特許第6671107号(P6671107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671107
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】無人作業車
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/64 20060101AFI20200316BHJP
   A01D 34/78 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   A01D34/64 M
   A01D34/78 A
【請求項の数】8
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-67611(P2015-67611)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-185133(P2016-185133A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2017年6月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(73)【特許権者】
【識別番号】599118768
【氏名又は名称】株式会社斎藤農機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】南方 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】出井 義人
(72)【発明者】
【氏名】坂本 健太
(72)【発明者】
【氏名】福岡 和樹
(72)【発明者】
【氏名】黒見 晃志
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 博紀
【審査官】 中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−065435(JP,A)
【文献】 特開平04−023012(JP,A)
【文献】 特表平05−506152(JP,A)
【文献】 特開2005−137271(JP,A)
【文献】 特開2009−038987(JP,A)
【文献】 特開2007−230524(JP,A)
【文献】 実開昭57−001744(JP,U)
【文献】 特開2014−114894(JP,A)
【文献】 特開2005−057968(JP,A)
【文献】 特公昭49−047389(JP,B1)
【文献】 特許第5527883(JP,B2)
【文献】 特開平06−141614(JP,A)
【文献】 特開2007−300808(JP,A)
【文献】 特開平09−322355(JP,A)
【文献】 特開2007−295721(JP,A)
【文献】 特許第3191334(JP,B2)
【文献】 特許第3201208(JP,B2)
【文献】 特開平05−046246(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0018269(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 63/00 − 63/12
A01B 69/00
A01D 34/412− 34/90
G05D 1/00 − 1/02
H02G 3/00 − 3/04
H02G 3/22 − 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4隅に車輪を備える走行車体の中央側に配置する原動機と、前記原動機を囲み、平面視矩形状に形成した車体フレームと、複数の電装品と、前記電装品に接続する複数の電線とを備え、
前記複数の電装品のうちの一部である複数の電装品を前記車体フレームに沿って分散配備し、
前記一部である複数の電装品と接続される制御装置を、前記車体フレームに沿って配備し、
前記車体フレームに沿って分散配備された前記一部である複数の電装品と前記制御装置とを接続する電線を前記車体フレームに沿わせて前記車体フレームで支持している無人作業車。
【請求項2】
前記車体フレームは前後が直進状態にある前記車輪の前端から後端までの範囲内に収まり、かつ、左右が直進状態にある左右の前記車輪の夫々の外側面の間に収まる請求項1に記載の無人作業車。
【請求項3】
前記車体フレームは、前記車輪へ駆動力を伝達する伝動ケースを兼ねる2本の伝動ケースフレームと、2本の前記伝動ケースフレームを接続する2本の連結フレームから成る請求項1又は2に記載の無人作業車。
【請求項4】
前記車体フレームに沿わせて前記車体フレームに支持される前記電線支持が、前記車体フレームに備えられた複数の支持部材による支持である請求項1からの何れか一項に記載の無人作業車。
【請求項5】
前記支持部材を、上方を開放するU字状に形成している請求項に記載の無人作業車。
【請求項6】
複数の前記支持部材を、前記車体フレームの全周にわたって間隔をあけて並べて備えている請求項又はに記載の無人作業車。
【請求項7】
前記電線は、前記車体フレームの前後に延びる縦フレーム部、及び、左右に延びる横フレーム部の夫々に沿って前後、左右方向に沿って支持され、直線状に延びる部分と、平面視矩形状の前記車体フレームの角部において、前記縦フレーム部に備わる前記角部に隣接する前記支持部材と、前記横フレーム部に備わる前記角部に隣接する前記支持部材に亘って支持されて、前後方向から左右方向に鈍角で2度屈曲する部分とを備える請求項からの何れか一項に記載の無人作業車。
【請求項8】
前記電線を覆うカバーを、前記支持部材の複数にわたって取り付けている請求項からの何れか一項に記載の無人作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行車体の中央側に配置する原動機と、複数の電装品と、前記電装品に接続する複数の電線とを備えた無人作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような無人作業車としては、原動機としてエンジンを備え、複数の電装品として、制御装置、地磁気センサ、芝高さ検出センサ、ポテンショメータ、エンコーダ、ステアリングモータ、センサ揺動用モータ、及び、接地用モータ、などを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−78603号公報(段落番号0020、図1〜8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような無人作業車において、各電装品に接続する複数の電線は、車体フレームの適当な箇所にコードバンドなどを使用して固定していた。そのため、配線に手間取るとともに電線に弛みが生じ易く、弛みが生じた場合には、電線がエッジ部に接触して損傷する虞がある。
【0005】
つまり、配線を簡単に行えるようにしながら、電線がエッジ部に接触して損傷する虞を回避できるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための手段として、
4隅に車輪を備える走行車体の中央側に配置する原動機と、前記原動機を囲み、平面視矩形状に形成した車体フレームと、複数の電装品と、前記電装品に接続する複数の電線とを備え、
前記複数の電装品のうちの一部である複数の電装品を前記車体フレームに沿って分散配備し、
前記一部である複数の電装品と接続される制御装置を、前記車体フレームに沿って配備し、
前記車体フレームに沿って分散配備された前記一部である複数の電装品と前記制御装置とを接続する電線を前記車体フレームに沿わせて前記車体フレームで支持している。
【0007】
この手段によると、各電装品に接続する複数の電線を、車体フレームの適当な箇所にコードバンドなどを使用して固定する場合の、配線に手間取るとともに電線に弛みが生じ易く、弛みが生じた場合には、電線がエッジ部に接触して損傷する虞がある、という課題を解決できる。
【0008】
【0009】
しかも、電線を走行車体の外周に沿って配線することから、配線及び電線のメンテナンスが行い易くなり、又、走行車体の内側を原動機及び各電装品の配置空間として使用し易くなる。
【0010】
その結果、配線及び電線のメンテナンス、並びに、原動機及び各電装品の組み付けなどを簡単に行えるようにしながら、電線がエッジ部に接触して損傷する虞を回避することができる。
【0011】
課題をより好適に解決するための手段の一つとして、
前記車体フレームは前後が直進状態にある前記車輪の前端から後端までの範囲内に収まり、かつ、左右が直進状態にある左右の前記車輪の夫々の外側面の間に収まるように構成している。
【0012】
また、課題をより好適に解決するための手段の一つとして、前記車体フレームは、前記車輪へ駆動力を伝達する伝動ケースを兼ねる2本の伝動ケースフレームと、2本の前記伝動ケースフレームを接続する2本の連結フレームから成るように構成している。
課題をより好適に解決するための手段の一つとして、
前記車体フレームに沿わせて前記車体フレームに支持される前記電線支持を、前記車体フレームに備えられた複数の支持部材によって支持している
この手段によると、電線を弛みが生じ難い状態に配線し易くなる。
【0013】
課題をより好適に解決するための手段の一つとして、
前記支持部材を、上方を開放するU字状に形成している。
【0014】
この手段によると、電線を各支持部材に支持されるように配線するだけで、各支持部材により電線の位置ずれを確実に防止することができる。
その結果、配線をより簡単に行えるようにしながら、電線がエッジ部に接触して損傷する虞をより確実に回避することができる。
【0015】
課題をより好適に解決するための手段の一つとして、
複数の前記支持部材を、前記車体フレームの全周にわたって間隔をあけて並べて備えている。
さらに、課題をより好適に解決するための手段の一つとして、
前記電線は、前記車体フレームの前後に延びる縦フレーム部、及び、左右に延びる横フレーム部の夫々に沿って前後、左右方向に沿って支持され、直線状に延びる部分と、平面視矩形状の前記車体フレームの角部において、前記縦フレーム部に備わる前記角部に隣接する前記支持部材と、前記横フレーム部に備わる前記角部に隣接する前記支持部材に亘って支持されて、前後方向から左右方向に鈍角で2度屈曲する部分とを備える。
【0016】
課題をより好適に解決するための手段の一つとして、
前記電線を覆うカバーを、前記支持部材の複数にわたって取り付けている。
【0017】
この手段によると、電線への他物の接触を防止することができ、他物の接触により電線が損傷する虞を回避することができる。この手段は、小石などの他物を弾き飛ばす虞のある草刈機に特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】無人草刈機の左側面図である。
図2】無人草刈機の平面図である。
図3】車体フレームの構成及び各電装品の配置などを示す無人草刈機の横断平面図である。
図4】車体フレームの構成及び電線の支持構造などを示す要部の一部分解斜視図である。
図5】伝動構造及び電線の支持構造などを示す無人草刈機の横断平面図である。
図6】伝動構造及び各電装品の配置などを示す要部の縦断背面図である。
図7】第1伝動装置の構成及び電線の支持構造などを示す要部の縦断左側面図である。
図8】伝動構造及び操舵構造を示す要部の縦断背面図である。
図9】伝動構造を示す概略平面図である。
図10】各電装品の配置及び走行補助ハンドルの構成などを示す要部の斜視図である。
図11】制御システムの構成を示すブロック図である。
図12】走行補助ハンドル使用状態の一例を示す無人草刈機の左側面図である。
図13】走行補助ハンドルの支持構造を示す要部の縦断左側面図である。
図14】各電装品の配置及び電線の支持構造などを示す概略平面図である。
図15】電線の支持構造を示す要部の縦断面図である。
図16】支持部材を第1フレームの横側端部に取り付けた別実施形態を示す要部の縦断面図である。
図17】支持部材を第1フレームの下端部に取り付けた別実施形態を示す要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を、無人作業車の一例である無人草刈機に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
尚、本実施形態で例示する無人草刈機においては、図1に記載した矢印の符号Fの方向を無人草刈機の前側とし、符号Uの方向を無人草刈機の上側としている。又、図2及び図3に記載した矢印の符号Fの方向を無人草刈機の前側とし、符号Lの方向を無人草刈機の左側としている。
【0021】
図1〜3、図5図6及び図8〜10に示すように、本実施形態で例示する無人草刈機は、走行車体1に搭載した原動機A、原動機Aからの動力で作動する走行装置B、原動機Aから走行装置Bへの伝動状態を切り替える切替装置C、及び、切替装置Cの作動を制御する制御システムD、などを備えている。
【0022】
具体的には、無人草刈機は、走行車体1に搭載したリコイルスタータ式のエンジン2(原動機Aの一例)、エンジン2からの動力で作動する左右の第1駆動輪3(走行装置Bの一例)と左右の第2駆動輪4(走行装置Bの一例)と草刈装置5、エンジン2から各駆動輪3,4への伝動状態を切り替える前後進切替装置26(切替装置Cの一例)、並びに、前後進切替装置26の作動を制御する制御システムD、などを備えている。そして、これらを備えることにより、果樹園などにおいて、複数の樹木の間などを走行しながら草を刈り取ることができる。
【0023】
エンジン2は、燃料タンク6及び発電機7などともに走行車体1の中央側に配備している。左右の第1駆動輪3は、走行車体1の前端側に操舵可能に備えている。左右の第2駆動輪4は、走行車体1の後端側に操舵可能に備えている。草刈装置5は、エンジン2の下方で、かつ、左右の第1駆動輪3と左右の第2駆動輪4の間に配備している。前後進切替装置26は、エンジン2と草刈装置5との間に配備した変速ケース8に内蔵している。
【0024】
図1〜8及び図10に示すように、走行車体1は、平面視矩形状に形成した車体フレーム10を備えている。車体フレーム10は、エンジン2を囲むように車体の外周に沿わせる平面視矩形状の第1フレーム11、第1フレーム11の下方に位置する第2フレーム12、第1フレーム11の上方に位置する第3フレーム13、及び、第1フレーム11の四隅を第2フレーム12に連結する縦向きの4本の連結部材14、などを備えている。
【0025】
第1フレーム11は、第1フレーム11の四隅に配置する4つの第1部材11A、左右の第1部材11Aを連結する左右向きの前後の第2部材11B、及び、前後の第1部材11Aを連結する前後向きの左右の第3部材11C、などを備えている。各第1部材11Aは、伝動ケースを兼ねる鋳物を主材としている。各第2部材11Bは、伝動ケースを兼ねる丸パイプ鋼材を主材としている。各第3部材11Cは、丸パイプ鋼材を主材としている。
【0026】
第2フレーム12は、左右の第1駆動輪3の間から左右の第2駆動輪4の間にわたる第1下側部材12A、第1下側部材12Aの前後の端部に連結した左右向きの前後の第2下側部材12B、第1下側部材12Aの左右両端部に連接する左右の第3下側部材12C、第1下側部材12Aと左右の第3下側部材12Cとにわたる左右向きの前後の第4下側部材12D、前後の第4下側部材12Dにわたる前後向きの左右の第5下側部材12E、及び、第1下側部材12Aの前後両端側に起立姿勢で連結した前後の第6下側部材12F、などを備えている。第1下側部材12Aは、前後両端側の左右幅が前後中央側の左右幅よりも狭くなる形状に形成した鋼板材を主材としている。そして、第1下側部材12Aは、前後両端側の左右幅を狭くすることにより、左右の第1駆動輪3及び左右の第2駆動輪4の操舵を許容している。前後の第2下側部材12Bは、角パイプ鋼材を主材として、前後の第2部材11Bの下方に配備している。左右の第3下側部材12Cは、第1下側部材12Aの前後中央側部分とともに草刈装置5の上方を覆うカバーを形成する鋼板材を主材としている。前後の第4下側部材12Dは、第1下側部材12A及び左右の第3下側部材12Cを補強するチャンネル鋼材を主材としている。左右の第5下側部材12Eは、変速ケース8を支持する帯鋼材を主材としている。前後の第6下側部材12Fは、高い強度を有するように平面視U字状に形成した鋼板材を主材としている。
【0027】
第3フレーム13は、前後の第1部材11Aにわたるアーチ状の左右の第1上側部材13A、及び、左右の第1上側部材13Aにわたる左右向きの前後の第2上側部材13B、などを備えている。そして、第3フレーム13は、平面視矩形状の天板15などを支持している。
【0028】
各連結部材14は、伝動ケースを兼ねる丸パイプ鋼材を主材としている。前側の左右の連結部材14は、前側の左右の第1部材11Aを前側の第2下側部材12Bに連結している。後側の左右の連結部材14は、後側の左右の第1部材11Aを後側の第2下側部材12Bに連結している。
【0029】
図1図2及び図5〜9に示すように、走行車体1は、エンジン2からの動力を、左右の第1駆動輪3、左右の第2駆動輪4、草刈装置5、及び、発電機7に伝達する伝動系を備えている。
【0030】
伝動系は、エンジン2からの動力を断続する自動遠心クラッチ20、エンジン2からの動力を発電機7に伝達するベルト式の発電用伝動装置21、エンジン2からの動力を作業用に減速する平ギア式の第1減速装置22、第1減速装置22から草刈装置5への伝動を断続する噛み合いクラッチ23、作業用の動力を走行用に減速するウォームギア式の第2減速装置24、走行用の動力を高低2段に変速する変速装置25、変速後の動力を前進用と後進用とに切り替えるベベルギア式の前後進切替装置26、前進用又は後進用の動力をトルクリミッタ27を介して受け取るチェーン式の第1伝動装置(無端回動帯式の伝動装置の一例)28、及び、第1伝動装置28からの動力を左右の第1駆動輪3又は左右の第2駆動輪4に伝達する前後の第2伝動装置29、などを備えている。
【0031】
自動遠心クラッチ20、第1減速装置22、噛み合いクラッチ23、第2減速装置24、及び、変速装置25は、前後進切替装置26とともに変速ケース8に内蔵している。第1伝動装置28は、伝動ケース9に内蔵している。
【0032】
噛み合いクラッチ23は、走行車体1の左側部に備えたクラッチレバー30に連係している。つまり、噛み合いクラッチ23は、クラッチレバー30の手動操作に基づいて草刈装置5への伝動を断続する。
【0033】
変速装置25は、シフト部材25Aの摺動操作により、高速伝動状態と低速伝動状態と中立状態とに切り替わる。シフト部材25Aは、走行車体1の左側部に備えた変速レバー31に連係している。つまり、変速装置25は、変速レバー31の手動操作に基づいて高速伝動状態と低速伝動状態と中立状態とに切り替わる。
【0034】
前後進切替装置26は、シフト部材26Aの摺動操作により、前進伝動状態と後進伝動状態と中立状態とに切り替わる。シフト部材26Aは、走行車体1に備えた制御システムDの制御作動に基づいて摺動する。つまり、前後進切替装置26は、制御システムDの制御作動に基づいて前進伝動状態と後進伝動状態と中立状態とに切り替わる。そして、この無人草刈機において、前後進切替装置26を中立状態に維持した状態を、無人草刈機の通常停止状態としている。
【0035】
第1伝動装置28は、動力分配機構28A、チェーン式の第1伝動機構(無端回動帯式の第1伝動機構の一例)28B、及び、チェーン式の第2伝動機構(無端回動帯式の第1伝動機構の一例)28Cを備えている。
【0036】
動力分配機構28Aは、前後進切替装置26の出力軸26Bとトルクリミッタ27を介して一体回転する駆動スプロケット28Aa(駆動回転体28aの一例)、第1伝動機構28Bに伝動する第1従動スプロケット(伝動回転体の一例)28Ab、第2伝動機構28Cに伝動する第2従動スプロケット(伝動回転体の一例)28Ac、及び、駆動スプロケット28Aaから2つの従動スプロケット28Ab,28Acに伝動する伝動チェーン(無端回動帯の一例)28Adを備えている。
【0037】
第1伝動機構28Bは、動力分配機構28Aの第1従動スプロケット28Abと一体回転する駆動スプロケット28Ba、前側の第2伝動装置29に伝動する従動スプロケット28Bb、及び、駆動スプロケット28Baから従動スプロケット28Bbに伝動する伝動チェーン28Bcを備えている。
【0038】
第2伝動機構28Cは、動力分配機構28Aの第2従動スプロケット28Acと一体回転する駆動スプロケット28Ca、後側の第2伝動装置29に伝動する従動スプロケット28Cb、及び、駆動スプロケット28Caから従動スプロケット28Cbに伝動する伝動チェーン28Ccを備えている。
【0039】
各第2伝動装置29は、第1伝動機構28Bの従動スプロケット28Bb又は第2伝動機構28Cの従動スプロケット28Cbと一体回転する左右向きの伝動軸29A、伝動軸29Aと一体回転する左右の第1ベベルギア29B、左右の第1ベベルギア29Bと噛み合い連動する左右の第2ベベルギア29C、左右の第2ベベルギア29Cと一体回転する左右の駆動軸29D、左右の駆動軸29Dと一体回転する左右の第3ベベルギア29E、及び、左右の第3ベベルギア29Eと噛み合い連動する左右の第4ベベルギア29F、などを備えている。そして、左右の第4ベベルギア29Fが左右の第1駆動輪3又は左右の第2駆動輪4と一体回転する。
【0040】
各伝動軸29Aは、対応する第2部材11Bの内部を通り、各第2部材11Bに連接する左右の第1部材11Aの内部において、左右の第1ベベルギア29B及び左右の第2ベベルギア29Cを介して、左右の駆動軸29Dに伝動する。各駆動軸29Dは、対応する連結部材14の内部を通り、各連結部材14の下部に連接する支持ケース16の内部において、第3ベベルギア29E及び第4ベベルギア29Fを介して、第1駆動輪3又は第2駆動輪4に伝動する。
【0041】
図1図3及び図8に示すように、前側の各支持ケース16は、第1駆動輪3と前側の駆動軸29Dとを支持している。後側の各支持ケース16は、第2駆動輪4と後側の駆動軸29Dとを支持している。各支持ケース16は、対応する連結部材14の下部に駆動軸29Dの軸心回りに回動可能に取り付けている。これにより、左右の第1駆動輪3及び左右の第2駆動輪4を操舵輪として備えている。
【0042】
図1〜3、図8及び図11に示すように、制御システムDは、左右の第1駆動輪を操舵する第1操舵ユニット41、左右の第2駆動輪4を操舵する第2操舵ユニット42、前後進切替装置26を操作する前後進切替ユニット43、走行車体1の前端部での他物の接触を検出する第1接触検出ユニット44、走行車体1の後端部での他物の接触を検出する第2接触検出ユニット45、予め設定した範囲内に存在する樹木などの物体を検出する非接触式の物体検出器46、無人草刈機の状態を報知するランプ47、及び、種々の制御作動を実行する制御装置48、などを備えている。
【0043】
第1操舵ユニット41は、前側の第6下側部材12Fに取り付けた操舵用の第1モータ41A、第1モータ41Aの回転動力を揺動に変換する第1セクタギア41B、第1セクタギア41Bと一体揺動する第1操作アーム41C、第1操作アーム41Cを右前側の支持ケース16に連動連結する第1操作ロッド41D、前側の左右の支持ケース16を連動連結する第1連係ロッド41E、及び、第1セクタギア41Bの接触により左右の第1駆動輪3が左右いずれかの限界操舵角に達したことを検出する左右の第1リミットスイッチ41F、などを備えている。
【0044】
第2操舵ユニット42は、後側の第6下側部材12Fに取り付けた操舵用の第2モータ42A、第2モータ42Aの回転動力を揺動に変換する第2セクタギア42B、第2セクタギア42Bと一体揺動する第2操作アーム42C、第2操作アーム42Cを左後側の支持ケース16に連動連結する第2操作ロッド42D、前側の左右の支持ケース16を連動連結する第2連係ロッド42E、及び、第2セクタギア42Bの接触により左右の第2駆動輪4が左右いずれかの限界操舵角に達したことを検出する左右の第2リミットスイッチ42F、などを備えている。
【0045】
前後進切替ユニット43は、シフトフォーク(図示せず)などを介して前後進切替装置26のシフト部材26Aを摺動操作する前後進切り替え用の第3モータ43Aなどを備えている。
【0046】
第1接触検出ユニット44は、非接触位置と接触検出位置とにわって前後揺動する第1接触部材44A、第1接触部材44Aを非接触位置に復帰付勢する左右の第1バネ44B、及び、第1接触部材44Aの接触検出位置への変位を検出する第1スイッチ44C、などを備えている。第1接触部材44Aは、前側の第2下側部材12Bに備えた左右の第1支持部12Baに、左右向きの第1支軸44Dを介して前後揺動可能に取り付けている。第1スイッチ44Cは、前側の第2下側部材12Bに備えた第2支持部12Bbに取り付けている。
【0047】
第2接触検出ユニット45は、非接触位置と接触検出位置とにわって前後揺動する第2接触部材45A、第2接触部材45Aを非接触位置に復帰付勢する左右の第2バネ45B、及び、第2接触部材45Aの接触検出位置への変位を検出する第2スイッチ45C、などを備えている。第2接触部材45Aは、後側の第2下側部材12Bに備えた左右の第1支持部12Baに、左右向きの第2支軸45Dを介して前後揺動可能に取り付けている。第2スイッチ45Cは、後側の第2下側部材12Bに備えた第2支持部12Bbに取り付けている。
【0048】
物体検出器46は、予め設定した範囲に向けてレーザー又は超音波などの空中伝搬する信号を送信し、物体との衝突によって生じる反射信号を取得する。物体検出器46は、ランプ47とともに天板15に載置状態で取り付けている。
【0049】
制御装置48は、第3フレーム13の後端部に取り付けている。制御装置48は、入力部48A、受信部48B、走行モード制御部48C、操舵制御部48D、前後進制御部(制御部の一例)48E、接触制御部48F、ティーチング制御部48G、及び、緊急停止制御部48H、などの各種の機能部を備えている。各機能部は、CPUを中核としてハードウェアとソフトウェアとのいずれか一方又は双方により構築している。
【0050】
入力部48Aは、無人草刈機に備えた各操舵ユニット41,42のリミットスイッチ41F,42F、及び、各接触検出ユニット44,45などの各種の検出機器からの検出情報を受け取り、受け取った検出情報を、走行モード制御部48C及び操舵制御部48Dなどの各種の制御機器に出力する。
【0051】
受信部48Bは、遠隔操作器49から送信される各種の指令情報を受信し、受信した指令情報を、走行モード制御部48C及び操舵制御部48Dなどの各種の制御機器に出力する。
【0052】
走行モード制御部48Cは、受信部48Bからの情報に基づいて、走行モードを遠隔操作モードと自動走行モードとに切り替える。又、走行モード制御部48Cは、自動走行モードにおいては、受信部48Bからの情報に基づいて、走行モードを、ユーザが手動入力した走行経路などの各種の情報に基づいて自動走行する第1自動走行モード、又は、ティーチング走行で得た走行経路などの各種の情報に基づいて自動走行する第2自動走行モード、などに切り替える。自動走行モードで使用する走行経路などの情報は、制御装置48の記憶部48Kに備えている。
【0053】
操舵制御部48Dは、遠隔操作モードでは、入力部48A及び受信部48Bなどからの情報に基づいて、第1操舵ユニット41の作動を制御して左右の第1駆動輪3を操舵する第1操舵制御、第2操舵ユニット42の作動を制御して左右の第2駆動輪4を操舵する第2操舵制御、第1操舵ユニット41及び第2操舵ユニット42の作動を制御して左右の第1駆動輪3と左右の第2駆動輪4とを同方向に操舵する第3操舵制御、及び、第1操舵ユニット41及び第2操舵ユニット42の作動を制御して左右の第1駆動輪3と左右の第2駆動輪4とを逆方向に操舵する第4操舵制御、のいずれかを実行する。又、操舵制御部48Dは、自動走行モードでは、選択された自動走行モードに応じた記憶部48Kからの情報及び入力部48Aからの情報に基づいて、第1操舵ユニット41と第2操舵ユニット42とのいずれか一方又は双方の作動を制御して左右の第1駆動輪3と左右の第2駆動輪4とのいずれか一方又は双方を操舵する自動操舵制御を実行する。
【0054】
前後進制御部48Eは、遠隔操作モードでは、受信部48Bからの情報に基づいて、前後進切替ユニット43の作動を制御して、前後進切替装置26を前進伝動状態と後進伝動状態と中立状態とのいずれかに切り替える切替制御を実行する。又、前後進制御部48Eは、自動走行モードでは、選択された自動走行モードに応じた記憶部48Kからの情報に基づいて、前後進切替ユニット43の作動を制御して、前後進切替装置26を前進伝動状態と後進伝動状態と中立状態とのいずれかに切り替える自動切替制御を実行する。
【0055】
接触制御部48Fは、第1接触検出ユニット44又は第2接触検出ユニット45からの検出情報に基づいて他物の接触を検知した場合に、前述した制御作動に優先して優先制御を実行する。優先制御では、先ず、ランプ47を点灯させて他物の接触を報知する。又、前後進切替ユニット43の作動を制御して、前後進切替装置26の伝動状態を、接触検出時の伝動状態と反対の伝動状態に切り替えて、無人草刈機を、接触検出時の進行方向と反対の方向に走行させる。この走行により、第1接触検出ユニット44及び第2接触検出ユニット45が他物の接触を検出しなくなると、前後進切替ユニット43の作動を制御して、前後進切替装置26を中立状態に切り替えて無人草刈機を停止させる。この停止状態において、遠隔操作器49からの指令情報を受信部48Bを介して受け取ると、優先制御を終了する。
【0056】
ティーチング制御部48Gは、遠隔操作モードにおいて、受信部48Bからの情報に基づいてティーチングモードへの切り替えを検知した場合には、このときの遠隔操作で得られる入力部48A及び受信部48Bからの各種の情報から走行経路などの情報を取得して記憶部48Kに書き込む第1ティーチング制御を実行する。又、ティーチング制御部48Gは、自動走行モードにおいて、受信部48Bからの情報に基づいてティーチングモードへの切り替えを検知した場合には、このときの自動走行で得られる入力部48Aからの各種の情報から走行経路などの情報を取得して記憶部48Kに書き込む第2ティーチング制御を実行する。
【0057】
緊急停止制御部48Hは、入力部48A及び受信部48Bが緊急停止指令を出力した場合に、エンジン2への燃料の供給を遮断するなどの手段を講じてエンジン2を停止させることにより、無人草刈機を緊急停止させる緊急停止制御を実行する。
【0058】
遠隔操作器49は、走行モードの切り替えを指令するダイヤル操作式の走行モード指令部49A、2輪操舵に関する指令を出力する2軸操作式で中立復帰型の第1操舵指令部49B、4輪操舵に関する指令を出力する2軸操作式で中立復帰型の第2操舵指令部49C、前後進切替装置26の操作に関する指令を出力する3位置切り替え式の前後進切替指令部49D、ティーチングモードへの切り替えを指令する2位置切り替え式のティーチング指令部49E、及び、緊急停止を指令するボタン操作式の緊急停止指令部49F、などを備えている。
【0059】
図1図2図10図12及び図13に示すように、走行車体1は、天板15の後端部に、走行補助ハンドル(人為操作具の一例)50の着脱を可能にする取付部15Aを備えている。走行補助ハンドル50は、取付部15Aに取り付けることにより、無人草刈機の走行に関する人力アシストを可能にする使用状態にすることができる。
これにより、無人草刈機の走行経路に、例えば、無人草刈機だけでは走破することができない傾斜角の大きい斜面、通り抜けることのできない車幅よりも狭い隙間、又は、乗り越えることのできない段差、などの障害が存在する場合には、走行補助ハンドル50を取付部15Aに取り付けることにより、無人草刈機を押し上げる、無人草刈機を引き上げる、無人草刈機が隙間内に入るように無人草刈機を左右に傾かせる、又は、無人草刈機の前後一端側を持ち上げる、などの走行に関する人力アシストを行うことができる。その結果、無人草刈機の走行に支障をきたす障害の存在にかかわらず無人草刈機を移動走行させることができる。
【0060】
走行補助ハンドル50は、取付部15Aにノブ付きボルト(図示せず)を利用して固定する固定部50A、固定部50Aから車体後方に延出する長尺の延出部50B、及び、延出部50Bの延出端に接続した平面視ループ状の把持部50Cを備えている。そして、走行補助ハンドル50は、走行車体1に取り付けた状態では、把持部50Cが、走行車体1の後端に位置する第2接触部材45Aよりも車体後方に位置する。ことにより、無人草刈機に対する車体後方からの人力アシストを行い易くしている。
【0061】
図1図2図10及び図11に示すように、走行車体1は、天板15の後端部に、バッテリ51から制御装置48への給電を断続するメインスイッチ52、及び、緊急停止を指令する緊急停止スイッチ53、を備えている。
【0062】
緊急停止スイッチ53は、遠隔操作器49の緊急停止指令部49Fと同様に、緊急停止制御部48Hに前述した緊急停止制御の実行を指令する。
これにより、例えば、無人草刈機が道幅の狭い畦道などでの走行中に脱輪して走行不能に陥った場合などにおいては、緊急停止スイッチ53又は緊急停止指令部49Fを操作することにより、無人草刈機を緊急停止させることができる。
【0063】
緊急停止制御による無人草刈機の緊急停止状態は、無人草刈機の走行中にエンジン2を停止させることで得られる停止状態であることから、無人草刈機の緊急停止状態では、前後進切替装置26の伝動状態が前進伝動状態又は後進伝動状態に切り替わっている。そのため、例えば、緊急停止させた脱輪状態の無人草刈機を通常の走行姿勢又は走行位置に戻すために、無人草刈機に走行補助ハンドル50を取り付けて無人草刈機を人力で走行移動させようとしても、伝動系の負荷が重すぎて無人草刈機を人力で走行移動させることが困難になる。
【0064】
そこで、この無人草刈機は、天板15の後端部に、走行補助ハンドル50の取付部15Aとともに、走行補助ハンドル50の使用状態への切り替えを制御システムDに報知する報知手段の一例として、中立切り替え指令を制御装置48の入力部48Aに出力する中立スイッチ54を備えている。又、制御装置48は、入力部48Aからの中立切り替え指令に基づいて、前後進制御部48Eに優先して前後進切替装置26の作動を制御する補助制御部48Lを備えている。補助制御部48Lは、中立切り替え指令に基づいて前後進切替装置26を中立状態に切り替える中立制御手段を制御プログラムとして備えている。
これにより、例えば、緊急停止させた脱輪状態の無人草刈機を通常の走行姿勢又は走行位置に戻す場合には、走行補助ハンドル50を取付部15Aに取り付けた後、中立スイッチ54を操作することにより、前後進切替装置26を中立状態に切り替えることができ、走行補助ハンドル50を使用して無人草刈機を人力で走行移動させる場合の伝動系の負荷を大幅に軽減することができる。その結果、無人草刈機を人力で走行移動させ易くなり、脱輪状態などの無人草刈機を通常の走行姿勢又は走行位置に容易に戻すことができる。
又、補助制御部48Lが前後進制御部48Eに優先して前後進切替装置26の作動を制御することにより、走行補助ハンドル50を使用して無人草刈機を人力で走行移動させている場合に、遠隔操作器49の誤操作などにより、前後進切替装置26が不測に前進伝動状態又は後進伝動状態に切り替わる虞を回避することができる。
【0065】
中立スイッチ54は、前回の操作で中立切り替え指令を出力した後、再び操作された場合には、補助制御部48Lの優先を解除するための優先解除指令を制御装置48の入力部48Aに出力する。つまり、中立スイッチ54は、補助制御部48Lの優先解除を指令するスイッチを兼ねている。
【0066】
補助制御部48Lは、入力部48Aからの優先解除指令に基づいて前後進切替装置26に対する制御作動を停止する停止制御手段を制御プログラムとして備えている。
これにより、例えば、走行補助ハンドル50を使用した人力走行で無人草刈機を通常の走行姿勢又は走行位置に復帰させた後、再び中立スイッチ54を操作することにより、無人草刈機の遠隔操作又は自動走行を可能にすることができる。
【0067】
図1〜5、図7〜12、図14及び図15に示すように、走行車体1は、電装品Eとして、前述した発電機7、第1モータ41A、左右の第1リミットスイッチ41F、第2モータ42A、左右の第2リミットスイッチ42F、第3モータ43A、第1スイッチ44C、第2スイッチ45C、物体検出器46、ランプ47、制御装置48、バッテリ51、メインスイッチ52、緊急停止スイッチ53、及び、中立スイッチ54とともに、走行距離の算出などに使用する電磁ピックアップ式の車速センサ55、などを備えている。
【0068】
第1フレーム11は、各電装品Eに接続する複数の電線56を支持する複数の支持部材57を備えている。
これにより、各電線56を各支持部材57に支持させることにより、複数の電線56を、第1フレーム11に沿って走行車体1の外周側に位置する状態に簡単に配線することができる。その結果、配線作業及び各電線56のメンテナンスなどを行い易くしながら、電線56がエンジン2及び燃料タンク6などに接触する虞を回避することができる。
又、第1フレーム11の内側空間を、エンジン2及び燃料タンク6などの各種機器の配置空間として使用し易くなる。その結果、エンジン2及び燃料タンク6などの組み付け及びメンテナンスなどが行い易くなる。
【0069】
複数の支持部材57は、第1フレーム11の上端部に、第1フレーム11の全周にわたって所定ピッチで位置する状態で取り付けている。そして、この取り付けにより、第1フレーム11の上方に第1フレーム11の全周にわたる配線経路を確保している。
【0070】
図4図5図7及び図15に示すように、各支持部材57は、上方を開放するU字状に形成している。
これにより、前述した配線経路を利用して第1フレーム11に沿わせた各電線56の水平方向への位置ずれを、各支持部材57により防止することができる。その結果、複数の電線56が、第1フレーム11に沿って走行車体1の外周側に位置する状態を維持し易くなり、電線56がエンジン2及び燃料タンク6などに接触する虞をより確実に回避することができる。
【0071】
図1〜3、図5及び図14に示すように、各電装品Eのうち、第1モータ41A及び左右の第1リミットスイッチ41Fは、第1フレーム11における前側の第2部材11Bと近接する状態で、前側の第2部材11Bの後方に配備している。第1スイッチ44Cは、前側の第2部材11Bと近接する状態で、前側の第2部材11Bの前方に配備している。第2モータ42A及び左右の第2リミットスイッチ42Fは、第1フレーム11における後側の第2部材11Bと近接する状態で、後側の第2部材11Bの前方に配備している。第2スイッチ45Cは、後側の第2部材11Bと近接する状態で、後側の第2部材11Bの後方に配備している。制御装置48は、後側の第2部材11Bと近接する状態で、後側の第2部材11Bの上方に配備している。バッテリ51は、第1フレーム11における左側の第3部材11Cと近接する状態で、左側の第3部材11Cの下方に配備している。車速センサ55は、第1フレーム11における右側の第3部材11Cと近接する状態で、右側の第3部材11Cの下方に配備している。
【0072】
つまり、各電装品Eは、それらのうちの複数を、走行車体1の外周全域にわたるように平面視矩形状に形成した第1フレーム11に沿って分散配備している。
これにより、複数の電装品Eの組み付け及びメンテナンスなどが行い易くなるとともに、第1フレーム11に沿って走行車体1の外周側に配線する複数の電線56と複数の電装品Eとの接続が行い易くなる。特に、多くの電線56が集中する制御装置48を第1フレーム11に沿って配備することにより、各電線56の第1フレーム11に沿った配線が行い易くなる。
又、第1フレーム11の内側空間を、エンジン2及び燃料タンク6などの各種機器の配置空間として更に使用し易くなり、エンジン2及び燃料タンク6などの組み付け及びメンテナンスなどが更に行い易くなる。
【0073】
各電装品Eのうち、制御装置48、メインスイッチ52、緊急停止スイッチ53、及び、中立スイッチ54は、天板15の後端部において集中配備している。これにより、これらのスイッチ52〜54と制御装置48とにわたる配線が行い易くなる。
【0074】
図1〜5、図7図8図10図14及び図15に示すように、走行車体1は、第1フレーム11に沿って配線した複数の電線56を覆うカバー58として、第1フレーム11の前側の第2部材11Bに沿う複数の電線56を覆う第1カバー58A、第1フレーム11の後側の第2部材11Bに沿う複数の電線56を覆う第2カバー58B、及び、第1フレーム11の右側の第3部材11Cに沿う複数の電線56を覆う第3カバー58C、を備えている。
【0075】
各カバー58A〜58Cは、下方を開放する下向きU字状の断面を有する形状に形成して、複数の支持部材57にわたって取り付けている。
これにより、第1フレーム11に沿って第1フレーム11の上方に配線した複数の電線56を、カバー58によって上方から覆うことができる。つまり、第1フレーム11に沿って配線した複数の電線56を、第1フレーム11及びカバー58によって覆い隠すことができる。その結果、エンジン2などのメンテナンス時に工具などの他物が各電線56に引っ掛かる虞、及び、草刈作業中に草刈装置5が跳ね飛ばした小石などが各電線56に接触する虞、などを回避することができる。
【0076】
各カバー58A〜58Cは、各支持部材57に着脱可能にボルト連結している。これにより、各カバー58A〜58Cで覆われた複数の電線56に対してメンテナンスなどを行う場合には、各カバー58A〜58Cを簡単に取り外すことができる。
【0077】
図1〜3、図5図10及び図14に示すように、走行車体1は、その左側部を覆うサイドカバー59を備えている。サイドカバー59は、その上部59Aが、前述したカバー58における第1フレーム11の左側の第3部材11Cに沿う複数の電線56を覆う第4カバー58Dとして機能するように形成している。
【0078】
図2図7及び図8に示すように、第1伝動装置28は、動力分配機構28Aの駆動スプロケット28Aaを、右側の第1駆動輪3と第2駆動輪4との間に入り込ませた状態で、右側の第1駆動輪3及び第2駆動輪4の操舵領域の上方に配備している。
これにより、例えば、前記操舵領域の右外側に第1伝動装置28を配備する場合よりも、走行車体1の左右幅を狭くすることができる。その結果、遠隔操作又は自動走行において、無人草刈機を、より狭い樹木の間などを通り抜けさせることができ、作業効率を向上させることができる。
又、第1伝動装置28の全体を前記操舵領域の上方に配備する場合よりも、車体重心位置を低くすることができ、車体の安定性を向上させることができる。特に、駆動スプロケット28Aaを低く配備することにより、この駆動スプロケット28Aaに伝動する前後進切替装置26なども低く配備することが可能になる。その結果、車体重心位置を低くすることによる車体の安定性の向上を図り易くなる。
【0079】
動力分配機構28Aは、駆動スプロケット28Aaと連動する第1従動スプロケット28Ab及び第2従動スプロケット28Acを、駆動スプロケット28Aaの上方に前後に並べて配備している。
これにより、第1従動スプロケット28Ab及び第2従動スプロケット28Acを、左側の第1駆動輪3と第2駆動輪4との間に入り込まない高い位置、言い換えると、前記操舵領域よりも高い位置に配備している。
【0080】
そして、動力分配機構28Aは、上記のように高い位置に配備した前側の第1従動スプロケット28Abから、第1駆動輪3の操舵領域の上方に位置する前側の伝動軸29Aに、第1伝動機構28Bを介して伝動している。又、動力分配機構28Aは、上記のように高い位置に配備した後側の第2従動スプロケット28Acから、第2駆動輪4の操舵領域の上方に位置する後側の伝動軸29Aに、第2伝動機構28Cを介して伝動している。そして、このように伝動することにより、第1伝動機構28B及び第2伝動機構28Cの全体を前記操舵領域よりも高い位置に配備している。
これにより、車体重心位置を低くするために、動力分配機構28Aの駆動スプロケット28Aaを低く配置しても、第1伝動機構28B及び第2伝動機構28Cの全体を前記操舵領域よりも高い位置に配備することができる。その結果、第1伝動機構28B及び第2伝動機構28Cが左側の第1駆動輪3又は第2駆動輪4に接触する虞を確実に回避することができる。
【0081】
又、動力分配機構28Aはチェーン式であることから、動力分配機構28Aの駆動スプロケット28Aaを低く配置することにより、駆動スプロケット28Aaが上方の第1従動スプロケット28Ab及び第2従動スプロケット28Acから離れるようになっても、伝動チェーン28Adの長さを長くすることによって容易に対応することができる。これにより、駆動スプロケット28Aaをより低く配置して車体重心位置をより低くすることによる車体の安定性の向上を図り易くなる。
【0082】
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態で例示した構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0083】
〔1〕原動機Aとして、セルフスタータ式のエンジン2を備えてもよく、又、エンジン2の代わりに電動モータを備えてもよい。
【0084】
〔2〕フレーム11の構成は種々の変更が可能であり、例えば、各第2部材11B及び各第3部材11Bの少なくとも一方が角パイプ鋼材を主材とする構成でもよい。
【0085】
〔3〕支持部材57を、第3フレーム13及び連結部材14などに備えてもよい。
【0086】
〔4〕図16に示すように、複数の支持部材57を、第1フレーム11の横側端部に、第1フレーム11の全周にわたって所定ピッチで位置する状態で取り付けて、第1フレーム11の横側方に第1フレーム11の全周にわたる配線経路を確保するようにしてもよい。
【0087】
〔5〕図17に示すように、複数の支持部材57を、第1フレーム11の下端部に、第1フレーム11の全周にわたって所定ピッチで位置する状態で取り付けて、第1フレーム11の下方に第1フレーム11の全周にわたる配線経路を確保するようにしてもよい。
【0088】
〔6〕支持部材57の形状は種々の変更が可能であり、例えば、C字状又はL字状などに形成してもよい。又、支持部材57は、第1フレーム11に備えた係止孔に係止する係止突起を備える形状であってもよい。
【0089】
〔7〕カバー58の数量は種々の変更が可能であり、例えば、カバー58として、第1カバー58A〜第3カバー58Cのうちの少なくともいずれか一つを備えるようにしてもよい。又、第1フレーム11の左側の第3部材11Cに沿う複数の電線56を覆う専用の第4カバー58Dを備えるようにしてもよい。
【0090】
〔8〕カバー58の形状は、支持部材57の形状などに応じて種々の変更が可能であり、例えば、平板状又はL字状などに形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、走行車体の中央側に配置する原動機と、複数の電装品と、電装品に接続する複数の電線とを備えた無人草刈機、無人集草機、無人清掃機、などの無人作業車に適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 走行車体
11 フレーム
48 制御装置
56 電線
57 支持部材
58 カバー
A 原動機
E 電装品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17