特許第6671264号(P6671264)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機ビルテクノサービス株式会社の特許一覧
特許6671264所在人数予測装置、設備管理システム、所在人数予測方法及びプログラム
<>
  • 特許6671264-所在人数予測装置、設備管理システム、所在人数予測方法及びプログラム 図000002
  • 特許6671264-所在人数予測装置、設備管理システム、所在人数予測方法及びプログラム 図000003
  • 特許6671264-所在人数予測装置、設備管理システム、所在人数予測方法及びプログラム 図000004
  • 特許6671264-所在人数予測装置、設備管理システム、所在人数予測方法及びプログラム 図000005
  • 特許6671264-所在人数予測装置、設備管理システム、所在人数予測方法及びプログラム 図000006
  • 特許6671264-所在人数予測装置、設備管理システム、所在人数予測方法及びプログラム 図000007
  • 特許6671264-所在人数予測装置、設備管理システム、所在人数予測方法及びプログラム 図000008
  • 特許6671264-所在人数予測装置、設備管理システム、所在人数予測方法及びプログラム 図000009
  • 特許6671264-所在人数予測装置、設備管理システム、所在人数予測方法及びプログラム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671264
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】所在人数予測装置、設備管理システム、所在人数予測方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20120101AFI20200316BHJP
【FI】
   G06Q10/04
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-158384(P2016-158384)
(22)【出願日】2016年8月12日
(65)【公開番号】特開2018-26028(P2018-26028A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2018年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成井 智祐
(72)【発明者】
【氏名】妻鹿 利宏
(72)【発明者】
【氏名】田口 浩
(72)【発明者】
【氏名】辻田 亘
【審査官】 松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−298353(JP,A)
【文献】 特開2016−122373(JP,A)
【文献】 特開2012−194700(JP,A)
【文献】 特開平04−213575(JP,A)
【文献】 特開2011−180974(JP,A)
【文献】 特開2008−252646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の所定のエリアの現時点における所在人数を周期的に取得し、記憶手段に保存する所在人数取得手段と、
前記記憶手段に記憶された予測当日における前記エリアの所在人数の履歴に基づいて予測当日において相対的に所在人数の時間変動が大きいと推測される時間帯を検出し、前記時間帯の終了時における所在人数を、予測当日における前記エリアの所在人数の時間変動の特徴量として抽出する特徴量抽出手段と、
前記特徴量抽出手段により抽出された特徴量及び前記エリアの所在人数の時間変動を表す変動モデルにおける前記時間帯の終了時に対応する時間における所在人数に基づいて予測当日の前記エリアの所在人数を予測する所在人数予測手段と、
を有することを特徴とする所在人数予測装置。
【請求項2】
前記所在人数予測手段は、前記特徴量抽出手段により抽出された特徴量と前記エリアの所在人数の時間変動を表す変動モデルにおける前記時間帯の終了時に対応する時間における所在人数との差分に基づいて前記変動モデルを調整し、その調整した変動モデルに基づき予測当日の前記エリアの所在人数を予測することを特徴とする請求項1に記載の所在人数予測装置。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶された所定期間内における前記エリアの所在人数と前記所定期間内における前記変動モデルが示す所在人数との差分に基づいて前記変動モデルの更新の要否を判定し、更新要と判定した場合に前記エリアの変動モデルを更新する変動モデル更新手段を有することを特徴とする請求項1に記載の所在人数予測装置。
【請求項4】
記時間帯は、出勤時間帯、昼食時間帯又は退勤時間帯の少なくとも1つであることを特徴とする請求項に記載の所在人数予測装置。
【請求項5】
建物内に設置されたエレベーターの乗降の状況を示す情報に基づいて前記エリアとしての階の所在人数を推定する所在人数推定手段を有し、
前記所在人数取得手段は、前記所在人数推定手段により推定された所在人数を取得することを特徴とする請求項1に記載の所在人数予測装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の所在人数予測装置と、
前記所在人数予測装置により予測された前記エリアの所在人数に基づき前記建物内に設置された設備の管理を行う設備管理装置と、
を有することを特徴とする設備管理システム。
【請求項7】
コンピュータが、
建物内の所定のエリアの現時点における所在人数を周期的に取得し、記憶手段に保存する所在人数取得ステップと、
前記記憶手段に記憶された予測当日における前記エリアの所在人数の履歴に基づいて予測当日において相対的に所在人数の時間変動が大きいと推測される時間帯を検出し、前記時間帯の終了時における所在人数を、予測当日における前記エリアの所在人数の時間変動の特徴量として抽出する特徴量抽出ステップと、
前記特徴量抽出ステップにより抽出された特徴量及び前記エリアの所在人数の時間変動を表す変動モデルにおける前記時間帯の終了時に対応する時間における所在人数に基づいて予測当日の前記エリアの所在人数を予測する所在人数予測ステップと、
を含むことを特徴とする所在人数予測方法。
【請求項8】
コンピュータを、
建物内の所定のエリアの現時点における所在人数を周期的に取得し、記憶手段に保存する所在人数取得手段、
前記記憶手段に記憶された予測当日における前記エリアの所在人数の履歴に基づいて予測当日において相対的に所在人数の時間変動が大きいと推測される時間帯を検出し、前記時間帯の終了時における所在人数を、予測当日における前記エリアの所在人数の時間変動の特徴量として抽出する特徴量抽出手段、
前記特徴量抽出手段により抽出された特徴量及び前記エリアの所在人数の時間変動を表す変動モデルにおける前記時間帯の終了時に対応する時間における所在人数に基づいて予測当日の前記エリアの所在人数を予測する所在人数予測手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所在人数予測装置、設備管理システム、所在人数予測方法及びプログラム、特に所在人数の時間変動を表す変動モデルを利用した所在人数の予測に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の建物の設備を運用管理する上で各階の所定時間後、例えば1時間後の各階の在室人数を予測したい場合がある。従来では、エレベーターの乗降者数に基づき求められた在室人数からモデルを作成し、そのモデルに従って在室人数を予測する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ただ、実際には、何らかの原因によりモデル通りの在室人数とはならず誤差が生じる場合がある。この場合、所定時間後の各階の在室人数を精度良く予測するために予測当日の在室人数に基づきモデルをその都度再作成していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−298353号公報
【特許文献2】特開2006−029607号公報
【特許文献3】特開平08−035706号公報
【特許文献4】特開2011−007359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来においては、モデルを再作成することによって予測誤差を抑制することは可能であるかもしれない。しかしながら、例えばある1日だけ外部から招待客を招いた集会の開催あるいは交通障害の発生による出勤の遅滞など人数の変動が一時的又は突発的に生じても、従来においてはモデルを再作成し更新していた。従って、翌日、在室人数の時間変動が通常通りに戻った場合、変動モデルを再度作成し直すことになっていた。
【0006】
本発明は、エリア内の所在人数が所在人数の予測に用いる変動モデルと差異が生じた場合にでも、当該変動モデルを差異が生じる度に更新することなく所在人数の予測誤差を抑制可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る所在人数予測装置は、建物内の所定のエリアの現時点における所在人数を周期的に取得し、記憶手段に保存する所在人数取得手段と、前記記憶手段に記憶された予測当日における前記エリアの所在人数の履歴に基づいて予測当日において相対的に所在人数の時間変動が大きいと推測される時間帯を検出し、前記時間帯の終了時における所在人数を、予測当日における前記エリアの所在人数の時間変動の特徴量として抽出する特徴量抽出手段と、前記特徴量抽出手段により抽出された特徴量及び前記エリアの所在人数の時間変動を表す変動モデルにおける前記時間帯の終了時に対応する時間における所在人数に基づいて予測当日の前記エリアの所在人数を予測する所在人数予測手段と、を有するものである。
【0008】
また、前記所在人数予測手段は、前記特徴量抽出手段により抽出された特徴量と前記エリアの所在人数の時間変動を表す変動モデルにおける前記時間帯の終了時に対応する時間における所在人数との差分に基づいて前記変動モデルを調整し、その調整した変動モデルに基づき予測当日の前記エリアの所在人数を予測するものである。
【0009】
また、前記記憶手段に記憶された所定期間内における前記エリアの所在人数と前記所定期間内における前記変動モデルが示す所在人数との差分に基づいて前記変動モデルの更新の要否を判定し、更新要と判定した場合に前記エリアの変動モデルを更新する変動モデル更新手段を有するものである。
【0011】
また、前記所定時間帯は、出勤時間帯、昼食時間帯又は退勤時間帯の少なくとも1つであるものとする。
【0012】
また、建物内に設置されたエレベーターの乗降の状況を示す情報に基づいて前記エリアとしての階の所在人数を推定する所在人数推定手段を有し、前記所在人数取得手段は、前記所在人数推定手段により推定された所在人数を取得するものである。
【0013】
本発明に係る設備管理システムは、上記各発明に係る所在人数予測装置と、前記所在人数予測装置により予測された前記エリアの所在人数に基づき前記建物内に設置された設備の管理を行う設備管理装置と、を有するものである。
【0014】
本発明に係る所在人数予測方法は、コンピュータが、建物内の所定のエリアの現時点における所在人数を周期的に取得し、記憶手段に保存する所在人数取得ステップと、前記記憶手段に記憶された予測当日における前記エリアの所在人数の履歴に基づいて予測当日において相対的に所在人数の時間変動が大きいと推測される時間帯を検出し、前記時間帯の終了時における所在人数を、予測当日における前記エリアの所在人数の時間変動の特徴量として抽出する特徴量抽出ステップと、前記特徴量抽出ステップにより抽出された特徴量及び前記エリアの所在人数の時間変動を表す変動モデルにおける前記時間帯の終了時に対応する時間における所在人数に基づいて予測当日の前記エリアの所在人数を予測する所在人数予測ステップと、を含むものである。
【0015】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、建物内の所定のエリアの現時点における所在人数を周期的に取得し、記憶手段に保存する所在人数取得手段、前記記憶手段に記憶された予測当日における前記エリアの所在人数の履歴に基づいて予測当日において相対的に所在人数の時間変動が大きいと推測される時間帯を検出し、前記時間帯の終了時における所在人数を、予測当日における前記エリアの所在人数の時間変動の特徴量として抽出する特徴量抽出手段、前記特徴量抽出手段により抽出された特徴量及び前記エリアの所在人数の時間変動を表す変動モデルにおける前記時間帯の終了時に対応する時間における所在人数に基づいて予測当日の前記エリアの所在人数を予測する所在人数予測手段、として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エリア内の所在人数が所在人数の予測に用いる変動モデルと差異が生じた場合にでも、当該変更モデルを差異が生じる度に更新することなく所在人数の予測誤差を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る設備管理システムの一実施の形態を示した全体構成図である。
図2】本実施の形態における在室人数予測装置を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
図3】本実施の形態における在室人数予測装置のブロック構成図である。
図4】本実施の形態における変動モデル情報記憶部に記憶される変動モデルをグラフ形式にて示した図である。
図5】本実施の形態における変動モデルの特徴量情報のデータ構成の一例を示した図である。
図6】本実施の形態における在室人数予測処理を示したフローチャートである。
図7】本実施の形態における予測当日の特徴量情報のデータ設定例を示した図である。
図8】本実施の形態において予測当日の在室人数の時間変動を示した図である。
図9】本実施の形態における変動モデルの再作成処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る設備管理システムの一実施の形態を示した全体構成図である。図1には、本発明に係る所在人数予測装置の一実施の形態である在室人数予測装置10と、在室人数予測装置10により予測されたエリアの所在人数に基づき建物内に設置された設備の管理を行う設備管理装置1と、がネットワーク2に接続された構成が示されている。本実施の形態では、建物として複数階建てのテナントビルを想定して説明する。また、ビルの各階は、本発明におけるエリアに相当し、ビルの各階にはテナントが入居する部屋があって、各階にいる者は部屋に在室しているものとする。従って、本実施の形態において「所在人数」と「在室人数」とは同義である。
【0020】
図2は、本実施の形態における在室人数予測装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において在室人数予測装置10を形成するコンピュータは、パーソナルコンピュータ(PC)等従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、図2に示したようにCPU21、ROM22、RAM23、ハードディスクドライブ(HDD)24、入力手段として設けられたマウス25とキーボード26、及び表示装置として設けられたディスプレイ27をそれぞれ接続する入出力コントローラ28、通信手段として設けられたネットワークコントローラ29を内部バス30に接続して構成される。設備管理装置1も同様にコンピュータで実現することから、そのハードウェア構成は図2と同様に図示できる。
【0021】
図3は、本実施の形態における在室人数予測装置10のブロック構成図である。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については図3から省略している。本実施の形態における在室人数予測装置10は、在室人数取得部11、特徴量抽出部12、在室人数予測部13、差分抽出部14、変動モデル再作成部15、在室人数情報記憶部16、変動モデル情報記憶部17及び差分情報記憶部18を有している。在室人数取得部11は、所在人数取得手段として設けられ、建物内の階毎に、現時点における在室人数を周期的に取得し、在室人数情報記憶部16に保存する。特徴量抽出部12は、特徴量抽出手段として設けられ、在室人数情報記憶部16に記憶された予測当日における各階の在室人数の履歴に基づいて予測当日における各階の在室人数の時間変動の特徴量を抽出する。在室人数予測部13は、所在人数予測手段として設けられ、特徴量抽出部12により抽出された特徴量及び階毎に用意され、各階の在室人数の時間変動を表す変動モデルにおける特徴量に基づいて予測当日の所定時間後の各階の在室人数を予測する。差分抽出部14は、在室人数情報記憶部16に記憶された所定期間内における各階の在室人数と当該所定期間内における変動モデルが示す在室人数との差分を抽出して差分情報記憶部18に登録する。変動モデル再作成部15は、変動モデル更新手段として設けられ、差分抽出部14により抽出された差分に基づいて変動モデルの更新の要否を階毎に判定し、更新要と判定した場合に当該階の変動モデルを再作成して更新する。
【0022】
在室人数情報記憶部16に蓄積される在室人数情報は、在室人数取得部11より取得された各階の在室人数、在室人数が取得された階、取得日時が少なくとも対応付けして形成される。
【0023】
図4は、本実施の形態における変動モデル情報記憶部17に記憶される変動モデルをグラフ形式にて示した図である。変動モデルは、前述したように階毎に設定される。横軸は時間で、縦軸は在室人数を示す。変動モデルは、所定期間として1日(1営業日)が設定され、作成される。変動モデルのグラフの形状は、各階のテナントの人数や勤務形態等によって異なってくる。図4に例示したグラフの形状によると、当該階の居住者の多くは、朝の8時から9時の間に出勤し、18時から19時の間に退勤する。そして、ランチタイムは約半分が他の階(食堂階若しくはビルの外)に移動して昼食を取るのが通常の営業日における行動パターンと解釈できる。変動モデルは、在室人数情報記憶部16に記憶された在室人数の実績に基づき作成される。なお、変動モデルは階毎に設定され、在室人数取得部11により取得された在室人数は、言うまでもなく同じ階の変動モデルを比較対象とする。
【0024】
この変動モデルから抽出される特徴量情報のデータ構成例を図5に示す。本実施の形態は、変動モデルや在室人数の履歴から得られる在室人数の時間変動を解析することで在室人数の時間変動を示す所定時間帯を検出し、その検出した所定時間帯の特徴量に基づいて在室人数を予測することを特徴の一つとしている。本実施の形態では、所定時間帯として出勤時間帯、昼食時間帯及び退勤時間帯を抽出している。これらの時間帯は、相対的に在室人数の時間変動が大きいと推測される時間帯であり、この時間帯での在室人数(実績値)と変動モデルが示す在室人数との差分が大きいと所定時間後における予測誤差を招きやすい。また、所定時間帯では、在室人数の時間変動が大きい分、グラフの形状において特徴が出やすく、そして特徴量(波形の形状、最大値等)は変わらないと推測できる。もちろん、この3つの時間帯全てを抽出する必要はなく少なくとも1つでもよい。また、この3種類の時間帯に限定する必要はなく、各階のテナントの勤務形態等によって適宜抽出してもよい。
【0025】
図5に示した変動モデルの特徴量情報は、図4に示した変動モデルから抽出して生成できる情報である。図5に例示したように、特徴量情報には、所定時間帯毎に、当該所定時間帯の開始時刻、終了時刻、開始時刻における在室人数(開始時人数)及び終了時刻における在室人数(終了時人数)が設定される。特徴量情報は、変動モデルと共に変動モデル情報記憶部17に記憶される。差分情報記憶部18に記憶される差分情報については、処理の過程において作成されるので処理の説明と合わせて説明する。
【0026】
在室人数予測装置10における各構成要素11〜15は、在室人数予測装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU21で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部16〜18は、在室人数予測装置10に搭載されたHDD24にて実現される。あるいは、RAM23又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0027】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0028】
次に、本実施の形態における在室人数予測処理について図6に示したフローチャートを用いて説明する。在室人数予測処理は、定周期的、例えば所定時間毎(1時間毎)に起動され所定時間後の在室人数を予測する。なお、各階とも同じ処理を実行すればよいので、ここでは1つの階に着目して説明する。
【0029】
在室人数取得部11は、現時点における在室人数を取得する(ステップ101)。在室人数は、例えばエレベーターの乗降者人数から算出して推定するようにしてもよい。在室人数は、従前からある手法を用いて求めればよい。在室人数取得部11が取得する在室人数は、推定値であるかもしれないが、本実施の形態では実績値として用いる。そして、在室人数取得部11は、取得した日時、取得した階及び当該階の在室人数を組にして在室人数情報記憶部16に書き込み保存する(ステップ102)。
【0030】
続いて、特徴量抽出部12は、在室人数情報記憶部16に保存されている予測当日の在室人数を読み出し、その在室人数の履歴から予測当日の特徴量を抽出する(ステップ103)。この特徴量の抽出について具体的な数値を例にあげて説明する。
【0031】
図7は、在室人数情報記憶部16に蓄積された在室人数情報から得られる予測当日の特徴量情報のデータ設定例を示した図である。予測当日に実行された在室人数予測処理により、予測当日の在室人数の履歴から出勤時間帯は8時から9時と検出され、出勤時間帯における特徴量として開始時人数が8人、終了時人数が140人と抽出された例が示されている。なお、現在10時だとすると、図7に例示したように昼食時間帯及び退勤時間帯はまだ検出されない。
【0032】
ここで、現在(10時)の在室人数は、変動モデルにおける10時の在室人数と比べて53人多いとする。また、図5図7を比較すると、出勤時間帯における特徴量(終了時人数)は予測当日の方が(140人−105人)=35人多いことがわかる。本実施の形態では、単純に平均を取って(53人+35人)/2=44人が変動モデルとの差異と抽出する。本実施の形態では、この差異を特徴量の差分として抽出する。
【0033】
以上のようにして、特徴量の差分が得られると、在室人数予測部13は、予測当日の所定時間後(1時間後)、すなわち11時における在室人数を予測する(ステップ104)。これは、変動モデルにおける特徴量、具体的には11時における在室人数に特徴量の差分を加算する。例えば、変動モデルの11時における在室人数が126人を示しているとすると、在室人数予測部13は、予測当日の11時における在室人数を126人+44人=170人と予測する。そして、在室人数予測部13は、予測した在室人数を設備管理装置1に提供する(ステップ105)。
【0034】
設備管理装置1は、提供された予測人数を参照に各階の空調設備等の設備の運用管理を行う。なお、提供先は、設備管理装置1への提供に限らずディスプレイ27に表示させたり、HDD24に記録させたりしてもよい。
【0035】
図8は、予測当日の在室人数の実績値及び予測値を示した図である。変動モデルに従う従来技術では、一点鎖線のように変動モデルが示す時間変動に従って在室人数が予測されることになるが、本実施の形態においては、実線で示した予測当日の在室人数の実績値の履歴に基づき変動モデルとの特徴量の差分を抽出し、その特徴量に基づいて破線で示したように所定時間後(1時間後)の在室人数を予測し、更にその特徴量を反映させてそれ以降の在室人数をも予測するようにした。本実施の形態では、このようにして予測誤差を抑制する。
【0036】
換言すると、本実施の形態では、現在の変動モデルを調整して適用するとも言うことができる。ここでいう調整というのは、変動モデルを縦方向(人数方向)に伸張又は縮小(以下、「伸張/縮小」と表記)する又はシフトする。あるいは、変動モデルを横方向(時間方向)に伸張/縮小する又はシフトする。
【0037】
例えば、図8に示したように、予測当日と変動モデルとで出勤時間帯(8時〜9時)にずれが生じていない場合において、予測当日の在室人数が現在の変動モデルに対して多い場合、変動モデルを縦方向(人数方向)に伸張するよう調整して在室人数の予測に適用する。また、何らかの要因で予測当日の出勤時間帯が9時〜10時と変動モデルからずれが生じた場合、変動モデルを横方向(時間方向)に伸張又はシフトする。
【0038】
本実施の形態では、このように予測当日のある時刻の在室人数(実績値)が、変動モデルが示す当該時刻の在室人数と差異が生じた場合でも、変動モデルを再作成せずに、既存の変動モデルを拡縮又はシフトするなどして対応することを特徴の一つとしている。
【0039】
ところで、本実施の形態においては、前述したように予測当日の在室人数の時間変動が変動モデルとは異なる場合でも、変動モデルをその都度再作成せずに、調整により適用するようにした。これにより、一時的あるいは突発的な在室人数の時間変動に対応して変動モデルを再作成せずにすむようにした。
【0040】
しかしながら、変動モデルと異なる時間変動を示すパターンと同様のパターンの日が継続する場合、例えば、テナントが入れ替わったために新旧テナントの出退勤時間や昼食時間が異なるような場合、それは一時的な人数の時間変動とは言えず、一時的ではない恒久的な人数の時間変動と推測できる。このような場合は、現在の変動モデルの調整で対応するのではなく変動モデルを再作成して対応するのが適切である。
【0041】
以下、本実施の形態における変動モデルの再作成処理について図9に示したフローチャートを用いて説明する。再作成処理の起動タイミングは、前述した在室人数予測処理と同様に所定時間毎(1時間毎)でよく、在室人数予測処理に続けて実行するようにしてもよい。
【0042】
差分抽出部14は、在室人数取得部11により在室人数情報記憶部16に在室人数が登録されると、その在室人数と当該時刻に対応する変動モデルが示す在室人数との差分を抽出して差分情報記憶部18に登録する(ステップ111)。このようにして、所定期間内(本実施の形態では、1日(1営業日))における在室人数の差分情報が得られる。
【0043】
変動モデル再作成部15は、差分情報記憶部18に登録された在室人数の差分情報を、予め設定されている変動モデルの再作成の要否判断基準と照合し、変動モデルの再作成の要否を判断する(ステップ112)。例えば、変動モデルの再作成の要否判断基準には、同様の時間変動のパターンが数日(例えば3日)続くなどの傾向が数日間の差分情報に現れるなど、一時的又は突発的な時間変動ではないと考えられる時間変動が見られるかどうかという基準が設定される。同様に時間変動のパターンが継続した場合、テナントの入れ替え、若しくは入居(退居)があったことが推定できる。
【0044】
以上の結果、変動モデルの再作成が必要と判断した場合(ステップ113でY)、変動モデル再作成部15は、再作成要と判定した階の変動モデルを再作成し(ステップ114)、その変動モデルで変動モデル情報記憶部17に登録されている既存の変動モデルを更新する(ステップ115)。なお、この変動モデルの作成自体に本実施の形態の特徴はなく、従前と同様の手法にて変動モデルを作成すればよい。
【0045】
本実施の形態によれば、以上のようにして所定時間後の在室人数を予測する。特に、本実施の形態においては、出退勤時間帯や昼食時間帯などでは人の移動が多く人数は大きく変化しうるが、その時間帯においては、曜日や時節によって変わるかもしれないが、基本的には波形の形状(在室人数の時間変動)自体は変化しないということに着目して、予測当日の在室人数の時間変動と変動モデルの在室人数の時間変動とを比較するようにした。例えば、変動モデルにおける出勤時間帯に相当する9時〜10時を予測当日の9時〜10時と常に対比するのではなく、予測当日の在室人数の履歴から所定時間帯を検出して対比する。仮に、予測当日の在室人数の履歴から出勤時間帯が10時〜11時と抽出された場合、本実施の形態では、予測当日の出勤時間帯(10時〜11時)と変動モデルの出勤時間帯(9時〜10時)とを対応付ける。そして、前述したように予測当日に関しては変動モデルを再作成せずに拡縮したりシフトしたりして所定時間後の在室人数を予測する。
【符号の説明】
【0046】
1 設備管理装置、2 ネットワーク、10 在室人数予測装置、11 在室人数取得部、12 特徴量抽出部、13 在室人数予測部、14 差分抽出部、15 変動モデル再作成部、16 在室人数情報記憶部、17 変動モデル情報記憶部、18 差分情報記憶部、21 CPU、22 ROM、23 RAM、24 ハードディスクドライブ(HDD)、25 マウス、26 キーボード、27 ディスプレイ、28 入出力コントローラ、29 ネットワークコントローラ、30 内部バス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9