特許第6671204号(P6671204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671204
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】ガス分離装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20200316BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20200316BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20200316BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20200316BHJP
   B01J 20/22 20060101ALI20200316BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20200316BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20200316BHJP
   B01D 53/82 20060101ALI20200316BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20200316BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20200316BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20200316BHJP
【FI】
   B01D53/04 230
   B01J20/10 DZAB
   B01J20/18 B
   B01J20/18 E
   B01J20/20 B
   B01J20/20 D
   B01J20/22 A
   B01D53/14 100
   B01D53/62
   B01D53/82
   B01D53/96
   B01J20/34 B
   B01J20/34 F
   C01B31/20 B
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-60369(P2016-60369)
(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公開番号】特開2017-170359(P2017-170359A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】植田 健太郎
【審査官】 瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−104812(JP,A)
【文献】 特表2013−540573(JP,A)
【文献】 特開2001−129350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/02−53/18、53/34−53/85、
53/92、53/96
B01J 20/00−20/34
C01B 32/00−32/991
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合ガス中の一つ以上のガス成分をガス吸着材に吸着させる吸着工程と、水蒸気で加熱することにより前記ガス成分を脱離させて前記ガス吸着材を再生させる再生工程とが交互に行われる吸着塔を備えるガス分離装置において、
前記ガス吸着材が、前記吸着工程において前記ガス成分を吸着し、且つ、前記再生工程において前記ガス成分を脱離する吸着剤と、前記吸着工程において前記水蒸気を脱離し、且つ、前記再生工程において前記水蒸気を吸着する吸湿発熱剤とを含むことを特徴とするガス分離装置。
【請求項2】
前記ガス成分が二酸化炭素であることを特徴とする請求項1に記載のガス分離装置。
【請求項3】
前記吸着剤が、MOF(有機金属錯体)系吸着剤、炭素材料系吸着剤、多孔質材料にアミン類を担持させた吸着剤、ゼオライト、シリカゲル、活性炭からなる群より選択される一つ以上の吸着剤であることを特徴とする請求項2に記載のガス分離装置。
【請求項4】
前記吸湿発熱剤が、ポリアクリル酸ナトリウム又は水分を吸収可能な塩化カルシウムの水和物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガス分離装置。
【請求項5】
前記吸着工程中の吸着塔内の相対湿度が、前記再生工程中の吸着塔内の相対湿度よりも低いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス分離装置。
【請求項6】
前記吸着工程中の吸着塔内の相対湿度が20%以下であることを特徴とする請求項5に記載のガス分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度スイング吸着法によって混合ガスから特定のガス成分を吸着・分離するためのガス分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
温度スイング吸着法を採用する従来のガス分離装置としては、例えば、以下の特許文献1に記載されるものが知られている。当該ガス分離装置は、マイクロ波発振器を備えており、吸着塔内のガス吸着材にマイクロ波を照射して加熱し、これによりガス吸着材に吸着した二酸化炭素を脱離させる(例えば、特許文献1の図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5064600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されるガス分離装置では、マイクロ波発振器という特殊な機器を必要とすると共に、マイクロ波を発生させるための電気エネルギーが別途必要となるため、装置運転時の省エネルギー化を図るという点において改善する余地が残されている。
【0005】
本発明の目的は、何ら特殊な機器を必要とせずに、省エネルギー化を図ることのできるガス分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガス分離装置は、混合ガス中の一つ以上のガス成分をガス吸着材に吸着させる吸着工程と、水蒸気で加熱することにより前記ガス成分を脱離させて前記ガス吸着材を再生させる再生工程とが交互に行われる吸着塔を備えるガス分離装置において、前記ガス吸着材が、前記吸着工程において前記ガス成分を吸着し、且つ、前記再生工程において前記ガス成分を脱離する吸着剤と、前記吸着工程において前記水蒸気を脱離し、且つ、前記再生工程において前記水蒸気を吸着する吸湿発熱剤とを含むことを特徴とする。
【0007】
本構成であれば、再生工程において、ガス吸着材に含まれる吸湿発熱剤が水蒸気を吸収して発熱するため、ガス成分の脱離に要する熱エネルギーを低減することができ、省エネルギー化が図れる。また、吸湿発熱剤が吸収した水分は、その後の吸着工程において混合ガスが再導入されることによって吸熱反応を伴いながら放出されるため、吸着剤におけるガス成分の吸着が促される。即ち、吸湿発熱剤の吸熱反応及び発熱反応を利用することによって、特定のガス成分の吸着及び脱離が促され、効率良く特定のガス成分を吸着・分離することができる。
さらに本構成であれば、水蒸気を利用する従来公知の一般的な温度スイング吸着(TSA)装置に適用することができるため、ガス成分を脱離させるための特殊な機器を何ら必要としない。
【0008】
さらに本発明のガス分離装置は、前記ガス成分が二酸化炭素であることを特徴とする。
【0009】
本構成であれば、地球温暖化の一因である二酸化炭素を効率良く吸着することができる。
【0010】
さらに本発明のガス分離装置は、前記吸着剤が、MOF(有機金属錯体)系吸着剤、炭素材料系吸着剤、多孔質材料にアミン類を担持させた吸着剤、ゼオライト、シリカゲル、活性炭からなる群より選択される一つ以上の吸着剤であることを特徴とする。
【0011】
これらの吸着剤は、二酸化炭素をより効率良く吸着することができる。
【0012】
さらに本発明のガス分離装置は、前記吸湿発熱剤が、ポリアクリル酸ナトリウム又は水分を吸収可能な塩化カルシウムの水和物であることを特徴とする。


【0013】
これらの吸湿発熱剤は、混合ガス中に含まれる各種ガス成分と水蒸気との間で十分な吸着性能の差があり、水蒸気を選択的に吸収できる。
【0014】
さらに本発明のガス分離装置は、前記吸着工程中の吸着塔内の相対湿度が、前記再生工程中の吸着塔内の相対湿度よりも低いことを特徴とする。
【0015】
本構成であれば、吸着工程中の吸湿発熱剤の吸熱反応と、再生工程中の吸湿発熱剤の発熱反応とが一層促されるため、さらに効率良く特定のガス成分を吸着・分離することができる。
【0016】
さらに本発明のガス分離装置は、前記吸着工程中の吸着塔内の相対湿度が20%以下であることを特徴とする。
【0017】
本構成であれば、吸着工程中の吸湿発熱剤の吸熱反応と、再生工程中の吸湿発熱剤の発熱反応とがより一層促されるため、さらにより効率良く特定のガス成分を吸着・分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ガス分離装置の概略構成図である。
図2】ガス吸着材における吸湿発熱剤の混合率と外部からの投入熱量との関係を示す図である。
図3】ガス吸着材における吸湿発熱剤の混合率と外部からの投入熱量との関係を示す図である。
図4】ガス吸着材における吸湿発熱剤の混合率と外部からの投入熱量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(ガス分離装置)
本発明の実施形態に係るガス分離装置は、混合ガス中の一つ以上のガス成分をガス吸着材に吸着させる吸着工程と水蒸気で加熱することにより前記ガス成分を脱離させて前記ガス吸着材を再生させる再生工程とが交互に行われる吸着塔を備える、所謂温度スイング吸着(TSA)装置であって、吸着工程と再生工程とが交互に繰り返されることによって、混合ガス中の特定のガス成分を連続的に分離・回収することができる。
【0020】
本実施形態におけるガス分離装置1は、第1吸着塔2、第2吸着塔3、蒸気供給ライン4、混合ガス供給ライン5、ガス成分回収ライン6、排気ライン7、及びブロワー8を備えて構成されている。第1吸着塔2及び第2吸着塔3のそれぞれの内部には、後述するガス吸着材9が充填されている。
【0021】
ガス分離装置1に適用可能な混合ガスとしては、例えば、火力発電所、製鉄所高炉、自動車等から排出される産業排出ガスが挙げられる。また分離・回収されるガス成分としては、例えば、二酸化炭素、メタンなどが挙げられる。
【0022】
先ず、混合ガス供給ライン5を介して混合ガスを第1吸着塔2に所定時間供給して、混合ガス中に含まれる特定のガス成分をガス吸着材9に吸着させる。残りのガス成分は排気ライン7を介して排出される。
【0023】
所定時間経過後、混合ガス供給ライン5を切り替えて、混合ガスを第2吸着塔3に所定時間供給すると共に、蒸気供給ライン4を介して高温の水蒸気を第1吸着塔2に所定時間供給して加熱し、吸着したガス成分を脱離させてガス吸着材9を再生させる。このとき、第1吸着塔2のガス吸着材9に含まれる吸湿発熱剤が水蒸気を吸収して発熱するため、ガス成分の脱離に要する熱エネルギーを低減することができる。脱離したガス成分はガス成分回収ライン6を介して回収される。
【0024】
さらに所定時間経過後、混合ガス供給ライン5を切り替えて、混合ガスを再び第1吸着塔2に所定時間供給すると共に、蒸気供給ライン4を切り替えて、水蒸気を第2吸着塔3に所定時間供給して加熱し、ガス成分を脱離させてガス吸着材9を再生させる。このとき、第2吸着塔3のガス吸着材9に含まれる吸湿発熱剤が水蒸気を吸収して発熱するため、上記第1吸着塔2のときと同様に、ガス成分の脱離に要する熱エネルギーを低減することができる。また、第1吸着塔2におけるガス吸着材9の吸湿発熱剤が吸収した水分は、混合ガスが導入されることによって吸熱反応を伴いながら排気ライン7より放出されるため、第1吸着塔2のガス吸着材9におけるガス成分の吸着が促される。
【0025】
尚、吸着工程中の吸湿発熱剤の吸熱反応と、再生工程中の吸湿発熱剤の発熱反応とをより一層促すために、吸着工程中の吸着塔内の相対湿度が、再生工程中の吸着塔内の相対湿度よりも低いことが望ましい。特に、吸着工程中の吸着塔内の相対湿度が20%以下であることがより望ましい。
【0026】
以上より、本実施形態におけるガス分離装置1では、第1吸着塔2及び第2吸着塔3のいずれか一方において、混合ガス中の一つ以上のガス成分をガス吸着材9に吸着させる吸着工程が実施され、他方において、水蒸気で加熱することにより前記ガス成分を脱離させてガス吸着材9を再生させる再生工程が実施され、所定時間ごとに切り替わるように構成されている。
【0027】
上述のガス分離装置1では、第1吸着塔2及び第2吸着塔3という2つの吸着塔を備えているが、この構成に限定されるものではなく、場合によっては一つの吸着塔を備える構成でも良いし、あるいは3つ以上の吸着塔を備える構成としても良い。
【0028】
また、上述のガス分離装置1が、さらに凝縮器を備えるように構成しても良い。回収された二酸化炭素は水分を含むため、凝縮器によって水分を除去して、ガス成分のみを分離・回収することができる。尚、取り除かれた水分は、蒸気として再利用することができる。
【0029】
また、上述のガス分離装置1に対して、必要に応じて圧力スイング法を組み合わせても良い。圧力スイング法では、再生工程中に、ガス成分回収ラインをポンプで引いて吸着塔内を減圧気味にするため、ガス吸着材9の再生を促すことができる。
【0030】
(ガス吸着材)
本発明のガス分離装置に適用されるガス吸着材は、特定のガス成分を吸着する吸着剤と、吸湿発熱剤とを含む。
【0031】
(吸着剤)
分離・回収するガス成分が二酸化炭素である場合、本発明に適用可能な吸着剤としては、例えば、MOF(有機金属錯体)系吸着剤、炭素材料系吸着剤、多孔質材料にアミン等を担持させた吸着剤、ゼオライト、シリカゲル、活性炭等が挙げられる。
【0032】
MOF(有機金属錯体)系吸着剤としては、例えば、ZIF−8(Selective Gas Sorption in Metal Organic Framework,Grant White(2010)参照)、MOF−74(Selective
Gas Sorption in Metal Organic Framework,Grant White(2010)参照)、HKUST−1、PCN−16、及びMOF−5等が挙げられる。
【0033】
炭素材料系吸着剤としては、例えば、Advanced Carbon Sorbents(Characteristics of an advanved carbon sorbent for CO2 capture,M.D.Hornbostel,et al.,Carbon,56,p.77(2013)参照)等が挙げられる。
【0034】
多孔質材料にアミン等を担持させた吸着剤としては、例えば、Amine Enriched Sorbents(ADA−ES社製)、RITE固体吸収剤等が挙げられる。
【0035】
尚、吸着剤の形態は、固体状でも、水溶液以外の液状であっても良い。
【0036】
(吸湿発熱剤)
本発明における吸湿発熱剤とは、水分を吸収することによって発熱する物質を意味するものであって、混合ガス中に含まれる各種ガス成分と水蒸気との間で十分な吸着性能の差があり、尚且つ水蒸気を選択的に吸収できるものが好ましい。そのような吸湿発熱剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等の吸湿性高分子、塩化カルシウムの水和物等が挙げられる。
【0037】
吸湿発熱剤は、必要に応じてカプセル剤や多孔質材などと複合化されていても良い。
【0038】
吸湿発熱剤の形状・大きさは、上記吸着剤と同じ形状・大きさにすることが望ましく、例えば、吸湿発熱剤及び吸着剤を、同じ形状・大きさのペレット状にすることがより望ましい。
【0039】
ガス吸着材中における吸湿発熱剤の混合割合(質量%)は、5質量%〜50質量%が望ましい。
【0040】
尚、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【実施例】
【0041】
吸着・分離するガス成分として二酸化炭素を想定し、以下の実施例1〜3のそれぞれのガス吸着材について、再生工程中に二酸化炭素を脱離するために要する、外部からの投入熱量(二酸化炭素1t当たりの熱量)を計算した。
【0042】
(実施例1)
実施例1のガス吸着材では、以下の化学的性質をもつZIF−8を吸着剤とし、また以下の化学的性質をもつ塩化カルシウム二水和物を吸湿発熱剤とした。
【0043】
ZIF−8の化学的性質
(1)再生熱:二酸化炭素1moLあたり59kJ(吸着熱:二酸化炭素1moLあたり19kJ、顕熱:二酸化炭素1moLあたり40kJ)
(2)比熱:1kJ/(kg・K)
(3)1kgあたりの二酸化炭素吸着量:0.044kg(1.0moL)
【0044】
塩化カルシウム二水和物の化学的性質
(1)発熱量:水分子1moLあたり50kJ
(2)比熱:2.64kJ/(kg・K)
(3)1kgあたりの水吸着量:0.24kg
【0045】
ガス吸着材中における塩化カルシウム二水和物の混合割合を0質量%、5質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%に設定し、さらに吸着塔の充填量を1000kg、及び吸着工程と再生工程との温度差を40Kに設定した。
【0046】
上述の条件を基にして、再生工程中に二酸化炭素を脱離するために要する、外部からの投入熱量(二酸化炭素1t当たりの熱量)を計算し、得られたデータをグラフにした。結果を図2に示す。図2に示すように、吸湿発熱剤(塩化カルシウム二水和物)の混合量を増やすほど投入熱量が減少した。
【0047】
(実施例2)
実施例2のガス吸着材では、以下の化学的性質をもつMOF−74を吸着剤とし、また以下の化学的性質をもつ塩化カルシウム二水和物を吸湿発熱剤とした。
【0048】
MOF−74の化学的性質
(1)再生熱:二酸化炭素1moLあたり71kJ(吸着熱:二酸化炭素1moLあたり31kJ、顕熱:二酸化炭素1moLあたり40kJ)
(2)比熱:1kJ/(kg・K)
(3)1kgあたりの二酸化炭素吸着量:0.044kg(1.0moL)
【0049】
塩化カルシウム二水和物の化学的性質
(1)発熱量:水分子1moLあたり50kJ
(2)比熱:2.64kJ/(kg・K)
(3)1kgあたりの水吸着量:0.24kg
【0050】
ガス吸着材中における塩化カルシウム二水和物の混合割合を0質量%、5質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%に設定し、さらに吸着塔の充填量を1000kg、及び吸着工程と再生工程との温度差を40Kに設定した。
【0051】
上述の条件を基にして、再生工程中に二酸化炭素を脱離するために要する、外部からの投入熱量(二酸化炭素1t当たりの熱量)を計算し、得られたデータをグラフにした。結果を図3に示す。図3に示すように、吸湿発熱剤(塩化カルシウム二水和物)の混合量を増やすほど投入熱量が減少した。
【0052】
(実施例3)
実施例3のガス吸着材では、以下の化学的性質をもつAdvanced Carbon Sorbentsを吸着剤とし、また以下の化学的性質をもつ塩化カルシウム二水和物を吸湿発熱剤とした。
【0053】
Advanced Carbon Sorbentsの化学的性質
(1)再生熱:二酸化炭素1moLあたり125kJ(吸着熱:二酸化炭素1moLあたり27kJ、顕熱:二酸化炭素1moLあたり98kJ)
(2)比熱:1kJ/(kg・K)
(3)1kgあたりの二酸化炭素吸着量:0.018kg(0.409moL)
【0054】
塩化カルシウム二水和物の化学的性質
(1)発熱量:水分子1moLあたり50kJ
(2)比熱:2.64kJ/(kg・K)
(3)1kgあたりの水吸着量:0.24kg
【0055】
ガス吸着材中における塩化カルシウム二水和物の混合割合を0質量%、5質量%、10質量%、15質量%、20質量%、25質量%、30質量%、35質量%、40質量%、45質量%、50質量%に設定し、さらに吸着塔の充填量を1000kg、及び吸着工程と再生工程との温度差を40Kに設定した。
【0056】
上述の条件を基にして、再生工程中に二酸化炭素を脱離するために要する、外部からの投入熱量(二酸化炭素1t当たりの熱量)を計算し、得られたデータをグラフにした。結果を図4に示す。図4に示すように、吸湿発熱剤(塩化カルシウム二水和物)の混合量を増やすほど投入熱量が減少した。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、混合ガスから特定のガス成分を吸着・分離する技術の分野において好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 ガス分離装置
2 第1吸着塔
3 第2吸着塔
4 蒸気供給ライン
5 混合ガス供給ライン
6 ガス成分回収ライン
7 排気ライン
8 ブロワー
9 ガス吸着材
図1
図2
図3
図4