【実施例】
【0110】
実施例1
材料及び方法
試験参加者
適格な参加者は、陽性皮膚穿刺試験によって確認された軽度の安定したアトピー性喘息、予測の70%以上の1秒間の強制呼気量(FEV)(FEV
1)、及び気道過敏症を有する、18〜60歳までの年齢の非喫煙者の男性及び女性であった。参加者は、彼らの喘息に影響を与える花粉の季節外で試験され、他の肺疾患を有しなかった。一切の喘息制御剤治療は許可されず、1週間に2回未満使用される、救命治療としての短時間作用性β
2アゴニストの吸入が許容された。全ての他の喘息薬物療法は、登録の少なくとも4週前に中断された。喘息の悪化、6週間以内の救急科への呼吸器関連の来院、AMG157の以前の使用、またはAMG157賦形剤に対する既知の感受性については、参加者を除外した。
【0111】
試験設計及び監視
この概念証明、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験を、カナダにおける5つの施設において実行した。双方向音声応答システムによって参加者を無作為に1:1に割り当て、試験日1日目、29日目、及び57日目に、1時間の静脈内輸注によって700mgのAMG157またはプラセボを受けさせた。−15、−14、及び−13日目、41、42、43、83、84、及び85日目にアレルゲン及びメタコリン吸入負荷を実行した。−15、−13、1、41、43、83、及び85日目に分画呼気一酸化窒素(FENO)レベルを測定し、−15、−14、−13、1、41、42、43、83、84、及び85日目に誘発喀痰を測定し、−15、1、29、43、57、85、113、及び169日目に血液試料を測定した。一次エンドポイントは、FEV
1における最大低下割合(%)及びFEV
1における時間調整低下割合(%)の曲線下面積(AUC)(%FEV1−時間AUC)として表現された後、アレルゲン負荷後3〜7時間の間に測定された遅発性喘息反応(LAR)であった。二次エンドポイントは、最小FEV
1及び時間調整最小FEV
1のAUC(FEV1−時間AUC)によって測定されたLAR、アレルゲン負荷後0〜2時間の間に測定された即時型喘息反応(EAR)、ならびにAMG157の安全性、副作用プロファイル及び免疫原性であった。探索エンドポイントは、喀痰及び血中好酸球、FENO、Th2サイトカイン、Th2/Th1細胞比率及び血中全IgE、ならびにメタコリンPC
20を含んだ。安全性評価は、有害事象の発生率及び重症度、心電図の変化、実験室プロファイル、生命徴候、ならびに抗AMG157抗体の存在を含んだ。
【0112】
試験プロトコルは各参加施設における施設内研究倫理委員会によって承認され、全ての参加者は書面でのインフォームドコンセントを提供した。
実験室手順
吸入するアレルゲンは、皮膚穿刺試験の結果を使用して選択された。アレルゲン吸入負荷を、記載するように実行した。
14−14日目のスクリーニング負荷中、アレルゲンの10分後でのFEV
1における20%以上の低下が到達されるまで、2〜3mLの溶液を充填したWrightネブライザー(Roxon,Quebec)からの換気呼吸によって、倍加する濃度のアレルゲンを2分間かけて吸入させた。その後、規則的な間隔で7時間、FEV
1を測定した。EAR(0〜2時間)エンドポイント及びLAR(3〜7時間)エンドポイントを計算した。アレルゲン用量の選択及びメタコリン負荷を、記載するように実行した。
15白血球、全IgE、及びサイトカインについて静脈血をサンプリングし、標準的な方法を使用して、誘発喀痰から気道好酸球をサンプリングした。
16FENO測定は、American Thoracic Societyのガイドラインに従った。
17
統計学的分析
30人(1治療群当たり15人)の参加者の試料の大きさを、1治療群当たり15人の参加者が、AMG157プラセボのLAR減弱効果を区別するのに十分な検出力を提供することを示唆する以前の研究
18〜20からの経験的証拠に基づいて、選択した。各エンドポイントのための分析集団は、少なくとも1用量のAMG157またはプラセボを受けた、無作為化された全ての参加者からの全ての入手可能なデータを含み、受けた初期治療に従ってデータを分析した。独立変数としての治療及び来院、治療/来院相互作用項、及びモデル共変数としての対応する事前用量測定を含む反復測定分散分析(ANCOVA)を使用して、EAR及びLARを分析した。平均治療差異、対応する95%信頼区間(CI)、及び両側P値を各来院毎に推定し、報告した。反復測定ANCOVA(Supplemental Appendix)を使用して、探索エンドポイントを分析した。要約データを平均±SEMとして報告し、対数正規分布するエンドポイントを幾何平均(95%CI)として提示する一方で、カテゴリーデータを数(%)として提示する。
【0113】
結果
試験集団
合計31人の参加者を無作為化し、16人をAMG157に、15人をプラセボに割り当てた。全ての参加者が、無作為化スケジュールに従って少なくとも1用量の試験薬を受けた。約18ヶ月間、試験を実行した。28人の参加者(90%)が全介入期間を終了し、27人(87%)が試験を終了した。試験を終了しなかった4人の参加者のうち3人が追跡不能(プラセボが2人、AMG157が1人)であり、1人の参加者が喘息の悪化のために34日目で中止した(AMG157)。各群1人の参加者が84日目のアレルゲン負荷を終了せず、1人の参加者がLAR測定前に84日目のアレルゲン負荷を中止した(AMG157)。2つの群において、人口統計及び吸入アレルゲンは類似し、2つの群の間で測定されたベースライン変数のうちのいずれにおいても有意な差異は存在しなかった。
【0114】
エンドポイント
AMG157治療は、42及び84日目で、4つのアレルゲン負荷エンドポイントのそれぞれにおいて、プラセボと比較してLAR及びEARの両方を部分的に減弱した(
図1、
図2)。統計学的に有意なAMG157に関連付けられる減弱は、最後の注入の追加の利益なしで、42日目のLAR最小FEV
1及びFEV
1時間調整AUC
3〜7時間について、ならびに84日目のFEV
1におけるLAR最大低下割合(%)及び最小FEV
1について達成された。遅発型反応中のFEV1における最大減少割合(%)は、42日目にはプラセボ群よりもAMG−157群において34.0%小さく(P=0.09)、84日目には45.9%(11.7%対21.6の減少)小さかった(P=0.02)。AMG−157群の患者は、プラセボ群の患者と比較して、遅発型反応中、42日目には最小FEV1において有意な増加(P=0.01)、及び時間調整最小FEV
1のAUCにおいて有意な増加(P=0.02)を有し、84日目には最小FEV
1(P=0.01)を有した。更に、即時型反応中、42日目には、プラセボ群よりもAMG−157群において、FEV
1の時間調整減少割合(%)のAUCは有意に小さく、時間調整最小FEV
1のAUCは有意に大きく(両方の比較についてP=0.03)、84日目には、FEV
1の時間調整減少割合(%)のAUCは有意に小さかった(P=0.030)(
図1及び2)。
【0115】
平均ベースライン血中好酸球数は、AMG157について、−15日目での296.5±40.2×10
6/Lから29日目で121.9±14.7×10
6/Lへと減少し、プラセボについて、−15日目での281.1±57.3×10
6/Lから29日目で224.1±36.5×10
6/Lへと減少した。(
図3A)。血中好酸球数は43及び85日目でアレルゲン後に増加したが、そのレベルは、プラセボと比較して、AMG157治療について有意により低かった(全体的な治療効果P=0.004)。
【0116】
AMG157治療は、アレルゲン負荷の前後で喀痰好酸球を減少させた。平均事前アレルゲン喀痰好酸球レベルは、−15日目での4.1±2.3%から83日目で0.4±0.1%へと低減した。プラセボと比較して、AMG157は、試験の過程にわたって事前アレルゲン喀痰好酸球レベルを有意に低減させ(全体的な治療効果P=0.015)(
図3B)、負荷の24時間後のアレルゲン誘発変化を有意に減弱した(全体的な治療効果P=0.004)。
【0117】
F
ENOは、ベースライン条件下では、両方の治療群において上昇した。プラセボと比較して、AMG157治療は、試験全体を通してF
ENOを有意に減少させ(全体的な治療効果P=0.002)、負荷の24時間後のアレルゲン誘発変化を有意に減弱した(全体的な治療効果P=0.02)(
図3C)。
【0118】
AMG157での治療は、41及び83日目に測定される事前アレルゲンFEV
1値を有意には変化させなかった。83及び85日目には、プラセボと比較して、AMG157についてメタコリンPC
20の有意な増加が存在した(p<0.05)。メタコリンPC
20のアレルゲン誘発変化(41〜43日目及び83〜85日目)は、AMG157治療について数値的に低く、プラセボと比較して、AMG157についてそれぞれ0.76及び0.49の倍加する用量で増加したが、この差異はプラセボと比較して統計学的に有意ではなかった(
図2)。HumanMAP(登録商標)v.2.0パネルにおいて、全IgEまたは定量化可能血清マーカーに対するAMG157の影響は存在しなかった。インターロイキン4、5、及び13、ならびにTNFレベルは、試料の95%未満において、定量化レベル未満であった。
【0119】
治療される患者からの試料において、幾何平均Th2/Th1比率(95%信頼間隔)を測定した。AMG157での治療は、数値的にはTh2/Th1細胞比率と関連付けられたが、プラセボよりも統計学的に低くはなかった(ANOVAのp値は、治療の主要効果について0.058、時間相互作用による治療について0.367であった)。Th2/Th1比率の減少は、主にTh2細胞の減少によって駆り立てられた。ヘパリンナトリウムバキュテナー中に血液試料を収集し、収集後24時間以内に実験室手順を開始した。サイトカイン産生細胞のサブセットを分類するために、まず、タンパク質輸送阻害剤ブレフェルジンAの存在下、ホルボール12−ミリスチン酸13−酢酸(PMA)及びイオノマイシンによって全血を活性化させた。具体的には、10uLの白血球活性化カクテル(LAC,BD Biosciences,San Jose,CA)を500uLのRPMIと混合し、その後、15mLの管(BD Falcon)中、1−1で全血と組み合わせた。アッセイの確立中、(滴定PMA/イオノマイシンと比較して)LAC刺激レベルがEC90を超えることが見出されたため、LAC刺激レベルを選択した。RPMI中、ブレフェルジンA(BD GolgiStop)の単独存在下で同様にインキュベートした試料アリコートを、陰性対照として含めた。37℃で4時間インキュベーションし、18℃で一晩保持した後、表面及び細胞内染色手順を実行した。
【0120】
細胞内サイトカイン分析は、IFN−γ(BD、クローン25723.11FITC)、及びIL−4(BD、クローン3010.211PE)と、IL−5(BD、クローンJES1−39D10PE)と、IL−13(BDクローン、JES10−5A2PE)との組み合わせ分析を含んだ。検証されたBD FACSCanto IIフローサイトメーター上で蛍光データを取得し、標準化されたテンプレートを使用して、FCS Expressソフトウェア(De Novo,Los Angeles CA)において分析を実行した。Th1細胞を、IFN−γは発現するが、IL−4、IL−5、またはIL−13は発現しないCD3
+CD8
−T細胞として識別し、Th2細胞を、IL−4、IL−5、またはIL−13は発現するが、IFN−γは発現しないCD3
+CD8
−T細胞として識別した。重要なエンドポイントは、AMG157治療前後のTh2細胞対Th1細胞の比率であった。
【0121】
変量因子としての対象とともに、用量後試験来院、治療群、及び来院と治療との間の相互作用を含む、ベースライン調整混合効果モデルにおける対数変換の後、Th1、Th2の割合(%)及びTh2細胞/Th1細胞の比率を分析した。ベースライン値を共変数として含めた。41及び83日目のみが、AMG157暴露を有する時点での潜在的なTh2/Th1比率変化を試験するための統計学的分析に考慮された。ANOVAを使用して、治療群が全ての来院(用量項)にわたって、または任意の所与の時点(来院/治療相互作用項)で平均されたとき、治療群が異なるかどうかを評価した。図における信頼区間は、推定される平均の数について調整している(Dunn−Sidak)。
*プラセボと比較して、P<0.05。
【0122】
循環するTh2/Th1細胞比率は、プラセボと比較して、AMG157治療によって低減し、低減は41日目には29%(P=0.016)、83日目には23%(P=0.47)であった(表1)。
【0123】
【表1】
【0124】
安全性
AMG157による治療は、測定された実験室値、温度、血圧、脈拍、または呼吸の変化とは関連付けられなかった。プラセボ治療には12の有害事象が、及びAMG157には15の有害事象が存在した。重篤有害事象または死亡は存在しなかった。1人のプラセボ治療参加者が抗AMG157抗体に対して陽性反応を示し、AMG157治療参加者には抗AMG157抗体に対して陽性反応を示した者はいなかった。
【0125】
考察
この試験は、モノクローナル抗体AMG157による治療が、安定したアレルギー性喘息参加者において、全身性及び気道炎症のマーカーとともに、アレルゲン誘発性気管支収縮(EAR及びLAR)のほとんどの測定を減弱することを実証した。そのようなものとして、データの重みは、マウスモデルにおいてアレルゲン誘発気道反応を誘発することにおける、文書化TSLPの役割と一貫する。
21AMG157はまた、試験期間を通して、気道炎症(FENO及び喀痰好酸球)の指標ならびに全身性炎症(循環する好酸球)を含む、ベースライン評価において測定された炎症変数の全てを低減した。好酸球の変化が、アレルゲン誘発性気管支収縮の減弱の原因となるのかどうかは未知である。この概念証明試験は、TSLPが、アレルギー性喘息を有する患者において、アレルゲン誘発気道反応においてだけでなく、持続性気道炎症を引き起こすことにおいてもまた中枢的なサイトカインであることを示唆する。
【0126】
TSLPは、マウスモデルにおいて、アレルギー性炎症の「マスタースイッチ」として識別されている。
22健康な個体からの上皮細胞に対して、喘息患者からの上皮細胞においてより高いレベルのTSLPが産生され
11、TSLP遺伝子における多型は、小児アレルギー性喘息及び成人アレルギー性喘息の両方と関連付けられている。
13、23TSLPは、ヒト主要組織適合抗原複合体I及びII、ならびに骨髄樹状細胞上でのCD40、CD80、及びCD86などの同時刺激分子の発現を強く誘発した。
6TSLPの誘発は、アレルゲン誘発性遅発型皮膚反応中、樹状細胞の皮膚内への浸潤に先行した。
24TSLPはまた、ヒトマスト細胞Th2サイトカイン産生を誘発し得る。
8TSLPは更に、ウイルス媒介過程において役割を果たし得る。
25
TSLPは、アレルギー性喘息患者において、インターロイキン−5及びインターロイキン−13を含む炎症促進性のサイトカインの産生により、気道樹状細胞の活性化及びTh2細胞の数の増加を通して、気道及び血中好酸球増加症を引き起こすと考えられる。
21TSLPはまた、マスト細胞
8、CD34
+前駆細胞
9、及び最も近年では2型自然リンパ球系細胞からのインターロイキン−5及びインターロイキン−13の産生に影響を与えることが示されている。
26インターロイキン−5の阻害は、アレルゲン誘発気道好酸球増加症を予防する
27ことが以前に示されており、この仮定を裏付ける。他の気道上皮由来のサイトカイン、特にインターロイキン−25及びインターロイキン−33はまた、マウスモデルにおけるアレルゲン誘発気道炎症に関係付けられている
28が、現在の所、それらをヒトにおけるアレルギー性喘息に関係付ける直接的な証拠は存在しない。
【0127】
疫学的証拠は、小児喘息の病理生物学において、環境アレルゲンに対する重要な役割を裏付ける。
29アレルギー性喘息患者によるアレルゲン吸入は、可逆性気流閉塞、気道過敏症、
30ならびに好酸球性及び好塩基球性気道炎症を含む喘息の多くの徴候をもたらす。
31アレルゲン吸入負荷は、アレルギー性喘息の機序の試験及び潜在的な新しい治療の評価のための貴重な臨床モデルとなっている。
20、32しかしながら、アレルゲン吸入は、アレルゲンに対して非アレルギー性であるか、アレルゲンに対して暴露されていない多くの喘息患者において、喘息の発症もしくは持続の原因とはならない。したがって、これらの患者における持続性気道炎症におけるTSLPの重要性は、現在の試験からは外挿され得ない。しかしながら、アレルギー性喘息参加者におけるアレルゲン誘発気道反応の薬理学的減弱は、非アレルギー性対象においてすら、以前に有効な喘息治療と関連付けられている。
5
気道マスト細胞及び好塩基球からのヒスタミン及びシステイニルロイコトリエンは、EAR及びLARの主要部分に寄与する。
33、34LARはまた、炎症性細胞、特に好塩基球及び好酸球のアレルゲン誘発流入によって引き起こされる。
31、33したがって、AMG157は、マスト細胞活性化及び炎症性細胞動員の両方に対する作用を通して、これらの反応を減弱する可能性がある。
【0128】
安全性の理由から、及び吸入コルチコステロイドまたはロイコトリエン受容体拮抗剤などの維持治療によるアレルゲン誘発気道反応の潜在的な修正を避けるため、定期的な維持喘息治療を受けておらず、ほぼ正常なベースライン肺機能を有する、安定したアレルギー性喘息患者においてこの試験を実行した。この患者集団を評価する他の研究のように、
20、32、33参加者は、試験への登録時点で、増加したF
ENO及び喀痰好酸球増加症とともに、気道炎症の証拠を有した。これらの安定した喘息患者において持続性気道炎症を引き起こす機序は未知である。何人かは、チリダニなどの遍在性のアレルゲンに定期的に暴露され得るが、これは研究された参加者のうちの半数未満を占めた(
図2)。また、参加者はほぼ正常なベースラインFEV
1値を有したため、ベースラインFEV
1の改善を観察することは可能ではなかった。
【0129】
全ての現在利用可能な喘息治療は、アレルゲン誘発気道反応の構成要素を減弱する。しかしながら、吸入コルチコステロイドのみが、F
ENO及び好酸球のベースライン気道レベル
35、ならびにこれらのパラメータにおけるアレルゲン誘発増加を減弱する。
36この試験は、TSLPの標的化が、ベースラインFENOならびに血中及び気道好酸球増加症を低減し得ることを示す。重度の難治性喘息を有する何人かの患者は、高用量の吸入及び経口コルチコステロイドによる治療にも関わらず、持続性気道好酸球増加症を有する。Th2サイトカイン、つまりインターロイキン−5、インターロイキン−13、及びインターロイキン−4の標的化は、重度の喘息パラメータを改善している。重度の難治性喘息を有する患者におけるインターロイキン−5の標的化は、喘息増悪を低減し、経口コルチコステロイドの維持用量の低減を可能にした。
37、38これらの研究は、持続性気道好酸球増加症が、重度の難治性喘息を有する何人かの患者にとって重度な機序であることを示唆する。インターロイキン−13を対象とした抗体は、「Th2表現型」を有する喘息患者において、循環するペリオスチンのレベルの上昇によって示される様に、肺機能を改善することが示されている。
39更に、インターロイキン−4受容体及びインターロイキン−13受容体の共有の構成要素であるインターロイキン−4−受容体−αを対象とした抗体は、喘息制御を悪化させることなく、吸入コルチコステロイドと長時間作用性β
2アゴニストとの組み合わせによる維持治療の除去を可能にした。
40これらの炎症促進性のサイトカインのそれぞれの産生は、上皮細胞TSLP産生及び樹状細胞活性化の結果(下流)であり得、これは、TSLPの標的化がまた、これらの患者集団において利益を提供し得ることを示唆する。しかしながら、この潜在的な利益を評価するためには、更なる臨床研究が必要とされるであろう。
【0130】
要約すると、AMG157による12週間の治療は、アレルギー性喘息参加者において、ベースラインF
ENOならびに血中及び喀痰好酸球を低減した。この治療はまた、これらの炎症性パラメータにおけるアレルゲン誘発変化、ならびにEAR及びLARを減弱した。これらの結果は、不良に制御された喘息を有する患者における、AMG157の作用の機序及び臨床利益の調査についての更なる研究を裏付ける。
【0131】
実施例2
実施例1におけるTh2/Th1比率を判定するために、細胞内サイトカイン染色を実行して、Th1サイトカイン、つまりIFN−g、TNF−a、及び/またはIL−2を発現する細胞と比較して、IL−4、IL−5、及びIL−13などのTh2サイトカインを発現する細胞の比率を判定する方法論を使用した。
【0132】
Th2関連サイトカインの検出を最大化するために、フィコエリトリン(PE)フルオロフォアで標識した抗サイトカイン抗体を使用して、IL4、IL−5、及びIL−13サイトカインのそれぞれを検出した。これらのサイトカインの個々の測定及び集団的測定を、Th1細胞を示す同一の細胞集団におけるIFN−gのレベルと比較した。
【0133】
サイトカイン産生細胞の割合(%)を、表2に提示する。
【0134】
【表2】
【0135】
この表は6人のドナーの結果であり、細胞の平均、最大、及び最小数を提供する。このアッセイにおいて、Thは、示されたサイトカイン(複数可)を発現するCD3+CD8−リンパ球の割合(%)として定義される。
【0136】
相対絶対T細胞数が並行して判定される場合、このデータは細胞の数としても表現され得る。特定の実施形態において、正規化のために、参照カウントビーズを使用して細胞数を判定する。
【0137】
パネル1の増加した信号対ノイズ比率(S/N)は、Th2細胞の検出のために、IL−4−5−13の組み合わせ測定を使用する利点を示唆する。IL−4、IL−5、及びIL−13の大部分は、同一の細胞によって発現され、これはIL−5及びIL−13について特に当てはまる。分析の結果を、表3に提示する。結果はまた、
図4に図解的に提示され、治療される患者においてTh2から離れる偏在を示す。
【0138】
【表3】
【0139】
実施例3
本方法を使用して、乾癬患者及び亜急性皮膚エリテマトーデス(SCLE)患者からの試料を評価し、Th17細胞に対する影響を探した。SCLE試料は、刺激されていない対照が高レベルのIFN−g及びTNF−aを示し、このアッセイが、異なる型のループス関連疾患を患う患者のための治療を導くための診断的ツールとして有用で有り得ることを示唆したという意味において、特有であった(
図5)。
【0140】
上記の例示的な実施例で説明される本発明における多数の修正形態及び変形形態が、当業者に着想されることが予想される。したがって、添付の特許請求の範囲に示される限定のみが、本発明に課されるべきである。
【0141】
本出願に引用される全ての出版物及び特許文書の全体が、あたかも個々の各出版物及び特許文書の内容が本明細書に組み込まれているかのように、同じ程度で、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0142】
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本発明は、非限定的に、以下の態様を含む。
[態様1]
患者からの試料中のTヘルパー2(Th2)細胞及びTヘルパー1(Th1)細胞の比率を検出するための方法であって、Th2特異的サイトカイン及びTh1特異的サイトカインのレベルを測定することを含み、前記方法が、
a)前記試料を、
i)2つ以上のTh2サイトカインに結合する2つ以上の特異的結合剤であって、前記Th2特異的サイトカインに対する前記2つ以上の特異的結合剤が、第1のフルオロフォアで標識される、2つ以上の特異的結合剤、及び
ii)Th1サイトカインに結合する少なくとも1つの特異的結合剤であって、前記Th1サイトカインに対する前記特異的結合剤が、前記第1のフルオロフォアとは異なる第2のフルオロフォアで標識される、少なくとも1つの特異的結合剤、と接触させることと、
b)前記試料中の前記第1及び第2のフルオロフォアのレベルを測定し、検出されたTh1特異的及びTh2特異的フルオロフォアの前記レベルに基づいて、前記細胞をTh1またはTh2細胞として指定することと、
c)試料中のTh2細胞対Th1細胞の前記比率を判定することと、を含む、前記方法。
[態様2]
前記試料中のTh1細胞、Th2細胞、及びTh17細胞の前記比率を判定することを更に含み、
a)前記試料を、
iii)Th17サイトカインに結合する少なくとも1つの特異的結合剤であって、前記Th17サイトカインに対する前記特異的結合剤が、前記第1のフルオロフォアとは異なる第2のフルオロフォアで標識されるか、または第3のフルオロフォアで標識される、少なくとも1つの特異的結合剤と接触させることと、
b)前記試料中の前記第1及び第2のフルオロフォアのレベルを測定し、検出されたTh1特異的、Th2特異的、及びTh17特異的フルオロフォアの前記レベルに基づいて、前記細胞をTh1、Th2、またはTh17細胞として指定することと、
c)試料中のTh1細胞対Th2細胞対Th17細胞の前記比率を判定することと、を含む、態様1に記載の前記方法。
[態様3]
患者からの試料中のTヘルパー1(Th1)細胞及びTヘルパー17(Th17)細胞の比率を検出するための方法であって、Th1特異的サイトカイン及びTh17特異的サイトカインのレベルを測定することを含み、前記方法が、
a)前記試料を、
i)2つ以上のTh17サイトカインに結合する2つ以上の特異的結合剤であって、前記Th17特異的サイトカインに対する前記2つ以上の特異的結合剤が、第1のフルオロフォアで標識される、2つ以上の特異的結合剤、及び
ii)Th1サイトカインに結合する少なくとも1つの特異的結合剤であって、前記Th1サイトカインに対する前記特異的結合剤が、前記第1のフルオロフォアとは異なる第2のフルオロフォアで標識される、少なくとも1つの特異的結合剤、と接触させることと、
b)前記試料中の前記第1及び第2のフルオロフォアのレベルを測定し、検出されたTh1特異的及びTh17特異的フルオロフォアの前記レベルに基づいて、前記細胞をTh1またはTh17細胞として指定することと、
c)試料中のTh1細胞対Th17細胞の前記比率を判定することと、を含む、前記方法。
[態様4]
患者からの試料中のTヘルパー2(Th2)細胞及びTヘルパー17(Th17)細胞の比率を検出するための方法であって、Th2特異的サイトカイン及びTh17特異的サイトカインのレベルを測定することを含み、前記方法が、
a)前記試料を、
i)2つ以上のTh2サイトカインに結合する2つ以上の特異的結合剤であって、前記Th2特異的サイトカインに対する前記2つ以上の特異的結合剤が、第1のフルオロフォアで標識される、2つ以上の特異的結合剤、及び
ii)Th17サイトカインに結合する少なくとも1つの特異的結合剤であって、前記Th17サイトカインに対する前記特異的結合剤が、前記第1のフルオロフォアとは異なる第2のフルオロフォアで標識される、少なくとも1つの特異的結合剤、と接触させることと、
b)前記試料中の前記第1及び第2のフルオロフォアのレベルを測定し、検出されたTh2特異的及びTh17特異的フルオロフォアの前記レベルに基づいて、前記細胞をTh2またはTh17細胞として指定することと、
c)試料中のTh2細胞対Th17細胞の前記比率を判定することと、を含む、前記方法。
[態様5]
前記Th2サイトカインが、IL−4、IL−5、及びIL−13からなる群から選択される、先行態様のいずれかに記載の前記方法。
[態様6]
前記Th1サイトカインが、インターフェロンガンマ(IFN−g)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−a)、及びIL−2からなる群から選択される、先行態様のいずれかに記載の前記方法。
[態様7]
前記Th17サイトカインが、IL−17A、IL−17F、IFN−g、及びIL−22からなる群から選択される、先行態様のいずれかに記載の前記方法。
[態様8]
前記特異的結合剤が、Th1特異的、Th2特異的、またはTh17特異的サイトカインに特異的な抗体である、先行態様のいずれかに記載の前記方法。
[態様9]
前記患者が、喘息、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、線維性疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、及び癌からなる群から選択される疾患または障害を患う、先行態様のいずれかに記載の前記方法。
[態様10]
前記試料が、治療剤での治療前及び/または後に得られる、先行態様のいずれかに記載の前記方法。
[態様11]
前記治療剤が抗TSLP抗体である、先行態様のいずれかに記載の前記方法。
[態様12]
前記第1のフルオロフォアがフィコエリトリン(PE)であり、前記第2のフルロフォアがフルオレセインイソチオシアネート(FITC)である、先行態様のいずれかに記載の前記方法。
[態様13]
前記試料が、前記患者からの全血、末梢血単核球、脳脊髄液、気管支肺胞上皮洗浄液、鼻洗浄液、誘発喀痰、または生検である、態様1に記載の前記方法。
[態様14]
前記サイトカインが、細胞内で接触させられる、先行態様のいずれかに記載の前記方法。
[態様15]
治療剤での治療に対して応答性である喘息患者の亜集団を識別するための方法であって、患者試料中のTヘルパー2(Th2)細胞及びTヘルパー1(Th1)細胞のベースライン比率、または前記治療剤の投与後の前記比率の変化を測定することを含み、前記方法が、
a)前記試料を、
i)2つ以上のTh2特異的サイトカインに結合する2つ以上の特異的結合剤であって、前記Th2特異的サイトカインに対する前記2つ以上の特異的結合剤が、第1のフルオロフォアで標識される、2つ以上の特異的結合剤、及び
ii)Th1特異的サイトカインに結合する少なくとも1つの特異的結合剤であって、前記Th1特異的サイトカインに対する前記特異的結合剤が、前記第1のフルオロフォアとは異なる第2のフルオロフォアで標識される、少なくとも1つの特異的結合剤、と接触させることと、
b)前記試料中の前記第1及び第2のフルオロフォアのレベルを測定し、検出されたTh2特異的及びTh1特異的フルオロフォアの前記レベルに基づいて、前記細胞をTh1またはTh2細胞として指定することと、
c)検出されたTh2特異的サイトカイン及びTh1特異的サイトカインの前記レベルに基づいて、試料中のTh2細胞対Th1細胞の前記比率を判定することであって、Th2細胞/Th1細胞の前記比率が減少する場合、前記患者が前記治療剤に対して応答性であると識別される、判定することと、
d)前記患者が前記治療剤に対して非応答性であると判定される場合、前記治療剤での治療を変更すること、または前記患者が前記治療剤での治療に対して応答性であると判定される場合、治療剤の用量を維持することと、を含む、前記方法。
[態様16]
前記治療剤が抗TSLP抗体である、態様15に記載の前記方法。
[態様17]
前記試料を得る前に、前記治療剤が、1週間、2週間、3週間、4週間、6週間、2ヶ月間、3ヶ月間、またはそれを超えて投与される、態様15に記載の前記方法。
[態様18]
Th2細胞/Th1細胞の前記比率が、20%、30%、40%、50%、60%、またはそれを超えて減少する場合、前記患者が、治療に対して応答性であると識別される、態様15に記載の前記方法。
[態様19]
前記患者が治療に対して応答性であると識別されるTh2/Th1比率が、約0.1以下である、態様15に記載の前記方法。
[態様20]
免疫不全の治療において、抗TSLP剤の用量レジメンを変更する方法であって、態様1または2に記載の前記方法を使用して、試料中のTh2細胞/Th1細胞、及び/またはTh17細胞の比率を判定し、Th2細胞/Th1細胞、及び/またはTh17細胞の前記比率が治療中に変化する場合、抗TSLP抗体の前記用量を変更することを含み、
Th2細胞/Th1細胞の前記比率が安定しているか、または増加し、Th2プロファイルに向かう偏在を示す場合、治療剤の前記用量が増加され、
Th2細胞/Th1細胞の前記比率が減少し、Th2プロファイルの低減を示す場合、治療剤の前記用量が減少される、前記方法。
[態様21]
前記免疫不全が、喘息、アレルギー性副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、及び線維性疾患からなる群から選択される、態様20に記載の前記方法。
[態様22]
喘息治療剤の用量レジメンを変更する方法であって、態様1または2に記載の前記方法を使用して、試料中のTh2細胞/Th1細胞、及び/またはTh17細胞の比率を判定し、Th2細胞/Th1細胞、及び/またはTh17細胞の前記比率が治療中に変化する場合、喘息治療剤の前記用量を変更することを含み、
Th2細胞/Th1細胞の前記比率が安定しているか、または増加し、Th2プロファイルに向かう偏在を示す場合、治療剤の前記用量が増加され、
Th2細胞/Th1細胞の前記比率が減少し、Th2プロファイルの低減を示す場合、治療剤の前記用量が減少される、前記方法。