(54)【発明の名称】少なくとも一の染料を含むエマルションまたはマイクロエマルション形態の直腸投与用液体組成物、及びS状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断方法における使用。
【文献】
Gastroenterology,2004年,Vol.126, No.4, Suppl.2,pageA625,No.W1382
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
驚くべきことに、本明細書に記載の発明にしたがって、エマルションまたはマイクロエマルション形態の、少なくとも一の乳化剤を含む液体組成物中に少なくとも一の染料を組み込むことによって、具体的には以下の利点が見出された。すなわち、薬理的−技術的観点からは、前記少なくとも一の乳化剤は、被分散相と分散相との相間に位置して、エマルションまたはマイクロエマルションの安定化に最も重要な役割を果たし、もって分散系に安定性を与え、一般的にはエマルションまたはマイクロエマルションの破壊を含む、泡立ち、合体、凝集、沈殿等の不安定現象を防止する。生理学的観点からは、前記少なくとも一の乳化剤は、浸透促進剤として働き、粘膜、好ましくはS状結腸(S状)及び/又は直腸の粘膜を通して染料の吸収を促進させる。前記少なくとも一の乳化剤は、洗剤または洗浄剤としても作用でき、糞便材料、排泄物及び/又は粘液の溶解及び/又は分散及び/又は除去(洗浄)に有利に働き、内視鏡診断検査の準備段階中に所望の領域の効率的な洗浄を確保して、内視鏡診断手順中の前記領域の視覚化改善に寄与する。
【0016】
本願明細書に記載の発明によれば、さらなる生理学的に許容可能な添加剤が、異なるメカニズムによって、S状結腸及び/又は直腸の粘膜による染料の吸収を増加させることに寄与しうる。これらの添加剤はまた、二重の役割を果たす。すなわち、エマルションまたはマイクロエマルションの安定化に寄与する薬理的−技術的役割、S状結腸及び/又は直腸の粘膜による染料吸収の増加を助け、及び/又は糞便材料、排泄物及び/又は粘液の除去を促進する生理学的役割である。
【0017】
具体的には、本願発明の組成物の目的に有益な前記少なくとも一の生理学的に許容可能な添加剤は、好ましくは以下のものから選択してもよい。
【0018】
1)脂溶性化合物:
薬理的−技術的観点からは、脂溶性化合物は、本願明細書に記載の発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルションの油層(単に「油」とも呼ぶ)を構成する。生理学的観点からは、多くの脂溶性化合物は浸透促進剤として働くことができ、粘膜、好ましくはS状結腸及び/又は直腸の粘膜を通しての染料の吸収を促進する。脂溶性化合物はまた、潤滑剤としても働いて、糞便材料、排泄物及び/又は粘液の排出(洗浄)を有利にする。
【0019】
2)共乳化剤:
薬理的−技術的観点からは、共乳化剤は、本願明細書に記載の発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルションの任意選択成分として使用することができる。すなわち、乳化剤と一緒になって、安定化に寄与する。生理学的観点からは、多くの共乳化剤は、浸透促進剤として働くことができ、粘膜、好ましくはS状結腸及び/又は直腸の粘膜を通しての染料の吸収を促進する。
【0020】
3)粘度調整剤:
薬理的−技術的観点からは、粘度調整剤は、本願明細書に記載の発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルションの安定化に寄与する。製剤の粘度を増加させることで、分散相滴の合体現象をより困難にするからである。生理学的観点からは、多くの粘度調整剤は、生体接着特性を有し、本願発明の組成物が、粘膜、好ましくはS状結腸及び/又は直腸の粘膜の壁へ付着することに寄与し、もってエマルションまたはマイクロエマルションと粘膜壁との間の接触時間を増加させ、生体染色染料の場合、より大きな吸収確率を決定する。
【0021】
4)逆感熱性ポリマー:
薬理的−技術的観点からは、逆感熱性ポリマーは、本願明細書に記載の発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルションの安定化に寄与する。製剤の粘度を増加させることで、分散相滴の合体現象をより困難にするからである。生理学的観点からは、逆感熱性ポリマーは、本願明細書に記載の発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルションの、粘膜壁、好ましくはS状結腸及び/又は直腸の粘膜壁への接着性の強化に寄与する。すなわち、臨界ゲル化濃度(CGC)を超える濃度での、本願発明の前記ポリマーエマルション又はポリマーエマルションの添加により、温度の増加、好ましくは室温(すなわち、約20〜25℃)から体温(すなわち、約37℃)への温度増加に応答した、前記エマルションまたはマイクロエマルションの粘度の増加が保証される。これは、前記エマルションまたはマイクロエマルションと粘膜壁との間の接触時間を増加させるのに役立つ。逆感熱性ポリマーはまた、界面活性剤として働くことができ、そのままで表面張力を低下させることにより、糞便材料、排泄物及び/又は粘液の除去に寄与する。
【0022】
驚いたことに、前記した種類に属する生理学的に許容可能な添加剤の使用により、本願発明に従った少なくとも一の染料を含有するエマルションまたはマイクロエマルションに特別の性質が付与されることも発見された。前記の生理学的に許容可能な添加剤の任意の混合物を、本願発明に従って使用することができる。
【0023】
本願明細書に記載の発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルションの形態の液体製剤のおかげで、内腔及び体内臓器の粘膜、好ましくは直腸及び/又はS状結腸の粘膜の染色を、以下の少なくとも一のメカニズムで最適化可能な、少なくとも一の染料を含有する組成物を得ることができることが見出された。
【0024】
1)
染料自体が、S状結腸及び/又は直腸の粘膜の上皮細胞の細胞膜を通過することを容易にするという、本願発明のエマルションまたはマイクロエマルションの能力・特性により、染料の吸収を増加させる。この染色は主に、S状結腸及び/又は直腸の(色素沈着)粘膜の表面層上にある、及び/又は
2)
本願発明のエマルションまたはマイクロエマルションと、S状結腸及び/又は直腸の粘膜壁の間の接触時間を増加させる。さらに、生体接着特性を有する粘度調整剤、及び/又は逆感熱性ポリマーの活用を可能とすれば、到達技術水準において既知の溶液(たとえば、単純な水溶液)と比較して、粘膜壁自体に沿った流動傾向の低下した薄膜を形成することにより、本願発明のエマルションまたはマイクロエマルションの粘膜壁への付着を増加させることができる。結果として、本願発明の対象であるエマルションまたはマイクロエマルションの形態にある特別な液体組成物中に溶解した染料は、溶液の形態(たとえば、単純な水溶液)で製剤化された組成物中に溶解した染料と比較して、粘膜の上皮細胞の細胞膜とより長い時間、接触した状態に留まる。驚くべきことに、これらの特性の組み合わせにより、当該技術分野において一般に使用されている染料溶液(たとえば水溶液)等、これまでの到達技術水準で既知の組成物と比較して、本明細書に記載の発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルションの形態の液体組成物に一定の利点が与えられることが発見された。
【0025】
これらの特徴は、本願発明の対象であるエマルションまたはマイクロエマルションの形態の液体組成物が、メチレン・ブルー、トルイジン・ブルー、フルオレセイン、またはルゴール溶液のような生体染色(または「吸収性」)染料を含有する場合に、特に有利である。実際にも、その性質上、前記生体染色染料は、その染色性を発揮するためには、細胞によって吸収されなければならない。生体染色染料が細胞膜と接触した状態に留まるのが長ければ長いほど、上皮細胞によって吸収され得る染料の量も多くなり、得られる染色効果及び内視鏡診断中に視認可能なコントラストも大きくなる。
【0026】
前記の特性のおかげで、染色効果を最大化でき、用いる染料の量も低減できるとの利点がある。前記一以上のメカニズムにより、粘膜の上皮細胞の細胞膜を通しての浸透を促進でき、膜壁自体、好ましくはS状結腸及び/又は直腸の膜壁自体への付着を促進及び増加させることができるため、製剤中に前記染料を含めることができることには大きな利点がある。染料吸収を得るのに利用できる時間は、通常、数分程度である。従って、粘膜壁内部に浸透させて、細胞内腔と細胞膜との間の接触を増加させ、もって染色及びその保持時間を最大化する必要が感じられる。
【0027】
本願発明の対象であるエマルションまたはマイクロエマルションは、これまでの到達技術水準で既知の単純な染料溶液(たとえば、水溶液)によって得ることのできるものと比較して、より均一、より視認可能、より耐久性の染色を与えることができる。
【0028】
粘膜上皮細胞、好ましくはS状結腸及び/又は直腸の粘膜上皮細胞による染料吸収の増加が、診断対象領域(好ましくはS状結腸及び/又は直腸)の可視化における著しい改善を決定付ける。
【0029】
実際、前記したように、種々の性質の病状や病変に影響された組織や粘膜は、健康な粘膜または組織とは異なって染色される。健康な組織と病理学的現象を有する組織との間で異なる染色を得ることは、病的領域のコントラストを増幅するのに重要である。
【0030】
例として、S状結腸及び/又は直腸の形成不全、ポリープ、病変及び癌を、内視鏡診断検査中に、より良好且つ早期に可視化し、より明白にできるのは、病的組織と周囲の正常粘膜との間の着色の相違である。
【0031】
所望の領域の効果的な洗浄を確保し、もって内視鏡診断手順中での改善された視覚化に寄与することも、大きな利点である。最良の観察機会を得るためには、最適な清浄度が本当に重要である。
【0032】
前記のように、特別な製剤のおかげで、本願発明のエマルションまたはマイクロエマルションの形態の液体組成物は、最適な清浄度を確保する。具体的には、少なくとも一の乳化剤が組成物中に存在することで、検査領域に存在しえる糞便材料、排泄物及び/又は粘液の溶解及び/又は分散及び/又は除去を促進する。
【0033】
さらに、少なくとも一の脂溶性化合物及び/又は少なくとも一の逆感熱性ポリマーの存在を可能とすれば、糞便材料、排泄物及び/又は粘液の溶解及び/又は分散及び/又は除去に寄与できる。
【0034】
効果的な洗浄及び最適な染色は、内視鏡診断手順中、粘膜、好ましくはS状結腸及び/又は直腸の粘膜の視覚化改善に有利になる。
【0035】
種々の性質の病状または病変に影響される組織や粘膜は、このようにしてより良好に観察でき、したがって、病状領域の同定可能性を改善する。
【0036】
たとえば、内視鏡診断手順中に、病気に冒された領域をより清浄にするほど、S状結腸及び/又は直腸の形成不全、ポリープ、緊張性病変(tightened lesion)及び癌をより良好かつより早期に視覚化できる。
【0037】
本願明細書に記載の本願発明は、このようにして、少なくとも一の染料、少なくとも一の乳化剤、及び少なくとも一の生理学的に許容可能な添加剤を含む、エマルションまたはマイクロエマルションの形態の直腸投与用液体組成物;並びに直腸及び/又はS状結腸の内視鏡診断手順における該組成物の使用法を提供する。好ましくは、直腸及び/又はS状結腸の前記内視鏡診断手順は、肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、直腸鏡検査、及び/又はS状結腸鏡検査である。
【0038】
好ましくは、前記内視鏡診断手順は、本願発明のエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物のヒトへの投与工程を含む。好ましくは、本願発明の組成物は、内視鏡診断検査の準備段階中に投与される。
【0039】
本願明細書に記載の本願発明はまた、S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順を実行する方法を提供し;前記方法は、エマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物の直腸投与工程を含み;前記エマルションまたはマイクロエマルション形態の組成物は、少なくとも一の染料、少なくとも一の乳化剤、及び少なくとも一の生理学的に許容可能な添加剤を含む。好ましくは、直腸及び/又はS状結腸の前記内視鏡診断手順は、肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、直腸鏡検査、及び/又はS状結腸鏡検査である。好ましくは、前記方法は、内視鏡診断検査の準備段階中の前記組成物の投与工程を含む。好ましくは、前記方法は、本願発明のエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物のヒトへの投与工程を含む。
【0040】
本願発明によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の前記液体組成物は、好ましくは「油中水」、「水中油」、「油中水中油」及び/又は「水中油中水」型のエマルションまたはマイクロエマルションとできる。好ましい実施態様においては、エマルションまたはマイクロエマルション形態の前記組成物は、「水中油」型のエマルションである。
【0041】
一実施態様によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の直腸投与用液体組成物は、
a)水相;
b)油相;
c)少なくとも一の染料;
d)少なくとも一の乳化剤;
e)少なくとも一の生理学的に許容可能な添加剤、
を含む。
【0042】
好ましくは、前記組成物は、S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順における使用のためのものであり;前記S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順は、より好ましくは肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、直腸鏡検査、及び/又はS状結腸鏡検査である。
【0043】
一実施態様によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の直腸投与用液体組成物は実質的に、
a)水相;
b)油相;
c)少なくとも一の染料;
d)少なくとも一の乳化剤;
e)少なくとも一の生理学的に許容可能な添加剤、
からなる。
【0044】
好ましくは、前記組成物は、S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順における使用のためのものであり;前記S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順は、より好ましくは肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、直腸鏡検査、及び/又はS状結腸鏡検査である。
【0045】
一実施態様によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の直腸投与用液体組成物は、
a)水相;
b)油相;
c)少なくとも一の染料;
d)少なくとも一の乳化剤;
e)任意選択的な少なくとも一の共乳化剤;
f)少なくとも一の生理学的に許容可能な添加剤、
を含む。
【0046】
好ましくは、前記組成物は、S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順における使用のためのものであり;前記S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順は、より好ましくは肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、直腸鏡検査、及び/又はS状結腸鏡検査である。
【0047】
一実施態様によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の直腸投与用液体組成物は実質的に、
a)水相;
b)油相;
c)少なくとも一の染料;
d)少なくとも一の乳化剤;
e)任意選択的な少なくとも一の共乳化剤;
f)少なくとも一の生理学的に許容可能な添加剤、
からなる。
【0048】
好ましくは、前記組成物は、S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順における使用のためのものであり;前記S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順は、より好ましくは肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、直腸鏡検査、及び/又はS状結腸鏡検査である。
【0049】
一実施態様によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の直腸投与用液体組成物は、
a)水相;
b)油相;
c)少なくとも一の染料;
d)少なくとも一の乳化剤;
e)任意選択的な少なくとも一の共乳化剤;
f)任意選択的な少なくとも一の粘度調整剤;
g)少なくとも一の生理学的に許容可能な添加剤、
を含む。
【0050】
好ましくは、前記組成物は、S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順における使用のためのものであり;前記S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順は、より好ましくは肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、直腸鏡検査、及び/又はS状結腸鏡検査である。
【0051】
一実施態様によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の直腸投与用液体組成物は実質的に、
a)水相;
b)油相;
c)少なくとも一の染料;
d)少なくとも一の乳化剤;
e)任意選択的な少なくとも一の共乳化剤;
f)任意選択的な少なくとも一の粘度調整剤;
g)少なくとも一の生理学的に許容可能な添加剤、
からなる。
【0052】
好ましくは、前記組成物は、S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順における使用のためのものであり;前記S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順は、より好ましくは肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、直腸鏡検査、及び/又はS状結腸鏡検査である。
【0053】
一実施態様によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の直腸投与用液体組成物は、
a)水相;
b)油相;
c)少なくとも一の染料;
d)少なくとも一の乳化剤;
e)任意選択的な少なくとも一の共乳化剤;
f)任意選択的な少なくとも一の逆感熱性ポリマー;
g)少なくとも一の生理学的に許容可能な添加剤、
を含む。
【0054】
好ましくは、前記組成物は、S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順における使用のためのものであり;前記S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順は、より好ましくは肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、直腸鏡検査、及び/又はS状結腸鏡検査である。
【0055】
一実施態様によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の直腸投与用液体組成物は実質的に、
a)水相;
b)油相;
c)少なくとも一の染料;
d)少なくとも一の乳化剤;
e)任意選択的な少なくとも一の共乳化剤;
f)任意選択的な少なくとも一の逆感熱性ポリマー;
g)少なくとも一の生理学的に許容可能な添加剤、
からなる。
【0056】
好ましくは、前記組成物は、S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順における使用のためのものであり;前記S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順は、より好ましくは肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、直腸鏡検査、及び/又はS状結腸鏡検査である。
【0057】
一実施態様によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の直腸投与用液体組成物は、
a)水相;
b)油相;
c)少なくとも一の染料;
d)少なくとも一の乳化剤;
e)任意選択的な少なくとも一の共乳化剤;
f)任意選択的な少なくとも一の粘度調整剤;
g)任意選択的な少なくとも一の逆感熱性ポリマー;
h)少なくとも一の生理学的に許容可能な添加剤、
を含む。
【0058】
好ましくは、前記組成物は、S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順における使用のためのものであり;前記S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順は、より好ましくは肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、直腸鏡検査、及び/又はS状結腸鏡検査である。
【0059】
一実施態様によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の直腸投与用液体組成物は実質的に、
a)水相;
b)油相;
c)少なくとも一の染料;
d)少なくとも一の乳化剤;
e)任意選択的な少なくとも一の共乳化剤;
f)任意選択的な少なくとも一の粘度調整剤;
g)任意選択的な少なくとも一の逆感熱性ポリマー;
h)少なくとも一の生理学的に許容可能な添加剤、
からなる。
【0060】
好ましくは、前記組成物は、S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順における使用のためのものであり;前記S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順は、より好ましくは肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、直腸鏡検査、及び/又はS状結腸鏡検査である。
【0061】
「水相」の用語は、エマルションまたはマイクロエマルションの相(複数)のうちの一の相であって、エマルションのうちの分散相または被分散相を構成でき、エマルションの水溶性成分を溶解形態で含む水溶液によって構成されるものを意味する。「有機相」または「油相」または「油性相」の用語は、エマルションまたはマイクロエマルションの相(複数)のうちの一の相であって、少なくとも一の脂溶性化合物を含むものを意味する。
【0062】
本願明細書に記載の発明に従った、エマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物の調製において、前記少なくとも一の染料は、生体染色染料(すなわち吸収性染料)、非生体染色染料(すなわち照合用染料)及び/又は反応性染料から選択することができる。ルゴール溶液、フルオレセイン及びメチレン・ブルーのような生体染色染料(すなわち吸収性染料)は、細胞膜を通しての優先的吸収または拡散によって、上皮細胞の具体的なタイプを同定する。インジゴ・カルミンのような非生体染色染料(すなわち照合用染料)は、粘膜の隙間を通して浸透し、表面の局所解剖学的特徴及び粘膜の凹凸を目立たせる。コンゴ・レッド、フェノール・レッドのような反応性染料は、特定の細胞成分と化学反応を起こし、それによってpH指示薬と同様の色の変化を生じさせる。本願明細書に記載の発明によれば、前記生体染色染料(すなわち吸収性染料)は、ルゴール溶液、メチレン・ブルー、トルイジン・ブルー、クレシル・バイオレット、フルオレセイン及び/又はそれらの類似物、及び/又はそれらの塩を含む群から選択できるが、これらに限られない。本願明細書に記載の発明によれば、前記非生体染色染料(すなわち照合用染料)は、インジゴ・カルミン及び/又はその類似物を含む群から選択できるが、これらに限られない。本願明細書に記載の発明によれば、前記反応性染料は、コンゴ・レッド、フェノール・レッド及び/又はそれらの類似物を含む群から選択できるが、これらに限られない。上に述べた染料の任意の混合物を、適切な組成物の形成に使用できる。好ましい一実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、メチレン・ブルーである。別の好ましい実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、インジゴ・カルミンである。別の好ましい実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、フルオレセインまたはその塩(フルオレセイン・ナトリウム)である。
【0063】
本願明細書に記載の発明によれば、前記少なくとも一の染料は、約0.0005g/100ml〜約2.0g/100ml(約0.0005%w/v〜約2.0%w/v)、好ましくは約0.001g/100ml〜約1.0g/100ml(約0.001%w/v〜約1.0%w/v)、より好ましくは約0.002g/100ml〜約0.5g/100ml(約0.002%w/v〜約0.5%w/v)の範囲の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、組成物中に、約0.002g/100ml(約0.002%w/v)の量で含まれる。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、組成物中に、約0.004g/100ml(約0.004%w/v)の量で含まれる。さらなる実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、組成物中に、約0.006g/100ml(約0.006%w/v)の量で含まれる。さらなる実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、組成物中に、約0.008g/100ml(約0.008%w/v)の量で含まれる。さらなる実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、組成物中に、約0.01g/100ml(約0.01%w/v)の量で含まれる。さらなる実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、組成物中に、約0.02g/100ml(約0.02%w/v)の量で含まれる。さらなる実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、組成物中に、約0.04g/100ml(約0.04%w/v)の量で含まれる。さらなる実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、組成物中に、約0.05g/100ml(約0.05%w/v)の量で含まれる。さらなる実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、組成物中に、約0.1g/100ml(約0.1%w/v)の量で含まれる。さらなる実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、組成物中に、約0.2g/100ml(約0.2%w/v)の量で含まれる。さらなる実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、組成物中に、約0.5g/100ml(約0.5%w/v)の量で含まれる。
【0064】
好ましい実施態様によれば、前記少なくとも一の染料は、本発明の組成物中に、約0.01g/100ml(約0.01%w/v)または約0.02g/100ml(約0.02%w/v)の量で含まれる。
【0065】
前記の量は、本発明のエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物100ml当たりのグラム数で表現され、あるいは当該組成物の重量/体積の百分率で表現される。
【0066】
本願明細書の記載の発明にしたがったエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物の調製において、前記少なくとも一の乳化剤は、非イオン性乳化剤、イオン性乳化剤、天然乳化剤、またはそれらの混合物から選択できる。
【0067】
本発明の液体組成物中における前記少なくとも一の乳化剤の存在は、前記組成物自体の特性を著しく改善する。前記少なくとも一の乳化剤は驚くべきことに、粘膜上皮細胞の細胞膜を通しての染料の吸収及び/又は拡散における浸透促進剤として機能し、したがって、染料が病変の視認可能性を改善できることが見出された。
【0068】
前記少なくとも一の乳化剤は、洗剤または洗浄剤としても作用でき、検査領域における糞便材料、排泄物及び/又は粘液の、溶解及び/又は分散及び/又は除去(洗浄)に有利に働く。
【0069】
本明細書に記載の発明に従った組成物中における、少なくとも一の乳化剤の使用は、単純な溶液形態(たとえば水溶液)における染料の一般的な製剤に対して、大きな利点をもたらす。
【0070】
言い換えれば、本発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物中における前記少なくとも一の乳化剤の存在は、二重の役割を有する。すなわち、まず、第一に被分散相と分散相の間の相間に位置することで、分散相滴の合体を防止し、エマルションを安定化するという薬理的−技術的機能を発揮する。第二に、驚くべき生理学的機能を発揮して、組成物の直腸投与の後、粘膜上皮細胞の細胞膜を通しての、染料の吸収または拡散における浸透促進剤として機能する。前に述べたように、染色は主に粘膜の表面層上で生じる(色素沈着)。
【0071】
染料の吸収及び/又は拡散に対して、粘膜細胞を通して生理学的に作用するという、上に述べた乳化剤の能力は、本発明の組成物がメチレン・ブルー、トルイジン・ブルー、ルゴール溶液またはそれらの混合物のような生体染色染料(すなわち「吸収性染料」)を含む場合に、特に有利である。
【0072】
本願明細書に記載の発明によれば、前記少なくとも一の乳化剤は、非イオン性乳化剤とすることができ、好ましくは以下の群から選択することができるが、これらに制限されるものではない。すなわち、PEG−30ステアレート、PEG−40ラウレート、PEG−40オレエート、PEG−40ステアレート、PEG−100ステアレート及び/又はそれらの類似物のようなポリエチレングリコールの脂肪酸モノエステル;PEG−4ジラウレート、PEG−32ジオレエート、PEG−400ジオレエート及び/又はそれらの類似物のようなポリエチレングリコールの脂肪酸ジエステル;ポリグリセリル−6ジオレエート、ポリグリセリル−6ジステアレート、ポリグリセリル−3モノオレエート及び/又はそれらの類似物のようなポリグリセリンの脂肪酸エステル;PEG−20ソルビタンモノラウレート、PEG−20ソルビタンモノパルミテート、PEG−20ソルビタンモステアレート及び/又はそれらの類似物のようなポリエチレングリコール-ソルビタンの脂肪酸エステル;PEG−2オレイルエーテル、PEG−3オレイルエーテル、PEG−5オレイルエーテル、PEG−20オレイルエーテル、PEG−4ラウリルエーテル、PEG−32ラウリルエーテル、PEG−20セトステアリルエーテル、セトマクロゴル1000(cetomacrogol 1000)及び/又はそれらの類似物のようなポリエチレングリコールのアルキルエーテル;スクロースジステアレートのようなスクロースの脂肪酸エステル;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート及び/又はそれらの類似物のようなソルビタンの脂肪酸エステル;ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80及び/又はそれらの類似物のようなポリオキシエチレン-ソルビタンの脂肪酸エステル;たとえば、ポロキサマー124、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー338、ポロキサマー407及び/又はそれらの同等物のようなポロキサマー類;プロピレングリコールの脂肪酸エステル;ポリオキシル−5ヒマシ油、ポリオキシル−15ヒマシ油、ポリオキシル−35ヒマシ油、ポリオキシル−40硬化ヒマシ油及び/又はそれらの類似物のようなポリオキシエチレンのヒマシ油誘導体;カプリロカプロイル・マクロゴル−8・グリセライド類[Labrasol(登録商標)の商品名で商業的に知られている];ポリオキシエチレン(20)ステアレート、ポリオキシエチレン(40)ステアレート、ポリオキシエチレン(100)ステアレート、ポリオキシル−15−ヒドロキシステアレート[Solutol(登録商標)HS15]のようなポリオキシエチレンのステアリン酸エステル(ポリオキシエチレングリコールのステアリン酸エステルとも呼ぶ);ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル、ポリオキシエチレンエキサデシルエーテル(polyoxyethylene exadecyl ether)のようなポリオキシエチレンアルキルエーテル;brij(登録商標)L23、brij(登録商標)C20、brij(登録商標)S2、brij(登録商標)S20の商品名で商業的に知られている脂肪族アルコールエトキシレート;モノグリセリド:ジグリセリド;イソセテス−20;ステアレス−2;グリセリルモノステアレート/PEG100ステアレート;ステアレス−21;ラウレス4;セテアレス16;セテアレス20;ステアレス10;ステアレス20;セテス20;マクロゴル・セトステアリルエーテル;セテス2;セトマクロゴルエーテル;ステアレス−2を含む群から選択できる。
【0073】
上述した非イオン性乳化剤の任意の混合物を、適切な組成物の形成に使用することができる。好ましい実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤はPEG−40ステアレート(ポリエチレングリコール−40ステアレート)である。好ましい実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤はPEG−20ソルビタンモノラウレート[ポリエチレングリコール20ソルビタンモノラウレート、商業的にはTween(登録商標)20としても知られている]である。好ましい実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤はポロキサマー407[商業的にはKolliphor(登録商標)P407の商品名で知られている]である。好ましい別の実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤はカプリロカプロイル・マクロゴル−8・グリセライド[Labrasol(登録商標)の商品名で知られている]である。好ましい別の実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤はポリソルベート80[商品名Tween(登録商標)80として知られている]である。好ましい別の実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤はプロピレングリコールモノカプリレート[商品名Capryol(登録商標)90として知られている]である。好ましい別の実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤はラウロイル・マクロゴル−32・グリセライド[商品名Gelucire(登録商標)として知られている]である。より好ましくは、前記少なくとも一の乳化剤はカプリロカプロイル・マクロゴル−8・グリセライド[Labrasol(登録商標)、ポリオキシル−15−ヒドロキシステアレート[Solutol(登録商標)HS15]及び/又はそれらの混合物である。
【0074】
本願明細書に記載の発明によれば、前記少なくとも一の乳化剤はイオン性乳化剤とすることができ、以下の群から選択することができるが、これらに制限されるものではない。すなわち、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸塩等のアルキル硫酸塩のようなアニオン性界面活性剤;脂肪酸塩及びその混合物;セチルトリメチルアンモニウム臭化物、セチルピリジニウム塩化物、ベンザルコニウム塩化物及び/又はそれらの類似物のようなカチオン性界面活性剤;ドデシルベタイン、コカミドプロピルベタイン、及びコカミドグリシネート及び/又はそれらの類似物のような両性界面活性剤を含む群から選択できる。上記イオン性乳化剤の任意の混合物を、適切な組成物を形成するために使用することができる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0075】
本願明細書に記載の発明によれば、前記少なくとも一の乳化剤は天然乳化剤とすることができ、卵レシチン、水素添加フォスファチジルコリン、不飽和フォスファチジルコリン、大豆レシチン、水素添加大豆レシチン、グリセロフォスフォコリン、大豆リゾレシチン、リン脂質、水素添加リン脂質及び/又はそれらの類似物を含む群から選択することができるが、これらに制限されない。上述の天然乳化剤の任意の混合物を適切な組成物を形成するために使用することができる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤は卵レシチンである。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤は大豆レシチンである。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤は水素添加フォスファチジルコリンである。
【0076】
上述の乳化剤の任意の混合物を適切な組成物の形成に使用することができる。本願明細書に記載の発明によれば、前記少なくとも一の乳化剤は約0.1g/100ml〜約50.0g/100ml(約0.1%w/v〜約50.0%w/v)、好ましくは約0.2g/100ml〜〜約30.0g/100ml(約0.2%w/v〜約30.0%w/v)、より好ましくは約0.5g/100ml〜約25.0g/100ml(約0.5%w/v〜約25.0%w/v)、更により好ましくは約1.0g/100ml〜約10.0g/100ml(約1.0%w/v〜約10.0%w/v)の範囲の量で含まれる。
【0077】
一実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤は約1.0g/100ml(約1.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤は約1.5g/100ml(約1.5%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤は約2.0g/100ml(約2.0%w/v)の量で含まれる。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤は約2.5g/100ml(約2.5%w/v)の量で含まれる。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤は約5.0g/100ml(約5.0%w/v)の量で含まれる。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤は約8.0g/100ml(約8.0%w/v)の量で含まれる。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の乳化剤は約10.0g/100ml(約10.0%w/v)の量で含まれる。
【0078】
前記の量は、エマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物100ml中のグラム数で、あるいは組成物の重量/体積の百分率で表現されている。
【0079】
本願明細書に記載の発明によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の前記組成物は少なくとも一の共乳化剤を含んでもよい。前記少なくとも一の共乳化剤は本願発明のエマルションまたはマイクロエマルション対象物において二重の役割を果たす。すなわちまず、第一に、乳化剤と一緒になって薬理的−技術的機能を発揮し、エマルションの安定化を助け、泡立ち、凝集、沈殿または合体のような現象を防止する。そして、第二に、生理学的機能を発揮して、組成物の直腸投与の後、粘膜上皮細胞の細胞膜を通しての染料の吸収または拡散における浸透促進剤として作用する。本願明細書に記載の発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルション形態の組成物の調製において、前記少なくとも一の共乳化剤は以下の群から選択できるが、これらに制限されない。すなわち、エタノール、プロパノール、イソプロパノール及び/又はそれらの類似物のような短鎖及び中鎖アルコール;プロピレングリコール等のグリコール;ジエチレングリコールモノエチルエーテル[商品名Transcutol(登録商標)として知られている];PEG200、PEG300、PEG400及び/又はそれらの類似物のようなポリエチレングリコール;DMSO(ジメチルスルホキシド);セチルアルコール、ミリスチンアルコール、オレインアルコール及び/又はそれらの類似物のような長鎖アルコール;グリセロール;酢酸エチル、乳酸エチル及び/又はそれらの類似物のような短鎖エステル;オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル及び/又はそれらの類似物のような脂肪酸エステル;オレイン酸、ミリスチン酸及び/又はそれらの類似物のような脂肪酸;オレイン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム及び/又はそれらの類似物のような脂肪酸塩を含む群から選択できる。上述の共乳化剤の任意の混合物は適切な組成物を形成するために使用することができる。一実施態様において、前記共乳化剤はプロピレングリコールである。別の実施態様において、前記共乳化剤はグリセロールである。別の実施態様において、前記共乳化剤はオレイン酸ナトリウムである。好ましい実施態様において、前記共乳化剤はジエチレングリコールモノエチルエーテル[商品名Transcutol(登録商標)として知られている]である。
【0080】
本願発明によれば、前記少なくとも一の共乳化剤は0.001g/100ml〜約50.0g/100ml(約0.001%w/v〜約50.0%w/v)、好ましくは約0.01g/100ml〜約20.0g/100ml(約0.01%w/v〜約20.0%w/v)、より好ましくは約0.02g/100ml〜約10.0g/100ml(約0.02%w/v〜約10.0%w/v)の範囲の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の共乳化剤は約0.02g/100ml(約0.02%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の共乳化剤は約1.0g/100ml(約1.0%w/v)の量で含まれる。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の共乳化剤は約2.5g/100ml(約2.5%w/v)の量で含まれる。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の共乳化剤は約5.0g/100ml(約5.0%w/v)の量で含まれる。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の共乳化剤は約7.0g/100ml(約7.0%w/v)の量で含まれる。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の共乳化剤は約10.0g/100ml(約10.0%w/v)の量で含まれる。
【0081】
本願明細書に記載の発明によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の組成物は少なくとも一の粘度調整剤を含んでもよい。
【0082】
前記粘度調整剤は、エマルションまたはマイクロエマルションの安定化に有益であり、標的器官における染料の持続性を制御する。
【0083】
前記粘度調整剤は、したがって、本願発明の組成対象物の粘膜壁への付着性を向上させ、エマルションまたはマイクロエマルションと粘膜自体との間の接触時間を増加させることによって、重要な生理学的役割を果たす。
【0084】
本願明細書に記載の発明によれば、前記少なくとも一の粘度調整剤は天然化合物とすることができ、以下の群から選択することができるが、これらに限られない。すなわち、アルギン酸ナトリウム、カゼイン酸ナトリウム、卵アルブミン、寒天、カラギーナン;キサンタンガム、タラガカントガム、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム等の天然ゴム;デンプン;たとえばキトサンのようなアミノ基含有ポリマー;たとえばアルギニン酸、ヒアルロン酸及びその塩のような天然源から得ることのできる酸性ポリマー、及び/又はそれらの類似物を含む群から選択できる。
【0085】
本願明細書に記載の発明によれば、前記少なくとも一の粘度調整剤は合成ポリマー、半合成ポリマー、または合成ゴムとすることができ、以下の群から選択することができるが、これらに限られない。すなわち、
−カルボキシビニルポリマー;ポリビニルピロリドン(ポヴィドン);ポリビニルアルコール;酢酸ポリビニル、塩化ポリビニル、ポリビニリデン、及び/又はそれらの類似物;
−メタクリル酸のポリマー及びコポリマー;
−メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はそれらの類似物;
−Carbopol(登録商標)980、Carbopol(登録商標)934、Carbopol(登録商標)940、Carbopol(登録商標)941、Carbopol(登録商標)981、及び/又はそれらの類似物のような、商業的にCarbopol(登録商標)として知られている、カーボマー(アクリル酸の架橋ホモポリマーまたはコポリマー);
−PEG1000、PEG3350、PEG4000、PEG6000、PEG10000のような種々の重合度のポリエチレングリコール誘導体、を含む群から選択できる。
【0086】
上述の粘度調整剤の任意の混合物を適切な組成物の形成に使用することができる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の粘度調整剤はヒドロキシプロピルセルロースである。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の粘度調整剤はPEG6000(ポリエチレングリコール6000)である。好ましい一実施態様によれば、前記少なくとも一の粘度調整剤はカーボマーであり、好ましくはカーボマー980[商業的に商品名Carbopol(登録商標)980として知られている]である。より好ましい一実施態様によれば、前記少なくとも一の粘度調整剤はヒドロキシプロピルセルロースである。更により好ましい一実施態様によれば、前記少なくとも一の粘度調整剤はポリビニルピロリドン(ポビドン)である。
【0087】
本願明細書に記載の発明によれば、前記少なくとも一の粘度調整剤は、約0.1g/100ml〜約20.0g/100ml(約0.1%w/v〜約20.0%w/v)、好ましくは約0.5g/100ml〜約10.0g/100ml(約0.5%w/v〜約10.0%w/v)、より好ましくは約1.0g/100ml〜約5.0g/100ml(約1.0%w/v〜約5.0%w/v)の範囲の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の粘度調整剤は、約1.0g/100ml(約1.0%w/v)の量である。一実施態様によれば、前記少なくとも一の粘度調整剤は、約1.5g/100ml(約1.5%w/v)の量である。一実施態様によれば、前記少なくとも一の粘度調整剤は、約2.0g/100ml(約2.0%w/v)の量である。一実施態様によれば、前記少なくとも一の粘度調整剤は、約3.0g/100ml(約3.0%w/v)の量である。一実施態様によれば、前記少なくとも一の粘度調整剤は、約5.0g/100ml(約5.0%w/v)の量である。
【0088】
本願明細書に記載の発明によれば、前記エマルション又はマイクロエマルション油相は、少なくとも一の脂溶性化合物を含む。前記少なくとも一の脂溶性化合物は、好ましくは以下の群から選択されるが、これらに限定されるものではない。すなわち、アーモンド油、硬化ヒマシ油、アーモンドオイル、オリーブオイル、綿実油、大豆油、アマニ油、ピーナッツ油、ゴマ油及び/又はそれらの類似物のような天然油;オレインアルコール、ミリスチンアルコール及び/又はそれらの類似物のような脂肪酸エステル;パルミチン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル及び/又はそれらの類似物のような脂肪酸エステル;ミリスチン酸、オレイン酸及び/又はそれらの類似物のような脂肪酸;パラフィン;軽油;重油;長鎖及び/又は中鎖トリグリセライド及び/又はそれらの類似物のようなトリグリセライド;中鎖トリグリセライド[商品名Labrafac(登録商標)Lipophile WL1349];ジグリセライド;モノグリセライド;シリコーン誘導体、シメチコン、30%シメチコン・エマルション及び/又はそれらの類似物を含む群から選択できる。上述の脂溶性化合物の任意の混合物を適切な組成物の調製に使用することができる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の脂溶性化合物は大豆油である。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の脂溶性化合物はオレインアルコールである。一実施態様によれば、前記少なくとも一の脂溶性化合物はミリスチン酸イソプロピルである。一実施態様によれば、前記少なくとも一の脂溶性化合物はヒマシ油である。好ましい実施態様によれば、前記少なくとも一の脂溶性化合物は中鎖トリグリセライドの混合物[商品名Labrafac(登録商標)Lipophile WL1349]である。別の好ましい実施態様によれば、前記少なくとも一の脂溶性化合物は30%シメチコン・エマルションである。
【0089】
本願明細書に記載の発明によれば、前記少なくとも一の脂溶性化合物は、エマルションまたはマイクロエマルション形態の組成物中に、約0.05g/100ml〜約10.0g/100ml(約0.05%w/v〜約10.0%w/v)、好ましくは約0.1g/100ml〜約5.0g/100ml(約0.1%w/v〜約5.0%w/v)の範囲の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の脂溶性化合物は約0.1g/100ml(約0.1%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の脂溶性化合物は約0.5g/100ml(約0.5%w/v)の量で含まれる。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の脂溶性化合物は約1.0g/100ml(約1.0%w/v)の量で含まれる。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の脂溶性化合物は約2.0g/100ml(約2.0%w/v)の量で含まれる。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の脂溶性化合物は約3.0g/100ml(約3.0%w/v)の量で含まれる。別の実施態様によれば、前記少なくとも一の脂溶性化合物は約5.0g/100ml(約5.0%w/v)の量で含まれる。上述のように、量はエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物100ml当たりのグラム数、または当該組成物の重量/体積の百分率で表現されている。
【0090】
さらに、当該組成物には少なくとも一の逆熱感受性ポリマーを含んでいてもよい。当該技術分野においてよく知られているように、逆熱感受性ポリマーは、臨界ミセル濃度(CMC)を超えた濃度で溶媒(水など)中に溶解させた後に、ミセルを形成する傾向を有するポリマーである。臨界ゲル化濃度(CGC)を超えた濃度において、これらのミセルは格子状に整列でき、その結果、逆粘性特性(温度と共に溶液粘度の増加を示す特性)を有する溶液を与える。最終的に、温度が臨界ゲル化温度(CGC)を超えて上昇すると、ゲルが形成される。ゲル化は、物理的再配列及びミセル構造充填に起因する。そして、これは可逆的であり、従って、温度が臨界ゲル化温度未満に低下すると、ゲルは液体形態に戻る。このタイプのポリマーは当該技術分野においてよく知られており、たとえばポリキサマー[商品名Kolliphor(登録商標)としてBASFにより上市]及びポリキサミン[商品名Tetronic(登録商標)としてBASFにより上市]を含む。
【0091】
一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーは、臨界ゲル化濃度(CGC)以上の濃度で含まれる。この実施態様によれば、エマルション又はマイクロエマルション形態の前記液体組成物は、臨界ゲル化温度(CGT)、すなわち液体状態からゲル化状態への転移が生じる温度によって特徴付けられる。
【0092】
別の実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーは、臨界ゲル化濃度(CGC)未満の濃度で含まれる。この実施態様によれば、エマルションまたマイクロエマルション形態の前記液体組成物は、ゲル化能を有しない。
【0093】
逆熱感受性ポリマー溶液のゲル化能は、温度が臨界ゲル化温度(CGT)を超えて上昇したときに、前記溶液中の前記ポリマーの濃度が臨界ゲル化濃度(CGC)以上であることが要求され、すなわち前記ポリマーの溶液は臨界ゲル化濃度(CGC)を超えてゲルを形成する。
【0094】
臨界ゲル化温度(CGT)は、逆熱感受性ポリマーの濃度を変化させることによって調節することができる。すなわち、前記ポリマーの濃度が高ければ高いほど、臨界ゲル化温度(CGT)は低い。このような組成物の調製に使用される逆熱感受性ポリマーのタイプは、その濃度と共に、前記CGTに対して影響を及ぼす。本願明細書に記載の発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物の調製において、適切な逆熱感受性ポリマー及びその濃度の選択により、体温未満(すなわち約37℃未満)では液体状態であり、体温又は体温を超えて(すなわち約37℃以上)加熱したときにゲルとなる最終組成物を得るようにすることができる。この場合、本願明細書に記載の発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルション形態の組成物は、標的器官中に投与した後、当該組成物が投与される場所(たとえば、診断センターの部屋、あるいはその他の適切な投与場所の温度)と体温(たいてい約T=37℃)との間の温度差のため、その物理的特性を変えることができる。本願発明のエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物(CGCよりも高い濃度で、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーも含む)を暖かい粘膜壁に接触させた後、その粘度が増し、従って、当該組成物の標的器官上への付着も増す。
【0095】
本明細書に記載の発明によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーは以下の群から選択することができるが、これらに限られない。すなわち、ポロキサマー124、ポロキサマー188、ポリキサマー237、ポロキサマー338、ポロキサマー407及び/又はそれらの類似物のようなポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーを含む群から選択できる。上述の逆熱感受性ポリマーの任意の混合物を適切な組成物の調製に使用することができる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーは、ポロキサマー188である。好ましい実施態様において、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー407である。更に別の好ましい実施態様において、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー188とポロキサマー407の混合物である。
【0096】
一実施態様において、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはCGC(臨界ゲル化濃度)以上の量で含まれる。この実施態様において、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーの濃度は、臨界ゲル化温度(CGT)が、室温より高く(すなわち、約20℃〜25℃より高い)、好ましくは体温に近く(すなわち約37℃)なるように選択される。上記実施態様によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の前記医薬組成物の好ましい臨界ゲル化温度(CGT)は、45℃未満、好ましくは10℃〜43℃、より好ましくは20℃〜40℃である。
【0097】
別の実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはCGC(臨界ゲル化濃度)未満の量で含まれる。
【0098】
この実施態様によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の医薬組成物は、試験室条件において約40℃の温度まで、好ましくは試験室条件において室温(すなわち約20〜25℃)及び体温(すなわち約37℃)の両方の温度において、液体相状態にある。
【0099】
上記実施態様において、エマルションまたはマイクロエマルション形態の医薬組成物は、40℃までの温度の上昇、たとえば室温(すなわち約20〜25℃)から体温(すなわち約37℃)までの温度の上昇に応答して、液相からゲル相へと変化することはできない。
【0100】
本明細書に記載の発明によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーは、エマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物中に、約1.0g/100ml〜約40.0g/100ml(約1.0%w/v〜約40.0%w/v)、好ましくは約2.0g/100ml〜約30.0g/100ml(約2.0%w/v〜約30.0%w/v)、より好ましくは約5.0g/100ml〜約25.0g/100ml(約5.0%w/v〜約25.0%w/v)の範囲の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー407であり、約5.0g/100ml(約5.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー338であり、約10.0g/100ml(約10.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー407であり、約10.0g/100ml(約10.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー407であり、約12.0g/100ml(約12.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー407であり、約13.0g/100ml(約13.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー407であり、約13.2g/100ml(約13.2%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー407であり、約15.0g/100ml(約15.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー188であり、約15.0g/100ml(約15.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー188であり、約20.0g/100ml(約20.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー188であり、約25.0g/100ml(約25.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー188であり、約20.0g/100ml(約20.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー188であり、約30.0g/100ml(約30.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー188であり、約35.0g/100ml(約35.0%w/v)の量で含まれる。
【0101】
一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー407とポロキサマー188からなる混合物であり、前記ポロキサマー407及びポロキサマー188はそれぞれ、約12.4g/100ml(約12.4%w/v)及び約7.8g/100ml(約7.8%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー407とポロキサマー188からなる混合物であり、前記ポロキサマー407及びポロキサマー188はそれぞれ、約13.2g/100ml(約13.2%w/v)及び約7.8g/100ml(約7.8%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー407とポロキサマー188からなる混合物であり、前記ポロキサマー407及びポロキサマー188はそれぞれ、約14.0g/100ml(約14.0%w/v)及び約7.8g/100ml(約7.8%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー407とポロキサマー188からなる混合物であり、前記ポロキサマー407及びポロキサマー188はそれぞれ、約15.0g/100ml(約15.0%w/v)及び約10.0g/100ml(約10.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー407とポロキサマー188からなる混合物であり、前記ポロキサマー407及びポロキサマー188はそれぞれ、約16.0g/100ml(約16.0%w/v)及び約10.0g/100ml(約10.0%w/v)の量で含まれる。一実施態様によれば、前記少なくとも一の逆熱感受性ポリマーはポロキサマー407とポロキサマー188からなる混合物であり、前記ポロキサマー407及びポロキサマー188はそれぞれ、約17.0g/100ml(約17.0%w/v)及び約10.0g/100ml(約10.0%w/v)の量で含まれる。
【0102】
本願明細書に記載の発明によれば、エマルションまたはマイクロエマルション形態の前記液体組成物は、少なくとも一の無機塩、少なくとも一の有機塩、またはそれらの混合物を含んでもよい。本明細書に記載のいくつかの実施態様において、エマルションまたはマイクロエマルション形態の前記液体組成物は、以下の群から選択される一以上の無機塩を含んでもよいが、これらに限定されない。すなわち、塩化物、臭化物、ヨウ化物、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、ケイ酸塩及び/又はそれらの類似物を含む群から選択できる。いくつかの実施態様において、エマルションまたはマイクロエマルション形態の前記液体組成物は、以下の群から選択される一以上の有機塩を含んでもよいが、これらに限定されない。すなわち、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、乳酸塩及び/又はそれらの類似物を含む群から選択できる。上記の無機及び有機塩の任意の混合物は、適切な組成物を形成するために、あるいは一般的に組成物のpHを適切な生体適合範囲に緩衝剤処理するために、あるいは医薬組成物が投与されるべき生物環境によって要求される浸透圧に到達するために、使用することができる。
【0103】
好ましくは、使用される無機及び/又は有機塩は、無水リン酸二水素ナトリウム、無水二塩基性リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムまたはそれらの混合物である。
【0104】
前記少なくとも一の無機塩、有機塩、またはそれらの混合物は、本願発明の組成物中に、約0g/100ml〜約20.0g/100ml(約0%w/v〜約20.0%w/v)、好ましくは約0.5g/100ml〜約10.0g/100ml(約0.5%w/v〜約10.0%w/v)の範囲の量で含まれる。
【0105】
最後に、本願発明のエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物はまた、少なくとも一の保存料を含んでもよく、好ましくは以下の群から選択されるが、これらに限定されない。すなわち、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸ナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル、サリチル酸、クレゾール、セトリミド、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブトール(chlorobutol)、フェノール、クロロクレゾール、フェニル水銀塩、ブロノポール、塩化セチルピリジニウム、クロロキシレノール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミドウレア(imidurea)、フェノキシエタノール、フェネチルアルコール、プロピレングリコール、チメロサール、プロピオン酸ナトリウム、塩化ベンゼトニウムを含む群から選択できる。上述の保存料の任意の混合物を、適切な組成物を形成するために使用することができる。好ましくは、用いる保存料は安息香酸ナトリウム、p−ヒドロキシ安息香酸メチルまたはそれらの混合物である。
【0106】
前記少なくとも一の保存料または保存料の混合物は、本願発明の組成物中に、約0.01g/100ml〜約5.0g/100ml(約0.01%w/v〜約5.0%w/v)、好ましくは約0.02g/100ml〜約2.0g/100ml(約0.02%w/v〜約2.0%w/v)、より好ましくは約0.05g/100ml〜約1.0g/100ml(約0.05%w/v〜約1.0%w/v)の範囲の量で含まれる。
【0107】
上記のように、量は、エマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物100ml中のグラム数、または当該組成物の重量/体積の百分率で表現されている。
【0108】
さらに、本願明細書に記載の発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルション形態の組成物には、他の生理学的に許容可能な添加剤を添加して、S状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順において使用するための、適切な特徴と安定性を有する最終組成物を得てもよい。例として、これらの生理学的に許容可能な添加剤は、抗酸化剤、キレート剤、溶媒及び/又はそれらの類似物のような、当該技術分野においてよく知られた添加剤から選択できる。
【0109】
本願発明のエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物は、好ましくは浣腸剤[clyster、または注腸剤(clistere or enema)]及び/又は洗浄溶液(エマルションまたはマイクロエマルションの形態)の形態で製剤化される。
【0110】
上記で議論した染料吸収の増加に加えて、本願発明のエマルション又はマイクロエマルションの特別な製剤はまた、当該技術分野において一般的に用いされている既知の溶液(たとえば水溶液)と比べて、粘膜壁に沿った流動傾向の減少を確保する。その結果、そこに溶解している染料が、単純な溶液中に溶解した染料よりも長い時間、粘膜上皮細胞の細胞膜との接触を維持する。これらの特性は、本願発明の液体組成物が、メチレン・ブルー、トルイジン・ブルーまたはルゴール液のような生体染色染料(または「吸収性」染料)を含む場合に特に有利である。
【0111】
これらのタイプの染料は、その染色特性を発揮するためには、細胞によって実際に吸収されなければならない。生体染色染料の細胞膜との接触維持が長ければ長いほど、上皮細胞によって吸収され得る染料の量は多くなり、得られる染色効果及び内視鏡診断中での視覚化されたコントラストが大きくなる。
【0112】
このようにして、本願発明の組成物は早期かつ効果的に、分析によってカバーされた領域における病変形成の同定、良性または悪性組織の同定または病気の同定をも提供でき、したがって、視覚化困難性による望まれない病気の進行を制限できる。たとえば、S状結腸及び/又は直腸の腫瘍塊の早期視覚化及び診断により、たとえそれが最小限の大きさ(mm)であっても、治療に有効であり、あるいは少なくとも治療効果の評価ないし可能性のある手術の評価に重要である。当然ながら、同じ理由が、ポリープ、扁平ポリープ、疑似ポリープ、形成不全、及び緊張性損傷(tightened injury)の場合にも適用できる。
【0113】
本願発明のエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物は従って、診断用途に適しており、好ましくはS状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断検査に、より好ましくは肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、S状結腸鏡検査及び/又は直腸鏡検査に、適している。
【0114】
次に本願発明の内視鏡診断検査は好ましくは、腸管粘膜(好ましくはS状結腸及び/又直腸のレベル)のいくつかの病理学的及び/又は非病理学的形態の同定に関する。より好ましくは、前記病理学的及び/又は非病理学的形態は、炎症性病変、潰瘍、ポリープ、疑似ポリープ、扁平ポリープ、増殖性ポリープ、緊張性病変、アデノーマ、前癌状態形成、腫瘍形成、腫瘤及び/又は癌(carcinoma)を含むが、これらに制限されない。
【0115】
次に本願発明の組成物は直腸投与され、好ましくは内視鏡診断検査の準備段階で投与される。当該技術分野で良く知られているように、当該準備段階は内視鏡診断検査の前に行われる重要な工程であり、前記準備段階の目的が本質的に、残存する糞便材料または排泄物を結腸下部から洗浄して除き、医師がS状結腸及び/又は直腸の粘膜壁を観察することを可能にするものである、肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、S状結腸鏡検査及び/又は直腸鏡検査においては特にそうである。この準備段階は通常、診断手順の24時間前に始まり、このとき被験者は液体ベースの食事療法を開始しなければならない。準備用キットは薬局で入手できる。通常、検査の約20時間前に、被験者は便秘薬を服用し始め、当該便秘薬は経口錠剤または液体製剤とできる。検査の4時間前になると、被験者はいかなるタイプの液体も摂取してはならない。検査の1〜2時間前になると、被験者は注腸剤(enema)または坐薬タイプの下剤を用いて、腸管下部の洗浄を完了させる。
【0116】
一実施態様によれば、本願発明のエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物は、S状結腸及び/又は直腸を洗浄して糞便残留物、排泄物及び/又は粘液を除去すること(排出特性);及び最適かつ長期に粘膜壁を染色すること、の両方を可能にする。
【0117】
内視鏡診断手順中に、特にS状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順中に、粘膜の最適な視覚化を確保するために、効果的な洗浄と染色が組み合わせて行われる。
【0118】
この実施態様によれば、組成物は直腸投与され、好ましくは内視鏡診断検査の3時間前から30分前までに投与され、上述の二重の活動を提供する。すなわち、結腸下部を洗浄して排泄物を除去する排出活動、及び分析の前にS状結腸及び/又は直腸の改善された染色活動の両方を提供する。
【0119】
別の実施態様によれば、本願発明のエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物は、染色特性を有するが、排出特性は有しない。この実施態様によれば、本願発明の組成物は、S状結腸及び/又は直腸粘膜の染色の準備工程としてのみ活動するように、内視鏡診断検査の3時間前から数分前に直腸投与され、洗浄の準備工程としては活動しない。この実施態様によれば、したがって、本願発明の組成物は、結腸、特に結腸下部の適切な洗浄の後に投与されることが好ましい。かかる洗浄は、たとえば、Selg Esse 1000(登録商標)、Phospho−Lax(登録商標)、Iscolan(登録商標)、Clismalax(登録商標)、Klean−Prep(登録商標)のような既知の調製物を用いて実行される。この場合、結腸下部には残存する糞便残留物がないため、組成物の染色活動をより良好に評価できる。糞便残留物があると、組成物中に含まれる染料の一部を吸収しうるからである。この実施態様によれば、本願明細書に記載の発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物は、当該技術分野において既知の緩下浣腸剤[laxative clyster、または注腸剤(clistere or enema)]と組み合わせて、S状結腸及び/又は直腸の内視鏡手順[好ましくは、この内視鏡手順は、肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、S状結腸鏡検査及び/又は直腸鏡検査である]において使用するためのキットを形成してもよい。したがって、本願明細書に記載の本願発明のさらなる態様は、
・本明細書に記載の発明に従ったエマルションまたはマイクロエマルション形態の液体組成物;
・緩下注腸剤;
・使用説明書、
を含むキットを提供する。
【0120】
本願発明のキットは、好ましくはS状結腸及び/又は直腸の内視鏡診断手順において、より好ましくは肛門鏡検査、直腸(下部)鏡検査、S状結腸鏡検査及び/又は直腸鏡検査において、使用するのに適切である。
【0121】
一実施態様において、前記キットの調製のために、当該技術分野においてよく知られた定性的-定量的組成物にしたがって、前記緩下注腸剤を製剤化できる。
【0122】
別の実施態様において、前記キットの調製のために、前記緩下注腸剤として、Clisflex(登録商標)、Clisma Fleet(登録商標)、Clisma Lax(登録商標)、Enemax(登録商標)、Glicerolax(登録商標)、Macrolax(登録商標)、Verolax(登録商標)及びそれらの類似物を含む、ヒト用に承認され市場で入手可能な緩下注腸剤から選択することができるが、これらに制限されない。
【0123】
(定義)
本願明細書において、「一の実施態様」、「前記実施態様」等への言及は、記載される実施態様が特別の特徴、特性、構造または性質を含んでもよいことを示している。さらに、これらの言い回しは、本明細書の他の部分において言及される同一の実施形態を指すことができるが、常にそうとは限らない。また、特別の特徴、特性、構造または性質が一の実施形態との関係で記載されているとき、前記特徴、特性、構造または性質を変形ないし、他の実施形態(明示的に記載されているか否かを問わない)と組み合わせることは、当該技術分野における当業者の知識の範囲内にある。
【0124】
文脈から明らかに別な解釈を要求しない限り、単数形である「一の」(”a”,”an”)及び「前記」(”the”)は複数形を含む。したがって、たとえば、「一の化合物」への言及は、そのような化合物が複数ある場合を含む。また、特許請求の範囲は、いかなる任意選択的な要素も取り上げないで作成できる点に注意すべきである。そのようなものとして、この陳述は、特許請求の範囲の要素の記載または「否定的」限定の使用に関連して、「もっぱら(solely)」、「唯一の(only)」等の排他的な用語法の使用に先立つ事情を提供することを意図している。
【0125】
「及び/又は(and/or))」の用語は、複数事項のうちのいずれかの事項、複数事項のうちの任意の組み合わせ、または、この用語に関連する全ての事項を意味する。
【0126】
「〜を含む(comprising)」、「〜を有する(having)」、「〜を含む(including)」及び「〜を含有する(containing)」は、開放型用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」を意味する)として理解されるべきであり、「本質的に〜からなる」(”consisits essentially of”,”consisting essentially of”)、「〜からなる」(”consisits of”,”consisting of”)のような用語に対しても、サポートになるものとみなすべきである。「本質的に〜からなる」(”consisits essentially of”,”consisting essentially of”)の用語は、半閉鎖型用語として理解されるべきであり、発明の基本的性質や新規性に影響を及ぼすようないかなる他の成分も含まないことを意味する。
【0127】
「〜からなる」(”consisits of”,”consisting of”)の用語は閉鎖型用語として定義される。
【0128】
本明細書において別途示されない限りは、「約(about)」の用語は、一覧として示された範囲に近接し、組成物の各成分の機能または具現化の観点からみて等価な数値(たとえば重量百分率)を含む。
【0129】
任意かつあらゆる目的のために、特に明細書記載提供の観点からは、本明細書中に言及されている全ての範囲は、範囲中の全ての個々の数値(特に整数値)を含むのはもちろんのこと、任意かつ全ての可能な部分的範囲及びそれらの部分的範囲の任意かつ全ての可能な組み合わせをも含むということを、当業者は承認するであろう。記載された範囲は、当該範囲内の個々の具体的な値、整数、小数、識別要素を含む。
【0130】
マーカッシュ・グループ(Markush group)のように、共通の様式で一つのグループにまとめた複数要素がある場合、発明は、全体としての記載されたグループ全体を含むのみならず、グループ中の個々の各要素、及びメイングループのすべての可能なサブグループをも含むということを、当業者は承認するであろう。さらに、あらゆる目的のために、当該発明はメイングループを含むのみならず、該グループの要素の一以上が欠けた状態のメイングループをも含む。従って、当該発明は、グループ中の記載された一以上の要素の明示的な排除に対しても提供される。
【0131】
したがって、記載される事項(items)、種(species)、または実施工程(implementations)の一以上が排除(たとえば、明示的な否定的限定の使用)されていたとしても、そのような排除を受けたカテゴリーまたは実施形態の一以上に対しても、諸条件を適用できる。
【0132】
「エマルション」の用語は、二つの非混和性液体(慣例として油及び水として記載)からなり、その一方の非混和性液体が、他方の非混和性液体中に微細滴として均一に分散している、不均一調製物を指す。小滴として存在する相は被分散相、被分散または内相と呼ばれ、液体キャリアは連続相または外相として知られている。エマルションは、連続相が水性か油性かに依存して、便宜上、水中油型(o/w)または油中水型(w/o)に分類される。事前に存在するエマルションの再乳化を用いて二つの被分散相を形成することにより、油と水から調製される多重エマルションもまた、薬剤として興味深い。
【0133】
「油中水中油」(o/w/o)型の多重エマルションは、w/o型エマルションであって、同じ水滴が分散された油滴を含有するエマルションである。逆に、「水中油中水」(a/o/a)型のエマルションは、内水相と外水相とが油により分離されているエマルションである。「マイクロエマルション」は、熱力学的に安定で透明(または半透明)な油と水の分散系であり、界面活性剤分子の界面膜によって安定化されていてもよい。界面活性剤は、純粋なものでも、混合物でも、共界面活性剤(中鎖アルコールなど)との組み合わせでもよい。マイクロエマルションは、その透明性、その低粘度性、及びより根本的にはその熱力学的安定性及びその自発形成能によって、通常のエマルションとは容易に区別される。上記の「エマルション」及び「マイクロエマルション」の定義は、非特許文献1から引用したものである。
【0134】
「粘度」は、液体または半固体の流動抵抗性によって定義される。液体または半固体の流れは、粘度、より正確には、せん断粘度ηによって記述される。液体のせん断粘度は、せん断流動に対する抵抗性を表現している。せん断流動では、隣接する層は互いに、異なる速度で平行に移動する。粘度測定の一般的単位は、パスカル・秒(Pa s)、ポアズ(P)、及びセンチポアズ(cP)である。
【0135】
「体温」とは、生体過程によって生み出され維持される熱のレベルを指す。熱は栄養分の代謝を通して生体内で生じ、放射、対流、及び汗の蒸発によって生体表面から発散する。熱の生産と損失は視床下部及び脳幹によって規制及び制御される。成人の通常の生体の温度は口腔内測定では37℃であるが、1日の間には通常、小さな変動が記録される。
【0136】
「室温」(RT)は一般的には、所与の手順のために使用される任意の部屋における環境大気の温度として定義される。より具体的には、20〜25℃として定義される。元々、この範囲に入らない大気温度もあることを考慮したものである。通常、RTでの実施をすべき工程を要求する手順は、18℃未満とならず、27℃を超えない温度を要求する。
【0137】
逆熱感受性ポリマーを含有する組成物について、「臨界ゲル化濃度」(CGC)とは、前記ポリマーの濃度であって、その濃度を超えると前記組成物が温度上昇に応答して液体相からゲル相に転移することが可能になる濃度を表す。
【0138】
「臨界ゲル化温度」(CGT)とは、臨界ゲル化濃度以上の濃度で逆熱感受性ポリマーを含有する組成物が、その温度を越えると液体相からゲル相へ転移するような温度を表す。
【0139】
「ルゴール溶液」とは、元素状ヨードとヨウ化カリウムの水溶液である。
【0140】
「cP」センチポアズとは、粘度測定の単位である。
【0141】
以下の実施例は、本願発明の特定の特徴及び実施形態を説明する目的のために含めたものであり、本願発明を限定することを意図していない。
【実施例】
【0142】
(実施例1)
【0143】
【表1】
【0144】
無水リン酸二水素ナトリウム(7.0g)、無水二塩基性リン酸ナトリウム(1.5g)、水酸化ナトリウム(0.6g)、Transcutol(登録商標、50.0g)、安息香酸ナトリウム(1.0g)及びp−ヒドロキシ安息香酸メチル(1.0g)を、機械式攪拌器を備えた溶解装置中の850mlの精製水に加える。均一な混合物が得られるまで攪拌を維持する。
【0145】
攪拌速度を800回転/分に設定し、Carbopol(登録商標)980(15.0g)、Labrasol(登録商標、50.0g)及びLabrafac(登録商標)Lipophile WL1349(10.0g)を攪拌下に加える。得られる混合物は高空隙濾紙で濾過し、精製水を用いて、体積を最終値(1000ml)にする。メチレン・ブルー(0.5g、約0.4gの無水物質に相当)を加える。メチレン・ブルーが完全に溶解するまで混合物の攪拌を維持する。
【0146】
(実施例2)
【0147】
【表2】
【0148】
ある溶解装置に精製水(3.400Kg)を充填する。これを温度T<20℃で、機械式攪拌器を用いた攪拌下に置き、30%シメチコン・エマルション(0.005Kg)及びKolliphor(登録商標)P407(0.750Kg)を加える。均一な混合物が得られるまで、温度T<20℃で攪拌を維持する(約90分)(混合物A)。
【0149】
別の溶解装置に精製水(0.500Kg)を充填する。これを室温で、機械式攪拌器を用いた攪拌下に置き、安息香酸ナトリウム(0.005Kg)を加える。均一な混合物が得られるまで攪拌を維持する(約10分)(混合物B)。
【0150】
混合物Bを、室温で攪拌下の混合物Aに加え、均一な混合物が得られるまで攪拌を維持する(約10分)(混合物C)。
【0151】
Labrasol(登録商標、0.050Kg)を室温で攪拌下の混合物Cに加え、均一な混合物が得られるまで攪拌を維持する(混合物D)。
【0152】
ある溶解装置にTranscutol(登録商標、0.250Kg)を充填する。これを室温で、機械式攪拌器を用いた攪拌下に置き、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(0.005Kg)を加える。均一な混合物が得られるまで攪拌を維持する(約10分)(混合物E)。
【0153】
混合物Eを、溶解装置中、室温で攪拌下の混合物Dに加える。均一な混合物が得られるまで攪拌を維持する(約10分)(混合物F)。
【0154】
ある溶解装置に精製水(0.500Kg)を充填する。これを室温で、機械式攪拌器を用いた攪拌下に置き、メチレン・ブルー(1.200g、約1gの二無水物に相当)を加える。均一な混合物が得られるまで攪拌を維持する(約10分)(混合物G)。
【0155】
混合物Gを、室温で攪拌下にある混合物Fに加える。これを、精製水を用いて最終体積(V=5.00L)にする。
【0156】
このようにして得られた組成物は、以下の特性を有する。
− pH 6.9;
− 密度 1.007g/ml;
− T=20.0℃±0.1℃での粘度 65.8cP;
− T=37.0℃±0.1℃での粘度 24739cP
【0157】
(実施例3)
【0158】
【表3】
【0159】
溶解装置に精製水(6.000Kg)を充填する。これを室温で、機械式攪拌器を用いた攪拌下に置く。攪拌を維持し、かつ温度を徐々に最終値T=80℃まで増加させながら、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(0.008Kg)を加える。清澄な溶液が得られるまで温度T=80℃で攪拌を維持する。攪拌を維持しながら、温度T=40℃まで冷却する。安息香酸ナトリウム(0.008Kg)、30%シメチコン・エマルション(0.080Kg)、Capryol(登録商標)90(0.120Kg)及びLabrasol(登録商標、0.800Kg)を、T=40℃で攪拌下に加える。T=40℃で約20分間、攪拌を維持する(混合物A)。
【0160】
Gelucire(登録商標)44/14(0.640Kg)を適切な容器中でT=40℃に加熱する。このようにして得られた溶融物を、T=40℃の攪拌下に混合物Aに加える。これを室温に戻す(混合物B)。
【0161】
メチレン・ブルー(1.92g、約1.60gの無水物に相当)を、室温で攪拌下に混合物Bに加える。室温で約20分間、攪拌を維持する。精製水を用いて、これを最終体積(V=8.00L)にする。
【0162】
このようにして得られた組成物は、以下の特性を有する。
【0163】
− pH 5.8;
− 密度 1.015g/ml
【0164】
(実施例4)
【0165】
【表4】
【0166】
無水リン酸二水素ナトリウム(139.0g)、無水二塩基性リン酸ナトリウム(31.8g)、水酸化ナトリウム(1.2g)、Transcutol(登録商標、100.0g)、安息香酸ナトリウム(1.0g)、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(1.0g)を、機械式攪拌器を備えた溶解装置中の精製水700mlに加える。均一な溶液が得られるまで攪拌を維持する。
【0167】
攪拌速度を800回転/分に設定し、攪拌下にLabrasol(登録商標、100.0g)を加える。得られた混合物を高空隙濾紙で濾過し、精製水を用いて、体積を最終値(1000ml)にする。インジゴ・カルミン(0.588g、約0.400gの無水物に相当)を加える。染料が完全に溶解するまで、混合物の攪拌を維持する。
【0168】
(実施例5)
【表5】
【0169】
Transcutol(登録商標、100.0g)、Tween(登録商標)80(100.0g)、オレイン酸エチル(10.00g)、安息香酸ナトリウム(1.0g)、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(1.0g)を、機械式攪拌器を備えた溶解装置中の精製水700mlに加える。均一な溶液が得られるまで攪拌を維持する。
【0170】
攪拌速度を800回転/分に設定し、攪拌下にKolliphor(登録商標)P407(50.0g)を加える。得られた混合物を高空隙濾紙で濾過し、精製水を用いて、体積を最終値(1000ml)にする。メチレン・ブルー(0.5g、約0.4gの無水物に相当)を加える。メチレン・ブルーが完全に溶解するまで、混合物の攪拌を維持する。
【0171】
(実施例6)
【0172】
【表6】
【0173】
クエン酸ナトリウム(50.0g)、酒石酸カリウム(50.0g)、グリセロール(50.0g)、Myrj(登録商標)S40(100.0g)、Labrasol(登録商標、100.0g)、大豆油(5.00g)、安息香酸ナトリウム(1.0g)及びp−ヒドロキシ安息香酸メチル(1.0g)を、機械式攪拌器を備えた溶解装置中の水850mlに加える。均一な溶液が得られるまで攪拌を維持する。
【0174】
攪拌速度を800回転/分に設定し、Carbopol(登録商標)980(15.0g)を攪拌下に加える。得られた混合物を高空隙濾紙で濾過し、精製水を用いて体積を最終値(1000ml)とする。インジゴ・カルミン(0.118g、約0.100gの無水物に相当)を加える。インジゴ・カルミンが完全に溶解するまで混合物の攪拌を維持する。
【0175】
(実施例7)
【0176】
【表7】
【0177】
レシチン(15.0g)、オレイン酸ナトリウム(0.20g)、塩化セチルピリジニウム(0.1g)及びオレインアルコール(30.0g)を、機械式攪拌器を備えた溶解装置中の水700mlに加える。均一な溶液が得られるまで攪拌を維持する。
【0178】
攪拌速度を800回転/分に設定し、Kolliphor(登録商標)P338(100.0g)を攪拌下に加える。得られた混合物を高空隙濾紙で濾過し、精製水を用いて堆積を最終値(1000ml)にする。メチレン・ブルー(0.12g、約0.1gの無水物に相当)を加える。メチレン・ブルーが完全に溶解するまで混合物の攪拌を維持する。
【0179】
(実施例8)
【0180】
【表8】
【0181】
無水リン酸二水素ナトリウム(69.5g)、無水二塩基性リン酸ナトリウム(15.9g)、水酸化ナトリウム(0.6g)、Transcutol(登録商標、50.0g)、Labrasol(登録商標、100.0g)、Labrafac(登録商標)Lipophile WL1349(20.0g)、安息香酸ナトリウム(1.0g)及びp−ヒドロキシ安息香酸メチル(1.0g)を、機械式攪拌器を備えた溶解装置中の水750mlに加える。均一な溶液が得られるまで攪拌を維持する。
【0182】
攪拌速度を800回転/分に設定し、Carbopol(登録商標)980(15.0g)を攪拌下に加える。得られた混合物を高空隙濾紙で濾過し、精製水を用いて体積を最終値(1000ml)にする。メチレン・ブルー(0.6g、約0.5gの無水物に相当)を加える。メチレン・ブルーが完全に溶解するまで混合物の攪拌を維持する。この組成物は、排出特性及び染色特性を有し、S状結腸鏡検査及び直腸鏡検査の準備段階においてS状結腸及び直腸からの排泄物排出及びS状結腸及び直腸の洗浄のために使用できる。
【0183】
(実施例9)
【0184】
【表9】
【0185】
ラウリル硫酸ナトリウム(50.0g)、Transcutol(登録商標、50.0g)、硫酸ナトリウム(11.0g)、ソルビン酸カリウム(2.0g)、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(1.0g)、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル(0.5g)及びミリスチン酸イソプロピル(10.0g)を、機械式攪拌器を備えた溶解装置中の水800mlに加える。均一な溶液が得られるまで攪拌を維持する。
【0186】
攪拌速度を800回転/分に設定し、ヒドロキシプロピルセルロース(10.0g)を攪拌下に加える。精製水を用いて体積を最終値(1000ml)にする。インジゴ・カルミン(0.588g、約0.400gの無水物に相当)を加える。インジゴ・カルミンが完全に溶解するまで混合物の攪拌を維持する。
【0187】
(実施例10)
【0188】
【表10】
【0189】
Tween(登録商標)20(50.0g)、塩化ベンザルコニウム(0.1g)及びヒマシ油(5.00g)を、機械式攪拌器を備えた溶解装置中の水850mlに加える。均一な溶液が得られるまで攪拌を維持する。
【0190】
攪拌速度を800回転/分に設定し、PEG6000(20.0g)を攪拌下に加える。精製水を用いて体積を最終値(1000ml)にする。メチレン・ブルー(0.5g、約0.4gの無水物に相当)を加える。メチレン・ブルーが完全に溶解するまで混合物の攪拌を維持する。
【0191】
(実施例11)
【0192】
【表11】
【0193】
中鎖トリグリセライド(10.0g)及びポリオキシ−15ヒドロキシステアレート(50g)を、適切な溶解装置中で加熱混合し、次いで攪拌下に150mlの精製水を加える(混合物A)。
【0194】
次いで、別の溶解装置に攪拌下、700mlの精製水を充填し、そこに30%シメチコン・エマルション(1.0g)、Kolliphor P407(120g)、ヒドロキシプロピルセルロース(30g)及び安息香酸ナトリウム(1.0g)を加え、均一な混合物が得られるまで攪拌を維持する(混合物B)。混合物Aを、攪拌下に混合物Bに加え、均一な混合物が得られるまで攪拌を維持する(混合物C)。
【0195】
ある溶解装置にジエチレングリコールモノエチルエーテル(50.0g)を充填する。これを室温において攪拌下に置き、p−ヒドロキシ安息香酸メチル(1.0g)及びパルミチン酸アスコルビル(0.5g)を加え、均一な溶液が得られるまで攪拌を維持する(混合物D)。
【0196】
混合物Dを溶解装置中の混合物Cに加え、清澄な溶液が得られるまで攪拌を維持する(混合物E)。
【0197】
最後に、別の溶解装置に精製水(100ml)を充填し、攪拌下に置く。次いで、メチレン・ブルー(0.2g)を攪拌下に加え、清澄な溶液が得られるまで攪拌を維持する(混合物F)。この混合物Fを攪拌下、混合物Eに加え、精製水で最終体積(1リットル)にする。