【文献】
KUZ'MIN,S.N. et al,Phosphorus-containing aminoisoxazoles,Zhurnal Obshchei Khimii,1990年,Vol.60, No.9,p.1991-1996
【文献】
ISHIKAWA,T. et al.,TAK-599, a novel N-Phosphono type prodrug of anti-MRSA cephalosporin T-91825: synthesis, physicochemical and pharmacological properties,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2003年,Vol.11, No.11,p.2427-2437
【文献】
GORDEEV,M.F. et al,New Potent Antibacterial Oxazolidinone (MRX-I) with an Improved Class Safety Profile,Journal of Medicinal Chemistry,2014年,Vol.57, No.11,p.4487-4497
【文献】
BADILESCU,I. et al.,Response of some seeds of different ploidies toward alkylating agents and some common phytotoxic compounds,Revue Roumaine de Biochimie,1967年,Vol.4, No.4,p.279-285
【文献】
Database REGISTRY,2004年,RN 802020-08-2, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 06 November 2018
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0007】
(発明の概要)
刊行物PCT JP1998/005709、US 6,417,175、PCT JP2001/006904、及びUS 6,906,055は、ある特定のホスホルアミダートプロドラッグを説明している。これらの化合物はいずれも、本明細書記載のO-カルボニルホスホルアミダートプロドラッグ基を欠いている。
【0008】
刊行物Zhurnal Obshchei Khimii. 1990年, 60巻, 1991頁、及びPCT WO 9735864は、本明細書に提供される化合物の調製に使用されるある特定の中間体に全般的に関連している、ある特定のジフェニルイソオキサゾール-3-イルホスホルアミダートの調製を説明している。
【0009】
いくつかの刊行物は、(イソオキサゾール-3-イル)アミノメチル基を組み込んでいる、強力な抗微生物薬であるオキサゾリジノン系を説明している。例えば、PCT公報WO 2000/021960、WO 2004/056816、WO 2006/043121、及びWO 2009/020616を参照されたい。
【0010】
特に、オキサゾリジノン系薬剤MRX-Iは、WO 2009/020616、及び論文J. Med. Chem. 2014年, 57巻, 4487頁において説明されている(下記構造参照)。
【化1】
【0011】
この薬剤は、散剤、懸濁剤、又は錠剤の形状での治療的使用に関する経口薬剤として有望な臨床的可能性を明らかにしたが、これは、約0.25mg/mLと水に適度の水溶解度を有する。従って、特殊化された可溶性製剤組成物が、薬剤MRX-Iの、例えば注射又は注入のために必要とされるその液体形状での投与に必要とされる。
【0012】
重要なことに、先の構造で特徴付けられる(イソオキサゾール-3-イル)アミノ基は、通常の塩基性アミンとは劇的に異なる。実際、(イソオキサゾール-3-イル)アミノ基は、イソオキサゾール複素環に特有の電子欠損の性質のために、ほぼ完全に非塩基性である。その結果として、薬剤MRX-Iの水への溶けにくい溶解度は、少なくとも注射用液剤について好ましいpH約3〜9の範囲内においては、実質的にpH-非依存性である。結果的に、薬剤MRX-I及び類似の(イソオキサゾール-3-イル)アミノメチルオキサゾリジノンを、安定した医薬としての塩を形成することにより、可溶化することは実現不可能である。更に、例えばStellaらの論文Bioorg. Med. Chem. Lett., 2007年, 4910頁に記載されているように、その構造に存在するNH-含有基の本質的に中性の性質は、典型的NH-プロドラッグ基の容易な組み込みを妨げる。
【0013】
MRX-Iにより例示される抗菌薬オキサゾリジノンクラスのプロドラッグ化合物を含む、NH-含有化合物のO-カルボニルホスホルアミダートプロドラッグ誘導体が、本明細書に提供される。
【0014】
本明細書に提供される化合物は、水に極めて溶けやすく、かつ液体形状に加え、更には固形錠剤又は粉末丸薬(powder pill)の形状などの他の形状での、簡便な薬物投与を可能にする。治療を必要とする対象への投与時には、これらの化合物は、インビボにおいて窒素−リン結合の切断を受け、結果的に活性薬物実体を放出し、所望の治療的効果を達成することができる。
【0015】
本明細書記載の化合物は、O-カルボニル(O-アシルなど)リン酸エステル断片-P(=O)(OH)-O-C(=O)R
1を特徴としており、これは、混合型リン酸−カルボン酸無水物に類似している。これらの混合酸無水物は、高い反応性を示し、かつ例えば、McNultyの論文Tetrahedron, 2012年, 68巻, 5415頁に記載されたように、アシル基転移反応に使用される。驚くべきことにその一方で、本明細書記載のプロドラッグ誘導体は、水性溶液又は水系溶液の中において、良好な加水分解安定性を示し、かつ治療を必要とする哺乳類への投与に適している。
【0016】
典型的には、加水分解により不安定なホスホルアミダート誘導体は、通常、塩基性条件下で、塩型で単離されることを必要とする(例えば、Benkovicらの論文J. Amer. Chem. Soc., 1971年, 93巻, 4009頁において説明されたように)。対照的に、本明細書記載のO-カルボニルホスホルアミダートプロドラッグは、弱酸性又は本質的に中性の条件下において、十分に安定しており、このことは一般に治療用薬物投与に関して好ましい。
【0017】
溶解度及び安定性の向上とは別に、本明細書記載のプロドラッグ化合物は、活性実体(MRX-Iなど)の、その各O-カルボニルホスホルアミダートプロドラッグからの、制御された放出又は一般により緩徐な放出から導かれる追加の恩恵をもたらすことができる。これらの恩恵は、例えば、(該薬物それ自体の注射に比べ)低下された最大薬物濃度に起因した改善された薬物忍容性、増大された溶解度及び減弱されたタンパク質又は組織への結合に起因した改善された体内分布、並びに放出された薬物への最適化された曝露を含み得る。従って式I-IVの化合物の投与は、その親(非-プロドラッグ)型での活性実体の同様の投与と比べ、全般的に優れた治療結果を生じることができる。
【0018】
本明細書に提供される式I-IVのプロドラッグ化合物は、例えば、抗癌剤、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、心臓血管系薬剤、抗炎症薬、免疫調節薬、又は中枢神経系薬剤などの、NH-含有又はNPO
3H
2-含有治療薬を組み込んでいる生物活性化合物及び治療薬の可溶化に有用である。ある特定の式Iの化合物は、非限定的に、皮膚感染症、軟部組織感染症、菌血症、気道感染症、尿路感染症、骨感染症、及び眼感染症を含む感染症の治療のための抗菌薬の可溶化に特に有用である。
【0019】
一態様において、式Iの化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩が提供される:
【化2】
(式中:
R
1は、H、C
1-20アルキル、C
3-6シクロアルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、C
1-4ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、Het
1、Het
2、C(=O)C
1-4アルキル、C(=O)OH、C(=O)OC
1-4アルキル、(CH
2)
mC(=O)OH、(CH
2)
mC(=O)C
1-4アルキル、(CH
2)
mC(=O)OC
1-4アルキル、NH
2、NHC
1-4アルキル、N(C
1-4アルキル)C
1-4アルキル、N(C
1-4アルキル)アリール、OC
1-4アルキル、SC
1-4アルキル、(CH
2)
mC
3-6シクロアルキル、(CH
2)
mC(=O)-アリール、又は(CH
2)
mC(=O)-Het
1であり、ここで、mは、0、1、又は2であり;並びに
R
2及びR
3は、H、C
1-20アルキル、C
3-6シクロアルキル、C
2-4アルケニル、C
2-4アルキニル、C
1-20ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、[3-(2,3,5-トリフルオロ-4-(4-オキソ-3,4-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)フェニル)オキサゾリジン-2-オン-5-イル]メチル、[3-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)オキサゾリジン-2-オン-5-イル]メチル、[3-(3-フルオロ-4-(6-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)フェニル)-オキサゾリジン-2-オン-5-イル]メチル、[3-(3-フルオロ-4-(6-(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)フェニル)-オキサゾリジン-2-オン-5-イル]メチル、Het
1、Het
2、C(=O)C
1-4アルキル、(CH
2)
mC(=O)C
1-4アルキル、(CH
2)
mC
3-6シクロアルキル、(CH
2)
mC(=O)-アリール、及び(CH
2)
mC(=O)-Het
1から独立して選択される。)。
【0020】
ある態様において、式Iの化合物中のR
1は、H又はCH
3である。
【0021】
ある態様において、式Iの化合物中のR
2は、C(=O)CH
3又はイソオキサゾール-3-イルである。
【0022】
ある態様において、式Iの化合物中のNR
2R
3断片は、構造N(H)R
2R
3からNH-プロトンを除去することにより形成された基であり、ここでN(H)R
2R
3は、それに関して溶解度の改善が望まれる化合物である。
【0023】
ある態様において、式Iの化合物中のR
3は、[3-(2,3,5-トリフルオロ-4-(4-オキソ-3,4-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)フェニル)オキサゾリジン-2-オン-5-イル]メチル、[3-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)オキサゾリジン-2-オン-5-イル]メチル、[3-(3-フルオロ-4-(6-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)フェニル)-オキサゾリジン-2-オン-5-イル]メチル、又は[3-(3-フルオロ-4-(6-(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)フェニル)-オキサゾリジン-2-オン-5-イル]である。
【0024】
別の態様において、式Iの化合物は、リネゾリドのプロドラッグであり、この場合R
2はアセチルであり、及びR
3は[3-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)オキサゾリジン-2-オン-5-(S)-イル]メチルである。
【0025】
別の態様において、式Iの化合物は、式IIに従うか、又はその医薬として許容し得る塩である:
【化3】
(式中:
R
2は、イソオキサゾール-3-イル(任意に1つのR
9により置換された)、C(=O)C
1-4アルキル、(CH
2)
mC(=O)C
1-4アルキル、(CH
2)
mC
3-6シクロアルキル、(CH
2)
mC(=O)-アリール、又は(CH
2)
mC(=O)-Het
1であり、ここで、mは、0、1、又は2であり;
R
4及びR
5は、独立してH又はFであり;並びに
R
6及びR
8は、独立してH、F、Cl、又はCNであり;並びに
R
7は、C
3-6シクロアルキル、アリール、ビアリール、Het
1、Het
2、又は4〜7-員の複素環基であるか;或いは、R
6とR
7は一緒に、ベンゼン環上に縮合された4〜7-員の複素環基を形成し;並びに
R
9は、H、C
1-6アルキル、ハロ、又はCNである。)。
【0026】
ある態様において、式IIの化合物中のR
4、R
5、R
6、及びR
8は、H又はFから独立して選択され、並びにR
7は、モルホリノ、2,3-ジヒドロピリジン-4(1H)-オン-1-イル、4-シアノピリジル、2-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-5-イル、2-(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-5-イル、4-[N-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチルアミノメチル]フェニル、1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-4-イル、又は5,6-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアジン-4-イルである。
【0027】
別の態様において、式IIIに従う式IIの化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩が提供される:
【化4】
。
【0028】
ある態様において、式I-IIIの化合物中のR
1は、C
1-8アルキル、(CH
2)
mC(=O)OC
1-4アルキル、OC
1-4アルキル、NHC
1-4アルキル、N(C
1-4アルキル)C
1-4アルキル、アリール、又はHet
2であり、ここでmは、0、1又は2である。
【0029】
同じく、式IVの化合物、又はそれらの塩もしくは溶媒和物も提供される:
【化5】
(式中:
R
4及びR
5は、独立してH又はFであり;並びに
R
6及びR
8は、独立してH、F、Cl、又はCNであり;並びに
R
7は、C
3-6シクロアルキル、アリール、ビアリール、Het
1、Het
2、又は4〜7-員の複素環基であるか;或いは、R
6とR
7は一緒に、ベンゼン環上に縮合された4〜7-員の複素環基を形成し;並びに
R
9は、H、C
1-6アルキル、ハロ、又はCNである。)。
【0030】
ある態様において、式IVの化合物中のR
4及びR
9は、両方共Hであり、並びにR
5、R
6、及びR
8は、全てFである。
【0031】
一態様において、式IVの化合物は、式I-IIIの化合物の調製に有用である。
【0032】
一態様において、式IVの化合物は、式N(H)R
2R
3のNH-含有する医薬物質又は生物活性物質のプロドラッグである。
【0033】
別の態様において、式I-IVのいずれかの化合物の調製のための、式Vの化合物が提供される:
【化6】
(式中、
R
9は、H、C
1-6アルキル、ハロ、又はCNであり;並びに
R
10及びR
11は、C
1-20アルキル及びC
3-6シクロアルキルから独立して選択されるか、又はR
10とR
11は一緒に、C
1-20アルキリデン基である。)。
【0034】
ある態様において、式Vの化合物中のR
9は、Hであり、並びにR
10及びR
11の両方は、C
1-20アルキルである。
【0035】
別の態様において、本発明は、式I-IVのいずれかの化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩、及び医薬として許容し得る担体を含有する、医薬組成物を提供する。
【0036】
別の態様において、本発明は、本明細書に提供される化合物、例えば式I-IVのいずれかの化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩の治療的有効量を、それを必要とする哺乳類へ投与することによる、哺乳類における微生物感染症を治療する方法を提供する。
【0037】
別の態様において、本発明は、本明細書に提供される化合物、例えば式I-IVのいずれかの化合物又はそれらの医薬として許容し得る塩の治療的有効量を、それを必要とする哺乳類へ投与することを含む、哺乳類における微生物感染症を治療する方法を提供する。
【0038】
ある態様において、該微生物感染症は、グラム陽性微生物感染症である。
【0039】
ある態様において、該微生物感染症は、グラム陰性微生物感染症である。
【0040】
ある態様において、該微生物感染症は、マイコプラズマ・ツベルクローシス(Mycoplasma tuberculosis)感染症である。
【0041】
本明細書記載の化合物、例えば式I-IVのいずれかの化合物は、経口的に、非経口的に、経皮的に、局所的に、経直腸的に、又は鼻腔内的に投与されることができる。
【0042】
本明細書記載の化合物、例えば式I-IVのいずれかの化合物は、約1〜約75mg/kg体重/日の量で、1日1回投与されることができる。
【0043】
ある態様において、本明細書に提供される化合物は、それらの水系の溶液として、濃度約20〜約400mg/mLで投与される。
【0044】
ある態様において、本明細書に提供される化合物は、それらの水系の溶液として、濃度約50〜約150mg/mLで投与される。
【0045】
ある態様において、治療において使用するための、本明細書記載の化合物、例えば式I-IVのいずれかの化合物が、本明細書において提供される。
【0046】
ある態様において、それを必要とする哺乳類における微生物感染症の治療における使用のための、本明細書記載の化合物、例えば式I-IVのいずれかの化合物が、本明細書において提供される。
【0047】
ある態様において、治療のための医薬品の製造における、本明細書記載の化合物、例えば式I-IVのいずれかの化合物の使用が、本明細書において提供される。
【0048】
ある態様において、それを必要とする哺乳類における細菌感染症の治療のための医薬品の製造における、本明細書記載の化合物、例えば式I-IVのいずれかの化合物の使用が、本明細書において提供される。
【0049】
追加の態様において、本明細書記載の化合物、例えば式I-IVのいずれかの化合物の治療的有効量、及び医薬として許容し得る担体を含有する医薬組成物が、提供される。
【0050】
別の態様において、本明細書記載の化合物、例えば式I-IVの化合物は、抗感染薬又は抗炎症薬などの他の生物活性物質と組み合わせて使用することができる。例えば最適な治療作用(広い作用スペクトルなど)を実現するために、グラム陽性病原体に対し活性のある本明細書記載の化合物、例えば式I-IVのいずれかの化合物を、グラム陰性菌に対し活性のある別の抗微生物薬(例えば、キノロン系、βラクタム系、アミノグリコシド系、コリスチン、マクロライド系薬物、糖ペプチド薬物、ダプトマイシンなど)と組み合わせて、病原性真菌又は酵母に対し活性のある薬物(例えば、アリルアミン系、テルビナフィン、アゾール系など)と組み合わせて、又は抗ウイルス薬(侵入遮断薬、ウイルスのプロテアーゼ阻害薬もしくはDNA阻害薬、抗レトロウイルス薬など)と組み合わせて、同時投与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(発明の詳細な説明)
別に言及しない限りは、本明細書及び請求項において使用される下記の用語は、以下に示された意味を有する:
【0052】
様々な炭化水素-含有部分の炭素原子の含量は、その部分の炭素原子の最低数及び最高数を示す接頭語により示され、すなわち接頭語C
i-jは、「i」個を含む整数から「j」個を含む整数までの炭素原子の部分を示す。例えばC
1-20アルキルは、1個から20個までの炭素原子のアルキル又は置換アルキルをいい、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、tert-ブチル、ネオペンチル、ベンジル、4-メトキシベンジル、ベンズヒドリルなどの、任意の線状及び分岐した構造を含む。
【0053】
本明細書に使用される、同じ番号の化学構造及び説明の中のR基ラベルは、その番号の書式(上付き、下付き、書式なしなど)には係わらず、同じR基をいう。例えば「R
#」は、「R
#」及び「R#」と同じR基をいい;R
1は、「R
1」及び「R1」と同じR基をいうなどである。
【0054】
用語「アルキル」、「アルケニル」及び「アルキニル」は、線状基及び分岐した基の両方をいうが、「プロピル」などの個々のラジカルの言及は、直鎖ラジカルのみを包含し、「イソプロピル」などの分岐鎖異性体は、それについて具体的に言及される。アルキル基、アルケニル基などは、ハロ、アリール、Het
1、又はHet
2からなる群から選択される1、2又は3個の置換基により任意に置換されてよい。代表例は、ジフルオロメチル、2-フルオロエチル、トリフルオロエチル、-CH=CH-アリール、-CH=CH-Het
1、-CH
2-フェニル、2-トリメチルシリルエチル、アリルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0055】
用語「アルキリデン」基は、アルキル基末端での付加的Hの除去により形成される二価の基を意味する。例えば、エチリデン基-CH
2CH
2-は、エチル基-CH
2CH
3からのHの除去により形成され、プロピリデン基-CH
2CH
2CH
2-は、プロピル基-CH
2CH
2CH
3からのHの除去により形成されるなどである。アルキリデン基は、C
1-12アルキル、ハロ、アリール、Het
1、及びHet
2からなる群から選択される1、2又は3個の置換基により、任意に置換されてよい。
【0056】
用語「シクロアルキル」は、炭素原子3〜6個の環式の飽和された一価の単環の又は二環式の炭化水素基、例えばシクロプロピル、シクロヘキシルなどを意味する。このシクロアルキル基は、ハロ、アリール、Het
1、及びHet
2からなる群から選択される1、2又は3個の置換基により、任意に置換されてよい。
【0057】
用語「ヘテロアルキル」は、ヒドロキシ(OH)、C
1-4アルコキシ、アミノ、チオ(-SH)などを含む、ハロ、N、O及びS(O)
n(ここでnは0〜2の整数である)から選択されるヘテロ原子を含む置換基を有する、先に定義されたような、アルキル又はシクロアルキル基を意味する。代表的置換基は、-NR
aR
b、-OR
a、又は-S(O)
nR
c(式中、R
aは、水素、C
1-4アルキル、C
3-6シクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換された複素環、又は-COR(式中、RはC
1-4アルキルである)であり;R
bは、水素、C
1-4アルキル、-SO
2R(式中、RはC
1-4アルキル又はC
1-4ヒドロキシアルキルである)、-SO
2NRR'(式中、R及びR'は互いに独立して、水素又はC
1-4アルキルである)、-CONR'R"(式中、R'及びR"は互いに独立して、水素又はC
1-4アルキルである)であり;nは、0〜2の整数であり;並びに、R
cは、水素、C
1-4アルキル、C
3-6シクロアルキル、任意に置換されたアリール、又は、NR
aR
b(式中、R
a及びR
bは先に定義されたものである)である。)を含む。代表例は、2-メトキシエチル(-CH
2CH
2OCH
3)、2-ヒドロキシエチル(-CH
2CH
2OH)、ヒドロキシメチル(-CH
2OH)、2-アミノエチル(-CH
2CH
2NH
2)、2-ジメチルアミノエチル(-CH
2CH
2NHCH
3)、ベンジルオキシメチル、チオフェン-2-イルチオメチルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0058】
用語「ハロ」は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、又はヨード(I)をいう。
【0059】
用語「アリール」は、ハロ、-C
1-4アルキル、-OH、-OC
1-4アルキル、-S(O)
nC
1-4アルキル(式中、nは0、1又は2である)、-C
1-4アルキルNH
2、-NHC
1-4アルキル、-C(=O)H、又は-C=N-OR
d(式中、R
dは、水素又は-C
1-4アルキルである)から独立して選択される1〜3個の置換基により任意に置換されたフェニル、ビフェニル、又はナフチルをいう。同様に、用語フェニルは、先のように任意に置換されたフェニル基をいう。
【0060】
用語「複素環」は、環が、環内に炭素原子3〜10個、並びに酸素、窒素及びS(O)
n(ここで、nは先に定義されている)からなる群から選択されるヘテロ原子1〜4個を含む、単環又は二環式、芳香環(すなわちヘテロアリール)、又は芳香族でない飽和もしくは不飽和環をいう。この複素環は、オキソ、アリール、ハロ、CN、-C
1-4アルキル、-OH、-OC
1-4アルキル、-S(O)
nC
1-4アルキル(式中、nは0、1又は2である)、-C
1-4アルキルNH
2、-NHC
1-4アルキル、-C(=O)H、及び-C=N-OR
d(式中、R
dは、水素又はC
1-4アルキルである)から選択される1〜3個の基により任意に置換されてよい。
【0061】
複素環の例は、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、イソオキサゾリノン、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアジアゾールテトラゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリニル(又はモルホリノ)、チオモルホリニル(チアモルホリニルとも称される)、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニル、1,3-ベンゾオキサジン、1,4-オキサジン-3-オン、1,3-ベンゾオキサジン-4-オン、ピロリジン、ピロリジン-2-オン、オキサゾリジン-2-オン、アゼピン、ペルヒドロアゼピン、ペルヒドロアゼピン-2-オン、ペルヒドロ-1,4-オキサゼピン、ペルヒドロ-1,4-オキサゼピン-2-オン、ペルヒドロ-1,4-オキサゼピン-3-オン、ペルヒドロ-1,3-オキサゼピン-2-オン、2,3-ジヒドロピリジン-4(1H)-オンなどを含むが、これらに限定されるものではない。複素環は、非置換及び置換の環を含む。
【0062】
具体的には、Het
1(het
1、Het
1又はhet
1と同じ)は、二環式環を含む、C-連結された5-又は6-員の複素環をいう。「Het
1」の代表例は、モルホリニル(又はモルホリノ)、ピリジン、チオフェン、フラン、ピラゾール、ピリミジン、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、3-ピラジニル、4-オキソ-2-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、4-オキソ-2-オキサゾリル、5-オキサゾリル、1,2,3-オキサチアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、3-イソチアゾール、4-イソチアゾール、5-イソチアゾール、2-フラニル、3-フラニル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-イソピロリル、4-イソピロリル、5-イソピロリル、1,2,3,-オキサチアゾール-1-オキシド、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル、5-オキソ-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-3-イル、1,2,5-チアジアゾール-3-イル、1,2,4-チアジアゾール-5-イル、3-オキソ-1,2,4-チアジアゾール-5-イル、1,3,4-チアジアゾール-5-イル、2-オキソ-1,3,4-チアジアゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、1,2,4-トリアゾール-5-イル、1,2,3,4-テトラゾール-5-イル、5-オキサゾリル、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル及び5-イソチアゾリル、1,3,4,-オキサジアゾール、4-オキソ-2-チアゾリニル、又は5-メチル-1,3,4-チアジアゾール-2-イル、チアゾールジオン、1,2,3,4-チアトリアゾール、1,2,4-ジチアゾロン、又は3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-イルを含むが、これらに限定されるものではない。Het
1は、オキソ、アリール、ハロ、CN、-C
1-4アルキル、-OH、-OC
1-4アルキル、-S(O)
nC
1-4アルキル(式中、nは0、1、又は2である)、-C
1-4アルキルNH
2、-NHC
1-4アルキル、-C(=O)H、及び-C=N-OR
d(式中、R
dは、水素又はC
1-4アルキルである)から選択された1〜3個の基により、任意に置換されてよい。
【0063】
Het
2(het
2、Het
2、又はhet
2と同じ)は、二環式環を含む、窒素原子を1〜4個、及び任意に酸素又は硫黄原子を1個有する、N-連結された5-又は6-員の複素環をいう。「Het
2」の代表例は、モルホリニル(又はモルホリノ)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3,4-テトラゾリル、イソオキサゾリル、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル、1,3,9,9a-テトラヒドロオキサゾロ[3,4-a]インドール-1-イル、2-アルキルピロロ[3,4-c]ピラゾール-5(2H,4H,6H)-イル、及び5H-ピロロ[3,4-b]ピリジン-6(7H)-イル、(2,3-ジヒドロピリジン-4(1H)-オン)-1-イルなどを含むが、これらに限定されるものではない。Het
2は、オキソ、アリール、ハロ、CN、-C
1-4アルキル、-OH、-OC
1-4アルキル、-S(O)
nC
1-4アルキル(式中、nは0、1、又は2である)、-C
1-4アルキルNH
2、-NHC
1-4アルキル、-C(=O)H、及び-C=N-OR
d(式中、R
dは、水素又はC
1-4アルキルである)から選択された1〜3個の基により、任意に置換されてよい。
【0064】
「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1個の、例えば1、2もしくは3個のヒドロキシ基により置換された、本明細書に定義されたようなアルキルラジカルを意味し、但し2個のヒドロキシ基が存在する場合、これらは両方共同じ炭素原子上にないことを条件とする。一実施態様において、例としては、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、1-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピル、2-ヒドロキシブチル、3-ヒドロキシブチル、4-ヒドロキシブチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、1-(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシブチル、3,4-ジヒドロキシブチル及び2-(ヒドロキシメチル)-3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、又は1-(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
【0065】
「任意の」又は「任意に」は、引き続き説明された事象又は状況は、起こり得るが、必ずしもではないこと、並びにこの説明は、その事象又は状況が生じる場合及びそれが生じない場合を含むことを意味する。例えば「アルキル基により任意に一-又は二-置換されたアリール基」とは、アルキルは、必ずしもではないが、存在し得ることを意味し、この説明は、アリール基がアルキル基で一-又は二置換される状況、及びアリール基がアルキル基で置換されない状況を含んでいる。
【0066】
同じ分子式を有するが、それらの原子の結合の特長もしくは配列又はそれらの原子の空間での配置が異なる化合物は、「異性体」と称される。空間におけるそれらの原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と称される。
【0067】
互いに鏡像ではない立体異性体は、「ジアステレオマー」と称され、互いに重ね合わすことができない鏡像である立体異性体は、「エナンチオマー」と称される。化合物が不斉中心を有する場合、例えばそれが4種の異なる基に結合されている場合、エナンチオマー対が可能である。エナンチオマーは、その不斉中心の絶対配置により特徴付けることができ、かつカーン・プレローグのR-及びS-順位則により説明されるか、又は分子が偏光面で回転する方式により、右旋性又は左旋性(すなわち各々、(+)又は(-)-異性体)と命名される。キラル化合物は、個々のエナンチオマー又はそれらの混合物のいずれかとして存在することができる。これらのエナンチオマーを等しい比率で含有する混合物は、「ラセミ混合物」と称される。
【0068】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を有することができ;従ってそのような化合物は、個別の(R)-もしくは(S)-立体異性体として又はそれらの混合物として生成されることができる。別に記さない限りは、本明細書及び請求項における具体的な化合物の説明又は命名は、個別のエナンチオマー及び混合物の両方、それらのラセミ体又はその他のものを含むことが意図されている。立体異性体の立体化学の決定及び分離の方法は、当該技術分野において周知である(J. Marchの著書「最新有機化学(Advanced Organic Chemistry)」第4版、John Wiley and Sons社、ニューヨーク、1992年の第4章の考察を参照されたい)。
【0069】
式Iの化合物に関する水素(H)又は炭素(C)置換は、各原子の任意の同位体による置換を含む。従って水素(H)置換は、例えば具体的な治療的もしくは診断的療法、又は代謝試験の適用に関して、所望に応じて、
1H、
2H(重水素)、又は
3H(トリチウム)同位体置換を含む。任意に、本発明の化合物は、各々の放射標識された式Iの化合物をもたらすために、
3H、
15O、
12C、又は
13N同位体などの、当該技術分野において公知の放射性同位体又はラジオアイソトープを組み込むことができる。
【0070】
「医薬として許容し得る担体」とは、概して安全、無毒であり、かつ生物学的にも他の意味においても望ましくないようなことがない、医薬組成物の調製に有用である担体を意味し、並びに臨床用医薬用途に加え獣医学的用途に関して許容し得る担体を含む。本明細書及び請求項において使用される「医薬として許容し得る担体」は、1種及び2種以上の両方のそのような担体を含む。
【0071】
化合物の「医薬として許容し得る塩」とは、医薬として許容することができ、かつ親化合物の所望の薬理活性を持つ塩を意味する。そのような塩は、以下を含む:
【0072】
(1)親化合物に存在する酸プロトンが、例えばアルカリ金属イオンなどの好適な金属イオンにより置換されるか;もしくは、アンモニア又は天然もしくは非天然のアミノ酸、L-リシン、L-アルギニン、L-セリン、L-グルタミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、アミノ糖、N-メチルグルカミン(メグルミン)などの有機塩基と配位されるか:のいずれかの場合に形成される塩。該塩型は、必要に応じて、単独の酸性基により形成される塩などの一塩基性塩、又は存在する2個の酸性基により形成される塩などの二塩基性塩のいずれかであることができる。この塩は、例えば、該塩の溶液pHの調節又は増強された貯蔵安定性に関して、必要に応じて、本発明の化合物に存在する酸性基の1個につき計算された化学量論的量を超えて、過剰な無機塩基又は有機塩基を含むことができるか;或いは
【0073】
(2)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸により形成されるか;もしくは、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸により形成される:酸付加塩。
【0074】
疾患の「治療する」又は「治療」は、疾患を阻害すること、すなわち疾患もしくはその臨床症状の顕在化を停止もしくは低減することを含む。これは、例えば、細菌成長を阻害するか、又は臓器、組織もしくは血液などの感染部位に存在する細菌細胞を死滅することにより、達成される。
【0075】
「治療する」又は「治療」は、疾患を予防すること、すなわち疾患の臨床症状が、疾患に曝露されるかもしくは素因はあり得るが、依然その疾患の経験もしくは症状を示さない哺乳類において顕在化を引き起こさないことも含むことができる。例えば、抗菌薬による治療は、医療手技の後に可能性のある感染症の発症を防止するために、腹腔内手術の前に使用されることが多い。
【0076】
「治療する」又は「治療」は、疾患を軽減すること、すなわち、疾患又はその臨床症状の退行を引き起こすことをさらに含むことができる。例えばいくつかの抗菌薬は、細菌を直接阻害することに加え、細菌病原体により既に生成された毒素を追加的に阻害することができ、従って治療を受けている対象における毒素性ショック症候群及び/又は炎症を緩和することができる。
【0077】
「治療薬」又は「治療的化合物」とは、それを必要とする哺乳類へ投与される場合に、感染症、悪性の増殖、炎症、疼痛、血圧上昇などの、疾患又は疾患症状を予防、緩和、又は排除することができる生物活性物質又は薬物を意味する。
【0078】
「治療的有効量」とは、疾患を治療するために哺乳類へ投与される場合、該疾患のそのような治療を実現するのに十分である化合物の量を意味する。この治療的有効量は、該化合物、該疾患及びその重症度、並びに治療される哺乳類の年齢、体重などに応じて左右されるであろう。治療的有効量は、先に(1)-(3)に説明されたように、疾患を予防する、疾患を阻害する、又は疾患を軽減することを含む、所望の有益な作用を実現するのに十分である化合物の任意量をいうこともできる。例えば化合物の量は、0.1〜250mg/kg、又は好ましくは0.5〜100mg/kg、又はより好ましくは1〜50mg/kg、又は更により好ましくは2〜20mg/kgの範囲であることができる。より好ましくは、前記の化合物の量は、1日1回、哺乳類へ投与される。更により好ましくは、前記の化合物の量は、1週間に1回又は2週間に1回、哺乳類へ投与される。
【0079】
「脱離基」は、合成有機化学においてこれに従来関連づけられた意味、すなわち求核試薬により交換されることが可能である原子又は基の意味を有し、並びにクロロ、ブロモ、ヨード、メシルオキシ、トシルオキシ、トリフルオロスルホニルオキシ、メトキシ、N,O-ジメチルヒドロキシル-アミノなどの、ハロゲン、C
1-4アルキルスルホニルオキシ、エステル、又はアミノ類を含む。
【0080】
「プロドラッグ」とは、そのようなプロドラッグが哺乳類対象に投与される場合に、インビボにおいて本発明の化合物に従う活性親薬物を放出する任意の化合物を意味する。様々なプロドラッグが、例えば下記刊行物において説明されている:Alexanderらの論文、J. Med. Chem. 1988年, 318頁;Alexanderらの論文、J. Med. Chem., 1991年, 78頁;Murdockらの論文、J. Med. Chem., 1993年, 2098頁;Davidsenらの論文、J. Med. Chem., 1994年, 4423頁;Robinsonらの論文、J. Med. Chem., 1996年, 10頁;Keyesらの論文、J. Med. Chem., 1996年, 508頁;Kriseらの論文、J. Med. Chem., 1999年, 3094頁;Rahmathullahらの論文、J. Med. Chem., 1999年, 3994頁;Zhuらの論文、Bioorg. Med. Chem. Lett., 2000年, 1121頁;Sunらの論文、J. Med. Chem., 2001年, 2671頁;Ochwadaらの論文、Bioorg. Med. Chem. Lett., 2003年, 191頁;Sohmaらの論文、Med. Chem., 2003年, 4124頁;Ettmayerらの論文、J. Med. Chem., 2004年, 2393頁;Stellaらの論文、Adv. Drug Delivery Rev., 2007年, 677頁;Josyulaらの国際公開公報WO 2005/028473;Rheeらの国際公開公報WO 2005/058886、及び欧州特許EP 1,683,803。本明細書に引用されたこれらの刊行物及び参考文献の方法に従い、本発明の化合物の各プロドラッグは、同様に調製することができる。従って本明細書の式I-IIIの化合物のプロドラッグは、修飾がインビボにおいて切断され親化合物を放出するように本発明の化合物に存在する官能基を修飾することにより、調製される。該プロドラッグは、例えば、水溶解度、経口、経皮、又は眼内の生物学的利用能を改善するため、薬物部分の制御された(例えば延長された)放出を実現するため、忍容性を改善するためなどに使用することができる。プロドラッグは、化合物中のヒドロキシ、スルフヒドリル、アミド又はアミノ基が、インビボにおいて切断され、各々、遊離のヒドロキシル、アミド、アミノ、又はスルフヒドリル基を再生する任意の基に結合されているような、本発明の化合物を含む。プロドラッグの例は、本発明の化合物中のヒドロキシル又はアミン-誘導された官能基のエステル(例えば、酢酸エステル、ギ酸エステル、安息香酸エステル、リン酸エステル又はホスホン酸エステル誘導体)、カルバメート(例えばN,N-ジメチルアミノカルボニル)、N-ホスホルアミド、ホスホルアミダートを含むが、これらに限定されるものではない。プロドラッグ誘導体は、中性のプロドラッグ型(例えば、酸又はアミン)、又はそれらの各々の塩型[例えば、リン酸エステルプロドラッグのナトリウム塩、又はアミン基-を持つプロドラッグに関するアミン塩(例えば、塩酸塩、クエン酸塩など)]、又は陽性及び陰性の両方に帯電された/イオン化される官能性が存在する場合は両性イオン型のいずれかとして使用することができる。
【0081】
用語「哺乳類」は、ヒト、家畜及び伴侶動物を含む、全ての哺乳類をいう。
【0082】
本発明の化合物は一般に、IUPAC又はCAS命名システムに従い命名される。当業者に周知の略号を使用することができる(例えば、フェニルの「Ph」、メチルの「Me」、エチルの「Et」、時間(単数又は複数)の「h」、及び室温の「r.t.」)。
【0083】
(例証的態様)
本発明の最も広い定義において、式Iの化合物のある特定の化合物が好ましくあり得る。ラジカル、置換基、及び範囲に関して以下に列記された具体的な値及び好ましい値は、単に例証のためであり;これらは、ラジカル及び置換基に関して他の定義された値又は、定義された範囲内の他の値を排除するものではない。
【0084】
本発明の一部の化合物において、C
1-20アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及びそれらの異性体型であることができる。
【0085】
本発明の一部の化合物において、C
2-4アルケニルは、ビニル、プロペニル、アリル、ブテニル、及びそれらの異性体型(シス及びトランス異性体を含む)であることができる。
【0086】
本発明の一部の化合物において、C
3-6シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びそれらの異性体型であることができる。
【0087】
本発明の一部の化合物において、C
1-20ヘテロアルキルは、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、及び2-メトキシエチルであることができる。
【0088】
本発明の一部の化合物において、ハロは、フルオロ(F)又はクロロ(Cl)であることができる。
【0089】
本発明の一部の化合物において、R
2は、5-R
7-イソオキサゾール-3-イル(式中、R
7は、H、C
1-3アルキル、ハロ、又はCNである)であることができる。
【0090】
一部の態様において、基R
1、R
2、R
3、及びR
4は、独立して、H又はFから選択される。
【0091】
一部の態様において、基R
1は、Fであり、R
2及びR
6は、両方ともHである。
【0092】
一部の態様において、R
2、R
3及びR
4は独立して、H又はFであることができる。
【0093】
一部の態様において、R
4及びR
5の一方はHであり、他方はFである。
【0094】
一部の態様において、Het
1は、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、1,2,3-トリアゾール-1-イル、1,2,5-チアジアゾール-3-イル、及びイソオキサゾリジン-3-イル基であることができる。
【0095】
一部の態様において、Het
2は、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3,4-テトラゾリル、2,3-ジヒドロピリジン-4(1H)-オン-1-イル、及びイソオキサゾリジン-3-イル基であることができる。
【0096】
本発明の化合物は、追加のキラル中心を有し、かつ光学活性型及びラセミ体型で分離されることができることも、当業者によって理解されるであろう。本発明は、本発明の化合物の、任意のラセミ体型、光学活性型、互変異性体型、もしくは立体異性体型、又はそれらの混合物を包含している。
【0097】
本発明の化合物のひとつの群は、以下に例示されている:
【化7】
。
【0098】
本発明の化合物の別の群は、以下に例示されている:
【化8】
。
【0099】
本発明の化合物の別の群は、以下に例示されている:
【化9】
。
【0100】
本発明のプロドラッグ及び中間体の追加の群は、以下に例示されている:
【化10】
。
【0101】
本発明のプロドラッグ及び中間体の別の群は、以下に例示されている:
【化11】
。
【0102】
本発明の化合物の追加の群は、以下に例示されている:
【化12】
。
【0103】
(一般的合成方法)
本発明の化合物は、以下に考察されたスキームのひとつ以上に従い調製されることができる。一般的に本発明のホスホルアミダート及びO-カルボニルホスホルアミダート化合物の合成は、例えば、PCT公報WO 2000/021960、WO 2004/056816、WO 2006/043121、及びWO 2009/020616に記載されたような、(イソオキサゾール-3-イル)アミノ基又はNH-アミド基などの、NH-含有基を組み込んでいるある特定の非-ホスホルアミダート誘導体について説明されたいくつかの公知の合成技術の方法に従う。
【0104】
本発明の化合物へのいくつかの一般的アプローチは、全般的スキーム1に例示されている。
【化13】
(スキーム1) O-カルボニルホスホルアミダートの一般的合成
a) POCl
3;塩基:例えば、N-メチルモルホリン(NMM)、TEA、Py、又はDIEA;次に、水;b) (t-BuO)
2PN(i-Pr)
2、1H-テトラゾール、t-BuOOH;次に、TFA又はHCl;c) 塩基:例えば、Na
2CO
3、NaOAc、Na
2HPO
4、TEA、NMM、(ジメチルアミノ)メチル-ポリスチレンなど;[R
1C(=O)]
2O、アルキル-N=C=O、又はR
1C(=O)X、ここでX=Cl、4-ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシなど。
【0105】
必要なホスホルアミダート誘導体化を達成するために、N-保護された(イソオキサゾール-3-イル)アミン(PCT WO 2000/021960に説明されたN-Boc-保護された3-(tert-ブトキシカルボニル)アミノイソオキサゾールなど)は、保護されたホスホルアミダート試薬(O,O-ジアルキルイソオキサゾール-3-イルホスホルアミダート、又はO,O-ジアルキルアセチルホスホルアミダートなど)と意図的に交換することができる。生じた保護されたホスホルアミダートキサゾリジノンの後続の脱保護、必要なO-カルボニル基を導入するためのそれに続くアシル化は、本発明の標的化合物をもたらす。任意に、本発明の化合物は、アルカリ金属塩、又はアミン塩などの、塩型で単離される。
【0106】
スキーム2の追加の一般的方法は、抗菌薬オキサゾリジノンのO-カルボニルホスホルアミダートプロドラッグの合成を例示している。
【化14】
(スキーム2) O-カルボニルホスホルアミダートキサゾリジノン誘導体の一般的合成
a)RSO
2Cl又は(RSO
2)
2O;塩基:例えば、N-メチルモルホリン(NMM)、TEA、Py、又はDIEA;b)O,O-ジアルキル-又はO,O-ジシクロアルキル-イソオキサゾール-3-イルホスホルアミダート試薬;塩基:例えば、NaH、LiOBu-t、KOBu-t、テトラメチルグアニジンなど;c)脱保護剤:例えば、PG=i-Pr又はi-Buに関してTMSBr又はTMSI;PG=Bnに関してH
2/Pd/C;PG=t-Bu、又はPG=p-メトキシベンジル、又はPG=ベンズヒドリルに関してTFA、MsOH、又はHCl;PG=TMSCH
2CH
2に関してKF、TBAF、又はHF;PG=NCCH
2CH
2に関してアンモニア又はLiOH;d)塩基:例えば、Na
2CO
3、NaOAc、Na
2HPO
4、TEA、NMM、(ジメチルアミノ)メチル-ポリスチレンなど;[R
1C(=O)]
2O、アルキル-N=C=O、又はR
1C(=O)X、ここでX=Cl、4-ニトロフェノキシ、ペンタフルオロフェニルなど;e)ミツノブ試薬:例えば、Ph
3P/i-PrO
2CN=NCO
2Pr-I(DIAD);Ph
3P/H
2NC(=O)N=NC(=O)NH
2;Bu
3P/DIAD;Ph
2P-ポリスチレン/DIAD;など;f)アルカリ金属塩基又はアミン、例えば、NaOH、Na
2CO
3、NaHCO
3、NaOAc、Na
2HPO
4、メグルミン、グリシン、リシンなど;g)アルカリ金属塩基又はアミン、NaOH、Na
2CO
3、NaHCO
3、NaOAc、Na
2HPO
4、メグルミン、グリシン、リシンなど;プロトン性溶媒、例えば水-含有EtOH、MeCN、THFなど、又はアルコール、例えばEtOHなど。
【0107】
スキーム2に図示したように、本発明のO-カルボニルホスホルアミダート化合物(例えば、化合物8又は化合物9)は、後者のアルカリ金属塩又はアミン塩が、プロドラッグとしても有用であるスキーム2のそれぞれのホスホルアミダート化合物10へと任意に脱-カルボニル化(例えば、O-脱アセチル化)され得る。特定の用途に好ましいように、化合物10は、一塩基性塩(1当量のアルカリ金属又はアミン塩基を使用する場合)、又は二塩基性塩(少なくとも2当量のアルカリ金属もしくはアミン塩基、又はこれらの試薬の任意の組合せを使用する場合)として調製することができる。次に、化合物10のO-カルボニル化(例えば、O-アシル化)により、化合物10を、O-カルボニルホスホルアミダート化合物へ転換することができる。これは、本発明の特定の化合物の調製に必要とされるように、異なるR
1基(異なるアシル化試薬を使用する場合)の変化を促進することが可能である。
【0108】
スキーム2において使用される多数のアルコール並びに1型及び2型のアルキル-及びアリールスルホン酸オキサゾリジノン誘導体は、PCT公報WO 2000/021960、WO 2004/056816、WO 2006/043121、及びWO 2009/020616などの先行技術において説明されている。
【0109】
本明細書に提供される化合物の調製(例えば、スキーム2の工程(b))に使用されるO,O-ジアルキル又はO,O-ジシクロアルキル(イソオキサゾール-3-イル)ホスホルアミダート化合物は、下記スキーム3に例示されたように調製することができる。
【化15】
(スキーム3) (イソオキサゾール-3-イル)ホスホルアミダート化合物の一般的合成
a)(R
10O)(R
11O)P(=O)Cl
2;塩基:Py、NMM、DIEAなど;b)最適な塩基:Py、NMM、DIEA、DMAPなどにより支援された保護基(PG)による保護;アシル化又はスルホニル化試薬:PG=ArSO
2に関してArSO
2Cl;PG=Bocに関してBoc
2O;PG=Cbzに関してCbzCl又はCbzOSuなど;c) (R
10O)(R
11O)P(=O)Cl
2;塩基:DBU、DMAP、Py、NMM、KOBu-t、LiOBu-tなど;d)脱保護試薬:PG=ArSO
2に関してMsOH又はMsOH-TFA;PG=ノシラートに関してRSH、塩基(Na
2CO
3、DBU、NMMなど);PG=Bocに関してTFA;PG=Cbzに関してH
2/Pd/C又はHCOONH
4/Pd;など。
【0110】
ジフェニルイソオキサゾール-3-イルホスホルアミダートに限定されない、ある特定のイソオキサゾール-3-イルホスホルアミダートの調製を示す、スキーム3の方法に全般的に関連したリン酸化法は、例えば刊行物Zhurnal Obshchei Khimii. 1990年, 60巻, 1991頁、及びPCT WO 9735864に説明されている。重要なことに、これらのジフェニル誘導体は、本発明の化合物の調製に必要とされる、容易なホスホルアミダートO-脱保護には適していない。
【0111】
対照的に、本明細書に提供される新規O,O-ジアルキル及びO,O-ジシクロアルキル(イソオキサゾール-3-イル)ホスホルアミダートは、O-カルボニル(イソオキサゾール-3-イル)ホスホルアミダートオキサゾリジノンの調製におけるこの重要な脱保護工程を可能にする。3-アミノイソオキサゾールから誘導されたO,O-ジフェニルホスホルアミダート以外は、これまでに説明されておらず、かつ本発明の具体的化合物又はリン酸化された中間体は提供されていない。
【0112】
任意に、スキーム1及びスキーム2の方法は、残留する脱保護剤及び/又は副産物を除くために、中間体2、6、及び7の、並びに最終生成物3及び8の追加処置を含むことができる。例えば、好適な支持体上に固定された銀塩などの銀試薬(例えば、Ag
2CO
3-活性炭、又はスルホン酸銀樹脂)を、微量のヨウ化物を除去するために使用することができるのに対し、イオン交換樹脂(例えば、第4級アンモニウムポリスチレン樹脂)又はアミン樹脂(例えば、アミノメチルポリスチレン、メチルアミノメチルポリスチレン、又はジメチルアミノメチルポリスチレン)を、必要ならば、過剰な酸不純物を除去するために使用することができる。同様に酸性イオン交換樹脂(スルホン酸又はカルボン酸ポリスチレン樹脂など)は、無機塩を除去し、及び/又は生成物を塩型から酸型に転換するために、任意に利用することができる。同様の精製試薬は、例えば、PCT公報WO 2010/121021、及び米国特許第7,588,690号に説明されている。
【0113】
本発明の具体的な化合物の合成に関する追加の詳細な合成スキームは、下記実施例に説明された方法により例示される。
【実施例】
【0114】
(実施例)
本発明の実施態様は下記実施例において説明され、これは本発明の範囲を例示することを意味し、限定することを意味するものではない。合成技術分野の当業者に周知の一般的略号が、全体を通じて使用される。400 MHz
1H NMRスペクトル(δ, ppm)は、別に指定しない限りは、DMSO-d
6中で測定される。陽イオン化法に関する質量分析(MS)データ(m/z)が提供される。クロマトグラフィーは、別に指定しない限りは、シリカゲルクロマトグラフィーを意味する。TLCは、薄層クロマトグラフィーを意味する。HPLCは、高速液体クロマトグラフィーを意味する。DMSO(ジメチルスルホキシド)、DCM(ジクロロメタン)、THF(テトラヒドロフラン)、MTBE(メチルtert-ブチルエーテル)、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)などの一般的略語が、全体を通じて使用される。別に指定しない限りは、全ての試薬は、商業的供給業者から得るか、又は入手可能な文献において説明された通常の方法により製造されるかのいずれかであった。
【0115】
(実施例1) 下記構造の化合物
【化16】
【0116】
(方法A) 実施例1の化合物に関するスキーム、方法A:
【化17】
【0117】
(中間体1) クロロリン酸ジイソプロピル(706μL)を、ピリジン(Py, 5mL)中の3-アミノイソオキサゾール(0.37mL)へ、窒素下、約-5〜0℃で、攪拌しながら滴加し、この混合物を攪拌し、室温(r.t.)まで温め、次に一晩攪拌した。揮発物を、真空下で除去し、残渣をEtOAc-MTBE 1:1(約50mL)及び5%水性クエン酸(約25mL)に溶かした。有機層を、5%水性クエン酸(25mL)、飽和水性NaHCO
3(2×25mL)、ブライン(25mL)で洗浄し、活性炭(約2cc)を添加し、乾燥した(MgSO
4)。溶媒を、真空下で除去し、半-結晶性残渣を、MTBE−ヘキサン約1:3により摩砕した。結晶性生成物を濾過し、真空下で乾燥した。
【化18】
【0118】
(中間体2) DIAD(76μL)を、THF(3 mL)中の中間体1(112mg)、(R)-5-(ヒドロキシメチル)-3-(2,3,5-トリフルオロ-4-(4-オキソ-3,4-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)フェニル)オキサゾリジン-2-オン(103mg;PCT WO 2009/020616に記載されたように調製)、及びPh
3P(118mg)の混合物へ、窒素下、室温で添加し、この溶液を、室温で一晩攪拌した。溶媒を、真空下で除去し、生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン−EtOAc 4:1、次にヘキサン−EtOAc 1:1)により精製した。一緒にした生成物画分を蒸発させ、この生成物を真空下で乾燥させた。ガラス状の無色の物質。
【化19】
【0119】
(中間体3、方法I) ヨードトリメチルシラン(TMSI, 26uL)を、DCM(300μL)中の中間体2(15mg)へ、窒素下で、攪拌しながら添加し、この溶液を、室温で一晩攪拌した。揮発物を、真空下で除去し、生じた生成物を、MTBEにより洗浄し、次に真空下で乾燥した。
【化20】
MS:489[M+H]
任意に、この化合物を、約0.2M水性Na
2CO
3 (媒質のpHは約8.5に)中に溶解し、EtOAc洗浄し、かつ水層を凍結乾燥することにより、ナトリウム塩として単離した。中間体3のナトリウム塩(D
2O中)の
1H NMR:
【化21】
【0120】
(中間体3、方法II) ブロモトリメチルシラン(TMSBr, 66μL)を、CHCl
3(0.4mL)中の中間体2(64mg)へ、攪拌しながら、窒素下で滴加し、この混合物を、40〜50℃で一晩攪拌した。揮発物を真空下で除去し、残渣を、摩砕し、過剰なメチルt-ブチルエーテル(MTBE)により洗浄し、次に真空下で乾燥した。MS:489 [M+H]。
【0121】
(実施例1の化合物) NaOAc(2.14g)を、DMSO-MeCN 1:10(11.0mL)中の粗中間体3(約0.9mmol;方法Aにおいて先に説明したように調製)へ、攪拌しながら、少しずつ添加し、引き続きAc
2O(355mg)を添加した。この混合物を1時間攪拌し、次にMTBE(約60)を添加した。沈殿した固形物を濾過し、DCM中の5%EtOH(100mL)と共に20分間攪拌した。この懸濁液を、過剰なEtOAcの助けを借りて、濾過した。揮発物を蒸発させ、残渣を摩砕し、EtOAc−MTBE 3:1(4mL)で洗浄した。生成物を濾過し、真空下で乾燥させ、実施例1の化合物をそのナトリウム塩として、帯黄白色固形物で生じた。
【化22】
【0122】
(方法B) 実施例1の化合物に関するスキーム、方法B:
【化23】
【0123】
(中間体5) 3-ニトロベンゼンスルホニルクロリド(NsCl, 16.0g)を、DCM(200mL)中のR)-5-(ヒドロキシメチル)-3-(2,3,5-トリフルオロ-4-(4-オキソ-3,4-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)フェニル)オキサゾリジン-2-オン(18.0g;PCT WO 2009/020616に記載のように調製)及びトリエチルアミン(TEA, 8.4g)の溶液へ、約0〜2℃で、攪拌しながらすこしずつ添加した。この混合物を、この温度で2時間攪拌し、次に濾過した。濾液を、水、ブラインで洗浄し、乾燥させた(MgSO
4)。溶媒を蒸発させ、生成物を真空下で乾燥させた。黄色固形物。
【化24】
【0124】
(実施例1の化合物) t-BuOK(27.7g)を、2-メチルテトラヒドロフラン(0.764L)中の中間体1(43.2g)の溶液へ、0〜10℃で、窒素大気下で、攪拌しながら、少しずつ添加した。約1時間後、この混合物を、30〜35℃に加熱し、次に中間体5(76.4g)を、攪拌しながら少しずつ添加し、この混合物を更に15〜24時間攪拌した(中間体5が消費されるまで;任意に、この工程は、2-メチルテトラヒドロフランの代わりにDMF約0.2〜0.3Lを用いて行われる)。この混合物を、10〜20℃まで冷却し、その後EtOAc(0.35L)及び水(1.15L)を添加した。抽出時に、EtOAc層を分離し、水層を2-メチルテトラヒドロフラン(0.9L)により抽出した。一緒にした有機層を、5%Na
2SO
4(2×0.99L)により洗浄し、脱色のために活性炭で処理した。この溶媒を、真空下で蒸発させ、乾燥した。粗中間体2を、DCM中に再溶解させ、真空下で蒸発させ、後者の手順を繰り返した。生じた残渣を、無水DCM(0.765L)中に溶解した。この溶液を、窒素下で約-5〜5℃まで冷やし、トリメチルシリルヨージド(TMSI、116g)を、攪拌しながら滴加した。この混合物を室温まで温め、更に2〜3時間攪拌した。その後ほとんどの揮発物を真空下で除去した。残渣を、DCM中に再溶解し、真空下で蒸発させ、後者の手順を繰り返した。生じた残渣を、MeCN(0.765L)中に溶解し、約-5〜5℃まで冷却した。NaOAc(95.1g)を、攪拌しながら少しずつ添加し、この混合物を更に0.5〜1時間攪拌した。次にAc
2O(59.2g)を、攪拌しながら滴加した。この混合物を、室温まで温め、約12〜16時間攪拌した。次にMTBE(3.1L)を添加し、この懸濁液を約1時間攪拌した。この固形物を濾過し、MTBEですすいだ。生じた粗生成物を、分取HPLC(C18カラム)により、水からMeCNへの勾配溶出を用いて精製した。一緒にした生成物を含有する画分を、真空下で凍結乾燥させ、実施例1の化合物をそのナトリウム塩として、帯黄白色固形物で生じた。
【化25】
燃焼分析:C, 42.40%;H, 3.38%;N, 10.00%;溶媒和物(水和物)C
20H
17F
3N
4NaO
8P・H
2Oに関する計算値:C, 42.12;H, 3.36;N, 9.82。
【0125】
(方法C) 実施例1の化合物に関するスキーム、方法C:
【化26】
【0126】
(中間体6) 中間体6は、3-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの代わりに4-ニトロベンゼンスルホニルクロリドを使用した以外は、中間体5の調製に関する手順と同様に調製した。黄色結晶。
【化27】
【0127】
(中間体2) THF(2.1mL)中の1M LiOBu-tを、攪拌しながら、THF(4mL)中の中間体1(0.49g)へ、窒素下、約0℃で添加した。この溶液を、0℃で約15分間攪拌し、その後室温で約40分間攪拌した。次に約-5℃まで冷却し、DMF(4 mL)中の中間体6(0.91g)を、攪拌しながら滴加し、この混合物を室温まで温め、一晩攪拌した。AcOH(100μL)を添加し、揮発物のほとんどを真空下で除去した。残渣をEtOAc(約40mL)中に溶かし、5%水性NaHCO
3(約3×25mL)、ブラインで洗浄し、乾燥させた(硫酸Na)。この溶媒を真空下で蒸発させ、残渣を、MTBE−ヘキサン 1:2 (約50mL)で摩砕し、結晶生成物を生じ、これを分離し、真空下で乾燥した。MS: 573 [M+H]。
【0128】
(実施例1の化合物) 中間体2を、方法A(I)において正に先に説明したように、実施例1の化合物へ転換し、そのナトリウム塩を単離した。帯黄白色固形物。
【化28】
【0129】
(実施例2) 下記構造の化合物:
【化29】
。
【0130】
実施例2の化合物に関するスキーム:
【化30】
【0131】
(実施例2の化合物) 実施例2の化合物を、Ac
2Oの代わりに4-クロロ-4-オキソブタン酸エチルを使用し、かつNa
2CO
3をNaOAcに置き換えた以外は、実施例1の化合物の調製に関する方法Aについて説明したものと同様に調製した。MS: 617 [M+H]。
【0132】
(実施例3) 下記構造の化合物
【化31】
。
【0133】
実施例3の化合物に関するスキーム:
【化32】
【0134】
(実施例3の化合物) 実施例3の化合物を、Ac
2Oの代わりに塩化ピバロイルを使用し、かつNa
2CO
3をNaOAcに置き換えた以外は、実施例1の化合物の調製に関する方法Aについて説明したものと同様に調製した。MS: 573 [M+H]。
【0135】
(実施例4) 下記構造の化合物
【化33】
。
【0136】
実施例4の化合物に関するスキーム:
【化34】
【0137】
(実施例4の化合物) 実施例4の化合物を、Ac
2Oの代わりに塩化オクタノイルを使用し、かつNa
2CO
3をNaOAcに置き換えた以外は、実施例1の化合物の調製に関する方法Aについて説明したものと同様に調製した。MS: 615 [M+H]。
【0138】
(実施例5) 下記構造の化合物
【化35】
。
【0139】
実施例5の化合物に関するスキーム:
【化36】
。
【0140】
(実施例5の化合物) 実施例5の化合物を、Ac
2Oの代わりにクロロギ酸イソプロピルを使用し、かつNa
2CO
3をNaOAcに置き換えた以外は、実施例1の化合物の調製に関する方法Aについて説明したものと同様に調製した。MS: 575 [M+H]。
【0141】
(中間体7) 下記構造の化合物
【化37】
。
【0142】
中間体7の化合物に関するスキーム:
【化38】
。
【0143】
(中間体7の化合物) 中間体7の化合物を、中間体1の化合物の合成に関して利用したクロロリン酸ジイソプロピルの代わりにクロロリン酸ジエチルを使用した以外は、実施例1方法Aの化合物の合成について説明した中間体1の化合物に関する手順と同様に調製した。無色の油状物。MS: 221 [M+H]。
【0144】
(有用性及び試験)
本発明のオキサゾリジノン系化合物は、グラム陽性微生物を含む様々な微生物に対する強力なインビボ有効性を示す。従って本発明の化合物は、有用な抗菌活性を有する。結果的に、本発明の化合物は、有用な抗微生物薬であり、かつ例えば多剤耐性ブドウ球菌、腸球菌、及び連鎖球菌などの好気性グラム陽性菌に加え、例えばバクテロイデス属及びクロストリジウム属の菌種などの嫌気性微生物、並びに、例えば結核菌(Mycobacterium tuberculosis)及びトリ結核菌(Mycobacterium avium)などの抗酸菌を含む、数多くのヒト及び動物の病原体に対し有効であり得る。
【0145】
本発明の化合物の有用な治療的活性を確証するために、マウス腹膜炎感染症モデルの試験を、Marraらの論文(Current Protocols in Pharmacology (2005), 13A.4.1-13A.4.13)に記載された一般的手順に従い、行った。
【0146】
この黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)株SAU1018によるマウス感染症モデルにおいて、実施例1及び2の化合物は、高いインビボ活性を示し、臨床的又は治療上の使用に適している食塩水中のこれらの薬剤(ナトリウム塩)の静脈内注射により感染した動物へ投与した場合、これらの各化合物に関してED
50値(本試験において50%の動物が生存する有効量)が10mg/kgであった。この有効性は、同じ試験における親薬物MRX-I対照に関する値(ED
50 10mg/kg)と同等であり、この親化合物は、非臨床用20%水性ベータ-ヒドロキシプロピルシクロデキストリン(HPCD)製剤(その非-プロドラッグ型でのMRX-I溶解に必要)で、動物に投与された。
【0147】
本明細書に提供される化合物はまた、簡便な経口投与に適している。従って、実施例1の化合物(ナトリウム塩型)の溶液が、前述の黄色ブドウ球菌感染症のマウスモデルの動物に経口投与される場合、ED
50値約8mg/kgの高い抗菌有効性が認められた。先の動物試験のデータはまた、本発明の実施例1のプロドラッグの薬物MRX-Iへのインビボにおける転換を例証している。
【0148】
加えて、本発明のプロドラッグの親薬物MRX-Iへの転換を、文献(Current Protocols in Pharmacology、2005年, 7.1.1-7.1.26、Jon Wiley & Sons社)に記載されている方法と同様に行った、齧歯類薬物動態(PK)モデルにおいて試験した。これらの試験において、この薬物は、典型的には血液中において検出され、かつその量(濃度)は、液体クロマトグラフィー質量分析により定量した。一つの重要なPKパラメータは、薬物濃度−時間プロットから誘導された曲線下面積(AUC)である。AUCは、試験薬物への曝露の重要な指標である。比較的高いAUC値は、上昇した薬物レベル、又はより高い薬物への哺乳類の曝露を示している。比較的低いAUC値は、低下した薬物レベル、又はより低い薬物への哺乳類の曝露を示している。プロドラッグ投与の場合、そのインビボ転換から生じた薬物が、検出されかつ測定される(例えば、Baeらの論文、J. Pharmacy Pharmacol., 2007年, 59巻, 955頁に例証される)。
【0149】
従ってラットモデルにおいて、実施例1の化合物(食塩水中のナトリウム塩型の溶液、MRX-Iの1基準あたり10mg/kgで投薬)の静脈内投与は、動物血液中に検出された薬物MRX-Iを生じ、薬物量は、約33,420ng/mL*hのAUC値に相当する。並行試験において、同じ投与量で投与される薬物MRX-I(10mg/kg、20%水性HPCD中の溶液)は、AUC値約25,350ng/mL*hに相当する薬物量で検出された。従って実施例1のプロドラッグの試験哺乳類への静脈内投与は、親薬物(MRX-I)へのその転換を生じ、これは該薬物の投与と比べ、少なくとも類似した又は更により良い曝露を伴った。
【0150】
実施例1の化合物の薬物MRX-Iへのインビボにおける転換は、下記スキーム4に示したような中間体3の化合物の断続的な形成を介して進行する。
【化39】
(スキーム4) 実施例1のプロドラッグの薬物MRX-Iへのインビボ転換
【0151】
このプロセスにおける中間体3の化合物の断続的な形成は、実施例1の化合物に関して先に説明したラットPK試験時に、血液中のこの化合物の検出により、確認された(実施例1の化合物の試験動物への静脈内投与後に、薬物MRX-Iへの高い曝露を生じる)。具体的には、中間体3の化合物は、m/z値489.08であるその特徴的[M+H]
+イオンシグナルを基に、液体クロマトグラフィー質量分析により検出された。従って中間体3の化合物はそれ自身、インビボにおいてMRX-Iのプロドラッグとして作用し、かつそのように使用することができる。このことから実施例1の化合物は、NPO
3H
2−化合物中間体3と関係するプロドラッグとして説明することができ、これは薬物MRX-Iの「二重プロドラッグ」である。
【0152】
前記観察は、中間体3の化合物に関する有効性(ED
50)試験データと一致している。中間体3は、黄色ブドウ球菌感染症のマウスモデル(SAU1018株;実施例1及び2の化合物を試験するために先に説明したように行った;ナトリウム塩の食塩水溶液として投与)において、ED
50値約10mg/kgを示した。
【0153】
加えて、326nmでのUV検出によるHPLC定量法を使用する水への溶解試験を、以下に実施例1の化合物について例示したように行った。希釈剤(例えば水、水中の5%ブドウ糖(D5W)など、又はHClもしくは乳酸などの酸の少量の添加により所与のpHに調節したこれらのもの)のアリコート(約0.3mL)を、試験化合物(約0.9g)に添加し、この混合物を、一晩、室温で激しく攪拌した。2時間及び24時間の時点で、各試験バイアルを遠心し(10,000rpm)、沈殿を含まない上清を収集し、希釈剤(先に示したもの)により希釈し(10,000倍)、次にこの溶液をHPLCにより分析した。試験溶液中の該化合物の濃度は、標準の検量線に対し希釈した試料に関するUV検出AUC値を比較することにより決定し、その後当初の希釈していない溶液の濃度を、希釈因子を考慮し算出した。
【0154】
この試験データは、水溶液中の実施例1の化合物(ナトリウム塩)の驚くほどに高い溶解度を明らかにしている。この化合物は、有機溶媒又は錯化剤、例えばHPCDなどの、何らかの特別な添加剤又は賦形剤の非存在下において、pH5で、D5W中約400mg/mLの並外れた溶解度を示した。同様に、実施例2の化合物は、少なくとも20mg/mLの高い水への溶解度を示した。
【0155】
重要なことは、これらの溶解度の値は、これらのプロドラッグ化合物の親薬物、臨床用薬剤MRX-Iのそれよりも、劇的に高いことである。後者の薬物に関してはわずかに約0.25mg/mLの溶解度が、水又は常用の水溶液中で達成され得る(HPLC定量及び326nmでのUV検出による、本プロドラッグに関して説明されたものに類似した手順を使用し試験した場合)。これはまた、オキサゾリジノン系薬物リネゾリドに関して報告された約3mg/mLの溶解度の値も、十分に上回っている(ザイボックスに関する処方情報、Pfizer社、LAB-0139-20.0、2010年6月改訂を参照されたい)。後者のリネゾリドの溶解度の限界は、その単回投与量600mg(これははるかに溶解性の低い薬剤MRX-Iに関しては全く不可能である)の投与のための300cc静注バッグを必要とする。
【0156】
従って本明細書において発明された化合物は、比較的短時間の静脈内点滴、又は(点滴に必要とされる)特別な医療用装置を必要としない急速ボーラス注射など、少量で(例えば、50cc又は100cc)、(治療を必要とする哺乳類に対して)はるかにより簡便に投与できるという観点で、重大な恩恵をもたらす。
【0157】
急速ボーラス投与は、外来患者の治療において、又は救急治療のために、又は感染を防止するための緊急処置(例えば、病原体への偶然の曝露後)に、特に有用である。
【0158】
更に本明細書に提供される化合物は、好都合なことに固体形状で貯蔵し、その後投与直前に、好適な希釈剤中に溶解することができる。このことは、溶解する前の薬物溶液(例えば、リネゾリドの300cc点滴バッグに必要とされるような)の製造、貯蔵及び輸送における不便さ及び追加の経費を排除する。加えて、予め製剤した溶液からの薬物沈殿(例えば、貯蔵又は輸送時の不適切な温度管理に起因した)のリスクも、未然に防がれる。
【0159】
水性安定性試験(化合物シグナルの同じようなHPLC UV検出、及び異なる時点での試験化合物濃度の決定により、溶解度試験において先に説明したように行われる)において、実施例1及び2の化合物に関して、pH範囲約4〜5において、少なくとも4〜6時間にわたって、著しい分解及び沈殿は認められなかった。従って実施例1の化合物(ナトリウム塩型)の最小の分解のみが、D5W溶液中、pH5で24時間にわたり、室温で、明らかな沈殿を伴わずに、認められた。薬物の類似溶液(媒体pH5でのD5W)が、静脈内、皮下、筋肉内、又は経口薬物投与に通常使用される。結果的に、臨床的に許容し得る水溶液中のこれらの化合物の安定性は、静脈内又は経口投与に関して本明細書において提供される新規プロドラッグの好適性を証明している。
【0160】
本明細書に提供される化合物の水中安定性は、完全に予想外であり、その理由はそれらのO-カルボニル-ホスホルアミダート構造は、混合型リン酸−カルボン酸無水物中に存在する構造R(C=O)-O-P(=O)に類似しているからである。このような混合無水物の高い反応性のために、これらは、単離されないが、インサイチュで生成され、アシル基R(C=O)転移反応に使用される(例えば、McNultyの論文、Tetrahedron, 2012年, 68巻, 5415頁に説明されたアミド形成)。対照的に、本発明の化合物は、水溶液中で驚くほど安定しており、かつ試験哺乳類へ投与される場合に、忍容性が良い(マウスモデルに関する前述のED
50有効性試験により、及び同じく追加のラットにおける14日間反復投与試験により、例示されるように)。
【0161】
従って、本試験データは、ある特定の本発明の化合物は、インビボにおける優れた治療活性を示す一方で、また親薬剤(O-カルボニルホスホルアミダートプロドラッグ基を欠いている)と比べ、大きく改善された溶解度を示し、このことは安定した臨床的に許容し得る水溶液の形状でかつ高い薬物濃度での容易な薬物投与を可能にすることを明らかにしている。
【0162】
(投与及び医薬製剤)
概して、本発明の化合物は、同様の有用性で働く物質の許容されるいずれかの投与様式により、治療的有効量で投与されることができる。例として、本発明の化合物は、経口的に、非経口的に、経皮的に、局所的に、経直腸的に、又は鼻腔内的に投与されることができる。本発明の化合物の、すなわち活性成分の実際の量は、治療される疾患の、すなわち治療される感染症の重症度、対象の年齢及び相対的健康状態、使用される化合物の効能、投与の経路及び形式、並びに他の要因などの、数多くの要因により左右され、それらは全て担当医の権限内である。
【0163】
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータは、ヒトにおける使用に関する用量範囲の策定に使用することができる。このような化合物の用量は、ほとんど又は全く毒性がないED
50を含む循環濃度の範囲内に存在することが好ましい。この用量は、使用される剤形及び利用される投与経路に応じて、この範囲内を変動することができる。本発明の方法において使用される任意の化合物に関して、治療的有効量は、最初に動物モデルから推定することができる。投与量は、細胞培養物において決定されたIC
50(すなわち、症状の最大阻害の半分を実現する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を実現するように、動物モデルにおいて処方されることができる。このような情報は、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定するために使用することができる。
【0164】
本発明の化合物は、医薬品として利用される場合は、医薬組成物の形状で通常投与される。これらの化合物は、経口、非経口、経皮、局所的、経直腸的及び鼻腔内を含む、様々な経路で、投与されることができる。
【0165】
本明細書において提供される化合物は、注射用、経口、吸入用、又は局所用組成物として有効である。このような組成物は、医薬技術分野において周知の様式で調製され、かつ少なくとも1種の活性化合物を含有している。
【0166】
本発明は、活性成分として、先の本発明の化合物の1種以上を、医薬として許容し得る担体と会合されて含有する医薬組成物も含む。本発明の組成物の製造において、活性成分は通常、賦形剤と混合されるか、賦形剤により希釈されるか、又はカプセル、サシェ、紙もしくは他の容器の形状であることができるそのような担体内に封入される。この賦形剤が希釈剤として働く場合、これは、活性成分のための溶媒、担体又は媒体として作用する、固形、半固形、又は液体の物質であることができる。従って本組成物は、錠剤、丸剤、散剤、舐剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアロゾル剤(固形物として又は液体媒体中)、例えば活性化合物を最大10重量%含有する軟膏剤、軟及び硬ゼラチンカプセル剤、坐剤、無菌注射用液剤、及び無菌包装された散剤の形状であることができる。
【0167】
これらの組成物は、単位剤形で製剤されることが好ましく、各用量は、該活性成分を約0.1〜約3000mg、より一般的には約1〜約900mg含有する。用語「単位剤形」は、ヒト対象及び他の哺乳類に関する単位用量として適している物理的に個別の単位をいい、各単位は、所望の治療作用を生じるように計算された活性物質の予め決定された量を、好適な医薬賦形剤と会合して含有している。好ましくは、前記本発明の化合物は、医薬として不活性の担体(類)と釣り合いがとれるよう、医薬組成物の約20重量%以下、より好ましくは約15重量%以下で使用される。
【0168】
活性化合物は、広範な用量範囲にわたり有効であり、かつ一般に医薬的又は治療的な有効量で投与される。しかし、実際に投与される本化合物の量は、治療される状態、治療される細菌感染症の重症度、選択された投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重及び反応、患者の症状の重症度などを含む関連状況を考慮し、医師により決定され得ることは理解されるであろう。
【0169】
温血動物における細菌感染症の治療、又は根絶のための治療的用途において、化合物又はそれらの医薬組成物は、抗菌効果がある治療を受けている動物における活性成分の濃度、すなわち量又は血液レベルを得かつこれを維持する用量で、経口、局所的、経皮、及び/又は非経口的に投与されることができる。一般に、活性成分の用量のそのような抗菌的又は治療的有効量(すなわち、有効用量)は、約0.1mg/kg〜約250mg/kg体重/日、より好ましくは約1.0mg/kg〜約50mg/kg体重/日の範囲であろう。
【0170】
錠剤などの固形組成物の調製に関して、主要な活性成分は、医薬賦形剤と混合され、本発明の化合物の均質な混合物を含む、固形の予備製剤組成物を形成する。これらの予備製剤組成物を均質と称する場合、これは、その活性成分が、該組成物全体に均等に分散され、その結果本組成物は錠剤、丸剤及びカプセル剤などの、同等に有効な単位剤形に容易に細分され得ることを意味する。この固形の予備製剤は、次に、本発明の活性成分を例えば0.1〜約500mg含有する、先に説明された種類の単位剤形に細分される。
【0171】
本発明の錠剤又は丸剤は、コーティングされるか、又は別の場合には配合され、作用延長の利点をもたらす剤形を提供する。例えば錠剤又は丸剤は、内側用量成分及び外側用量成分からなることができ、この外側用量成分は内側用量成分の上の外皮の形である。これらふたつの成分は、胃内での崩壊に抵抗し、内側成分が十二指腸へ無傷のまま通過するか又は放出を遅延することを可能にする役割を果たす腸溶層により隔てられることができる。そのような腸溶層又はコーティングのために様々な物質を使用することができ、そのような物質は、数多くのポリマー酸、並びにポリマー酸のセラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースなどの物質との混合物を含む。
【0172】
経口又は注射による投与のために本発明の新規組成物が混入される液体の形状は、トウモロコシ油、綿実油、ゴマ油、ココナツ油もしくはピーナッツ油などの食用油に加え、エリキシル及び同様の医薬用溶媒を含む、水性液剤、好適な香味付けシロップ剤、水性又は油性懸濁剤、及び香味付け乳剤を含む。
【0173】
吸入用又は吹送用の組成物は、医薬として許容し得る水性溶媒もしくは有機溶媒、又はそれらの混合物中の液剤及び懸濁剤、並びに散剤を含む。液体又は固体の組成物は、先に説明されたような好適な医薬として許容し得る賦形剤を含有することができる。好ましくは本組成物は、局所又は全身作用のために、経口又は経鼻的な呼吸経路で投与される。好ましくは医薬として許容し得る溶媒中の組成物は、不活性気体の使用により、噴霧化されてよい。噴霧化された溶液は、噴霧化装置から直接吸入されるか、又は噴霧化装置がフェイスマスクテント又は間欠的陽圧式人工呼吸器に連結されてよい。液剤、懸濁剤又は散剤の組成物は、好適な様式で該製剤を送達する装置から、好ましくは経口的又は経鼻的に投与されることができる。
【0174】
本発明において使用するためのその他の好適な製剤は、「レミントン薬科学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」17版、Mace Publishing社、フィラデルフィア、PA(1985)において認めることができる。
【0175】
前述のように、本明細書に説明された化合物は、前述の様々な薬物送達システムにおける使用に適している。加えて、投与された化合物のインビボ血清半減期を増大するために、本化合物は、カプセル封入されるか、リポソーム内腔に導入されるか、コロイドとして調製されることができるか、又は該化合物の延長された血清半減期を提供する他の常用の技法を使用することができる。リポソームの調製に利用可能な様々な方法は、例えばSzokaらの米国特許第4,235,871号、第4,501,728号及び第4,837,028号に開示されており、これらは各々引用により本明細書中に組み込まれている。
【0176】
前述のように、患者へ投与される本化合物は、前述の医薬組成物の形状である。これらの組成物は、通常の滅菌技術により滅菌されることができるか、又は濾過滅菌されることができる。得られる水溶液は、そのまま使用されるように包装されるか、凍結乾燥されることができ、この凍結乾燥された調製品は投与前に無菌の水性担体と混合される。この化合物の調製品のpHは、典型的には、3〜11であり、より好ましくは5〜9であり、最も好ましくは7〜8である。前述のある特定の賦形剤、担体、又は安定剤の使用は、医薬の塩の形成を生じることは理解されるであろう。
【0177】
本明細書に引用された特許、特許出願及び刊行物(例えば、雑誌、記事及び/又は教本)の各々及び全ての開示は、それらの全体が引用により本明細書中に組み込まれている。同じく本明細書及び添付された請求項において使用されるように、「a、an、及びone」などの単数の冠詞は、単数又は複数を言及することが意図されている。本発明は、好ましい態様と結びつけて、本明細書において説明されているが、当業者は、前述の明細書を読了した後、本明細書において示された本発明に変更、同等物の置換、及び他の種類の変更を行うことができる。先に説明された各態様は、任意の又は全ての他の態様に関して開示されたように、そのような変動又は態様をそれに含む又は組み込むこともできる。同じく本発明は、本発明の個々の態様の一例として意図されている、本明細書に説明された特定の態様に関して限定されるものでもない。当業者には明らかであるように、本発明の多くの修飾及び変動を、その精神及び範囲から逸脱しない限り行うことができる。本明細書において列挙された方法に加え、本発明の範囲内の機能的に同等な方法は、先の説明から、当業者には明らかであろう。本発明は、特定の方法、試薬、処理条件、物質などに限定されず、これらは当然変動することができることも理解されるはずである。本明細書において使用される技術用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、限定を意図しないことも理解されるはずである。従って、本明細書は例証と見なされることが意図される。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
下記式Iの化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩もしくは溶媒和物:
(化1)
(式中:
R1は、H、C1-20アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、Het1、Het2、C(=O)C1-4アルキル、C(=O)OH、C(=O)OC1-4アルキル、(CH2)mC(=O)OH、(CH2)mC(=O)C1-4アルキル、(CH2)mC(=O)OC1-4アルキル、NH2、NHC1-4アルキル、N(C1-4アルキル)C1-4アルキル、N(C1-4アルキル)アリール、OC1-4アルキル、SC1-4アルキル、(CH2)mC3-6シクロアルキル、(CH2)mC(=O)-アリール、又は(CH2)mC(=O)-Het1であり、ここで、mは、0、1、又は2であり;並びに
R2及びR3は、H、C1-20アルキル、C3-6シクロアルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-20ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、[3-(2,3,5-トリフルオロ-4-(4-オキソ-3,4-ジヒドロピリジン-1(2H)-イル)フェニル)オキサゾリジン-2-オン-5-イル]メチル、[3-(3-フルオロ-4-モルホリノフェニル)オキサゾリジン-2-オン-5-イル]メチル、[3-(3-フルオロ-4-(6-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)フェニル)-オキサゾリジン-2-オン-5-イル]メチル、[3-(3-フルオロ-4-(6-(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル)フェニル)-オキサゾリジン-2-オン-5-イル]メチル、Het1、Het2、C(=O)C1-4アルキル、(CH2)mC(=O)C1-4アルキル、(CH2)mC3-6シクロアルキル、(CH2)mC(=O)-アリール、及び(CH2)mC(=O)-Het1から独立して選択される。)。
(構成2)
構成1記載の式IIの化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩:
(化2)
(式中:
R2は、イソオキサゾール-3-イル(任意に1つのR9により置換された)、C(=O)C1-4アルキル、(CH2)mC(=O)C1-4アルキル、(CH2)mC3-6シクロアルキル、(CH2)mC(=O)-アリール、又は(CH2)mC(=O)-Het1であり、ここで、mは、0、1、又は2であり;
R4及びR5は、独立してH又はFであり;並びに
R6及びR8は、独立してH、F、Cl、又はCNであり;並びに
R7は、C3-6シクロアルキル、アリール、ビアリール、Het1、Het2、又は4〜7-員の複素環基であるか;或いは、R6とR7は一緒に、ベンゼン環上に縮合された4〜7-員の複素環基を形成し;並びに
R9は、H、C1-6アルキル、ハロ、又はCNである。)。
(構成3)
前記R4、R5、R6、及びR8が、H又はFから独立して選択され、並びにR7が、モルホリノ、2,3-ジヒドロピリジン-4(1H)-オン-1-イル、4-シアノピリジル、2-(2-メチル-2H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-5-イル、2-(1-メチル-1H-テトラゾール-5-イル)ピリジン-5-イル、4-[N-(1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチルアミノメチル]フェニル、1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロ-1,2,4-トリアジン-4-イル、又は5,6-ジヒドロ-1,2,4-オキサジアジン-4-イルである、構成2記載の式IIの化合物。
(構成4)
構成1及び2のいずれか記載の式IIIの化合物、又はそれらの医薬として許容し得る塩もしくは溶媒和物:
(化3)
。
(構成5)
前記各R1が、独立してC1-8アルキル、(CH2)mC(=O)OC1-4アルキル、OC1-4アルキル、NHC1-4アルキル、N(C1-4アルキル)C1-4アルキル、アリール、又はHet2である、構成1〜4のいずれか記載の化合物。
(構成6)
下記構造から選択される、構成4記載の化合物:
(化4)
。
(構成7)
下記構造から選択される、構成4記載の化合物:
(化5)
。
(構成8)
式IVの化合物、又はそれらの塩:
(化6)
(式中:
R4及びR5は、独立してH又はFであり;
R6及びR8は、独立してH、F、Cl、又はCNであり;並びに
R9は、H、C1-6アルキル、ハロ、又はCNである。)。
(構成9)
前記R4及びR9が、両方共Hであり、かつR5、R6、及びR8が、全てFである、構成8記載の式IVの化合物。
(構成10)
構成2〜9のいずれか記載の化合物の調製のための、式Vの化合物:
(化7)
(式中、
R9は、H、C1-6アルキル、ハロ、又はCNであり;並びに
R10及びR11は、C1-20アルキル及びC3-6シクロアルキルから独立して選択されるか、又はR10とR11は一緒に、C1-20アルキリデン基である。)。
(構成11)
前記R9がHであり、並びにR10及びR11の両方が、C1-20アルキルである、構成10記載の式Vの化合物。
(構成12)
構成1〜9のいずれか記載の化合物の治療的有効量及び医薬として許容し得る担体を含有する、医薬組成物。
(構成13)
構成1〜9のいずれか記載の化合物又は構成12記載の組成物の治療的有効量を、それを必要とする哺乳類へ投与することを含む、哺乳類における微生物感染症を治療する方法。
(構成14)
前記化合物が、医薬組成物で、経口的に、非経口的に、経皮的に、局所的に、経直腸的に、又は鼻腔内的に、哺乳類へ投与される、構成13記載の方法。
(構成15)
前記化合物が、その水系の溶液として、かつ約50mg/mL〜約400mg/mLの前記化合物濃度で投与される、構成13記載の方法。
(構成16)
前記化合物が、約1〜約75mg/kgの一日量で投与される、構成13記載の方法。