【実施例】
【0019】
本発明に係る電力変換装置10は、バッテリとモータとの間に配置される。バッテリ及びモータは周知であるため、図示は省略する。モータが発電機として使用される場合は、発電された電力をバッテリに貯える。よって、本発明の電力変換装置10は、バッテリとモータとの間又は発電機とバッテリの間に配置することができる。
【0020】
図1に示すように電力変換装置10は、例えば、ロアケース11と、ミドルケース12と、アッパカバー13とで構成される筐体と、この筐体に内蔵されるコンデンサ14と、モータに接続されるモータ側バスバー15と、パワーモジュールを内蔵するパワーモジュールケース17とを備える。パワーモジュールケース17は、上面に回路基板18を備え、下面に冷却器19を備える。
【0021】
図2(a)は、
図1の中に丸で囲んだ2aの要部拡大図であり、
図2(b)は、
図2(a)のb矢視図である。
図2(a)、
図2(b)に示すように、パワーモジュールケース17にケース側バスバー21が設けられている。このケース側バスバー21は図面奥から手前に延びた後に図面で左に折り曲げられ(Y方向手前に延びた後にX方向左に折り曲げられ)、その端面が略矩形の端子部22となる。すなわち、ケース側バスバー21はモータ側へ延び、モータ側端部に端子部22を有している。
端子部22は、裏にナット23を備えており、モータ側バスバー(
図1、符号15)がボルト(
図4(c)、符号34)で締結可能となっている。
【0022】
このような端子部22は、逆U字形の突条部24で囲われ、この突条部24の上部がパワーモジュールケース17の上面から距離Hだけ上方(Z方向)へ張り出している。すなわち、パワーモジュールケース17は上方に延長したケース延長部25を備えている。
このケース延長部25は、
図2(a)において、パワーモジュールケース17の上に取り付けられる回路基板18と端子部22との絶縁距離を稼ぐ役割を果たす。そして、突条部24の図面右側(X方向)にスロット状の挿入孔26が設けられている。
【0023】
図2(c)は、挿入孔26の中央で断面した図、すなわち、
図2(b)より奥の部位での断面図(
図2(a)のC−C断面図)である。
図2(c)に示すように、パワーモジュールケース17に埋設されたケース側バスバー21の真上に挿入孔26が設けられている。挿入孔26は孔口に外に(上に)広がるテーパー面27、27を有している。
そして、パワーモジュールケース17は、下部に下方へ開口するコア挿入溝28が設けられている。
【0024】
図3(a)に示すように、パワーモジュールケース17を反転して、コア挿入溝28を上にする。次に、電流センサ(
図4、符号30)の主要素であるC形状のコア31をコア挿入溝28へ嵌める。すなわち、コア31でケース側バスバー21を囲うようにする。
次に、
図3(b)に示すように、コア挿入溝28に樹脂32を充填する。すなわち、コア31をモールディングする。これで、コア31はパワーモジュールケース17に埋設される。
その後、パワーモジュールケース17を再反転して、挿入孔26を上に向ける。
【0025】
図4(a)に示すように、回路基板18にホール素子33が実装されている。このホール素子33を挿入孔26に挿入するようにして回路基板18を下げる。このときに、挿入孔26は孔口にテーパー面27、27を有しており、テーパー面27、27のガイド作用により、ホール素子33は円滑に挿入孔26内へ導かれる。
【0026】
図4(b)に示すように、コア31の開口部31a近傍にホール素子33が挿入される。この状態で、回路基板18はビスなどによりパワーモジュールケース17に固定される。
すなわち、パワーモジュールケース17に埋設されたコア31と、回路基板18に実装されたホール素子33とから電流センサ30が構成される。ケース側バスバー21を流れる電流の大きさをコア31及びホール素子33で検知し、得られた電流情報を回路基板18へ伝達する。
【0027】
図4(c)は、
図4(b)のC−C線断面図であり、モータ側バスバー15を端子部22に当て、ボルト34で締結する。これで、ケース側バスバー21にモータ側バスバー15が電気的に接続される。
【0028】
パワーモジュールケース17は、上面に回路基板18を備えると共に、この回路基板18と端子部22とを仕切るために上方へ延長したケース延長部25を有している。回路基板18と端子部22との間の絶縁距離を増加することができる。絶縁距離が大きくなるため、回路基板18と端子部22とをさらに接近させることも可能となる。
【0029】
図4(b)で示したように、コア31がパワーモジュールケース17に一体形成され、ホール素子33がコア31に対応するように回路基板18に実装されている。パワーモジュールケース17に回路基板18を取り付けるだけで、電流センサ30が完成する。電流センサ30が別部品であれば、別部品をパワーモジュールケース17に取り付ける工数が発生するが、本発明ではこのような取り付け工数は不要である。別部品であれば欠品が起こらないように部品管理が不可欠となるが、本発明では欠品の虞がないため、部品管理は不要である。
よって、本発明によれば、電流センサ30に起因する組み立てコストや管理コストが低減できる。
【0030】
また、
図2(b)と
図2(c)とから明らかなように、パワーモジュールケース17の側面視で、コア(
図4、符号31)と隣接するように中心間距離でLだけオフセットした位置に端子部22が配置されているため、端子部22を大きくすることなく電流センサ(
図4、符号30)を構成することができる。
【0031】
尚、電力変換装置10は、電動車両や、いわゆるハイブリッド車両に搭載される他、舶用や一般産業用に供することもできる。