特許第6671306号(P6671306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6671306高強力長尺ステープル糸を有する難燃性布地
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6671306
(24)【登録日】2020年3月5日
(45)【発行日】2020年3月25日
(54)【発明の名称】高強力長尺ステープル糸を有する難燃性布地
(51)【国際特許分類】
   D03D 15/12 20060101AFI20200316BHJP
   D03D 15/00 20060101ALI20200316BHJP
【FI】
   D03D15/12 Z
   D03D15/00 C
【請求項の数】19
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-572745(P2016-572745)
(86)(22)【出願日】2015年6月15日
(65)【公表番号】特表2017-517651(P2017-517651A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】US2015035833
(87)【国際公開番号】WO2015192131
(87)【国際公開日】20151217
【審査請求日】2018年6月13日
(31)【優先権主張番号】62/011,624
(32)【優先日】2014年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505451040
【氏名又は名称】サザンミルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Southern Mills,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】スタンホープ、 マイケル ティー.
(72)【発明者】
【氏名】コラトルグリオ、 マシュー ルシアス
【審査官】 川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−500803(JP,A)
【文献】 特表2007−530819(JP,A)
【文献】 特開2000−144526(JP,A)
【文献】 特表2008−530384(JP,A)
【文献】 米国特許第5299602(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 15/00−15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経糸方向および緯糸方向を有する難燃性布地であって、
(a)経糸方向および緯糸方向の両方に提供される複数の第1の糸であって、第1のタイプの材料を含む複数の第1の繊維と、第1のタイプの材料とは異なる第2のタイプの材料を含む複数の第2の繊維とを含む繊維ブレンドを含み、前記複数の第1の繊維が、2インチ(50.8mm)より長く40インチ(1016mm)以下の長さの長尺ステープル繊維を含む複数の第1の糸と、
(b)前記複数の第1の糸とは異なる複数の第2の糸であって、難燃性材料を含む難燃性繊維を含む複数の第2の糸
とを含む、難燃性布地。
【請求項2】
前記第1のタイプの材料および前記第2のタイプの材料のうち少なくとも一方は、前記第2の糸の難燃性繊維の少なくとも一部の前記難燃性材料とは異なっていることにより、前記第1の糸と前記第2の糸が異なっている、請求項1に記載の難燃性布地。
【請求項3】
前記複数の第1の糸の少なくとも一部が、牽切繊維を含む、請求項1または2に記載の難燃性布地。
【請求項4】
前記複数の第1の糸の少なくとも一部が、別の糸と撚られている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性布地。
【請求項5】
前記第1のタイプの材料が、難燃性材料を含む、請求項〜4のいずれか1項に記載の難燃性布地。
【請求項6】
前記第1のタイプの材料が、アラミド材料を含む、請求項5に記載の難燃性布地。
【請求項7】
前記第2のタイプの材料が非難燃性材料を含む、請求項〜6のいずれか1項に記載の
難燃性布地。
【請求項8】
前記第2のタイプの材料が難燃性材料を含む、請求項〜6のいずれか1項に記載の難
燃性布地。
【請求項9】
前記第2の繊維が、2インチ(50.8mm)より長く40インチ(1016mm)以下の長さの長尺ステープル繊維を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の難燃性布地。
【請求項10】
前記第2の糸の難燃性繊維の少なくとも一部は、2インチ(50.8mm)以下の長さの短尺ステープル繊維を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の難燃性布地。
【請求項11】
前記第2の糸の難燃性繊維の少なくとも一部が、2インチ(50.8mm)以下の長さのアラミド短尺ステープル繊維を含む、請求項10に記載の難燃性布地。
【請求項12】
前記第2の糸が非難燃性短尺ステープル繊維をさらに含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の難燃性布地。
【請求項13】
前記第2の糸の少なくとも一部がフィラメント糸を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の難燃性布地。
【請求項14】
経糸方向および緯糸方向を有する難燃性布地であって、
(a)経糸方向及び緯糸方向の両方に提供される複数の長尺ステープル糸であって、前記複数の長尺ステープル糸の少なくとも一部が100%アラミド長尺ステープル繊維を含み、前記長尺ステープル繊維が、2インチ(50.8mm)より長く40インチ(1016mm)以下の長さである、複数の長尺ステープル糸と
経糸および緯糸方向の両方に前記複数の長尺ステープル糸と織り合わされた複数のスパン糸であって、前記複数のスパン糸の少なくとも一部が100%アラミド短尺ステープル繊維を含み、前記短尺ステープル繊維が、2インチ(50.8mm)以下の長さの繊維である、複数のスパン糸
とを含み
前記複数の長尺ステープル糸の少なくとも1本が前記複数の長尺ステープル糸の別の1本と撚られており、
前記複数のスパン糸の少なくとも1本が前記複数のスパン糸の別の1本と撚られている、
難燃性布地
【請求項15】
(a)第1のタイプの材料がアラミド材料を含み、
(b)前記複数の第2の糸の難燃性繊維が、2インチ(50.8mm)以下の長さの難燃性短尺ステープル繊維を含み、
(c)前記複数の第2の糸が繊維ブレンドを含み、前記複数の第1の糸の繊維ブレンドは、前記複数の第2の糸の繊維ブレンドとは異なり、
(d)前記複数の第1の糸および前記複数の第2の糸が経糸方向および緯糸方向の両方に提供され、
(e)前記布地がNFPA 1971(1991年)に示される少なくとも1つの性能基準を満たす、請求項に記載の難燃性布地。
【請求項16】
前記第2の繊維が、2インチ(50.8mm)より長く40インチ(1016mm)以下の長さの長尺ステープル繊維であって、難燃性材料を含む、請求項15に記載の難燃性布地。
【請求項17】
布地中において1〜5本の個々の第2の糸ごとに少なくとも1本の個々の第1の糸を含む、請求項1〜13、15及び16のいずれか1項に記載の難燃性布地。
【請求項18】
平方メートル当たり101.7g以上288.2g以下(平方ヤード当り3オンス以上8.5オンス以下の重量を有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の難燃性布地。
【請求項19】
NFPA 1971(1991年)に示される1つまたは複数の性能基準を満たす、請求項1〜18のいずれか1項に記載の難燃性布地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して難燃性布地、より具体的には長尺ステープル繊維を含む難燃性布地に関する。
【背景技術】
【0002】
連続フィラメント糸を布地に組み入れると、こうした布地の強さは通常増加するであろう。しかし、連続フィラメント糸は高価な傾向がある。従って、より安価であるがそれでも布地の強さを高める代替糸で形成された布地に対する需要が存在する。
【発明を実施するための形態】
【0003】
本特許で使用される「発明」、「その発明」、「この発明」および「本発明」という用語は、この特許の全ての主題および以下の特許請求の範囲を広く指すことを意図している。これらの用語を含む記述は、本明細書で説明する主題を限定したり、以下の特許請求の範囲の意味または範囲を限定したりするものと理解すべきではない。この特許により包含される発明の実施形態は、この発明の概要ではなく、以下の特許請求の範囲により規定される。この概要は、本発明の様々な態様のハイレベルな概要であり、以下の詳細な説明の項でさらに説明する一部の概念を紹介するものである。この概要は、特許請求する主題の鍵または主要な特徴を特定する意図ではなく、特許請求する主題の範囲を決定するために分離して使用する意図でもない。主題は、この特許の明細書全体、全図面および各特許請求の範囲を参照することにより理解されるべきである。
【0004】
本発明の実施形態は、高強力長尺ステープル糸を組み入れた難燃性布地に関する。
こうした糸は、連続フィラメント糸よりも安価であるが、布地の強さを増加させる。
【0005】
(詳細な説明)
本発明の実施形態の主題は、法的な要求に合致させるために本明細書で限定的に説明されているが、この説明は必ずしも特許請求の範囲を限定する意図ではない。特許請求する主題は、他の方法で具現してもよく、異なる要素またはステップを含んでもよく、他の現存するまたは未来の技術と連動して使用してもよい。この説明は、個々のステップまたは要素の配列の順序が明示的に説明されている場合を除いて、様々なステップもしくは要素の中もしくは間の、いかなる特定の順序または配列も意味するものと解釈すべきではない。
【0006】
本明細書で使用する場合、「連続フィラメント糸」は、天然に絹で見出されるような、不定または極端な長さの繊維を指す。
【0007】
本明細書で使用する場合、「長尺ステープル糸」は、長尺ステープル繊維から形成された糸を指す。長尺ステープル繊維は、2インチより長いステープル長を有する繊維と定義される。当業者は理解するであろうが、長尺ステープル繊維は、これらには限定はされないが、牽切(stretch break)プロセス、連続繊維の長尺ステープル長への切断、または(例えば、長尺ステープル羊毛繊維を得るために)動物を剪毛する(shearing)ことによる長尺ステープル繊維を刈り取ることを含む、様々なプロセスを使用して形成することができる。牽切プロセスの間、例えば、フィラメント糸を破断して、約2〜40インチの長さを有する非連続の長尺ステープル繊維を形成することにより、長尺ステープル繊維が形成される。これらのプロセスおよび他のプロセスに由来する長尺ステープル繊維は、均一な長さであっても、不均一な長さであってもよい。さらに、長尺ステープル糸を形成するために使用する長尺ステープル繊維は、同じでも異なる長さであってもよい。
【0008】
牽切、羊毛、およびウーステッドのシステムおよびプロセスなどの、(綿システムとは対照的に)長尺ステープル繊維とともに使用するために設計されたシステムおよびプロセスを使用して、長尺ステープル繊維は長尺ステープル糸とする。牽切プロセス、および長尺ステープル繊維から牽切糸(本明細書で規定される一種の長尺ステープル糸)を形成するための例示的方法は、文献「Continuous Filament to Staple Length Conversion」に説明されており、そのコピーは優先仮出願に添えられ、その全ては本明細書に組み込まれる。
【0009】
「スパン糸」は、2インチ以下の長さを有する繊維などの短いステープル繊維で形成された糸である。
【0010】
デニールの単位で測られるフィラメント糸と異なり、(牽切糸などの)長尺ステープル糸は、スパン糸と同様で、糸番手(例えばメートル番手)により測られる。
【0011】
本発明の実施形態は、これに限定はされないが、牽切糸などの高強力(「HT」)長尺ステープル糸を含む難燃布地に関する。HT長尺ステープル糸は、こうした糸のない布地に比べて布地の強さを増加させるように布地中に挿入される。さらに、挿入されている布地中で他の糸よりもHT長尺ステープル糸は強いので、布地の強さを維持したまま全体の布地重量を減らすことができる。いくつかの実施形態では、本発明による布地は平方ヤード当り約3〜8.5オンス(「osy」)の重量を有し、少なくとも約10%超重いHT長尺ステープル糸のない布地に比べて同じまたはそれを超える強さを有する。
【0012】
HT長尺ステープル糸は、布地中の任意の所望の位置に配置してもよい。いくつかの例示的実施形態では、HT長尺ステープル糸は、格子模様または縞(例えば水平もしくは垂直)模様で布地に織られまたは編まれる。任意の所望の織物(例えば平織、綾織)または編み物(例えばシングル、ダブル、プレーン、インターロック)の模様を使用してもよい。さらに、HT長尺ステープル糸を布地中で経糸もしくは緯糸方向のいずれに配置してもよく、または、例えば格子模様のように織物に組み入れられる場合は、経糸および緯糸方向の両方に配置してもよい。
【0013】
HT長尺ステープル糸はまた、一種または複数の他の難燃性または非難燃性スパン糸(もしくはステープル繊維)、フィラメント糸、および長尺ステープル糸と合わせる(combine)、と対にする(couple)、またはで覆う(cover)(すなわち、撚る(ply)、合撚する(ply twist)、巻きつける(wrap)、カーンマントル構造にする(coresheath)、カバースパンする(coverspun)等)こともできる。例えば一実施形態では、HT長尺ステープル糸を、スパン糸、フィラメント糸、または他の長尺ステープル糸の1つと撚る。
【0014】
布地中の糸の残りとしては、任意で所望のスパン糸を挙げることができ、これは、上で説明したように、他の糸(スパン、フィラメント、長尺ステープル)と合わされ、と対にされ、またはで覆われていてもよく、そうでなくともよい。
【0015】
HT長尺ステープル糸は、布地中でスパン糸に対して任意の所望の比で配置することができる。糸比は、個々の糸を数えるかまたは末端を数えるかのいずれかによる、異なる2つの方法で計算することができる。例えば、撚った糸(例えば、スパン糸と撚ったHT長尺ステープル糸)を考えると、HT長尺ステープル糸とスパン糸との比を決定する目的では各糸は個別に考慮することができ、または2本の燃った糸を1つの末端として考慮することができる。例えば、以下の糸の繰返しで模様に織られた布地を考慮する:
・2本のスパン糸を撚ることにより各々形成された2本の糸、および
・HT長尺ステープル糸を1本のスパン糸と撚ることにより形成された1本の糸。
こうした布地に対するHT長尺ステープル糸とスパン糸との比は、各個別の糸を数える場合は1:5であり、各糸の末端を数える場合は1:2である。
【0016】
いずれかの糸比計算方法を使用して、HT長尺ステープル糸とスパン糸との糸比は、約40:1〜約1:40、または約30:1〜約1:30、または約25:1〜約1:25、または約20:1〜約1:20、または約15:1〜約1:15、または約10:1〜約1:10、または9:1、または8:1、または7:1、または6:1、または5:1、または4:1、または3:1、または2:1、または1:1、または1:2、または1:3、または1:4、または1:5、または1:6、または1:7、または1:8、または1:9、または約2:3〜約1:3でさえあることができる。ある実施形態では、2〜5本のスパン糸ごとに約1本のHT長尺ステープル糸の比で、1本のHT長尺ステープル糸がスパン糸に対して、布地に挿入されるであろう。
【0017】
以下に示すのは、布地の実施形態に使用するHT長尺ステープル糸およびスパン糸を形成するのに適当な材料である。留意すべきは、HT長尺ステープル糸およびスパン糸を形成する繊維は難燃性であってもよいが、全てである必要はないことである。むしろ、全体の布地が難燃性であるおよび/または難燃性布地に対する所望の基準を満たす限り、難燃性/非難燃性材料の任意の組み合わせを使用することができる。より具体的には、いくつかの実施形態では、この布地は、消防隊の衣服での使用に適した防護布地であり、従って、熱、炎、および火気の動作および、ならびに例えばNational Fire Protection Association (NFPA)1971,1991 Editionに示される安全基準(例えば、熱収縮、垂直引火性、および炭化長の要求)に好適に適合する。
【0018】
長尺ステープル繊維を形成するために使用することができ、続いて本発明の布地用のHT長尺ステープルを形成する、例示的で適当な難燃性(FR)材料および非難燃性(non-FR)材料としては、限定はされないが、パラ−アラミド、メタ−アラミド、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、モダクリリック、ポリ{2,6−ジイミダゾ[4,5−b:40;50−e]−ピリジニレン−1,4(2,5−ジヒドロキシ)フェニレン}(「PIPD」)、超高分子量(「UHMW」)ポリエチレン、UHMWポリプロピレン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、液晶ポリマー、ガラス、ナイロン(およびFRナイロン)、カーボン、絹、ポリアミド、ポリエステル、ならびに天然および合成セルロース(例えば、綿、レーヨン、アセテート、トリアセテート、およびリヨセル繊維、ならびにそれらに対応する難燃性繊維であるFR綿、FRレーヨン、FRアセテート、FRトリアセテート、およびFRリヨセル)などの高強力材料が挙げられる。
【0019】
これらの材料は、HT長尺ステープル糸を形成するために使用される長尺ステープル繊維の形成に使用する、繊維および/またはフィラメント形状で提供され得る。パラ−アラミド材料の例としては、KEVLAR(商標)(DuPontから入手可能)、TECHNORA(商標)(Teijin Twaron BV of Arnheim、オランダから入手可能)、およびTWARON(商標)(これもTeijin Twaron BVから入手可能)が挙げられる。メタ−アラミド材料の例としては、NOMEX(商標)(DuPontから入手可能)、CONEX(商標)(Teijinから入手可能)、およびKermel(Kermelから入手可能)が挙げられる。適当なモダクリリック材料の例は、株式会社カネカ、大阪、日本から入手可能なPROTEX(商標)である。PIPD材料の例としては、M5(Dupont)が挙げられる。UHMWポリエチレン材料の例としては、DyneemaおよびSpectraが挙げられる。液晶ポリマー材料の例は、VECTRAN(商標)(クラレから入手可能)である。適当なレーヨン材料の例は、Lenzing Fibers Corporationから入手可能な、LenzingによるViscose(商標)およびModal(商標)である。FRレーヨン材料の例は、やはりLenzing Fibers Corporationから入手可能な、Lenzing FR(商標)である。リヨセル材料の例としては、いずれもLenzing Fibers Corporationから入手可能な、TENCEL G100(商標)およびTENCEL A100(商標)が挙げられる。
【0020】
いくつかの実施形態では、布地中の全てのHT長尺ステープル糸が同じであるように、布地中の全てのHT長尺ステープル糸が100%同じタイプの材料で形成されてもよい。或いは、異なる材料で形成されたHT長尺ステープル糸を、布地に使用してもよい。さらに、各HT長尺ステープル糸が同じまたは異なるタイプの材料から形成されてもよい。例えば、HT長尺ステープル糸は、混合された長尺ステープル繊維(例えば、パラ−アラミドおよびUHMWポリエチレン)で形成されてもよい。
【0021】
スパン糸での使用のための例示的繊維としては、限定はされないが、パラ−アラミド繊維、メタ−アラミド繊維、ポリベンゾオキサゾール(「PBO」)繊維、ポリベンゾイミダゾール(「PBI」)繊維、モダクリリック繊維、ポリ{2,6−ジイミダゾ[4,5−b:40;50−e]−ピリジニレン−1,4(2,5−ジヒドロキシ)フェニレン}(「PIPD」)繊維、天然および合成セルロース繊維(例えば、綿、レーヨン、アセテート、トリアセテート、およびリヨセル繊維、ならびにそれらに対応する難燃性繊維であるFR綿、FRレーヨン、FRアセテート、FRトリアセテート、およびFRリヨセル)、ナイロンおよび/またはFRナイロン繊維、TANLON(商標)(Shanghai Tanlon Fiber Companyから入手可能)、羊毛繊維、メラミン繊維(Basofil Fibersから入手可能なBASOFIL(商標)など)、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエーテルイミド繊維、ポリエーテルスルホン繊維、ポリアミド繊維、UHMWポリエチレン繊維、UHMWポリプロピレン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、液晶繊維、ガラス繊維、カーボン繊維、絹繊維、およびこれらのブレンドが挙げられる。
【0022】
各スパン糸を単一の繊維タイプで形成してもよく、または異なる繊維タイプをブレンドしてスパン糸を形成してもよい。さらに、布地に提供される全てのスパン糸は同じであってもよく、あるいは、異なる繊維で形成されたスパン糸を同じ布地に使用してもよい。いくつかの実施形態では、スパン糸を形成するために選択されおよび/またはブレンドされる繊維は、限定はされないが、布地の快適さ、耐久性、および/または可染性/印刷適性などの布地の性質を向上させる。
【0023】
本明細書で説明する実施形態によるHT長尺ステープル糸で形成された難燃性布地は、HT長尺ステープル糸の代わりにフィラメント糸を有する等価な布地よりも一般に低い引張強さを有するであろうが、HT長尺ステープル糸の代わりにスパン糸を有する等価な布地よりも高い引張強さを有するであろう。これは、フィラメント糸と異なり、HT長尺ステープル糸は連続ではなく、同じ重量を有し同じ材料から形成されたフィラメント糸と比較可能な強さを期待されないためである。しかし、HT長尺ステープル糸における長尺ステープル繊維は、従来のスパン糸における短尺ステープル繊維よりも長く、従ってHT長尺ステープル糸は等価なスパン糸よりも強い。
【0024】
NFPAは、消防士の衣服製造に使用するために布地が有すべき強さに関して、最小限の指針を提供している。NFPA1971は、適当な防火布地および防火衣服に対する引張および引裂強さの基準を提供している。本発明の実施形態により形成された布地(「本発明の布地」)の強さを対照布地と比較した。布地は以下の通りである。
【0025】
本発明の布地:
・HT牽切糸およびスパン糸で経糸および緯糸の両方向に織られた、6.7osy綾織布地であり、
・100%パラ−アラミド長尺ステープル繊維で形成されたHT牽切糸であり、
・スパン糸は、パラ−アラミド(Kevlar(登録商標))およびメタ−アラミド(Nomex(登録商標))ステープル繊維の60/40ブレンドであり、
・2本の牽切糸を互いに撚って1つの末端を形成し、
・2本のスパン糸を互いに撚って1つの末端を形成し、
・経糸および緯糸方向のそれぞれが、スパン双糸の2つの末端、続いてHT牽切双糸の1つの末端を備えたパターンで、布地を織る。
【0026】
対照布地:
・100%スパン糸(全て双糸)で形成された、7.5osy、3つの末端リップストップ布地であり、
・各スパン糸は、パラ−アラミド(Kevlar(登録商標))およびメタ−アラミド(Nomex(登録商標))ステープル繊維の60/40ブレンドである。
【0027】
性能の結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
従って、本発明の布地は、対照布地より10%超少ない重量であるにもかかわらず、対照布地より著しく強い。
【0030】
当然、他の布地製造は可能であり、本発明の範囲内である。図に描かれまたは上で説明
された要素の異なる配置は、示されても記載されてもいない要素およびステップ同様に可
能である。同様に、いくつかの機能および副結合は有用であり、他の機能および副結合を
参照することなく使用してもよい。本発明の実施形態は例示のために説明したものであり
、限定する目的ではなく、代替の実施形態は本特許の読者には明白となるであろう。従っ
て、本発明は上で説明または図に描いた実施形態に限定されることはなく、以下の特許請
求の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態および修正を行うことができる。
<付記>
項1
(a)複数の長尺ステープル糸と、
(b)複数のスパン糸
とを含む、難燃性布地。
項2
布地が、経糸方向および緯糸方向を含み、複数の長尺ステープル糸が経糸方向または緯
糸方向の一方だけに提供される、項1に記載の難燃性布地。
項3
布地が、経糸方向および緯糸方向を含み、複数の長尺ステープル糸が経糸方向および緯
糸方向の両方に提供される、項1に記載の難燃性布地。
項4
平方ヤード当り3オンス以上〜8.5オンス以下の重量を有する、項1に記載の難燃性布地。
項5
複数の長尺ステープル糸の少なくとも一部が、別の糸と撚られている、項1に記載の難燃性布地。
項6
1本の個々の長尺ステープル糸ごとに1〜5本の個々のスパン糸を含む、項1に記載の難燃性布地。
項7
複数の長尺ステープル糸の少なくとも一部が、難燃性長尺ステープル繊維を含む、項1に記載の難燃性布地。
項8
複数の長尺ステープル糸の少なくとも一部が、アラミド長尺ステープル繊維を含む、項7に記載の難燃性布地。
項9
複数の長尺ステープル糸の少なくとも一部が、100%パラ−アラミド長尺ステープル
繊維を含む、項8に記載の難燃性布地。
項10
複数の長尺ステープル糸の少なくとも一部が、非難燃性長尺ステープル繊維を含む、項1に記載の難燃性布地。
項11
複数のスパン糸の少なくとも一部が難燃性繊維を含む、項1に記載の難燃性布地。
項12
複数のスパン糸の少なくとも一部が非難燃性繊維を含む、項1に記載の難燃性布地。
項13
NFPA 1971(1991年)に示される1つまたは複数の性能基準を満たす、項1に記載の難燃性布地。
項14
複数の長尺ステープル糸の少なくとも一部が、牽切糸を含む、項1に記載の難燃性布地。
項15
織物布地または編物布地である、項1に記載の難燃性布地。
項16
経糸方向および緯糸方向を有する難燃性織物布地であって、
(a)経糸方向および緯糸方向に提供される複数の長尺ステープル糸であって、その少
なくとも一部が100%アラミド長尺ステープル繊維を含む、複数の長尺ステープル糸と
(b)経糸方向および緯糸方向に複数の長尺ステープル糸と織り合わされた、複数のス
パン糸であって、少なくとも一部が100%アラミド繊維を含む、複数のスパン糸
とを含み、
複数の長尺ステープル糸の少なくとも1本が複数の長尺ステープル糸の別の1本と撚ら
れており、複数のスパン糸の少なくとも1本が複数のスパン糸の別の1本と撚られている
、難燃性織物布地。
項17
布地中の1〜5本の個々のスパン糸ごとに、少なくとも1本の個々の長尺ステープル糸
が布地に提供される、項16に記載の難燃性織物布地。
項18
布地中の2本の個々のスパン糸ごとに、少なくとも1本の個々の長尺ステープル糸が布
地に提供される、項16に記載の難燃性織物布地。