特許第6671176号(P6671176)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671176
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】水抽出のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B01D 61/00 20060101AFI20200316BHJP
   B01D 71/56 20060101ALI20200316BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20200316BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20200316BHJP
   C02F 1/44 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   B01D61/00 500
   B01D71/56
   B01D69/10
   B01D69/12
   C02F1/44 A
【請求項の数】13
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2015-558483(P2015-558483)
(86)(22)【出願日】2014年2月24日
(65)【公表番号】特表2016-514039(P2016-514039A)
(43)【公表日】2016年5月19日
(86)【国際出願番号】EP2014053519
(87)【国際公開番号】WO2014128293
(87)【国際公開日】20140828
【審査請求日】2017年2月24日
(31)【優先権主張番号】PA201300107
(32)【優先日】2013年2月25日
(33)【優先権主張国】DK
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】507382832
【氏名又は名称】アクアポリン アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100107386
【弁理士】
【氏名又は名称】泉谷 玲子
(72)【発明者】
【氏名】メンゼル,スアン
(72)【発明者】
【氏名】ペリー,マーク・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】フォーゲル,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ブラーケヴェルト,シルヴィ
(72)【発明者】
【氏名】ゲシュケ,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ラルセン,マリアンネ・エレオノーラ・スパンゲット
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−529984(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/016574(WO,A1)
【文献】 特開2012−250200(JP,A)
【文献】 特表2008−526467(JP,A)
【文献】 特表2014−521505(JP,A)
【文献】 特開2014−094378(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/043726(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0174639(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0231535(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/019812(WO,A1)
【文献】 YANG ZHAO,JOURNAL OF MEMBRANE SCIENCE,2012年12月 1日,V423-424,P422-428
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 61/00−71/82
C02F 1/44
A01C 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のものを含む水抽出システム:
a)膜(2)を含むフローセル(1);膜は、支持層(4)上の薄膜複合材料(TFC)層中に固定化されたアクアポリン水チャネルを含む有効層(3)を含み、膜は供給側(5)および非供給側(6)を有し、ここにおいて、膜の非供給側は抜取側として機能し;
b)供給液流(10)を膜の供給側と流体連通させるための手段、及び、ポンプ(16);
c)膜の抜取側と流体連通した抜取水溶液(8)から、希釈された抜取溶液(12)を生成するための手段;
d)希釈された抜取溶液の追加希釈のための任意選択的な淡水源(14);及び
e)濃縮植物栄養素抜取溶液(13)を供給する手段
ここにおいて、希釈された抜取溶液(12)から、そのまま使用できる希釈された植物栄養素溶液(15)が生成し、そして、
ここにおいて、抜取水溶液(8)は濃縮植物栄養素抜取溶液(13)に由来し、
その際、より高い希釈度を達成するために、希釈された抜取溶液をフローセルに再循環させてよく、そして、
ここにおいて、有効層はアクアポリンベシクルが取り込まれた架橋芳香族アミド薄膜であり、ベシクルはアクアポリンタンパク質懸濁液の存在下での両親媒性脂質またはブロックコポリマーの自己アセンブリーにより形成されたものである。
【請求項2】
有効層は架橋芳香族アミド層、好ましくは界面重合により形成されたものであり、ベシクルは両親媒性脂質、ジブロックコポリマー、またはトリブロックコポリマーから形成されたものである、請求項1に記載の水抽出システム。
【請求項3】
両親媒性脂質が、アソレクチンである、請求項2に記載の水抽出システム。
【請求項4】
ジブロックコポリマーが、親水性ブロック(AまたはC)および疎水性(B)ブロックの両方を含み、そして、A−BまたはC−Bタイプであって二重層を形成できる、請求項2に記載の水抽出システム。
【請求項5】
トリブ ロックコポリマーが、親水性ブロック(AまたはC)および疎水性(B)ブロックの両方を含み、そして、A−B−AまたはA−B−Cタイプであって単層を形成できる、請求項2に記載の水抽出システム。
【請求項6】
アクアポリンは、植物アクアポリン、哺乳動物アクアポリン、および細菌アクアポリンから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水抽出システム。
【請求項7】
植物アクアポリンがSoPIP2;1である、哺乳動物アクアポリンがAqp1である、あるいは、細菌アクアポリンがアクアポリン−Zである、請求項6に記載の水抽出システム。
【請求項8】
支持層はポリスルホンまたはポリエーテルスルホン支持膜である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水抽出システム。
【請求項9】
システムがさらに
f)抜取溶液濃縮ユニット(9)
を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水抽出システム。
【請求項10】
膜の再生またはファウリング防止のための手段を含み、その手段が約2〜11のpHを有する洗浄液を含み、洗浄液が有機酸またはキレート化剤の溶液から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水抽出システム。
【請求項11】
有機酸がクエン酸である、あるは、キレート化剤がEDTAである、請求項10に記載の水抽出システム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の水抽出システムを含む施肥灌漑システム。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の水抽出システムを用いることによる、肥料抜取−正浸透脱塩の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水抽出のためのシステムに関するものであり、このシステムはフィルター膜を収容したフローセルを含み、膜は、固定化されたアクアポリン(aquaporin)水チャネルを含む有効層、および多孔質支持層を有し、供給源水溶液は膜と流体連通(fluid communication)している。さらに本発明は、水源から汚染物質を除去するためのシステム、灌漑目的の希釈栄養素溶液を生成するための肥料抜取−正浸透(fertilizer drawn forward osmosis)を用いるシステム、水溶液中の有機および/または無機溶質を濃縮するためのシステム、正浸透および/または逆浸透全般、たとえば低圧逆浸透を用いる水抽出システム、浸透圧発電(pressure retarded osmosis)、廃水またはプロセス水の処理(使用済み透析溶液からの水抽出を含む)のためのシステム、ならびに脱塩および/または低もしくはゼロ炭素放出型エネルギー産生のための複合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水は生命に最も必須の成分である。しかし、清浄水の不足が増すのに伴なって、海水および産業用水からの清浄水の抽出、ならびに産業プロセス水および困難な廃水流の処理に、いっそう多くの関心がもたれるようになった。価値ある溶液から清涼な水(gentle water)を抽出する可能性にも関心がもたれている −食品流からタンパク質およびペプチドまたは価値ある小分子有機化合物の溶液へ。
【0003】
種々の浄水技術のうち逆浸透法、正浸透法およびナノ濾過が、低分子量の溶質、たとえば小分子有機化合物およびイオンの除去におけるそれらの有効性のため、水抽出用として一般的になってきた。しかし、これらの水抽出技術は依然としてエネルギー集約的であり、また必ずしも十分に選択的ではない。その例は、自然界で海水および汚染地下水中に存在しており脱塩した灌漑用水および飲用水に問題を生じる可能性がある溶存ホウ素化合物、ならびに天然の地表水源および地下水源、たとえば沖積平野およびモレーン堆積物中に頻繁に存在するヒ素化合物などの汚染物質である。
【0004】
Kim et al. 2012は、種々のFOおよびRO水濾過実験でホウ素阻止率(rejection)を調べて、FOモードで最大ホウ素保持率(retention)が約50〜55%であることを見出した。しかし、得られる濾液において目的とする低いホウ素含量を得るためには、この低いホウ素濾過効率では数サイクルの濾過を必要とする可能性がある。したがって、改良された水抽出システム、たとえばホウ素またはヒ素などの水質汚染物質を、好ましくは数工程またわずか1工程の濾過で除去できるシステムを開発することがきわめて重要である。さらに、本発明の目的は、肥料抜取−正浸透(fertilizer drawn forward osmosis)(FDFO)に適合させた水抽出システムを提供することである;この場合、海水、淡塩水、質の低下した地下水もしくは地表水、または他のいずれかの適切な水源を供給溶液として使用でき、濃縮無機植物栄養素溶液を抜取溶液として用いて、液体肥料として、たとえば栄養素を加えた灌漑用水として使用できるほど十分に低いモル浸透圧濃度またはホウ素含量をもつ最終肥料溶液が得られる。さらに、本発明の目的は、エネルギー貯蔵のための新規システム、および血液透析における超純水などの水の再利用のための新規システムを提供することである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kim et al. Journal of Membrane Science 419-420 (2012) 42-48
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、たとえば支持または固定化された液膜配合物の形態の支持体付きフィルターメンブレン内または上に固定化されたアクアポリン水チャネルを利用した水抽出システムを提供することである。図1を参照すると、そのシステムは、膜(2)を含むフローセル(1)を含み、その膜は、固定化されたアクアポリン水チャネルを含む有効層(3)、および多孔質支持層(4)を含み、その膜は供給側(5)と非供給側(6)をもつ;そのシステムはさらに、供給側と流体連通した供給源水溶液(7)を含む。本発明は、選択的な水抽出のための新規システムを提供し、その際、アクアポリン水チャネル、たとえばアクアポリンZ水チャネルを取り込んだフィルター膜が、このシステムにそのチャネルのユニークかつ選択的な水輸送特性、すなわち、効率の高い水フラックス、高い塩阻止率、正浸透操作モードでの低いエネルギー消費、小分子有機および無機溶質の高い阻止率、固有の低いファウリング特性、ならびに特にこのシステムに使用する膜の堅牢な操作条件をもたらす。
【0007】
本発明の他の目的は、以下の詳細な記述および例から当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aは、水抽出システムの必須機構の模式図を示す;図中:(1)はフローセルである;(2)は膜である;(7)は供給源水溶液である。図1Bは、有効層(3)が膜の供給側(5)にあり、支持層(4)が膜の非供給側(6)にある態様を示す。図1Bの膜構造は、ある実験においてホウ素含有溶質のより高い阻止率%を示した;実施例1を参照。図1Cは、支持層(4)が膜の供給側(5)にあり、有効層(3)が膜の非供給側(6)にある態様を示す。
図2図2は、供給液流から水を抽出するための正浸透(FO)システムの模式図を示す;図中:(10)は供給液流である;(1)は膜(2)を備えたフローセルである;(11)は濃縮された供給液流である;(8)は膜の抜取側と流体連通した抜取溶液(draw solution)である;(9)は抜取溶液濃縮ユニット(9)である。
図3図3は、肥料抜取−正浸透(Fertilizer Drawn Forward Osmosis)(FDFO)脱塩システムの模式図を示す;図中:(10)は供給液流、好ましくは非飲用水である;(13)は濃縮肥料溶液である;(1)は膜を備えたフローセルである;(12)は部分希釈された肥料溶液であり、これを再循環してより高い希釈度を達成できる;(14)は肥料溶液の希釈度を最終調整するための追加の淡水タンクである;(11)は濃縮された供給液流、たとえばアップコンセントレーションした(up-concentrated)海水である;(15)は、そのまま使用できる希釈された肥料溶液である。
図4図4は、逆浸透(RO)システムの模式図を示す;図中:(18)は供給溶液タンクである;(16)はポンプである;(17)はバルブである;(19)は透過液である;(20)は透過液タンクである。ポンプからフローセルを通ってバルブへ戻る液流は加圧液流である。
図5図5は、抜取溶液(draw solution)を再生して生成水を抽出する、脱塩のための正浸透(FO)システムの模式図を示す;図中:(21)は供給液流、たとえば海水である;(1)は膜(2)を備えたフローセルである;(22)は濃縮された供給液流である;(23)は濃縮抜取溶液である;(8)はフローセルと流体連通した抜取溶液である;(24)は希釈された抜取溶液である;(9)は抜取溶液回収システムである;(25)は抜取溶液溶質を含まない脱塩された生成水である。
図6図6は、浸透圧発電(PRO)(pressure retarded osmosis)システムの模式図を示す;図中:(1)は膜(2)を備えたフローセルである;(26)は供給液流、たとえば淡水、または抜取液流より低いモル浸透圧濃度をもつ海水である;(16)はポンプである;(27)は供給水流出液(bleed)である;(28)は抜取液流、たとえば海水またはブラインである;(29)はポンプである;(30)は希釈および加圧された抜取液流である;(31)は電力を発生させるためのタービンである;(32)および(34)は放圧された抜取水である;(33)は流入する抜取液流の加圧を補助する圧力波変換式圧縮機(pressure exchanger)である。
図7図7は、FO濃縮装置の模式図を示す;図中:(41)は、膜(45)下方の最適な抜取溶液流プロフィールを確実にするための流入口と流出口を含むベースユニットである;(42)はディスポーザブルトップユニットである;膜(45)は、ベースユニットへの追加シール(43)と一緒にトップユニットに固定およびシールされている;(44)は、トップユニット内の溶液を撹拌するための任意選択的なフロージェネレーター(flow generator)である;(46)は、トップユニット供給溶液の濃縮度をモニターして連続的にディスプレイするインラインモニタリングシステムであり、たとえば体積および重量を目視検査することができる;(47)は、目的濃度に達した時点で濃縮プロセスを停止するように設計されたフィードバックループメカニズムである;(48)は抜取溶液を再循環させるためのポンプである;(49)は、種々の濃縮プロセスについてカスタマイズされた抜取溶液を収容するディスポーザブル抜取溶液パウチである。
図8図8は、改良型FO濃縮装置の模式図を示す;図中:(41)は、膜(45)下方の最適な抜取溶液流プロフィールを確実にするようにカスタマイズされた流入口と流出口を含むベースユニットであり、このベースユニットはディスポーザブルトップユニット(42)を固定するメカニズムを含む;(43)はフローセルを固定およびシールするためのOリングである;(44)は、トップユニット内の溶液を撹拌するための任意選択的なフロージェネレーターである;(46)は、トップユニット供給溶液の濃縮度をモニターして連続的にディスプレイするインラインモニタリングシステムである;(47)は、目的濃度に達した時点で濃縮プロセスを停止するように設計されたフィードバックループメカニズムである;(48)は抜取溶液を再循環させるためのポンプである;(49)は、種々の濃縮プロセスについてカスタマイズされた抜取溶液を収容するディスポーザブル抜取溶液パウチである;(50)は、安定性を付与するための、膜(45)上方の任意選択的なメッシュ支持体である。
図9図9は、図8のFO濃縮装置のトップユニットを上から見た模式図を示し、図中の(51)はトップユニットとベースユニットを互いに留め合わせるための手段である。
図10図10は、図8のFO濃縮装置のベースユニットを上から見た模式図を示す。
図11図11は、塩溶液の濃縮により再生可能供給源からのエネルギーを貯蔵するための逆浸透(RO)システムと、濃縮された溶液の希釈によりエネルギーを作り出すための浸透圧発電(PRO)システムを組み合わせたものの模式図を示す;図中:(1)は膜(2)を備えたフローセルである;(61)は塩溶液側である;(62)は脱塩された水側である;(63)は脱塩水タンクである;(16)はポンプである;(17)はバルブである;(64)は塩溶液タンクである;(31)は電力を発生させるためのタービンである;(65)は放圧された希釈塩溶液の出口である;(66)は放圧された希釈塩溶液の返送流である;(67)は新鮮な塩溶液の入口である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
より具体的には、本発明は以下に詳述する水抽出のためのシステムに関する。
【0010】
汚染物質を除去する水抽出システム
本発明は、汚染物質、たとえば重金属および有毒な無機化合物を含めた微量汚染物質を水源から除去するためのROおよび/またはFOを用いるシステムに関する。例には、ホウ素が望ましくない種々の目的、たとえばヒトの摂取用に用いるための、淡水源からのホウ素汚染の除去が含まれる。ホウ素は、灌漑用水および飲用水を生成するために海水源を脱塩に用いる際に、特にやっかいな海水汚染物質である。既存の技術は、十分に低いホウ素濃度を得るためには2つの濾過工程を必要とする。本発明のシステムは、淡水源中の溶存ホウ素をほぼ中性のpHでわずか1回のRO工程後に最大で約65%除去し、中性pHでのFOプロセスに際して最大で約75%除去する;後記の実施例1を参照。他の例はヒ素汚染の除去であり、その場合、本発明のシステムはROおよびFO濾過後に共に約100%を除去できる;後記の実施例2を参照。
【0011】
肥料抜取−正浸透(fertilizer drawn forward osmosis)(FDFO)脱塩のための水抽出システム
最近、作物の灌漑用として、漸減している淡水源を脱塩水で代替し、さらにこの灌漑用水に希釈栄養素塩溶液を添加すること(FDFO)に対する関心が増しつつある。しかし、入手できるFO膜、たとえば、Hydro well filter modules (Hydration Technologies Inc.)から得ることができる膜の使用については欠点がある;その欠点は主に、栄養素塩類、たとえば塩化カリウムの逆方向塩フラックス(reverse salt flux)(Js)が比較的大きいことであり、文献には59.58g/mhという高い形態(0.222mmole/ms, Phuntsho et al. 2011)、または6.8〜15.3g/mh(Achilli et al. 2010,Hydration Technology Innovations,LLC(アリゾナ州スコッツデール)からのフラットシート状トリ酢酸セルロース(CTA)膜を用いた場合)が述べられている。貴重な栄養素イオンの損失を最小限に抑えるためには、可能な限り低いJsをもつことが望ましい。本発明者らはここに、TFC−AqpZ膜を用いるFOシステムで、両親媒性P8061をベシクル形成物質(後記の実験のセクションに従って調製)として、2M KCl溶液を抜取液として、5μMカルセイン(calcein)を含む脱イオン水を供給液として用いて、4g/m h未満のJsを得るのが可能であることを示す。次表を参照。
【0012】
【表1】
【0013】
この表は、カリウム塩KClについて平均3.41[g/mh]の一貫して低い逆方向塩フラックスを得るのが可能であることを明瞭に示す。
【0014】
さらに、本発明は、低グレードまたは非飲用の給水、たとえば汚染地下水、淡海水を、また海水すら利用することにより、農業における淡水消費を約40%も低減する低エネルギー手段を提供する。ユニークなアクアポリン膜、たとえば本明細書の実験のセクションに従って作製したTFC膜の形態のものを用いる本発明の水抽出システムを、液状濃縮肥料である抜取溶液と組み合わせて用いて、本発明において供給溶液として用いる低グレードの給水から清浄な水を選択的に抽出する。最終的に得られるのは希釈された液状植物栄養素溶液であり、それはより少ない淡水必要量で農業灌漑および施肥にそのまま使用できる。後記の例に、低グレードの給水が約10〜15 o/ooという比較的低い塩度のデンマーク、Oresundからの海水である場合に膜試験がどのように概念実証(proof-of-concept)を示したかを記載する。
【0015】
宇宙空間で尿から尿素を分離する水抽出システム
本発明者らは、パロアルト(米国カリフォルニア州)のNASA Ames施設からの科学者らと一緒に、アクアポリン膜を含むシステムについて1回目の実地野外試験を実施した。試験により、特定のTFC−アクアポリン膜を含む水抽出システムが既存の正浸透膜と比較した場合に尿素に対して卓越した阻止率値(>90%)を示すと結論された;Hill & Taylor (2012)を参照。本発明の水抽出システムは、有人宇宙ミッションにおいて宇宙空間へ輸送する必要がある質量を低減する主要な努力、特に宇宙飛行士からの体液の再循環によるものに寄与するであろう。本発明による水抽出システムは、宇宙空間で体液から飲用水を抽出するための簡単、軽量かつ信頼性のあるシステムを求める要求の実現に正に近づくと結論された。
【0016】
2012年5月、Aquaporin A/SおよびNASA Amesからの科学者らは、NASA Ames施設で、アップスケールしたTFC−アクアポリン膜サンプル(500cm)を用いた反復試験に成功した。このアップスケールしたTFC−アクアポリン膜サンプルは最初のサンプルと同等に機能し、したがって膜作製プロトコルの安定性が証明された。成功した2回目の試験に基づいて、Aquaporin A/SおよびNASA Amesは宇宙空間での黄水(yellow water)(尿)再利用のための最初の原型システムを製作する方法を探索している。
【0017】
酪農産業におけるRO透過液から尿素を分離する水抽出システム
背景:多くの産業廃水が尿素などの非極性溶質を含めた高濃度の化合物を含有し、それらは脱イオン水法または逆浸透膜により除去されない。それらの非極性溶質は化学的に安定であり、したがってUV殺菌法によって容易には分解されない場合が多い。技術水準における尿素廃水処理は一般に2工程を伴なう:1回目に尿素を加水分解してアンモニアと二酸化炭素にし、2回目にアンモニアを除去する。現在の方法は大部分が、高濃度の尿素廃水を生物学的に処理するために嫌気的条件に依存している。しかし、必要な硝化細菌は成長速度が遅く、許容pH範囲が狭く、しばしば他の廃水汚染物質(たとえば、ジシアンジアミド)により阻害される。本発明のシステムの利点は、固定化されたアクアポリン水チャネルを含む膜を備えたフローセルの使用をベースとすることであり、その膜は実験室規模できわめて高い尿素除去率を示した;後記の実施例7を参照。これにより、バイオリアクター技術の必要性が除かれ、原則として、尿素除去に現在用いられている既存の単位操作(たとえば、ポリッシングプロセス)を簡単に改造できるであろう。
【0018】
アクアポリン膜の高い阻止率および水フラックス特性、ならびに固有の低いファウリング傾向のため、これらのバイオミメティック膜を尿素除去のための大規模産業システムに採用することが実行可能かつ価値あるものになる;大規模産業システムでは、ファウリングの可能性、および/または小分子中性溶質(たとえば、尿素)をアップコンセントレーションする必要性−これは膜ベースその他の現在の技術では容易には達成できない−がある。高い尿素阻止率により、本発明のシステムは、酪農業からのプロセス水中に存在するような多量の尿素を含有する廃水流の処理に用いることが可能になる。本発明の水抽出システムの1態様において、アクアポリン膜、たとえば固定化したアクアポリン水チャネルを含むTFC膜を、高いモル浸透圧濃度の抜取溶液(たとえば海水、たとえばKattegatからのもの)と共に用いて、廃水流からほぼ無尿素水にまで抽出する。この低エネルギーの水抽出システムは、廃水体積を低減することにより廃棄コストを効率的に低減するであろう。
【0019】
正浸透によって広範な水溶液中の溶質をアップコンセントレーションするための水抽出システム;図6を参照
このシステムでは、高いモル浸透圧濃度(容量モル浸透圧濃度(osmolarity)または重量モル浸透圧濃度(osmolality))の抜取溶液、たとえばブラインを、本明細書の記載に従って作製したアクアポリン膜、たとえばTFC膜と組み合わせて用いて、正浸透プロセスで水溶液をアップコンセントレーションする。該当する水溶液には、困難な廃水流、医薬および生体産物の溶液、ならびに液体食品が含まれる。態様例は、たとえばアミノ酸およびオリゴペプチドから膜タンパク質を含めたタンパク質までの広範囲の分子サイズをもつ有機分子をアップコンセントレーションするためのシステムである;これらは普通は遠心濃縮装置により、たとえば3K、10K、30K、および100Kの分子量カットオフ(molecular-weight cutoff)(MWCO)で入手できるポリエーテルスルホン(polyether sulfone)(PES)膜−限外濾過遠心デバイスで生物試料を濃縮および脱塩するPierce Concentratorを用いて、目的とする程度にまで濃縮される。本発明によるシステムの利点には、きわめて穏やかな水抽出、低いペプチドまたはタンパク質損失、アミノ酸から小分子ペプチドないし大分子膜タンパク質までの広範囲の分子サイズを濃縮する能力、制御可能でありかつハイスループットのために自動化できる濃縮プロセスであることが含まれ、現在市販されている遠心濃縮装置または真空乾燥による試料濃縮(ただし、これはしばしば重大なの試料材料損失および追加汚染を伴なう)とは対照的である。本発明のシステムは、1回用の固定アクアポリン膜または図8に示すように取り外し可能なアクアポリン膜を備えた濃縮セルとしてセットアップできる。したがって、たとえば洗浄のためにアクアポリン膜を取り外し、そしてセルに再び取り付けることができる場合、後記の実施例4および5に記載するように、そのシステムの水抽出特性を保存しつつEDTAまたはクエン酸による処理を適用できることが示唆される。
【0020】
定義
“供給溶液(feed solution)”は、水中における溶質の溶液を意味する。
【0021】
“抜取溶液(draw solution)”は、供給溶液のものと比較してより高い浸透圧をもつ溶液を意味する。抜取溶液は、水溶性無機化学物質および水溶性有機化学物質のうち少なくとも1種類から選択される抜取溶質を含むことができる。水溶性無機化学物質には、A1(SO、MgSO、NaSO、KSO、(NHSO、Fe(SO、AlCl、MgCl、NaCl、CaCl、NHC1、KC1、FeCl、Al(NO、Mg(NO、Ca(NO、NaNO、NO、NHHCO、KHCO、NaHCO、KBrおよびそれらの関連水和物のうち少なくとも1種類を含めることができる;水溶性有機化学物質には、メタノール、エタノール、アセトン、グルコース、スクロース、フルクトース、デキストロース、キトサン、デンドリマーおよび2−メチルイミダゾール系化学物質のうち少なくとも1種類が含まれる。
【0022】
“正浸透(forward osmosis)”(FO)は、半透膜を挟んだ浸透圧勾配の結果として溶存溶質から水が抽出される浸透プロセスである。膜を通る正味の水流を誘発するための駆動力は、供給溶液のものと比較してより高い浸透圧をもつ抜取溶液からの浸透圧勾配である。
【0023】
本明細書中で用いる用語“補助正浸透(assisted forward osmosis)”(AFO)(または圧力補助正浸透“(pressure assisted forward osmosis)”,PAFO)は、膜の供給側に機械的圧力を付与して浸透駆動力と水力学的駆動力を相乗作用させることにより水フラックスを増大させる概念を表わす。
【0024】
“逆浸透(reverse osmosis)”(RO)は、供給溶液の浸透圧より高い機械的圧力を付与することにより、浸透圧の勾配に反して半透膜を通して供給溶液から水を抽出するプロセスである。
【0025】
“半透膜”は、特定の分子またはイオンを貫通させるであろう膜である。
【0026】
“浸透圧”は、より低い溶質濃度の溶液からより高い溶質濃度の溶液へ半透膜を通る正味の溶媒流を防止するために付与しなければならない圧力である。
【0027】
溶液の浸透圧は、溶液中の粒子の量に依存する。理想溶液について、浸透圧は重量モル濃度に正比例する。“重量モル浸透圧濃度”は、溶質のキログラム当たりの浸透活性溶質のモル数(オスモル数)の尺度であり、オスモル/kgとして表記される。解離していない化合物の理想溶液の重量モル浸透圧濃度は重量モル濃度に等しい。
【0028】
重量モル浸透圧濃度は一般に凝固点降下により測定される。1オスモル/kgの水溶液は−1.858℃の凝固点をもつ。一例として:たとえば水1kg中1molのショ糖溶液は凝固点を1.858℃降下させるのに対し、水1kg中0.5molにより凝固点降下が得られるであろう。
【0029】
“容量モル浸透圧濃度”は、溶質のリットル当たりの溶質のオスモル数の尺度である。
【0030】
“浸透圧”は、重量モル浸透圧濃度から次式を用いて計算できる:
【0031】
【数1】
【0032】
式中、Rは気体定数(8.3144621 L bar K-1 mol-1)である。
【0033】
本明細書中で用いる“アクアポリン(aquaporin)”は、選択的な水チャネルタンパク質を表わし、Maria Karlsson et al. (FEBS Letters 537 (2003) 68-72)に記載される方法またはJensen et al. US 2012/0080377 A1に記載される方法に従って調製されたAqpZおよびSoPIP2;1を含む。
【0034】
本明細書中で用いる“アソレクチン(Asolectin)”は、高度に精製されたリン脂質製品であるダイズレシチン画分[IV−S]を表わし、レシチン、セファリン、イノシトールホスファチド類およびダイズ油を含有する(同義語:アゾレクチン(azolectin))。
【0035】
本明細書中で用いる“ブロックコポリマー”は、親水性ブロック(AまたはC)および疎水性(B)ブロックの両方をもつ膜形成性またはベシクル形成性のジ−およびトリ−ブロックコポリマーを表わす;ジブロックコポリマーはA−BまたはC−Bタイプであって二重層を形成でき、トリブロックコポリマーはA−B−AまたはA−B−Cタイプであって自己アセンブリーにより単層を形成し、すべての膜は中心に疎水性相をもつ。有用なジブロックコポリマーの例および有用なトリブロックコポリマーの例は、US patent No. 5,364,633および以下に開示されている(すべて業者Polymer Sourceから)。
【0036】
【表2】
【0037】
表中、EO−ブロック−DMS−ブロックはポリ(ジメチルシロキサン−ブロック−エチレンオキシド−ブロック)を表わし、EO−ブロック−BO−ブロックはポリ(ブチレンオキシド−ブロック−エチレンオキシド−ブロック)を表わし、MOXA−ブロック−DMS−ブロック−MOXA−ブロックはポリ(2−メチル−オキサゾリン−ブロック−ジメチルシロキサン−ブロック−2−メチルオキサゾリン)を表わす。
【0038】
本明細書中で用いる“薄膜複合材料(thin-film-composite)”または(TFC)膜は、追加アクアポリン成分を含む薄膜有効層を表わし、その層は下記のものを用いて作製される:水溶液中のアミン反応体、好ましくは芳香族アミン、たとえばジアミンまたはトリアミン、たとえば1,3−ジアミノベンゼン(m−フェニレンジアミン,>99%,たとえばSigma−Aldrichから購入されるもの)、および有機溶媒に溶解したアシルハライド反応体、たとえばジ酸クロリドまたはトリ酸クロリド、好ましくは芳香族アシルハライド、たとえばベンゼン−1,3,5−トリカルボニルクロリド(CAS No.84270−84−8,トリメソイルクロリド(trimesoyl chloride)(TMC),98%,たとえばSigma−Aldrichから購入されるもの);これらの反応体を界面重合反応で結合させる;多孔質膜支持体、たとえばポリエーテルスルホン膜の表面で形成されるポリアミド薄膜の形成について詳細に記載したUS 4,277,344を参照。より具体的には、ベンゼン−1,3,5−トリカルボニルクロリドをたとえば下記の溶媒に溶解することができる:C6−C12炭化水素:ヘキサン(>99.9%,Fisher Chemicals)、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなど(直鎖または分枝鎖炭化水素)を含む;または他の低芳香性炭化水素系溶媒、たとえばIsopar(商標)G液:これは、触媒の存在下に水素で処理した石油系原料から調製されて低臭気液を生成し、その主成分にはイソアルカン類が含まれる。Isopar(商標)G液:化学名:炭化水素,C10−C12,イソアルカン類,芳香性成分<2%;CAS No:64742−48−9,化学名:ナフサ(石油),水素処理した重油(ExxonMobil Chemicalから)。当技術分野で知られているように、反応体1,3−ジアミノベンゼンの代替には、ジアミン類、たとえばヘキサメチレンジアミンなどが含まれ、反応体ベンゼン−1,3,5−トリカルボニルクロリドの代替には、ジ酸クロリド、アジポイルクロリドなどが含まれる。有効層を作製するために薄膜複合材料層、水輸送を促進する追加成分(本発明においてはアクアポリン水チャネル)を反応体溶液に添加した後、界面重合が起きる。その成分は反応に関与してもしなくてもよいが、好ましくは反応に対して不活性であり、形成された薄膜に固定化された状態になる。本発明において、アクアポリン水チャネルは、好ましくは両親媒性化合物から形成されたベシクル、たとえばプロテオリポソーム(proteoliposome)およびプロテポリマーソーム(proteopolymersome)に内包される。
【0039】
本明細書中で用いる“プロテオリポソーム”は、一般に25〜500、たとえば約100〜約200の脂質−対−タンパク質比(lipid to protein ratio)(LPR,モル基準で計算)をもつベシクルである。
【0040】
本明細書中で用いる“プロテオポリマーソーム”は、一般に、トリブロックコポリマーを用いた場合は25〜500、たとえば約50〜約100のポリマー−対−タンパク質比(polymer to protein ratio)(POPR,モル基準で計算)、ジブロックコポリマーを用いた場合は25〜500、たとえば約100〜約200のポリマー−対−タンパク質比をもつベシクルである。
【0041】
本明細書中で用いる“アクアポリン膜”は、固定化されたアクアポリン水チャネルを含む有効層、および支持層を含む、膜を表わす。そのアクアポリン膜において、アクアポリン水チャネルはその有効層内もしくは上に固定化され、または多少は埋め込まれ、または部分的に埋め込まれ、または支持すらされている。その有効層は、好ましくは、支持層、たとえば一般的なポリスルホンまたはポリエーテルスルホン支持膜と密に接した状態で作製される。
【0042】
1態様において、膜はアクアポリン水チャネルを含む薄膜複合材料(TFC)層である有効層を含む。
【0043】
分離層を当技術分野で知られているように支持膜(平坦なシートまたは中空繊維)の表面に薄膜層の形態で形成すると、水輸送メカニズムに変化が生じる。支持膜の細孔を通る正常拡散により起きる水輸送の代わりに、既知のように膜の透過性が制限されたこのタイプの逆浸透膜から薄膜層を通るもうひとつのタイプの水輸送が起きる。薄膜分離層の非孔性の結果として、Kotelyanskii et al. 1998に記載されるように“ジャンプ拡散(jump diffusion)”を必要とする水輸送が生じる。したがって、水膜の薄膜改変は主に、水を膜に通すために静水圧が要求される逆浸透に利用され、得られた利点は濾過すべき水中の目的外溶質の分離が改善されることにある。逆浸透のためのこれらの一般的な膜は、多孔質材料により支持された実際上100〜200nm厚の非孔質層をもつ。これらの膜における水透過は、間質空間(interstitial space)の出現と消失により樹立される非孔質層を通る拡散プロセスとして起きる。本発明のシステムに用いられる有効層は、アクアポリン水チャネルを薄膜層に取り込ませて薄膜複合材料(TFC)層にすることによって、先行技術の薄膜と比較してさらに改善されている。アクアポリンの取込みは、効果的なシングルファイル(single file)水輸送が起きる最も狭い流路においてわずか2.4Åの直径をもつ細孔(AqpZ細孔,Wang et al. 2005を参照)を通る選択的な水輸送をもたらすという追加の有益性を備えている。
【0044】
さらなる態様において、アクアポリン水チャネルはTFC層に取り込まれる前にベシクルに取り込まれる。さらなる態様において、アクアポリン水チャネルが取り込まれるベシクルはリポソームまたはポリマーソームである。さらなる態様において、リポソームは脂質、たとえばDPhPC、DOPC、混合ダイズ脂質、アソレクチン、または大腸菌(E. coli)混合脂質から調製される。さらなる態様において、ポリマーソームは親水基−疎水基−親水基(A−B−AまたはA−B−C)タイプのトリブロックコポリマー、または親水基−疎水基タイプ(A−B)のジブロックコポリマーを含む。
【0045】
前記アクアポリン水チャネルは、好ましくはAqpZチャネルであるが、原則としてすべての水選択的アクアポリン類、たとえばアクアポリンZ(AqpZ)、Aqp1、GlpFまたはSoPIP2;1が本発明に有用である。さらなる態様において、アクアポリン水チャネルはAqpZチャネルまたはSoPIP2;1水チャネルである。
【0046】
さらなる態様において、TFC層はジ−またはトリアミンの水溶液と有機溶媒中のジ−またはトリアシルハライドの溶液との界面重合により形成され、その際、アクアポリン水チャネルベシクルはその水溶液中に取り込まれる。
【0047】
前記の膜は、Zhao, Y. et al (2012)により記載されたものに従って作製できる。
【0048】
本明細書中で用いる“フローセル(flow cell)”は、供給コンパートメントおよび非供給コンパートメントを備えたフィルター(または膜)モジュールを表わす。フローセルは、たとえば供給溶液入口および透過液出口を備えたRO用に適合させることができ、あるいはフローセルはFO用に適合させることができ、その際、供給溶液の入口および出口は膜と流体連通できるようにセルの一方側に設けられ、抜取溶液の入口および出口は膜の反対側と流体連通できるようにセルの反対側に設けられる。有用なフローセルの例には、Sterlitech Corp(米国ワイオミング州)(http://www.sterlitech.com)からの下記のものが含まれる:
FOセル: CF042−FO(Delrin,アセタール系またはアクリル系)
ROセル: CF042クロスフローセル
サイズ5.5cm×11cmの膜がCF042セルに適合する
FO/ROセル: SEPA CF II
このセルはROトップまたはFOトップを備えることができる。サイズ13.5cm×19cmの膜がSEPA CF IIセルに適合する。
【0049】
“汚染地下水(impaired ground water)”は、本明細書中で“汚染地下水(contaminated ground water)”および“汚染地下水(polluted ground water)”と同義に用いられ、これらの用語はすべて当業者に周知である。
【0050】
本発明のシステムにおける膜の洗浄
膜のファウリングはフラックス低減を引き起こし、水抽出プロセスの質に影響を及ぼす可能性がある。ファウリング度は、たとえば水抽出システムにおいて特定の時点で供給溶液および抜取溶液の流速により決定されるフラックスの低減を測定することにより管理できる。水抽出システムは、維持を目的とする手段、たとえば空気または洗浄溶液を導入するための手段、あるいはたとえば物理的および/または化学的な洗浄法を利用する手段を含むこともできる。水抽出システムの膜を洗浄するための物理的方法には、順方向フラッシングおよび逆方向フラッシング、バックウォッシング、空気フラッシング(air flushing)(空気洗浄(air scouring)とも呼ばれる)、およびスポンジボール洗浄(Al-Amoudi 2007)が含まれる。1態様において、水抽出システムは空気洗浄用の洗浄溶液に気泡を導入することにより洗浄できる。
【0051】
化学的洗浄について、Al-Amoudi et al. (2007)はナノ濾過膜のための洗浄システムの概観を示し、Porcelli et al. (2010)は飲用水膜の化学的洗浄の総説を示している。洗浄試薬の一例は、緩衝作用を付与することができかつキレート化能をもつクエン酸である。さらに、クエン酸はファウリング物質層から無機質を除去することによりバイオフィルム形成を妨害することができる。洗浄試薬の第2例はEDTA(エチレンジアミン四酢酸)であり、これはカルシウムなどの金属および分散した無機質全般に対するキレート化能を備えている。
【0052】
堅牢な操作条件
本発明の水抽出システムは、アクアポリン膜の堅牢性のため多様なpHおよび温度条件下で有用であり、2のような低いpH値および11のような高いpH、ならびに65℃のような高い温度および10℃のような低い温度に耐えることができる。水フラックスは著しく高いおよび著しく低い値のpHおよび温度の供給液に際して可逆的に低減し、したがって膜はそれの高い初期性能を回復する。次表を参照されたい。
CF042セルにTFC−AqpZ膜を高い供給液pHおよび低い供給液pHで用いるFO実験の結果:
【0053】
【表3】
【0054】
上記の表の結果は、このFOシステムがpH感受性およびpH耐容性であること、ならびに水フラックス(J)、逆方向塩フラックス(J)およびカルセイン阻止率(RCa)により測定した膜性能が中性pHで可逆的であることを明瞭に示す。J/J計算値は平均値に基づくものであり、試験したすべてのpHで一般に一貫した膜性能を示す。したがって、本発明のさらなる目的は、約pH2から約pH11までのpH範囲で、J/J値により定義する安定な性能をもつ水抽出システムを提供することである。特別な観点において、本発明は、低pHプロセス、たとえば低pH正浸透プロセス、たとえば6、5、4または3未満のpHにおけるプロセスで使用するための水抽出システムを提供する。さらなる特別な観点において、本発明は、高pHプロセス、たとえば高pH正浸透プロセス、たとえば8、9、10または11を超えるpHにおけるプロセスで使用するための水抽出システムを提供する。
【0055】
さらに、本発明の水抽出システムは耐熱性である。しかし、10℃および65℃における操作は共にFO性能に対する影響をもつことが認められた。65℃では、高い水フラックスに付随してより高い逆方向塩フラックス値が生じる。10℃での操作は、より低い水フラックスおよび高い保持率を生じる。50℃での操作では、P8061を両親媒性ベシクル形成物質(両親媒性物質)として用いるTFC−アクアポリン膜について、および供給溶液が溶存カルセインを痕跡量物質として含有するシステムにおいて、22℃での基準システムの性能標準に匹敵する水フラックスおよび塩阻止率値が得られる。最後に、膜を10℃および65℃に約1200分間曝露しても膜に何らかの損傷が生じることはなく、システムの継続的な標準FO操作は負の影響を受けないことが認められた。結果を次表に示す。
TFC−AqpZ膜をCF042セルに高い供給温度および低い供給温度で用いるFO実験の結果:
【0056】
【表4】
【0057】
上記の表の結果は、このFOシステムが熱感受性および耐熱性であること、ならびに水フラックス(J)、逆方向塩フラックス(J)およびカルセイン阻止率(RCa)により測定した膜性能が室温で可逆的であることを明瞭に示す。さらに、上記の表における平均値に基づくJ/J計算値は、10℃から65℃までの範囲の温度変化により膜性能が影響を受けないことを示す。したがって、本発明のさらなる目的は、その温度範囲でJ/J値により定義する安定な性能をもつ水抽出システムを提供することである。特別な観点において、本発明は、高温プロセス、たとえば高温正浸透プロセス、たとえば30、40、50または60℃を超える温度における正浸透プロセスで使用するための水抽出システムを提供する。
【0058】
本発明を以下の実施例により説明する;それらは本発明の範囲を限定すると解釈すべきではない。
【実施例】
【0059】
ベシクル(液膜)の作製:
AqpZ Mw 27233を用い、下記のプロトコルに従った、1mg/mLおよび脂質−対−タンパク質比(LPR)200のアソレクチンプロテオリポソームの作製:
1. 50mLのガラス製蒸発バイアルに、CHCl中2mg/mLのアソレクチン(mW 786.11g/mol,Sigma)原液5mLを充填する;
2. 回転蒸発器を用いて少なくとも2時間、CHClを蒸発させて、完全に乾固させる;
3. 0.8mLの緩衝液(PBS中1.3%のオクチルグルコシド(OG),pH7.4)を添加して、工程2で蒸発バイアル内に得られたフィルムを再水和する;
4. バイアルをプラットホームシェーカー(HeidolphオービタルプラットホームシェーカーUnimax 2010またはそれに相当するもの)で最大rpmにおいて、脂質が溶解するまで振とうする;
5. Tris pH8、グルコースおよびOG 10mg/mLを含有するタンパク質緩衝液中の1.73mgのAqpZを添加し、バイアルを200rpmで15分間回転させる;AqpZは前記に従って調製されたものである;
6. 徐々に9.03mlのPBS(pH7.4,OGを含有しない)を添加し、バイアルを200rpmで15分間振とうする;
7. 合わせた溶液/懸濁液をドライアイス/40℃の水浴で3回、凍結/融解して、存在する可能性のある多重膜構造体を排除する;
8. 250mgの水和Biobeads(SM2,BioRadから)を添加し、バイアルを200rpm、4℃で1時間、回転させて、界面活性剤(OG)を吸着させる;
9. さらに250mgの水和Biobeadsを添加し、バイアルを200rpm、4℃で2〜3日間、回転させる;
10. OGを吸着したBiobeadsを次いで懸濁液からピペッティングにより除去する;
11. 得られた懸濁液を、約11回(たとえば、少なくとも1回から最大で約22回まで)、200nmのポリカーボネートフィルターを通して押出機により押し出して、ベシクル(液膜)懸濁液の形の均一なプロテオリポソーム懸濁液を得る。
【0060】
BioBeadsを用いる代わりに、一般的な樹脂カラム、たとえばAmberlite XAD−2で界面活性剤を除去することができる。
【0061】
1mg/ml、タンパク質−対−ポリマー比(POPR)50のプロテオポリマーソームについてのプロトコル
ポリオキサゾリンベースのトリブロックコポリマーであるポリ(2−メチルオキサゾリン−b−ジメチルシロキサン−b−2−メチルオキサゾリン),Moxa 30:DMS 67,Mw 7319(P8061,Polymer Source(商標)から購入,カナダ、ケベック州),AqpZ Mw 27233
1. 50mLのガラス製蒸発バイアルに、CHCl中2mg/mLのP8061原液5mLを充填する;
2. 回転蒸発器を用いて少なくとも2時間、CHClを蒸発させて、完全に乾固させる;
3. 3.0mLの緩衝液(1.3%のO.G.;200mMのスクロース;10mMのTris pH8;50mMのNaCl)を添加して、工程2で蒸発バイアル内に得られたフィルムを再水和する;
4. バイアルをプラットホームシェーカー(HeidolphオービタルプラットホームシェーカーUnimax 2010またはそれに相当するもの)で200rpmにおいて3時間振とうして、コポリマーを溶解する;
5. Tris、グルコースおよびOGを含有するタンパク質緩衝液中の75μLのAqpZを添加し、バイアルを200rpmおよび4℃で一夜回転させる;
6. 6.88mlの緩衝液(10mMのTris pH8;50mMのNaCl)をピペットで上下混合しながら徐々に添加する;
7. 180mgの水和Biobeadsを添加し、200rpmで1時間回転させる;
8. 210mgの水和Biobeadsを添加し、200rpmで1時間回転させる;
9. 240mgの水和Biobeadsを添加し、200rpm、4℃で一夜回転させる;
10. 240mgの水和Biobeadsを添加し、200rpm、4℃で一夜回転させる;
11. OGを吸着したBiobeadsを次いでピペッティングにより懸濁液から除去する;
12. 懸濁液を、約21回(たとえば、少なくとも1回、最大で約22回)、200nmのポリカーボネートフィルターを通して押出機により押し出して、均一なプロテオポリマーソーム懸濁液(ベシクル)懸濁液を得る。
【0062】
TFC有効層の作製:
材料:
非極性溶媒:ヘキサンまたはイソパラフィン溶媒、たとえばIsopar G,ExxonMobil Chemical
TMC:1,2,5 ベンゼントリカルボニルトリクロリド,Aldrichから 147532:
MPD:m−フェニルジアミン,Aldrichから P23954:
ベシクル:プロテオポリマーソームまたはプロテオリポソーム,前記に従って、たとえばp8061−MOXZDMSMOXZ(ポリ(2−メチルオキサゾリン−b−ジメチルシロキサン−b−2−メチルオキサゾリン)(Polymer Source Inc.,カナダ、ケベック州)をAQPZ(POPR 50)と共に用いて調製:
支持膜:MICROPES 1FPHまたは2FPH,Membrana GmbHにより製造。
【0063】
界面重合:
界面重合は、異なるモノマーを溶解した2種類の非混和性液体の界面で起きる重合反応である。本発明においては、MPDを水に溶解し、ベシクルを添加する。多孔質PES支持膜、たとえばMICROPES 1FPHまたは2FPH膜(Membrana GmbHから)を、たとえば5.5cm×11cm、13.5cm×19cm、または20cm×25cmの長方形に切断し、この水溶液に浸漬し、水溶液が細孔を満たした状態で表面が乾燥するのに十分なだけ表面を乾燥させる。TMCを非極性溶媒(ヘキサンまたはIsopar(商標))に溶解し、半乾燥状態の浸漬支持膜の表面に適用する。MPDとTMCが2つの液体の界面で反応して、高度に架橋した網状の芳香族ポリアミドを形成する。TMCは水と反応してカルボン酸基およびHClを生成し、こうしてTMCは水層で分解する。MPDはTMCと反応しやすく、したがって非極性溶媒中へ遠くまで拡散することはない。生成する層は、高度に架橋した芳香族ポリアミドフィルムが100〜700nmの厚さをもつ支持膜表面に包埋されたものである。ベシクルは、架橋したポリアミドフィルムに捕獲または包埋されることにより、固定化された状態になる。
【0064】
実施例1.FOおよびROを用いて淡水源のホウ素汚染を除去するためのシステム
図4は、Washguard SSTポンプ(16)およびRO濾過用浸透圧セル(Sterlitech CF042)を用いてホウ素を除去する水抽出のためのシステムを示す;セルは本明細書の記載に従って作製した5.7cm×11.3cmのTFC−AqpZ膜を保持し、平均含量187μg/LのB、0.20μg/LのAs、113mg/LのCaを含むpH=7.5の水道水(供給源:HOFOR,コペンハーゲン2011)にホウ酸を約5mg/LのBになるように溶解することにより調製されたホウ素汚染した淡水供給源を、RO操作モードにおいて圧力125psiで膜により濾過する。得られた透過液を、たとえばNagaishi & Ishikawa (2009)に従ったICP−MSホウ素元素分析のためにサンプリングすることができ、得られた分析データに基づいて、Kim et al. 2012により得られた結果に匹敵する約45%から約55%までの阻止率の阻止率範囲計算値を得た。
【0065】
図2は、上記のRO実験の場合と同じ供給源、および水道水(供給液のものと同じ水道水源)中35g/LのNaClの抜取溶液を、閉回路で用いてホウ素を除去する水抽出のためのシステムを示す。このFOシステムは、FOモードに適合させたSterlitech CF042P浸透圧セルを用い、そのセルは本明細書の記載に従って作製したTFC−AqpZ膜を保持している;この図を参照。このFOシステムは、50.03ml/分(0.85cm/sに相当する)の向流速度で操作され、膜の有効側が抜取溶液に面したものと膜の有効側が供給溶液に面したものの両方を試験した。1300分の操作後、ICP−MSホウ素元素分析用の試料を抜取溶液から採取し、得られた分析データに基づいて、約60%から約85%までの阻止率範囲計算値を得た;これは、Kim et al. 2012により公表された結果と比較してFOに際しての阻止率改善の可能性を表わす。
【0066】
前記に従って作製した有効面積8.5cm×3.9cmをもつ膜および水道水中にホウ酸の形のホウ素を5mg/mL含む調整した供給溶液を2M NaClの抜取溶液に対して用いた10のFO実験からの結果を表にまとめる:
非供給側(抜取溶液に面した側)に有効膜層;図1Cを参照
【0067】
【表5】
【0068】
供給側(供給溶液に面した側)に有効膜層;図1Cを参照
【0069】
【表6】
【0070】
これらの実験において、図1Bの膜構造はより高い阻止率%を示し、したがって有利である。
【0071】
さらに、水道水中におけるホウ酸としてのホウ素5mg/mLの供給溶液側に有効膜層があり、流速0.25m/sおよび印加圧力8.62バールである5つの逆浸透圧実験は、平均値50%±8%のホウ素阻止率を示した。
【0072】
実施例2.FOおよびROを用いて淡水源のヒ素汚染を除去するためのシステム
実施例1に記載したものと同じROシステムを用い、ただし人工的に調製した5mg/LのAsの供給溶液(ヒ酸をMilliQ水に溶解し、1N NaOHを用いてpH9.5に調整したもの)をRO操作モードに際して125psiの圧力でその膜により濾過した。得られた透過液を、たとえばGrosser (2010)に従ったICP−MSヒ素元素分析のためにサンプリングすることができ、得られた分析データに基づいて約100%の阻止率の阻止率範囲計算値を得た。
【0073】
実施例1に記載したものと同じFOシステムを用い、ただしMilliQ中5mg/LのAsの供給溶液(pH9.5)、およびMilliQ中2M NaClの抜取溶液を用いた。1300分間の操作後、ヒ素元素分析用の試料を抜取溶液からICP−MS分析のために採取した。それらの結果は、得られた分析データに基づいて、FO濾過(TFC膜の有効側を抜取溶液に面して用いた場合とTFC膜の有効側を供給溶液に面して用いた場合の両方)を用いて約100%の阻止率計算値が得られることを示す。
【0074】
前記に従って作製した有効面積8.5cm×3.9cmをもつ膜およびmilliQ水中にAsの形のヒ素を5mg/mL含むpH9.5に調整した供給溶液を2M NaClの抜取溶液に対して用いた10のFO実験からの結果を表にまとめる:
非供給液(抜取液)に面して有効膜側;図1Cを参照
【0075】
【表7】
【0076】
供給液に面して有効膜層;図1Bを参照
【0077】
【表8】
【0078】
さらに、同じタイプの膜の有効側を、milliQ水中にAsの形のヒ素5mg/mLを含み、pH9.5、流速0.25m/sおよび印加圧力8.62バールに調整した供給溶液に面して配置した、5つの逆浸透圧実験を実施した。これらの実験は、平均値98%±1%のヒ素阻止率を示した。
【0079】
実施例3.たとえばペプチド用のFO濃縮装置モジュールを含むシステム
方法:
FOモジュールを下記の工程により作製する:
1.プラスチック製測定シリンダー(たとえば、アップコンセントレーションすべき体積に応じて1cmの直径をもつものなど)を、面積0.5cmまたは3.14cmに相当する細孔を備えたPlexiglas表面(ここで供給溶液が膜に曝露される)に水密(water tight)固定する;たとえば、シリコーン系接着剤による接着または他の方法で緊密に留め付ける;
2.直下にメッシュ支持体を接着する;
3.TFC−AqpZ膜、たとえば1FPH支持膜およびポリマーソーム用のP8061両親媒性コポリマーを用いて作製したものを前記に従って作製し、トップの有効側を支持体下に接着し、あるいはOリングで水密固定する;
4.場合により、ゴム製ガスケットを膜の後に接着してもよい;
5.このトップパーツをチュービングが配置されるボトムパーツと組み合わせる際に、追加のゴム製ガスケットをクッションとして追加することができる:後記の図7または8を参照;
6.このモジュールを次いでポンプ、たとえば蠕動ポンプに接続し、抜取溶液を一般に40mL/分の流速でシステムに再循環させる。抜取溶液としてMilliQ水中の2M NaClを用いることにより形成された浸透圧勾配が、測定シリンダー内の供給溶液から抜取溶液への水の移動を駆動する。
【0080】
供給溶質(ペプチドもしくはタンパク質または他の試料)の検出:
この例では、注文製造したペプチドGGGSGAGKT(Caslo Laboratoryから凍結乾燥したトリフルオロ酢酸塩として入手;MSにより測定した分子量690.71,純度98.87%)またはアミノ酸L−リジン(Sigma Aldrichから,分子量146.1g/mol,純度97%))の濃縮供給溶液を、等体積のLavaPepキット(gelcompany.comから;このキットはペプチド中のリジン残基に結合し、ここでは実験的に遊離アミノ酸を検出するためにも用いる)と混合し、暗所において室温で1時間インキュベートした。ペプチドおよびL−リジンの検出は、QuBitにより“ssDNA”のセッティングで行なわれる。QuBitにおけるssDNAの検出範囲:励起:400〜490nm,500〜645nm;発光:570〜645nm。
【0081】
標準曲線の作成:
9.3×TES緩衝液中1000から1μg/mLまでの範囲の6種類の異なる濃度のペプチド/リジンを分析する;これらの濃度はアップコンセントレーションに際して供給溶液が約2〜6倍濃縮されるため適切なものである
定量:10μLの濃縮溶液(2〜5×濃度) + 90μLの10×TES緩衝液(この希釈に際して最終的に9.3×緩衝液になる) + 100μLのキット
LavaPepキットの検出範囲:励起:405〜500nm(グリーン543,532nm,ブルー488nm,バイオレット405nmまたはUVA);発光:最大610nm(バンドパスまたは560ロングパス)
励起:540±10nm;発光:630±10nm。
【0082】
ペプチド/リジンの濃縮供給溶液を下記に従って検出および測定する:
1.開始供給液:1×TES緩衝液中の約50μg/mLのペプチドまたはリジン
2.アッセイを実施する
3.濃縮溶液を採集する
4.10μg/mLの濃縮ペプチド溶液 + 90μg/mLの10×TES緩衝液 + 100μg/mLのキット
5.暗所において室温で1時間のインキュベーション
6.QuBitで蛍光カウントを測定する
7.標準曲線から濃度を読み取る。
【0083】
溶液:
供給溶液:200μg/mLのL−リジン(アミノ酸の例)もしくは50μg/mL〜500μg/mLのペプチド(1×TES緩衝液中)、またはタンパク質の例として用いる500μg/mLのウシ血清アルブミン(BSA緩衝液中)(0.303 Osm)
抜取溶液:MilliQ水中の2M NaCl(200mL)
ペプチド、タンパク質およびL−リジン用キット:LavaPepキット(蛍光化合物:エピコッコノン(epicocconone)はリジンに結合し、ペプチド中のリジンの定量に用いられる)。好ましくは、リジン(および他のアミノ酸)はHPLCを用いて定量できる。
【0084】
アップコンセントレーションについての結果は下記のとおりである:
実験条件:1Lの供給液および1Lの抜取溶液をSterlitech CF042チャンバーに用いる大規模実験
供給溶液:1×TES緩衝液中200μg/mLのL−リジン
抜取溶液:2M NaCl
操作時間:約1175分
最終濃度のL−リジンは約7倍濃縮される。
【0085】
実験条件:上記の大規模実験
供給溶液:1×TES緩衝液中200μg/mLのL−リジン
抜取溶液:2M NaCl
操作時間:約1175分
最終濃度のL−リジンは約6倍濃縮されている。
【0086】
実験条件:小規模,1mL
供給溶液:1×TES緩衝液中50、200または500μg/mLのGGGSGAGKT
抜取溶液:2M NaCl
操作時間:約1175分
体積およびペプチド濃度のアップコンセントレーションを次表に示す。
【0087】
【表9】
【0088】
結論:これらの結果は、このシステムにおける20時間未満の正浸透圧操作に際して、L−リジン供給溶質を最大で約6〜7倍濃縮できること、供給ペプチド溶液についてはこれらを最大で約6倍濃縮でき、供給溶液体積が同程度にまで濃縮されることを明瞭に示す。
【0089】
実施例4.クエン酸による膜処理
実験のセクションの記載に従って膜を作製し、クエン酸による処理に対する堅牢性を試験した。膜を0.3%クエン酸溶液に浸し、15分間浸漬しておいた(n=3)。
浸漬プロセスの前と後に、膜をCF042フローセル内で900分間、FOモード(5μMカルセイン供給溶液および抜取溶液としての2M NaClを使用)で作動させた。
【0090】
試験の結果を次表に示す:
【0091】
【表10】
【0092】
は、膜を通る水フラックスである
s,totalは、膜を通る逆方向塩フラックスである
calceinは、カルセイン阻止率である
この表から分かるように、この処理は水フラックスに負の影響を及ぼさず、カルセイン阻止率はきわめて高いレベルに維持される。
【0093】
実施例5.EDTAによる膜処理
実験のセクションの記載に従って膜を作製し、EDTAによる処理に対する堅牢性を試験した。膜を0.8% EDTA溶液に浸し、15分間浸漬しておいた(n=3)。
浸漬プロセスの前と後に、膜をCF042フローセル内で900分間、FOモード(5μMカルセイン供給溶液および抜取溶液としての2M NaClを使用)で作動させた。
【0094】
試験の結果を次表に示す:
【0095】
【表11】
【0096】
は、膜を通る水フラックスである
s,totalは、膜を通る逆方向塩フラックスである
calceinは、カルセイン阻止率である
この表から分かるように、この処理は水フラックスは負の影響を受けず、カルセイン阻止率はきわめて高いレベルに維持され、膜が無傷であることを示す。
【0097】
実施例6.FDFO用の水抽出システム
この例では、肥料に含まれる一般的な植物栄養素塩類の阻止率および達成可能な水フラックス値を調べる目的で、肥料抜取−正浸透(Fertilizer Drawn Forward Osmosis)(FDFO)の原理を本発明に従った正浸透水抽出システムで試験した。
【0098】
プロトコル:
水、たとえば水道水またはMilliQ水に、下記の組成をもつ乾燥NPK顆粒(Danish Agroから)を溶解することにより、66.62g/Lの濃縮栄養素溶液を調製した:総N 14.0%、硝酸塩−N 5.7%、アンモニウム−N 8.3%、リン(クエン酸塩および水に可溶性)3.0%、カリウム(水溶性)15.0%、マグネシウム総量2.5%、硫黄総量10.0%、およびホウ素総量0.02%。得られた溶液を組合わせFDFO脱塩システムにおいて抜取溶液として使用できる;図3を参照。あるいは、市販の濃縮液状植物栄養素溶液Blomin(The Scotts Company(Nordic),デンマーク、グロストルップ)を使用できる。この栄養素溶液は下記の組成および濃度の栄養素塩からなる:窒素(N) − 4.4%;リン(P) − 0.9%;カリウム(K) − 3.3%;ホウ素(B) − 0.0002%;銅(Cu) − 0.006%;鉄(Fe) − 0.02%;マンガン(Mn) − 0.008%,硫黄(S) − 0.0003%;モリブデン(Mo) − 0.0002%;および亜鉛(Zn) − 0.004%。
【0099】
図3を参照すると、このシステムは、海水供給源(10)、すなわちコペンハーゲン、Tuborg Harbourの海岸に近いOresundからサンプリングした水を含み、この水は約8.7g/Lの概算塩度をもつ;(13)は前記に従って調製した濃縮肥料溶液を入れた容器である(場合によりマグネチックスターラーなどを備えていてもよい);(1)は前記の実験のセクションの記載に従ってP8061コポリマーを用いて作製したTFC−AqpZ膜(有効面積0.003315m)を備えたSterlitech CF042フローセルである;(12)は部分希釈された肥料溶液を入れた容器であり、これを再循環してより高い希釈度を達成できる;(14)は肥料溶液の希釈度を最終調整するための追加の淡水タンク(普通の水道水を使用できる)である;(11)は濃縮された供給溶液流、たとえばアップコンセントレーションした海水である;(15)はそのまま使用できる希釈された肥料溶液である。このシステムをまず約900分間作動させると、そのまま使用できるほど十分に希釈された、またはさらに希釈した後に使用できる、植物栄養素溶液が得られると予想される;図3および本明細書中の図3についての説明を参照されたい。
【0100】
実施例7.酪農産業のRO透過液から尿素を分離する水抽出システム
図4を参照すると、このシステムは、45〜75mg/Lの総N(約110mg/Lの尿素に相当する)を含む酪農プロセス水を入れた供給溶液タンク(18)を含む;(16)はポンプである;(17)はバルブである;(19)は透過液である;(20)は透過液タンクである。ポンプ(Washguard SST)からSterlitech CF042フローセルを通ってバルブへ戻る液流は、125psiおよびクロスフロー速度0.26m/sの加圧液流である;残りの液流は加圧されていない液流である。透過液の尿素含量は少なくとも50%低減すると予想される。
【0101】
図5を参照すると、このシステムは、前記の(18)の場合と同じ組成をもつ供給液流(21)を含む;(1)は、前記の実験のセクションの記載に従って作製したアクアポリン膜(2)を備えたSterlitech CF042Pフローセルである;(22)は濃縮された供給液流である;(23)は、濃縮抜取溶液である;(8)は、抜取溶液、たとえば典型的なKattegat塩度に相当する水道水中35g/LのNaClであり、フローセルと流体連通している;(24)は、希釈された抜取溶液である;(9)は、抜取溶液回収システムである;(25)は、抜取溶液溶質を含まない脱塩された生成水である。供給液流と抜取液流の両方がフローセルを通って流速50.03ml/分の向流モードでポンプ輸送される。このシステムで得られる尿素阻止率は約75%であると予想される。
【0102】
実施例8.再生可能エネルギーを貯蔵するための水抽出システム
この例は、再生可能な供給源からのエネルギー、たとえば太陽光線、風、潮の干満、波および地熱(すなわちグリーンエネルギー)からのエネルギーを貯蔵するための水抽出システムの使用を示す。これらのエネルギー源はしばしばそれらの性質が間欠性であり、そのようなエネルギーの貯蔵については高い要求がある。
【0103】
この例に記載するように塩勾配としてのエネルギー貯蔵は、電気エネルギーが過剰である際に水をより高いレベルの位置、たとえば山へポンプ輸送する慣用されるプロセスに匹敵する。電気エネルギーの需要が生産能力より高い場合、水の位置エネルギーを用いてタービンを駆動させる。この既知の技術は山岳地域では利用しやすいが、低レベルの地域または洋上には適用できない。
【0104】
この実施例に従ったシステムを用いると、(洋上)ウィンドミル、波力、太陽電池、または他のいずれかの再生可能エネルギー源により産生されるエネルギーを塩勾配として貯蔵できる。
【0105】
図11を参照すると、送電網が収容できるより多量の電力を再生可能エネルギー源が産生する場合、そのエネルギーを利用して逆浸透プロセスにより、水溶液、たとえば海水を、または廃水すら濃縮することができる。必要なすべては塩溶液の溜め(64)(最も簡単な形態では海洋であってもよい)、脱塩された水の溜め(63)、余剰電力により作動する圧力送達ポンプ(16)、および浸透膜(2)を備えたフローセル(1)である。圧力勾配により淡水(脱塩された海水)が強制的に膜を通り、濃縮された海水が後に残る。
【0106】
時には、再生可能エネルギー源が産生できるより多量の電力が必要な場合、浸透膜発電(pressure retarded osmosis)(PRO)の採用によりこのプロセスを逆行させることができる。このプロセスでは、塩溶液側(61)と脱塩された海水側(62)の間の塩勾配により浸透膜上に水圧が発生する。塩は膜を貫通できないが水は貫通できるので水はより高い塩度(より高い塩濃度)に向かって膜を貫通し、これにより水圧が発生し、それを次いで発電機(31)により電力に変換できる。放圧された希釈塩溶液の塩度に応じて、液流を塩溶液タンク(64)へ戻す(66を経て)か、あるいはシステム外へ排出することができる。入口(67)は、システムに新鮮な供給塩溶液を供給することができる。
【0107】
実施例9.使用済み透析溶液から血液透析水を再抽出するための水抽出システム
この例は、透析溶液の後処理のために本発明の水抽出システムを使用することを示す;図1を参照。透析溶液は無機質イオンおよびグルコースの希釈水溶液であり、一般に血液透析に際して血液と向流で患者から中空繊維限外濾過モジュールを通って走行する。Sam et al. (2006)は、血液透析液の組成および臨床使用を開示している。透析溶液は、血液から除去すべき溶質、たとえば尿素、分解産物、たとえばインドキシル硫酸およびp−クレゾール、ならびに過剰のカリウムおよびリンに関して、限外濾過膜を挟んで十分な濃度勾配を維持し、したがって透析の効率を維持するであろう。このためには多量の超純水、特に毎週約400Lの水が必要である。本明細書に記載する水抽出システムは、この超純水を再利用するためのシステムに、たとえば閉ループのシステムに有用である;その場合、血液透析フィルターに通すことにより血液透析に使用した後の、たとえば尿素などの廃棄物を血液から吸収した後の(希釈された)使用済み透析溶液が、さらなる膜モジュール、すなわちアクアポリン膜を収容したフローセル(1)を貫通する際の供給溶液(7)として機能でき、その際、新鮮な濃縮透析溶液(dialysate solution,dialysis fluid)が抜取溶液として機能することができる。理想的には、濃縮透析溶液を、連続血液透析に直接使用できるのに十分なほど希釈することができる。これは、アクアポリン含有膜の供給側にわずかな圧力を印加することにより達成できる(補助正浸透の概念を利用)。この方法で、汚染された使用済み透析溶液から純水のみを抽出し、この抽出された純水を、他の場合には透析溶液濃縮液を希釈するために新たに補充する必要がある超純水の代替として使用できる。
【0108】
使用済み透析溶液が濃縮されて廃棄物処理の体積が小さくなることから、さらに他の利点が得られる。
本発明は、非限定的に以下の態様を含む。
[態様1]
下記のものを含む水抽出システム:
a)膜(2)を含むフローセル(1);膜は固定化されたアクアポリン水チャネルを含む有効層(3)および支持層(4)を含み、膜は供給側(5)および非供給側(6)を有する;ならびに
b)膜の供給側と流体連通した供給源水溶液(7)。
[態様2]
有効層はアクアポリンベシクルが取り込まれた架橋芳香族アミド薄膜であり、ベシクルはアクアポリンタンパク質懸濁液の存在下での両親媒性脂質またはブロックコポリマーの自己アセンブリーにより形成されたものである、態様1に記載の水抽出システム。
[態様3]
有効層は架橋芳香族アミド層、好ましくは界面重合により形成されたものであり、ベシクルは両親媒性脂質またはトリブロックコポリマー溶液、たとえばアソレクチンまたはPMOXAa−PDMSb−PMOXAaコポリマーから形成されたものである、態様1または2に記載の水抽出システム。
[態様4]
アクアポリンは、植物アクアポリン、たとえばSoPIP2;1;哺乳動物アクアポリン、たとえばAqp1;および細菌アクアポリン、たとえばアクアポリン−Zから選択される、態様1〜3のいずれか1項に記載の水抽出システム。
[態様5]
支持層はポリスルホンまたはポリエーテルスルホン支持膜である、態様1〜4のいずれか1項に記載の水抽出システム。
[態様6]
高温プロセスに使用するための、態様1〜5のいずれか1項に記載の水抽出システム。
[態様7]
高pHプロセスに使用するための、態様1〜5のいずれか1項に記載の水抽出システム。
[態様8]
低pHプロセスに使用するための、態様1〜5のいずれか1項に記載の水抽出システム。
[態様9]
膜の非供給側が抜取側として機能し;システムがさらに
c)膜の抜取側と流体連通した抜取水溶液(8)を含み、場合により
d)さらに抜取溶液濃縮ユニット(9)を含む、
正浸透(FO)のための態様1〜8のいずれか1項に記載の水抽出システム。
[態様10]
膜の再生またはファウリング防止のための手段を含み、その手段が約2〜11のpHを有する洗浄液を含み、洗浄液が有機酸、たとえばクエン酸、またはキレート化剤、たとえばEDTAの溶液から選択される、態様1〜9のいずれか1項に記載の水抽出システム。
[態様11]
施肥灌漑システムに使用するための、態様1〜10のいずれか1項に記載の水抽出システム。
[態様12]
下記の機構を含む施肥灌漑システム(図3を参照):
i)供給液流(10)、
ii)ポンプ(16)、
iii)アクアポリン膜、好ましくはTFC−アクアポリン膜(2)を備えたフローセル(1)、好ましくはクロスフローセル、
iv)濃縮植物栄養素抜取溶液(13)、
v)膜の抜取側(8)と流体連通した希釈された抜取溶液(12)、
vi)希釈された抜取溶液の追加希釈のための任意選択的な淡水源(14)、および
vii)生成した、そのまま使用できる希釈された植物栄養素溶液(15);
その際、希釈された抜取溶液をフローセルに再循環させて、より高い希釈度を達成できる。
[態様13]
有機溶質、たとえばアミノ酸、ペプチドおよびタンパク質のアップコンセントレーションに使用するための、態様1〜10のいずれか1項に記載の水抽出システム。
[態様14]
実質的に図7〜10に示す、態様13に記載の水抽出システム。
[態様15]
膜の非供給側が透過側として機能し;水抽出システムがさらに
c)膜の透過側と流体連通した透過液
を含む、逆浸透のための態様1〜8のいずれか1項に記載の水抽出システム。
[態様16]
供給溶液が約0.10m/s〜約0.30m/s、たとえば約0.26m/sのクロスフロー速度、および約100psi〜約130psi、たとえば約125psiの圧力でフローセルを通ってポンプ輸送される、態様15に記載の水抽出システム。
[態様17]
下記の機構を含む、態様15および16に記載の逆浸透システム(図4を参照):
i)供給溶液タンク(18)、
ii)ポンプ(16)、
iii)バルブ(17)、
iv)逆浸透に適合させたフローセル(1)、
v)TFC−アクアポリン膜(2)、
vi)透過液コンパートメント(19)、および
vii)場合により透過液タンク(20)に採集された、透過液流。
[態様18]
供給溶液がヒ酸の形の約0.005mg/Lから約20mg/LまでのAsの溶存含量を有し、透過液が初期含量の約1%未満の溶存ヒ素含量を有する、態様17に記載の逆浸透システム。
[態様19]
供給溶液が約0.005mg/LのB〜約20mg/LのBの溶存ホウ素含量を有し、透過液が初期含量の約50〜20%未満、たとえば25%未満の溶存ホウ素含量を有する、態様17に記載の逆浸透システム。
[態様20]
供給溶液が酪農廃水からのRO透過液であって尿素の形の約10mg/Lから約15mg/LまでのNまたはそれ未満の総溶存窒素含量を有し、透過液が元の含量の約50%未満の総溶存窒素含量を有する、態様17に記載の逆浸透システム。
[態様21]
さらに、図5に述べる抜取溶液回収システム(9)の形の希釈された抜取溶液の逆浸透処理、たとえば逆浸透回収を含む、正浸透のための態様9に記載の水抽出システム。
[態様22]
膜の非供給側が抜取側として機能し;水抽出システムがさらに下記のものを含む、浸透圧発電(PRO)のための態様1〜8のいずれか1項に記載の水抽出システム:
f)抜取溶液を膜の抜取側と流体連通させるための手段:その際、抜取溶液は天然海水または湖水オスモライト(osmolytes)を含み、その手段は位置エネルギーの形の圧力を貯蔵できる閉容積を含む;
g)供給源溶液を膜の供給側へ付与するための手段:供給源は、抜取溶液より高い水活性を有する水を含む;および
h)位置エネルギーを電気に変換するための手段、たとえばタービン。
[態様23]
抜取溶液が、塩水源、たとえば海水、淡海水、ソーダ湖水、死海水、塩類溶液、およびブラインから選択される、態様22に記載の水抽出システム。
[態様24]
供給源溶液が抜取溶液の脱塩により得られ、余剰の再生可能エネルギー源により産生される、態様22または23に記載の水抽出システム。
[態様25]
使用済み透析溶液が供給源溶液を構成することを特徴とする、血液透析プロセスにおける使用済み超純水の再利用のための態様1〜10のいずれか1項に記載の水抽出システム。
[態様26]
さらに、新鮮な濃縮透析溶液を抜取溶液として使用することを含む、態様25に記載の水抽出システム。
【0109】
参考文献
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図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11