(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671296
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】単純な光学系、より具体的には様々な瞳位置を有する光スキャン顕微鏡
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20200316BHJP
【FI】
G02B21/00
【請求項の数】34
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-562755(P2016-562755)
(86)(22)【出願日】2015年4月16日
(65)【公表番号】特表2017-511508(P2017-511508A)
(43)【公表日】2017年4月20日
(86)【国際出願番号】EP2015058328
(87)【国際公開番号】WO2015158861
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2018年4月9日
(31)【優先権主張番号】102014005880.8
(32)【優先日】2014年4月17日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504284168
【氏名又は名称】カール ツァイス アーゲー
(73)【特許権者】
【識別番号】506151659
【氏名又は名称】カール ツァイス マイクロスコピー ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CARL ZEISS MICROSCOPY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ワルド,マティーアス
(72)【発明者】
【氏名】ベーメ,ベアーテ
(72)【発明者】
【氏名】シュウェット,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】アンフト,ティエモ
【審査官】
金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−529082(JP,A)
【文献】
特開2005−337730(JP,A)
【文献】
特開平03−134606(JP,A)
【文献】
特開2000−187177(JP,A)
【文献】
特開2006−079000(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02136231(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明ビーム経路を確定する光学系を有する光スキャン顕微鏡であって、
部分的に制約された光分布を提供する光源と、
入力側の瞳面と対物側の焦点とを有する顕微鏡対物系と、
前記顕微鏡対物系の瞳面に共役な瞳面を生成するスキャン光学系と、
可変調整可能ビーム偏向部とを有し、
前記照明ビーム経路は前記光分布の少なくとも一点と前記焦点の少なくとも一点とを互いに結像し、前記ビーム偏向部は共役瞳面に配置され、中間像は光学的に前記顕微鏡対物系と前記スキャン光学系との間にあり、前記スキャン光学系は前記ビーム偏向部を介して第2の中間像を第1の中間像に結像し、前記第2の中間像は空間的に湾曲していることを特徴とする、
光スキャン顕微鏡。
【請求項2】
前記第2の中間像の曲率中心はビーム偏向部にある、請求項1に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項3】
前記第2の中間像の曲率中心はビーム偏向部の反射面上にある、請求項1又は2に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項4】
前記光分布を中間像に結像する照明光学系を有する、
請求項1ないし3いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項5】
前記光分布を前記第2の中間像に、又は第3のもしくはさらに別の中間像に結像する照明光学系を有する、
請求項1ないし4いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項6】
検出ビーム経路を確定する光学系を有する光スキャン顕微鏡であって、
出力側の瞳面と対物側の焦点とを有する顕微鏡対物系と、
前記顕微鏡対物系の瞳面に共役な瞳面を生成するスキャン光学系と、
可変調整可能ビーム偏向部と、
共焦点光電子トランスデューサとを有し、
前記検出ビーム経路は少なくとも焦点の一点とトランスデューサの各点とを互いに結像し、前記ビーム偏向部は共役瞳面に配置され、中間像は光学的に前記顕微鏡対物系と前記スキャン光学系との間にあり、前記スキャン光学系は前記ビーム偏向部を介して第1の中間像を第2の中間像に結像し、前記第2の中間像は空間的に湾曲していることを特徴とする、
光スキャン顕微鏡。
【請求項7】
前記第2の中間像の曲率中心はビーム偏向部にある、請求項6に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項8】
前記第2の中間像の曲率中心はビーム偏向部の反射面上にある、請求項6又は7に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項9】
中間像を前記トランスデューサに結像する検出光学系を有する、
請求項6ないし8いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項10】
前記第2の中間像又は第3のもしくはさらに別の中間像を、前記トランスデューサに結像する検出光学系を有する、
請求項6ないし9いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項11】
前記光学系は、前記焦点から来る光が、照明ビームから光電子トランスデューサに分離されるように、照明ビーム経路と検出ビーム経路とに配置されたビームスプリッタを有する、
請求項1ないし10いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項12】
前記第2の中間像は球面湾曲し、又は少なくとも実質的に球面湾曲している、請求項1ないし11いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項13】
前記第2の中間像は球面湾曲し、又は少なくとも実質的に球面湾曲し、前記スキャン光学系の焦点距離の1倍から2倍の間の曲率半径で球面湾曲している、請求項1ないし12いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項14】
照明ビーム経路/検出ビーム経路の前記光学系は、前記スキャン光学系とは離れた前記ビーム偏向部の側に平行ビーム経路セクションを提供する、
請求項1ないし13いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項15】
曲率中心が前記共役瞳面にある凹面鏡が、前記ビーム偏向部と光源又はトランスデューサとの間に、コリメーション光学系として、光学的に配置された、請求項1ないし14いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項16】
前記凹面鏡の曲率半径は前記第2の中間像の曲率半径の2倍の大きさである、
請求項15に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項17】
前記スキャン光学系の一部又は全部は、検出ビーム経路の光軸に沿って変位可能である、請求項1ないし16いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項18】
前記スキャン光学系の一部又は全部は、検出ビーム経路の光軸に沿って変位可能であり、前記スキャン光学系の変位可能部分又は全部を変位する電気的駆動部を有する、請求項1ないし17いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項19】
前記スキャン光学系の結像は、0.8と1.2の間の倍率、0.9と1.1の間の倍率、又は、ちょうど1の倍率を有する、
請求項1ないし12いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項20】
照明ビーム経路を確定する光学系を有する光スキャン顕微鏡であって、
部分的に制約された光分布を提供する光源と、
入力側の瞳面と対物側の焦点とを有する顕微鏡対物系と、
前記顕微鏡対物系の瞳面に共役な瞳面を生成するスキャン光学系と、
可変調整可能ビーム偏向部とを有し、
前記照明ビーム経路は前記光分布の少なくとも一点と前記焦点の少なくとも一点とを互いに結像し、前記ビーム偏向部は共役瞳面に配置され、中間像は光学的に前記顕微鏡対物系と前記スキャン光学系との間にあり、前記照明ビーム経路又は検出ビーム経路は前記共役瞳面でコリメートされ、集束光学系が前記ビーム偏向部とトランスデューサ又は前記光源との間に光学的に配置され、前記集束光学系は前記ビーム偏向部から来るコリメートされたビームを第2の中間像にフォーカスし、前記スキャン光学系と前記集束光学系とは、前記検出ビーム経路の光軸に沿って変位可能である、光スキャン顕微鏡。
【請求項21】
前記スキャン光学系と前記集束光学系とは、前記検出ビーム経路の光軸に沿って変位可能であり、前記スキャン光学系及び/又は前記集束光学系を配置する電気的駆動部を有する、
請求項20に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項22】
前記スキャン光学系と前記集束光学系とは、前記検出ビーム経路の光軸に沿って変位可能であり、前記スキャン光学系及び/又は前記集束光学系に対して別々の駆動部を有する、
請求項20に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項23】
前記スキャン光学系と前記集束光学系とを同じ意味で、同じ距離で、及び/又は同期して配置するように構成された制御部を有する、
請求項20ないし22いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項24】
第2の可変調整可能ビーム偏向部又は可変調整可能波面変調部が、第1のビーム偏向部とトランスデューサ又は光源との間に光学的に、さらに別の共役瞳面内に配置される、
請求項20ないし23いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項25】
第1のビーム偏向部の回転軸とは異なる回転軸を有する第2の可変調整可能ビーム偏向部、又は可変調整可能波面変調部が、前記第1のビーム偏向部とトランスデューサ又は光源との間に光学的に、さらに別の共役瞳面内に配置される、
請求項1ないし24いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項26】
サンプルの少なくとも1つの像を記録し、前記像に影響する前記サンプルの少なくとも1つの所定の特性に基づき、かつ前記像に基づき、波面変調部の操作される変数を確立するように構成された制御部を有する、請求項1ないし25いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項27】
サンプルの少なくとも1つの像を記録し、前記サンプルの特性の実際の分布に基づき、かつ前記像に基づき、波面変調部の操作される変数を確立するように構成された制御部を有する、請求項1ないし26いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項28】
前記顕微鏡対物系は、光軸に沿って変位可能なように、及び/又は対物系変更部に構成される、
請求項1ないし27いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項29】
前記顕微鏡対物系は、前記顕微鏡対物系を変位する、及び/又は前記顕微鏡対物系を交換する電気的駆動部を有する、
請求項1ないし28いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項30】
前記第1のビーム偏向部及び/又は前記第2のビーム偏向部は、前記ビーム偏向を調整する微少電気機械的システムを有する、請求項1ないし29いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項31】
前記第1のビーム偏向部及び/又は前記第2のビーム偏向部は、前記ビーム偏向を調整する微少電気機械的システムを有し、前記微少電気機械的システムは、異なる2つの軸の周りに回転可能である、請求項1ないし30いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項32】
前記第1のビーム偏向部及び/又は前記第2のビーム偏向部は、前記ビーム偏向を調整する微少電気機械的システムを有し、前記微少電気機械的システムは、反射面内に異なる2つの軸の交点位置を有する、請求項1ないし31いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項33】
前記第1のビーム偏向部及び/又は前記第2のビーム偏向部は、前記ビーム偏向を調整する微少電気機械的システムを有し、前記微少電気機械的システムは、異なる2つの軸の交点が検出ビーム経路の光軸上に配置されている、請求項1ないし32いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【請求項34】
前記顕微鏡対物系は、無限後方焦点距離を有し、前記光学系は前記第1の中間像を生成するチューブ光学系を有し、前記第1の中間像は前記スキャン光学系と前記チューブ光学系との間に光学的にある、
請求項1ないし33いずれか一項に記載の光スキャン顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系を有する光スキャン顕微鏡に関し、該顕微鏡は照明ビーム経路を確定し、次のコンポーネントを有する:部分的に制約された光分布を提供する光源と、(光源側)瞳面と(対物側)焦点とを有する顕微鏡対物レンズ(objective)と、顕微鏡対物レンズの瞳面と共役な瞳面を生成するスキャン光学系(「スキャンレンズ」とも呼ぶ)と、(偏向方向に対して)(顕微鏡対物レンズの光軸に対して縦方向に焦点を変位する)可変調整可能ビーム偏向部とを有し、照明ビーム経路は少なくとも光分布の一点と焦点の一点とを互いにイメージ(image)し、ビーム偏向部は共役瞳面に(光学的には光分散光学系とスキャン光学系との間に)配置され、中間像は光学的には顕微鏡対物レンズとスキャン光学系との間にある。
【0002】
本発明は、さらに光学系を有する光スキャン顕微鏡に関し、該顕微鏡は検出ビーム経路を確定し、次のコンポーネントを有する:(出力)瞳面と(対物側)焦点とを有する顕微鏡対物レンズと、顕微鏡対物レンズの瞳面に共役な瞳面を生成するスキャン光学系と、(偏向方向に対する)可変調整可能ビーム偏向部と、光電子トランスデューサとを有し、検出ビーム経路は少なくとも焦点の一点とトランスデューサの各点とを互いにイメージ(image)し、ビーム偏向部(の反射面)は共役瞳面に(光学的には光分散光学系とトランスデューサとの間に)配置され、中間像は光学的には顕微鏡対物レンズとスキャン光学系との間にある。
【0003】
本発明はさらに、類似の光スキャン顕微鏡であって、スキャン光学系が第1の中間像から来るビームを従来の方法でコリメート(collimate)するものに関する。
【0004】
本発明の意味において、光は光学的手段により操作可能な任意の形式の電磁的放射であり、特に赤外放射及び紫外放射を含む。光分布を提供する目的で、光源は特に光学的導波部及び/又はビーム整形部を有していてもよい。さらに、強度変調部を有していてもよい。特に、光電子トランスデューサは顕微鏡対物レンズの焦点と焦点を共有する絞りを有しても良い。また偏向部はスキャナとも呼ばれる。
【0005】
先行技術では、かかる光スキャン顕微鏡は、例えば非特許文献1で知られている。それでは、スキャン光学系は「スキャン対物系」と呼ばれる。それは偏向部の位置にコリメートされた共役瞳面を提供する。スキャン光学系とチューブレンズとの組み合わせは転写光学系(transfer optics)と呼ばれる。
【0006】
さらに、特許文献1では、第2の可変調整可能ビーム偏向部がさらに別の瞳面に配置され、さらに別の瞳面は凹面鏡よりなる中継光学系により生成される。偏向部の微少電気機械的駆動部を伴う対応する構成は特許文献2で知られている。
【0007】
偏向部を(それぞれの)共役な対物瞳に配置することにより、有利にも、別の共役瞳における静止ビーム断面積(resting beam cross section)の提供が可能となる。この結果として、特許文献3又は特許文献4に記載されたように、高精度な波面の操作が可能となる。さらに、このように、光学系におけるビネッティング(vignetting)による周辺光のレンズ絞りは最小である。
【0008】
しかし、上記の光スキャン顕微鏡は、スキャン光学系が、共役瞳面の生成に必要であり、複雑であり、高画質とするために像面湾曲や横色収差などの様々な像収差を補償する必要があるため、光効率が高くないという欠点を有している。さらに、共役瞳面とスキャン光学系との間の距離は短いので、偏向部のために使える取り付けスペースは小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際出願公開第WO90/00755A1号
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/107338A1号
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/230710A1号
【特許文献4】国際出願第2008/037346A1号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】T. R. Corle及びG. S. Kino著「Confocal Scanning Optical Microscopy and Related Imaging Systems」(Academic Press, 1996, Section 2.2.7, Figure 2.2)
【発明の概要】
【0011】
本発明は、最初に記載したタイプの顕微鏡を、スキャン光学系の設計が単純になり、偏向部により大きな取り付けスペースを提供できるように改良する目的に基づく。
【0012】
上記の目的は、請求項1に記載のフィーチャ(feature)を有する光スキャン顕微鏡により実現される。
【0013】
本発明の有利な改良点は従属項に規定した。
【0014】
本発明によると、スキャン光学系が第2の中間像を第1の中間像にビーム偏向部(の反射面)を介してイメージする、又はスキャン光学系が第1の中間像を第2の中間像にビーム偏向部の(反射面)を介してイメージし、両方の場合に第2の中間像は空間的に湾曲していることを前提とする。それゆえ、先行技術と対照的に、偏向部(の反射面)は、検出ビーム経路のコリメートされたセクションには配置されず、その替わりに集束セクションに配置される。仮想オブジェクトは、偏向部の反射面における反射のため、ビーム偏向部の下流にある。中間像の空間的曲率により、スキャン光学系により、共役瞳面の用意が可能となる。これは、従来のコリメートされたスキャン対物系と比較すると、大幅に簡略化されており、特に像面湾曲の補正がなく、それにもかかわらず光学系全体としては同じ画質を維持できる。これにより、従来は平坦化に使われた負の焦点距離/屈折力を有する(ニアフィールド)レンズを配置することが可能となる(W.J.Smith:「Modern Lens design」,McGraw−Hill, 1992, chapter 22, page 411)。その光学特性及び品質に関して、かかるスキャン光学系は、従来のスキャナ対物系の替わりにアイピースにのみ対応する必要がある。第2の中間像の曲率半径は、好ましくは、偏向部と第1の中間像の焦点位置との間の距離に一致する。また、横色収差の補正を、補正系の意味において、スキャン光学系とチューブレンズとの間で分割することもできる。これはスキャン光学系をさらに単純化できることを意味する。都合よく、顕微鏡は、横色収差に関して、スキャン光学系とチューブレンズが互いに補償する実施形態を有し得る。
【0015】
この構成は、励起放射線のサンプルとの非線形相互作用の場合に、特に有利である。ここで、偏向部が互いにイメージされないように、各瞳における複数のビーム偏向部を従来の配置とした場合、サンプルの光放射の、強度に対する(2光子励起の場合の)2次の依存性又は(第3高調波又は3光子励起の場合の)3次の依存性により、像フィールド照明に問題が生じる。スキャン対物系の上流の偏向部の物理的距離は、横方向の倍率の2乗で大きくなる縦方向の倍率で対物瞳にイメージされる。これにより、瞳は静止せず、励起強度がフィールド依存となる。非線形光学系(NLO)におけるこれらの問題は、ビーム偏向部を非コリメート瞳に配置することで回避できる。これにより、光効率が高い構成において、互いへの偏向部のイメージングがよくなる。一般的に、この場合における蛍光の検出は、ビーム偏向部によりもたらされるのではなく、上流のいわゆる「デスキャンされていない(non−descanned)」ビーム経路セクションですでにもたらされている。しかし、この構成は、検出方向と同様に励起方向でも等しく有効なので、この場合にも、瞳のクリーンなイメージングが得られる。
【0016】
好ましくは、前記第2の中間像は球面湾曲し、又は少なくとも実質的に球面湾曲し、特に前記スキャン光学系の焦点距離の1倍から2倍の間の曲率半径で球面湾曲している。好ましくは、中間像の曲率半径は、偏向部(の反射面の中心点)と第2の中間像との間の距離に一致する。
【0017】
有利にも、前記第2の中間像の曲率中心はビーム偏向部にあり、特に前記ビーム偏向部の反射面上にあってもよい。
【0018】
好都合にも、光スキャン顕微鏡は、光分布を中間像に、特に第2の中間像に、又は第3のもしくはさらに別の中間像にイメージする照明光学系と、及び/又は中間像を、特に第2の中間像を、又は第3のもしくさらに別の中間像をトランスデューサにイメージする検出光学系とを有する。
【0019】
特に、前記光学系は、前記焦点から来る光が、前記照明ビームから前記光電子トランスデューサに分離されるように、前記照明ビーム経路と前記検出ビーム経路とに配置されたビームスプリッタを有してもよい。
【0020】
好都合にも、光学系は、スキャン光学系とは離れたビーム偏向部の側に、(照明ビーム経路又は検出ビーム経路中に)コリメーション光学系を有しても良い。このように、少ない支出で、ビームのさらなる操作及び最終的検出が可能である。
【0021】
好ましくは、曲率中心が前記共役瞳面にある(ただ1つの)凹面鏡が、前記ビーム偏向部と前記光源又は前記トランスデューサとの間に、コリメーション光学系として、光学的にある。凹面鏡はアクロマート効果を有する。このように、さらに別の共役瞳面を、光学的に少ない支出で、特に少数のインターフェースで設けることができる。第1の共役瞳から曲率半径の距離に凹面鏡を配置することにより、画角にかかわらずに、(湾曲した第2の中間像を介して)同じ距離に非常に正確な像を造ることができる。
【0022】
有利にも、凹面鏡の曲率半径RHは、凹面鏡の(トランスデューサ側の)下流で平面波面となるように、第2の中間像の曲率半径RZBの2倍であってもよい。このように、第2の共役瞳は、コリメートされたビーム経路セクションにあり、2つの共役瞳のビーム半径は同じである。好都合にも、凹面鏡は、顕微鏡対物系の焦点から(第2の中間像を通って)来る光線が、凹面鏡の下流で互いに平行になり、好ましくは第1の偏向部が入射光を、凹面鏡の中心軸に対するある角度で偏向できる面にも平行になるように、構成される。凹面鏡と湾曲した中間像との間の距離Aは、中間像の半径RH:RH=2RZB=2Aと同じである。このように、湾曲した第2の中間像に関して、光学系の特に高い画質が少ない支出で可能である。しかし、凹面鏡の曲率半径RHが中間像半径RZBの2倍から差分Dだけずれる場合、波面曲率は凹面鏡の下流でゼロとは異なってもよい。凹面鏡の半径RH=2RZB+Dの場合、凹面鏡と中間像との間の距離AはA=RZB+Dであり、第2の偏向部は凹面鏡の曲率中心に、すなわち距離RHのところに配置される。さらにまた、第1のビーム偏向部と第2のビーム偏向部とにおいけるビーム径は、例えば、イメージングスケールが1:1でない場合には、等しくなくてもよい。
【0023】
しかし、凹面鏡の曲率半径RHは、中間像の曲率半径RZBの二倍からずれていてもよい。曲率半径RH=Aの凹面鏡は、(ビーム偏向部がその中央位置にあるとき)光軸上の光がコリメートされ、外側の光は少し発散または収束するように、湾曲した中間像からA/2の距離に配置される。
【0024】
好ましくは、凹面鏡は、特にその反射面は、円環形である(ドーナツセクション形)が、本発明は他の形であってもよい。結果として、入射が傾いていることによる非点収差を低減できる。ここで、凹面鏡は、好ましくは、第1の曲率半径であって、中間像の曲率半径の2倍より係数cos(入射角度)だけ小さいものと、第2の曲率半径であって、中間像の曲率半径の2倍より係数cos(入射角度)だけ大きいものを有する。好ましくは、第1の曲率半径に属する第1の曲率は、第1のビーム偏向部の回転軸と平行である軸の周りに延在し、第2の曲率半径に属する曲率は、第1の曲率と直交する。
【0025】
本発明の第2の態様は、始めに記載したタイプの光スキャン顕微鏡であって、スキャン光学系が、先行技術のように、第1の中間像から来る、焦点から発したビームをコリメートするものに関する。これは、共役対物瞳の位置をビーム偏向部に対して設定するとの問題を解決する。この態様では、本発明は、ビーム偏向部とトランスデューサまたは光源との間に光学的に配置された収束光学系を提供する。前記収束部は、ビーム偏向部から来るコリメートされたビームを第2の中間像にフォーカスする。スキャン光学系と収束光学系は、検出ビーム経路の光軸に沿って変位可能である。ここで、スキャン光学系と収束光学系とは有限中継光学系を形成する。ここで、移動可能性により、異なる顕微鏡対物系への適合性の上記の利点が可能となる。しかし、曲率及び横色収差の補正は先行技術のように都合がよい。スキャン光学系及び収束光学系を動かす電気的駆動部を設けても良い。特に、これらはスキャン光学系の駆動部と収束光学系の駆動部とは別々であってもよい。ここで、前記スキャン光学系と前記収束光学系とを同じ意味で、特に同じ距離で、特に同期して配置するように構成された制御部の準備をしてもよい。
【0026】
本発明のすべての態様で用い得る有利な実施形態を以下に説明する。
【0027】
好ましい実施形態では、国際特許出願公開第2008/037346A1号のように、第2の可変調整可能ビーム偏向部または可変調整可能波面変調部を、第1のビーム偏向部とトランスデューサとの間のさらに別の共役瞳面に配置してもよい。特に、さらに別の共役瞳面は、凹面鏡により生成される第2の瞳面であり得る。第2のビーム偏向部は、第1のビーム偏向部の回転軸とは異なる回転軸を有してもよい。結果として、サンプル側で2次元フィールドをスキャンできる。あるいは、第2のビーム偏向部の回転軸は、第1のビーム偏向部の回転軸に平行であってもよい。結果として、2つのビーム偏向部のうちの1つは概略設定の機能を果たし、他の1つは、ビーム偏向の微細設定の機能を果たす。さらに、第1のビーム偏向部と、任意的に第2のビーム偏向部とは、2次元で様々な偏向を提供してもよい。あるいは、好ましい実施形態では、両方のビーム偏向部は、それぞれ、回転軸の周りで、特に互いに異なる駆動部により、または異なる動作モードの同じ駆動部により、調整可能であってもよい。例として、両方のビーム偏向部は、ガルバノメトリックスキャナとして実施され、1つのビームのみが共振して作動されてもよい。
【0028】
例として、2つのビーム偏向部のうち1つが、共振ミラー(共鳴スキャナ)を含んでいてもよい。このように、共振ミラーによりサンプル上のラインをスキャンすることができる。このラインは、他のビーム偏向部により、縦方向または横方向に追加的にスキャンされてもよく、または2次元で調整可能な場合には、縦方向と横方向でスキャンされてもよい。
【0029】
光軸に沿ったサンプル側焦点面の(z方向の)調整と、サンプルの深さ方向のスキャンが、波面変調部により、それにより提供される最大変調リフト内で可能である。2次元的に可変な第1のビーム偏向部に関して、これにより、測定位置の3時限的変位と、それゆえのサンプルの3次元的スキャンが可能である。光軸に沿った焦点の変位の替わりとして、空間的解像調整可能波面変調部を用いて、例えば、一以上のサンプル特性の局所的変動により生じる、位置依存の像収差の補正に用いてもよい。
【0030】
この目的のため、光スキャン顕微鏡は、制御部であって、サンプルの少なくとも1つの像を記録し、像に影響するサンプルの少なくとも1つの所定の特性に基づき、特にサンプルにおける特性の実際の分布に基づき、及び像に基づき、波面変調部の操作される変数を確立(し、波面変調部を設定)する。特に、制御部は、像に基づいてサンプル特性の測定された分布を確立し、測定された分布と実際の分布との間の偏差が最小となるように、例えば曲線フィッティングにより、操作される値を確立できる。
【0031】
スキャン光学系の一部または全部が検出ビーム経路の光軸に沿って変位可能である構成が、特に好ましい。特に、スキャン光学系は、スキャン光学系の変位可能部分またはその全体を変位する電気的駆動部を有していてもよい。軸方向変位の結果として、第1の偏向部に対する共役瞳の位置は、小さい支出で設定可能であり、一方、以前、スキャン対物系の位置は焦点位置を調整し、コリメーションを調整するビーム偏向部に設定及び固定されている。これの結果として、特に、顕微鏡対物系を交換する時に生じる瞳シフトを補償することが可能である。ここで、共役瞳の軸方向位置は、第1の偏向部と対物瞳との間のイメージングスケールの2乗で変化する。ここで、中間像面中の、及びオブジェクト面内の焦点位置はほぼ維持される。
【0032】
好ましくは、スキャン光学系は、(第1の中間像から第2の中間像への)イメージが0.8と1.2の間の倍率を有し、特に0.9と1.1の間の、特に丁度1であるように実施される。このように、第1の中間像及びサンプル側の焦点面の位置は、高い精度で一定に留まる。焦点は、仮想オブジェクトから(焦点オフセットの放物線範囲)第1の中間像までのスキャン光学系の1:1イメージングの場合に最も良く維持される。
【0033】
前記顕微鏡対物系は、前記光軸に沿って変位可能なように、及び/又は対物系変更部に構成され、特に前記顕微鏡対物系を変位する、及び/又は前記顕微鏡対物系を交換する電気的駆動部を有する実施形態は有利である。結果として、変化しない高画質で測定するとき、異なる対物系の異なる瞳位置への適応に関して大きな柔軟性が得られる。
【0034】
好ましくは、第1のビーム偏向部及び/又は第2のビーム偏向部は、ビーム偏向を設定する微少電気機械システムを有する。米国特許第7,295,726B1号のように、特に、これらの軸の(静止した)交点の位置を(スキャン光学系から来るビームを偏向する)反射面内にして、特にこの交点を検出ビーム経路の光軸上に配置して、これにより2つの異なる軸の周りの回転可能性を提供する。MEMSベーススキャナは、ミラー質量が非常に小さく、その結果として、どんな方法であっても高い精度ですばやく傾けることができるという利点を有する。例として、ビーム偏向部の1つは、1軸のみの回転で調整可能なMEMSベースのミラーであり、他のビーム偏向部はガルバノメトリックスキャナ(galvanometric scanner)であってもよい。ここで、ガルバノメトリックスキャナは共鳴状態で動作してもよい。
【0035】
特に、本発明は、光源を有する光スキャン顕微鏡を含み、その光源の光は、検出ビーム経路に配置されたビームスプリッタにより、第1のビーム偏向部を介して顕微鏡対物系に光学的に結合されてもよい。好都合にも、光源はレーザーである。例として、それは調整可能レーザーであってもよい。
【0036】
例示の実施形態に基づいて、本発明を以下により詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図中、
【
図2】スキャン対物系としての単純化したスキャン光学系を示す図である。
【
図4】付加的瞳面を有する拡張転写光学系を示す図である。
【
図5】有限のリレー光学系を有するスキャン光学系を示す図である。 すべての図面において、同じパーツには同じ参照符号を付した。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、制御部34により制御されている光スキャン顕微鏡(LSM)10を示す。LSM10は、レーザー23を有する2つの照明モジュールLと、スキャンモジュールSと、検出モジュールDと、顕微鏡対物系21を有する顕微鏡部Mとから、モジュール式に構成されている。顕微鏡部Mは、例えば、異なる顕微鏡対物系21において旋回する対物回転部を有する。
【0039】
レーザー23からの光は、制御部34により、光ドア24と減衰器25の影響を受け、その後、ファイバ光導波路22と、例えばコリメーション光学系の形式の結合光学系20とにより、スキャン部Sに供給され、一体化される。各レーザーの、各ファイバ光導波路22までの光学系との組み合わせは、それぞれ光源であると考えられ、焦点を共有し点状の光分布を提供し、ファイバ光導波路22の終わりでサンプルPにイメージ(image)される。
【0040】
主ビームスプリッタ33とビーム偏向部30(これはX方向及びY方向で可変調整可能であり、(ここには図示しない)MEMS駆動部を有する単一のミラーを有する)により、励起光が顕微鏡対物系21に届く。顕微鏡対物系21は、測定位置(ここには図示しない)にあるサンプルPに光をフォーカスする。サンプルPから散乱されて戻ってくる励起光又は放射される蛍光が、顕微鏡対物系21、チューブレンズ27、及びスキャン光学系35を通り、偏向部30を介し、コリメーション光学系36と主ビームスプリッタ30とを通って、検出モジュールDに届く。蛍光検出を目的として、主ビームスプリッタ30は、後方散乱された励起光がレーザー23の方向から反射されるように、例えば、2色カラースプリッタ(主カラースプリッタ)として実施されてもよい。
【0041】
検出光学系38、例えば集束レンズの下流に、検出モジュールDは、複数の検出チャネルを有し、それぞれはピンホール31、フィルタ28、及び光電トランスデューサとしてのフォトマルチプライヤ32を有する。これらのチャネルはカラースプリッタ29(2次カラースプリッタ)によりスペクトル的に分離されている。例えば、線形の照明の場合には、ピンホール31の替わりにスロットダイヤフラム(ここには図示せず)を用いることも可能である。検出光学系38は、事前にコリメートされたビームを焦点が共通のピンホール31にフォーカスする。焦点が共通のピンホール又はスロットダイヤフラム31は、測定位置の焦点ボリュームから発したものではないサンプル光を弁別するよう機能する。それゆえ、光電子増倍管32は、フォーカルボリュームからの光のみを検出し、サンプルPにおける測定位置を確定する。その測定位置からの光が、光電子増倍管32の各光検出レイヤの検出位置で記録されて検知される。あるいは、アバランシェダイオードなど、先行技術で知られた他の光検出センサを用いることもできる。
【0042】
サンプルPの測定ボリュームは、焦点を共有して記録及び照明されるが、像をピクセルごとに記録するため、目標を定めてツイストされる偏向部30のMEMSミラーにより、サンプルP上を動かし得る。MEMSミラー30の動きと、光ドア24または減衰器25による照明のスイッチングとの両方は、制御部34により直接制御される。光電子増倍管32からのデータの記録は、制御部34により行われる。
【0043】
顕微鏡対物系21は、例えば、コリメートされたビーム経路がチューブレンズ27まであるように、有限の後方焦点距離を有する。(出力)瞳面PEは顕微鏡対物系21内にある。チューブ光学系27は、第1の中間像Zb1を生成する。これはスキャン光学系35により、第2の中間像Zb2にイメージされる。瞳面PEに共役な瞳面PE’は、ビーム偏向部30にある。結果として、ビーム偏向部30は、検出ビーム経路の集束部にある。その後、コリメーション光学系36は、コリメートされたビームのみが主ビームスプリッタ33に入るように、第2の中間像Zb2を無限にイメージする。(ここには図示しない)別の実施形態では、集束または発散ビームが、主ビームスプリッタ33にあってもよい。スキャンモジュールSと検出光学系29との結合光学系20を適宜適応させねばならない。
【0044】
例として、スキャン光学系35は、駆動部により、統合された検出及び照明ビームパスの光軸に沿って変位可能である。この結果として、顕微鏡対物系21の交換または軸移動の場合に瞳面PEが変化した場合であっても、共役瞳面PE’の位置は、ビーム偏向部30に軸方向に保つことができる。
【0045】
蛍光を検出するモジュールN(NLO検出モジュール)は、励起の場合の非線形相互作用の後、ビームスプリッタ39により提供される付加的出力(「NLOビームスプリッタ」とも呼ぶ)に接続される。検出モジュールDの替わりに、またはそれに加えて、NLO検出モジュールNを接続して、後者を測定に用いることが可能である。別の実施形態(ここには図示せず)では、専用顕微鏡対物系を有する独立したNLO検出モジュールは、サンプルの反対側に配置されてもよく、NLO検出モジュールNの替わりとして、またはそれに加えて、検出に用いられても良い。
【0046】
図2は、スキャン光学系35の周りのビームパスを示す。これは、ビーム偏向部30の3つの異なる位置に詳細に、第1の中間像Zb1を第2の中間像Zb2にイメージすることにより、従来の複雑なスキャン対物系を置換する。スキャン光学系35は、像面湾曲補正を必要とせず、イメージングスケールが1:1である。第2の中間像Zb2は、共役瞳PE’に配置されたビーム偏向部30の後にある仮想オブジェクトVに基づき、空間的に湾曲されることが分かる。
【0047】
図3は完全な転写光学系を示す。これは、
図2のスキャン光学系35とビーム偏向部30とに加え、チューブ光学系27を有する。ここで再び、顕微鏡対物系(ここには図示せず)の実際瞳面PEから第2の中間像Zb2までのビームパスを、偏向部30の3通りの位置に対して示す。チューブ光学系27は、瞳PEから来るコリメートされたビームを第1の中間像Zb1にフォーカスする。これはスキャン光学系35を、共役瞳PE’に配置されたビーム偏向部30を介して空間的に湾曲した第2の中間像Zb2にイメージする。
【0048】
図4は、3つの異なるビュー(
図4A、4B、4C)で、第2の共役瞳面PE”と第2の可変調整可能ビーム偏向部30Bとを有する拡張転写光学系を示している。この拡張転写光学系は、例えば米国特許出願公開2010/0208319A1号又は国際出願公開第WO90/00755A1号などの文献で知られている、Kesslerによる無限焦点中継光学系に置き換わるものである。
【0049】
例として、第1のビーム偏向部30Aは、MEMS駆動部を有する単一のミラーであり、互いに直交する静止軸の周りに回転可能である。ミラーの回転の静止点は、転写光学系の光学軸上の、ミラーの反射面内にある。例として、第2のビーム偏向部30Aは、ガルバノメトリック駆動部(galvanometric drive)を有する単一のミラーである。すなわち、1つの回転軸しか持たない。例として、これは共鳴振動させることができる。あるいは、ガルバノメトリックビーム偏向部であって、その1つはサンプルにおいて光をx方向に動かせ、他の1つはy方向に動かせるものを、共役瞳面PE’とPE”の両方に挿入することも可能である。
【0050】
付加的瞳面PE”は、コリメーション光学系36により提供される。これは例えば、円環凹面鏡として構成され、第1のビーム偏向部30Aと第2のビーム偏向部30Bとの間に光学的に配置される。凹面鏡の第1の曲率中心は、第1のビーム偏向部30Aの反射面上の第1の共役瞳面PE’にあり(凹面鏡と共役瞳PE’との間の距離がRである)、それに関連する凹面鏡の曲率半径は、第2の中間像Zb2の曲率半径の2倍である。結果として、第1に、各画角とは独立に、第2の共役瞳PE”(の同じ距離Rのところ)に、第1の共役瞳PE’の完全な平面像があり、第2に、第2の共役瞳PE”の光線は、波面が平面的になるようにコリメートされる。結果として、検出ビームパスの途中で光線を操作するのは簡単である。別の実施形態(ここには図示しない)では、凹面鏡の曲率半径と第2の中間像半径は、非平面波面が第2の瞳PE”にあるように、互いに異なる。
【0051】
直交光入射の場合、凹面鏡36はそれ自体に第1の共役瞳面PE’をイメージするので、前記凹面鏡は、第2のビーム偏向部30Bが作用する平面に垂直に傾けられる。凹面鏡に傾いて入射した結果として、後者は収差を生じ、これは円環状によりできるだけ大きく補正される。この目的のため、y軸に沿った曲率半径は、係数cos(入射角)だけ、第2の中間像Zb2の曲率半径に対して小さくされ、x軸に沿った曲率半径は、同じ係数だけ第2の中間像Zb2の曲率半径に対して大きくされる。
【0052】
第2のビーム偏向部30Bの替わりに、波面変調部30Bを、第2の共役瞳面PE”又は、好ましくは第3の共役瞳面(ここには図示しない)に配置してもよい。
【0053】
円環状の替わりとして、凹面鏡36は円周状であって、第1の曲率中心と第2の曲率中心とが同じであってもよい。ついで、円筒光学系41は、例えば弱い円筒レンズの形式であるが、凹面鏡36に斜めに入射することにより生じる収差を補正する目的でスキャン光学系35から離れた凹面鏡36の側に配置されてもよい。好ましくは、円筒光学系41は、スキャン光学系35から離れた第2のビーム偏向部30Bの側に、すなわちいわゆる「デスキャン(de−scanned)」ビームパスセクションに配置されてもよい。円筒光学系41は、円環状凹面鏡36の場合に、配置されてもよい。
【0054】
第1のビーム偏向部が2次元であるとき、すなわちx方向とy方向で偏向が調整可能であるとき、コリメーション光学系は例えば単一レンズであってもよい。
【0055】
最後に、
図5は、別の転写光学系を示す。ベームは、(共役瞳面PE’に配置された)ビーム偏向部30の領域において、先行技術と同様にコリメートされる。ビーム偏向部30の下流に配置されたスキャン光学系35と収束光学系37とは、有限中継光学系を形成する。これは第2の中間像Zb2に第1の中間像Zb1をイメージする。コリメーション光学系36は、例えば、コリメートされたビームが主ビームスプリッタ33に入るように、さらに途中に配置される。他の実施形態(ここには図示しない)において、複数の主ビームスプリッタが、例えばさらに別の集束光学系の後に続いてもよい。
【0056】
スキャン光学系35と集束光学系37は、顕微鏡対物系21を偏向又は取り外すときに、瞳シフトに合わせるように軸方向に変位可能である。両光学系35、37の変位は、例えば、常に同じ意味で、同じ距離だけ、任意的に同期して、制御部により実効可能である。
【0057】
コリメートされていないビームパスセクションにビーム偏向部がある上記の構成を、例えば、ベッセルビームやマシュービームなどの空間的光変調部(SLM)などのビーム成形光学系により生成されるサンプル又は偏向ビームの光学的走査のため、さらに別のアプリケーションに用いても良い。
別の実施形態(ここには図示せず)では、オブジェクト側のフォーカスは点のフォーカスとは違う形状を有しても良い。例として、線の形状を有していてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10 光スキャン顕微鏡
20 結合光学系
21 顕微鏡対物系
22 光ファイバ導波路
23 レーザー
24 光ドア
25 減衰器
26 ファイバ結合器
27 チューブレンズ
28 フィルタ
29 カラースプリッタ
30 ビーム偏向部
31 絞り
32 光電子増倍管
33 主ビームスプリッタ
34 制御部
35 スキャン光学系
36 コリメーション光学系
37 集束光学系
38 検出光学系
39 NLOビームスプリッタ
40 NLO検出器
41 円筒光学系
D 検出モジュール
L 照明モジュール
M 顕微鏡部
N NLO検出モジュール
P サンプル
PE(’/”) (共役)瞳面
R 距離
S スキャンモジュール
V 仮想オブジェクト
Zb1/2 中間像面