(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エレベーターにおいてガイドレールから外部に移動したガイドレール潤滑用の油の少なくとも一部を前記ガイドレールに引き戻すために用いられるレール油引戻し装置であって、
前記ガイドレール上を摺動するガイドシューの少なくとも一部に鉛直方向に重なるように配置されて前記ガイドシューから滴下した前記油の少なくとも一部を受ける油受口と、少なくとも一部が前記ガイドレールに前記ガイドレールの幅方向に重なっている状態で前記油受口よりも下方に配置される油出口と、前記油受口に滴下した前記油を前記油出口に案内する油案内面とを有して、前記ガイドシューに対して相対移動不可に配設される油案内部材と、
前記ガイドシューが上昇する際に上側から空気が流入する上側空気流入口と、前記ガイドシューが下降する際に下側から空気が流入する下側空気流入口と、前記上側空気流入口から流入した空気及び前記下側空気流入口から流入した空気を、前記油出口の周辺に移動した前記油の少なくとも一部が前記ガイドレールの側面に飛散するように吹き出す空気吹出口とを有して、前記油案内部材に対して相対移動不可に配設される油引戻し部材と、
を備える、レール油引戻し装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レールに供給された油の一部が、ガイドレールに対するガイドシューの摺動の際にガイドシューを伝って滴下してカゴやピット等を汚損する。また、滴下した油を補う必要があり、油の供給量が多くなる。
【0005】
本発明の目的は、ガイドレールからの油で外部が汚損することを抑制でき、ガイドレールへの油の供給量も低減できるレール油引戻し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るガイドシューは、エレベーターにおいてガイドレールから外部に移動したガイドレール潤滑用の油の少なくとも一部を前記ガイドレールに引き戻すために用いられるレール油引戻し装置であって、前記ガイドレール上を摺動するガイドシューの少なくとも一部に鉛直方向に重なるように配置されて前記ガイドシューから滴下した前記油の少なくとも一部を受ける油受口と、少なくとも一部が前記ガイドレールに前記ガイドレールの幅方向に重なっている状態で前記油受口よりも下方に配置される油出口と、前記油受口に滴下した前記油を前記油出口に案内する油案内面とを有して、前記ガイドシューに対して相対移動不可に配設される油案内部材と、前記ガイドシューが上昇する際に上側から空気が流入する上側空気流入口と、前記ガイドシューが下降する際に下側から空気が流入する下側空気流入口と、前記上側空気流入口から流入した空気及び前記下側空気流入口から流入した空気を、前記油出口の周辺に移動した前記油の少なくとも一部が前記ガイドレールの側面に飛散するように吹き出す空気吹出口とを有して、前記油案内部材に対して相対移動不可に配設される油引戻し部材と、を備える。
【0007】
本発明によれば、ガイドレールからガイドシューに伝った後に油受口に滴下した油の少なくとも一部が油引戻し部材の空気吹出口から吹き出される空気によってガイドレールの側面に飛散してガイドレールに引き戻される。よって、ガイドレールからガイドシューを伝ってピットやカゴに滴下する油を低減でき、カゴやピットの汚損を抑制できる。また、ガイドレール外に流動した油の少なくとも一部をガイドレールに引き戻すことができるので、ピット等に滴下した油を補うためにガイドレールに供給する油を低減でき、油のコストも低減できる。
【0008】
また、本発明において、前記油案内部材は、前記油受口から前記油出口まで延在する貫通孔を有し、前記油案内部材は、前記油出口の全てが前記ガイドレールに前記幅方向に重なるように配設され、前記貫通孔の鉛直方向に垂直な断面での断面積が、前記油受口から前記油出口に行くにしたがって徐々に小さくなり、前記空気吹出口からは、前記油出口の周辺及び前記ガイドレールに向かって略前記幅方向に流動する空気が吹き出されてもよい。
【0009】
上記構成によれば、油案内部材の貫通孔が油出口に行くにしたがって先細りとなるので、油受口が大きくなる一方、油出口が小さくなる。したがって、より大きな量の油を貫通孔に導くことができ、そのより大きな量の油を貫通孔の先端側の小領域に効率的に集めることができる。更には、油出口の全てがガイドレールにその幅方向に重なるように配設され、ガイドレールの略幅方向に流動する空気が空気吹出口からガイドレール側に吹き出される。よって、小領域に集められた油にガイドレールの幅方向に流れる空気をガイドレール側に吹き付けることができる。その結果、油を、ガイドレールの方に効率的に飛散させることができ、ガイドレールに効率的に引き戻すことができる。
【0010】
また、本発明において、前記油案内部材は、前記ガイドレールの前記幅方向の一方側に配設される一方側油案内面、前記ガイドレールの前記幅方向の他方側に配設される他方側油案内面、及び前記一方側油案内面と前記他方側油案内面とを連結する連結案内面を有し、前記一方側油案内面と前記ガイドレールとの前記幅方向の長さと、前記他方側油案内面と前記ガイドレールの前記幅方向の長さとは、下方側に行くにしたがって短くなってもよい。
【0011】
上記構成によれば、一方側油案内面とガイドレールとの幅方向の長さと、他方側油案内面とガイドレールの幅方向の長さとが、下方側に行くにしたがって短くなるので、油受口を通過した油が、下方に移動するにしたがってガイドレールに近づく。したがって、油案内部材に滴下した油を、油出口でガイドレール近傍に集めることができ、ガイドレールに効率的に引き戻すことができる。
【0012】
また、油案内部材が、ガイドレールの幅方向の両側に油案内面を有する一体の部材で構成されるので、ガイドレールの幅方向の両側に各側に1つずつ油案内部材を配設する場合との比較で、油案内部材の取付を容易に行うことができる。
【0013】
また、本発明において、前記油案内部材が、カゴ、釣合錘又は前記ガイドシューに磁石によって固定されてもよい。
【0014】
上記構成によれば、油案内部材が、磁石によって固定される。したがって、油案内部材を、ボルト等を用いた共締めで固定する場合と異なり、油案内部材の被固定部材(カゴ、釣合錘、ガイドシュー)に油案内部材取付用の孔を設ける必要がない。よって、油案内部材を、被固定部材に簡単安価に取り付けできる。また、油案内部材の取付場所の調整も容易に行うことができる。
【0015】
更には、ガイドシューが釣合錘に取り付けられると共に釣合錘が昇降路の壁に近接配置される場合においては、釣合錘と昇降路の壁との距離が狭く、それらの部材間の作業スペースが狭くなる。しかしながら、上記構成では、油案内部材が磁石で取り付けられるので、そのような場合でも、例えば、油案内部材を、釣合錘の背後(昇降路側)に容易に取り付けできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るレール油引戻し装置によれば、ガイドレールからの油で外部が汚損することを抑制でき、ガイドレールへの油の供給量も低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。
【0019】
なお、以下において、X方向は、カゴ5の幅方向を示し、Y方向は、カゴ5の奥行き方向(ガイドレール8の幅方向)を示す。また、Z方向は、カゴ5の高さ方向(鉛直方向)を示す。また、以下では、レール油引戻し装置10が、カゴ5に固定されたガイドシュー7のZ方向下側に取り付けられる場合について説明するが、レール油引戻し装置は、釣合錘に固定されたガイドシューのZ方向下側に取り付けられてもよい。
【0020】
図1は、エレベーター1のカゴ5に設置された本発明の一実施形態に係るレール油引戻し装置10を示す正面図であり、カゴ5のX方向一方側かつZ方向上方側の周辺を示す正面図である。
【0021】
カゴ5におけるX方向の一方側及び他方側の端部の夫々には、Z方向の上方側と下方側の端部にガイドシュー7が取り付けられる。また、カゴ5のX方向の一方側及び他方側の側方には、Z方向に延在する1つのガイドレール8が各側に配設される。ガイドシュー7は、ガイドレール8に案内され、ガイドレール8上をZ方向に摺動する。カゴ5に取り付けられたガイドシュー7が、カゴ5のX方向の両側かつZ方向の両側の4箇所でガイドレール8に案内されることによって、カゴ5が、X方向に振れることなくガイドレール8に沿ってZ方向に昇降する。
図1は、X方向の一方側、Z方向の上方側のレール油引戻し装置10を示しており、ガイドレール8に案内されるガイドシュー7はカゴ5の上面の一方側端部から一方側の側方に伸びる基部14によりカゴ5に固定されている。
【0022】
ガイドレール8には、図示しない給油器からガイドレール潤滑用の油が供給される。当該油の一部は、ガイドレール8に対するガイドシュー7の摺動でガイドレール8の表面上からガイドシュー7によって掻き出されて、ガイドシュー7を伝ってガイドシュー7の下面から滴下する。
【0023】
なお、ガイドシュー7の下面は、平面ではなく、油案内部材20の油受口21の中心部に向けて膨出する構成としたり、下面を傾斜させて例えばX方向においてカゴ5から離れ、Y方向の両側端部が最も低くなるようにして、油の滴下位置を特定することも好ましい。これによって、ガイドシュー7から滴下する油の位置を油受口21の上方にすることが容易となる。また、ガイドシュー7の下面の膨出部は、油受口21の内部に至るようにしてもよい。
【0024】
レール油引戻し装置10は、ガイドシュー7のZ方向の下側に配設される。レール油引戻し装置10は、油案内部材20と、油引戻し部材40とを有する。油案内部材20及び油引戻し部材40の夫々は、金属や樹脂等で構成される。
【0025】
油案内部材20は、ガイドレール8の幅方向外側(Y方向外側)でかつガイドシュー7の摺動部7aのZ方向下方側に配設される。油案内部材20は、本体部24及び取付部25を有する。本体部24は、環状部材であり、略XY平面上に位置する油受口21及び油出口22を有する。油受口21は、油出口22よりもZ方向上方に配置される。本体部24は、正面視においてロート状の形状を有し、油受口21から油出口22まで延在する貫通孔33を有する。貫通孔33の内面は、油受口21に滴下した油を油出口22に案内する油案内面38を構成する。貫通孔33のZ方向に垂直な断面での断面積は、油受口21から油出口22に行くにしたがって徐々に小さくなり、油受口21の開口面積は、油出口22の開口面積よりも小さい。また、油出口22の全ては、ガイドレール8の幅方向の側面に当該幅方向に重なっている。
【0026】
取付部25は、平板部26と、連結部29とを有する。連結部29は、本体部24と平板部26とを連結する。また、平板部26には、略YZ平面上に位置する取付面27が設けられ、取付面27には接着剤で複数の磁石28が固着される。磁石28をカゴ5のX方向一方側の壁面9にくっ付けることによって、油案内部材20は、カゴ5に対して相対移動不可に(ガイドシュー7に対して相対移動不可に)カゴ5に取り付けられる。
【0027】
油引戻し部材40は、本体部42及び取付部45を有する。本体部42は、正面視において上下対称の鼓形状(上下対称の砂時計の形状)を有する。本体部42の上端及び下端の夫々は、略XY平面上に位置する。本体部42においてX方向及びY方向にくびれるZ方向の中央部の高さは、油出口22の高さに略一致している。
【0028】
油引戻し部材40の取付部45は、油案内部材20の取付部25よりもガイドレール8の幅方向外側(Y方向外側)に配設される。油引戻し部材40の取付部45は、平板部46と、連結部47とを有する。連結部47は、本体部42と平板部46とを連結する。また、平板部46には、略YZ平面上に位置する取付面48が設けられ、取付面48には接着剤で複数の磁石55が固着される。磁石55をカゴ5のX方向一方側の壁面9にくっ付けることによって、油引戻し部材40は、カゴ5に対して相対移動不可に(油案内部材20に対して相対移動不可に)カゴ5に取り付けられる。
【0029】
図2は、ガイドシュー7のZ方向下方に配設された状態のレール油引戻し装置10の斜視図である。なお、
図2においては、レール油引戻し装置10の構造がわかり易いようにガイドレール8及びカゴ5の図示は省略する。
【0030】
図2に示すように、ガイドシュー7は、断面矩形の四角柱形状の凹部からなる嵌合部7bを有し、ガイドレール8は、嵌合部7bに嵌合する。油案内部材20及び油引戻し部材40は、嵌合部7bのY方向の一方側及び他方側(ガイドレール8の幅方向の一方側及び他方側)に一つずつ設けられる。2つの油案内部材20及び2つの油引戻し部材40の夫々は、ガイドレール8に対して略面対称になるように配設される。
【0031】
ガイドシュー7の摺動部7aは、ガイドレール8の幅方向一方側に位置する一方側部7cと、ガイドレール8の幅方向他方側に位置する他方側部7dと、一方側部7cと他方側部7dとを連結する連結部7eとを有する。ガイドレール8の幅方向一方側に設けられた油案内部材20の油受口21の一部は、一方側部7cにZ方向に重なり、ガイドレール8の幅方向他方側に設けられた油案内部材20の油受口21の一部は、他方側部7dにZ方向に重なる。
【0032】
油引戻し部材40は、2つの同一のロートの先細り部側の開口同士を接続したような形状を有し、更に、Z方向の中央部からガイドレール8側にY方向に延びるノズル50を有する。油引戻し部材40には、内部室54と、内部室54と外部とを連通する3つの開口とが設けられる。その3つの開口は、Z方向上側のロートの大径側の開口である上側空気流入口51と、Z方向下側のロートの大径側の開口である下側空気流入口52と、ノズル50の先端側にある空気吹出口53とで構成される。
【0033】
図3は、油引戻し部材40内の空気の流れを説明するための図である。
【0034】
図3に示すように、内部室54のZ方向の中央部付近上側には、上側から上側空気流入口51を介して矢印A方向にZ方向下方に流動してきた空気を矢印Bで示すノズル50側に変える上側流れ変動壁57が設けられる。また、内部室54のZ方向の中央部付近下側には、下側から下側空気流入口52を介して矢印C方向にZ方向上方に流動してきた空気を矢印Dで示すノズル50側に変える下側流れ変動壁58が設けられる。
【0035】
再度、
図2を参照して、ノズル50は、Y方向に伸びる。ノズル50の空気吹出口53は、油案内部材20の油出口22の周辺及びガイドレール8の側面に向けられる。ノズル50は、その空気吹出口53の一部がY方向に油出口22に重なる一方、その空気吹出口53の他の一部が油出口22よりも下方に位置するように配設される。
【0036】
係る構成によって、カゴ5が上昇する際には、上側空気流入口51から流入した空気が、上側流れ変動壁57によって向きが変えられ、ノズル50の先端にある空気吹出口53から油案内部材20の油受口21の周辺及びガイドレール8の側面に向けてY方向に吹き出される。他方、カゴ5が下降する際には、下側空気流入口52から流入した空気が、下側流れ変動壁58によって向きが変えられ、ノズル50の先端にある空気吹出口53から油案内部材20の油受口21の周辺及びガイドレール8の側面に向けてY方向に吹き出される。
【0037】
なお、ノズルは、油案内部材の油出口に集まった油の少なくとも一部を、油出口からガイドレールの側面に飛散させることができればよく、ノズルは、Y方向に正確に延在していなくてもよく、ノズルの空気吹出口の全てが、油案内部材の油出口よりも下方に配設されてもよい。
【0038】
図4は、レール油引戻し装置10をZ方向の下側から見たときの図である。
【0039】
図4に示すように、本実施形態では、各油案内部材20の油受口21は、ガイドシュー7の摺動部7aにおいてガイドレール8の幅方向の片側に位置する部分7c,7dの下面の2/3程度の大きな領域にZ方向に重なる。また、油案内部材20の油出口22の開口面積は、油案内部材20の油受口21の開口面積よりも小さい。また、油案内部材20の油出口22におけるX方向の存在範囲は、ノズル50の空気吹出口53におけるX方向の存在範囲に含まれる。
【0040】
その結果、ガイドシュー7から油受口21に滴下した油を、小領域である油出口22に効率的に集めることができ、油出口22に集められた油を、効率的にガイドレール8の側面に飛散させることができる。
【0041】
なお、各油案内部材の油受口は、ガイドシューの摺動部においてガイドレールの幅方向の片側に位置する片側部分の下面の全域又は略全域にZ方向に重なっていてもよく、その場合、ガイドシューから滴下した油の多くを油受口から受けることができて好ましい。また、油案内部材の油出口におけるX方向の存在範囲の一部のみが、ノズルの空気吹出口におけるX方向の存在範囲に重なる構成でもよい。又は、油案内部材の油出口におけるX方向の存在範囲の全てが、ノズルの空気吹出口におけるX方向の存在範囲に重ならなくてもよい。この場合でも、ノズルの延在方向をY方向に傾斜する方向にすることによって、油が油出口からガイドレール側面に飛散できるからである。
【0042】
上記実施形態によれば、ガイドレール8からガイドシュー7に伝った後に油受口21に滴下した油の少なくとも一部が油引戻し部材40の空気吹出口53から吹き出される空気によってガイドレール8の側面に飛散してガイドレール8に引き戻される。よって、ガイドレール8からガイドシュー7を伝ってピットやカゴ5に滴下する油を低減でき、カゴ5やピットの汚損を抑制できる。また、ガイドレール8外に流動した油の少なくとも一部をガイドレール8に引き戻すことができるので、ピット等に滴下した油を補うためにガイドレール8に供給する油を低減でき、油のコストも低減できる。
【0043】
また、油案内部材20の貫通孔33が油出口22に行くにしたがって先細りとなるので、油受口21が大きくなる一方、油出口22が小さくなる。したがって、より大きな量の油を貫通孔33に導くことができ、そのより大きな量の油を貫通孔33の先端側の小領域に効率的に集めることができる。更には、油出口22の全てがガイドレール8にその幅方向に重なるように配設され、ガイドレール8の略幅方向に流動する空気が空気吹出口53からガイドレール8側に吹き出される。よって、小領域に集められた油にガイドレール8の幅方向に流れる空気をガイドレール8側に吹き付けることができる。その結果、油を、ガイドレール8の方に効率的に飛散させることができ、ガイドレール8に効率的に引き戻すことができる。
【0044】
また、油案内部材20が、磁石によって固定される。したがって、油案内部材20を、ボルト等を用いた共締めで固定する場合と異なり、油案内部材20を固定するカゴ5に油案内部材取付用の孔を設ける必要がない。よって、油案内部材20を、カゴ5に簡単安価に取り付けできる。更には、油案内部材20が、磁石によって固定されるので、油案内部材20の取付場所の調整も容易に行うことができる。
【0045】
更には、ガイドシューが釣合錘に取り付けられると共に釣合錘が昇降路の壁に近接配置される場合においては、釣合錘と昇降路の壁との距離が狭く、それらの部材間の作業スペースが狭くなる。しかしながら、油案内部材の取付に磁石を用いると、そのような場合でも、例えば、油案内部材を、釣合錘の背後(昇降路側)に容易に取り付けできる。
【0046】
尚、本発明は、上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載された事項およびその均等な範囲において種々の改良や変更が可能である。
【0047】
例えば、上記実施形態では、レール油引戻し装置10が、ガイドレール8の幅方向の一方側及び他方側に1つずつ設けられて、合計2つ設けられる場合について説明した。しかし、レール油引戻し装置は、ガイドレール8の幅方向の片側のみに1つだけ設けられてもよく、レール油引戻し装置でガイドレールの幅方向の片側から滴下した油のみをガイドレール側面に引き戻してもよい。
【0048】
また、レール油引戻し装置10の油案内部材20が、磁石28によってカゴ5の壁面9に取り付けられ、レール油引戻し装置10の油引戻し部材40が、磁石55によってカゴ5の壁面9に取り付けられる場合について説明した。しかし、油案内部材は、磁石によってガイドシューに取り付けられてもよく、締結部材を用いた共締めによって、カゴまたはガイドシューに取り付けられてもよい。また、油引戻し部材は、締結部材を用いた共締めによって、カゴに取り付けられてもよい。
【0049】
また、油案内部材20が、ガイドレールの幅方向の片側に配設される場合について説明したが、油案内部材は、ガイドレールの幅方向の一方側及び他方側に跨るように配設される一体構造の部材であってもよい。
【0050】
詳しくは、
図5、すなわち、ガイドレール8及び変形例の油案内部材120を、X方向の外方から見たときの図に示すように、油案内部材120は、ガイドレール8の幅方向(Y方向に一致)の一方側に配設される一方側油案内面130、ガイドレール8の幅方向他方側に配設される他方側油案内面131、及び一方側油案内面130と他方側油案内面131とをガイドレール8のカゴ側で連結する連結案内面133を有してもよい。一方側油案内面130は、図における左奥側の端部から手前側および中央側に伸びる部材で、左右方向および奥行き方向において下方にいくに従ってガイドレール8に近づく。他方側油案内面131は、一方側油案内面130と左右対称であり、図における右奥側の端部から手前側および中央側に伸びる部材で、左右方向および奥行き方向において下方にいくに従ってガイドレール8に近づく。連結油案内面133は、下に向かって狭くなる略等脚台形の表側面及び裏側面を有する平板であり、左右両端が一方側案内面130および他方側油案内板131の端部に接続され、下端の幅はガイドレール8の幅にほぼ等しい。これによって、一方側油案内面130とガイドレール8とのY方向の距離と、他方側油案内面131とガイドレール8のY方向の長さとが、Z方向下方側に行くにしたがって短くなっている。
【0051】
この変形例の油案内部材120では、一方側油案内面130の連結案内面133側とは反対側の縁部130aと、他方側油案内面131の連結案内面133側とは反対側の縁部131aとがつながっておらず、油受口121及び油出口122の縁部が、閉曲線でない。しかし、このような形状でも、油受口121から受けた油を、油受口121に案内できる。
【0052】
油案内部材120は、金属や樹脂等で構成される。油案内部材120は、上側に設けられた板状の取付部125に接着剤で固着された磁石128を用いることによって、ガイドシューの下面に取り付けられる。なお、このような油案内部材120は、背面、カゴの側面、又は釣合錘に取り付け、ガイドシューの下方に配置してもよい。
【0053】
なお、
図5に示す例では、縁部130a,131aの下方端が、ガイドレール8に接触していないが、縁部130a,131aの下方端が、ガイドレール8に接触する構成でもよい。また、縁部130a,131aが、Z方向の下方に行くにしたがって、ガイドレール8の側面に徐々に近づいているが、縁部130a,131aは、Z方向の位置にかぎらずガイドレール8の側面との距離が略一定でもよい。
【0054】
この変形例によれば、一方側油案内面130とガイドレール8との幅方向の長さと、他方側油案内面131とガイドレール8の幅方向の長さとが、Z方向下方側に行くにしたがって短くなるので、油受口121を通過した油が、下方に移動するにしたがってガイドレール8に近づく。したがって、油案内部材120に滴下した油を、油出口122でガイドレール8近傍に集めることができ、ガイドレール8に効率的に引き戻すことができる。
【0055】
また、油案内部材120が、ガイドレール8の幅方向の両側に油案内面130,131を有する一体部材で構成されるので、ガイドレールの幅方向の両側に各側に1つずつ油案内部材を配設する場合との比較で、油案内部材の取付を容易に行うことができる。