(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されている電子制御装置では、ユーザーによるリアゲートの開放操作又は閉鎖操作を受け付け可能に、第1操作スイッチ及び第2操作スイッチに対して車両バッテリから供給される電源電圧を供給していることを本発明者らは認識した。そのため、何かしらの対策も取らないとすると、車両バッテリから供給される電源電圧が第1操作スイッチ及び第2操作スイッチに対して常に供給されることによって、車両バッテリの電源電圧が消費され続けることを本発明者らは認識した。このように、特許文献1に開示されている電子制御装置には、車両バッテリの電源電圧の消費を軽減させるための改善の余地があることを本発明者らは認識した。
【0006】
本発明の1つの目的は、車両バッテリの電源電圧の消費を軽減可能な、車両用扉の開閉動作を制御する電子制御装置を提供することである。本発明の他の目的は、以下に例示する態様及び最良の実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、本発明の概要を容易に理解するために、本発明に従う態様を例示する。
【0008】
本発明に従う第1の態様は、車両用電動扉システムにおける車両用扉の開閉動作を制御する電子制御装置であって、
前記車両用扉に設けられる少なくとも1つの操作スイッチに対する電源電圧の供給を制御する制御部を備え、
前記制御部は、車両が停止状態であるときに、前記車両用扉の開放角度に基づき、前記少なくとも1つの操作スイッチに対する前記電源電圧の供給を停止する電子制御装置に関する。
【0009】
第1の態様によると、車両用扉の開放角度に基づいて、ユーザーが操作することが困難又は不可能になる少なくとも1つの操作スイッチに対する、車載バッテリの電源電圧の無駄な供給を停止することによって、バッテリの電源電圧の消費を低減させることができる。
【0010】
本発明に従う第2の態様は、第1の態様において、前記車両用扉として、前記車両の後部に取り付けられるリアゲートの前記開閉動作を制御し、
前記制御部は、前記リアゲートの表面の外面部に設けられる第1操作スイッチと前記リアゲートの前記表面の下端部又は内面部に設けられる第2操作スイッチとを含む複数の前記操作スイッチに対する前記電源電圧の供給を制御し、
前記制御部は、前記車両が前記停止状態であるときに、前記複数の前記操作スイッチのうち、前記リアゲートの開放角度に対応する前記第1操作スイッチ及び/又は前記第2操作スイッチに対する前記電源電圧の供給を停止してもよい。
【0011】
第1操作スイッチはリアゲートの表面の外面部に設けられるため、例えばリアゲートが全開状態及び全開状態に近いときには、第1操作スイッチの位置が高くなることによって、ユーザーが第1操作スイッチを操作することが困難又は不可能になり得る。また、第2操作スイッチはリアゲートの表面の下端部又は内面部に設けられるため、例えばリアゲートが閉鎖状態及び閉鎖状態に近いときには、第2操作スイッチの位置が車体後部と面することによって、ユーザーが第2操作スイッチを操作することが困難又は不可能になり得る。そのため、リアゲートの開放角度に対応する第1操作スイッチ及び/又は第2操作スイッチに対する車載バッテリの電源電圧の無駄な供給を停止することによって、バッテリの電源電圧の消費を低減させることができる。
【0012】
本発明に従う第3の態様は、第2の態様において、前記制御部は、
前記リアゲートの前記開放角度が、前記リアゲートが全開状態であるときの開放角度と、前記リアゲートが前記全開状態から所定の角度だけ閉鎖された状態であるときの開放角度と、の間の角度領域である、第1角度領域に含まれるときには、前記第1操作スイッチに対する前記電源電圧の供給を停止する一方で、
前記リアゲートの前記開放角度が、前記リアゲートが閉鎖状態であるときの開放角度と、前記リアゲートが前記閉鎖状態から所定の角度だけ開放された状態であるときの開放角度と、の間の角度領域である、第2角度領域に含まれるときには、前記第2操作スイッチに対する前記電源電圧の供給を停止してもよい。
【0013】
リアゲートの開放角度が、ユーザーが第1操作スイッチを操作することが困難又は不可能になり得る第1角度領域に含まれるときは、第1操作スイッチに対する車載バッテリの電源電圧の無駄な供給を停止させることができる。また、リアゲートの開放角度が、ユーザーが第2操作スイッチを操作することが困難又は不可能になり得る第2角度領域に含まれるときは、第2操作スイッチに対する車載バッテリの電源電圧の無駄な供給を停止させることができる。
【0014】
当業者は、例示した本発明に従う態様が、本発明の精神を逸脱することなく、さらに変更され得ることを容易に理解できるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に説明する最良の実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
【0017】
図1を参照して、車両用電動扉システム10の構成の例を説明する。
図1には、車両用電動扉システム10の一例としてパワーリアゲートシステム10を搭載する車両1の後部が示されている。
図1に示されるパワーリアゲートシステム10では、本発明に係る電子制御装置(ECU;Electronic Control Unit)20が、車両用扉4の一例であるリアゲート4の電動開閉動作を制御する。なお、
図1に記載されているXYZ直交座標系のX軸は車両1の運転者から見て車両1の前後方向を、Y軸は車両1の運転者から見て車両1の左右方向を、Z軸は車両1の高さ方向を示している。
【0018】
図1に示されるパワーリアゲートシステム10は、ECU20と、リアゲート4と、リアゲート駆動装置40とを含む。ECU20は、車両1の例えば車体後部に設けられる。ECU20の構成例は後述する。なお、
図1において、実線で示されているリアゲート4は全開状態又は全開状態に近い状態のリアゲート4を表し、2点鎖線による想像線で示されているリアゲート4は、閉鎖状態又は閉鎖状態に近い状態のリアゲート4を表す。
【0019】
リアゲート4は、車両1のルーフ2の後端部に取り付けられたヒンジ機構3を介して車両1に連結されている。リアゲート4は、ヒンジ機構3を回転軸として回動(すなわちY軸周りに回動)することによって車両1の後部に設けられた後部開口を開閉するように開閉動作する。
【0020】
リアゲート4は、外面部81と下端部82と内面部83とからなる表面80を有する。外面部81はリアゲート4が閉鎖状態において車外に面する表面80の部分である。下端部82はリアゲート4が閉鎖状態において車体後部に面する表面80の部分である。内面部83はリアゲート4が閉鎖状態において車内に面する表面80の部分である。
【0021】
リアゲート4の表面80の下端部82の例えば略中央には、リアゲート4を係止するためのラッチ装置30が取り付けられている。ラッチ装置30は、ラッチモータ31とラッチ機構32とラッチ状態検出スイッチ33とを備える。ラッチ装置30は、ECU20の制御によってラッチモータ31が駆動されることによって、ラッチ機構32が車体の図示されていないストライカに係合するラッチ状態と、ラッチ機構32がこのストライカに係合しないアンラッチ状態との2つの状態を切り替え可能である。ラッチ状態検出スイッチ33は、ラッチ機構32がラッチ状態であるかアンラッチ状態であるかを検出する。
【0022】
リアゲート4には、ユーザーの操作を受け付け可能な少なくとも1つの操作スイッチが設けられる。すなわち、リアゲート4の表面80の外面部81には、ユーザーの操作を受け付け可能な第1操作スイッチ51が配置されている。例えば
図1に示されるように、第1操作スイッチ51は、リアゲート4が閉鎖状態において外面部81のZ軸方向略中央に取り付けられるリアゲートハンドル7に配置されている。また、リアゲート4の表面80の下端部82又は内面部83には、ユーザーの操作を受け付け可能な第2操作スイッチ52が配置されている。例えば
図1に示されるように、第2操作スイッチ52は、下端部82においてラッチ装置30の近傍に配置されている。
【0023】
第1操作スイッチ51はユーザーがリアゲート4を例えば開放させるときに操作する操作スイッチであり、第2操作スイッチ52はユーザーがリアゲート4を例えば閉鎖させるときに操作する操作スイッチである。
図1に示されているように、第2操作スイッチ52がリアゲート4の表面80の下端部82に配置されているときには、リアゲート4が閉鎖状態又は閉鎖状態に近い状態において、第2操作スイッチ52の位置は車体後部と面する。
【0024】
第1操作スイッチ51と第2操作スイッチ52とには、例えば押下されることによって、接触していた接点が離れる常閉接点(Normally-Close contact)によって構成されるスイッチが採用される。第1操作スイッチ51と第2操作スイッチ52とに対する押下等の操作がなされたことを判定するために、第1操作スイッチ51と第2操作スイッチ52とには、後述するECU20の制御部21を介して車載バッテリ8から電源電圧が供給されている。
【0025】
リアゲート駆動装置40は、車両1のリアピラー5の内側に設けられる。リアゲート駆動装置40は、ECU20の制御によって回転動作するリアゲートモータ41と、リアゲートモータ41の回転動作をリアゲート4の開閉動作に変換する機械要素42と、を含む。具体的に、機械要素42は、一端がリアゲート4に連結されるアーム部43と、リアゲートモータ41が回転する力をアーム部43が押し上げられる力又は引き下げられる力に変換する動力変換部44と、を含む。
【0026】
リアゲート駆動装置40は、ECU20の制御によってリアゲートモータ41が一方向に回転するときに、アーム部43が例えば押し上げられる力をリアゲート4に付加することによってリアゲート4を開放する。また、リアゲート駆動装置40は、ECU20の制御によってリアゲートモータ41が他方向に回転するときに、アーム部43が例えば押し下げられる力をリアゲート4に付加することによってリアゲート4を閉鎖する。
【0027】
このように、パワーリアゲートシステム10は、自動的にリアゲート4を開閉させるものであるが、ユーザーは当然に手動でリアゲート4を開閉させることができる。なお、手動又は自動によるリアゲート4の開放動作を補助するために、車両1のリアピラー5とリアゲート4との間にはダンパー6が設けられている。このダンパー6は、リアゲート4に対して開放方向の力を付勢する。このダンパー6は、左右のリアピラー5に1本ずつ設けられている。
【0028】
図2を参照して、ECU20の構成の例を説明する。ECU20は、マイクロコンピュータ(マイコン)等で構成される制御部21を備える。また、ECU20は、例えば、電源回路23と、車両通信レシーバ24と、リアゲートモータ駆動回路25と、ラッチモータ駆動回路26と、をさらに備えてもよい。
【0029】
制御部21は、いずれも図示されていない、CPU(Central Processing Unit)等で構成される処理部、ROM、RAM等のメモリで構成される記憶部、及び入出力インターフェース部等を備える。制御部21は、記憶部に記憶されるプログラムを処理部が実行することによってパワーリアゲートシステム10全体を制御する。
【0030】
電源回路23は、車載バッテリ8と制御部21との間に設けられる例えばDC(Direct Current)/DCコンバータである。電源回路23は、車載バッテリ8から供給される比較的高圧(例えば12V)のバッテリ電源電圧を比較的低圧(例えば3.3から5.0V)の内部電源電圧に変換して、制御部21に供給する。電源回路23は、内部電源電圧を図示されていない内部電源電圧ラインを介して他の回路に供給してもよい。
【0031】
車両通信レシーバ24は、LIN(Local Interconnect Network)、CAN(Controller Area Network)等の車両通信ネットワークに係る通信線71と制御部21との間に設けられる通信インターフェースである。車両通信レシーバ24は、LINプロトコル、CANプロトコル等に準拠した通信を、制御部21と通信線71に接続される図示されていない他の車載装置との間で実現させる。
【0032】
リアゲートモータ駆動回路25は、リアゲート駆動装置40のリアゲートモータ41と制御部21との間に設けられる、リアゲートモータ41を駆動させる駆動電流を生成する回路である。リアゲートモータ駆動回路25は、制御部21から受け取るPWM(Pulse Width Modulation)信号に応じた駆動電流をリアゲートモータ41に供給する。
【0033】
ラッチモータ駆動回路26は、ラッチ装置30のラッチモータ31と制御部21との間に設けられる、ラッチモータ31を駆動させる駆動電流を生成する回路である。ラッチモータ駆動回路26は、制御部21から受け取るPWM信号に応じた駆動電流をラッチモータ31に供給する。
【0034】
また、制御部21は、第1操作スイッチ51、第2操作スイッチ52、ラッチ状態検出スイッチ33、及び後述する角度センサ61等と接続される。そのため、制御部21は、第1操作スイッチ51又は第2操作スイッチ52に対する操作がなされたこと、ラッチ装置30のラッチ状態又はアンラッチ状態、リアゲート4の開放角度を把握することができる。
【0035】
なお、角度センサ61は、リアゲート4の開放角度を検出可能に構成されている。例えば、角度センサ61は、リアゲート4の傾きを検出可能にリアゲート4に取り付けられる、加速度センサ等によって構成されてもよい。代替的に、角度センサ61は、リアゲートモータ41の回転回数を検出可能にリアゲート駆動装置40に取り付けられる、ホールセンサ等によって構成されてもよい。リアゲート4の開放角度は、制御部21が、角度センサ61から入力するリアゲート4の傾き又はリアゲートモータ41の回転回数に基づいて算出してもよい。代替的に、リアゲート4の開放角度は、角度センサ61内部で、リアゲート4の傾き又はリアゲートモータ41の回転回数から算出されてもよい。
【0036】
ここで、パワーリアゲートシステム10において、閉鎖状態のリアゲート4を開放するときの動作を説明する。なお、制御部21は、ラッチ状態検出スイッチ33からラッチ装置30がラッチ状態であることを入力するときに、リアゲート4が閉鎖状態であると判定してもよい。
【0037】
制御部21は、リアゲート4が閉鎖状態で、例えば第1操作スイッチに対する操作がなされたことを入力したときに、ラッチ装置30がアンラッチ状態になるようにPWM信号をラッチモータ駆動回路26に供給する。そして、制御部21は、リアゲート4が開放方向に回動するようにPWM信号をリアゲートモータ駆動回路25に供給する。その後、リアゲート4が設定された開放角度になったときに、リアゲートモータ駆動回路25に供給するPWM信号を停止する。ここで、設定された開放角度とは、リアゲート4が全開状態となるときの開放角度、又は、ユーザーが任意に設定したリアゲートの開放角度である。
【0038】
なお、制御部21がリアゲートモータ駆動回路25に供給するPWM信号を停止した後は、ダンパー6による付勢力、リアゲート駆動装置40の機械要素42(具体的には動力変換部44)による摩擦力等によって、リアゲート4が自身の重量によって閉鎖することが抑止される。
【0039】
続いて、パワーリアゲートシステム10において、開放状態のリアゲート4を閉鎖するときの動作を説明する。なお、制御部21は、角度センサ61から入力するリアゲート4の開放角度が設定された開放角度であるときに、リアゲート4が開放状態であると判定してもよい。代替的に、制御部21は、例えばラッチ状態検出スイッチ33からラッチ装置30がアンラッチ状態であることを入力するときに、リアゲート4が開放状態であると判定してもよい。
【0040】
制御部21は、リアゲート4が開放状態で、例えば第2操作スイッチに対する操作がなされたことを入力したときに、リアゲート4が閉鎖方向に回動するようにPWM信号をリアゲートモータ駆動回路25に供給する。そして、制御部21は、リアゲート4が閉鎖状態になったときに、リアゲートモータ駆動回路25に供給するPWM信号を停止する。その後、制御部21は、ラッチ装置30がラッチ状態になるようにPWM信号をラッチモータ駆動回路26に供給する。
【0041】
また、図示されていない第3操作スイッチが車両1の運転席に配置されていてもよく、制御部21は第3スイッチに対する操作がなされたときに、上述したようにリアゲート4を開放又は閉鎖してもよい。また、制御部21は、通信線71に接続されるいずれも図示されていないキーレスエントリシステムに関連付けられたキー端末に対する操作がなされたことを、車両通信レシーバ24を介して把握してもよい。制御部21は、キーレスエントリシステムに関連付けられたキー端末に対する操作がなされたときに、上述したようにリアゲート4を開放又は閉鎖してもよい。
【0042】
ここで、上述したように、第1操作スイッチ51はリアゲート4の表面80の外面部81に配置され、第2操作スイッチ52はリアゲート4の表面80の下端部82又は内面部83に配置される。そのため、リアゲート4の開放角度によっては、ユーザーが第1操作スイッチ51又は第2操作スイッチ52を操作することが困難又は不可能になる。
【0043】
すなわち、例えばリアゲート4が全開状態及び全開状態に近いときには、第1操作スイッチ51の位置が高くなることによって、ユーザーが第1操作スイッチ51を操作することが困難又は不可能になり得る。また、例えばリアゲート4が閉鎖状態及び閉鎖状態に近いときには、第2操作スイッチ52の位置が車体後部に面すること又は第2操作スイッチ52の位置が車内に含まれることによって、ユーザーが第2操作スイッチ52を操作することが困難又は不可能になり得る。
【0044】
そのため、何かしらの対策も講じないとすると、リアゲート4の開放角度によっては、ユーザーが操作することが困難又は不可能になる第1操作スイッチ51又は第2操作スイッチ52に対しても、車載バッテリ8の電源電圧が供給され続ける状況が発生し得る。そこで、ECU20の制御部21は、リアゲート4の開放角度に基づいて、少なくとも1つの操作スイッチに対する車載バッテリ8の電源電圧の供給を停止する。その結果、ユーザーが操作することが困難又は不可能になる少なくとも1つの操作スイッチに対する車載バッテリ8の電源電圧の無駄な供給を停止することによって、車載バッテリ8の電源電圧の消費を低減させることができる。
【0045】
具体的には、制御部21は、リアゲート4の開放角度に対応する第1操作スイッチ51及び/又は第2操作スイッチ52に対する車載バッテリ8の電源電圧の無駄な供給を停止する。
図3を用いて、このような制御部21の制御を実現するための制御部21の機能構成を説明する。
図3において、図中の細い矢印は命令等の信号を表し、図中の太い矢印は電源電圧の供給を表す。
【0046】
図3には、制御部21の機能ブロック図として、記憶部に記憶されるプログラムを処理部が実行することによって実現される制御部21の機能構成の一部が示されている。電源電圧供給ブロック211は、車載バッテリ8及び電源回路23から供給される電源電圧を第1操作スイッチ操作判定ブロック212及び第2操作スイッチ操作判定ブロック213に対して供給する。
【0047】
開放角度算出ブロック214は、角度センサ61から受け取る信号に基づいてリアゲート4の開放角度を算出して電源電圧供給判定ブロック215に渡す。また、開放角度算出ブロック214は、算出したリアゲート4の開放角度を、図示されていないリアゲート制御ブロックにも渡す。
【0048】
開放角度算出ブロック214からリアゲート4の開放角度を受け取った電源電圧供給判定ブロック215は、リアゲート4の開放角度に応じて、第1操作スイッチ操作判定ブロック212及び第2操作スイッチ操作判定ブロック213の各々に対して電源電圧供給許可命令又は電源電圧供給禁止命令を出す。
【0049】
第1操作スイッチ操作判定ブロック212は、電源電圧供給判定ブロック215から電源電圧供給許可命令を受け取ったときに、第1操作スイッチ51に対して電源電圧を供給する。その一方で、第1操作スイッチ操作判定ブロック212は、電源電圧供給判定ブロック215から電源電圧供給禁止命令を受け取ったときに、第1操作スイッチ51に対して電源電圧を供給しない。
【0050】
第1操作スイッチ51は、上述したように常閉接点によって構成されるスイッチが採用されるため、第1操作スイッチ操作判定ブロック212が第1操作スイッチ51に対して電源電圧を供給している間は、第1操作スイッチ操作判定ブロック212に対して再度供給される。そのため、第1操作スイッチ操作判定ブロック212は、第1操作スイッチ51に対して電源電圧を供給している間に、第1操作スイッチ51に対して操作がなされたことを、第1操作スイッチ51を経由する電源電圧の供給がなくなることによって判定する。第1操作スイッチ操作判定ブロック212は、第1操作スイッチ51に対して操作がなされたと判定したときに、第1操作スイッチ51に対して操作がなされたことをユーザー操作判定ブロック216に渡す。
【0051】
なお、第2操作スイッチ操作判定ブロック213は、第1操作スイッチ操作判定ブロック212と同様の動作をするため、説明を省略する。ユーザー操作判定ブロック216は、第1操作スイッチ51に対して操作がなされた又は第2操作スイッチ52に対して操作がなされたことを受けったときに、ユーザーが行った操作がリアゲート4の開放操作又は閉鎖操作のいずれであるかを判定する。ユーザー操作判定ブロック216は、ユーザーが行った操作がリアゲート4の開放操作又は閉鎖操作のいずれであるかの判定結果を、図示されていないリアゲート制御ブロックに渡す。
【0052】
ここで、電源電圧供給判定ブロック215は、リアゲート4の開放角度が第1角度領域に含まれるときには、第1操作スイッチ操作判定ブロック212に対して電源電圧供給禁止命令を出すと共に、第2操作スイッチ操作判定ブロック213に対して電源電圧供給許可命令を出す。第1角度領域とは、リアゲート4が全開状態であるときの開放角度と、リアゲート4が全開状態から所定の角度だけ閉鎖された状態であるときの開放角度と、の間の角度領域である。
【0053】
リアゲート4が全開状態から所定の角度だけ閉鎖された状態とは、標準的な身長のユーザーが第1操作スイッチ51を操作することが困難又は不可能な程度、リアゲート4の表面80の外面部81の高さが高くなるような、リアゲート4の開き具合であることが好ましい。また、リアゲート4が全開状態から所定の角度だけ閉鎖された状態は、例えば、車種によって異なってもよく、ユーザーが任意に設定可能であってもよい。
【0054】
また、電源電圧供給判定ブロック215は、リアゲート4の開放角度が第2角度領域に含まれるときには、第1操作スイッチ操作判定ブロック212に対して電源電圧供給許可命令を出すと共に、第2操作スイッチ操作判定ブロック213に対して電源電圧供給禁止命令を出す。第2角度領域とは、リアゲート4が閉鎖状態であるときの開放角度と、リアゲート4が閉鎖状態から所定の角度だけ開放された状態であるときの開放角度と、の間の角度領域である。
【0055】
リアゲート4が閉鎖状態から所定の角度だけ開放された状態とは、ユーザーが第2操作スイッチ52を操作することが困難又は不可能な程度、リアゲート4の表面80の下端部82が車体後部に近づくような、リアゲート4の開き具合であることが好ましい。また、リアゲート4が閉鎖状態から所定の角度だけ開放された状態は例えば、車種によって異なってもよく、ユーザーが任意に設定可能であってもよい。
【0056】
なお、電源電圧供給判定ブロック215は、リアゲート4の開放角度が第1角度領域及び第2角度領域のいずれにも含まれないときには、第1操作スイッチ操作判定ブロック212及び第2操作スイッチ操作判定ブロック213の双方に対して電源電圧供給許可命令を出す。
【0057】
図4を参照して、ECU20の、リアゲート4の開放角度に応じて、ユーザーが操作することが困難又は不可能になる第1操作スイッチ51又は第2操作スイッチ52に対する、車載バッテリ8の電源電圧の供給を停止する動作の一連の流れを説明する。
図4に示されるフローチャートは、車両1が停止状態で開始される。
【0058】
ステップS01では、制御部21は、リアゲート4の開放角度が第1角度領域に含まれるか否かを判定する。ステップS01の判定がYESであるときにフローはステップS02に進み、ステップS01の判定がNOであるときにフローはステップS03に進む。
【0059】
ステップS02では、制御部21は、リアゲート4の開放角度が第1角度領域に含まれる状態が所定時間継続しているか否かを判定する。ステップS02の判定がYESであるときにフローはステップS04に進み、ステップS02の判定がNOであるときにフローはステップS03に進む。ここで所定時間は、例えば5分から10分である。
【0060】
ステップS03では、制御部21は、第1操作スイッチ51に対する車載バッテリ8の電源電圧の供給を実施する。具体的には、電源電圧供給判定ブロック215が、第1操作スイッチ操作判定ブロック212に対して電源電圧供給許可命令を出す。ステップS03の処理が完了すると、フローはステップS05に進む。
【0061】
ステップS04では、制御部21は、第1操作スイッチ51に対する車載バッテリ8の電源電圧の供給を禁止する。具体的には、電源電圧供給判定ブロック215が、第1操作スイッチ操作判定ブロック212に対して電源電圧供給禁止命令を出す。ステップS04の処理が完了すると、フローはステップS05に進む。
【0062】
ステップS05では、制御部21は、リアゲート4の開放角度が第2角度領域に含まれるか否かを判定する。ステップS05の判定がYESであるときにフローはステップS06に進み、ステップS05の判定がNOであるときにフローはステップS07に進む。
【0063】
ステップS06では、制御部21は、リアゲート4の開放角度が第2角度領域に含まれる状態が所定時間継続しているか否かを判定する。ステップS06の判定がYESであるときにフローはステップS08に進み、ステップS06の判定がNOであるときにフローはステップS07に進む。ここで、所定時間は、ステップS02における所定時間と同様に5分から10分である。
【0064】
ステップS07では、制御部21は、第2操作スイッチ52に対する車載バッテリ8の電源電圧の供給を実施する。具体的には、電源電圧供給判定ブロック215が、第2操作スイッチ操作判定ブロック213に対して電源電圧供給許可命令を出す。ステップS07の処理が完了すると、フローはスタートに戻る。
【0065】
ステップS08では、制御部21は、第2操作スイッチ52に対する車載バッテリ8の電源電圧の供給を禁止する。具体的には、電源電圧供給判定ブロック215が、第2操作スイッチ操作判定ブロック213に対して電源電圧供給禁止命令を出す。ステップS08の処理が完了すると、フローはスタートに戻る。
【0066】
ここで、ステップS02における所定時間は0秒であってもよい。すなわち、制御部21がリアゲート4の開放角度が第1角度領域に含まれると判定すると同時に又は判定した直後に、第1操作スイッチ51に対する車載バッテリ8の電源電圧の供給を禁止してもよい。同様に、ステップS06における所定時間は0秒であってもよい。すなわち、制御部21がリアゲート4の開放角度が第2角度領域に含まれると判定すると同時に又は判定した直後に、第2操作スイッチ52に対する車載バッテリ8の電源電圧の供給を禁止してもよい。
【0067】
しかしながら、ステップS02及びステップS06における所定時間が0秒でないとき、例えば5分から10分であるときには、第1操作スイッチ51及び第2操作スイッチ52に対する車載バッテリ8の電源電圧の供給の、実施と禁止とが頻繁に切り替わることが抑制される。言い換えると、第1操作スイッチ51及び第2操作スイッチ52に対する車載バッテリ8の電源電圧の供給の、実施と禁止とを頻繁に切り替えるための処理によって、かえって車載バッテリ8の電源電圧の電力消費が大きくなり得る。
【0068】
また、リアゲート4に1つの操作スイッチ、例えば第1操作スイッチ51又は第2操作スイッチのいずれか一方のみが設けられているときには、
図4に示されるフローチャートの一部が実行される。具体的には、リアゲート4に第1操作スイッチ51のみが、リアゲート4の表面80の外面部81に設けられているときには、
図4に示されるフローチャートのうち、ステップS01、ステップS02、ステップS03、及び、ステップS04が実行され、ステップS03又はステップS04の処理が実行されるとフローはスタートに戻る。
【0069】
同様に、リアゲート4に第2操作スイッチ52のみが、リアゲート4の表面80の下端部82又は内面部83に設けられているときには、
図4に示されるフローチャートのうち、ステップS05、ステップS06、ステップS07、及び、ステップS08が実行される。このとき、
図4に示されるフローチャートが開始するとすぐにステップS05の判定を実行する。
【0070】
また、ここまで説明した実施形態においては、車両用電動扉システム10の一例としてパワーリアゲートシステム10を説明したが、車両用扉4はリアゲート4に限定する必要はない。例えば、ガルウィング等の上下方向に電動開閉動作するような車両用扉4であれば、このような車両用扉4の開放角度によっては、ユーザーがこのような車両用扉4に配置される操作スイッチを操作することが困難又は不可能になり得るため、上述した効果と同様の効果が得られる。
【0071】
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されず、また、当業者は、上述の例示的な実施形態を特許請求の範囲に含まれる範囲まで、容易に変更することができるであろう。