(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の作業車両では、トラックフレームが挿通されるようにサイドフレームに嵌合孔が形成されているため、サイドフレームの上下方向の幅が大きくなり、サイドフレームの重量が重くなっていた。
本発明は、上記従来の課題を考慮し、クローラフレームの上下方向の幅を小さくし重量を抑えることが可能な作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目定を達成するために、第1の発明に係る作業車両は、旋回体と、一対のクローラフレームと、センタフレームと、ガイド部と、規制部材と、を備える。一対のクローラフレームは、車幅方向において互いに対向するように配置され、車幅方向に対して垂直な前後方向に沿って形成されている。センタフレームは、中央部と、脚部と、を有する。中央部は、平面視において一対のクローラフレームの間に配置され旋回体が配置される。脚部は、中央部から各々のクローラフレームに向かって形成されクローラフレームの上面に載置されている。ガイド部は、クローラフレームの上面において脚部に隣接して形成され、一対のクローラフレームのゲージ幅が拡大する拡大位置とゲージ幅が縮小する縮小位置との間で車幅方向にクローラフレームを案内する。規制部材は、脚部の少なくとも一部を覆うように配置され、脚部の上方への移動を規制する。
【0007】
ここで、センタフレームに対してクローラフレームを拡大位置と縮小位置の間で移動させる際には、センタフレームの脚部はクローラフレームの上面に設けられたガイド部で案内され、脚部のクローラフレームからの上方への離間は、規制部材によって規制される。
これにより、センタフレームの脚部がクローラフレームの上面に配置された構成で移動可能となり、クローラフレームにセンタフレームの脚部を挿通する嵌合孔を形成する必要がない。
そのため、クローラフレームの上下方向の幅を小さくでき、重量を抑えることが可能となる。
【0008】
第2の発明に係る作業車両は、第1の発明に係る作業車両であって、規制部材は、脚部の前後方向の両側に設けられている。
これにより、より安定して脚部の上方への移動を規制することが出来る。
【0009】
第3の発明に係る作業車両は、第2の発明に係る作業車両であって、規制部材と前記脚部との間にプレート部材が配置されている
このように、プレート部材を備えることにより、規制部材とプレート部材が摺動しながらクローラフレームがセンタフレームに対して移動することができるため、ガタつきを抑え、安定して移動させることが可能となる。
【0010】
また、規制部材または脚部との摺動によりプレート部材が磨耗しガタ付が生じた場合であってもプレート部材を交換することにより容易に対処することができる。
また、耐摩耗性を持つ材料によってプレート部材を形成することによって耐久性を向上できる。
【0011】
第4の発明に係る作業車両は、第2の発明に係る作業車両であって、ガイド部は、脚部の前後方向における両方の端面に沿って形成されたガイド部材を有する。ガイド部の前後方向のいずれか一方のガイド部材と脚部との間にプレート部材が配置されている。
このように、プレート部材を備えることにより、ガイド部材とプレート部材が摺動しながらクローラフレームがセンタフレームに対して移動することができるため、ガタつきを抑え、安定して移動させることが可能となる。
また、ガイド部材または脚部との摺動によりプレート部材が磨耗しガタ付が生じた場合であってもプレート部材を交換することにより容易に対処することができる。
また、耐摩耗性を持つ材料によってプレート部材を形成することによって耐久性を向上できる。
【0012】
第5の発明に係る作業車両は、第2の発明に係る作業車両であって、ガイド部は、脚部の前後方向における両方の端面に沿って形成されたガイド部材を有する。脚部は、中央部から各々のクローラフレームに対して2つずつ設けられている。4つの脚部の各々の前後方向の両側のうち旋回体の旋回中心から遠い側の規制部材と脚部の間と、旋回中心から遠い側のガイド部材と脚部の間にプレート部材が配置されている。
このように、4つの脚部の各々の前後方向の両側のうち旋回体の旋回中心から遠い側にプレート部材が設けられることにより、スライドの際には、旋回中心から遠い側における規制部材とガイド部材がプレート部材と摺動する。このため、センタフレームに対してクローラフレームをスライドさせる際にねじりを生じ難くさせることができる。
【0013】
第6の発明に係る作業車両は、第2の発明に係る作業車両であって、脚部は、中央部から各々のクローラフレームに対して2つずつ設けられている。4つの脚部の各々の前後方向の両側のうち旋回体の旋回中心から近い側の規制部材と脚部の間にプレート部材が配置されている。
これにより、より安定して、センタフレームに対してクローラフレームをスライド移動させることが出来る。
【0014】
第7の発明に係る作業車両は、第1〜6のいずれかの発明に係る作業車両であって、センタフレームに対してクローラフレームを拡大位置と縮小位置の間でスライドさせる油圧シリンダを更に備える。一対のクローラフレームのゲージ幅は、油圧シリンダによって変更される。
このように油圧シリンダを設けることにより、油圧によって容易にセンタフレームに対してクローラフレームをスライド移動させることができる。
【0015】
第8の発明に係る作業車両は、第1〜7のいずれかの発明に係る作業車両であって、クローラフレーム貫通孔形成部と、脚部貫通孔形成部と、挿通部材と、を備える。クローラフレーム貫通孔形成部は、第1貫通孔を有し、クローラフレームに設けられている。脚部貫通孔形成部は、クローラフレームが拡大位置に配置されているときに第1貫通孔に対向する第2貫通孔と、クローラフレームが縮小位置に配置されているときに第1貫通孔に対向する第3貫通孔と、を有する。挿通部材は、クローラフレームが拡大位置に配置されているときに第1貫通孔および第2貫通孔に挿通され、クローラフレームが縮小位置に配置されているときに第1貫通孔および第3貫通孔に挿通される。
【0016】
これにより、クローラフレームを拡大位置または縮小位置においてセンタフレームに固定することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、クローラフレームの上下方向の幅を小さくし重量を抑えることが可能な作業車両を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかる実施の形態における油圧ショベルについて図面を参照しながら説明する。
<1.構成>
(1−1.油圧ショベルの全体概要)
図1は、本実施の形態の油圧ショベル100の外観を示す図である。油圧ショベル100は、車両本体1と、作業機4とを有する。
【0020】
車両本体1は、走行体2と、旋回体3とを有する。走行体2は、一対の履帯46を有しており、エンジンからの駆動力によって履帯46が駆動されることによって油圧ショベル100が走行する。
旋回体3は、走行体2上に旋回可能に載置されている。旋回体3は、キャブ5と、収納室6と、カウンタウェイト7等を有する。運転室としてのキャブ5は、旋回体3の前部左側位置に設けられている。収納室6は、キャブ5の後側に設けられており、エンジン、ラジエータおよびラジエータファン等を収納する。カウンタウェイト7は、旋回体3の後方に配置されている。
【0021】
作業機4は、ブーム8、アーム9、掘削バケット10等を有し、旋回体3の前部中央位置に取り付けられている。ブーム8の基端部は、旋回体3に回動可能に連結されている。ブーム8の先端部は、アーム9の基端部に回動可能に連結されている。アーム9の先端部は、掘削バケット10に回動可能に連結されている。また、ブーム8、アーム9、および掘削バケット10に対応するように油圧シリンダ11、12、13が設けられており、油圧シリンダ11、12、13が伸縮することによって作業機4が駆動される。
【0022】
(1−2.走行体2)
図2(a)は走行体2の平面図であり、
図2(b)は側面図であり、
図2(c)は正面図であり、
図2(d)は背面図である。
図3は、走行体2から履帯46を取り除いた状態を示す斜視図である。
本実施の形態の走行体2は、
図2および
図3に示すように、センタフレーム20と、一対の走行部21L、21Rと、4つの油圧シリンダ22(後述する
図9参照)と、ガイド部23と、プレート24、25と、ライナープレート26、27(後述する
図4参照)と、クローラ側位置決め部28(後述する
図13参照)と、センタ側位置決め部29(後述する
図13参照)と、位置決めピン30(後述する
図13参照)と、有する。
【0023】
センタフレーム20の車幅方向(矢印Y参照)の左側に走行部21Lが取り付けられており、右端に走行部21Rが取り付けられている。走行部21Lと走行部21Rの各々は、車幅方向Yに沿って縮小位置と拡大位置の間をセンタフレーム20に対してスライド可能である。
縮小位置とは、走行部21Lと走行部21Rの間隔が狭くなった状態における走行部21L、21Rの位置であり、走行部21L、21Rがセンタフレーム20に対して内側方向に移動した位置である。拡大位置とは、走行部21Lと走行部21Rの間隔が広くなった状態における走行部21L、21Rの位置であり、走行部21L、21Rがセンタフレーム20に対して外側方向に移動した位置である。油圧シリンダ22は、伸縮により、走行部21L、21Rをセンタフレーム20に対して車幅方向Yにスライド移動させる。
【0024】
なお、
図2(a)〜(d)および
図3では、走行部21Lが拡大位置に配置されており、走行部21Rが縮小位置に配置されている状態を示している。
センタフレーム20に対して走行部21L、21Rをスライドさせるときに、ガイド部23によってガイドされるとともに、プレート24、25によってセンタフレーム20の走行部21L、21Rからの上方への移動が規制される。クローラ側位置決め部28、センタ側位置決め部29、位置決めピン30は、センタフレーム20に対して走行部21R,21Lを、拡大位置または縮小位置で位置決め固定する。
【0025】
(1−2−1.センタフレーム20)
センタフレーム20は、
図3に示すように、中央部31と、4つの脚部32とを有する。中央部31は、略板状であって、旋回体3が載置される。中央部31の上面には、旋回体3に設けられているスイングマシナリの出力ギアと噛み合うスイングサークル33が設けられている。旋回体3の旋回中心Aが、
図3に示されている。
【0026】
4つの脚部32のうち2つの脚部32は、中央部31の車幅方向(矢印Y参照)の左端31Lから車幅方向Yに沿って左側に突出するように形成されている。また、他の2つの脚部32は、中央部31の車幅方向Yの右端31Rから車幅方向Yに沿って右側に突出するように形成されている。脚部32は、後述するクローラフレーム41の上面41aに形成されたガイド部23に配置されている。
【0027】
図4は、後述する走行部21Lのクローラフレーム41の上部分の側面図である。
図4に示すように、脚部32は、前後方向Xの両端に、車幅方向Yに沿って形成された縁部321、322を有している。1つの脚部32の縁部321、322のうち縁部321が旋回中心Aから遠い側に設けられ、縁部322は旋回中心Aに違い側に設けられている。
図4には、前側の脚部32の縁部321近傍を示すB部拡大図が示されており、前側の脚部32の縁部322近傍を示すC部拡大図が示されている。また、
図4には、後側の脚部32の縁部322近傍を示すD部拡大図が示されており、後側の脚部32の縁部321近傍を示すE部拡大図が示されている。
縁部321の前後方向Xの端には端面32aが形成されており、縁部322の前後方向の端には端面32bが形成されている。
【0028】
(1−2−2.走行部21L、21R)
一対の走行部21L、21Rは、車幅方向Yにおいて対向して配置されている。また、各々の走行部21L、21Rは、前後方向(矢印X参照)に沿って形成されている。
図2(a)に示す平面視において、一対の走行部21L、21Rの間に、上述した中央部31が配置されている。また、4つの脚部32は、中央部31から走行部21L、21Rに向かって形成されているともいえる。
【0029】
走行部21L、21Rは同様の構成であるため、左側に配置されている走行部21Lを例に挙げて説明する。
走行部21Lは、
図2(b)および
図3に示すように、クローラフレーム41と、アイドラ42と、スプロケット43と、上転輪44と、下転輪45と、履帯46と、を主に有する。
【0030】
クローラフレーム41は、前後方向Xに沿って形成されており、その外周に沿って無端状の履帯46が装着されている。
アイドラ42は、クローラフレーム41の前端に回転可能に支持されている。スプロケット43は、後端に回転可能に支持されており、駆動軸の回転によって回転する。
上転輪44は、クローラフレーム41の上部に回転可能に複数設けられている。下転輪45は、クローラフレーム41の下部に回転可能に複数設けられている。
履帯46は、アイドラ42、スプロケット43、上転輪44および下転輪45に巻き掛けられている。
【0031】
(1−2−3.ガイド部23)
ガイド部23は、
図4に示すように、クローラフレーム41の前後2箇所に設けられている。ガイド部23は、走行部21Lがスライド移動する際に、脚部32に沿って走行部21Lを車幅方向Yに案内するようにクローラフレーム41の上面41aに車幅方向Yに沿って形成されている。
図5は、
図4の前側の脚部32の近傍を示す斜視図である。
図6は、
図5からプレート24、25を取り除いた状態を示す図であり、ガイド部23を示す図である。
図7は、
図6からガイド部23を取り除いた状態を示す図である。
【0032】
ガイド部23は、
図5〜
図7に示すように、クローラフレーム41の上面41aに車幅方向Yに沿って設けられている。ガイド部23は、クローラフレーム41の上面41aに車幅方向Yに沿って形成された一対のガイド部材51、52を有する。ガイド部材51は、
図4に示すように、脚部32の前後方向Xにおける両側の端面32a、32bのうち一方の端面32aに沿って形成されている。
【0033】
ガイド部材52は、脚部32の他方の端面32bに沿って形成されている。ガイド部材51は、
図4〜
図6に示すように、車幅方向Yに沿い鉛直方向に形成されたガイド面51aを有する。ガイド面51aは、端面32aと対向するように形成されている。ガイド部材52は、車幅方向Yに沿い鉛直方向に形成されたガイド面52aを有する。ガイド面52aは、端面32bと対向するように形成されている。
【0034】
(1−2−4.プレート24、25)
図4および
図6に示すように、ガイド部材51、52の上面51b、52bは平面に形成されており、ガイド部材51の上面51bにプレート24が配置され、ガイド部材52の上面52bにプレート25が配置されている。
ガイド部材51およびプレート24には上下方向に複数の貫通孔が形成されており、ガイド部材51およびプレート24は、プレート24の上方から貫通孔に挿入された複数のボルト61によってクローラフレーム41の上面に固定されている。また、ガイド部材52およびプレート25には上下方向に複数の貫通孔が形成されており、ガイド部材52およびプレート25は、プレート25の上方から貫通孔に挿入された複数のボルト61によってクローラフレーム41の上面41aに固定されている。すなわち、
図4に示すように、プレート24、25のうちプレート24が、旋回中心Aから遠い側に配置され、プレート25が旋回中心Aに近い側に配置されている。
【0035】
プレート24は、
図4および
図5に示すように、ガイド部材51のガイド面51aから脚部32側に突出しており、脚部32の縁部321を上方から覆っている。また、プレート25は、ガイド部材52のガイド面52aから脚部32側に突出しており、脚部32の縁部322を上方から覆っている。
【0036】
(1−2−5.ライナープレート)
図7に示すように、ライナープレート26は、脚部32の縁部321にボルトによって取り付けられており、ライナープレート27は、脚部32の縁部322にボルトによって取り付けられている。なお、ボルトのヘッドは、ライナープレート26、27に埋め込まれており、ライナープレート26、27の表面から突出していない。
図8は、
図7からライナープレート26、27を取り外した状態を示す図である。
ライナープレート26は、
図4のB部拡大図およびE部拡大図に示すように、板状の部材であって、L字状に形成されている。また、
図7および
図8に示すように、ライナープレート26の屈曲部が縁部321の上側の角を覆うようにライナープレート26は縁部321に取り付けられている。詳細には、ライナープレート26は、
図4に示すように、縁部321の上面321aに配置された水平部261と、縁部321の端面32aに配置された鉛直部262を有する。ライナープレート26の水平部261は、脚部32の縁部321とプレート24の間に配置され、鉛直部262は、ガイド部材51のガイド面51aと縁部321の端面32aとの間に配置されている。
【0037】
なお、水平部261の両主面は平面であり、プレート24の下面と摺動可能である。また、鉛直部262の両主面は平面であり、ガイド面51aと摺動可能である。
センタフレーム20に対してクローラフレーム41をスライドさせる際には、ライナープレート26がプレート24およびガイド部材51と摺動する。
ライナープレート27は、
図4および
図6に示すように板状の部材であり、
図4のC部拡大図およびD部拡大図に示すように脚部32の縁部322の上面322aに配置されている。ライナープレート27は、
図4のC部拡大図およびD部拡大図に示すように縁部322とプレート25の間に配置されている。ライナープレート27の両主面は平面であり、プレート25の下面と摺動可能である。
【0038】
センタフレーム20に対してクローラフレーム41をスライドさせる際には、ライナープレート27がプレート25と摺動する。
なお、ライナープレート26の鉛直部262とガイド面51aの間の隙間は、端面32bとガイド面52aとの間の隙間より狭く形成されており、マシン加工により精度よく形成されている。このように、全ての脚部32において旋回中心Aよりも遠い側のガイド面51aと脚部32の間の隙間を狭く形成することによって、センタフレーム20に対してクローラフレーム41をスライドさせる際にねじれを生じさせ難くすることができる。
【0039】
また、本実施の形態では、ガイド部材51、52、プレート24、25およびライナープレート26、27は、いずれも耐摩耗性を有する部材によって形成されている。耐摩耗性を有する部材としては、例えば、ハイテン(HITEN (High Tensile Strength Steel Sheets))780等を用いることができる。
また、ガイド部材51、52、およびプレート24、25はクローラフレーム41に取外し可能に固定されており、ライナープレート26、27は、脚部32に取り外し可能に固定されている。これにより、スライド動作により、ガイド部材51、52、プレート24、25およびライナープレート26、27が磨耗した場合には、取り替えることが出来る。
【0040】
(1−2−6.油圧シリンダ22)
図9は、本実施の形態の走行体2の底面図である。
図9に示すように、走行体2には、4つの油圧シリンダ22が設けられている。それぞれの油圧シリンダ22は、脚部32の下方に配置されている。
図10は、左前側の油圧シリンダ22を示す斜視図である。
図10に示すように、油圧シリンダ22は、シリンダチューブ221と、シリンダチューブ221内を摺動可能なピストン(図示せず)と、ピストンに連結されたロッド222とを主に有する。各々の油圧シリンダ22は、各々の脚部32の下方に、車幅方向Yに沿って伸縮可能に配置されている。
【0041】
油圧シリンダ22のシリンダチューブ221が、
図10に示すように、センタフレーム20の下面20aに固定されている。また、シリンダチューブ221から車幅方向Yの外側に向かって伸びたロッド222が、クローラフレーム41の内側面41bに連結されている。なお、
図9では、全ての油圧シリンダ22が伸長した状態を示しており、走行部21Lのクローラフレーム41および走行部21Rのクローラフレーム41の双方とも拡大位置に配置されている状態が示されている。
【0042】
また、
図9では図示していないが、油圧シリンダ22に下方から岩等が接触することを防ぐために、油圧シリンダ22はカバー(中央カバー70および端カバー71)によって覆われている。
図11は、中央カバー70および端カバー71が取り付けられた状態を示す走行体2の斜視図である。
図12は。中央カバー70および端カバー71が取り付けられた状態を示す走行体2の底面図である。
図11および
図12に示すように、中央カバー70は、センタフレーム20の下面20aに固定されており、車幅方向Yに沿って並んで配置された2つの油圧シリンダ22を覆うように車幅方向Yに沿って設けられている。本実施の形態では、中央カバー70は、車幅方向Yに沿って中央カバー部70a、70b、70cに3分割されており、それぞれが下面20aに固定されている。また、端カバー71は、中央カバー70の車幅方向Yの両側のそれぞれに設けられている。端カバー71は、クローラフレーム41の内側面41bに固定されている。端カバー71の内側の端711は、中央カバー70の内側に入り込んでいる。
【0043】
油圧シリンダ22が収縮することによってセンタフレーム20に対するクローラフレーム41の位置が内側に移動すると、端カバー71は中央カバー70に対してスライドして中央カバー70の内側により入り込む。
このように、油圧シリンダ22を覆うカバーが少なくとも端カバー71と中央カバー70の間で分けられていることによって、この間が一体となっているカバーと比較して、スライドの際にカバーにひずみが生じ難く、カバーの劣化を抑制できる。なお、
図12では、走行部21Rのクローラフレーム41が拡大位置(車幅方向Yの外側に移動した位置ともいえる)に配置されており、走行部21Lのクローラフレーム41が縮小位置(車幅方向Yの内側に移動した位置ともいえる)に配置されている。
【0044】
(1−2−7.クローラ側位置決め部28、センタ側位置決め部29、位置決めピン30)
クローラ側位置決め部28、センタ側位置決め部29および位置決めピン30によって、センタフレーム20に対してクローラフレーム41が拡大位置または縮小位置で位置決め固定される。
【0045】
図13は、左前側の脚部32近傍を示す斜視図である。
図10および
図13に示すように、クローラ側位置決め部28は、厚板形状であって、クローラフレーム41の内側面41bから車幅方向Yの内側に向かって突出するようにクローラフレーム41に設けられている。クローラ側位置決め部28は、その上面がクローラフレーム41の上面41aと略同じ高さになるように配置されている。クローラ側位置決め部28の先端部分には、上下方向に形成された貫通孔28aが形成されている(
図13の点線部分参照)。
【0046】
センタ側位置決め部29は、縁部321から内側に繋がって形成された板状の位置決め上部291と、位置決め上部291の下側に所定の間隔を空けて配置された板状の位置決め下部292とを有している。
図10に示すように、位置決め下部292は、下面20aに固定された台座293に固定されている。
位置決め上部291には、
図13に示すように、上下方向に形成された貫通孔291a、291bが形成されている。貫通孔291a、291bは、車幅方向Yに沿って配置されており、貫通孔291aが貫通孔291bよりも内側に形成されている。また、位置決め下部292には、上下方向に形成された貫通孔292a、292bが形成されている。貫通孔292a、292bは、車幅方向Yに沿って配置されており、貫通孔292aが貫通孔292bよりも内側に形成されている。貫通孔291aと貫通孔292aは対向して形成されており、貫通孔291bと貫通孔292bは対向して形成されている。位置決め上部291と位置決め下部292の間に、クローラ側位置決め部28が挿入される。
【0047】
貫通孔28aと貫通孔291a、292aが対向し、上下方向に一列に配置された状態が、センタフレーム20に対してクローラフレーム41が縮小位置に配置された状態に対応する。また、貫通孔28bと貫通孔291b、292bが対向し、上下方向に一列に配置された状態が、センタフレーム20に対してクローラフレーム41が拡大位置に配置された状態に対応する。
【0048】
位置決めピン30は、貫通孔28aと貫通孔291a、292aが対向し、上下方向に一列に配置された状態において、上方から貫通孔28a、291a、292aに挿入される。このとき、位置決めピン30の上部は、貫通孔291aの径よりも大きく形成されているため、位置決め上部291の貫通孔291aの縁部291cに当接し位置決めピン30の抜け落ちが規制される。そして、位置決めピン30は、位置決め下部292の下側においてリンチピン30aによって抜け止めされる。これによって、縮小位置においてクローラフレーム41をセンタフレーム20に対して位置決めして固定できる。
【0049】
また、位置決めピン30は、貫通孔28aと貫通孔291b、292bが対向し、上下方向に一列に配置された状態において、上方から貫通孔28a、291b、292bに挿入される。このとき、位置決めピン30の上部は、貫通孔291bの径よりも大きいため、位置決め上部291の貫通孔291aの縁部291dに当接するため位置決めピン30の抜け落ちが規制される。そして、位置決め下部292の下側においてリンチピン30aによって抜け止めされる。これによって、拡大位置においてクローラフレーム41をセンタフレーム20に対して位置決めして固定できる。
【0050】
<2.動作>
本実施の形態の油圧ショベル100の動作について説明する。
図14(a)〜(d)は、走行部21Lをセンタフレーム20に対して縮小位置から拡大位置に移動させる動作について説明するための模式図である。
図14(a)に示す縮小位置では、位置決めピン30は、貫通孔28aと貫通孔291a、292aに挿入されている。この状態からリンチピン30aを取外して位置決めピン30が貫通孔28a、291a、292aから引き抜かれる。
【0051】
次に、
図14(b)に示すように、位置決めピン30が貫通孔291bに挿入される。ここで、位置決めピン30は、クローラ側位置決め部28の表面に載置された状態となっている。
この状態で、
図9に示す走行部21Lに連結された2つの油圧シリンダ22が伸長される。これによって走行部21Lは、
図14(c)に示すように、センタフレーム20に対して外側にスライド移動する。このスライド移動の際には、ガイド部23によって車幅方向Yにガイドされるとともに、センタフレーム20の脚部32のクローラフレーム41からの上方への離間が規制される。なお、ガイド部23によるガイドは、主に、走行部21Lに配置される2つの脚部32において旋回中心Aよりも遠い側(2つの脚部32における前後方向Xの外側ともいえる)に位置するライナープレート26とガイド部材51との間の2箇所の摺動によって行われる。また、上方への離間の規制は、ライナープレート26、27がプレート24、25に摺動することよって行われる。
【0052】
そして、クローラ側位置決め部28の貫通孔28aが、センタ側位置決め部29の貫通孔291b、292bと対向すると、
図14(d)に示すように、位置決めピン30は自重により貫通孔28aおよび貫通孔292bを挿通する。この状態で
図13に示すリンチピン30aが位置決めピン30に取り付けられ、走行部21Lの拡大位置における固定が完了する。
【0053】
一方、走行部21Lをセンタフレーム20に対して拡大位置から縮小位置に移動させる場合は、はじめに、
図14(d)に示す状態から位置決めピン30が貫通孔291b、28a、292bから引き抜かれる。
次に、
図9に示す走行部21Lに連結された2つの油圧シリンダ22が縮小される。そして、クローラ側位置決め部28の貫通孔28aが、センタ側位置決め部29の貫通孔291a、292aと対向すると、貫通孔28a、291a、292aに位置決めピン30が挿通される。そして、リンチピン30aが位置決めピン30に取り付けられ、走行部21Lの縮小位置における固定が完了する。
なお、走行部21Rの縮小位置と拡大位置の間における移動については、走行部21Lと同様であるため説明を省略する。
【0054】
<3.特徴等>
(3−1)
本実施の形態の油圧ショベル100(作業車両の一例)は、旋回体3と、一対のクローラフレーム41と、センタフレーム20と、ガイド部23と、プレート24、25(規制部材の一例)と、を備える。一対のクローラフレーム41は、車幅方向Yにおいて互いに対向するように配置され、車幅方向Yに対して垂直な前後方向Xに沿って形成されている。センタフレーム20は、中央部31と、脚部32と、を有する。中央部31は、平面視において一対のクローラフレーム41の間に配置され旋回体3が配置される。脚部32は、中央部31から各々のクローラフレーム41に向かって形成されクローラフレーム41の上面41aに載置されている。ガイド部23は、クローラフレーム41の上面41aにおいて脚部32に隣接して形成され、一対のクローラフレーム41のゲージ幅が拡大する拡大位置とゲージ幅が縮小する縮小位置との間で車幅方向Yにクローラフレーム41を案内する。プレート24、25は、脚部32の少なくとも一部を覆うように配置され、脚部32の上方への移動を規制する。
【0055】
ここで、センタフレーム20に対してクローラフレーム41を拡大位置と縮小位置の間で移動させる際には、センタフレーム20の脚部32はクローラフレーム41の上面41aに設けられたガイド部23で案内され、脚部32のクローラフレーム41からの上方への離間は、プレート24、25によって規制される。
これにより、センタフレーム20の脚部32がクローラフレーム41の上面41aに配置された構成で移動可能となり、クローラフレームにセンタフレームの脚部を挿通する嵌合孔を形成する必要がない。
そのため、クローラフレーム40の上下方向の幅を小さくでき、重量を抑えることが可能となる。
なお、ゲージ幅とは、一対のクローラフレーム41間の距離のことである。
【0056】
(3−2)
本実施の形態の油圧ショベル100(作業車両の一例)では、プレート24、25(規制部材の一例)は、脚部32の前後方向Xの両側に設けられている。
これにより、より安定して脚部32の上方への移動を規制することが出来る。
【0057】
(3−3)
本実施の形態の油圧ショベル100(作業車両の一例)では、プレート24、25(規制部材の一例)と脚部32との間にライナープレート26、27(プレート部材の一例)が配置されている。
【0058】
このようにライナープレート26、27を備えることにより、プレート24、25とライナープレート26、27が摺動しながらクローラフレーム41がセンタフレーム20に対して移動することができるため、ガタつきを抑え、安定してスライド移動させることが可能となる。
これにより、プレート24、25との摺動によりライナープレート26、27が磨耗しガタ付が生じた場合であってもライナープレート26、27を交換することにより容易に対処することができる。
また、耐摩耗性を持つ材料によってライナープレート26、27を形成することによって耐久性を向上できる。
【0059】
(3−4)
本実施の形態の油圧ショベル100(作業車両の一例)では、ガイド部23は、脚部32の前後方向Xにおける両方の端面32a、32bに沿って形成されたガイド部材51、52を有する。ガイド部23の前後方向Xのいずれか一方のガイド部材51と脚部32との間にライナープレート26(プレート部材の一例)が配置されている。
【0060】
このように、ライナープレート26を備えることにより、ライナープレート26とガイド部材51が摺動しながらクローラフレーム41がセンタフレーム20に対して移動することができるため、ガタつきを抑え、安定してスライド移動させることが可能となる。
これにより、ガイド部材51との摺動によりライナープレート26が磨耗しガタ付が生じた場合であってもライナープレート26を交換することにより容易に対処することができる。
また、耐摩耗性を持つ材料によってライナープレート26を形成することによって耐久性を向上できる。
【0061】
(3−5)
本実施の形態の油圧ショベル100(作業車両の一例)では、ガイド部23は、脚部32の前後方向Xにおける両方の端面32a、32bに沿って形成されたガイド部材51、52を有する。脚部32は、中央部31から各々のクローラフレーム41に対して2つずつ設けられている。4つの脚部32の各々の前後方向Xの両側のうち旋回体3の旋回中心Aから遠い側のプレート24と脚部32の間と、旋回中心Aから遠い側のガイド部材51と脚部32の間にライナープレート26(プレート部材の一例)が配置されている。
このように、4つの脚部32の各々の前後方向Xの両側のうち旋回体3の旋回中心Aから遠い側にライナープレート26が設けられることにより、寸法を精度良く形成することが可能となり、センタフレーム20に対してクローラフレーム41をスライドさせる際にねじりを生じ難くさせることができる。
【0062】
(3−6)
本実施の形態の油圧ショベル100(作業車両の一例)では、脚部32は、中央部31から各々のクローラフレーム41に対して2つずつ設けられている。4つの脚部32の各々の前後方向Xの両側のうち旋回体3の旋回中心Aから近い側のプレート25と脚部32の間にライナープレート27(プレート部材の一例)が配置されている。
これにより、より安定して、センタフレーム20に対してクローラフレーム41をスライド移動させることが出来る。
【0063】
(3−7)
本実施の形態の油圧ショベル100(作業車両の一例)では、センタフレーム20に対してクローラフレーム41を拡大位置と縮小位置の間でスライドさせる油圧シリンダ22を更に備える。一対のクローラフレーム41のゲージ幅は、油圧シリンダ22によって変更される。
このように油圧シリンダ22を設けることにより、油圧によって容易にセンタフレーム20に対してクローラフレーム41をスライド移動させることができる。
【0064】
(3−8)
本実施の形態の油圧ショベル100(作業車両の一例)では、クローラ側位置決め部28(クローラフレーム貫通孔形成部の一例)と、センタ側位置決め部29(脚部貫通孔形成部の一例)と、位置決めピン30(挿通部材の一例)と、を備える。クローラ側位置決め部28は、貫通孔28a(第1貫通孔の一例)を有し、クローラフレーム41に設けられている。センタ側位置決め部29は、クローラフレーム41が拡大位置に配置されているときに貫通孔28aに対向する貫通孔291b、292b(第2貫通孔の一例)と、クローラフレーム41が縮小位置に配置されているときに貫通孔28aに対向する貫通孔291a、292a(第3貫通孔の一例)と、を有する。位置決めピン30は、クローラフレーム41が拡大位置に配置されているときに貫通孔28aおよび貫通孔291b、292bに挿通され、クローラフレーム41が縮小位置に配置されているときに貫通孔28aおよび貫通孔291a、292aに挿通される。
これにより、クローラフレーム41を拡大位置または縮小位置においてセンタフレーム20に固定することができる。
【0065】
[他の実施形態]
以上、本開示の一実施の形態について説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施の形態では、ライナープレート26は、L字型になっており、水平部261と鉛直部262が1つの部材で形成されているが、水平部261と鉛直部262が別々の部材で形成されていてもよい。
【0066】
(B)
上記実施の形態では、クローラフレーム41の上面41aにガイド部材51、52を配置することによってガイド部23を形成しているが、別の部材を配置せずに、クローラフレーム41の上面41a自体がガイド部を形成するような構成であってもよい。
しかしながら、磨耗を考慮すると、上面41aに交換可能に取り付けられた部材によってガイド部が構成されているほうがより好ましい。
【0067】
(C)
上記実施の形態では、ガイド部材51と脚部32の間にライナープレート26が配置されて、ガイド部材52と脚部32の間にはライナープレートが配置されていないが、逆であってもよい。この場合、ガイド部材52と脚部32の間の隙間が、ガイド部材52と脚部32の間の隙間よりも狭く設定され、車幅変更のスライドの際には、ガイド部材52と脚部32に固定されたライナープレートが摺動することになる。
【0068】
しかしながら、旋回中心Aより遠い側(1つのクローラフレーム41に配置される2つの脚部32の外側ともいえる)において摺動した方が、旋回中心Aに近い側(1つのクローラフレーム41に配置される2つの脚部32の内側ともいえる)で摺動するよりもねじれ等が生じにくい。そのため、本実施の形態のように、ガイド部材51と脚部32の間にライナープレート26が配置されたほうが、より好ましい。
【0069】
(D)
上記実施の形態では、脚部32の前後方向Xにおける一方の端にライナープレート26が取り付けられており、他方の端にライナープレート27が取り付けられているが、いずれか一方のみであってもよい。
(E)
上記実施の形態では、脚部32の前後方向Xにおける両側にプレート24、25が設けられていたが、脚部32の上方への移動を規制可能であれば、どちらか一方のみが設けられていてもよい。
【0070】
(F)
上記実施の形態では、作業車両の一例として油圧ショベル100を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。例えば、解体用の作業車両などであってもよく、要するに、走行部21L、21Rの間隔(ゲージ幅)を変更可能な作業車両に対して本発明を適用可能である。