(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰返さない。
【0017】
図1は、薬剤供給装置1の全体構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施の形態の薬剤供給装置1は、装置の外形を成す筐体2を備えている。筐体2は、上部筐体3と、下部筐体4とを有している。上部筐体3は、下部筐体4に対し上方に配置されている。下部筐体4は、上部筐体3に対し下方に配置されている。
【0018】
筐体2の最上部には、天井部5が設けられている。天井部5は、平面視矩形状の形状を有している。平面視した上部筐体3の四隅には、左前柱部11、右前柱部12、
図1には図示しない左後柱部13、および右後柱部14が設けられている。左前柱部11、右前柱部12、左後柱部13、および右後柱部14の上端は、それぞれ天井部5に連結されている。天井部5は、左前柱部11、右前柱部12、左後柱部13および右後柱部14によって、支持されている。
【0019】
上部筐体3の内部には、略円筒状の外形を有するドラム20が配置されている。ドラム20の詳細構成については後述する。なお、上部筐体3には、実際には四方の側面を覆うカバーが設けられているが、
図1および後述する図では、ドラム20をより明確に図示する目的で、カバーは図示を省略されている。上部筐体3の前側のカバーは、開閉可能に構成されている。
【0020】
下部筐体4の前面には、開閉扉6,7が設けられている。開閉扉6,7は開閉可能に構成されている。薬剤供給装置1を使用する作業者は、開閉扉6,7を開けて、分包紙またはバイアルに供給された薬剤を、下部筐体4の内部から取り出すことができる。開閉扉6,7には、開口が設けられてもよく、この開口から、分包紙またはバイアルに供給された薬剤を取り出すことができるようにしてもよい。
【0021】
図2は、弧状分割体30の構成を示す斜視図である。
図2に示す弧状分割体30は、
図1に示す略円筒状のドラム20を、周方向に分割したものである。弧状分割体30の概略の外形は、中空円筒を周方向に等分割した形状である。複数の弧状分割体30が組み立てられて、
図1に示すドラム20が形成されている。
図1に示すドラム20は、弧状分割体30が組み合わされて構成された、中空筒状体である。
【0022】
図2に示す弧状分割体30は、複数の薬剤収容部31と、薬剤収容部31と同数の支持体32とを有している。薬剤収容部31は、中空の容器である。薬剤収容部31は、開閉可能な蓋部を有している。複数の薬剤収容部31の各々の内部空間には、薬剤が収容されている。薬剤は、蓋部を開放することにより、薬剤収容部31に収容される。本実施の形態の薬剤収容部31に収容されている薬剤の剤形は、錠剤である。本実施の形態の薬剤供給装置1は、一種類または複数種類の錠剤を分包して供給するための装置である。
【0023】
各々の支持体32は、板状に形成されている。支持体32は、互いに間隔を空けて並べられている。薬剤収容部31は、上下の支持体32間に、着脱自在に取り付けられている。各々の薬剤収容部31は、薬剤供給装置1に装着および薬剤供給装置1からの取り外しが可能な、カセットとして設けられている。
【0024】
弧状分割体30の上端部分には、円環板を周方向に分割した形状の天井部34が設けられている。弧状分割体30の下端部分には、薄肉円筒を周方向に分割した形状の外装板35が設けられている。外装板35の一部が切り欠かれて、穴部36が形成されている。穴部36は、薬剤供給装置1を使用する作業者が手指を挿し入れ可能なように、形成されている。
【0025】
図3は、
図2とは異なる角度から見た弧状分割体30の斜視図である。
図3に示すように、弧状分割体30は、内周面39を有している。内周面39は、中空円筒を周方向に分割した弧状分割体30の外表面のうち、当該中空円筒の中心線に向く表面である。内周面39は、円筒面を周方向に分割した形状を有している。内周面39は、円筒面の一部の形状を有している。内周面39は、部分円筒面状である。
【0026】
図3および他の図中に示す軸方向Zは、内周面39を形成する部分円筒面の軸方向を示している。
図3および他の図中に示す径方向Rは、内周面39を形成する部分円筒面の径方向を示している。
図3および他の図中に示す周方向θは、内周面39を形成する部分円筒面の周方向を示している。
【0027】
弧状分割体30には、径方向Rに延びる複数の径方向通路37が形成されている。各々の径方向通路37内には、軸方向Zに対して傾斜する傾斜面38が設けられている。傾斜面38は、径方向通路37内の底面を構成している。各々の径方向通路37は、弧状分割体30の内周面39に開口している。また径方向通路37は、
図1に示す薬剤収容部31の内部空間に繋がっている。径方向通路37は、薬剤収容部31の各々と、内周面39とを連通している。
【0028】
図3に示すように、径方向通路37は、軸方向Zに並べられており、かつ、周方向θに並べられている。
図2に示すように、薬剤収容部31は、軸方向Zに並べられており、かつ、周方向θに並べられている。薬剤収容部31および径方向通路37は、軸方向Zおよび周方向θに並んで配置されている。弧状分割体30は、軸方向Zに並んで配置された薬剤収容部31を、複数列備えている。複数列の薬剤収容部31が、周方向θに並んでいる。薬剤収容部31は、弧状分割体30の外周面に面して配置されている。薬剤収容部31は、径方向Rに移動可能に設けられている。支持体32は、径方向Rに延びている。
【0029】
弧状分割体30は、第1の側面40と、第2の側面43とを有している。第1の側面40と第2の側面43とは、平面状の形状を有している。第1の側面40と第2の側面43とは、弧状分割体30の下端から上端に亘って軸方向Zに延びており、かつ、弧状分割体30の内周面39から外周面に亘って径方向Rに延びている。
【0030】
弧状分割体30の第1の側面40には、上方軸支持部41が固定されている。上方軸支持部41には、2箇所の貫通穴部が形成されている。これら2つの貫通穴部は、軸方向Zに離れて形成されている。2つの貫通穴部は、円形に形成されており、平面視において中心を共通している。上方軸支持部41は、図示しない上方回動軸部を受けて、上方回動軸部に対して相対回転可能に設けられている。この上方回動軸部は、ドラム20の躯体に取り付けられている。
【0031】
弧状分割体30の第1の側面40にはまた、下方回動軸部42が取り付けられている。第1の側面40には、下方軸支持部が固定されており、下方軸支持部には上方軸支持部41と同様の2つの貫通穴部が形成されている。下方回動軸部42は、下方軸支持部に形成された貫通孔部を貫通している。下方回動軸部42は、第1の側面40の下端部よりも下方に延びている。下方回動軸部42は、ドラム20の躯体に係合している。
【0032】
図3中に一点鎖線で示す回転軸Aは、軸方向Zに延びる仮想的な直線である。回転軸Aは、上方軸支持部41に形成された2つの貫通穴部の中心を通り、下方回動軸部42の軸線を通っている。回転軸Aは、弧状分割体30の回転の中心となる。弧状分割体30は、回転軸Aを中心として回動可能である。
【0033】
図4は、薬剤供給装置1の部分断面図である。
図4に示す部分断面図は、
図1に示す薬剤供給装置1を、軸方向Zに直交する方向に延びドラム20を通る平面に沿って切断した下側の切断面を示している。
図4に示すように、上部筐体3を平面視した四隅には、左前柱部11、右前柱部12、左後柱部13、および右後柱部14が設けられている。
【0034】
ドラム20は、4つの弧状分割体30を有している。
図2,3に示す弧状分割体30が、内周面39を円筒状に沿わせて4つ並んで配置されることにより、
図4に示す略円筒形状のドラム20が形成されている。弧状分割体30は、略円筒形状のドラム20を、周方向に4分割したものである。各々の弧状分割体30は、周方向θに4列並べられた複数の薬剤収容部31を有している。
【0035】
図4に示す中心線Oは、
図4に示すように並べて配置された弧状分割体30の、部分円筒面状の内周面39の中心線を示している。中心線Oはまた、略円筒形状のドラム20の中心線を示している。中心線Oは、
図4の紙面垂直方向に延びている。
図3,4に示す回転軸Aは、中心線Oから離れる位置に設けられ、中心線Oと平行に延びている。回転軸Aは、ドラム20の外周縁の近傍に設けられている。回転軸Aは、
図4の紙面垂直方向に延びている。
図2,3に示す軸方向Zは、
図4の紙面垂直方向に相当する。
【0036】
薬剤収容部31に対しドラム20の中心線O近くに、上述した径方向通路37が形成されている。
【0037】
複数の弧状分割体30は、中心線Oを中心として周方向に並べられ、中空円筒状の形状を形成している。複数の弧状分割体30は、
図4中に両矢印で示す回動方向DR1のように、中心線Oを中心として一体的に回動可能である。複数の弧状分割体30は、上部筐体3に対して相対回転可能に設けられており、薬剤供給装置1の前面に各々の弧状分割体30を順次移動できるように、構成されている。なお、
図4中の下側が薬剤供給装置1の前面に相当する。
【0038】
弧状分割体30に対し中心線O近くに、ドラム20の躯体の一部を構成する支柱50が配置されている。支柱50は、中心線Oに沿って、
図4の紙面垂直方向に延びている。支柱50は、中空に形成されている。支柱50の内部には、中空空間53が形成されている。支柱50の、中空空間53に面する内周面には、4本の構造柱54が設けられている。構造柱54は、
図4の紙面垂直方向に延びる中実円柱状の形状を有している。
【0039】
支柱50の外周面には、
図4の紙面垂直方向に延びる複数の溝形状が形成されている。この溝形状は、軸方向Zに延びる軸方向通路51を構成している。複数の溝形状が、複数の軸方向通路51を形成している。複数の軸方向通路51は、互いに平行に延びている。弧状分割体30の内周面39は、軸方向通路51に面している。弧状分割体30の内周面39は、軸方向通路51の壁面の一部を構成している。内周面39は、軸方向通路51の外周側の壁面を構成している。
【0040】
軸方向通路51は、弧状分割体30に対して径方向Rの内方に形成されている。薬剤収容部31は薬剤供給装置1の前面に面して配置されており、軸方向通路51は、薬剤収容部31に対して、薬剤供給装置1の奥側に形成されている。
【0041】
図4に示すように、本実施の形態では、支柱50の外周面には、周方向に8箇所の軸方向通路51が形成されている。8箇所の軸方向通路51は、周方向θに並んでいる。1つの弧状分割体30に対し、2つの軸方向通路51が形成されている。周方向θに並ぶ2列の薬剤収容部31に対して、1つの軸方向通路51が設けられている。2つの径方向通路37に対し、1つの軸方向通路51が形成されている。径方向通路37は、軸方向通路51に連通している。薬剤収容部31と軸方向通路51とは、径方向通路37を介して、互いに連通している。
【0042】
軸方向通路51の内部は、払拭部材61によって清掃される。払拭部材61は、後述する通り、軸方向通路51を清掃する清掃部を構成している。8箇所の軸方向通路51に対して、1つの清掃部が設けられている。弧状分割体30が中心線Oを中心として回動可能であるのに対し、清掃部は回動不能に設けられている。清掃部と軸方向通路51とは、周方向θに相対的に移動可能である。
【0043】
各々の下方回動軸部42に対し中心線O近くに、補強ステー49が配置されている。本実施の形態では、ドラム20は4つの弧状分割体30を有し、4つの下方回動軸部42を有しているため、補強ステー49も4箇所に設けられている。補強ステー49は、
図4の紙面垂直方向に延びている。補強ステー49は、上部筐体3の下端部近傍から上端部近傍まで、上下方向に延在している。ドラム20は、円環平板状の底板21と、底板21と同形状の図示しない天井板とを有している。補強ステー49の下端は、底板21に固定されている。補強ステー49の上端は、天井板に固定されている。
【0044】
図5は、薬剤が通過する経路の構成を示す部分断面図である。上述したように、薬剤収容部31は、軸方向Zに並べられて配置されており、上下の支持体32間に挟まれて配置されている。径方向通路37は、薬剤収容部31に連通している。径方向通路37は、傾斜面38を有している。径方向通路37は、軸方向通路51に連通している。弧状分割体30の内周面39は、軸方向通路51に面しており、軸方向通路51の壁面の一部を構成している。
図5に示すように、内周面39に対向する対向面52が、軸方向通路51の壁面の一部を構成している。内周面39と対向面52とは、軸方向Zに沿って延びており、略平行に形成されている。
【0045】
径方向通路37と軸方向通路51とは、薬剤収容部31から排出される薬剤が通過する経路である薬剤通路部を構成している。
図6は、径方向通路37および軸方向通路51を通過する薬剤Mを示す部分断面図である。
図6に示すように、薬剤収容部31から排出された薬剤Mは、径方向通路37、軸方向通路51を順に経由して落下し、供給される。
【0046】
径方向通路37を通過する薬剤Mは、径方向通路37の底面を構成する傾斜面38に沿って、移動する。径方向通路37を通過する薬剤Mは、傾斜面38上を滑り落ちる、または傾斜面38に沿って転がり落ちるように、移動する。
【0047】
径方向通路37から軸方向通路51へ移動した薬剤Mは、径方向通路37内を落下した勢いによって、内周面39から対向面52へ向かう速度成分を有している。
図6に示すように、いくつかの薬剤Mは、対向面52にまで到達する。対向面52にまで到達した薬剤Mは、対向面52と衝突して跳ね返り、対向面52から離れ内周面39に近づくように移動しながら、軸方向通路51内を落下する。
【0048】
本実施の形態の薬剤供給装置1において、軸方向Zは、鉛直方向であってもよい。または、軸方向Zは、鉛直方向に対して傾斜する方向であってもよい。軸方向通路51の上端と下端とが一義的に定められ、軸方向通路51に入りこんだ薬剤Mが重力の作用によって下端へ向かって移動するように、鉛直方向および水平方向に対する薬剤供給装置1の配置が規定されている。
【0049】
図7は、清掃部60の構成を示す模式図である。
図7に示すように、本実施の形態の薬剤供給装置1は、軸方向通路51を自動で清掃するための清掃部60を備えている。清掃部60は、払拭部材61と、駆動部62と、索状部63とを有している。
【0050】
払拭部材61は、軸方向通路51の表面上を滑らかに摺動可能に形成されている。払拭部材61は、容易に弾性変形可能な素材で形成されていてもよい。払拭部材61はたとえば、ブラシ、フェルト、スポンジ、ゴム、および不織布からなる群から選ばれたいずれか1つの構成を含んで構成されていてもよい。
【0051】
図7に示す払拭部材61は、軸方向通路51を清掃しておらず、待機状態にある。待機状態にある払拭部材61は、軸方向通路51の上方の外部に配置されている。駆動部62は、軸方向通路51の上方の外部に配置されている。払拭部材61と駆動部62とは、軸方向通路51に対して上方に配置されている。払拭部材61と駆動部62とは、軸方向通路51の上端よりも上方に配置されている。索状部63は、払拭部材61と駆動部62とを連結している。索状部63は、駆動部62から下方に吊り下げられている。索状部63の下端に、払拭部材61が連結されている。索状部63は、軸方向通路51の上方の外部に配置されている。
【0052】
駆動部62は、払拭部材61を軸方向Zに移動させる駆動力を発生する。駆動部62は、索状部63が軸方向Zに延びる長さを変更する。
図7に示す索状部63は、軸方向Zに延びる長さが最も小さい状態である。
図7に示す状態から、索状部63が軸方向Zに延びる長さが増大するにつれて、索状部63の下端に連結された払拭部材61が、下方へ移動する。索状部63が軸方向Zに延びる長さが減少すると、索状部63の下端に連結された払拭部材61が上方へ移動する。
【0053】
払拭部材61は、軸方向通路51内を、軸方向Zに移動可能に設けられている。払拭部材61は、軸方向通路51の上方の外部から、軸方向通路51の上端を経由して軸方向通路51内に移動可能である。払拭部材61は、軸方向通路51の内部から、軸方向通路51の上端を経由して軸方向通路51の上方の外部へ移動可能である。
【0054】
索状部63として、チェーン、フレキシブルラックなどの、軸方向通路51内における軸方向Zの延在長さを調節可能な任意の部材が用いられてもよい。駆動部62は、モータを含んで構成されていてもよい。
【0055】
軸方向通路51の下方には、ホッパ90が配置されている。ホッパ90は、軸方向通路51内を落下してきた薬剤Mを受けて、ホッパ90の下方に設けられた図示しない分包装置に薬剤Mを供給する。ホッパ90は、略円錐状の形状を有しており、中空に形成されている。ホッパ90の内部には、薬剤Mを下方の分包装置に案内する案内通路91が形成されている。案内通路91は、軸方向通路51に連通している。
【0056】
図8は、清掃部60による軸方向通路51の清掃の状況を示す模式図である。
図7と
図8とを比較して、
図8に示す状態では、索状部63が軸方向Zに延びる長さが増大している。索状部63は、軸方向通路51の上方の外部から、軸方向通路51の内部に亘って配置されている。払拭部材61は、
図7に示す軸方向通路51の上方の外部から、
図8に示す軸方向通路51の下端部分にまで、軸方向Zに移動している。
【0057】
払拭部材61は、
図4に示す断面視において、軸方向通路51の四方の辺の全体に接触している。払拭部材61は、軸方向通路51の表面を構成している対向面52と内周面39との両方に、面接触している。軸方向Zに移動する払拭部材61は、対向面52および内周面39を含む軸方向通路51の表面上を摺動して、軸方向通路51の表面を払拭する。
図7に示す配置から
図8に示す配置にまで払拭部材61が移動することにより、対向面52および内周面39を含む軸方向通路51の内表面の全体に対して、払拭部材61が摺動する。これにより、払拭部材61は、軸方向通路51の内表面の全体を払拭する。
【0058】
図7および
図8に示すように、薬剤供給装置1は、下端側粉受部71と、上端側粉受部72とを備えている。下端側粉受部71は、軸方向通路51の下端部分に配置されている。下端側粉受部71は、
図8に示す閉鎖位置と、
図7に示する開放位置とに、移動可能に設けられている。閉鎖位置にある下端側粉受部71は、軸方向通路51の下端を閉鎖している。開放位置にある下端側粉受部71は、軸方向通路51の下端を開放している。閉鎖位置にある下端側粉受部71を平面視して、払拭部材61の全部と下端側粉受部71が重畳している。開放位置にある下端側粉受部71は、平面視において、払拭部材61と重畳していない。閉鎖位置にある下端側粉受部71は、軸方向通路51の下端を被覆している。開放位置にある下端側粉受部71は、軸方向通路51の下端を被覆していない。
【0059】
上端側粉受部72は、軸方向通路51の上方の外部に配置されている。上端側粉受部72は、軸方向通路51を清掃していない待機状態にある払拭部材61の下方に、払拭部材61に対して僅かな空間を隔てて配置されている。軸方向Zにおいて、上端側粉受部72は、複数の径方向通路37のうち最も上方にある径方向通路37が軸方向通路51と連通する位置よりも、上方に配置されている。
【0060】
上端側粉受部72は、
図7に示す軸方向通路51を閉鎖する位置と、
図8に示す軸方向通路51を開放する位置とに、移動可能に設けられている。
図7に示す上端側粉受部72は、平面視において払拭部材61の全部と重畳している。
図8に示す上端側粉受部72は、平面視において払拭部材61と重畳していない。
図7に示す上端側粉受部72は、軸方向通路51の上方の外部に移動した払拭部材61に対して軸方向通路51の上端を被覆する、被覆位置にある。
図8に示す上端側粉受部72は、軸方向通路51の上端を被覆しない非被覆位置にある。上端側粉受部72は、被覆位置と非被覆位置とに移動可能である。
【0061】
清掃部60が軸方向通路51の表面を清掃する動作について説明する。薬剤収容部31からの薬剤Mが排出されて薬剤Mの供給が行なわれている間は、
図7に示すように、下端側粉受部71が開放位置に配置され、上端側粉受部72が被覆位置に配置される。薬剤Mの供給が終わり、軸方向通路51の清掃を開始する際には、まず、下端側粉受部71を
図8に示す閉鎖位置に移動する。続いて、上端側粉受部72を
図8に示す非被覆位置に移動する。
【0062】
下端側粉受部71と上端側粉受部72とが移動を終えた後、駆動部62は、払拭部材61を下方へ移動させ、払拭部材61を軸方向通路51内に移動させる。払拭部材61が軸方向通路51内を下方へ移動するとき、払拭部材61が軸方向通路51の表面上を摺動する。これにより、軸方向通路51の表面が払拭され、軸方向通路51の表面に付着した薬剤Mの粉塵が清掃される。払拭部材61を軸方向通路51の下端部分まで移動させた後に、駆動部62は、払拭部材61を上方へ移動させ、
図7に示す軸方向通路51の上方の外部にまで払拭部材61を戻す。
【0063】
払拭部材61が軸方向通路51の外部へ移動した後、上端側粉受部72を再度被覆位置に移動し、続いて下端側粉受部71を再度開放位置に移動する。このようにして、一連の軸方向通路51の清掃が完了する。
【0064】
図9は、一部の構成要素が取り外された薬剤供給装置1を示す模式図である。
図9に示すように、払拭部材61は、薬剤供給装置1に対して着脱可能である。払拭部材61は、薬剤供給装置1に装着および薬剤供給装置1からの取り外しが可能なように、設けられている。
【0065】
下端側粉受部71は、薬剤供給装置1に対して着脱可能である。下端側粉受部71は、薬剤供給装置1に装着および薬剤供給装置1からの取り外しが可能なように、設けられている。
【0066】
上端側粉受部72は、薬剤供給装置1に対して着脱可能である。上端側粉受部72は、薬剤供給装置1に装着および薬剤供給装置1からの取り外しが可能なように、設けられている。
【0067】
払拭部材61、下端側粉受部71および上端側粉受部72の装着および取り外しは、上述した弧状分割体30をドラム20の略円筒形状の径方向外側へ向けて回転軸A(
図4参照)を中心として回転し、軸方向通路51を露出させることにより、容易に行なうことができる。代替的には、たとえば、払拭部材61および上端側粉受部72に軸方向通路51の上端からアクセスし、下端側粉受部71に軸方向通路51の下端からアクセスすることにより、払拭部材61、下端側粉受部71および上端側粉受部72の装着および取り外しを行なってもよい。
【0068】
払拭部材61は、たとえば磁石を含んで構成され、薬剤供給装置1に対して磁力の作用により装着されてもよい。
【0069】
本実施の形態の薬剤供給装置1の構成および作用効果についてまとめて説明すると、以下の通りである。なお、実施の形態の構成に参照番号を付すが、これは一例である。
【0070】
本実施の形態の薬剤供給装置1は、
図7に示すように、複数の薬剤収容部31を備えている。複数の薬剤収容部31の各々が、薬剤Mを収容している。複数の薬剤収容部31は、軸方向Zに並べて配置されている。薬剤供給装置1は、軸方向通路51を備えている。軸方向通路51は、軸方向Zに沿って延びている。薬剤収容部31から排出される薬剤Mが、軸方向通路51を通過する。薬剤供給装置1は、軸方向通路51を自動で清掃する清掃部60を備えている。
【0071】
軸方向通路51を移動する薬剤Mが、
図5,6に示す対向面52などの軸方向通路51の表面に接触すると、薬剤Mの表面に削れまたは欠けが発生し、薬剤Mの粉塵が軸方向通路51の表面に付着する。そのため、軸方向通路51の表面を定期的に清掃する必要がある。本実施の形態によれば、清掃部60を駆動することにより、自動で軸方向通路51を清掃できる。薬剤供給装置1を使用する作業者が軸方向通路51を清掃しなくても、軸方向通路51を清潔な状態に保つことができ、軸方向通路51の清掃作業に要する手間を軽減することができる。
【0072】
また
図7に示すように、清掃部60は、軸方向通路51の表面上を摺動して払拭する払拭部材61と、払拭部材61を軸方向Zに移動させる駆動部62とを有している。駆動部62が払拭部材61を軸方向Zに移動させることにより、払拭部材61が軸方向通路51の表面上を摺動して、軸方向通路51の表面を払拭する。これにより、軸方向通路51の表面を確実に自動清掃することができる。
【0073】
また
図7に示すように、薬剤供給装置1は、下端側粉受部71をさらに備えている。下端側粉受部71は、軸方向通路51の下端を閉鎖する
図8に示す閉鎖位置と、軸方向通路51の下端を開放する
図7に示す開放位置とに、移動可能である。
【0074】
薬剤供給装置1を用いた薬剤Mの供給(払い出し)中には、下端側粉受部71を開放位置に配置することにより、下端側粉受部71が薬剤Mの払い出しの妨げとなることはない。薬剤Mの払い出しが行なわれていない状態で、軸方向通路51を清掃部60で清掃するときに、下端側粉受部71が閉鎖位置に配置される。このようにすれば、軸方向通路51の清掃時に軸方向通路51の表面から落下する薬剤Mの粉塵は、下端側粉受部71によって受けられる。したがって、薬剤Mの粉塵が軸方向通路51からホッパ90内の案内通路91へ落下することを、防止することができる。
【0075】
また
図9に示すように、下端側粉受部71は、薬剤供給装置1に対して着脱可能である。このようにすれば、軸方向通路51の清掃時に下端側粉受部71によって受けられた薬剤Mの粉塵を、容易に捨てることができる。
【0076】
また
図8に示すように、払拭部材61は、軸方向通路51の上方の外部へ移動可能である。薬剤供給装置1は、上端側粉受部72をさらに備えている。上端側粉受部72は、
図7に示す被覆位置と、
図8に示す非被覆位置とに、移動可能である。被覆位置にある上端側粉受部72は、軸方向通路51の上方の外部へ移動した払拭部材61に対して、軸方向通路51の上端を被覆している。非被覆位置にある上端側粉受部72は、軸方向通路51の上端を被覆していない。
【0077】
清掃部60を用いた軸方向通路51の清掃中には、上端側粉受部72を非被覆位置に配置することにより、上端側粉受部72が払拭部材61の移動の妨げとなることはない。軸方向通路51の清掃が行なわれていない待機状態の払拭部材61が軸方向通路51の上方の外部に配置されているときに、上端側粉受部72が被覆位置に配置される。このようにすれば、軸方向通路51の上方の外部に配置されている払拭部材61から軸方向通路51の清掃中に払拭部材61に付着した薬剤Mの粉塵が落下しても、薬剤Mの粉塵は上端側粉受部72によって受けられる。したがって、薬剤Mの粉塵が軸方向通路51へ落下することを、防止することができる。
【0078】
また
図9に示すように、上端側粉受部72は、薬剤供給装置1に対して着脱可能である。このようにすれば、払拭部材61から落下し上端側粉受部72によって受けられた薬剤Mの粉塵を、容易に捨てることができる。
【0079】
また
図9に示すように、払拭部材61は、薬剤供給装置1に対して着脱可能である。このようにすれば、払拭部材61を薬剤供給装置1から取り外した状態で、容易に払拭部材61を整備することができる。払拭部材61が軸方向通路51の表面上を払拭する能力が低下した場合には、新しい払拭部材61に容易に交換することができる。
【0080】
また
図4に示すように、薬剤供給装置1は、複数の軸方向通路51を備えている。複数の軸方向通路51は、各々、軸方向Zに沿って延びており、互いに平行に延びている。複数の軸方向通路51は、周方向θに並んで配置されている。複数の軸方向通路51に対して、1つの清掃部60が設けられている。複数の軸方向通路51は、周方向θに回転可能である。清掃部60は、周方向θに移動不可能である。清掃部60と軸方向通路51とは、周方向に相対的に移動可能である。
【0081】
周方向θに固定されている清掃部60に対して、ドラム20を回転させて軸方向通路51を周方向θに移動することにより、各々の軸方向通路51を清掃部60に合わせて配置することができる。1つの清掃部60を用いて複数の軸方向通路51を順に清掃する構成とすることにより、薬剤供給装置1の部品点数を削減することができる。
【0082】
また
図2に示すように、薬剤供給装置1は、軸方向Zに並ぶ薬剤収容部31を、複数列備えている。
図4に示すように、2列の薬剤収容部31に対して、1つの軸方向通路51が設けられている。2列の薬剤収容部31から排出される薬剤Mが共通の1つの軸方向通路51を通過する構成とすることにより、軸方向Zに並ぶ薬剤収容部31の列毎に軸方向通路51が設けられる構成と比較して、軸方向通路51の数が低減されている。このため、より少ない数の軸方向通路51を清掃すればよく、軸方向通路51の清掃に要する時間を短縮することができる。
【0083】
なお、これまでの説明においては、複数の薬剤収容部31が軸方向Zおよび周方向θに並んで配置されて略円筒状のドラム20を形成する例について説明した。この例に限られず、略鉛直方向に並べられた複数の薬剤収容部の背後に薬剤が通過する薬剤通路部が形成される任意の構成としてもよい。たとえば、複数の薬剤収容部が鉛直面上に縦横に並べられ、これら薬剤収容部の背後に薬剤通路部が形成される構成としてもよい。この場合においても、上記の実施の形態で説明した清掃部60を用いて薬剤通路部を清掃するようにすれば、薬剤通路部の清掃作業に要する手間を軽減できる効果を、同様に得ることができる。
【0084】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。