特許第6671272号(P6671272)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6671272軸継手カバー及びそれを備えるポンプ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671272
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】軸継手カバー及びそれを備えるポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/053 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
   F04D29/053 Z
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-233816(P2016-233816)
(22)【出願日】2016年12月1日
(65)【公開番号】特開2018-91188(P2018-91188A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】秋元 一完
(72)【発明者】
【氏名】國井 寛
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−118996(JP,U)
【文献】 特開昭53−091405(JP,A)
【文献】 特開2014−074456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00−13/16、17/00−19/02、21/00−25/16、29/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機と、ポンプ本体と、前記電動機の主軸と前記ポンプ本体の主軸をつなぐ軸継手と、該軸継手を覆う軸継手カバーを有するポンプ装置であって、
前記軸継手カバーは、前記軸継手を周方向に覆う筒状の形状を有する軸継手カバー本体と、該軸継手カバー本体の前記ポンプ本体側の開口を覆うアタッチメントからなり、
該アタッチメントが前記ポンプ本体の軸受カバーに固定されており、該軸受カバーに前記アタッチメントを介して前記軸継手カバー本体が固定されており、
前記アタッチメントは前記主軸と直交する方向において分割構造を有することを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプ装置であって、
前記アタッチメントは前記主軸と直交する方向において上側部分と下側部分の2分割構造を有することを特徴とするポンプ装置。
【請求項3】
請求項1に記載のポンプ装置であって、
前記軸継手カバー本体は前記主軸と直交する方向において分割構造を有することを特徴とするポンプ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のポンプ装置であって、
前記軸継手カバー本体は前記主軸と直交する方向において上側部分と下側部分の2分割構造を有することを特徴とするポンプ装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項に記載のポンプ装置であって、
前記アタッチメントは前記電動機側に延びる締結部を有し、該締結部で前記アタッチメントと前記軸継手カバー本体を締結することで前記軸継手カバーは前記ポンプ本体に支持されることを特徴とするポンプ装置。
【請求項6】
電動機の主軸とポンプ本体の主軸をつなぐ軸継手を覆う軸継手カバーであって、
前記軸継手を周方向に覆う筒状の形状を有する軸継手カバー本体と、該軸継手カバー本体の前記ポンプ本体側の開口を覆うアタッチメントからなり、
前記アタッチメントが前記ポンプ本体の軸受カバーに固定されることで、該軸受カバーに前記アタッチメントを介して前記軸継手カバー本体が固定され、
前記アタッチメントは前記主軸と直交する方向において分割構造を有することを特徴とする軸継手カバー。
【請求項7】
請求項6に記載の軸継手カバーであって、
前記アタッチメントは前記主軸と直交する方向において上側部分と下側部分の2分割構造を有することを特徴とする軸継手カバー。
【請求項8】
請求項に記載の軸継手カバーであって、
前記軸継手カバー本体は前記主軸と直交する方向において分割構造を有することを特徴とする軸継手カバー。
【請求項9】
請求項に記載の軸継手カバーであって、
前記軸継手カバー本体は前記主軸と直交する方向において上側部分と下側部分の2分割構造を有することを特徴とする軸継手カバー。
【請求項10】
請求項6から9の何れか1項に記載の軸継手カバーであって、
前記アタッチメントは前記電動機側に延びる締結部を有し、該締結部で前記アタッチメントと前記軸継手カバー本体を締結することで前記軸継手カバーは前記ポンプ本体に支持されることを特徴とする軸継手カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置に係り、特にポンプ本体の主軸とポンプ本体を駆動する電動機の主軸を連結する軸継手のカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ装置は、ポンプ本体の主軸が軸継手を介して電動機の主軸に連結されることによりポンプ本体が駆動される。主軸及び軸継手は高速回転するため、高速回転中の軸継手が破損した場合に破損物の飛散防止のために軸継手カバーが設けられている。また、軸継手カバーは、人体との接触や異物混入を防ぐために用いられている。
【0003】
従来の軸継手カバーは、回転方向に対してはカバーで覆うため軸継手が飛散した場合でも破損物を防止することができた。しかし、円周方向に対して覆うように取り付けられてはいるが、スラスト方向に対しては覆われていないため、誤って手等を入れられる構造となっている。また、人体との接触を防ぐため、側面板付カバーを付加した構成もあるが、完全に防いでいるわけではなかった。
【0004】
本技術分野の背景技術として、特開2014−173680号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、ガード本体上部とガード本体下部と脚部を有し、軸継手と主軸を覆う軸継手ガードが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−173680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、完全密閉形の軸継手ガードとし筒状の軸継手ガードを支えるための脚部が必要なため、部品点数が増加すると共に、組立てにかかる作業工数が増えるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、部品点数を小とし、組立て作業効率や作業性の問題を解決することができる軸継手カバー及びそれを備えるポンプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、その一例を挙げるならば、電動機と、ポンプ本体と、電動機の主軸とポンプ本体の主軸をつなぐ軸継手と、軸継手を覆う軸継手カバーを有するポンプ装置であって、軸継手カバーは、ポンプ本体の軸受カバーに固定されたアタッチメントと、アタッチメントに支持される軸継手カバー本体からなるように構成した。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、部品点数を小とし、組立て作業効率や作業性を向上した軸継手カバー及びそれを備えるポンプ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例におけるポンプ装置全体の基本的な構造図である。
図2】実施例における軸継手カバーの正面図と右側面断面図である。
図3】実施例における他の構成の軸継手カバーの正面図である。
図4】従来のポンプ装置全体の基本的な構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0012】
まず、本発明の前提となる、従来の軸継手カバーを備えたポンプ装置について説明する。
【0013】
図4は、従来の軸継手カバーを備えたポンプ装置の構成図である。図4において、ポンプ装置100は、電動機2と、ポンプ本体3と、軸継手4と、共通ベース5と、軸継手カバー1で構成される。電動機2およびポンプ本体3は、共通ベース5上に設置され、電動機の主軸6と、ポンプ本体の主軸7とは、電動機2とポンプ本体3の間に設けられた軸継手4によって連結されており、その上を軸継手カバー1が覆っている。また、軸継手カバー1は、それを支持するための脚部8を介して共通ベース5に固定されている。
【0014】
このように、従来は、軸継手カバーを支持するための脚部が必要なため、部品点数が増加すると共に、さらには、点検や整備のために、ポンプ本体と電動機の取り付け及び取り外しを行う際の作業工数が増えるという問題があった。
【0015】
そこで、これを解決するために、軸継手カバーを支持するための脚部を不要とし、部品点数を小とし、組立て作業効率や作業性の問題を解決することができる軸継手カバー及びそれを備えるポンプ装置について、以下本実施例を説明する。
【0016】
図1は、本実施例における軸継手カバーを備えたポンプ装置の構成図である。図1において、図4と同様の機能を有する構成については同じ符号を付し、その説明は省略する。図1において、10は本実施例における軸継手カバーであって、軸継手カバー10は軸受カバー11によって支持されている。
【0017】
図2に、本実施例における軸継手カバー10のポンプ本体側から見た正面図(A)と、その右側面から見たC-Cでの断面図(B)を示す。図2に示すように、軸継手カバー10は軸継手カバー本体12とアタッチメント13から構成されており、ポンプ本体3の軸受カバー11にアタッチメント13を締結することで、軸継手カバー10を支持する。すなわち、軸受カバー11にアタッチメント13を介して軸継手カバー本体12が固定される。軸継手カバー本体12は、軸継手と主軸を周方向及び電動機側へスラスト方向に向かって形成される筒状のカバーである。
【0018】
アタッチメント13及び軸継手カバー本体12はそれぞれの形状に合わせて形成している。本実施例では、その形状は、円筒状の形状よりも製作面において有利な多角形状にすることで製作性をよくするため折り曲げ方式を採用する。なお、本実施例は、それに限定されるものではなく、円筒状でもよい。また、図2では6角形状として例示したが、図3に示すような4角形状や8角形状等の多角形でもよい。
【0019】
また、ポンプ本体の主軸を軸継手を介して電動機の主軸に連結したポンプ装置組立後でも軸継手カバー10を取付けられるように、アタッチメント13を分割構造とすることで、さらに、作業性が向上する。また、アタッチメント13を上側部分と下側部分の2分割構造とすることで、さらに、作業性を向上できる。なお、軸継手カバー本体12も、同様に分割構造としてもよい。
【0020】
また、図2(A)に示すように、アタッチメント13の軸受カバー11への取り付け箇所14は軸受カバーに3箇所でボルト締め等で締結し固定する。なお、本実施例は、3箇所に限定されるものではない。
【0021】
また、図2(B)に示すように、アタッチメント13と軸継手カバー本体12との固定は、アタッチメント13の電動機側に延びる締結部15に筒状の軸継手カバー本体12をボルト締め等で締結することで行う。
【0022】
なお、筒状の軸継手カバー本体12のアタッチメント13との締結箇所ではない反対側の端部は電動機側に固定されずオープンの状態とする。この理由は、ポンプ装置に用いる電動機として汎用の電動機を用い、電動機側の特殊な構成を不要にするためである。なお、この場合、軸継手カバー10は、ポンプ本体3の軸受カバー11に支持される片持ち支持構造となり、振動の影響が懸念されるが、緩衝材を介して支持する等の対応で対処可能である。また、電動機と軸継手カバー本体12の端部との隙間は手をいれることができないような間隔とする。
【0023】
また、軸継手を目視確認するためには、軸継手カバー10を取り外さなければならないが、軸継手カバー本体12の多角形状の一部の面を点検口付にすれば軸継手カバー10を分解する作業を必要とせずに目視確認を行うことができる。また、軸継手カバー10を構成するアタッチメント13及び軸継手カバー本体12にパンチング穴を設けることで、内部の回転部分が目視できるようにしてもよい。
【0024】
以上のように、本実施例における軸継手カバーは、軸受カバーから主軸部を覆う形状になっているため、主軸部に人体が接触することはない。また、軸受カバーに軸継手カバーを取り付けることにより、従来の軸継手カバーを支持するための脚部を必要としない。脚部を必要としないことで、電動機の大きさ、特に主軸の高さ位置に合わせて脚部を調整する必要がない。
【0025】
なお、軸継手カバーの大きさは、電動機の主軸の大きさにより軸継手の大きさによって変わる。しかし、軸継手カバーの大きさを、軸継手の大きさよりも余裕を待った大きさとすることで、個々の電動機に合わせた軸継手カバーを不要とし、部品の共用化を図ることが出来る。
【0026】
以上のように、本実施例によれば、部品点数を小とし、取り付け及び取り外しが容易であり、締結箇所も減るため、組立て作業効率や作業性を向上した軸継手カバー及びそれを備えるポンプ装置を提供できる。
【0027】
以上実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0028】
1、10:軸継手カバー、2:電動機、3:ポンプ本体、4:軸継手、5:共通ベース、6:電動機の主軸、7:ポンプ本体の主軸、8:脚部、11:軸受カバー、12:軸継手カバー本体、13:アタッチメント、14:取り付け箇所、15:締結部、100:ポンプ装置
図1
図2
図3
図4