(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記休憩判定部は、休憩中であることを表す条件が成立したと判定した後で、所定以上の速度で前記車両が走行を開始したことを検知したした場合には前記条件が成立していないと判定する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車載器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、企業等が例えば業務用車両の運行に関する安全運転管理や乗務員の労務管理などの目的でドライブレコーダやデジタルタコグラフのような車載器を運用する場合には、必要なデータの欠落を避けるために、次のように動作させることが望ましい。すなわち、毎日の業務において、車両の運行を開始する時に車載器の常時記録動作を開始し、当日の運行が終了した時に車載器の常時記録動作を終了する。そして、記録動作を終了した後で、記録された当日のデータ全てを、例えばメモリカードなどのメディアを利用して乗務員が管理者に渡す。
【0008】
一方、業務用車両の運行を行う際には、過労運転などの問題を避けるために、運行業務の途中で、例えば定期的に、乗務員が休憩を取る必要がある。また、休憩する際には、乗務員は特別な制約を受けないので、例えば車内で仮眠したり、自由に行動することができる。
【0009】
しかしながら、ドライブレコーダやデジタルタコグラフのような車載器は、休憩中であっても、当日の運行業務が終了するまでは画像の常時記録動作を継続している。したがって、休憩中に撮影された乗務員の画像も、運行業務のデータと共に自動的に記録されてしまう。そのため、運行業務とは無関係な状況で乗務員を撮影した画像までもが管理者に渡ることになり、プライバシーの問題が発生する。また、乗務員は休憩中にも車載器により監視されていると感じることになり、精神的な負担が増大する。
【0010】
また、もし車載器の記録動作を手動で停止・再開できるようにしたとすると、データの記録が必要な時にも停止機能が働いて重要な画像データが欠落する可能性が考えられる。また、この停止機能を働かせるための操作を乗務員が忘れると、停止機能が働かないため休憩中に乗務員の画像データが記録されるのを防止できない。
【0011】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の運行業務とは無関係な状況で撮影された乗務員等の画像データが記録されるのを防止可能な車載器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するために、本発明に係る車載器は、下記(1)〜(5)を特徴としている。
(1) 車両の内部および外部の少なくともいずれかを撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された画像を記録する記録部と、
前記車両の乗員が休憩中であることを表す条件が成立しているか否かを判定する休憩判定部と、を備え、
前記記録部は、前記休憩判定部により休憩中であると判定されている間は前記画像の記録を停止する、
ことを特徴とする車載器。
【0013】
(2) 前記乗員により休憩中であることを示す休憩信号が入力される入力部を備え、
前記休憩判定部は、前記休憩信号が入力された場合に前記条件が成立していると判定する、
ことを特徴とする上記(1)に記載の車載器。
【0014】
(3) 前記車両の現在位置を表す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記車両の速度を表す速度情報を取得する速度情報取得部と、を備え、
前記休憩判定部は、前記位置情報が表す現在位置が所定領域内であり、かつ、前記速度情報が表す速度が所定速度以下の場合に、前記条件が成立していると判定する、
ことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の車載器。
【0015】
(4) 前記休憩判定部は、休憩中であることを表す条件が成立したと判定してから所定時間が経過した場合に前記条件が成立していないと判定する、
ことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の車載器。
【0016】
(5) 前記休憩判定部は、休憩中であることを表す条件が成立したと判定した後で、所定以上の速度で前記車両が走行を開始したことを検知したした場合には前記条件が成立していないと判定する、
ことを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の車載器。
【0017】
上記(1)の構成の車載器によれば、車両の乗員が休憩中である場合には、記録部が画像の記録を一時的に停止するので、車両の運行業務とは無関係な状況で撮影された乗務員等の画像データが記録されるのを防止できる。
【0018】
上記(2)の構成の車載器によれば、所定の休憩信号を入力部に与えることにより、車両の乗員が休憩中であることを休憩判定部に認識させることができる。したがって、例えば乗員が操作可能なボタンなどを用いて休憩信号を生成すれば、乗員が意図的に運行状態から休憩状態に切り替えることができる。
【0019】
上記(3)の構成の車載器によれば、車両の乗務員等が特別な操作を行わない場合であっても、事前に定めた休憩場所のような所定領域内で休憩する場合には、車両の乗務員が休憩中であることを、自動的に休憩判定部に認識させることができる。したがって、乗務員等の操作ミスや操作忘れが生じた場合でも、休憩中の画像データが記録されることを避けることができる。
【0020】
上記(4)の構成の車載器によれば、休憩状態から車両の運行を再開する時に、車両の乗務員等が特別な操作を行わない場合であっても、一定時間が経過すると、乗務員の休憩状態が解除されたことを、自動的に休憩判定部に認識させることができる。したがって、乗務員等の操作ミスや操作忘れが生じた場合でも、運行業務に関する画像のデータ記録に欠落が生じるのを避けることができる。
【0021】
上記(5)の構成の車載器によれば、休憩状態から車両の運行を再開する時に、車両の乗務員等が特別な操作を行わない場合であっても、所定以上の速度で車両が走行を開始すると、乗務員の休憩状態が解除されたことを、自動的に休憩判定部に認識させることができる。したがって、乗務員等の操作ミスや操作忘れが生じた場合でも、運行業務に関する画像のデータ記録に欠落が生じるのを避けることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の車載器によれば、車両の運行業務とは無関係な状況で撮影された乗務員等の画像データが記録されるのを防止できる。したがって、記録した画像によってプライバシーの問題が生じるのを避けることができる。また、休憩中にも監視されていると乗務員が感じることがなくなり乗務員の精神的な負担を軽減できる。
【0023】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0026】
まず、車載器の概要を説明する。
本発明の実施形態における車載器の外観の具体例を
図1に示す。
図1に示した車載器はドライブレコーダ10であって、例えばタクシー、バス、トラックのような業務用車両に搭載した状態で車両の運行中に使用することを想定している。なお、このドライブレコーダ10と同様の機能を、例えばデジタルタコグラフ、あるいはタクシーメータのような他の車載器に内蔵することも可能である。
【0027】
図1に示したドライブレコーダ10は、車両の車室内に設置され、その前面パネルが乗務員の操作可能な位置に配置される。ドライブレコーダ10の前面パネルには、
図1に示すようにカードインタフェース22、スピーカ25、マイク26、表示部28、操作部29等が配置されている。
【0028】
カードインタフェース22には、所定のメモリーカード23を着脱自在に保持可能なスロットが備わっている。このメモリーカード23は、例えば車両に乗務する各乗務員のIDや各種定数のデータを保持しており、更に、ドライブレコーダ10が収集した画像等のデータを記録することができる。
【0029】
操作部29は、乗務員が操作可能な複数のボタンを備えている。これらのボタンには、車両の運行開始を指示する機能、車両の運行終了を指示する機能、休憩モードの開始/終了を指示する機能などが割り当てられている。
【0030】
表示部28は、ドライブレコーダ10の動作状態を表示したり、乗務員の操作に役立つ案内情報などを表示することができる。スピーカ25は、入力操作の確認音の出力、案内情報の音声出力などに利用することができる。マイク26は、車両運行中の乗務員の音声や、車両上または車両外部で発生した音を収集するために利用される。
【0031】
次に、車載器の具体的な構成例について説明する。
本発明の実施形態における車載器の具体的な構成例を
図2に示す。
【0032】
図2に示した車載器、すなわちドライブレコーダ10は、マイクロコンピュータ(CPU)11、画像処理部12、通信モジュール13、インタフェース(I/F)14、16、GPS受信機15、時計回路17、信号処理部18、メモリ(RAM)21、カードインタフェース22、メモリーカード23、音声信号処理部24、スピーカ25、マイク26、ドライバー27、表示部28、および操作部29を備えている。また、画像処理部12の入力には複数の車載カメラ31、32が接続され、通信モジュール13にはアンテナ33が接続され、GPS受信機15にはアンテナ34が接続されている。
【0033】
マイクロコンピュータ11は、予め組み込まれているプログラムに従って動作し、ドライブレコーダ10に必要とされる各種機能を実現するための処理を実行する。すなわち、
図3および
図4に示した動作が、マイクロコンピュータ11の処理により実現する。
【0034】
車載カメラ31は、例えば自車両の進行方向前方に映る路面、先行車両、対向車両、風景等を被写体として撮影できるように車両上に固定される。また、車載カメラ32は、例えば車室内で自車両を運転する乗務員の様子を撮影できるように車室内に固定される。なお、ドライブレコーダ10に接続する車載カメラの数は1つでもよいし、3以上に増やしてもよい。
【0035】
画像処理部12は、車載カメラ31および32の各々が出力する映像信号を取り込んでデジタル信号に変換し、画像のデータを例えばフレーム単位で生成する。画像処理部12が生成した画像のデータはマイクロコンピュータ11に入力される。
【0036】
通信モジュール13は、アンテナ33を経由して車両外部のデータセンタ等に配置されたサーバとの間でデータ通信をするための無線通信機能を提供する。通信モジュール13は、インタフェース14を経由してマイクロコンピュータ11と接続されている。
【0037】
GPS受信機15は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波をアンテナ34を介して受信し、複数のGPS衛星からの受信信号の時刻に基づいて所定の計算を実施することにより、車両の現在位置を表す緯度/経度の情報を取得できる。GPS受信機15は、インタフェース16を経由してマイクロコンピュータ11と接続されている。
【0038】
時計回路17は、周期が一定のクロックパルス信号を常時計数しており、現在の日付および時刻に関する情報を必要に応じて出力することができる。また、経過時間などを計数するためのタイマー機能も時計回路17に備わっている。マイクロコンピュータ11は、時計回路17を制御することにより、現在の日付および時刻の情報を取得したり、経過時間などの情報を取得できる。
【0039】
信号処理部18は、車両側の図示しないセンサから出力される車速パルス信号SG1を入力し、マイクロコンピュータ11の処理に適した信号に変換する。マイクロコンピュータ11は、信号処理部18から入力される信号のパルス周期や一定時間内のパルス数を計数することにより自車両の現在の走行速度(km/h)を算出したり、パルス数の計数により走行距離(km)を算出することができる。
【0040】
メモリ(RAM)21は、マイクロコンピュータ11のアクセスにより、データの書き込みおよび読み出しを自在に行うことができる。メモリ21上の記憶領域は、様々なデータを一時的に格納するために利用される。
【0041】
メモリーカード23は、比較的記憶容量の大きい不揮発性メモリを内蔵している。このメモリーカード23は、カードインタフェース22のスロットに装着することにより、マイクロコンピュータ11と接続することができる。マイクロコンピュータ11は、画像処理部12から入力される画像のデータや、音声信号処理部24から入力される音声等のデータを、メモリーカード23上に順次に書き込み、記録することができる。
【0042】
また、メモリーカード23上には、例えば以下に示す(d1)〜(d5)のような様々な定数データが事前に書き込まれている。
(d1)事前に決定した特定の休憩場所の位置(緯度/経度)を表す定数
(d2)休憩場所の大きさを表す定数
(d3)車速が停止状態か否かを識別するための閾値
(d4)走行開始状態か否かを識別するための車速の閾値
(d5)走行開始状態か否かを識別するための走行距離の閾値
【0043】
マイクロコンピュータ11は、メモリーカード23にアクセスすることにより、これらの定数データを必要に応じて参照できる。なお、メモリーカード23以外の不揮発性メモリに必要な定数データを保持してもよい。
【0044】
音声信号処理部24は、案内や警報などに関する様々なメッセージを表す疑似音声信号を生成してこの信号を増幅し、スピーカ25から音声として出力するための音声出力機能を備えている。また、マイク26から入力される音声などの電気信号をデジタル信号に変換してマイクロコンピュータ11に出力するための音声入力機能も備えている。
【0045】
表示部28は、液晶などの表示デバイスにより構成されており、文字や数字などの可視情報を表示する機能を備えている。マイクロコンピュータ11は、ドライバー27を介して表示部28を制御し、表示部28の表示内容を必要に応じて変更できる。
【0046】
操作部29は、例えば
図1に示した複数のボタンのそれぞれの操作状態に応じてオンオフする複数のスイッチを内蔵している。マイクロコンピュータ11は、操作部29内の各スイッチの状態を読み取ることにより、ボタン操作の有無を識別すると共に、操作されたボタンを特定することができる。
【0047】
次に、車載器の基本的な動作について説明する。
本発明の実施形態における車載器の基本的な動作を
図3に示す。
図1および
図2に示した車載器、すなわちドライブレコーダ10は、常時記録タイプである。すなわち、イベント発生の有無とは無関係に画像等のデータを周期的に常時記録する。このドライブレコーダ10は、マイクロコンピュータ11の制御により基本的には
図3に示した動作を実行する。
【0048】
図3のステップS01では、「運行開始」の有無をマイクロコンピュータ11が識別する。例えば、タクシー、バス、トラックなどの業務用車両の運行業務を行う場合には、毎日の運行業務を開始する時に、当該車両の乗務員が、ドライブレコーダ10の操作部29の特定のボタンを操作して、「運行開始」の指示を発生する。また、この時に、乗務員は自分が所持しているメモリーカード23をカードインタフェース22のスロットに装着しておく。
【0049】
マイクロコンピュータ11はステップS01で「運行開始」の指示を検知すると、次のステップS02で「常時画像記録」の動作を開始する。この動作を開始した後は、車載カメラ31および32の映像に対応する画像データをマイクロコンピュータ11が画像処理部12の出力から定期的に取り込み、メモリーカード23上に順次に書き込んで保存する。また、音声信号処理部24が出力する音声等のデータも同時に記録することができる。
【0050】
ステップS03では、「運行終了」の有無をマイクロコンピュータ11が識別する。例えば、タクシー、バス、トラックなどの業務用車両の運行業務を行う場合には、毎日の運行業務が終了した時に、当該車両の乗務員が、ドライブレコーダ10の操作部29にある特定のボタンを操作して、「運行終了」の指示を発生する。
【0051】
マイクロコンピュータ11はステップS03で「運行終了」の指示を検知すると、次のステップS04で「常時画像記録」の動作を終了する。これにより、画像データや音声データがメモリーカード23上に書き込まれる動作は停止する。また、この後で、乗務員は書き込みが終了したメモリーカード23をカードインタフェース22から取り外して事務所に持ち帰ることができる。
【0052】
次に、車載器の特徴的な動作について説明する。
本発明の実施形態における車載器の特徴的な動作の処理手順の具体例を
図4に示す。
図4に示した処理手順は、マイクロコンピュータ11により例えば定期的に実行される。
【0053】
タクシー、バス、トラックなどの業務用車両の運行業務を行う場合には、各乗務員は、毎日の運行業務の途中であっても、過労運転の防止などの観点から例えば定期的に休憩をとる必要がある。このような休憩の際には、乗務員は車室内で仮眠したり、自由に行動することができる。しかし、ドライブレコーダ10が
図3に示した基本的な動作だけを行う場合には、休憩中の乗務員の行動も監視対象となり、撮影された画像等がメモリーカード23に記録されてしまう。
【0054】
本発明の実施形態におけるドライブレコーダ10は、
図3に示した基本的な動作の他に、
図4に示した特徴的な動作を、マイクロコンピュータ11の処理により実現する。これにより、休憩中には乗務員を撮影した画像等のデータがメモリーカード23に記録されるのを防止できる。
【0055】
図4のステップS11では、マイクロコンピュータ11は自車両が現在「運行中」か否かを識別する。例えば、
図3に示したステップS01で「運行開始」を検知してからステップS03で「運行終了」を検知するまでの間であれば、マイクロコンピュータ11は
図4のステップS11で「運行中」とみなし次のステップS12に進む。
【0056】
ステップS12では、マイクロコンピュータ11は例えば所定のフラグの状態を参照することにより、「休憩モード」になっているか否かを識別する。「休憩モード」である場合はステップS17に進み、「休憩モード」ではなく通常の運行状態であればステップS13に進む。
【0057】
ステップS13では、操作部29にある「休憩ボタン」29aの操作を検知したか否かをマイクロコンピュータ11が識別する。「休憩ボタン」29aの操作を検知した場合はステップS16に進み、検知しない場合はステップS14に進む。
【0058】
ステップS14では、自車両の現在位置が事前に定めた「休憩領域」の内側であるか否かをマイクロコンピュータ11が識別する。具体的には、GPS受信機15が算出した最新の現在位置を、メモリーカード23が保持している前記定数データ(d1)、(d2)と比較することにより、「休憩領域内」の条件を満たすか否かを識別する。「休憩領域内」の条件を満たす場合はステップS15に進み、この条件を満たさない場合はステップS11に戻る。
【0059】
ステップS15では、自車両の現在の走行速度に基づき、自車両が「停止状態」か否かをマイクロコンピュータ11が識別する。具体的には、車速パルス信号SG1に基づき算出した最新の車速を、メモリーカード23が保持している前記定数データ(d3)と比較することにより、「停止状態」の条件を満たすか否かを識別する。「停止状態」の条件を満たす場合はステップS16に進み、この条件を満たさない場合はステップS11に戻る。
【0060】
ステップS16では、マイクロコンピュータ11は「休憩モード」に移行する。具体的には、「休憩モード」であることを表すフラグをセットすると共に、画像の記録動作を一時停止する。また、「休憩モード」に移行した時には、マイクロコンピュータ11は「休憩モード」に移行してからの経過時間の計測を開始する。例えば、時計回路17を制御することで経過時間を容易に計測できる。
【0061】
図3に示したステップS02で「常時画像記録」の動作を開始してからステップS04でこの動作を終了するまでの間は、通常は撮影により得られた画像等のデータがメモリーカード23に記録される。しかし、「休憩モード」になっている時には、「常時画像記録」の動作中であっても、マイクロコンピュータ11は画像等のデータの記録を停止する。
【0062】
ステップS17では、操作部29にある「休憩ボタン」29aの操作を検知したか否かをマイクロコンピュータ11が識別する。「休憩ボタン」29aの操作を検知した場合はステップS20に進み、検知しない場合はステップS18に進む。なお、
図4のステップS17では「休憩モード」解除の1つの条件として、マイクロコンピュータ11が「休憩ボタン」29aの操作を監視しているが、他のボタンの操作を「休憩ボタン」29aと同様に扱うように処理してもよい。
【0063】
ステップS18では、「休憩モード」に移行してからの経過時間が事前に定めた一定時間に達したか否かをマイクロコンピュータ11が識別する。経過時間が一定時間に達した場合はステップS20に進み、未達の場合はステップS19に進む。
【0064】
ステップS19では、自車両の走行開始を検知したか否かをマイクロコンピュータ11が識別する。走行開始を検知した場合はステップS20に進み、検知しない場合はステップS11に戻る。ステップS19における「走行開始検知」の具体的な条件としては、自車両の走行速度および走行距離のいずれか一方または両方を閾値と比較した結果を利用することができる。自車両の走行速度および走行距離については、車速パルス信号SG1のパルスに基づいて算出できる。また、メモリーカード23が保持している前記定数データ(d4)、(d5)をステップS19で閾値として利用できる。
【0065】
ステップS20では、マイクロコンピュータ11は「休憩モード」を解除する。具体的には、「休憩モード」であることを表すフラグをクリアすると共に、画像の記録動作を再開する。
【0066】
<車載器の利点>
図4に示した処理手順を実行するドライブレコーダ10においては、「休憩モード」に移行することにより、「常時画像記録」の動作中であっても、画像等のデータの記録を一時的に停止することができる。すなわち、運行業務の途中で乗務員が休憩する場合には、例えば「休憩ボタン」29aを操作することで、車両の運行業務とは無関係の休憩中のデータ記録を停止できる。これにより、記録される情報によってプライバシーの問題が生じるのを避けることができる。また、乗務員が休憩中にも監視されていると感じることがなくなり、精神的な負担が緩和される。
【0067】
また、乗務員が「休憩ボタン」29aの操作を忘れた場合であっても、事前に定めた休憩場所で休憩する場合には、ステップS14およびS15の両方の条件を満たすことにより、自動的に「休憩モード」に移行することができる。
【0068】
また、休憩が終了した時に、乗務員が「休憩ボタン」29a等を操作すれば、「休憩モード」を解除できるので、画像等のデータの記録を再開できる。また、乗務員がボタン操作を忘れた場合であっても、「休憩モード」に移行してから一定時間を経過すれば、または車両が走行開始状態になれば、ステップS18またはS19の条件を満たすので「休憩モード」が自動的に解除される。したがって、車両の実際の運行中の重要なデータが「休憩モード」の存在によって記録データの中から部分的に欠落するのを防止することができる。
【0069】
なお、上述の実施形態においては、
図4に示した処理において、「休憩モード」に移行する条件および「休憩モード」を解除する条件を、メモリーカード23に保持した定数データの閾値を利用してマイクロコンピュータ11が識別している。これらの閾値については、例えば操作部29の各種ボタンを利用して乗務員が変更できるようにしてもよい。
【0070】
ここで、上述した本発明に係る車載器の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 車両の内部および外部の少なくともいずれかを撮像する撮像部(車載カメラ31、32)と、
前記撮像部により撮像された画像を記録する記録部(マイクロコンピュータ11、ステップS02)と、
前記車両の乗員が休憩中であることを表す条件が成立しているか否かを判定する休憩判定部(マイクロコンピュータ11、ステップS13,S14,S15)と、を備え、
前記記録部は、前記休憩判定部により休憩中であると判定されている間は前記画像の記録を停止する(ステップS16)、
ことを特徴とする車載器。
【0071】
[2] 前記乗員により休憩中であることを示す休憩信号が入力される入力部(操作部29)を備え、
前記休憩判定部は、前記休憩信号が入力された場合に前記条件が成立していると判定する(ステップS13)、
ことを特徴とする上記[1]に記載の車載器。
【0072】
[3] 前記車両の現在位置を表す位置情報を取得する位置情報取得部(GPS受信機15)と、
前記車両の速度を表す速度情報を取得する速度情報取得部(信号処理部18)と、を備え、
前記休憩判定部は、前記位置情報が表す現在位置が所定領域内であり、かつ、前記速度情報が表す速度が所定速度以下の場合に、前記条件が成立していると判定する(ステップS14,S15)、
ことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の車載器。
【0073】
[4] 前記休憩判定部は、休憩中であることを表す条件が成立したと判定してから所定時間が経過した場合に前記条件が成立していないと判定する(ステップS18)、
ことを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の車載器。
【0074】
[5] 前記休憩判定部は、休憩中であることを表す条件が成立したと判定した後で、所定以上の速度で前記車両が走行を開始したことを検知したした場合には前記条件が成立していないと判定する(ステップS19)、
ことを特徴とする上記[1]乃至[3]のいずれかに記載の車載器。