【実施例】
【0021】
本発明に係る電力変換装置10は、バッテリとモータとの間に配置される。バッテリ及びモータは周知であるため、図示は省略する。モータが発電機として使用される場合は、発電された電力をバッテリに貯える。よって、本発明の電力変換装置10は、バッテリとモータとの間又は発電機とバッテリの間に配置することができる。
【0022】
図1(a)に示すように電力変換装置10は、例えば、ロアケース11と、ミドルケース12と、アッパカバー13とで構成される筐体と、この筐体に内蔵されるコンデンサ14と、モータへ向かうモータ側バスバー15と、パワーモジュールを内蔵するパワーモジュールケース17とを備える。
【0023】
図1(b)に示すようにパワーモジュールケース17は、上面にパワーモジュールを制御する回路基板18を備え、下面にパワーモジュールを冷却する冷却器19を備えている。
パワーモジュールケース17には、ケース側バスバー(
図3(b)、符号21)が設けられている。
【0024】
図2(a)に示すように、パワーモジュールケース17は、側面にケース側バスバー(
図3(b)、符号21)のモータ側端に相当する端子部22、22、22を備える。端子部22は逆U字状の突条部23で囲われている。この突条部23の上部は、パワーモジュールケース17の上面部よりHだけ上方へ突出している。すなわち、パワーモジュールケース17は、パワーモジュールケース17の上面部よりHだけ上方へ突出したケース延長部25を一体的に備えている。
さらに、パワーモジュールケース17は、ケース延長部25の裏側位置及び端子部22の間に上下に貫通する矩形断面の貫通孔26を備えている。
【0025】
パワーモジュールケース17に下から電流センサ30がボルト31、31で固定される。
図2(b)は
図2(a)のb−b断面図である。
図2(b)に示すように、電流センサ30は、センサ筐体32と、このセンサ筐体32に内蔵されるコア33、ホール素子34及びセンサ基板35とを要部とする。センサ筐体32の形状や構造は任意であるが、この例では、中央に上下に延びる縦通路36を有する筐体本体37と、この筐体本体37に下から被せる筐体底蓋38とからなる。この筐体底蓋38も縦通路41を有するが、この縦通路41の下部は下に開くテーパー面42、42を有する。
【0026】
図2(a)に示すように、筐体底蓋38は、筐体本体37側の爪43、43、43で止まっているため、筐体本体37に着脱自在である。
筐体本体37は、横長部材であり、直列に3個の縦通路36、36、36を備えている。すなわち、1個の筐体本体37に、3個のコア33と3個のホール素子34が内蔵されている。これにより部品(センサ)点数の低減と、取り付け工数の低減とが図れる。
【0027】
加えて、筐体本体37は、上に延びる複数本(この例では5本)の信号ピン50を備えるとともに、これらの信号ピン50を局部的に補強するモールド部45を備えている。モールド部45は、モールド成形時に信号ピン50を囲いつつ筐体本体37と同時に形成される。
【0028】
三相に対応する3本のモータ側バスバー15、15、15が電流センサ30側の縦通路36、36、36を通過した後に、端子部22、22、22に当てられ、ボルト46、46、46で締結される。この際に、
図2(b)に示すテーパー面42、42のガイド作用により、モータ側バスバー15は縦通路36、41を円滑に通過する。
【0029】
図3(a)は
図1(b)の3(a)−3(a)で示すモータ側バスバー15の断面図であり、パワーモジュールケース17には、端子部22の裏に当たるようにしてナット47が埋設されている。このナット47にボルト46をねじ込むことで、端子部22にモータ側バスバー15を電気的に接続することができる。
【0030】
パワーモジュールケース17の上面に回路基板18がビス48で止められている。回路基板18が端子部22に接近しているため、絶縁距離が不足する虞がある。対策として、回路基板18と端子部22との間をケース延長部25で仕切っている。これにより、絶縁距離を十分に確保することができる。
【0031】
図3(b)は
図1(b)の3(b)−3(b)で示す信号ピン50の断面図であり、信号ピン50は、センサ基板35から延びて電流検出信号を回路基板18へ伝達する役割を果たす。
信号ピン50は、センサ筐体32の内部に位置する内側部分51と、この内側部分51を除く外側部分52とに便宜的に区分される。
この外側部分52は内側部分51に繋がる第1範囲53と、この第1範囲53を除く第2範囲54とに便宜的に区分される。そして、第1範囲53がモールド部45で補強される。モールド部45は、下部に三角形断面のリブ部49、49をさらに備えている。リブ部49、49があるため、モールド部45の先端(上端)に曲げ(水平力)が加わっても、モールド部45が曲がる虞はない。なお、リブ部49、49は省いてもよい。
【0032】
信号ピン50は細い金属棒である。外側部分52の全てが露出している場合に比較して、本例のように第2範囲54だけが露出するようにすることで、信号ピン50は十分に曲がり難くなる。よって、回路基板18に差し込む作業がより円滑になる。信号ピン50の外径を小さくすることも可能である。
【0033】
加えて、パワーモジュールケース17に設けた貫通孔26に、モールド部45を挿入することで、電流センサ30がパワーモジュールケース17に位置決めできるため、電流センサ30のパワーモジュールケース17への取り付け作業が容易になる。
【0034】
尚、電力変換装置10は、電動車両や、いわゆるハイブリッド車両に搭載される他、舶用や一般産業用に供することもできる。