特許第6671227号(P6671227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671227
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】ヒートシンクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20200316BHJP
   H05B 6/36 20060101ALI20200316BHJP
   H05B 6/02 20060101ALI20200316BHJP
   H05B 6/10 20060101ALI20200316BHJP
   B23K 1/002 20060101ALI20200316BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20200316BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20200316BHJP
   B23K 101/40 20060101ALN20200316BHJP
   B23K 103/10 20060101ALN20200316BHJP
【FI】
   H01L23/36 Z
   H05B6/36 E
   H05B6/02 Z
   H05B6/10 341
   B23K1/002
   B23K1/00 S
   H05K7/20 B
   B23K101:40
   B23K103:10
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-85659(P2016-85659)
(22)【出願日】2016年4月22日
(65)【公開番号】特開2017-195317(P2017-195317A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002941
【氏名又は名称】特許業務法人ぱるも特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(72)【発明者】
【氏名】藤原 淳史
(72)【発明者】
【氏名】増田 暁雄
【審査官】 河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−358536(JP,A)
【文献】 特開2015−126168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
B23K 1/00
B23K 1/002
H05B 6/02
H05B 6/10
H05B 6/36
H05K 7/20
B23K 101/40
B23K 103/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材層に対してその磁性材層よりも融点の低い非磁性材層が一体的に接合されたベース部材を加熱コイルの内側に配設し、前記加熱コイルに高周波電流を通流して誘導加熱することにより前記非磁性材層における前記磁性材層とは反対側の表面部を溶融させる表面部溶融過程と、予め整列させた複数の放熱フィンを前記非磁性材層の表面部に接触させる放熱フィン接触過程とを含み、前記放熱フィンと前記ベース部材とを溶融接合することを特徴とするヒートシンクの製造方法。
【請求項2】
前記表面部溶融過程が行われた後、前記ベース部材を前記加熱コイルの外側に移動させ、しかる後、表面部が溶融された前記ベース部材に対して前記放熱フィン接触過程を行うようにしたことを特徴とする請求項1記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項3】
予め整列させた複数の放熱フィンを前記ベース部材の前記非磁性材層の表面部上に配置することによって前記放熱フィン接触過程を行った後、該複数の放熱フィンが前記非磁性材層の表面部上に配置された前記ベース部材を前記加熱コイルの内側に配設し、前記表面部溶融過程を行うことを特徴とする請求項1記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項4】
前記加熱コイルとしてトンネル型加熱コイルを用い、前記トンネル型加熱コイルの横断面方向に対して、板状の前記放熱フィンの長手面方向が直交するように配置することを特徴とする請求項3記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項5】
前記放熱フィンの板厚が、前記放熱フィンに発生する誘導電流における電流浸透深さの2倍の厚さよりも薄いことを特徴とする請求項4記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項6】
前記非磁性材層または前記放熱フィンとして、純アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いることを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか1項に記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項7】
前記ベース部材における前記非磁性材層の表面に、予め整列させた複数の前記放熱フィンの下端部を個々に挿入するための凹所を、予め形成することを特徴とする請求項1から請求項6までの何れか1項に記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項8】
前記放熱フィンにおける、前記ベース部材に接触させる側の端部もしくは全面に、濡れ性を改善するめっき皮膜を形成したアルミニウム材を使用することを特徴とする請求項1から請求項7までの何れか1項に記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項9】
前記めっき皮膜が、前記ベース部材における前記非磁性材層の材料よりも融点が高い材料から成ることを特徴とする請求項8記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項10】
前記放熱フィンにおける、前記ベース部材に接触させる側の端部もしくは全面に、フラックスを塗布したアルミニウム材を使用することを特徴とする請求項1から請求項7までの何れか1項に記載のヒートシンクの製造方法。
【請求項11】
前記フラックスの活性化開始温度と、前記ベース部材の非磁性材層の材料の融点との温度差が100℃以下であることを特徴とする請求項10記載のヒートシンクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発熱量の大きい素子などの温度上昇抑制のために用いるヒートシンクの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品の放熱に用いられるヒートシンクは、一般的にベース板と放熱フィンにより構成され、電子部品とベース板とを密着させることで、電子部品で発生する熱を放熱フィンまで移動させ、放熱フィンと外部環境の対流熱伝達により外部環境に放熱することで、電子部品の温度上昇を抑制している。放熱部品に取り付けることが可能なスペース、及び、重量が限られているために、ヒートシンクには、必要な放熱性能を小型で軽量な寸法・重量で実現することが求められている。そのため、熱伝導率が高い材料の使用、放熱フィンの薄肉化、またはフィンピッチの縮小化等により、放熱面積を拡大することが要求されている。しかしながら、ヒートシンクの代表的な製造方法である、押出成形やダイキャスト成形では、その製法上、フィンの肉厚、及び、隣接するフィンの間隔を一定以上に確保する必要があり、放熱性能を向上させるためにはヒートシンクが大型化してしまうといった問題があった。
そこで、このような問題を解決したヒートシンクとして、放熱フィンとベース板を一体成形せずに、ダイキャストによりベース板を成形する際に、予め配列した複数の放熱フィンの端部を鋳ぐるむことで一体化して、薄肉で狭ピッチなフィン配列を実現したものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、ベース板に溝を形成した後に板状の放熱フィンを挿入し、フィンの両端のベース板表面を垂直方向から加圧することで、フィンをかしめ固定したものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−316378号公報(図1
【特許文献2】特開平06−198383号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒートシンクの材料としては、軽量、かつ、熱伝導率が高いアルミニウムが一般的に用いられ、中でも、展伸材として用いられる1000番系の純アルミニウムや5000番系のAl−Mg合金が高い熱伝導率を有することが知られている。しかし、特許文献1のようにベース板と放熱フィンとがダイキャストにより一体成形された従来のヒートシンクでは、ベース板を鋳造により成形する必要があるために、ベース板の材料として、成形時の流動性を向上させた鋳造用またはダイキャスト用のアルミニウム合金を使用する必要がある。鋳造材及びダイキャスト材は純アルミニウムと比較して熱伝導率が30%程度低く、純アルミニウムから成るヒートシンクに対して放熱性能が低下することは避けられない。また、ベース板と放熱フィンとをかしめることにより接合されたヒートシンクでは、その製法上、ベース板と放熱フィンとの間に空隙が必ず存在してしまうため、ベース板と放熱フィンとの間の熱抵抗が増大し、ヒートシンクの放熱性能が低下する。
【0005】
本発明は前記のような課題を解決するためになされたものであり、薄肉の放熱フィンを狭ピッチで配列しベース部材に溶接によって接合し得るヒートシンクの製造方法及びヒートシンクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るヒートシンクの製造方法は、磁性材層に対してその磁性材層よりも融点の低い非磁性材層が一体的に接合されたベース部材を加熱コイルの内側に配設し、前記加熱コイルに高周波電流を通流して誘導加熱することにより前記非磁性材層における前記磁性材層とは反対側の表面部を溶融させる表面部溶融過程と、予め整列させた複数の放熱フィンを前記非磁性材層の表面部に接触させる放熱フィン接触過程とを含み、前記放熱フィンと前記ベース部材とを溶融接合することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るヒートシンクの製造方法においては、表面部溶融過程において、ベース部材を構成する非磁性材層における磁性材層の設置側とは反対側の表面部のみを溶融させることが可能であり、予め整列させた放熱フィンと非磁性材層の表面部とを接触させる放熱フィン接触過程を、その表面部溶融過程の前または後で行うことで、放熱フィンと非磁性材層との溶融による接合が可能となることにより、熱抵抗が小さく、薄肉で狭ピッチのフィン配列とすることが可能で、放熱性能が良好なヒートシンクを容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1に係るヒートシンクの製造方法を概念的に説明する図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るヒートシンクの製造方法の他の例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態1に係るヒートシンクの熱抵抗特性を従来のものと比較したテスト試料の形状を説明する斜視図である。
図4】本発明の実施の形態2に係るヒートシンクの製造方法を概念的に説明する図である。
図5】本発明の実施の形態2の動作を説明するための図4のA−A線における断面を模式的に示す図である。
図6図5に示すヒートシンクの配置姿勢が異なる場合の動作を説明する図である。
図7】本発明の実施の形態2に係るヒートシンクの製造方法の他の例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態3に係るヒートシンクの製造方法の要部を示す図である。
図9図8の製造方法における動作を説明するための図8のB−B線における断面を示す図である。
図10】本発明の実施の形態3に係るヒートシンクの製造方法の他の例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態4に係るヒートシンクの製造方法の要部を示す図である。
図12図11に示す放熱フィンの濡れ性が悪い場合の例を概念的に示す参考図である。
図13図11に示す放熱フィンの濡れ性が良い場合の例を概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係るヒートシンクの製造方法を概念的に説明する図、図2は本発明の実施の形態1に係るヒートシンクの製造方法の他の例を示す図である。図1において、実施の形態1の製造方法により製造されるヒートシンクは、材料として磁性材層2aと非磁性材層2bの2層のクラッド材から成るベース部材2と、板状の所定数のフィンを予め整列させた放熱フィン5を用い、加工装置として誘導加熱コイルである加熱コイル1を用いて、ベース部材2における非磁性材層2bの表面部を溶融させ、予め整列させた放熱フィン5を非磁性材層2bの表面部に溶接により接合したものである。
【0010】
本実施の形態1では、トンネル型の加熱コイル1の内部空間内に耐熱板3上に保持したベース部材2を配設し、ベース部材2を誘導加熱により加熱して非磁性材層2bの表面部を溶融させる表面部溶融過程と、非磁性材層2bの表面部を溶融させたベース部材2を耐熱板3と共に加熱コイル1の外へ取り出した後、予め整列部材4によって整列させた放熱フィン5を、前述の非磁性材層2bの溶融した表面に挿入ないしは載置する如く接触させることでベース部材2と放熱フィン5とを接合する放熱フィン接触過程を含んで成るものである。本実施の形態1に係るヒートシンクの製造方法では、加熱コイル1に接続した高周波電源(図示せず)から加熱コイル1に高周波電流6(便宜上、流れる方向を矢印で表記するのみとした)を流すことで、ベース部材2に誘導電流(図示せず)が発生し、ジュール熱によって加熱される。
【0011】
ここで、一般的な誘導加熱方式の特性について説明する。誘導加熱方式では、被加熱部材への入熱量が被加熱部材の材質に大きく依存する。例えば、被加熱部材が鉄などの磁性を有する金属である場合は、加熱効率が高いために急速に加熱することが可能である。一方、被加熱部材が銅やアルミニウムなどの磁性を持たない金属である場合は、材料の透磁率が鉄などの磁性材料と比較して極めて小さいために、加熱コイルを流れる電流条件が同じであっても、磁性材料と比較して誘導電流の発生量が小さく、発熱量が小さい。また、被加熱部材が樹脂やセラミックなどの非金属材料の場合は、誘導電流が発生しないために加熱することができない。
【0012】
実施の形態1に係るヒートシンクの製造方法では、製造に用いるベース部材2が磁性材層2aと非磁性材層2bの2層のクラッド材で構成されること、また、非磁性材層2bが磁性材層2aの材料よりも低い融点を持つ材料で構成されること、また、非磁性材層2bの表面部を溶融させる表面部溶融過程を行った後、表面部が溶融された非磁性材層2bと放熱フィン5を接合する放熱フィン接触過程を行うことを特徴としている。
本実施の形態1に係るヒートシンクの製造方法では、ベース部材2が磁性材層2aを有するために、その磁性材層2aに磁束が集中し、ベース部材2の表面上に高密度の誘導電流が流れ、ベース部材2が表面側から急速に昇温する。このとき、ベース部材2において、非磁性材層2bの材料の融点が磁性材層2aの融点よりも低いために、非磁性材層2bの表面部が先に溶融する。
【0013】
非磁性材層2bが溶融した後に、搬送方向7に沿って、加熱コイル1の外にベース部材2を引き出すことで、非磁性材層2bの表面部のみが溶融したベース部材2が得られる。ここで、整列部材4を用いることで予め放熱フィン5を所定ピッチで互いに平行に整列させた放熱フィン群を、挿入方向8に沿って非磁性材層2bの溶融した表面部に挿入する如く接触させることで、ベース部材2と放熱フィン5の下端部とが溶接接合される。これにより、放熱フィン5の形状や配列の制約を受けることなく、種々の形状の放熱フィン5をベース部材2上に溶融接合することが可能となる。例えば、放熱フィン5として板状のものを使用する場合、フィンの高さ、肉厚、及び、隣接するフィンとの間隔等の制限を受けることなく、フィンを所望の配置パターンで溶接固定することが可能となり、放熱フィン5を配置できる領域、及び、放熱フィン5の許容重量が限られている場合であっても、最大の放熱面積を得ることが可能となる。
【0014】
整列部材4と放熱フィン5の形状、整列手法は特に限定されるものではないが、図1の例の場合、丸棒状の2本の整列部材4と、隣り合う放熱フィン5相互の間隔を規定する所定の厚みを有する平座金状の複数のスペーサ(図示省略)を用意すると共に、放熱フィン5としては、整列部材4を挿通させるための抜き穴付きのものを用意し、整列部材4を放熱フィン5の抜き穴に挿通させるときにスペーサと放熱フィン5を交互に挿通させることで一定間隔に整列されたフィン配列を実現できる。なお、整列部材4の挿通箇所の両端部は適宜の固定手段で放熱フィン5を整列部材4に固定すればよい。なお、誘導加熱によって、放熱フィン5を非磁性材層2bの表面部に溶接接合した後は、丸棒状の整列部材4を引き抜くことでスペーサも取り除くことができる。なお、整列部材4及びスペーサの材質は、特に限定されないが、後述する実施の形態2のように、加熱コイル1の中に配設する場合は、電気絶縁性を有する例えば耐熱樹脂またはセラミックス製のもの等が望ましい。
【0015】
なお、放熱フィン5の整列に棒状の整列部材4を用いる他の例として、フィンプレスの際に、前述の抜き穴に対応する位置に、突出寸法が所定のフィン間隔となるようにしたフィンカラーを成形した薄板状の放熱フィンを用いることができる。その場合、前述のスペーサを不要にすることができ、しかも放熱フィン5をベース部材2の非磁性材層2bに溶接接合した後、丸棒状の整列部材4を抜くだけで良いので、スペーサの装着作業や取外し作業も不要にできるので、製造工程を簡素にできる。なお、放熱フィン5にはフィンカラーが残るが、ヒートシンクとしての質量や性能への影響は無視できる。
【0016】
ベース部材2を構成する磁性材層2aとして好ましく用いられる材料としては、誘導加熱による発熱量が大きいほど好適である。つまり、透磁率が高く、電気抵抗が高い金属が好適である。このような材料の具体例として、一般的に知られている、鉄、ニッケルなどの純金属に加えて、炭素鋼やフェライト系ステンレスなどの合金を用いることができる。ベース部材2の磁性材層2aの材料として前記のような材料を用いることで、本発明に係るヒートシンクの製造方法を効果的に実施することができる。
【0017】
また、ベース部材2を構成する非磁性材層2bとして好的に用いられる材料としては、熱伝導率が高いほど、また、比重が小さいほど良く、更に、融点が低い材料ほど好適である。このような材料の具体例として、アルミニウムが代表的であるが、中でも1000番系の純アルミニウムや5000番系のAl−Mg合金などの展伸材は熱伝導率が優れており、このようなアルミニウム系素材の展伸材を用いる場合に最も好適に本発明に係るヒートシンクの製造方法を用いることができる。
【0018】
ここで、磁性材層2aに好適な材料は、非磁性材層2bに好適な材料と比較して、熱伝導率が低く、比重が大きい。つまり、磁性材層2aをそのままヒートシンクのベース部材2として使用する場合、ベース部材2における磁性材層2aの占める割合が大きいほど、ヒートシンク全体としての熱抵抗が増大し、また、ヒートシンクが重量化する。そのため、ベース部材2における磁性材層2aの割合が小さいほど好適である。磁性材層2aの占める割合が小さいほど、同一条件の高周波電流を加熱コイル1に流した場合におけるベース部材2の発熱量が低下するが、磁性材層2aの占める割合が小さい場合には、加熱コイル1に流れる高周波電流6を増大させることで、発熱量を増大させることが可能である。
【0019】
なお、磁性材層2aによる熱抵抗の上昇と重量化の影響を避けたい場合には、放熱フィン5とベース部材2を接合した後に、磁性材層2aを切削により除去することで、非磁性材層2bと放熱フィン5のみで構成されたヒートシンクを得ることができる。なお、磁性材層2aの除去に関わらず非磁性材層2bと放熱フィン5との間には溶融痕が残るので、磁性材層2aが除去されたものであっても、放熱フィン5が非磁性材層2bのみからなるベース部材2に対して溶融接合されているものであることは明確に判別できる。なお、溶融痕は放熱フィン5の根元部に長手方向に沿って連続した一様な濡れ上がり形状となり、押出成形品やかしめ固定の場合のフィン設置形状と異なることはもとより、抵抗溶接など他の溶接手段による溶接痕とは明確に異なる。
【0020】
なお、放熱フィン5として薄板状の材料を用いた場合について説明したが、放熱フィン5の形状や配列形態は特に限定されるものではなく、例えば図2に示すような、複数の棒状の放熱フィン5Aの一端部を、板状の整列部材4Aに整列保持させ、他端部を非磁性材層2bの溶融された表面部に接合する場合においても同様の効果を得ることができる。また、複数の放熱フィン5の整列に、棒状の整列部材4または板状の整列部材4Aを用いたが、整列部材や整列手法は特に限定されるものではない。
【0021】
実施例.
次に、前述の本発明の実施の形態1によるヒートシンクの製造方法及びヒートシンクの効果を確認するために行った実施例について図3及び下記の表1を参照して具体的に説明する。なお、図3は本発明の実施の形態1に係るヒートシンクの熱抵抗特性を従来のものと比較したテスト試料の形状を説明する斜視図である。図3において、(a)は図1に示す前述の実施の形態1の製造方法と同様に製造されたヒートシンクであって、製造時の磁性材層2aを残したもの(実施例Aとする)、(b)は図3(a)の磁性材層2aを切削によって除去したもの(実施例Bとする)、(c)は従来の押出成形によって、実施例Aと同等寸法でフィンの肉厚については極力薄くなるように製造した、ベース部材2が非磁性材層のみからなるもの(比較例とする)を示す。
【0022】
また、図3(c)に示すように、Wは図示の姿勢における幅方向の寸法、Lは奥行方向の寸法、Hは高さ方向の寸法をそれぞれ示しており、それらは表1の寸法欄のW、L、及びHに対応している。表1における(a)、(b)、(c)は図3の(a)、(b)、(c)に対応している。
表1の材料欄におけるA1050、A6030はJIS規格におけるアルミニウム系材料の番号を、SPCCは一般的な冷間圧延鋼板を示している。材料欄と寸法欄における、2aは磁性材層2aを、2bは非磁性材層2bを、2はベース部材2を、それぞれ省略して示している。また、溝幅は隣り合う放熱フィン5相互の間隙の寸法を示す。
【0023】
前記のように製作された(a)〜(c)の3種類のヒートシンクについて、下記の実験条件によって導出されたヒートシンクの熱抵抗値(℃/W)を、その質量(g)と共に下記の表1の実験結果の欄に示す。
実験条件:
・自然対流環境、周囲温度30℃。
・ベース部材2の底面に、寸法が60mm×60mm×10mmのヒータを、熱伝導シートを介して固定。発熱量13Wを与えたときの、ヒータ上昇温度からヒートシンクの熱抵抗を導出。
・ヒータの周囲は断熱材で被覆することにより、ヒータからヒートシンク以外への熱移動はゼロと仮定。
【0024】
【表1】
【0025】
表1において、本発明の製造方法にて製作した(a)、(b)に示す実施例A、Bのヒートシンクは、0.5mmまでの放熱フィン5の薄肉化を実現しているのに対して、放熱フィンの薄肉化が困難な従来技術による押出成形品の比較例では、(c)に示すように肉厚が1.5mmのものである。そして、熱抵抗は、(c)に示す比較例が5.62℃/Wであるのに対して、実施例Aは磁性材層2aを残しているにも拘らず5.54℃/Wと、比較例よりも良好な特性を実現している。また、磁性材層2aを切削によって除去した実施例Bの熱抵抗は、5.46℃/Wと、更に良好な特性を実現したものであることが確認された。このように、実施例によれば、放熱フィン5の薄肉化、狭ピッチ化を図ることが容易に実現でき、磁性材層2aを残した場合でも熱抵抗、質量共に、比較例に示す従来技術による押出成形品よりも改善できる。
【0026】
上記のように実施の形態1のヒートシンクの製造方法は、磁性材層2aと、この磁性材層2aよりも融点が低い非磁性材層2bとが接合され一体化されたベース部材2をトンネル型の加熱コイル1の内側に配設し誘導加熱することにより非磁性材層2bの表面部を溶融させる表面部溶融過程と、予め整列させた複数の放熱フィン5と非磁性材層2bの表面部とを接触させる放熱フィン接触過程を含み、放熱フィン5とベース部材2とを溶融接合するヒートシンクの製造方法であって、ここでは先ず前記表面部溶融過程を行った後、ベース部材2を加熱コイル1の外側に移動させ、しかる後、放熱フィン接触過程を行うようにしたものである。
【0027】
実施の形態1のヒートシンクの製造方法によれば、表面部溶融過程において、ベース部材2を構成する非磁性材層2bの表面部(上面部)を選択的に溶融させることが可能となり、放熱フィン接触過程において、溶融した非磁性材層2bの表面部と、整列部材4を用いて予め整列させた複数の放熱フィン5の下端部側である根元部とが確実に溶融接合されることにより、熱抵抗が小さく、薄肉でピッチの狭いフィン配列を実現することが可能となり、放熱性能が高いヒートシンクを容易に製造することができる。また、ヒートシンクの小型化、軽量化も可能となる。
【0028】
また、実施の形態1のヒートシンクは、磁性材層2aに対してその磁性材層よりも融点の低い非磁性材層2bが一体的に接合されたベース部材2と、前記非磁性材層における前記磁性材層とは反対側の表面部に対して溶融接合された複数の放熱フィン5とを備え、前記放熱フィンと前記非磁性材層との間に溶融痕があることを特徴とするものであり、ベース部材を構成する非磁性材層の表面部に対して、放熱フィンが、誘導加熱を利用して溶融接合されたものであることにより、薄肉で狭ピッチのフィン配列で、熱抵抗が小さく、放熱性能が高いヒートシンクを提供することができる。
【0029】
また、実施の形態1の他のヒートシンクは、非磁性材層2bからなるベース部材2と、前記非磁性材層の表面部に対して溶融接合された複数の放熱フィン5とを備え、前記放熱フィンと前記ベース部材との間に溶融痕があることを特徴とするものであり、ベース部材を構成する非磁性材層の表面部に対して、放熱フィンが、誘導加熱を利用して溶融接合されたものであることにより、薄肉で狭ピッチのフィン配列で、熱抵抗が小さく、放熱性能が高いヒートシンクを提供することができる。また、製造時の磁性材層2aが切削等により削除されたものであることにより、熱抵抗が一層小さく放熱性能が高いという特長がある。なお、このヒートシンクは、実施例Bとして示されたものであるが、本発明の特徴部分である製造時の磁性材層2aを除去してしまっているので、従来のヒートシンクに対する構成上の最大の相違部分は、外観上、放熱フィン5とベース部材2との間に溶融痕があること、である。典型的な溶融痕は前述の通り放熱フィン5の根元部に長手方向に沿って連続した一様な濡れ上がり形状である。また、溶融接合した放熱フィン5の肉厚が例えば0.5mmというように極めて薄くできることも付随的な特徴部分として挙げることができる。
【0030】
実施の形態2.
図4は本発明の実施の形態2に係るヒートシンクの製造方法を概念的に説明する図、図5は実施の形態2の動作を説明するための図4のA−A線における断面を模式的に示す図、図6図5に示すヒートシンクの配置姿勢が異なる場合の動作を説明する図、図7は本発明の実施の形態2に係るヒートシンクの製造方法の他の例を示す図である。なお、同一または相当部分については同一の符号を付し、説明を省略する。
実施の形態2は、予め整列させた複数の放熱フィン5をベース部材2の表面部に設置した後、加熱コイル1によって囲まれる空間内で誘導加熱を行う。即ち、実施の形態2は、前述の放熱フィン接触過程を先に行い、その後、前述の表面部溶融過程を行うようにしたものである。
【0031】
この実施の形態2では、磁性材層2aと非磁性材層2bの2層のクラッド材から成るベース部材2の非磁性材層2b側を上方に向け、その非磁性材層2bの表面部に、整列部材4によって実施の形態1と同様に整列させた放熱フィン5を設置したものを耐熱板3上に載置し、耐熱板3と共に、図4に示すように加熱コイル1の内側に挿入した後、加熱コイル1によってベース部材2と放熱フィン5を同時に誘導加熱することを特徴とする。そして、実施の形態1と同様に、非磁性材層2bが磁性材層2aの材料よりも低い融点を持つ材料で構成され、放熱フィン5が非磁性材料から成ることを特徴としている。
【0032】
実施の形態2の製造方法において、実施の形態1で示した誘導加熱の特性により、ベース部材2が磁性材層2aを有するために磁束が磁性材層2aに集中し、ベース部材2としては上側の非磁性材層2bの表面が急速に昇温する。一方、放熱フィン5は、非磁性材料から成るために、ベース部材2と比較して発熱量が小さい。従って、加熱コイル1に囲まれた空間内に放熱フィン5が配置されている場合であっても、放熱フィン5及び磁性材層2aよりも先にベース部材2の非磁性材層2b側の表面を溶融させることが可能となる。
このとき、ベース部材2の非磁性材層2b側の表面部に、放熱フィン5を最初から配置しておくことで、誘導加熱により溶融したベース部材2の非磁性材層2bの表面と、放熱フィン5の下端部である根元部とが接触しているために、両者を溶接接合することが可能となる。更に、整列部材4を用いて、予め放熱フィン5を整列して配置していることで、実施の形態1と同様の効果をより簡単な構成で得ることが可能となる。
【0033】
ここで、薄板状の複数の放熱フィン5の整列体と厚板状のベース部材2とを、トンネル型の加熱コイル1を用いて加熱する場合を例に、実施の形態2に係るヒートシンクの製造方法について図5を参照して説明する。誘導電流は、その特性上、加熱コイル内の磁場の変化を妨げる向きに発生する。つまり、放熱フィン5の小口面5aを図5に示すように、加熱コイル1の横断面方向(図4のA−A線における断面方向)に等しい向きに配置する場合には、放熱フィン5の小口面5aの表面に、高周波電流6と逆方向のフィン部誘導電流9bが発生しようとする。また、ベース部材2の表面にも同様に、ベース部材誘導電流9aがそれぞれ発生しようする。
【0034】
一方、図6は、放熱フィン5の長手面5bを加熱コイル1の横断面方向に等しい向きとなるように配置姿勢を変更した場合である。この場合、放熱フィン5の長手面5bの表面に、高周波電流6と逆方向のフィン部誘導電流9bが発生しようする。また、ベース部材2の表面にも同様に、ベース部材誘導電流9aがそれぞれ発生しようとする。
ここで、誘導電流は、表面を集中して流れてループを形成することが知られており、誘導電流が集中して流れる深さは電流浸透深さδとして表される(式(1)参照)。
δ[mm]=5.03×10(ρ/μf)0.5 ・・・・式(1)
ここで、ρ:被加熱部材の電気抵抗率[Ωm]、μ:被加熱部材の比透磁率[‐]、f:発振周波数[Hz]である。
【0035】
フィン部誘導電流9bが小口面5aに流れようとする場合、放熱フィン5の板厚が前記誘導電流深さの2倍よりも厚い場合には、放熱フィン5の小口面5aの周囲に誘導電流のループが形成され、放熱フィン5が加熱される。しかし、放熱フィン5の板厚が、前記電流浸透深さの2倍よりも薄い場合においては、放熱フィン5の表裏面の逆向きの誘導電流が重なるために、結果的にフィン部誘導電流9bは微小となり、放熱フィン5に誘導電流による発熱量はほとんど発生しない。
【0036】
一方、フィン部誘導電流9bが長手面5bに流れようとする場合、板厚に関わらず長手面5bの周囲にループを形成し、放熱フィン5が加熱される。このとき、放熱フィン5の板厚が薄い場合には、フィン部誘導電流9bがベース部材誘導電流9aに対して微小であっても、放熱フィン5の熱容量が小さいために急速に昇温し、ベース部材2の非磁性材層2bよりも先に溶融する可能性がある。つまり、放熱フィン5とベース部材2が接合できない可能性がある。
【0037】
従って、板厚が前記電流浸透深さの2倍よりも薄い放熱フィン5を、小口面5aが加熱コイル1の面方向と等しい向き、即ち、加熱コイル1の横断面方向に対して、板状の放熱フィン5の長手面方向が直交するように配置することで、ベース部材2上に予め放熱フィン5を配置した場合であっても、ベース部材2のみを急速昇温させることが可能となり、放熱フィン5の根元部とベース部材2とを溶融接合できるため、好適に本発明に係るヒートシンクの製造方法を実施することができる。
なお、放熱フィン5は板状のものに限定されるものではなく、図7に示すような、棒状の放熱フィン5Aを板状の整列部材4Aを用いて整列させたものであっても、板状の放熱フィン5で示したような、薄肉部に誘導電流が流れることにより、放熱フィン5が急速加熱されることが無いため、棒状の放熱フィン5Aであっても差し支えない。また、実施の形態1と同様に、放熱フィン5の整列手法についても特に限定されない。
【0038】
上記のように実施の形態2は、予め実施の形態1と同様に整列させた複数の放熱フィン5をベース部材2の非磁性材層2bの表面部上に配置することによって放熱フィン接触過程を行い、その後、該複数の放熱フィン5が非磁性材層2bの表面部上に配置されたベース部材2を加熱コイル1の内側に配設し、表面部溶融過程を行うように構成したものである。本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の作用効果が得られる他、加熱コイル1の内部でベース部材2の非磁性材層2bと放熱フィン5との溶接による接続を行うようにしたので、実施の形態1のように非磁性材層2bの表面部が融解された状態のものを移動させる必要がなく、ベース部材2の非磁性材層2bと放熱フィン5との溶接を容易に行うことができる。
【0039】
実施の形態3.
図8は本発明の実施の形態3に係るヒートシンクの製造方法の要部を示す図、図9図8の製造方法における動作を説明するための図8のB−B線における断面を示す図、図10は本発明の実施の形態3に係るヒートシンクの製造方法の他の例を示す図である。なお、本実施の形態3は、ベース部材2を構成する非磁性材層2bの表面部に、図8の例は放熱フィン5の形状に合わせた複数の互いに平行な溝部10を設け、または、図10の例は複数の穴部11をマトリックス状に設けるようにしたものである。製造過程で用いる加熱コイルなど、その他の構成は、実施の形態1、または2と同様であるので図示及び説明を省略する。
【0040】
本実施の形態3に係るヒートシンクの製造方法は、磁性材層2aと非磁性材層2bの2層のクラッド材から成るベース部材2として、非磁性材層2b側の表面部に、放熱フィン5の形状に合わせた溝部10、または穴部11などの凹所が形成されたものを用いることを特徴としている。また、実施の形態1と同様に、非磁性材層2bが磁性材層2aの材料の融点よりも低い融点を持つ材料で構成されることを特徴とする。
【0041】
本実施の形態3に係るヒートシンクの製造方法では、実施の形態1及び2で述べた誘導電流が表面に集中して流れる特性により、図9に示すように、ベース部材2の表面にベース部材誘導電流9aが発生する。このとき、ベース部材2の非磁性材層2bに溝部10を有するため、ベース部材誘導電流9aが溝部10の形状に沿って流れることにより、溝部10の周囲ではベース部材誘導電流9aが集中し、平滑面の場合と比較して発熱量が増大する。そのため、溝部10が他の領域よりも急速に昇温し、溝部10のみが選択的に溶融し、放熱フィン5を接合することが容易となる。
【0042】
実施の形態1にて、ベース部材2の磁性材層2aの割合が小さいほど好適であることを述べた。本実施の形態3では、実施の形態1のような表面が平滑なベース部材2を用いる場合と比較して、非磁性材層2b表面の発熱量が前述のとおりに増大する。従って、同一の電源出力を用いる場合には、実施の形態1と比較して磁性材層2aの板厚を薄くすることが可能となり、好適に本発明に係るヒートシンクの製造方法を実施することが可能となる。
また、板状の放熱フィン5に代えて棒状の放熱フィン5Aを用いる場合には、図10に示すように、非磁性材層2bの表面に、棒状の放熱フィン5Aの配列と同じ配列の複数の穴部11を有するベース部材2を用いることで、同様に実施でき、放熱フィン5の形状や配列は特に限定されるものではない。
【0043】
上記のように実施の形態3によれば、ベース部材2における非磁性材層2bの表面部に複数の放熱フィン5の形状に合わせた溝部10、または穴部11が予め形成されたものを用いるようにしたので、平滑面の場合と比較して発熱量が増大するため、溝部10が他の領域よりも急速に昇温し、溝部10のみが選択的に溶融されて放熱フィン5を接合することが容易となる。また、実施の形態1と比較して磁性材層2aの板厚を薄くすることが可能となるので、得られるヒートシンクに磁性材層2aを残した場合でも伝熱特性を向上させることができる。
【0044】
実施の形態4.
図11は本発明の実施の形態4に係るヒートシンクの製造方法の要部を示す図、図12図11に示す放熱フィンの濡れ性が悪い場合の例を概念的に示す参考図、図13図11に示す放熱フィンの濡れ性が良い場合の例を概念的に示す図である。
なお、実施の形態4に係るヒートシンクの製造方法の主な構成は、実施の形態1または2と同様であるため、実施の形態2の図4も参照して説明する。本実施の形態4に係るヒートシンクの製造方法はめっき処理を施した放熱フィン、または、フラックスを塗布した放熱フィンを用いる点にある。その他の構成については実施の形態2と同様であるので、同一の作用をする部分については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0045】
なお、図11から図13は何れも図4のA−A線における断面位置に相当する拡大断面図である。ここでは、放熱フィン5の材料として、純アルミニウムまたはアルミニウム合金(以下、便宜上、両者を併せてアルミニウムと称する)を用いる。
放熱フィン5がアルミニウムから成る場合、通常、アルミニウムの表面には大気中の酸素により、緻密で強固な酸化皮膜が形成されている。この酸化皮膜は表面エネルギーが小さく安定であるため、アルミニウムは接触する液体に対して濡れが悪いことが知られている。そのため、アルミニウムから成る放熱フィン5を、ベース部材2の溶融した非磁性材層2bに接触させた場合に、放熱フィン5が濡れないために、図12に示すように溶融した非磁性材層2bの表面部が押しこまれ、隣り合う放熱フィン5の間に盛り上がり部12が発生し、放熱フィン5と非磁性材層2bが接合され難い。
【0046】
しかし、放熱フィン5に後述するめっき処理が施されている場合、めっき処理の過程の中で、アルミニウムの酸化皮膜は除去され、濡れ性の良いめっき皮膜13が形成されるために、ベース部材2の非磁性材層2bが誘導加熱によって溶融した場合、図13に示すように、溶融金属が放熱フィン5の表面に沿って濡れ上がり、濡れ上がり部14を形成することによって、ベース部材2の非磁性材層2bと確実に接合することが可能となる。
また、後述するフラックスが塗布されている場合においては、誘導加熱による非磁性材層2bの表面部溶融過程において、ベース部材2の非磁性材層2bからの伝熱によって放熱フィン5のフラックスが昇温し、昇温したフラックスにより放熱フィン5上の酸化皮膜が破壊、除去されることで放熱フィン5の濡れ性が改善され、溶融したベース部材2の非磁性材層2bと良く濡れることで接合することが可能となる。
【0047】
次に、アルミニウムのめっき皮膜として好適に用いられる材料について説明する。本発明に係るヒートシンクの製造方法では、前述のとおり、ベース部材2の非磁性材層2bの表面部をその材料固有の融点まで加熱して溶融する。めっき皮膜の材料が非磁性材層2bの材料の融点より低い場合、非磁性材層2bよりも先にめっき皮膜が溶融し、めっきの効果が得られない。そのため、めっき皮膜の材料は非磁性材層2bに用いる材料よりも融点が高い材料とすることが好適である。非磁性材層2bがアルミニウムから成る場合、めっき皮膜の材料としては、例えば、クロム、ニッケル、金などを用いることで好適に本発明の効果を得ることができる。
【0048】
次に、放熱フィン5に塗布するフラックスとして好適に用いることができる材料について説明する。アルミニウムの酸化被膜を除去するためのフラックスとしては、例えば、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムなどを適当な割合で混合させたものが一般的である。その成分によってフラックスが活性化する温度が異なり、活性化開始後は徐々に活性を失って濡れ性が低下する。そのため、活性化開始温度と、ベース部材2の非磁性材層2bの融点との温度差が100℃以下であるフラックスを使用する場合に、良好な接合部が得られ、好適に本発明の効果を得ることができる。
【0049】
上記のように実施の形態4によれば、放熱フィン5における、ベース部材の非磁性材層2bに接触させる側の端部もしくは全面に、めっき皮膜、特に非磁性材層2bの材料よりも融点が高い材料からなるめっき皮膜を形成したアルミニウム材を使用するようにしたので、非磁性材層2bの表面が誘導加熱によって溶融されたときに、溶融金属が放熱フィン5のめっき皮膜の表面に沿って濡れ上がり、濡れ上がり部14を形成することによって、放熱フィン5と非磁性材層2bとが確実に接合された伝熱特性の優れたヒートシンクを製造することができる。
【0050】
また、放熱フィン5における、ベース部材の非磁性材層2bに接触させる側の端部もしくは全面に、フラックス、特にその活性化開始温度と、ベース部材の非磁性材層2bの材料の融点との温度差が100℃以下であるフラックスを塗布したアルミニウム材を使用するようにしたので、誘導加熱過程における非磁性材層2bからの伝熱によって昇温したフラックスにより放熱フィン5上の酸化皮膜が破壊、除去されることで放熱フィン5の濡れ性が改善され、非磁性材層2b表面の溶融金属と良く濡れることで放熱フィン5と非磁性材層2bとが確実に接合された伝熱特性の優れたヒートシンクを製造することができる。
【0051】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を自由に組合せたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 加熱コイル、2 ベース部材、2a 磁性材層、2b 非磁性材層、3 耐熱板、
4 整列部材、5 放熱フィン、5a 小口面、5b 長手面、6 高周波電流、
7 搬送方向、8 挿入方向、9a ベース部材誘導電流、9b フィン部誘導電流、
10 溝部、11 穴部、12 盛り上がり部、13 めっき皮膜、
14 濡れ上がり部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13