特許第6671170号(P6671170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671170
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
   F28F3/08 311
   F28F3/08 301Z
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-255636(P2015-255636)
(22)【出願日】2015年12月28日
(65)【公開番号】特開2017-120131(P2017-120131A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2018年10月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151209
【氏名又は名称】株式会社マーレ フィルターシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】有山 雅広
(72)【発明者】
【氏名】和田 健二
(72)【発明者】
【氏名】若松 匠造
(72)【発明者】
【氏名】西木場 正
(72)【発明者】
【氏名】國井 角栄
【審査官】 飯星 潤耶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−167831(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00623798(EP,A1)
【文献】 特開2010−060168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00−3/14
F28D 9/00−9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のコアプレートが積層され、隣り合うコアプレートの間に第1媒体が通流する第1媒体通路と第2媒体が通流する第2媒体通路とが積層方向に交互に形成されるとともに、上記第1媒体もしくは上記第2媒体が通流する縦通路が積層方向に沿って形成されたコアと、
通路ポートが開口形成されたベースプレートと、
このベースプレートと上記コアとの間に介装されるディスタンスプレートと、を有し、
上記縦通路と上記通路ポートとは積層方向と直交する方向に離れて配置されており、
上記ディスタンスプレートは、上記ベースプレートの上面に接合される薄板状の底壁部と、上記縦通路と上記通路ポートとを連通する連通路の周囲を囲うように、上記底壁部より積層方向に膨出した細長く延びた膨出部と、を有し、
この膨出部には、全周に亘る先端のフランジ部を残して上記縦通路と上記通路ポートとの間に開口部が開口形成されており、上記フランジ部が上記コアの最下段のコアプレートの下面に接合されており、上記膨出部の内壁面と上記ベースプレートの上面と上記コアの最下段のコアプレートの下面とにより囲まれる空間によって、上記連通路が形成されている、
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
上記ディスタンスプレートの底壁部の上面と上記最下段のコアプレートの下面との間に、上記第1媒体もしくは上記第2媒体が通流する補助通路が形成されており、
この補助通路と上記連通路とが上記膨出部により仕切られていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
上記ディスタンスプレートには、上記底壁部の上面より上方へ突出し、先端が上記最下段のコアプレートの下面に当接する複数のディンプルが形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
上記コアには、上記通路ポートと連通する縦通路とは別個に、上記第1媒体通路と上記第2媒体通路の一方に連通する第2の縦通路が積層方向に沿って形成され、
この第2の縦通路と上記通路ポートとは上記積層方向で一部オーバーラップしており、
上記膨出部は、上記通路ポートの近傍の底壁部より立ち上がり、先端の上記フランジ部が上記第2の縦通路の周囲に位置する上記最下段のコアプレートの下面に接合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のオイルクーラ等に適用される熱交換器の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱交換器としての車両用のオイルクーラが開示されている。このオイルクーラは、多数のコアプレートが積層され、隣り合うコアプレートの間にオイル(第1媒体)が通流するオイル通路(第1媒体通路)と冷却水(第2媒体)が通流する冷却水通路(第2媒体通路)とが積層方向に交互に形成されるとともに、オイルもしくは冷却水が通流する縦通路が積層方向に沿って形成されたコアと、縦通路に連なる通路ポートが開口形成され、コアプレートよりも厚肉なベースプレートと、このベースプレートとコアとの間に介装されるディスタンスプレートと、を有している。ディスタンスプレートは、コアプレートよりも厚肉な板状をなしており、上記の縦通路と通路ポートとを連通する連通路(バイパス通路)が貫通形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5161709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コアに設けられる縦通路とベースプレートに設けられる通路ポートとが同軸上に配置されておらず、両者が積層方向に直交する方向(ディスタンスプレートの面に沿う方向)に離れて配置されている場合、上記の連通路がディスタンスプレートの面に沿う方向に細長いスリット状の孔として形成される。
【0005】
この連通路の圧力損失を抑制するためには、連通路の通路断面積を大きく確保する必要がある。しかしながら、この連通路の開口面積を大きくすると、ディスタンスプレートの剛性が低下し、ひいては熱交換器の剛性の低下を招いてしまう。また、連通路の通路断面積を大きくするために、ディスタンスプレートの厚さ方向の寸法(肉厚)を大きく設定すると、熱交換器自体の高さが増し、レイアウト性を低下させるだけでなく、熱交換器全体の重量の増加を招いてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。すなわち本発明に係る熱交換器は、多数のコアプレートが積層され、隣り合うコアプレートの間に第1媒体が通流する第1媒体通路と第2媒体が通流する第2媒体通路とが積層方向に交互に形成されるとともに、上記第1媒体もしくは第2媒体が通流する縦通路が積層方向に沿って形成されたコアと、通路ポートが開口形成されたベースプレートと、このベースプレートと上記コアとの間に介装されるディスタンスプレートと、を有している。
【0007】
上記縦通路と上記通路ポートとは積層方向と直交する方向に離れて(オフセットして)配置されている。そして、上記ディスタンスプレートは、上記ベースプレートの上面に接合される薄板状の底壁部と、上記縦通路と上記通路ポートとを連通する連通路の周囲を囲うように、上記底壁部より積層方向に膨出した細長く延びた膨出部と、を有している。
この膨出部には、全周に亘る先端のフランジ部を残して上記縦通路と上記通路ポートとの間に開口部が開口形成されており、上記フランジ部が上記コアの最下段のコアプレートの下面に接合されており、上記膨出部の内壁面と上記ベースプレートの上面と上記コアの最下段のコアプレートの下面とにより囲まれる空間によって、上記連通路が形成されている。
【0010】
好ましい一つの態様では、上記ディスタンスプレートの底壁部の上面と上記コアプレートの最下面との間に、上記第1媒体もしくは上記第2媒体が通流する補助通路が形成されており、この補助通路と上記連通路とが上記膨出部により仕切られている。
【0011】
他の好ましい一つの態様では、上記ディスタンスプレートには、上記底壁部の上面より上方へ突出し、先端が上記コアプレートの最下面に当接する複数のディンプルが形成されている。
【0012】
他の好ましい一つの態様では、上記コアには、上記通路ポートと連通する縦通路とは別個に、上記第1媒体通路と上記第2媒体通路の一方に連通する第2の縦通路が積層方向に沿って形成され、この第2の縦通路と上記通路ポートとは上記積層方向で一部オーバーラップしている。そして、上記膨出部は、上記通路ポートの近傍の底壁部より立ち上がり、先端の上記フランジ部が上記第2の縦通路の周囲に位置する上記コアの最下面に接合されている。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、ベースプレートに接合されるディスタンスプレートを薄肉化して軽量化を図りつつ、ディスタンスプレートの底壁部に膨出部を設けることで、この膨出部の内側に、縦通路と通路ポート、あるいは縦通路同士を連通する連通路を設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明に係る熱交換器の第1実施例であるオイルクーラの斜視図。
図2】上記第1実施例のオイルクーラの上面図。
図3図2のA−A線に沿う断面図。
図4】上記第1実施例のオイルクーラの分解斜視図。
図5】上記第1実施例のディスタンスプレートの斜視図。
図6】第1参考例のディスタンスプレートの斜視図。
図7】この発明に係る熱交換器の第2実施例であるオイルクーラの斜視図。
図8】上記第2実施例のオイルクーラの上面図。
図9図8のB−B線に沿う断面図。
図10図8のC−C線に沿う断面図。
図11】上記第2実施例のオイルクーラの分解斜視図。
図12】上記第2実施例のディスタンスプレートの斜視図。
図13】第2参考例のディスタンスプレートの斜視図。
図14参考例として2つの縦通路を連通路が連通するオイルクーラの分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1図5は、この発明に係る熱交換器の一実施例として、例えば車両の内燃機関の潤滑油や自動変速機の作動油となるオイルを冷却水との熱交換により冷却するオイルクーラを示している。なお、以下では、理解を容易にするために必要に応じて図3の姿勢を基準として「上」「下」の用語を用い、より詳しくは後述する積層方向に沿ってベースプレート12からコア11へ向かう方向を「上」方向と定義して説明しているが、実際のオイルクーラの使用時には、図3の取付姿勢に限定されるものではない。
【0016】
オイルクーラは、多数の薄板状のコアプレート15をフィンプレート16とともに積層してなるコア11と、比較的厚い板状のベースプレート12と、コア11とベースプレート12との間に介装されるディスタンスプレート13と、を有し、かつ、コア11の上に、コアプレート15よりも厚い頂部プレート14が重ねられた構成となっている。これらのオイルクーラの各構成部品は全てアルミニウム系材料にて構成されており、所定の状態に組み立てた後に治具で保持したまま炉内で加熱することにより各部一体にろう付けされている。なお、ろう材の供給手法としては、コアプレート15等を、アルミニウム系材料からなる母材の表面にろう材(例えば母材よりも融点が低いアルミニウム系材料)をコーティングしたいわゆるクラッド材として形成してもよく、あるいはシート状等とした別のろう材を接合面に配置するようにしてもよい。
【0017】
コア11は、図4にも示すように、基本的な形状が同一の矩形状をなす浅皿状のコアプレート15をフィンプレート16とともに多数積層することで、隣接する2枚のコアプレート15の間に、第1媒体としてのオイルが通流する第1媒体通路としてのオイル通路21(図3参照)と、第2媒体としての冷却水が通流する第2媒体通路としての冷却水通路22(図3参照)と、を積層方向に交互に形成したものである。コアプレート15としては、実際には細部が異なる複数種のコアプレート15を含み、これらが適宜に組み合わせてある。大別すると、オイル通路21の下側に位置する下側コアプレート15Aと、オイル通路21の上側に位置する上側コアプレート15Bと、を有し、両者間(つまりオイル通路21内)にフィンプレート16を挟み込んだ形で順次積層されている。矩形のコアプレート15は、その四方の周囲にテーパ状に立ち上がった周縁フランジ部17を有し、これらの周縁フランジ部17が重ね合わせて積層された状態でろう付けされることで、オイル通路21と冷却水通路22とが交互に画成されている。つまり、このコア11は、複数のコアプレート15の周縁フランジ部17が重ね合わせて接合されることで、オイル通路21及び冷却水通路22の周囲を囲うハウジングが形成される、いわゆるハウジングレス型の構造となっている。
【0018】
これらのコアプレート15には、一方の対角線上の隅部の2箇所に円形のオイル連通孔23が開口形成されているとともに、他方の対角線上の隅部の2箇所に円形の冷却水連通孔24が開口形成されており、さらに、中心位置に、円形のオイル出口孔25が開口形成されている。これらのオイル連通孔23,冷却水連通孔24及びオイル出口孔25は、コア11を構成する複数のコアプレート15について、積層方向に整列した位置に設けられている。そして、各々の孔23,24,25の周囲に設けられた円形のボス部23A,24A,25Aが互いに接合されることで、各段のオイル通路21および冷却水通路22がそれぞれ密封されるとともに、後述するように、積層方向に整列した縦通路L1〜L3,W1,W2が構成されている。なお、下側コアプレート15Aと上側コアプレート15Bとでは、ボス部23A,24A,25Aの膨出方向が異なっている。
【0019】
また、各コアプレート15には、冷却水通路22に向かって突出するように、半球状ないし円錐台形のディンプル26が多数形成されている。これらのディンプル26は、図3に示すように、冷却水通路22内にそれぞれ位置し、下側コアプレート15Aのディンプル26の頂部と上側コアプレート15Bのディンプル26の頂部とが互いに当接し、ろう付けにより接合されている。
【0020】
なお、フィンプレート16は、詳細には図示しないが、微細なフィンを具備した一般的な構成であり、コアプレート15のオイル連通孔23,冷却水連通孔24およびオイル出口孔25の位置に対応して、円形の開口部23B,24B,25Bを備えている。
【0021】
また、第1実施例は、いわゆるマルチパス形式のオイルクーラとして構成されており、オイル通路21が複数段積層されている中で、中間段に相当するオイル通路21を構成するコアプレート15(下側コアプレート15Aおよび上側コアプレート15Bのいずれか一方)である中間段下側コアプレート15Cでは、オイル連通孔23の一方が封止部23Cとして封止されている。
【0022】
最上段のオイル通路21の上側に位置する最上段上側コアプレート15Dは、頂部プレート14と密接するものであるため、ディンプル26は具備していない。そして、オイル連通孔23として一方のオイル連通孔23Dのみがボス部23Aを具備しない単純な孔として開口形成されている。また、最下段のオイル通路21の下側に位置する最下段下側コアプレート15Eは、ディスタンスプレート13と接合するものであることから、ディンプル26は具備していない。そして、オイル連通孔23として一方のオイル連通孔23Eのみがボス部23Aを具備しない単純な孔として開口形成されている。
【0023】
上述した複数のコアプレート15を積層してなるコア11の頂部に重ねられる頂部プレート14は、最上段上側コアプレート15Dの上面にろう付けされるものであって、対角線に沿って延びた頂部膨出部18を有し、この頂部膨出部18と最上段上側コアプレート15Dとの間に、隅部に設けられたオイル連通孔23Dと中央に設けられたオイル出口孔25とを連通する頂部連通路19(図3参照)が形成されている。
【0024】
ベースプレート12は、取付孔27Aを有する取付部27を四隅に備えているとともに、コアプレート15の一方のオイル連通孔23に対応した位置にオイル入口通路ポート28が開口形成されるとともに、他方のオイル連通孔23に対応した位置にオイル出口通路ポート29が開口形成されている。また、コアプレート15の一方の冷却水連通孔24に対応した位置に冷却水入口通路ポート31が開口形成されるとともに、他方の冷却水連通孔24に対応した位置に冷却水出口通路ポート32が開口形成されている。オイルクーラは、上記取付部27を介して内燃機関・自動変速機側の制御弁ハウジング等に取り付けられ、オイル入口通路ポート28およびオイル出口通路ポート29がそれぞれ内燃機関・自動変速機側のオイル通路に接続されるとともに、冷却水入口通路ポート31および冷却水出口通路ポート32がそれぞれ内燃機関・自動変速機側の冷却水通路側に接続されることとなる。
【0025】
次に、本実施例の要部をなすディスタンスプレート13について、図5を参照して説明する。図5は、ディスタンスプレート13を単体で示す斜視図である。このディスタンスプレート13は、コアプレート15よりは厚いもののベースプレート12よりもはるかに薄い板厚を有し、コアプレート15と同様に矩形の浅皿状をなしている。このディスタンスプレート13は、ベースプレート12の上面にろう付けにより密接・接合される薄板状の底壁部33を有し、この底壁部33の四方の周囲には、コアプレート15の周縁フランジ部17と同様に、テーパ状に立ち上がった周縁フランジ部17Aを有している。この周縁フランジ部17Aは最下段下側コアプレート15Eの周縁フランジ部17に重ね合わせた上でろう付けにより接合されている。
【0026】
また底壁部33には、コアプレート15と同様に、積層方向に突出する半球状ないし円錐台形のディンプル26Aが多数形成されており、このディンプル26Aの先端は、最下段下側コアプレート15Eの下面側に当接し、ろう付けにより接合されている。
【0027】
図3に示すように、底壁部33の上面と最下段下側コアプレート15Eの下面との間には、冷却水もしくはオイルが通流する空間である補助通路34が液密に画成されている。この第1実施例では、補助通路34に冷却水が通流するように構成されている。具体的には、底壁部33には、ベースプレート12の冷却水入口通路ポート31および冷却水出口通路ポート32に対応した位置に、それぞれ冷却水入口連通孔35及び冷却水出口連通孔36が開口形成されている。これらの冷却水入口連通孔35及び冷却水出口連通孔36は、ボス部を具備しない単純な孔として開口形成されている。従って、図4の破線の矢印W3でもって示すように、冷却水入口通路ポート31から冷却水入口連通孔35を通して導入された冷却水の一部が補助通路34の内部を流れ、冷却水出口連通孔36を通して冷却水出口通路ポート32から排出されるようになっている。
【0028】
また、底壁部33には、ベースプレート12のオイル入口通路ポート28に対応する位置に、オイル入口連通孔37が開口形成されている。このオイル入口連通孔37の周囲には積層方向へ張り出した円形のボス部37Aが設けられている。このボス部37Aの先端が最下段下側コアプレート15Eのオイル連通孔23Eの周囲の下面に接合されることで、冷却水が通流する補助通路34とオイル連通孔23E(つまり、後述する下側オイル縦通路L1A)とが液密に仕切られている。
【0029】
ここで、最下段下側コアプレート15Eの中心に位置するオイル出口孔25と、ベースプレート12の隅部に片寄って位置するオイル出口通路ポート29と、は積層方向に直交する方向に離れて配置されており、両者を互いに連通させるように、対角線に沿った細長い長円状の範囲にわたって、底壁部33から積層方向に膨出する膨出部40が形成されている。この膨出部40の先端のフランジ部42は全周にわたって内側へフランジ状に折れ曲がっており、このフランジ部42の内側に、長円状に大きく開口する開口部41が開口形成されている。言い換えると、膨出部40の先端では、開口部41の周囲に、底壁部33とほぼ平行なフランジ部42が全周にわたって残されており、このフランジ部42の上面が最下段下側コアプレート15Eの下面にろう付けにより密接・接合されている。より詳しくは、膨出部40の中央寄りの一端側では、膨出部40の先端のフランジ部42が最下段下側コアプレート15Eにおけるオイル出口孔25の周囲の下面に接合されており、かつ、膨出部40の隅部寄りの他端側では、膨出部40の周囲の底壁部33がベースプレート12におけるオイル出口通路ポート29の周囲の上面に接合されている。
【0030】
この膨出部40の内側の空間、つまり、膨出部40の内壁面とベースプレート12の上面と最下段下側コアプレート15Eの下面とにより囲われる空間が、最下段下側コアプレート15Eのオイル出口孔25(つまり、オイル出口縦通路L3)とオイル出口通路ポート29とを繋ぎ、両者を連通する連通路43として形成されている。
【0031】
以上の各構成部品が積層され、かつ一体にろう付けされた状態では、図3及び図4に示すように、コア11内に、積層方向に連続したいくつかの縦通路L1〜L3,W1,W2が構成され、これらの縦通路L1〜L3,W1,W2を介して、各段のオイル通路21を通してオイル入口通路ポート28からオイル出口通路ポート29へとオイルが案内されるとともに、各段の冷却水通路22を通して冷却水入口通路ポート31から冷却水出口通路ポート32へと冷却水が案内される。なお、図4ではオイルの流れを実線の矢印で表し、冷却水の流れを破線の矢印で表している。
【0032】
具体的には、オイル入口通路ポート28の上方に整列した各コアプレート15の一方のオイル連通孔23を積層することで構成されるオイル縦通路L1と、他方のオイル連通孔23を積層することで構成されるオイル縦通路L2と、中心のオイル出口孔25を積層することで構成されるオイル出口縦通路L3と、がコア11内に積層方向に延びるオイル縦通路として構成される。さらに、オイル縦通路L1は、中間の封止部23Cによって下側オイル縦通路L1Aと上側オイル縦通路L1Bとに区分されている。
【0033】
下側オイル縦通路L1Aは、下端がオイル入口通路ポート28に向かって開口し、該オイル入口通路ポート28に直線的に接続されている。上側オイル縦通路L1Bは、頂部プレート14により形成される頂部連通路19に向かって上端が開口している。これらのオイル縦通路L1A,L1Bは、コアプレート15A,15B間の各オイル通路21にそれぞれ連通している。
【0034】
他方のオイル連通孔23によるオイル縦通路L2は、上端が最上段上側コアプレート15Dによって封止されるとともに、下端が最下段下側コアプレート15Eにより封止されている。このオイル縦通路L2は、やはりコアプレート15A,15B間の各オイル通路21にそれぞれ連通している。
【0035】
中心のオイル出口縦通路L3は、頂部プレート14により形成される頂部連通路19に向かって上端が開口しているとともに、ディスタンスプレート13における膨出部40に開口形成された開口部41(つまり、連通路43)の中心寄りの一端部に向かって下端が開口している。このオイル出口縦通路L3は、コアプレート15A,15B間のオイル通路21から分離・独立しており、積層方向にのみオイルが案内される。そして、このオイル出口縦通路L3の下端と、ベースプレート12の隅部に設けられたオイル出口通路ポート29と、が連通路43によって連通している。
【0036】
なお、この第1実施例では、上記のオイル出口縦通路L3が請求項における「縦通路」に相当する。
【0037】
また、図4の破線の矢印で示すように、各コアプレート15の冷却水連通孔24が積層されることで、オイル縦通路L1,L2と同様に、積層方向に沿った一対の冷却水縦通路W1,W2が構成されている。一方の冷却水入口縦通路W1は、上端が最上段上側コアプレート15Dによって封止されているとともに、下端が冷却水入口通路ポート31に向かって開口し、該冷却水入口通路ポート31に直線的に接続されている。他方の冷却水出口縦通路W2は、上端が最上段上側コアプレート15Dによって封止されているとともに、下端が冷却水出口通路ポート32に向かって開口し、該冷却水出口通路ポート32に直線的に接続されている。これらの冷却水縦通路W1,W2はコアプレート15A,15B間の冷却水通路22にそれぞれ連通している。従って、冷却水入口通路ポート31から流入した冷却水は、冷却水入口縦通路W1を上方へ流れ、かつコア11の各段の冷却水通路22へと案内される。各段の冷却水通路22内を流れる際にオイルと熱交換した冷却水は、反対側の冷却水出口縦通路W2へ流れ出るとともに、該冷却水出口縦通路W2を下方へ流れ、冷却水出口通路ポート32へと流れ出る。
【0038】
次にオイルの流れについて説明すると、図3及び図4の実線の矢印で示すように、オイル入口通路ポート28から流入したオイルは、下側オイル縦通路L1Aを上方へ流れ、かつコア11の下半部に位置する各段のオイル通路21へと案内される。各段のオイル通路21で冷却水と熱交換したオイルは、反対側のオイル縦通路L2へ流れ出るとともに、該オイル縦通路L2を上方へ(つまり頂部側へ)流れ、コア11の上半部に位置する各段のオイル通路21へと案内される。つまり、コア11内で下半部の領域から上半部の領域へとUターンするように流れる。上半部の各段のオイル通路21でさらに冷却されたオイルは、上側オイル縦通路L1Bへ流れ出るとともに、該上側オイル縦通路L1Bを上方へ流れ、頂部連通路19を介して中心のオイル出口縦通路L3へと導かれる。オイル出口縦通路L3内でオイルは下方へ流れ、ディスタンスプレート13の連通路43を介してオイル出口通路ポート29へと流れ出る。
【0039】
図6は第1参考例に係るディスタンスプレート13Bを示している。このディスタンスプレート13Bは、図5に示す第1実施例のディスタンスプレート13よりも厚肉な板状をなし、その下面全体がベースプレート12の上面に密接・接合されるとともに、その上面全体が最下段下側コアプレート15Eの下面に密接・接合されるようになっている。このディスタンスプレート13Bには、冷却水入口連通孔35,冷却水出口連通孔36及びオイル入口連通孔37の他、本実施例の連通路43に対応する構成として、スリット状の連通孔45が貫通形成されている。
【0040】
このような第1参考例と比較しつつ、上記第1実施例の特徴的な構成及びその作用効果について説明する。先ず、第1実施例では、第1参考例に比してディスタンスプレート13が十分に薄肉化されることから、軽量化を図ることができる。
【0041】
また、ディスタンスプレート13の底壁部33より積層方向に膨出する膨出部40を設け、その先端のフランジ部42をコア11の最下面を構成する最下段下側コアプレート15Eの下面に接合することで、この膨出部40の内側に、離れて配置されたコア11のオイル出口縦通路L3とベースプレート12のオイル出口通路ポート29とを連通する連通路43を形成することができる。つまり、この第1実施例では、第1参考例よりもディスタンスプレート13を薄肉化しつつ、このディスタンスプレート13に連通路43を設けることができる。
【0042】
更に、ディスタンスプレート13の底壁部33の上面と最下段下側コアプレート15Eの下面との間に冷却水が通流する補助通路34が形成され、補助通路34と連通路43とが膨出部40により液密に仕切られている。従って、冷却水が通流する補助通路34が、隣接するコア11の最下段のオイル通路21と熱交換を行なう冷却水通路として機能し、上記の第1参考例のディスタンスプレート13Bを用いた場合に比して、同一パッケージで熱交換量を増やすことができる。
【0043】
しかも、ディスタンスプレート13には、底壁部33の上面より上方へ突出して先端が最下段下側コアプレート15Eの下面に接合する複数のディンプル26Aが形成されているために、上述したようにディスタンスプレート13を薄肉化しつつも、このディスタンスプレート13の積層方向についての剛性を十分に確保することができる。
【0044】
次に、図7図12を参照して本発明の第2実施例を説明する。なお、以下では、主に第1実施例と異なる点のみを説明し、重複する説明を適宜省略する。
【0045】
この第2実施例では、内燃機関・自動変速機側の通路レイアウトの関係で、第1実施例に対してベースプレート12に形成されるオイル通路ポートの位置が異なっており、これに伴って内部のオイルの流れも異なるものとなっている。
【0046】
詳しくは、図11にも示すように、オイル入口通路ポート28Aがベースプレート12の中心付近に開口形成されるとともに、冷却水入口通路ポート31及び冷却水出口通路ポート32が配置された対角線とは異なる対角線上の一方の隅部にオイル出口通路ポート29Aが開口形成されている。また、コア11は、第1実施例に対し、封止部23C,オイル連通孔23E,下側オイル縦通路L1A及び上側オイル縦通路L1Bが対角線上の反対側に入れ替わって配置されたレイアウトとなっている。
【0047】
図12に示すように、ディスタンスプレート13Aは、内部に形成される補助通路34内をオイルが通流するように構成されており、その関係で、一方の対角線上に配置される冷却水入口連通孔35及び冷却水出口連通孔36の周囲には、最下段下側コアプレート15Eに接合するボス部35A,36Aがそれぞれ設けられ、他方の対角線の隅部に形成されるオイル出口連通孔38がボス部を具備しない単純な孔として開口形成されている。また、ディスタンスプレート13Aに形成される膨出部40Aは、中央のオイル出口縦通路L3を迂回するように略L字状に折れ曲がっており、この膨出部40Aの内側に形成される連通路43Aによって、ベースプレート12の中心付近に設けられるオイル入口通路ポート28Aと、コア11の隅部に設けられる下側オイル縦通路L1Aと、が連通している。
【0048】
オイルの流れについて説明すると、図10及び図11の実線の矢印で示すように、オイル入口通路ポート28Aから流入したオイルは、ディスタンスプレート13Aに形成された連通路43Aを通して下側オイル縦通路L1Aに入り、この下側オイル縦通路L1Aを上方へ流れ、かつコア11の下半部に位置する各段のオイル通路21へと案内される。各段のオイル通路21で冷却水と熱交換したオイルは、反対側のオイル縦通路L2へ流れ出るとともに、該オイル縦通路L2を上方へ(つまり頂部側へ)流れ、コア11の上半部に位置する各段のオイル通路21へと案内される。つまり、上記の第1実施例と同様に、コア11内で下半部の領域から上半部の領域へとUターンするように流れる。上半部の各段のオイル通路21でさらに冷却されたオイルは、上側オイル縦通路L1Bへ流れ出るとともに、該上側オイル縦通路L1Bを上方へ流れ、頂部連通路19を介して中心のオイル出口縦通路L3へと導かれる。オイル出口縦通路L3内でオイルは下方へ流れ、ディスタンスプレート13Aの補助通路34及びオイル出口連通孔38を経由してオイル出口通路ポート29Aへと流れ出る。
【0049】
また、ディスタンスプレート13Aは、オイル出口縦通路L3からオイル出口連通孔38へ向かうオイルの流れを阻害することのないように、オイル出口縦通路L3(の下端)とオイル出口連通孔38とを結ぶ範囲の近傍ではディンプル26Aが省略されており、平坦な底壁部33の上面が延在するようになっている。
【0050】
なお、この第2実施例においては、下側オイル縦通路L1Aが請求項における「縦通路」、オイル出口縦通路L3が請求項における「第2の縦通路」に相当する。
【0051】
図13は第2参考例に係るディスタンスプレート13Cを示している。このディスタンスプレート13Cは、図12に示す第2実施例のディスタンスプレート13Aよりも厚肉な板状をなし、その下面全体がベースプレート12の上面に密接・接合されるとともに、その上面全体が最下段下側コアプレート15Eの下面に密接・接合されるようになっている。このディスタンスプレート13Cには、冷却水入口連通孔35及び冷却水出口連通孔36の他、第2実施例の連通路43Aに対応する構成として、スリット状の連通孔46が貫通形成されるとともに、第2実施例の補助通路34に対応する構成として、もう一つのスリット状の連通孔47が貫通形成されている。
【0052】
このような第2参考例と比較しつつ、上記第2実施例の特徴的な構成及びその作用効果について説明する。先ず第1実施例と同様に、この第2実施例では第2参考例に比してディスタンスプレート13Aを薄肉化することにより軽量化を図ることができることに加え、ディスタンスプレート13Aに膨出部40Aを設けることで、離れて配置されたベースプレート12のオイル入口通路ポート28Aとコア11の下側オイル縦通路L1Aとを連通する連通路43Aを形成することができる。
【0053】
また、ディスタンスプレート13Aには、底壁部33の上面より上方へ突出して先端が最下段下側コアプレート15Eの下面に接合する複数のディンプル26Aが形成されているために、ディスタンスプレート13Aの積層方向についての剛性を十分に確保することができる。
【0054】
図13に示す第2参考例では、2つのスリット状の連通孔46,47が近接して開口形成されているために、両者の間のブリッジ部48の剛性を確保するために、連通孔46,47の大きさが制限されるとともに、板厚方向の寸法をある程度確保する必要がある。これに対して第2実施例では、ディスタンスプレート13Aの底壁部33の上面と最下段下側コアプレート15Eの下面との間にオイルが通流する補助通路34が形成され、この補助通路34と連通路43Aとが膨出部40Aにより液密に仕切られている。そして、この補助通路34(及びオイル出口連通孔38)が、上記の連通路43Aとは別に、コア11の中心付近に設けられたオイル出口縦通路L3とベースプレート12の隅部に設けられたオイル出口通路ポート29Aとを連通する連通路として機能している。従って、第2参考例のようなブリッジ部を設ける必要がなく、連通路43Aや補助通路34の大きさに制約を受けることがないので、通路断面積を十分に確保して通路抵抗を抑制することができるとともに、第2参考例のように板厚方向の寸法に制約を受けることもないので、積層方向寸法の低減による小型化を図ることができる。
【0055】
図9に示すように、ベースプレート12の中心付近に開口形成されたオイル入口通路ポート28Aと、コア11の中心付近を積層方向に延びるオイル出口縦通路L3とは、積層方向で一部オーバーラップしている。そして、このようにオーバーラップする部分の近傍における膨出部40Aは、オイル入口通路ポート28Aの近傍の底壁部33より立ち上がり、先端のフランジ部42がオイル出口縦通路L3の周囲に位置する最下段下側コアプレート15Eの下面に接合されている。
【0056】
図9中の破線は、図13に示す第2参考例の厚板状のディスタンスプレート13Cを用いた場合の断面形状を表している。この場合、ディスタンスプレート13Cがオイル入口通路ポート28Aとオイル出口縦通路L3の一部を塞ぐ形となり、その開口面積が低減して通路抵抗が増加する。
【0057】
これに対して第2実施例では、膨出部40Aがベースプレート12のオイル入口通路ポート28Aの周縁部とコア11のオイル出口縦通路L3の周縁部とを斜めに繋いだ形となるために、第2参考例のようにオイル入口通路ポート28Aやオイル出口縦通路L3の一部を塞ぐことがなく、これらオイル入口通路ポート28Aやオイル出口縦通路L3の開口面積を大きく確保して、通路抵抗の増加を抑制することができる。
【0058】
図14は、参考例となるオイルクーラを示している。この参考例では、第1実施例に対してオイルの流れが異なっており、オイル通路ポートがベースプレート12ではなく頂部プレート14に設けられている。
【0059】
具体的には、この参考例のオイルクーラでは、ベースプレート12にオイルの出入口となるオイル通路ポートを設けていない。一方、頂部プレート14に対し、頂部膨出部18に沿う対角線上の一対の端部に、一対のオイル通路ポート(図示省略)を開口形成するとともに、オイルの出入口となるオイル入口パイプ51とオイル出口パイプ52とをそれぞれ立設している。オイル入口パイプ51は、頂部プレート14の隅部に開口形成されたオイル通路ポート(図示省略)の周囲にろう付けにより接合され、オイル出口パイプ52は、頂部膨出部18の外周寄りの端部の上面側に開口形成されたオイル通路ポート(図示省略)の周囲にろう付けにより接合されている。
【0060】
最上段上側コアプレート15Dにおいては、オイル入口パイプ51に対応する位置に、オイル入口パイプ51に連なるオイル連通孔23Fが開口形成される一方、オイル出口パイプ52に対応する位置には、オイル連通孔が設けられていない(あるいは、閉塞部が設けられる)。
【0061】
中間段下側コアプレート15Cにおいては、オイル入口パイプ51に対応する位置に、オイル連通孔を閉塞した閉塞部23Cが設けられ、オイル出口パイプ52の対応する位置にはオイル連通孔23が開口形成されている。そして、上記の閉塞部23Cによって、積層方向に沿うオイル縦通路L2が上側オイル縦通路L2Aと下側オイル縦通路L2Bとに区分されている。
【0062】
最下段下側コアプレート15Eにおいては、頂部膨出部18に沿う対角線上の2箇所に一対のオイル連通孔23が開口形成されている。
【0063】
そして、ディスダンスプレート13の膨出部40の内側に画成される連通路43は、入口通路ポート51に対応する隅部に設けられたオイル縦通路L2(下側オイル縦通路L2B)と、中央に設けられたオイル出口縦通路L3と、を連通している。また、ディスタンスプレート13の底壁部33の上面と最下段下側コアプレート15Eの下面との間に形成される連通路34には、第1実施例と同様に、冷却水が通流するように構成されている。
【0064】
オイルの流れについて説明すると、図14の実線の矢印で示すように、オイル入口パイプ51から流入したオイルは、上側オイル縦通路L2Aに入り、この上側オイル縦通路L2Aを下方へ流れ、かつコア11の上半部に位置する各段のオイル通路21へと案内される。各段のオイル通路21で冷却水と熱交換したオイルは、反対側のオイル縦通路L1へ流れ出るとともに、該オイル縦通路L1を下方へ流れ、コア11の下半部に位置する各段のオイル通路21へと案内される。つまり、コア11内で上半部の領域から下半部の領域へとUターンするように流れる。下半部の各段のオイル通路21でさらに冷却されたオイルは、下側オイル縦通路L2Bへ流れ出るとともに、該下側オイル縦通路L2Bを下方へ流れ、ディスタンスプレート13に設けられた連通路43を介して中心のオイル出口縦通路L3へと導かれる。オイル出口縦通路L3内でオイルは上方へ流れ、頂部プレート14の頂部膨出部18の内側に形成された頂部連通路19(図3参照)を経由してオイル出口パイプ52へと流れ出る。
【0065】
このように、オイルの出入口となるオイル通路ポート(オイル入口パイプ51及びオイル出口パイプ52)を頂部プレート14側に設けた構成においても、上記第1実施例と同様の作用効果を奏することができる。つまり、ディスタンスプレート13の薄肉化を図りつつ、このディスタンスプレート13に膨出形成した膨出部40の内側に、離れて配置された下側オイル縦通路L2Bとオイル出口縦通路L3とを連通する連通路43を形成することができる。また、第1実施例と同様に、補助通路34が冷却水通路として機能することから、装置の大型化を招くことなく熱交換効率を向上することができる。
【0066】
なお、このようにオイルの出入口を頂部プレート14側に設ける構造を第2実施例にも同様に適用することが可能である。
【0067】
以上、この発明のいくつかの実施例を説明したが、この発明は上記の実施例に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、第1,第2実施例の各々の構成において、オイル入口通路ポート28(28A)とオイル出口通路ポート29(29A)とを逆にして、図示する矢印の向きと逆方向にオイルを通流させるように構成することも可能である。また、オイルと冷却水とを逆にすることも可能である。この場合にも、オイル通路にフィン16が介装される構成となる。
【0068】
また、図示例では、別途のハウジングを具備せずにコアプレート15の積層によってオイル通路21と冷却水通路22とを交互に画成した、いわゆるハウジングレスの構成となっているが、冷却水が流れるハウジング内にオイル通路のみを備えたコア部を収容した構成とすることも可能である。
【0069】
上記実施例では冷却水の出入口となる冷却水通路ポートをベースプレート12に設けているが、頂部プレート14側に冷却水通路ポートを設ける構成としても良い。
【0070】
さらに、上記実施例では、第1媒体,第2媒体としてオイルと冷却水を用いているが、他の媒体を用いても良く、例えば空冷式のオイルクーラでは冷却水に代えて空気が用いられる。
【0071】
また、膨出部40(40A)の開口部41は、少なくとも縦通路L1(L3)と連通する部分に設けられていれば良く、例えば剛性を確保するために残りの部分では開口部の一部を塞ぐようにフランジ部42を内側に延長形成しても良い。
【符号の説明】
【0072】
11…コア部
12…ベースプレート
13,13A…ディスタンスプレート
15…コアプレート
21…オイル通路
22…冷却水通路
28,28A…オイル入口通路ポート
29,29A…オイル出口通路ポート
31…冷却水入口通路ポート
32…冷却水出口通路ポート
40,40A…膨出部
41…開口部
42…フランジ部
43,43A…連通路
L1,L2…オイル縦通路
L3…オイル出口縦通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14