   A61L2/18
【請求項の数】17
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-555816(P2014-555816)
(86)(22)【出願日】2013年2月4日
(65)【公表番号】特表2015-508675(P2015-508675A)
(43)【公表日】2015年3月23日
(86)【国際出願番号】US2013024635
(87)【国際公開番号】WO2013119504
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2016年1月14日
【審判番号】不服2017-13237(P2017-13237/J1)
【審判請求日】2017年9月6日
(31)【優先権主張番号】13/757,318
(32)【優先日】2013年2月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/595,635
(32)【優先日】2012年2月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507119249
【氏名又は名称】ハイプロテック、 インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パトリック オー.テニカン
(72)【発明者】
【氏名】エル.マイルズ フィップス
【合議体】
【審判長】 内藤 真徳
【審判官】 芦原 康裕
【審判官】 千壽 哲郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0052664(US,A1)
【文献】 特表昭61−501019(JP,A)
【文献】 特開2004−351632(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/128554(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B34/00-90/98
A61L 2/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面を有している、不浸透性層と;
前記不浸透性層に結合された上面と、表面とインターフェースするための底面とを有する、浸透性の吸収層と;
前記浸透性の吸収層内に配置され、かつそれによって担持される洗浄剤、抗菌剤または消毒剤と、
開口されると、前記不浸透性層の前記外面を露出するように構成されている、無菌性パッケージングと、
を有し、前記浸透性の吸収層が、前記不浸透性層によって完全には包まれておらず、
前記不浸透性層は、その周辺部または端部の付近に位置する持ち上がったリッジを有するが、前記リッジは、前記不浸透性層の中央から両端に延在するように設けられていない、
無菌性パッケージングに保管された医療用アプリケーター。
【請求項2】
前記不浸透性層が、ポリエチレン、シリコン酸化物でコーティングされたポリマーフィルム、ポリプロピレン、ポリシリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、マイラー、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の医療用アプリケーター。
【請求項3】
前記不浸透性層の前記外面が、隆起状のテキスチャー、線状のテキスチャー、ドット状のテキスチャー、網状のテキスチャー、またはそれらの組み合わせを有する、請求項2に記載の医療用アプリケーター。
【請求項4】
前記浸透性の吸収層が、デンプンポリマー、セルロースゲル、ポリエチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、シリコーンオープンセル発泡体、またはそれらの混合物を含む、請求項1に記載の医療用アプリケーター。
【請求項5】
前記浸透性の吸収層の前記底面が、材料を磨くように構成された、粗いテキスチャー(rough texture)、粗いテキスチャー(coarse texture)、滑らかなテキスチャー、マイクロテキスチャー、ナノテキスチャー、またはそれらの組み合わせを有する、請求項1に記載の医療用アプリケーター。
【請求項6】
前記洗浄剤、抗菌剤または消毒剤が、界面活性剤、水、低分子量アルコール、過酸化物または過酸化物発生剤またはキレート剤を含む、請求項1に記載の医療用アプリケーター。
【請求項7】
前記抗菌剤または消毒剤が、
5〜50mg/mlのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)と;
多くとも70容積%のエタノールと;
多くとも7.5容積%の過酸化水素と;
水と;
を含む、請求項1に記載の医療用アプリケーター。
【請求項8】
前記無菌性パッケージングが、複数の医療用アプリケーターを別々におよび連続してストリップで保管するように構成されており、ここで前記医療用アプリケーターの各々が独立して前記ストリップ中に含まれており、かつ同じまたは異なる洗浄剤、抗菌剤または消毒剤を、前記ストリップ内の隣接する医療用アプリケーターとして含んでいる、請求項1に記載の医療用アプリケーター。
【請求項9】
前記無菌性パッケージングが、複数の医療用アプリケーターを別々におよび連続して一連で保管するように構成されており、
前記一連の各々の医療用アプリケーターは、抗菌剤も消毒剤も含まないか、または医療手順における特定の工程に対応する、特定の洗浄剤、抗菌剤、または消毒剤を含み、かつ
前記パッケージングが、前記医療手順における前記工程に基づいて開口されるようにさらに構成されている、請求項1に記載の医療用アプリケーター。
【請求項10】
清浄化、衛生化または消毒すべき表面を特定するステップであって、前記清浄化、衛生化または消毒すべき表面が、不活性材料の領域である、ステップ;
前記表面に対して医療用アプリケーターを適用するステップであって、前記医療用アプリケーターが、
外面を有する不浸透性の裏打ちと;
前記不浸透性の裏打ちに連結された第一の層と、前記表面とインターフェースするように構成された第二の層とを有する浸透性の表面と;
前記浸透性の表面内に配置された洗浄剤、抗菌剤または消毒剤であって、前記洗浄剤、抗菌剤または消毒剤が、少なくとも1つ以上の界面活性剤、低分子量アルコール、過酸化物または過酸化物発生剤またはキレート剤を含む、洗浄剤、抗菌剤または消毒剤と;
を含み、
前記医療用アプリケーターが、無菌性パッケージングを開口すると、前記不浸透性の裏打ちの前記外面が露出するように前記無菌性パッケージングに保管されており、
前記浸透性の表面が、前記不浸透性の裏打ちによって完全には包まれておらず、
前記不浸透性の裏打ちは、その周辺部または端部の付近に位置する持ち上がったリッジを有するが、前記リッジは、前記不浸透性の裏打ちの中央から両端に延在するように設けられていない、
ステップ;
を含む、感染性因子の伝播を妨げる方法。
【請求項11】
前記清浄化、衛生化または消毒すべき表面に対して前記医療用アプリケーターを適用するステップは、
前記無菌性パッケージングを開口するステップ;
前記医療用アプリケーターの前記不浸透性の裏打ちの前記外面を把持することによって前記医療用アプリケーターを取り出すステップ;
前記特定された表面に対して前記洗浄剤、抗菌剤または消毒剤を含んでいる前記浸透性の表面の前記第二の層でふき取るステップ;
前記洗浄剤、抗菌剤または消毒剤が1つ以上の細菌、1つ以上の芽胞、1つ以上の寄生生物、1つ以上のウイルス、1つ以上の体液、またはそれらの混合物と接触しているという視覚的な指標を、ふき取りに少なくとも部分的に応答して、受容するステップ;
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記無菌性パッケージングが、複数の医療用アプリケーターを独立して保管するように構成されており、
前記医療用アプリケーターの各々が、連続してストリップで保管されており、
前記ストリップ中の前記医療用アプリケーターの各々が、種々の濃度の洗浄剤、抗菌剤または消毒剤を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記不浸透性の裏打ちの前記外面が、隆起状の、線状の、ドット状の、粘着性の、または網状のテキスチャーで構成されている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
浸透性の吸収材であって、表面と相互作用するように構成された外側基部を有する浸透性の吸収材と;
前記浸透性の吸収材中に配置された抗菌剤または消毒剤であって、水、過酸化水素、過酸化カルバミド、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTAの塩、クエン酸ナトリウム、または他の生体適合性キレーター、またはアルコールのうちの少なくとも1つを含む、抗菌剤または消毒剤と;
前記浸透性の吸収材の外側頂部に連結される可塑性の不浸透性の材料であって、無菌性パッケージングが開口されると、使用者に提示される可塑性の不浸透性の材料と;
を備え、前記浸透性の吸収材が、前記可塑性の不浸透性の材料によって完全には包まれておらず、
前記不浸透性の材料は、その周辺部または端部の付近に位置する持ち上がったリッジを有するが、前記リッジは、前記不浸透性の材料の中央から両端に延在するように設けられていない、医療用アプリケーター。
【請求項15】
前記浸透性の吸収材が、デンプンポリマー、セルロースゲル、ポリエチレン発泡体、および/またはシリコーンオープンセル発泡体を含む、請求項14に記載の医療用アプリケーター。
【請求項16】
前記抗菌剤または消毒剤が:
5〜50mg/mlのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)と;
多くとも70容積%のエタノールと;
多くとも7.5容積%の過酸化水素と;
水と;
を含む、請求項14に記載の医療用アプリケーター。
【請求項17】
前記無菌性パッケージングによって、複数の医療用アプリケーターを、別々にかつ連続して保管することが可能である、請求項14に記載の医療用アプリケーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「アンチセプティックアプリケーターおよび防御デバイス(Antiseptic Applicators and Protective Devices)」と題された2012年2月6日出願の米国特許仮出願第61/595,635号に対して優先権を主張する「アンチセプティックアプリケーターおよびパッケージング技術(Antiseptic Applicators and Packaging Techniques)」と題された2013年2月1日出願の米国特許仮出願第13/757,318号に対して優先権を主張し、両方ともその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
医療関連感染(Healthcare acquired infection)(HAI)は、回避可能な死亡および罹患の重要な原因として認識されてきた。米国では、HAIは毎年、ほぼ99,000例の生存に負担がかかり、ならびに追加の処置および入院において数十億ドルがかかる。Klevensら、Estimating Health Care−Associated Infection and Deaths in U.S. Hospitals,2002,Public Health Reports,第122巻、160ページ,2007。血管内カテーテル、手術部位、および侵襲性手順の部位の汚染は、デバイス取り外しおよび留置、長期の非経口抗菌療法、ならびに長期の入院およびリハビリテーションにつながる場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多剤耐性微生物の伝播は、1つのコロニー形成した患者または感染した患者から他の感染しやすい患者へと、ヘルスケア提供者の手または医療用具で伝播される場合が多い。外科手術部位の感染は、皮膚の不十分な殺菌前処理から生じる場合がある。慣用的な洗浄および術前部位の清拭のためのグルコン酸クロルヘキシジン(CHG)の広範な使用によって、メチシリンに対して耐性(MRSA)およびCHGに対して耐性という両方に耐性のStaphyloccus aureusの頻度が増大した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
概説
本開示は、感染を低減および/または防止するように設計された医療用アプリケーターを記載する。一実施形態では、本開示は、浸透性の吸収性および/または吸着性の底部層に結合された不浸透性層を有する例示的なアプリケーターまたはワイプを記載する。このアプリケーターまたはワイプの無菌性パッケージは、開口されたとき使用者に対して不浸透性層を露出し、従って、使用者の手が既存の感染性因子を浸透性の底部層および患者または表面に移行することを防ぐように設計されている。いくつかの実施形態では、このアプリケーターまたはワイプは、静脈内(IV)ラインポート、他のIV構成要素(例えば、シリンジ、管腔、弁など)、感染部位、血液吸引部位(例えば、静脈、動脈または毛細血管から)、医療用具(例えば、デジタル体温計または聴診器)、創傷部位、切開部位、腹膜透析液部位、排出部位、または感染を受けやすい任意の他の部位もしくは表面を、清浄化、衛生化および/または消毒するために単独で、または1つ以上の洗浄剤、抗菌剤または消毒剤と組み合わせて用いられ得る抗菌組成物を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、この開示は、浸透性材料によって担持される水、低分子量アルコール、過酸化物または過酸化物発生剤およびキレート剤を含んでいる、抗菌剤または消毒剤を含有している不浸透性層のない、例示的なアプリケーターを記載する。この実施形態では、浸透性材料は、単純なアルコールのワイプが用いられるのに酷似して清浄化、衛生化および/または消毒するためのアプリケーターまたはワイプとして用いられ得る。
【0006】
詳細な説明を、添付の図面を参照して示す。この図では、参照番号の最も左側の数字は、その参照番号が最初に出現する図を特定する。異なる図における同じ参照番号の使用は、同様または同一の事項または特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、洗浄剤、抗菌剤または消毒剤が配置された、不浸透性層および浸透性層を備え得る例示的なアンチセプティックアプリケーターを図示する。
図2図2は、例示的な環境を図示しており、ここでは、使用者が、例示的なアンチセプティックアプリケーターの不浸透性層を把持し得る。
図3図3A図3Cは、例示的なアンチセプティックアプリケーターのための種々の無菌性パッケージング技術を図示する。
図4図4は、例示的なアンチセプティックアプリケーターを操作するための例示的なプロセスを示すフローダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
下の詳細な考察は、本明細書に記載の医療用アプリケーターおよびデバイスに含まれてもよい例示的な抗菌組成物を詳細に記載する「例示的な抗菌組成物(Example Antimicrobial Composition)」と題されたセクションから始まる。次に本開示は、「例示的なアンチセプティックアプリケーター(Example Antiseptic Applicator)」続いて「アンチセプティックアプリケーターの例示的なパッケージング(Example Packaging of Antiseptic Applicator)」を記述する。次に、本開示は、例示的なアンチセプティックアプリケーターを操作するための「例示的なプロセス(Example Process)」を記述する。最後に、本開示は、簡略な「結論」で結論とする。
【0009】
この概説は(セクションの表題を含めて)、下にさらに記載される単純化された形態での概念の選択を導くために示される。この概説は、読者の便利のために示されるのであって、特許請求の範囲を限定する意図もなく、続いているセクションを限定する意図でもない。
【0010】
例示的な抗菌組成物
1つの例示的な実行では、本明細書に記載のアプローチと組み合わせて用いられ得る抗菌組成物は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Tennicanらに対する2011年1月21日出願の国際特許出願番号PCT/US2011/022150、およびTennicanに対する2012年11月28日出願の米国特許本出願第13/688,078号に記載される組成物を含んでもよい。例えば、抗菌組成物は、水(HO)、強力かつ非毒性のキレート剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(例えば、EDTA二ナトリウム、EDTAカルシウム二ナトリウム、EDTAマグネシウム、EDTAカリウム、EDTAガリウム)またはクエン酸ナトリウム(またはEDTAの他の酸、塩、誘導体もしくは他の形態、またはクエン酸ナトリウム)、短鎖一価アルコール(例えば、COHの分子式およびCOの実験式を有するエタノール)および強力な、低分子酸化剤、例えば、過酸化水素(H)を含んでもよい。1つの特定の実施例では、この組成物は、水、EDTA、エタノールおよび過酸化水素から本質的に構成され得る。追加の成分としては、増粘剤、ゲル化剤、界面活性剤、発泡剤および/または泡安定剤を挙げることができる。しかし、他の実施例では、他の抗菌組成物が、本開示に記載されるアプリケーターおよびデバイスと組み合わせて用いられてもよい。
【0011】
抗菌組成物は、液体型であってもゲル型であってもよく、特定の適用の必要性次第で、1つ以上の担体または希釈液と組み合わされてもよい。例えば、抗菌組成物を洗浄剤として用いる場合、抗菌組成物は、液体型であってもよい。その場合、種々の構成要素の濃度は、その組成物が直接生きた組織にもしくは医療用具に適用されているか、および/またはその組成物が直接または間接的に(例えば、組成物が適用されるか適用された医療用具を介して)適用される組織の刺激を回避するかにかかわらず、例えば、所望のレベルの衛生および/または消毒に依存し得る。
【0012】
適用の時点で消毒を適用することに加えて、抗菌組成物はまた、混入物に対する長期の障壁を提供し得る。例えば、組成物の揮発性の構成要素(例えば、水、アルコール、過酸化水素など)が蒸発した後でさえ、キレート剤は、処理した表面(例えば、複数回使用のバイアルまたはポートの清浄化/保護器具、聴診器、指、周囲組織など)の上に、抗菌、抗真菌または殺胞子性(例えば、芽胞の発芽を妨げる)、抗寄生生物、殺精子性または精子抑制性(例えば、精子の運動性を低下する)および抗ウイルス性の質を提供する障壁として残る場合がある。細菌、芽胞、寄生生物、真菌およびウイルスが再生されるために必要な成分(例えば、鉄、マグネシウムおよびマンガン)の環境を奪うことによって、キレート剤は、抗菌組成物の他の構成要素が蒸発した後でさえ、混入物質に対して長期の防御を提供する。さらに、抗菌組成物中の過酸化水素は、抗菌組成物が適用される材料(例えば、シリコーン材料)の表面に対する荷電を誘導し得、これによって、この材料は、細菌または他の微生物に対して耐性になる。
【0013】
上記の抗菌組成物はまた、表面または材料に加えられた場合、混入物の視覚的指標となり得、このような指標によって、使用者は、感染を妨げるための表面を特定して浄化することが可能になり得る。
【0014】
「約」または「およそ」という用語は、例示的な抗菌組成物を記述する状況で用いる場合、許容できるか、および/または当該分野で公知である誤差の合理的な周辺値を含むと解釈されるべきである。
【0015】
例示的なアプリケーター
種々の医療用アプリケーターが本明細書で記載される。例示的なアンチセプティックアプリケーターは、一般に図1および図2に関して記載される。
【0016】
図1は、例示的なアンチセプティックアプリケーター100の図を示す。この例示的なアンチセプティックアプリケーターは、浸透性の吸収層104に連結された浸透層102を備える。例示的なアンチセプティックアプリケーター100は、四角形を有すると示されるが、例えば、丸型、長方形、楕円形、多角形型などのような別の形状が考慮される。いくつかの実施形態では、不浸透性層102は、図1に示されるように、浸透性層104よりもわずかに小さくてもよい。しかし、他の実施形態では、不浸透性層102は、浸透性層104よりも大きくてもよいし、または浸透性層104と実質的に同じ大きさであってもよい。不浸透性層102の組成のための例示的な材料としては限定するものではないが、ポリエチレン、酸化ケイ素コーティングポリマーフィルム、ポリプロピレン、ポリシリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ塩化ビニル、マイラーまたはそれらの混合物が挙げられる。
【0017】
いくつかの実施形態では、不浸透性層102は、テキスチャーが付与された(textured)把持表面106を有し得る。不浸透性層102の上のこのテキスチャーが付与された把持表面106は限定するものではないが、隆起状の、粗い(coarse)、でこぼこの、線状のドット状の、網状のテキスチャーなどを備えてもよい。この不浸透性層102のテキスチャーが付与された把持表面106は、使用者がアンチセプティックアプリケーターを把持および用いることを可能にして、使用者の手がアプリケーターを滑り落とす、および清浄化、衛生化または消毒すべき表面と接触するという危険性を最小限にする。
【0018】
別の実施形態では、不浸透性層は、その周辺部または端部の付近に位置する持ち上がったリッジ(示さず)を備えてもよい。この持ち上がったリッジは、上記のテキスチャーが付与された他の実施形態に加えて、またはその代わりに存在してもよい。さらに、このリッジは、使用者の手がアプリケーターを滑り落とす、および清浄化、衛生化または消毒すべき表面と接触するという危険性を最小限にするために不浸透性層の内面から十分持ち上げられてもよい。
【0019】
さらに別の実施形態では、この不浸透性層102は、アプリケーターの使用者(例えば、使用者の手)にある汚染物質が、浸透性層104に対して、および可能性としては、清浄化、衛生化または消毒されている表面に移行することを妨げ得る。さらに、またはあるいは、この不浸透性層102は、表面上の汚染物質がアプリケーターの使用者に移行することを妨げ得る。
【0020】
図1および図2に示されるように、例示的なアンチセプティックアプリケーター100は、消毒剤、抗菌剤または洗浄剤が層の全体わたってまたは一部に浸透性であることを可能にする、浸透性、吸収性および/または吸着性の層104を備える。浸透性層104の例示的な材料としては限定するものではないが、デンプンポリマー、セルロースゲル、ポリエチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、シリコーンオープンセル発泡体またはそれらの混合物が挙げられる。浸透性層104の特定の実施形態としては、限定するものではないが、清浄化および/またはスクラビングの有効性を得るための、種々の表面処理(例えば、浸出、スリットなど)、表面仕上げ(例えば、マクロ−、ミクロ−またはナノ−構造など)、外形(例えば、丸い、リブのある、突起部、フィンガーなど)、および/またはそれらの組み合わせを挙げてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、浸透性層104は、洗浄剤を含み、これには限定するものではないが、界面活性剤、界面活性剤または石鹸が挙げられる。別の実施形態では、この浸透性層104は、低分子量アルコールを含む。別の実施形態では、浸透性層104は、過酸化物または過酸化物発生剤を含む。別の実施形態では、この浸透性層104は、キレート剤を含む。別の実施形態では、この浸透性層104は、続くセクションに記載される例示的な抗菌組成物を含む。例示的なアンチセプティックアプリケーターの浸透性層104は、有機組織(限定するものではないが、ヒトまたは動物の組織を含む)と接触することを意図している。別の例では、この浸透性層104は、限定するものではないが、医療用具(例えば、体温計、聴診器、超音波装置、オトスコープ、検眼鏡、心電図装置、血圧モニター、スケールなど)、複数回の使用/用量のバイアル、静脈内(IV)ラインポートまたは別のIV構成要素を含む不活性材料と接触することを意図している。
【0022】
さらに別の実施形態では、例示的なアンチセプティックアプリケーターは、不浸透性層102なしで構築されてもよい。この実施形態では、この浸透性層104は、続くセクションに記載される例示的な抗菌組成物を含んでもよい。
【0023】
図2は、例示的なアンチセプティックアプリケーター100の不浸透性層102を把持しようとする使用者の手である図200を示す。この例示的なアンチセプティックアプリケーター100は、側面から示されている。いくつかの実施形態では、例示的なアンチセプティックアプリケーター100の使用者の把持は、不浸透性層102のテキスチャーが付与された表面106によって容易になり得る
【0024】
使用者が、一旦、例示的なアンチセプティックアプリケーター100を把持すれば、その使用者は、このアプリケーター100を用いて、ヒト組織または医療用具のような特定された表面を拭き取るかまたはスクラブしてもよい。この不浸透性層102は、使用者がアプリケーターの取り扱いを補助するための滑らない表面106と、使用者から表面への(またはその逆も)汚染物質の移行を妨げる不浸透性障壁とを設ける。いくつかの実施形態では、使用者は、浸透性層104内に配置された抗菌組成物が、1つ以上の細菌、1つ以上の芽胞、1つ以上の寄生生物、1つ以上のウイルス、1つ以上の体液、またはそれらの混合物のような1つ以上の汚染物質と接触したという視覚的な指標を受容し得る。この視覚的な指標は、スクラブされた表面または清拭された表面上の発泡またはバブリングの指標であり得る。
【0025】
アンチセプティックアプリケーターの例示的なパッケージング
上記の任意の種々のアプリケーターは、種々のパッケージにおいて、個々にパッケージングされても、または複数のアプリケーターのキットに無菌的にパッケージングされてもよい。さらに、このアプリケーター自体が、洗浄剤、抗菌剤または消毒剤の破壊を阻害するためのUV防御材料を含むパッケージング内に追加してまたは代わりに収容されてもよい。
【0026】
図3Aは、例示的なアンチセプティックアプリケーター100を包含し得る無菌性パッケージ300の一実施形態の図を示す。各々の例示的なアンチセプティックアプリケーターは、熱可塑性材料の複数の層の間で例示的なアンチセプティックアプリケーターを切り替えること、および例えば、超音波溶着、マイクロ波溶着、熱結合などにより、この例示的なアンチセプティックアプリケーターの末梢の周囲にお互いに対して材料のシートを密閉することによって、ポーチまたはパケット中に個々に密閉されてもよい。いくつかの実施形態では、複数の例示的なアンチセプティックアプリケーターは、上記のようにポーチまたはパケット中に密閉されてもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、無菌性パッケージは、無菌性パッケージ300の開口を容易にするためのミシン目または折り線302およびタブ304を備えてもよい。使用者は、ミシン目のライン302に従って無菌性パッケージ300上でタブ304を引き戻して、例示的なアンチセプティックアプリケーターの不浸透性層を使用者に対して露出させてもよい。
【0028】
特定の実施形態では、無菌性パッケージ300は、限定するものではないが、ホイルポーチ、プラスチック裏打ちポーチ、ホイル裏打ちポーチおよび/またはプラスチックトレイを含む。一実施形態では、複数のアプリケーターは、熱可塑性材料のシートの間に複数のアプリケーターを置くこと、次いで上記の任意の密閉法を用いて保護キャップの各々の末端の周囲にお互いに材料のシートを密閉することによって、連続的ストリップ中にパッケージングされてもよい。図3Bによって図示されるように、複数のアプリケーターが、ミシン目306によって隔てられたストリップまたはシリーズ中に連続的に保管されてもよい。いくつかの実施形態では、連続的ストリップ中の各々のパッケージは、同じ洗浄剤、抗菌剤、または消毒剤を有しているアンチセプティックアプリケーターを備えてもよい。他の実施形態では、連続的なストリップ中の各々のパッケージは、種々の濃度の同じ洗浄剤、抗菌剤、または消毒剤を有しているアンチセプティックアプリケーターを備えてもよい。さらに他の実施形態では、この連続的なストリップ中の各々のパッケージは、このストリップ中の隣接するパッケージ中に保管されたアプリケーターとは異なる洗浄剤、抗菌剤、または消毒剤を有しているアンチセプティックアプリケーターを備えてもよい。
【0029】
図3Cは、異なる洗浄剤、抗菌剤、もしくは消毒剤、または異なる濃度の洗浄剤、抗菌剤、もしくは消毒剤を医療手順の異なる工程で必要とする特定の複数の工程の医療手順を適合するための別の例示的な無菌性パッケージングを図示する。例えば、キット308は、所望の部位を浄化するための洗浄剤を含んでいる第一のアプリケーター312と、この部位を衛生化もしくは消毒するための高濃度の消毒剤を含んでいる第二のアプリケーター314と、低濃度の消毒剤を含んでいる第三のアプリケーター316と、所望の部位で消毒剤の残留濃度を減らすためのより低濃度の消毒剤を含有している第四のアプリケーター318とを露出するためのフラップまたは突起部310を備えてもよい。キット308は、限定するものではないが、プラスチック裏打ちポーチ、ホイル裏打ちポーチおよび/またはプラスチックトレイを備えてもよい。キット308内にパッケージングされるアプリケーターは、図3Bを参照して上記のような洗浄剤、抗菌剤、または消毒剤の多数の組み合わせを含んでいるか、または種々の医療手順の段階を適応させるための多数のアプリケーターを備えてもよいことが理解されるべきである。特定の実施形態では、キット308はまた、洗浄剤、抗菌剤、または消毒剤を含まない少なくとも1つのアプリケーターを備えてもよい。
【0030】
例示的なプロセス
図4は、例示的なアンチセプティックアプリケーターを作動するという上記の技術の遂行のための例示的プロセス400を図示する。このプロセス400は、論理的フロー図として図示される。操作を記載する順序は、限定と解釈されることは意図せず、任意の多数の記載された操作を、任意の順序でおよび/または並行に組み合わせて、そのプロセスを実行してもよい。
【0031】
操作402では、清浄化、衛生化または消毒すべき表面が特定され得る。例えば、使用者は、医療手順を開始する前に消毒する必要があるヒト皮膚のような表面を特定し得る。
【0032】
操作404では、医療用アプリケーターの外面を露出するために無菌性パッケージを開口してもよい。図1および図3Aの状況では、医療用アプリケーターは、外面上の不浸透性層と、不浸透性層に対して開口するためのタブで構成された無菌性パッケージとを有してもよい。
【0033】
操作406では、医療用アプリケーターは、無菌性パッケージングから取り外されてもよい。例えば、医療用アプリケーターは、その医療用アプリケーターの外面上に不浸透性層を把持することによって取り外され得る。
【0034】
操作408では、医療用アプリケーターは、清浄化、衛生化または消毒されるべき特定された表面に対して適用され得る。例えば、医療用アプリケーターの洗浄剤、アンチセプティックまたは抗菌剤を含有している浸透性層は、ふき取られても、こすられても、軽く叩かれても、そうでなければヒトの皮膚の一部の上に移動されてもよい。
【0035】
結局、操作410では、表面に対してアプリケーターを適用することに応答して、洗浄剤、アンチセプティックまたは抗菌剤が、1つ以上の細菌、1つ以上の芽胞、1つ以上の寄生生物、1つ以上のウイルス、1つ以上の体液、またはそれらの混合物のうちの1つ以上と接触し得る視覚的な指標が受容され得る。例えば、バブリングまたは発泡のような視覚的な指標が、表面上に存在してもよい。
【0036】
結論
本開示は、特定の構造的特徴および/または方法論的な作用を有する実施形態を記載するが、特許請求の範囲は、記載される特定の特徴にも作用にも必ずしも限定されないことが理解されるべきである。そうではなく、特定の特徴および作用は単に、開示の特許請求の範囲内におさまるいくつかの実施形態を例示するに過ぎない。
図1
図2
図3
図4